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特許7682403送信デジタル信号生成回路、及び光送信器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】送信デジタル信号生成回路、及び光送信器
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/516 20130101AFI20250516BHJP
【FI】
H04B10/516
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024556046
(86)(22)【出願日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2023009475
(87)【国際公開番号】W WO2024189712
(87)【国際公開日】2024-09-19
【審査請求日】2024-09-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G通信インフラを高効率に構成するメトロアクセス光技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】備海 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048188(JP,A)
【文献】国際公開第2021/019620(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/174574(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0026725(US,A1)
【文献】吉田 剛 他、 YOSHIDA Tsuyoshi et al.,光ファイバ通信における確率分布整形と擬似データ圧縮 Probabilistic Constellation Shaping and Quasi Data Compression in Fiber-Optic Communications,電子情報通信学会論文誌B,日本,電子情報通信学会,2020年09月,Vol. J103-B No. 9,pages 361-371
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信デジタル信号に変換されてDACに入力されるシンボル(X)の発生確率をヒストグラム化し、
前記ヒストグラムの累積度数に基づいて、前記シンボル(X)に対して前記DACの出力値の範囲を割当てる前記DACの割当てを決定する、
ただし、前記ヒストグラムの階級値は、前記シンボル(X)の値であり、
どの階級においても、度数は非零であり、
度数の総数は、前記DACの量子化数である、
光送信器。
【請求項2】
基幹系大容量光ファイバ通信において、送信デジタル信号に対して圧縮シェイピングを実施る、
請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
大気中の通信に適用される光空間通信において、送信する光信号の短区間のみにパワーを集中させて伝送損失増加に耐えるバースト化を行う、極短バースト化を実施る、
請求項1に記載の光送信器。
【請求項4】
光送信器を構成する送信デジタル信号生成回路であって、
送信デジタル信号に変換されてDACに入力されるシンボル(X)の発生確率をヒストグラム化し、
前記ヒストグラムの累積度数に基づいて、前記シンボル(X)に対して前記DACの出力値の範囲を割当てる前記DACの割当てを決定する、
ただし、前記ヒストグラムの階級値は、前記シンボル(X)の値であり、
どの階級においても、度数は非零であり、
度数の総数は、前記DACの量子化数である、
送信デジタル信号生成回路。
【請求項5】
基幹系大容量光ファイバ通信において、送信デジタル信号に対して圧縮シェイピングを実施る、
請求項4に記載の送信デジタル信号生成回路。
【請求項6】
大気中の通信に適用される光空間通信において、送信する光信号の短区間のみにパワーを集中させて伝送損失増加に耐えるバースト化を行う、極短バースト化を実施る、
請求項4に記載の送信デジタル信号生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、送信デジタル信号生成回路、及び光送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路及びこれを構成要素とする光送信器は、例えば、基幹系ネットワークにおける光ファイバ通信(以降、「基幹系大容量光ファイバ通信」と称する)に応用されるものである。基幹系大容量光ファイバ通信の技術分野における先駆的な信号処理技術の一つに、出願人により開発された「圧縮シェイピング」が挙げられる。
【0003】
「圧縮シェイピング」とは、簡単に言えば、情報源符号化であるデータ圧縮と、通信路符号化である確率分布整形(Probabilistic Constellation Shaping、以降、単に「PS」と称する)と、を融合した技術である。圧縮シェイピングの理論面については、例えば、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】吉田 剛、五十嵐 浩司 著、「光ファイバ通信における確率分布整形と疑似データ圧縮」、電子情報通信学会論文誌 B Vol.J103-B No.9 pp.361-371、2020年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のとおり、圧縮シェイピングは最近の先駆的な技術であるため、圧縮シェイピングの実装面又は応用面については、まだ多くは議論されていない。例えば、圧縮シェイピングが適用された場合、通信トラフィックが減少したときにはデータ圧縮が実施され、送信データシンボルの平均シンボルエネルギーが変化するが、このとき、出力信号品質が劣化し、又は後段のシステムが不安定化する、といったことが生じうる。
【0006】
本開示技術は、平均シンボルエネルギーの変化に対応する圧縮シェイピングを提案し、より実用的な圧縮シェイピングを実施する送信デジタル信号生成回路及び光送信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示技術に係る光送信器は、送信デジタル信号に変換されてDACに入力されるシンボル(X)の発生確率をヒストグラム化し、ヒストグラムの累積度数に基づいて、シンボル(X)に対してDACの出力値の範囲を割当てるDACの割当てを決定する、ただし、ヒストグラムの階級値は、シンボル(X)の値であり、どの階級においても、度数は非零であり、度数の総数は、DACの量子化数である、というものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路は上記構成を備えるため、平均シンボルエネルギーの変化に対応する圧縮シェイピングを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、光ファイバ通信システムを表すシステムモデルである。
図2図2は、圧縮シェイピングを説明する図その1であり、機能ブロック構成の一例である。
図3図3は、圧縮シェイピングを説明する図その2であり、シンボル確率分布の例である。
図4図4は、実施の形態1に係る光送信器の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、従来技術に係る光送信器におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図である。
図6図6は、圧縮シェイピングを行う光送信器におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図その1である。
図7図7は、圧縮シェイピングを行う光送信器におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図その2である。
図8図8は、デジタル振幅調整の結果、望ましくないクリッピングが生じる例を説明する図である。
図9図9は、発生確率を考慮した、シンボル(X)に対するDAC及びADCの割当てを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(頭字語)
本明細書において用いられる主なアルファベットの頭字語は、以下の表に示されるとおりである。

【0011】
(イントロダクションその1、圧縮シェイピングについて)
一般的に、基幹系ネットワークでは、データ圧縮効果のある情報源符号化は行われず、ビットスクランブルにて0/1を均一化し、均一分布入力を仮定して、誤り訂正(以降、「FEC」と称する)又は確率分布整形(以降、「PS」と称する)等の通信路符号化のみが行われている。
しかし、通信トラフィックの有効量は変動しているため、リアルタイムなデータ圧縮が可能な情報源符号化が実現できれば、メリットが大きい。
圧縮シェイピングは、情報源符号化と通信路符号化とを融合すること、別の言い方をすれば、情報源・通信路結合符号化を実現することを基本概念としている。
【0012】
図1は、光ファイバ通信システムを表すシステムモデルである。図1に登場するSは、情報ビットであり、2進数で表される。図1に示されるように、情報ビット(S)は、符号情報ビット(S)と、振幅情報ビット(S)と、に分けられる。振幅情報ビット(S)は、k[bit]まとめてPS符号化される。符号化後の記号(シンボル)は、Aで表される。PS符号化により得られるAの個数は、n[symbol]である。簡単のため、通信路に送出されるシンボル(X)は1次元の実数をとるものとし、これを2つ束ねて複素シンボルとし、さらに複素シンボルを2つ束ねて偏波多重複素シンボルが構成される、とする。通信路に送出されるシンボル(X)を構成するビット数は、mとする。また、Aは、Xの絶対値と等しい、とする。例えば、偏波多重16-QAMの場合は、m=2である。Aは、ビット列(Bps、m-1次元のバイナリ)で表される。符号情報ビット(S)及びPS符号化ビット列(Bps)(合計k[bit])は、情報ビットとしてシステマティックにFEC符号化される。k[bit]のFEC情報ビットに対しては、(n-k)[bit]のパリティビットが付加される。FEC符号化されたビット列(B、m次元のバイナリ)からは、シンボル(X)が生成される。ビット列(B)のうち、シンボル(X)の符号を制御するビット(Bsign)は、符号情報ビット(S)とFECパリティビットとで構成される。またシンボル(X)の絶対値であるAを制御するビット列は、Bpsのみで構成される。通信路は、離散無記憶AWGNで近似できると仮定してよい。送信シンボル(X)は、受信シンボル(Y)に変換される。
【0013】
図2は、圧縮シェイピングを説明する図その1であり、機能ブロック構成の一例である。図2に登場する頭字語は、前述の表1(頭字語の説明に関する表)によりその正式名称を参照することができる。図2に登場するSは、情報ビットを表す。Sの一部であるSは、ビットスクランブルされ符号ビット(Sign bit)に割り当てられる。符号ビットは、QAMシンボルの座標を決定することに用いられる。FECパリティビットは確率分布を制御できず、一般的には「0」「1」が概ね均一な分布となる。そのため、FECパリティビットは符号ビットに割り当てられる。残る情報ビットのSは、事前処理として、以下の条件分岐処理が施される。

条件:或る単位長において、そこに含まれる「1」の数が多い
YES:全入力ビットをビット反転し、更にパリティ「1」を付加して出力する
NO:パリティ「0」を付加して出力する

これは、アラーム信号を送る際に、本機能に対する入力が全て「1」となることと対応する。
【0014】
図2において“Hierarchical DM”と示されるブロックは、階層的な分布整合(以降、「階層化分布整合」と称される)を実施することによりPSを行うものである。図2に示されるとおり、階層化分布整合は、小規模かつ多数のLUTにより構成される。各LUTに格納される入力ビット列及び出力ビット列は、例えば、以下の表に例示されるよう、ソーティングが実施される。

ここで、P(1)は、Sが「1」をとる確率であり、マーク率とも称される。表2は、マーク率が0.3の場合を示している。
表2に示されるように、入力ビット列については、それに含まれる「1」の数(ハミング重み=非零成分の個数)が昇順となるようにソーティングがなされる。また、出力統計量については、例えば平均シンボルエネルギー(E)の期待値が昇順となるようにソーティングがなされる。これらのソーティングは、信号疎通前に行われる。主信号の疎通は、LUTへの書き込み完了後に行われる。
平均シンボルエネルギー(E)は、Aの二乗の期待値として定義される。別の言い方をすれば、平均シンボルエネルギー(E)は、原点からの距離の二乗の平均として求められる。例えば、表2の2つ目の例として挙げられるA={1,1,1,3}の場合、平均シンボルエネルギー(E)は“(1+1+1+3)÷4=3”として定義される。
表2の登場するPrは、P(1)に基づいて求められる各ケースの確率を表す。
【0015】
図3は、圧縮シェイピングを説明する図その2であり、シンボル確率分布の例である。より詳細に言えば、図3は、階層化分布整合出力の変調シンボル振幅(A)に係るビット列に基づくPS-128-QAMシンボル確率分布の例である。
図3の左側は、情報源マーク率であるP(1)が50[%]、すなわち、情報エントロピー(H(S))が1の場合を示したものである。
図3の右側は、情報源マーク率であるP(1)が20[%]、すなわち、情報エントロピー(H(S))が0.72の場合を示したものである。このように情報源が比較的疎である場合には、確率分布がより中央に集中する。図3の右側の例は、左側の例と比較して、尖度が大きい。
図3に示されるように、圧縮シェイピングにおいては、情報エントロピー(H(S))が低下すると、シンボルエントロピー(H(A))及び平均シンボルエネルギー(E)も低下し、仕様を満たす通信品質を得るのに必要なSNRを低減することができる。
圧縮シェイピングにおける「圧縮」の用語は、ビットスロットの数を減少させることを意味するものではない。圧縮シェイピングにおいては、あたかも情報源を表現するビットスロット数が減少した(圧縮した)かのように、シンボルエントロピー及び平均シンボルエネルギーを低減できることから、「圧縮」又は「疑似圧縮」という表現が用いられる。また、圧縮シェイピングは、規模の大きな記憶装置を必要とせず、処理遅延をも生じさせないことから、「即時(リアルタイム)圧縮」をする技術、と表現されることもある。
【0016】
(イントロダクションその2、パイロットシンボル)
光変調の技術分野において、シンボルは、光波の「状態」に関連づけされた記号を意味する(例えば、イントロダクションその1に登場するX、Y等)。
一般的に知られているパイロットシンボルとは、予め準備された既知のシンボルであって、サイクルスリップの検出に用いられるものである(例えば、国際公開2010/138198号)。
一方、本開示技術においても既知シンボルが用いられるが(例えば、後述する既知シンボル生成部112、既知シンボル挿入部113を参照)、本開示技術における既知シンボルは、本開示技術の中心的なテーマである平均シンボルエネルギーに関連して用いられる。
なお、本開示技術における既知シンボルは、実態としてはパイロットシンボルと同じものである。したがって、既知シンボルは、本開示技術に特有な使い方のほか、一般的なパイロットシンボルの用途としても利用できる。
【0017】
実施の形態1.
図4は、実施の形態1に係る光送信器100の機能構成を示すブロック図である。図4に示されるとおり、実施の形態1に係る光送信器100は、送信デジタル信号生成回路110と、DAC121と、光源122と、光変調部123と、光増幅部124と、を含む。
実施の形態1に係る光送信器100に含まれる送信デジタル信号生成回路110は、符号化部111と、既知シンボル生成部112と、既知シンボル挿入部113と、振幅調整部114と、利得制御部115と、から構成される。
実施の形態1に係る光送信器100の各機能構成は、図4に示されるように接続されている。
本開示技術に係る光送信器100の特別な技術的特徴は、利得制御部115を備えることである、と言える。
【0018】
《送信デジタル信号生成回路110を構成する符号化部111》
送信デジタル信号生成回路110を構成する符号化部111は、外部情報に基づいて送信データシンボルを生成する構成要素である。また、図4に示されるとおり、符号化部111は、“統計情報”を利得制御部115へと出力する。符号化部111が出力する統計情報は、刻一刻と変化する送信データシンボルに関する統計的な情報である。本開示技術が意図する統計情報は、例えば、平均マーク率、エントロピー、確率分布、及び変調フォーマット情報、である。統計情報の詳細は、後述の数値例に沿った説明により明らかとなる。
【0019】
《送信デジタル信号生成回路110を構成する既知シンボル生成部112》
送信デジタル信号生成回路110を構成する既知シンボル生成部112は、隣接する2つの送信データシンボルの間に周期的に挿入する既知シンボルを生成する構成要素である。イントロダクションその2に記載されているとおり、既知シンボル生成部112により生成される既知シンボルは、実態としては、パイロットシンボルと同じである。
【0020】
《送信デジタル信号生成回路110を構成する既知シンボル挿入部113》
送信デジタル信号生成回路110を構成する既知シンボル挿入部113は、既知シンボルを隣接する2つの送信データシンボルの間に周期的に挿入する構成要素である。
既知シンボル挿入部113は、あらかじめ設計された周期で、既知シンボルを挿入する。既知シンボルが出現する頻度は、送信データシンボルが出現する頻度と比べて少なくてもよい。また、受信器にて正しく信号検出できる確率を高めるために、既知シンボルが出現する頻度を高めてもよい。
本明細書において、既知シンボル挿入部113において結合された送信データシンボルと既知シンボルとは、まとめて、「送信シンボル」と称されるものとする。
【0021】
《送信デジタル信号生成回路110を構成する振幅調整部114》
送信デジタル信号生成回路110を構成する振幅調整部114は、送信シンボルが後段のDAC121において適切な振幅のアナログ電気信号に変換されるように、送信シンボルを送信デジタル信号に変換する構成要素である。本明細書において振幅調整部114が実施する処理は、「デジタル振幅調整」と称されるものとする。振幅調整部114は、後述する利得制御部115により得られた利得情報に基づいて、デジタル振幅調整を実施する。振幅調整部114が実施するデジタル振幅調整の詳細も、後述の数値例に沿った説明により明らかとなる。
従来の基幹系大容量光ファイバ通信において、デジタル振幅調整は、固定されたゲイン係数が用いられ、ゲインが動的に変化することはない。一方、本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路110及び光送信器100は、デジタル振幅調整を動的に行う。本開示技術に係る光送信器100の特別な技術的特徴は、デジタル振幅調整を動的に行うことだ、と言える。
【0022】
《送信デジタル信号生成回路110を構成する利得制御部115》
送信デジタル信号生成回路110を構成する利得制御部115は、刻一刻変化する統計情報に基づいて、動的(ダイナミック)に利得情報を生成する構成要素である。このように、利得制御部115が生成する利得情報は動的に変化するため、利得制御部115が実施する処理は、「増幅利得制御」又は単に「利得制御」と称されるものとする。利得制御部115が行う利得制御は、動的なデジタル振幅調整を可能にする。
【0023】
《DAC121》
DAC121は、送信デジタル信号をアナログ電気信号に変換する構成要素である。DAC121は、デジタルアナログコンバータである。
【0024】
《光源122》
光源122は、光ファイバ通信を実現するコヒーレントな連続光を発する構成要素である。光源122は、典型的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、又は量子井戸(QW)レーザ、等の発光デバイスである。
【0025】
《光変調部123》
光変調部123は、光源122が発する連続光を、DAC121が出力するアナログ電気信号に基づいて、光変調を行う構成要素である。
基幹系大容量光ファイバ通信においては、Beyond 5Gにむけて、例えば256QAMによる偏波MIMO等、多値化が期待されている。したがって、本開示技術に係る光変調部123は、この多値化に十分対応できるように設計されたものが用いられる。
光変調部123における光変調により得られた信号は、光信号と称される。光信号は、光増幅部124へと送られる。
【0026】
《光増幅部124》
光増幅部124は、光信号を光増幅する構成要素である。光増幅部124は、光増幅器である。光増幅部124において光増幅された光信号は、伝送路へと出力される。伝送路は、光ファイバ通信の場合、光ファイバである。
【0027】
(数値例、図5
図5は、従来技術に係る光送信器におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図である。図5に示される数値例において、左から1番目の列は、シンボル(X)を表している。この数値例は、シンボルが{-7,-5,-3,-1,1,3,5,7}の8PAMが想定されている。
【0028】
図5に示される数値例において、左から2番目の列は、シンボル(X)が出現する確率を表している。従来技術に係る光送信器において、シンボル(X)の出現確率は、均一であると仮定されてきた。
図5に示される数値例において、上から1番目の行は、シンボル(X)が“-7”であるケースが示されている。シンボル(X)が“-7”であるケースを例にとれば、出現確率は、以下のように数式で与えられる。

このように確率を表す関数は、アルファベットのPが用いられるものとする。
【0029】
図5に示される数値例において、左から3番目の列は、振幅調整前の振幅(A)を表している。振幅調整前の振幅(A)は、以下の数式で表される。

ただし、kはデフォルト係数を、qはDACの量子化数の半分を、それぞれ表す。図5に示される数値例において、デフォルト係数(k)は14とし、DACは8[bit]でありq=256÷2であるとする。シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、振幅調整前の振幅(A)は、具体的に、以下のように算出される。

なお、Aに用いられる右下添え数字の“0”も、kに用いられる右下添え数字の“0”も、後に登場する他の状況のものと区別するための通し番号であり、それ以外の意味は無い。
最もシンプルな振幅の定義は、数式(2)及び数式(3)に見られるように、シンボル(X)に比例する、というものである。このように比例のみで与えられる変換は、線形変換である。数式(3)の数値例とは異なるが、最もシンプルに考えれば、正最大のシンボル(X=7)に対応する振幅を1とし、対極的な負のシンボル(X=-7)に対応する振幅を-1とした、線形変換を行えばよい。
【0030】
図5に示される数値例において、左から4番目の列は、振幅調整前の電力(E)を表している。厳密に言えば、デジタルであるシンボル(X)に対して、電力を計測することはできない。ここでいう電力とは、平均シンボルエネルギーと同様に、振幅の二乗により得られる値を意味する。ちなみにこの定義は、正弦波の信号における平均電力が、信号の振幅の二乗に比例することに由来する。振幅調整前の電力(E)は、以下の数式で与えられる。

シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、振幅調整前の電力(E)は、具体的に、以下のように算出される。

【0031】
さて、振幅調整前における電力の期待値(以降、「入力信号の平均電力」と称する)は、以下の数式で与えられる。

ただし、スクリプト書体のEは、期待値を表す。
図5に示される数値例において、入力信号の平均電力は、以下の値である。

【0032】
図5に示される数値例において、左から5番目の列は振幅調整後の振幅(A)を、左から6番目の列は振幅調整後の電力(E)を、それぞれ表している。
デジタル振幅調整は、前述のデフォルト係数(k)を調整することにより実施される。数式(2)とのアナロジーを考慮すると、振幅調整後の振幅(A)は、以下の数式で与えられる。

に用いられる右下添え数字の“1”も、kに用いられる右下添え数字の“1”も、後に登場する他の状況のものと区別するための通し番号であり、それ以外の意味は無い。
の決め方は、後述の説明により明らかとなる。
【0033】
振幅調整前の電力(E)は、数式(4)と同様に、以下の数式で与えられる。

【0034】
振幅調整後における電力の期待値(以降、「振幅調整後の平均電力」と称する)は、以下の数式で与えられる。

【0035】
図5に示される数値例においては、振幅調整後の平均電力が0.25となるよう、デジタル振幅調整が行われている。この場合、数式(8)に登場するkは、以下のようにその値を決めればよい。

【0036】
図5に示される数値例において、左から7番目の列は量子化前の振幅(B)を表している。量子化前の振幅(B)は、以下の数式で与えられる。

数式(12)は、振幅調整後の振幅(A)が-1.0から+1.0までをフルスケールだと考えて、DAC121の変換に割り当てることを意味している。これは、例えば、DAC121の仕様において、出力電圧の範囲が-1.0[V]から+1.0[V]までのものだ、と理解してもよい。
シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、量子化前の振幅(B)は、具体的に、以下のように算出される。

【0037】
図5に示される数値例において、左から12番目の列は量子化後の振幅(B)を表している。量子化後の振幅(B)は、以下の数式で与えられる。

ここで、数式(14)の右辺に登場するint()は、小数点以下を切り捨てて整数を得る関数である。また、sign()は、符号関数であり、引数の符号に応じて+1、-1、0のいずれかを返す関数である。
図5に示される数値例において、左から8番目から11番目までの列は、数式(14)に示される変形を、段階的に行っているに過ぎない。
【0038】
図5に示される数値例において、左から13番目の列は、量子化後の振幅(B)がDACの量子化数を超えていないかを判定していることを示している。図5に示される例においては、q=128であるため、もしも量子化後の振幅(B)が127.5を超えていれば、127.5にする、というものである。なお、量子化後の振幅(B)が負の場合も、同様な処理を行う。すなわち、左から13番目の列は、DACにおけるサチレーション(飽和)を模擬している、と言える。
図5に示される数値例において、いずれの振幅も、DACの量子化数を超えていない。値としては同じであるが、量子化後の振幅(B)と区別するため、飽和判定後の振幅は、Bで表されるものとする。飽和判定後の振幅(B)は、以下の数式で与えられる。

ここで、数式(15)に登場するsign()は、数式(14)に登場したものと同じく、符号関数である。
【0039】
図5において、“相関:0.999993”と表示されている部分がある。ここに表示されている相関は、振幅調整後の振幅(A)と飽和判定後の量子化後の振幅(B)との相関である。振幅調整後の振幅(A)と飽和判定後の量子化後の振幅(B)との相関は、以下の数式で与えられる。

ただし、数式(16)に登場する横棒のアクセント記号は、標本平均を表す。数式(16)の左辺のCorrel()は、相関を求める関数である。数式(16)右辺に示される計算により得られる値は、相関係数と称されることもある。相関又は相関係数は、+1又は-1に近いほど、配列間(この場合、AとBとの間)に正(+1)又は負(-1)の相関があることを示す。
【0040】
光信号は、伝送路を介し、受信器のADC(Analog Digital Converter)によってサンプリングされる。受信器は、ADCによるサンプリングにより取得したデジタル信号に基づいて、最終的にシンボル(X)の推定値を求める。
送信器と受信器とは、共通の決め事、例えば各種規格により定められた内容に基づいて、光変調及び復調を行う。この共通の決め事に基づいて、受信器側が正しくシンボル(X)を推定できるのであれば、コンソレーションマップに配置されるシンボルは、何も等間隔に配置されるものである必要はない。
【0041】
(数値例、図6
図6は、圧縮シェイピングを行う光送信器100におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図その1である。
図5と比較するとわかるように、図6の数値例においては、シンボル(X)の出現確率が均一ではない。図6に示されるシンボル(X)の出現確率は、具体的に、以下の数式で与えられるものとした。

ここで、数式(17)の分子は、ガウス分布を示している。数式(17)に登場する0.02は、ガウス分布の分散に関係するパラメータである。
シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、出現確率は、具体的に、以下のように算出される。

【0042】
図6に示される数値例においても、入力信号の平均電力は、数式(6)により与えられる。図6に示される数値例において、入力信号の平均電力は、以下の値である。

【0043】
デジタル振幅調整は、前述のデフォルト係数(k)を調整することにより実施される。数式(8)と同様に、振幅調整後の振幅(A)は、以下の数式で与えられる。

に用いられる右下添え数字の“4”も、kに用いられる右下添え数字の“4”も、後に登場する他の状況のものと区別するための通し番号であり、それ以外の意味は無い。
の決め方は、後述の説明により明らかとなる。
【0044】
図6の数値例において、振幅調整後の平均電力は、数式(10)と同様、以下の数式で与えられる。

【0045】
図6に示される数値例においては、振幅調整後の平均電力が0.25となるよう、デジタル振幅調整が行われている。この場合、数式(20)に登場するkは、以下のようにその値を決めればよい。

【0046】
図6に数値例において、左から7番目の列は量子化前の振幅(B)を表している。量子化前の振幅(B)は、数式(12)と同様、以下の数式で与えられる。

シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、量子化前の振幅(B)は、具体的に、以下のように算出される。

【0047】
図6示される数値例において、左から12番目の列は量子化後の振幅(B)を表している。量子化後の振幅(B)は、以下の数式で与えられる。

図6に示される数値例において、左から8番目から11番目までの列は、数式(25)に示される変形を、段階的に行っているに過ぎない。
【0048】
図6に示される数値例において、飽和判定後の振幅(B)は、数式(15)と同様、以下の数式で与えられる。

図6に示される数値例において、量子化後の振幅(B)は飽和していない。
【0049】
図6に示される数値例において、AとBとの相関は、1であった(数式(16)により算出)。
【0050】
(数値例、図7
図7は、圧縮シェイピングを行う光送信器100におけるデジタル振幅調整の数値例を示す図その2である。図7に示される数値例は、原点から遠いシンボルの出現確率が低くなり、結果として入力信号の平均電力が極端に低下した場合を模擬したものである。
図7に示されるシンボル(X)の出現確率は、具体的に、以下の数式で与えられるものとした。

数式(27)に示されるように、図7の数値例において、ガウス分布の分散に関するパラメータは、0.2であり、数式(17)の0.02より10倍大きい。
シンボル(X)が“-7”であるケースにおいて、出現確率は、具体的に、以下のように算出される。

このように、図7に示される数値例においては、シンボル(X)が-7となる確率が、極めて低い。シンボル(X)が7となる確率も、同様に低い。
【0051】
図7に示される数値例においても、入力信号の平均電力は、数式(6)により与えられる。図7に示される数値例において、入力信号の平均電力は、以下の値である。

【0052】
デジタル振幅調整は、前述のデフォルト係数(k)を調整することにより実施される。数式(8)と同様に、振幅調整後の振幅(A)は、以下の数式で与えられる。

【0053】
さてここで、もしも、振幅調整後の平均電力が0.25となるようにデジタル振幅調整を行うとするのであれば、kは以下のように与えられる。

数式(31)により与えられるkは、前述のk1(=13.96594)及びk4(=16.50674)と比較して、大きい。
【0054】
果たして、シンボル(X)が-7のケースにおいてAを計算すると、以下の値となる。

【0055】
さらにここで、数式(12)のように、振幅調整後の振幅(A)が-1.0から+1.0までをフルスケールだと考えて、DAC121の変換に割り当てると、当然ながら不都合な現象が起きる。
図7に示されるとおり、振幅調整後の振幅(A)の絶対値が1よりも大きくなるシンボルにおいては、具体的に言えばX={-7,-5,5,7}の4つケースにおいては、飽和判定後の値(B9)がいずれも飽和している。このような望ましくない飽和現象は、信号処理の技術分野において、「(デジタル信号の)クリッピング」と称される。
【0056】
図8は、デジタル振幅調整の結果、望ましくないクリッピングが生じる例を説明する図である。
図8Aは、デジタル振幅調整前に関するグラフであり、図6に係るAの確率分布と、図7に係るAの確率分布と、の2つの分布がプロットされている。
図8Bは、デジタル振幅調整後に関するグラフであり、図6に係るAの確率分布と、図7に係るAの確率分布と、の2つの分布がプロットされている。図8Bに示されるとおり、図7に示される数値例において、Aのうち4点は、クリッピング領域に含まれる。
【0057】
図8Bは、めったに発生しないX={-7,-5,5,7}についてわざわざDAC121の変換を割り当てる必要がない、と示唆しているとも言える。すなわち、X={-7,-5,5,7}が発生しないのであれば、そもそも8PAMは過剰であり、X={-3,-1,1,3}の4PAMで十分である。このように、確率分布を観察することは、光変調の仕様を決定する上で、重要である。
光通信の機器が平均電力に基づいたデジタル振幅調整を採用するか否かは、光通信の使用目的、使用環境、といった仕様に応じて決めればよい。
【0058】
(発生確率を考慮した振幅及びDAC割当ての定義)
光送信器100は、シンボル(X)に対して、固定された係数の線形変換を行って振幅を決定しても、動作する(数式(2)及び数式(3)を参照)。
しかし、線形変換が必須という固定観念を払拭し、シンボル(X)の発生確率を考慮した振幅及びDAC割当ての定義を行えば、発生頻度の高いシンボル(X)に対してより大きい余裕(マージン)を与えることができる。
【0059】
発生確率を考慮したDAC割当ての手法は、まずは、発生確率をヒストグラム化することから理解される。
図9は、発生確率を考慮した、シンボル(X)に対するDAC及びADCの割当てを説明する図である。図9Aは、シンボル(X)に対するDAC及びADCの割当てを、表形式で説明するものである。また図9Bは、シンボル(X)に対するDAC及びADCの割当てを、グラフ形式で説明するものである。図9A及び図9Bは、いずれも図7に示される数値例を用いている。具体的に言えば、図9Aに示される表において、左から2列目に示されるものは、図7の左から2列目に示される確率(P)である。
【0060】
図9Aに示される表において、左から3列目は、シンボル(X)の発生確率を、ヒストグラム化したものである。ただし、このヒストグラム化は、以下の条件に従う。
条件1:ヒストグラムの階級値は、シンボル(X)の値である。
条件2:どの階級においても、度数は非零である。
条件3:度数の総数は、DAC121の量子化数である。
図9Aに示される表において、左から3列目の値の総数、すなわち度数の総数は、DAC121の量子化数であり、この数値例においては256である。
【0061】
図9Aに示される表において、左から4列目は、累積度数を表したものである。すなわち4列目に示される値は、3列目の値を累積して得られるものである。
【0062】
図9Aに示される表において、左から5列目は、受信器のADCにおいて、各シンボル(X)に対して割り当てられる範囲を示したものである。例えば、受信器のADCにおいてサンプリングされた値が「256段階中の5」であった場合、5は3行目に記載された“3~23”に含まれるので、対応するシンボル(X)は、“-3”である、と判断される。
各シンボル(X)に対して割り当てられる範囲の広さは、すなわち余裕(マージン)の大きさである。このように、本開示技術は、発生頻度の高いシンボル(X)に対してより大きい余裕(マージン)を与えることができる。
【0063】
図9Aに示される表において、左から6列目は、5列目に示される“範囲”の代表値である。より具体的に言えば、左から6列目は、5列目に示される“範囲”の中間値である。この代表値は、光送信器100のDAC121が与えられたシンボル(X)に対して出力する出力値である。正確に言えば、DAC121は、256段階中の代表値に対応する振幅のアナログ電気信号を出力する。
【0064】
図9Bに示されるグラフにおいて、横軸はシンボル(X)を、縦軸はDAC又はADCの値を、それぞれ表す。図9Bに示されるグラフにおいて、破線による曲線は、シンボル(X)の累積分布関数に対応する。
なお、従来の線形変換を行った場合、この破線は、直線となる。
【0065】
本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路110及び光送信器100の技術的特徴は、シンボル(X)の発生確率を考慮した振幅及びDAC割当てを行う、というものである。このシンボル(X)に対してどのようにDACに割り当てられるかという情報は、光通信の受信器側に共有される。
【0066】
本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路110及び光送信器100は、上記の技術的特徴を備えるため、発生頻度の高いシンボル(X)に対してより大きい余裕(マージン)を与えることができる、という効果を奏する。
【0067】
実施の形態2.
実施の形態2に係る送信デジタル信号生成回路110及び光送信器100は、本開示技術に係る送信デジタル信号生成回路110及び光送信器100の変形例である。実施の形態2においては、特に明記する場合を除き、実施の形態1で用いられた符号と同じものが使用される。また、実施の形態2において、実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
【0068】
実施の形態1においては、圧縮シェイピングが実施される基幹系大容量光ファイバ通信を対象としたが、本開示技術はこれに限定されない。本開示技術は、受信感度を改善することを目的とした極短バースト化を行う光送信器100に適用されてもよい。
【0069】
光信号の極短バースト化とは、例えば、以下の参考文献に記載された出願人の技術である。
参考文献:越川翔太、松田恵介、備海正嗣、吉田剛、鈴木巨生著、「光空間通信用10Gb/s QPSK信号の極短バースト化による受信感度改善」、2019年 電子情報通信学会総合大会、B-10-12、pp201.
【0070】
光信号の極短バースト化は、光空間通信を大気中の通信に適用する場合を想定した技術であり、特に悪天候時の伝送損失増加による回線断を課題としたものである。光信号の極短バースト化は、光信号の短区間のみにパワーを集中させることで、通信容量の低下と引換えに伝送損失増加に耐えるバースト化を行うものである。この光信号の極短バースト化の技術において、悪天候時に極短バースト化を行う際に、平均出力パワーは晴天時にバースト化を行わないときと同じ値に保たれる。
【0071】
悪天候時に光信号の極短バースト化がなされる光送信器100も、シンボル(X)の発生確率を考慮した振幅及びDAC割当てを適用すると良い。
【0072】
以上のように、本開示技術は光信号の極短バースト化を行う光通信にも適用することができ、このような光通信システムに対しても、発生頻度の高いシンボル(X)に対してより大きい余裕(マージン)を与えることができる、という効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示技術は、例えば、Beyond 5Gの基幹系大容量光ファイバ通信に応用でき、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0074】
100 光送信器、110 送信デジタル信号生成回路、111 符号化部、112 既知シンボル生成部、113 既知シンボル挿入部、114 振幅調整部、115 利得制御部、121 DAC、122 光源、123 光変調部、124 光増幅部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9