(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20250516BHJP
【FI】
A61B1/04 530
(21)【出願番号】P 2024034764
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-03-07
(32)【優先日】2023-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 正人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正輝
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/092986(WO,A1)
【文献】特開2017-023234(JP,A)
【文献】国際公開第2022/244133(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0353853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、
第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設され、前記複数の第2の電極のそれぞれが、前記複数の第1の電極のそれぞれと、接合されている平面回路基板と、
第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面とを有し、前記第5の面に複数の第5の電極が配設され、前記複数の第5の電極のそれぞれが、前記複数の第3の電極のそれぞれと、接合されている異形回路基板と、
前記平面回路基板の前記複数の第4の電極のそれぞれと、それぞれが接合され、前記凹に収容されている複数の電子部品と、
前記凹を充填している樹脂と、を具備し、
前記異形回路基板は、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔が、前記第5の面側から前記底面側にかけて連続的に小さいことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記複数の電子部品のうちの、前記第1の側面に最も近接している第1の電子部品と前記第1の壁面との第1の距離が、前記第1の電子部品以外の複数の電子部品のそれぞれと、それぞれの前記第1の壁面または前記第2の壁面のうちの近接している壁面とのそれぞれとの距離のうちの最大の第2の距離よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記第1の距離が、前記第1の電子部品と前記第2の壁面との第3の距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記第1の距離が、前記複数の電子部品の間の複数の距離のうち、最大の第4の距離よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記第1の距離が、前記複数の電子部品と前記凹の前記底面との間の第5の距離のうち、最大の距離よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記凹は、前記第1の側面側から前記第2の側面側に向かうに連れて、前記第5の距離が小さくなるように、前記底面が前記第5の面に対して傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記第1の電子部品は、長辺が前記第1の側面に平行に配置されており、前記第1の電子部品以外の前記複数の電子部品のそれぞれは、それぞれの長辺が前記第1の側面に垂直に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記複数の電子部品は、同じ大きさであることを特徴とする請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
大きさの異なる前記複数の電子部品を具備し、
前記第1の電子部品は、前記複数の電子部品の中で最も大きいことを特徴とする請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項10】
前記平面回路基板の前記第3の面の前記第1の側面側の角に、樹脂が充填されている切り欠きがあることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項11】
挿入部の先端部に撮像ユニットを有する内視鏡であって、
前記撮像ユニットが、
第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、
第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設され、前記複数の第2の電極のそれぞれが、前記複数の第1の電極のそれぞれと、接合されている平面回路基板と、
第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面とを有し、前記第5の面に複数の第5の電極が配設され、前記複数の第5の電極のそれぞれが、前記複数の第3の電極のそれぞれと、接合されている異形回路基板と、
前記平面回路基板の前記複数の第4の電極のそれぞれと、それぞれが接合され、前記凹に収容されている複数の電子部品と、
前記凹を充填している樹脂と、を具備し、
前記異形回路基板は、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔が、前記第5の面側から前記底面側にかけて連続的に小さいことを特徴とする内視鏡。
【請求項12】
第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、
第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に、前記複数の第1の電極のそれぞれと、それぞれが接合されている複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設されている平面回路基板と、
第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面と、を有し、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔は、
前記第5の面側から前記底面
側にかけて連続的に小さく、前記第5の面
に複数の第5の電極が配設されている異形回路基板と、を作製し、
複数の電子部品を前記平面回路基板の前記複数の第4の電極に接合し、
前記半導体パッケージの複数の前記第1の電極のそれぞれと、前記平面回路基板の前記複数の第2の電極のそれぞれとを接合し、前記平面回路基板の前記複数の第3の電極のそれぞれを、前記異形回路基板の前記複数の第5の電極のそれぞれと接合し、
前記凹に収容されている複数の電子部品と、前記第1の壁面との間から、樹脂を注入し、
前記樹脂を硬化処理することを特徴とする撮像ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面回路基板と異形回路基板との間に複数の電子部品が実装されている撮像ユニット、平面回路基板と異形回路基板との間に複数の電子部品が実装されている撮像ユニットを有する内視鏡、および、平面回路基板と異形回路基板との間に複数の電子部品が実装されている撮像ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国特開2017-23234号公報には、立体回路デバイスである異形回路基板を用いた内視鏡の撮像ユニットが開示されている。撮像ユニットは、半導体パッケージと、前記半導体パッケージと接合され、複数の電子部品が実装された平面回路基板と、前記平面回路基板と接合され、前記複数の電子部品が、切り欠きに収容されている異形回路基板と、を具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切り欠きに収容されている複数の電子部品は、信頼性改善のため樹脂封止されていることが好ましい。しかし、小さな複数の電子部品の間に樹脂を充填することは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の撮像ユニットは、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設され、前記複数の第2の電極のそれぞれが、前記複数の第1の電極のそれぞれと、接合されている平面回路基板と、第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面とを有し、前記第5の面に複数の第5の電極が配設され、前記複数の第5の電極のそれぞれが、前記複数の第3の電極のそれぞれと、接合されている異形回路基板と、前記平面回路基板の前記複数の第4の電極のそれぞれと、それぞれが接合され、前記凹に収容されている複数の電子部品と、前記凹を充填している樹脂と、を具備し、前記異形回路基板は、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔が、前記第5の面側から前記底面側にかけて連続的に小さい。
【0006】
本発明の実施形態の内視鏡は、挿入部の先端部に撮像ユニットを有する内視鏡であって、前記撮像ユニットが、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設され、前記複数の第2の電極のそれぞれが、前記複数の第1の電極のそれぞれと、接合されている平面回路基板と、第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面とを有し、前記第5の面に複数の第5の電極が配設され、前記複数の第5の電極のそれぞれが、前記複数の第3の電極のそれぞれと、接合されている異形回路基板と、前記平面回路基板の前記複数の第4の電極のそれぞれと、それぞれが接合され、前記凹に収容されている複数の電子部品と、前記凹を充填している樹脂と、を具備し、前記異形回路基板は、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔が、前記第5の面側から前記底面側にかけて連続的に小さい。
【0007】
本発明の実施形態の撮像ユニットの製造方法は、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、撮像素子を含み、前記第2の面に複数の第1の電極が配設されている半導体パッケージと、第3の面と前記第3の面の反対側の第4の面とを有し、前記第3の面に、前記複数の第1の電極のそれぞれと、それぞれが接合されている複数の第2の電極が配設され、前記第4の面に複数の第3の電極および複数の第4の電極が配設されている平面回路基板と、第5の面と、前記第5の面と直交する第1の側面および第2の側面と、を有し、前記第5の面は、前記第1の側面および前記第2の側面にそれぞれ開口を有する凹によって、第1の前面と第2の前面とに分割されており、前記凹は、第1の壁面と第2の壁面と底面と、を有し、前記第1の壁面と前記第2の壁面との間隔は、前記第5の面側から前記底面側にかけて連続的に小さく、前記第5の面に複数の第5の電極が配設されている異形回路基板と、を作製し、複数の電子部品を前記平面回路基板の前記複数の第4の電極に接合し、前記半導体パッケージの複数の前記第1の電極のそれぞれと、前記平面回路基板の前記複数の第2の電極のそれぞれとを接合し、前記平面回路基板の前記複数の第3の電極のそれぞれを、前記異形回路基板の前記複数の第5の電極のそれぞれと接合し、前記凹に収容されている複数の電子部品と、前記第1の壁面との間から、樹脂を注入し、前記樹脂を硬化処理する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、信頼性の高い撮像ユニット、信頼性の高い内視鏡、および、信頼性の高い撮像ユニットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の撮像ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の撮像ユニットの分解図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の撮像ユニットの平面回路基板の裏面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の撮像ユニットの側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の撮像ユニットの製造方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1実施形態の撮像ユニットの製造方法を説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の撮像ユニットの製造方法を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の撮像ユニットの断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例1の撮像ユニットの平面回路基板の裏面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の内視鏡の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1―
図4を用いて、本実施形態の撮像ユニット1について説明する。
【0011】
実施形態に基づく図面は、模式的なものである。図面の各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示、符号の付与を省略する。光が入射する方向を「前」といい、「前」の反対方向を「後」という。
【0012】
本実施形態の撮像ユニット1は、半導体パッケージ10と、平面回路基板20と、異形回路基板30と、複数の電子部品40と、樹脂50と、を具備する。
【0013】
半導体パッケージ10は、カバーガラス12と、撮像素子11と、を含む。カバーガラス12は、第1の面10SAを有する。カバーガラス12の後面が前面に接着された撮像素子11は、後面である第2の面10SBを有する。シリコンを母材とする撮像素子11は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光素子、またはCCD(Charge Coupled Device)である。
【0014】
第2の面10SBには、複数の第1の電極13が配設されている。第1の電極13は、例えば、半田バンプである。撮像素子11には、複数の第1の電極13を経由して、駆動信号および電力が供給される。また、撮像素子11が受光した被写体像は、電気信号に変換され撮像信号として、複数の第1の電極13を経由して、出力される。
【0015】
半導体パッケージ10が、撮像素子11に、撮像信号を1次処理する複数の半導体素子が積層された積層素子を有しており、積層素子の後面に複数の第1の電極13が配設されていてもよい。複数の光学素子が積層されたレンズユニットが、半導体パッケージ10の第1の面10SAに配設されていてもよい。
【0016】
平面回路基板20は、第3の面20SAと第3の面20SAの反対側の第4の面20SBとを有する。第3の面20SAに複数の第2の電極21が配設されている。
図4に示すように、複数の第2の電極21のそれぞれは、半導体パッケージ10の複数の第1の電極13のそれぞれと、接合されている。第4の面20SBには、複数の第3の電極22および複数の第4の電極23が配設されている。
【0017】
複数の第4の電極23のそれぞれには、複数の電子部品40が表面実装されている。複数の電子部品40は、例えば、略直方体のチップコンデンサである。略直方体とは、角が曲面に面取りされている直方体である。撮像ユニット1では、複数の電子部品40の全てが、サイズ0603(長辺0.6mm、短辺0.3mm)のチップコンデンサである。
【0018】
異形回路基板30は、第5の面30SAと、それぞれが第5の面30SAと直交する第1の側面30SS1および第2の側面30SS2と、第5の面30SAと反対側の第6の面30SBを有する。異形回路基板30は、射出成形により作製され、表面に配線等が配設された成形回路デバイス(MID:Molded Interconnect Device)である。MIDの基材は、エポキシ、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリカーボーネート等である。MIDである異形回路基板30は、複雑な形状を容易に製造できる。
【0019】
異形回路基板30の第5の面30SAは、第1の側面30SS1および第2の側面30SS2にそれぞれ開口を有する凹T30によって、第1の前面30SA1と第2の前面30SA2とに分割されている。凹T30は、第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2と底面T30SBとを有する溝である。言い替えれば、異形回路基板30は、第1の前面30SA1を有する第1の腕部と、第2の前面30SA2を有する第2の腕部と、を有し、2つの腕部の、それぞれの内側面が、第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2とである。凹T30の開口部における幅W、すなわち、第1の前面30SA1と第2の前面30SA2との距離は、1.2mmである。
【0020】
第5の面30SA(第1の前面30SA1および第2の前面30SA2)には、複数の第5の電極31が配設されている。複数の第5の電極31のそれぞれは、平面回路基板20の複数の第3の電極22のそれぞれと、接合されている。
【0021】
平面回路基板20の第4の面20SBに配設されている複数の電子部品40は、異形回路基板30の凹T30に収容されている。
【0022】
異形回路基板30の第1の側面30SS1および第2の側面30SS2に直交する、第3の側面30SS3および第4の側面30SS4のそれぞれには、複数の第5の電極31のそれぞれから延設された複数の配線層32が配設されている。複数の配線層32のそれぞれの端部には、それぞれ信号ケーブル(不図示)が接合されている。
【0023】
半導体パッケージ10と平面回路基板20との隙間、すなわち、第1の電極13と第2の電極21との接合部には、樹脂51が配設されている。狭く広い隙間に樹脂51を効率的に充填するために、第3の面20SAに切り欠きC20が設けられている。未硬化で液体状の樹脂51が、ノズル(不図示)を用いて、切り欠きC20から隙間に注入され、界面張力によって半導体パッケージ10と平面回路基板20との間に広がる。
【0024】
異形回路基板30の凹T30、すなわち、第4の電極23と複数の電子部品40との接合部には、樹脂50が配設されている。
【0025】
樹脂50は、樹脂51と同じように未硬化で液体状の樹脂50として、凹T30に注入される。しかし、小さな凹T30に収容されている小さな複数の電子部品40の間に樹脂50を充填することは容易ではない。例えば、複数の電子部品40を上下左右対称に配置すると複数の電子部品40が樹脂50の流れを阻害する。このため、樹脂50が配設されない空洞が生じて信頼性が低下するおそれがある。また、樹脂50の注入に要する時間が長くなるおそれがある。さらに、ノズルを用いて樹脂50を注入するときに、注入孔となる開口が小さいため、樹脂50が凹T30の周囲にあふれて、撮像ユニット1の外寸が大きくなるおそれがある。
【0026】
撮像ユニット1は、凹T30に収容されている複数の電子部品40の配置等に、以下の特徴を有する。
【0027】
第1の側面30SS1に最も近接している第1の電子部品41は、長辺が第1の側面30SS1に平行に配置されている。第1の電子部品41は、第1の壁面T30S1との第1の距離L1(0.4mm)が、第2の壁面T30S2との第3の距離L3(0.2mm)よりも大きい。すなわち、撮像ユニット1は、樹脂50を注入するときの注入孔となる開口を第1の側面30SS1側に確保している。
【0028】
第1の電子部品41以外の複数の電子部品42ー45は、長辺が第1の側面30SS1に垂直に配置されている。
【0029】
第1の電子部品41以外の複数の電子部品42-45のそれぞれと、それぞれの第1の壁面T30S1または第2の壁面T30S2のうちの近接している壁面とのそれぞれの距離のうちの最大の距離を第2の距離L2という。
【0030】
電子部品42および電子部品44は、第2の壁面T30S2よりも第1の壁面T30S1に近接している。電子部品42および電子部品44の第1の壁面T30S1との距離が、第2の距離L2(0.2mm)である。なお、電子部品43および電子部品45は第1の壁面T30S1よりも第2の壁面T30S2に近接している。電子部品43および電子部品45の第2の壁面T30S2との距離は、第2の距離L2と同じである。
【0031】
また、複数の電子部品40(41-45)の間の距離のうちの最大の距離を第4の距離L4という。電子部品42と電子部品43との距離が、第4の距離L4(0.25mm)である。電子部品44と電子部品45との間の距離も第4の距離L4である。電子部品43と電子部品45との間の距離、および、電子部品44と電子部品42との間の距離も、第4の距離L4よりも小さい、0.2mmである。
【0032】
なお、複数の電子部品40(41-45)と凹T30の底面T30SBとの間の距離である第5の距離L5は、0.25mmである。
【0033】
以上の説明の構成の撮像ユニット1では、第1の電子部品41と第1の壁面T30S1との第1の距離L1(0.4mm)が、凹T30の内部空間における他の複数の隙間の幅(第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4、第5の距離L5)よりも、広い。
【0034】
さらに、
図4に示すように、異形回路基板30の凹T30の第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2とは、第5の面30SAに対して傾斜している。すなわち、第1の壁面T30S1および第2の壁面T30S2の、第5の面30SAに対する角度θは、90度超の100度である。言い替えれば、第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2の間隔(切り欠きである凹T30の幅)Wは、底面T30SBに向かうにつれて小さくなっている。
【0035】
後述するように、撮像ユニット1では、第1の電子部品41と第1の壁面T30S1との間から注入された樹脂50が凹T30の内部空間に界面張力によって効率的に広がっていく。このため、撮像ユニット1は、凹T30に樹脂50が配設されない空洞が生じ難いため、信頼性が高い。
【0036】
<撮像ユニットの製造方法>
図5のフローチャートにそって、撮像ユニット1の製造方法を説明する。
【0037】
<ステップS10>
半導体パッケージ10と、平面回路基板(平面配線板)20と、異形回路基板(立体配線板)30と、が作製される。
【0038】
半導体パッケージ10は、第1の面10SAと第1の面10SAの反対側の第2の面10SBとを有する。半導体パッケージ10は、撮像素子11とカバーガラス12とを含み、第2の面10SBに複数の第1の電極13が配設されている。
【0039】
平面回路基板20は、第3の面20SAと第3の面20SAの反対側の第4の面20SBとを有する。第3の面20SAに、複数の第1の電極13のそれぞれと、それぞれが接合されている複数の第2の電極21が配設されている。第4の面20SBに複数の第3の電極22および複数の第4の電極23が配設されている。
【0040】
異形回路基板は、第5の面30SAと、第5の面30SAと直交する第1の側面30SS1および第2の側面30SS2と、を有する。第5の面30SAは、第1の側面30SS1および第2の側面30SS2にそれぞれ開口を有する凹T30によって、第1の前面30SA1と第2の前面30SA2とに分割されている。切り欠きである凹T30は、第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2と底面T30SBと、を有する。第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2の間隔Wは、底面T30SBに向かうにつれて小さい。第5の面30SAに複数の第5の電極31が配設されている。
【0041】
なお、第1の壁面T30S1および第2の壁面T30S2の、第5の面30SAに対する角度θは、90度超120度未満が好ましく、95度超110度未満が特に好ましい。角度θが前記範囲内であれば、必要数の電子部品40を凹T30に収容でき、かつ、樹脂50を効率的に凹T30に充填できる。
【0042】
<ステップS20>
複数の電子部品40が、平面回路基板20の複数の第4の電極23に接合される。
【0043】
複数の電子部品40のうちの第1の側面30SS1に最も近接しているのは第1の電子部品41である。すでに説明したように、複数の電子部品40の配置は、第1の電子部品41と第1の壁面T30S1との第1の距離L1が、凹T30の内部空間における他の複数の隙間の幅(第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4、第5の距離L5)よりも、広い。
【0044】
<ステップS30>
半導体パッケージ10の複数の第1の電極13のそれぞれが、平面回路基板20の複数の第2の電極21のそれぞれと接合される。平面回路基板20の複数の第3の電極22のそれぞれが、異形回路基板30の複数の第5の電極31のそれぞれと接合される。
【0045】
なお、ステップS20よりも前に、半導体パッケージ10と平面回路基板20とが接合されていてもよい。
【0046】
<ステップS40>
図6に示すように、第1の電子部品41と、第1の壁面T30S1との間から、ノズル55を用いて、凹T30に樹脂50が注入される。
【0047】
第1の電子部品41と第1の壁面T30S1との第1の距離L1(0.4mm)が、凹T30の内部空間における他の複数の隙間の幅(第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4、第5の距離L5)よりも、広い。このため、
図7に示すように、樹脂50は、界面張力によって、凹T30の内部空間における複数の隙間に広がっていく。
【0048】
なお、第1の距離L1は、樹脂50を効率的に注入するために、0.3mm超が好ましい。第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4、第5の距離L5は、界面張力によって、樹脂50が広がりやすいため、0.3mm未満が好ましい。
【0049】
<ステップS50>
樹脂50が硬化処理される。効果処理には、例えば、熱硬化法、または、紫外線硬化/熱硬化併用法が用いられる。
【0050】
本製造方法によれば、確実に樹脂50を充填できるだけでなく、短時間で樹脂50を充填できる。さらに、注入時に樹脂50が凹T30の周囲にあふれて、撮像ユニット1の外寸が大きくなるおそれがない。
【0051】
説明を省略したが、ステップS40において、半導体パッケージ10と平面回路基板20との隙間に樹脂51が注入され、ステップS50において、樹脂51が硬化処理される。
【0052】
樹脂50の注入と樹脂51の注入とは連続して行うことが効率的である。このため、樹脂51の注入口となる平面回路基板20の切り欠きC20は、樹脂50の注入口のある第1の側面30SS1側にあることが好ましい。
【0053】
なお、樹脂50と樹脂51とは同一の樹脂であることがさらに好ましい。半導体パッケージ10と平面回路基板20との隙間に樹脂50が配設されている撮像ユニット1は、樹脂50が注入された平面回路基板20の第3の面20SAの第1の側面30SS1側の角の切り欠きC20に、樹脂50が充填されている。
【0054】
すなわち、撮像ユニット1は、平面回路基板20の第3の面20SAの、第1の側面30SS1側の角に、樹脂50が充填されている切り欠きがあることが好ましい。
【0055】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例の撮像ユニット1A、1Bは、撮像ユニット1と類似しており、撮像ユニット1と同じ効果を有する。このため、撮像ユニット1と同じ機能の構成要素には、撮像ユニット1と同じ符号を付し説明は省略する。
【0056】
<第1実施形態の変形例1>
図8に示す本変形例の撮像ユニット1Aでは、異形回路基板30の凹T30は、底面T30SBが第5の面30SAに対して傾斜している。すなわち、第1の側面30SS1側から第2の側面30SS2側に向かうにつれて、複数の電子部品40と底面T30SBとの距離である第5の距離L5(凹T30の深さH30)が、連続的に小さくなる。
【0057】
このため、撮像ユニット1Aは、撮像ユニット1よりも、第1の側面30SS1側から注入された樹脂50が、第2の側面30SS2側に広がりやすい。
【0058】
<第1実施形態の変形例2>
図9に示す本変形例の撮像ユニット1Bでは、大きさの異なる複数の電子部品40を具備し、第1の電子部品41は、複数の電子部品40の中で最も大きい。
【0059】
電子部品41、42、43は、サイズ0603(長辺0.6mm、短辺0.3mm)のチップコンデンサである。電子部品44-46は、サイズ0402(長辺0.4mm、短辺0.2mm)のチップコンデンサである。
【0060】
撮像ユニット1Bにおける複数の電子部品40の基本的配置は、撮像ユニット1における複数の電子部品40の配置と同じ条件で設定されている。ただし、第1の側面30SS1に最も近接している電子部品は、複数の電子部品40(41-46)の中で最も大きい第1の電子部品41である。
【0061】
そして、第1の電子部品41と第1の壁面T30S1との間の第1の距離L1(0.4mm)が、凹T30の内部空間における他の複数の隙間の幅(第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4、第5の距離L5)よりも、広い。
【0062】
なお、本発明の撮像ユニットは、3種類以上のサイズの異なる複数の電子部品40を有していてもよい。また、複数の電子部品40は、チップコンデンサに限られるものではなく、チップインダクタ、ICチップ等の複数の機能の異なる電子部品を含んでいてもよい。
【0063】
<第2実形態施>
図10に示す本実施形態の内視鏡5(5A、5B)は、撮像ユニット1(1A、1B)が先端部9Aに配設された挿入部9Bと、挿入部9Bの基端側に配設された操作部9Cと、操作部9Cから延出するユニバーサルコード9Dと、を具備する。
【0064】
内視鏡5は、信頼性が高く製造が容易な撮像ユニット1(1A、1B)を具備するため、信頼性が高く製造が容易である。
【0065】
本発明は、上述した各実施形態、各変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせ、および応用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
5・・・内視鏡
9A・・・先端部
9B・・・挿入部
9C・・・操作部
9D・・・ユニバーサルコード
10・・・半導体パッケージ
10SA・・・第1の面
10SB・・・第2の面
11・・・撮像素子
12・・・カバーガラス
13・・・第1の電極
20・・・平面回路基板(平面配線板)
20SA・・・第3の面
20SB・・・第4の面
21・・・第2の電極
22・・・第3の電極
23・・・第4の電極
30・・・異形回路基板(立体配線板)
30SA・・・第5の面
30SA1・・・第1の前面
30SA2・・・第2の前面
30SB・・・第6の面
30SS1・・・第1の側面
30SS2・・・第2の側面
30SS3・・・第3の側面
30SS4・・・第4の側面
31・・・第5の電極
32・・・配線層
40(41-46)・・・電子部品
41・・・第1の電子部品
50・・・樹脂
51・・・樹脂
55・・・ノズル
【要約】
【課題】 信頼性の高い撮像ユニット1を提供する。
【解決手段】 撮像ユニット1は、半導体パッケージ10と、平面回路基板20と、凹T30を有する異形回路基板30と、複数の電子部品40と、前記凹T30を充填している樹脂50と、を具備し、前記異形回路基板30は、前記凹T30の第1の壁面T30S1と第2の壁面T30S2との間隔Wが、底面T30SBに向かうにつれて小さくなり、前記複数の電子部品40のうちの第1の電子部品41と前記第1の壁面T30S1との第1の距離L1が、前記第1の電子部品41以外の複数の電子部品42-45のそれぞれと、それぞれの前記第1の壁面T30S1または前記第2の壁面T30S2のうちの近接している壁面とのそれぞれとの距離L2-L4のうちの最大の第2の距離よりも大きい。
【選択図】
図3