(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】弾性波装置、分波器及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H03H 9/145 20060101AFI20250516BHJP
【FI】
H03H9/145 C
(21)【出願番号】P 2025035512
(22)【出願日】2025-03-06
(62)【分割の表示】P 2024175170の分割
【原出願日】2024-10-04
【審査請求日】2025-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】杉森 達哉
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-181561(JP,A)
【文献】特開2000-106519(JP,A)
【文献】特開2019-213042(JP,A)
【文献】特開2023-141885(JP,A)
【文献】特開2021-052359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2024/0305265(US,A1)
【文献】特開平05-267987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/145-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面を含み、圧電体を有する基板と、
前記基板の上方に位置し、それぞれが平行に延びた複数のストリップ電極と、
を有し、
前記複数のストリップ電極のうち、少なくとも一部の前記ストリップ電極は、弾性波を励振可能である励振部であり、
前記端面は、上方からの平面視で、
前記ストリップ電極の延びる方向と平行であり、
前記励振部に対して弾性波伝搬方向に位置し、
前記複数のストリップ電極は、
前記弾性波伝搬方向において、最も前記端面側に位置する第1ストリップ電極と、
前記弾性波伝搬方向において、前記第1ストリップ電極よりも前記端面から遠く、前記励振部である第2ストリップ電極と、
を含み、
前記弾性波伝搬方向に切断した断面において、前記第1ストリップ電極の平均の厚みが、前記第2ストリップ電極の平均の厚みよりも小さく、
前記基板は上面に溝部を有し、
前記端面は、前記溝部の側面の一部である
弾性波装置。
【請求項2】
前記第1ストリップ電極は、
第1部分と、
前記断面において、前記第1部分よりも厚みが小さい第2部分と、
を含み、
前記弾性波伝搬方向において、前記第2部分は、前記第1部分よりも前記端面側に位置する
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記第1ストリップ電極は、
下面と、
第1の上面と、
前記弾性波伝搬方向において、前記第1の上面よりも前記端面側に位置する第2の上面と、
前記第1の上面と前記第2の上面を接続している蹴上げ面と、
を有し、
前記第1の上面が、前記第2の上面よりも上方に位置する
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記第1ストリップ電極は、
下面と、
前記弾性波伝搬方向において、前記下面と接する側面のうち前記端面側に位置する第1面と、
前記第1面と接する上面と、
を有し、
前記上面は、前記下面に対して下方に向かって傾斜している
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記第1ストリップ電極は、
下面と、
前記弾性波伝搬方向において、前記下面と接する側面のうち前記端面側に位置する第1面と、
前記第1面と接する上面と、
前記第1面と前記上面を接続する第2面と、
を有し、
前記第2面が曲面状である
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記励振部であるストリップ電極の過半数の平均の厚みが、前記第2ストリップ電極と同じである
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項7】
前記断面において、前記圧電体の上面の延長線と前記端面の任意の点における接線が成す角度αが90°よりも小さい
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項8】
前記角度αが82°よりも小さい
請求項7に記載の弾性波装置。
【請求項9】
前記端面は、
前記圧電体の上面側に位置する第1端面と、
前記圧電体の下面側に位置する第2端面と、
を有し、
前記断面において、前記圧電体の上面の延長線と前記第1端面の任意の点における接線が成す角度が、前記圧電体の上面の延長線と前記第2端面の任意の点における接線が成す角度よりも大きい
請求項7に記載の弾性波装置。
【請求項10】
前記第1ストリップ電極が、前記励振部である
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項11】
前記第1ストリップ電極が、前記励振部と電気的に接続していない浮電極である
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項12】
前記第1ストリップ電極は、前記第2ストリップ電極よりも前記弾性波伝搬方向における幅が大きい
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項13】
前記第1ストリップ電極は、主成分としてAlを含む
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項14】
前記基板は
支持基板と、
前記支持基板と圧電体の間に位置する第1層と、
を有する
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項15】
アンテナ端子と、
送信信号をフィルタリングして前記アンテナ端子に出力するように構成された送信フィルタと、
前記アンテナ端子からの受信信号をフィルタリングするように構成された受信フィルタと、
を有し、
前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの少なくとも一方が請求項1に記載の弾性波装置を含む分波器。
【請求項16】
アンテナと、
前記アンテナに前記アンテナ端子が接続された請求項15に記載の分波器と、
前記送信フィルタおよび前記受信フィルタに接続されたICと、
を有する通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は弾性波を利用する弾性波装置、当該弾性波装置の製造方法、当該弾性波装置を含む分波器、当該分波器を含む通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波を利用する弾性波装置が知られている。弾性波装置は、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイスである。弾性波装置は、伝搬する弾性波を反射する構造を有する。特許文献1に開示の弾性表面波装置は、反射構造として端面を有する端面反射型の弾性表面波装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性波装置のスプリアス低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る弾性波装置は、端面を含み、圧電体を有する基板と、前記基板の上方に位置し、それぞれが平行に延びた複数のストリップ電極と、を有し、前記複数のストリップ電極のうち、少なくとも一部の前記ストリップ電極は、弾性波を励振可能である励振部であり、前記端面は、上方からの平面視で、前記ストリップ電極の延びる方向と平行であり、前記励振部に対して弾性波伝搬方向に位置し、前記複数のストリップ電極は、前記弾性波伝搬方向において、最も前記端面側に位置する第1ストリップ電極と、前記弾性波伝搬方向において、前記第1ストリップ電極よりも前記端面から遠く、前記励振部である第2ストリップ電極と、を含み、前記弾性波伝搬方向に切断した断面において、前記第1ストリップ電極の平均の厚みが、前記第2ストリップ電極の平均の厚みよりも小さく、前記基板は上面に溝部を有し、前記端面は、前記溝部の側面の一部である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば弾性波装置のスプリアスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な平面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図である。
【
図3A】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図である。
【
図3B】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図である。
【
図3C】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図である。
【
図4A】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な平面図である。
【
図4B】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な平面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な平面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る弾性波装置の模式的な断面図によって製造方法を示した図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る分波器の模式的な回路図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る通信装置の模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態及び比較例について図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものであり図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、図面同士でも寸法比率は一致していない。
【0009】
本開示では、D1軸、D2軸及びD3軸によって示される直交座標系を図面に付す。D2軸は後述する励振部311が後述の第2バスバー351bから延びる方向と平行な軸である。D1軸は、基板2の平面において、D2軸と垂直な軸である。D3軸は圧電体21の上面に直交する軸である。換言すれば、D3軸は基板2の積層方向である。本開示においては、D1軸の正方向とは、後述する励振部311から後述する一方の端面41に向かう方向である。本開示では、D1軸の正方向について、弾性波伝搬方向とも記載する。本開示では、D1軸の負方向について、弾性波伝搬方向の反対方向とも記載する。端面41は励振部311に対してD1軸の両方向に位置していてもよいが、本開示では説明のため、便宜的に、励振部311から一方の端面41に向かう方向を弾性波伝搬方向としている。ここで、励振部311が励振する弾性波は、弾性表面波でもよいし、板波でもよい。D2軸の正方向とは、後述する第2励振部311bが後述する第2バスバー351bから延びる方向である。D3軸の正方向とは、後述する基板2から後述する電極層3に向かう方向である。また、平面または平面視という場合、特に断りがない限りは、D3軸の方向に見た場合のことをいう。例えば、上方からの平面視という場合、D3軸について上方から見た場合のことを言う。
【0010】
本開示に係る弾性波装置1はいずれかの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、便宜的にD3軸の正方向側を上方として上面または下面等の用語を用いることがある。
【0011】
また、本開示において層の厚みについて言及することがあるが、特に断りが無い限り、任意の断面において最も厚い部分で考慮してもよいし、最も薄い部分で考慮してもよい。
【0012】
以下に本開示における実施形態を示す。また、以下に示す実施形態に記載の構成はそれぞれ他の複数の実施形態と自由に組み合わせてよい。
【0013】
[第1実施形態]
本開示に係る弾性波装置1の第1実施形態に関して説明する。
図1は平面における弾性波装置1の模式図である。弾性波装置1は、基板2、基板2の上方に位置する電極層3及び基板2が含む端面41を備える。
図2は断面視における弾性波装置1の模式図である。
【0014】
(基板)
基板2は、圧電体21を有する。基板2は、
図2に示すように、圧電体21の下方に位置する第1層22及び/または支持基板23を有していてもよい。
【0015】
圧電体21はニオブ酸リチウム(LiNbO3:以下、LNという)またはタンタル酸リチウム(LiTaO3:以下、LTという)を含む圧電性を有する単結晶によって構成されている。例えば、圧電体21は、36~54°YカットX伝搬のLT層によって構成されてもよい。
【0016】
第1層22は、二酸化シリコン(SiO2)等が例示できる。第1層22は圧電体21の下方に漏洩する表面波を低減し、弾性波装置1の挿入損失を低減することができる。
【0017】
支持基板23は電極層3及び圧電体21を支持し、基板2の強度を向上させる。支持基板23を有する場合、第1層22は圧電体21と支持基板23の接合強度を向上させる。
【0018】
(端面)
図1に示すように、基板2は端面41を含む。一方の端面41は後述の励振部311に対して弾性波伝搬方向に位置する。端面41は励振部311に対してD1軸の両方向に位置していてもよい。端面41は弾性波をD1軸の負方向に向かって反射波として反射する。換言すれば、端面41は反射構造である。
【0019】
端面41は溝部4の一部であってもよい。具体的には、
図1に示すように、溝部4の側面の一部が端面41であってもよい。この場合、溝部4の両側の側面を端面41として使うことができる。
【0020】
平面視で、端面41はストリップ電極31の延びる方向と平行に位置する。ここで、「平行」とは、弾性波装置1の特定の特性に大きな影響が出ない範囲での誤差を含んでもよい。
【0021】
本開示において「端面」とは、弾性波を反射する面と定義する。例えば、端面は基板の端の面であっても、基板の溝部の内壁面であってもよい。
【0022】
(電極層)
電極層3は圧電体21の上面に直接又は間接的に接するように形成される。特に図示しないが、下地層が電極層3と圧電体21の間に位置していてもよい。下地層は、電極層3と圧電体21の接着強度を向上させることができる。下地層の材料はチタン(Ti)、クロム(Cr)または種々の誘電体等を例示できる。
【0023】
電極層3は、導電性を有する材料で構成されている。電極層3の材料には、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、金(Au)、チタン(Ti)またはこれらの合金等種々の導電性材料を採用することができる。さらにこれら複数の層を積層させて構成してもよい。また、図示していないが、電極層3は、上記の材料を組み合わせた積層構造としてもよい。例えば、AlとCuAl2による積層構造としてもよいし、AlとTiによる積層構造としてもよい。LTとAlのエッチング選択比は、LTとPt、Mo、AuまたはTiのエッチング選択比よりも低い。そのため、主成分としてAlを含む電極層3を用いた場合、エッチングにより薄くなりやすいため、後述の第1ストリップ電極315を形成しやすい。本開示では、重量比またはモル比において最も大きな割合を占める物質を主成分としてもよいし、半分以上を占める物質を主成分としてもよい。また、弾性波伝搬方向に切断した断面において、D3軸における全体の厚みのうち、最も大きな割合を占める物質としてもよいし、半分以上を占める物質を主成分としてもよい。
【0024】
図1に示すように、電極層3は複数のストリップ電極31を有する。本開示において、ストリップ電極31とは、D2軸に平行に延びる細い電極群のうちの1本を指す。複数のストリップ電極31はそれぞれが平行に延びている。複数のストリップ電極31の本数は弾性波装置1に要求される電気特性に応じて適宜に設定されてよい。本開示に係る模式的な断面図及び平面図に示す本数と比較して、多くてもよいし、少なくてもよい。
【0025】
複数のストリップ電極31のうち、少なくとも一部のストリップ電極31は、弾性波を励振可能である励振部311である。例えば、
図1に示すように、励振部311は、IDT電極35に含まれていてもよい。励振部311とバスバー351によって構成されたIDT電極35によって弾性波を励振できる。
【0026】
弾性波装置1がIDT電極35を有する場合、IDT電極35は、励振部311と、バスバー351とを含む。ここで、バスバー351とは励振部311であるストリップ電極31を電気的に接続する部分を言う。IDT電極35は、バスバー351として、それぞれ電気的に接続されていない対向する第1バスバー351aと第2バスバー351bを有する。励振部311は、第1バスバー351aから第2バスバー351bに向かって延びている第1励振部311aと、第2バスバー351bから第1バスバー351aに向かって延びている第2励振部311bを有する。
【0027】
励振部311の長さは、例えば、互いに同等である。IDT電極35は、励振部311の長さが伝搬方向の位置に応じて変化する、いわゆるアポタイズが施されていてもよい。アポタイズにより、主共振として伝搬する弾性波をより支配的にすることができる。
【0028】
特に図示しないが、IDT電極35は、バスバー351から対向するバスバー351に向かって伸びるダミー電極指を有していてもよい。ダミー電極指は、励振部311と比較してD2軸において短くてもよい。IDT電極35は、励振部311の間の幅が変化したり、D1軸に対して傾斜したりしていてもよい。
【0029】
複数のストリップ電極31は、弾性波伝搬方向において、最も端面41側に位置する第1ストリップ電極315と、第1ストリップ電極315よりも前記端面から遠い第2ストリップ電極3117を有する。ここで、第2ストリップ電極3117は励振部311である。第2ストリップ電極3117は、弾性波装置1の主共振を励振する励振部311のいずれかであってもよい。
【0030】
弾性波装置1において、弾性波伝搬方向に切断した断面における励振部311の平均の厚みは、適宜調整されることで、弾性波をD1軸の正方向に伝搬することに寄与する。換言すれば、励振部311の平均の厚みは弾性波の伝搬のために平均の厚みを決定してもよい。本開示では、特に断りのない限り、「平均の厚み」という記載は、弾性波伝搬方向に切断した断面における厚みについて意味するものとする。また、本開示では、それぞれのストリップ電極31の平均の厚みは、弾性波装置1をD1軸に切断した断面において、ストリップ電極31の断面積をストリップ電極31の下辺で除することで求めてもよいし、その他種々の方法で求めてもよい。
【0031】
第1実施形態に係る弾性波装置1においては、第1ストリップ電極315の平均の厚みが、第2ストリップ電極3117の平均の厚みよりも小さい。その結果、励振部311である第2ストリップ電極3117と、第1ストリップ電極315で、伝搬する弾性波の振る舞いが変化する。第1ストリップ電極315の近傍でスプリアスとなる弾性波エネルギーの一部を下方に漏洩させることができる。また、弾性波装置1は端面41で反射された反射波を利用する。反射波の発生する端面41付近で、反射波のうち、スプリアスとなる弾性波エネルギーの一部を下方に漏洩させることで、弾性波装置1のスプリアスを低減できる。
【0032】
第1ストリップ電極315の平均の厚みは、特定の特性を調整するために適切な大きさしてもよい。上述の通り、第1ストリップ電極315は、平均の厚みが小さいことにより、下方にスプリアスとなる弾性波の一部を漏洩させ、弾性波装置1のスプリアスを低減することができる。一方で、第1ストリップ電極315は、主共振となる弾性波の一部を漏洩させ、弾性波装置1のロスを増加させる。例えば、第1ストリップ電極315の平均の厚みは、弾性波装置1のロスとスプリアスのバランスをとるように調整してもよい。例えば、ロス及びスプリアスが小さくなるように調整してもよい。
【0033】
励振部311であるストリップ電極31の過半数の平均の厚みが、第2ストリップ電極3117と同じである。弾性波装置1の主共振として励振される弾性波をより支配的にすることができる。本開示において、平均の厚みが「同じ」とは、弾性波装置1の特定の特性に大きな影響が出ない範囲での誤差を含んでもよい。本開示において、「励振部311であるストリップ電極31の過半数」とは、第2ストリップ電極3117を含めた励振部311であるストリップ電極31の過半数のことを言う。例えば、励振部311であるストリップ電極31の平均の厚みを求め、そのうち、第2ストリップ電極3117と同じ平均の厚みのストリップ電極31の本数を数えることによって求めてもよい。
【0034】
第1ストリップ電極315は一部の厚みを薄くしてもよい。例えば、第1ストリップ電極315が、
図3A~Cに示すような形状の場合、よりスプリアスを低減できる。この場合、例えば、ロスとスプリアスのバランスを調整することが容易になる。
【0035】
図3A~Cに示すように、第1ストリップ電極315は端面41側の一部を薄くしてもよい。換言すれば、第1ストリップ電極315は、第1部分315aと、弾性波伝搬方向に切断した断面において、第1部分315aよりも厚みが小さい第2部分315bと、を含み、弾性波伝搬方向において、第2部分315bは、第1部分315aよりも端面41側に位置する。
【0036】
図3Aに示すように、第1ストリップ電極315はD2軸の負方向に向かって階段状になっていてもよい。換言すれば、第1ストリップ電極315は、下面Rと、第1の上面T1と、弾性波伝搬方向において、第1の上面T1よりも端面41側に位置する第2の上面T2と、第1の上面T1と第2の上面T2を接続している蹴上げ面Kと、を有し、第1の上面T1が、第2の上面T2よりも上方に位置していてもよい。この場合、スプリアスとなる弾性波の一部が、下方側に位置する第2の上面T2を伝搬し、下方に漏洩しやすくなる。その結果、弾性波装置1のスプリアスをより低減できる。
【0037】
図3Bに示すように台形状になっており、上面が傾斜していてもよい。換言すれば、第1ストリップ電極315は、下面Rと、弾性波伝搬方向において、下面Rと接する側面のうち端面41側に位置する第1面Sと、第1面Sと接する上面Tと、を有し、上面Tは、下面Rに対して傾斜していてもよい。この場合、傾斜している上面Tに沿ってスプリアスとなる弾性波の一部を下方に漏洩させる。その結果、弾性波装置1のスプリアスをより低減できる。
【0038】
図3Cに示すように、端面41側の頂点部分が曲面状になっていてもよい。換言すれば、第1ストリップ電極315は、下面Rと、前記弾性波伝搬方向において、下面Rと接する側面のうち端面41側に位置する第1面Sと、第1面Sと接する上面Tと、第1面Sと上面Tを接続する第2面Uと、を有し、第2面Uが曲面状であってもよい。この場合、曲面である第2面Uに沿ってスプリアスとなる弾性波の一部を下方に漏洩させる。その結果、弾性波装置1のスプリアスを低減できる。
【0039】
図4Aに示すように、第1ストリップ電極315は、励振部311と電気的に接続していない浮電極313であってもよい。励振部311の弾性波の励振に、平均の厚みが小さい第1ストリップ電極315が与える影響を小さくできる。また、浮電極313によって、励振された弾性波及び/または反射波の音速の調整をすることができる。
【0040】
図4Bに示すように、電極層3は、反射器37を有していてもよい。この場合、第1ストリップ電極315は、反射器37の有するストリップ電極31のうち、弾性波伝搬方向において、最も端面41側に位置するストリップ電極31を言う。
【0041】
第1ストリップ電極315の側面と端面41は必ずしも連続している必要は無いが、
図1のように第1ストリップ電極315の側面が端面41と連続していてもよい。この場合、一工程のエッチングによって第1ストリップ電極315と端面41を形成することが出来る。
【0042】
第1ストリップ電極315のD1軸の幅を他のストリップ電極31と比較して変えてもよい。この場合、弾性波装置1のスプリアスを低減するように、反射波のモードを調整することができる。例えば、
図5に示すように、第1ストリップ電極315の弾性波伝搬方向における幅を第2ストリップ電極3117と比較して大きくしてもよい。この場合、後述の製造方法において、第2ストリップ電極3117がエッチングされる可能性を低減する。
【0043】
[第2実施形態]
本開示に係る第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と共通する部分の説明は省き、差異のある部分のみ、説明をする。
【0044】
(端面)
第2実施形態にかかる弾性波装置1は、
図2のように、端面41が傾斜している。換言すれば、圧電体21の上面の延長線と端面41の任意の点における接線が成す角度αが90°よりも小さい。端面41は、傾斜していることにより、下方にスプリアスとなる弾性波の一部を漏洩させ、弾性波装置1のスプリアスを低減することができる。
【0045】
本開示において、「接線」が成す角度を求める場合は、直線上の任意の点については、その直線を「接線」として求めるものとする。「端面の任意の点における接線」という記載は、当該端面が曲面または曲線であることを限定しない。
【0046】
角度αは特定の特性を調整するために適切な大きさとしてもよい。上述の通り、端面41は、傾斜していることにより、下方にスプリアスとなる弾性波の一部を漏洩させ、弾性波装置1のスプリアスを低減することができる。一方で、端面41は、主共振となる弾性波の一部を漏洩させ、弾性波装置1のロスを増加させる。例えば、角度αは、弾性波装置1のロスとスプリアスのバランスをとるように調整してもよい。例えば、ロス及びスプリアスが小さくなるように調整してもよい。第2実施形態に係る弾性波装置1は、スプリアスを低減する構造として第1ストリップ電極315及び端面41を有しているため、ロスとスプリアスのバランスを調整することが容易になる。
【0047】
また、端面41が傾斜している場合、IDT電極35から端面41までのD1軸の距離がD2軸の座標によって異なる。その結果、端面41による弾性波の反射によってスプリアスが発生しやすいため、端面41付近の弾性波エネルギーを漏洩させる第1ストリップ電極315によって、よりスプリアスを低減できる。例えば、角度αが82°よりも小さい場合、端面41付近で特にスプリアスが発生しやすいため、第1ストリップ電極315によって、スプリアスをより低減できる。
【0048】
[第3実施形態]
本開示に係る第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と共通する部分の説明は省き、差異のある部分のみ、説明をする。
【0049】
(端面)
図6のように、端面41は第1端面41aと第2端面41bを含む。第1端面41aは圧電体21の上面側に位置し、第2端面41bは圧電体21の下面側に位置する。
図6のように、第1端面41aは第2端面41bよりも急峻に傾斜している。換言すれば、圧電体21の上面の延長線と第1端面41aの任意の点における接線が成す角度αが、圧電体21の上面の延長線と第2端面41bの任意の点における接線が成す角度βよりも大きい。
【0050】
第2実施形態に係る弾性波装置1は、主共振となる弾性波が伝搬する圧電体21の上面側が急峻となり、第1端面41aによって利用したい弾性波をより反射し、損失の低減に寄与する。
【0051】
また、端面41が傾斜角の異なる第1端面41aと第2端面41bを有するため、それぞれの傾斜角を調整することで端面41による特定の特性の調整が容易になる。例えば、ロスとスプリアスのバランスをとることが容易になる。
【0052】
[製造方法]
本開示に係る弾性波装置1の製造方法について説明する。
図7は製造工程を示しており、A、B、C、Dの順に工程が進む。
【0053】
弾性波装置1は、基板2、電極層3の順に積層して製造する。その後、基板2の上方に複数のストリップ電極31を形成する。
【0054】
弾性波装置1は、
図7Aのようにストリップ電極31の上方にマスク5を形成し、エッチングする。エッチングによって、圧電体21に端面41を形成することができる。
【0055】
弾性波装置1は、
図7Aのようにストリップ電極31の上方にマスク5を形成し、エッチングする。エッチングによって、ストリップ電極31を薄くし、第1ストリップ電極315を形成することができる。
【0056】
端面41と第1ストリップ電極315は、複数回のエッチングによって別々に形成してもよいし、ともに1回のエッチングによって同時または連続的に形成してもよい。
【0057】
端面41と第1ストリップ電極315をともにエッチングによって形成した場合、マスク5の材料並びに厚み、ドライエッチングにおけるプラズマ生成の条件または種々の条件を適宜調整することで、端面41の形成時に、
図7Bのようにマスク5がエッチングによってD1軸の正方向から負方向に向かって徐々に後退し、第1ストリップ電極315の端面41側が露出する。自然と、端面41側から露出するため、第1ストリップ電極315のみ平均の厚みが小さくなるようにマスク5を形成できる。例えば、第2部分315bが第1部分315aよりも弾性波伝搬方向に位置するように、マスク5が形成できる。
【0058】
端面41と第1ストリップ電極315を別々にエッチングする場合と比較して、マスク5を正確に形成する困難性を回避し、弾性波装置1の製造が容易になる。後退したマスク5によって、
図7Cのように、第1ストリップ電極315が形成される。最後に
図7Dのようにマスク5を除去することで、弾性波装置1を製造できる。
【0059】
端面41と第1ストリップ電極315をともにエッチングする場合には、第1ストリップ電極315の上方に位置するマスク5の一部を除去した後、エッチングしてもよい。第1ストリップ電極315の一部が露出しやすくなる。
【0060】
また、第1ストリップ電極315の一部が露出後は、
図7Bのように、第1ストリップ電極315が金属のマスクとなる。金属のマスクは樹脂のマスクと比較して、エッチングされにくいため、端面41を急峻に形成することができる。換言すれば、第1ストリップ電極315の一部が露出後に形成された第1端面41aは、露出前に形成された第2端面41bよりも急峻になる。第3実施形態に係る弾性波装置1を製造することができる。例えば、主成分としてTiを含む電極層3を用いた場合、LTとTiのエッチング選択比は、LTとAlのエッチング選択比よりも高いため、金属のマスクとして機能しやすい。その結果、第1端面41aをより急峻にすることができる。
【0061】
エッチングはドライエッチングによって行われてもよい。
【0062】
マスク5としては、例えば、i線用のレジストを用いてもよい。ポジレジスト型のレジストを用いてもよい。ノボラック樹脂を用いてもよい。
【0063】
〔第1利用例:分波器〕
図8は、弾性波装置1の利用例としての分波器8の構成を模式的に示す回路図である。
【0064】
分波器8は、例えば、送信端子81からの送信信号をフィルタリングしてアンテナ端子82へ出力する送信フィルタ83と、アンテナ端子82からの受信信号をフィルタリングして1対の受信端子84に出力する受信フィルタ85とを有している。
【0065】
送信フィルタ83は、例えば、複数の弾性波装置1がラダー型フィルタによって構成されている。すなわち、送信フィルタ83は、送信端子81とアンテナ端子82との間に直列に接続された複数(1つでも可)の弾性波装置1と、その直列ライン(直列腕)と基準電位とを接続する複数(1つでも可)の弾性波装置1(並列腕)とを有している。
【0066】
受信フィルタ85は、例えば、弾性波装置1と、多重モード型フィルタ(ダブルモード型フィルタを含むものとする)87と、を含んで構成されている。多重モード型フィルタ87は、複数のストリップ電極31の配列方向に配列された複数(図示の例では3つ)のIDT電極35を有している。
【0067】
分波器8として、送信フィルタ83と受信フィルタ85とを備える場合について説明したが、これに限定されない。分波器8は、例えばダイプレクサでもよいし、3以上のフィルタを含んだマルチプレクサであってもよい。
【0068】
〔第2利用例:通信装置〕
図9は、分波器8の利用例としての通信装置9の要部を示すブロック図である。通信装置9は、電波を利用した無線通信を行うものであり、分波器8を含んでいる。
【0069】
通信装置9において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF-IC(Radio Frequency Integrated Circuit)91によって変調及び周波数の引き上げ(搬送波周波数の高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ92aによって送信用の通過帯域以外の不要成分が除去され、増幅器93aによって増幅されて分波器8(送信端子81)に入力される。そして、分波器8(送信フィルタ83)は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯域以外の不要成分を除去し、その除去後の送信信号TSをアンテナ端子82かアンテナ95に出力する。アンテナ95は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
【0070】
また、通信装置9において、アンテナ95によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ95によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器8(アンテナ端子82)に入力される。分波器8(受信フィルタ85)は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去して受信端子84から増幅器93bによって増幅され、バンドパスフィルタ92bによって受信用の通過帯以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF-IC91によって周波数の引き下げ及び復調がなされて受信情報信号RISとされる。
【0071】
送信情報信号TIS及び受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯(例えば5GHz以上)も可能である。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。回路方式は、
図9ではダイレクトコンバージョン方式を例示したが、それ以外の適宜なものとされてよく、例えば、ダブルスーパーヘテロダイン方式であってもよい。また、
図9は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタ又はアイソレータ等が追加されてよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
【0072】
(まとめ)
(1)本開示の第1の態様に係る弾性波装置は、端面を含み、圧電体を有する基板と、基板の上方に位置し、それぞれが平行に延びた複数のストリップ電極と、を有する。複数のストリップ電極のうち、少なくとも一部の前記ストリップ電極は、弾性波を励振可能である励振部である。端面は、上方からの平面視で、ストリップ電極の延びる方向と平行であり、励振部に対して弾性波伝搬方向に位置する。複数のストリップ電極は、弾性波伝搬方向において、最も端面側に位置する第1ストリップ電極と、弾性波伝搬方向において、前記第1ストリップ電極よりも前記端面から遠い第2ストリップ電極と、を含む。第2ストリップ電極は励振部である。弾性波伝搬方向に切断した断面において、第1ストリップ電極の平均の厚みが、第2ストリップ電極の平均の厚みよりも小さい。
【0073】
(2)本開示の第2の態様に係る弾性波装置は、上記第1の態様において、第1ストリップ電極は、第1部分と、弾性波伝搬方向に切断した断面において、第1部分よりも厚みが小さい第2部分と、を含む。弾性波伝搬方向において、第2部分は、第1部分よりも端面側に位置する。
【0074】
(3)本開示の第3の態様に係る弾性波装置は、上記第1または2の態様において、第1ストリップ電極は、下面と、第1の上面と、弾性波伝搬方向において、第1の上面よりも端面側に位置する第2の上面と、第1の上面と前記第2の上面を接続している蹴上げ面と、を有し、第1の上面が、第2の上面よりも上方に位置する。
【0075】
(4)本開示の第4の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至3の態様において、第1ストリップ電極は、下面と、弾性波伝搬方向において、下面と接する側面のうち端面側に位置する第1面と、第1面と接する上面と、を有する。上面は、下面に対して下方に向かって傾斜している。
【0076】
(5)本開示の第5の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至4の態様において、第1ストリップ電極は、下面と、弾性波伝搬方向において、下面と接する側面のうち端面側に位置する第1面と、第1面と接する上面と、第1面と上面を接続する第2面と、を有する。第2面が曲面状である。
【0077】
(6)本開示の第6の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至5の態様において、励振部であるストリップ電極の過半数の平均の厚みが、第2ストリップ電極と同じである。
【0078】
(7)本開示の第7の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至6の態様において、弾性波伝搬方向に切断した断面において、圧電体の上面の延長線と端面の任意の点における接線が成す角度αが90°よりも小さい。
【0079】
(8)本開示の第8の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至7の態様において、角度αが82°よりも小さい。
【0080】
(9)本開示の第9の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至8の態様において、端面は、圧電体の上面側に位置する第1端面と、圧電体の下面側に位置する第2端面と、を有する。弾性波伝搬方向に切断した断面において、圧電体の上面の延長線と第1端面の任意の点における接線が成す角度が、圧電体の上面の延長線と第2端面の任意の点における接線が成す角度よりも大きい。
【0081】
(10)本開示の第10の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至9の態様において、第1ストリップ電極が、励振部である。
【0082】
(11)本開示の第11の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至10の態様において、第1ストリップ電極が、励振部と電気的に接続していない浮電極である。
【0083】
(12)本開示の第12の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至11の態様において、第1ストリップ電極は、第2ストリップ電極よりも弾性波伝搬方向における幅が大きい。
【0084】
(13)本開示の第13の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至12の態様において、第1ストリップ電極は、主成分としてAlを含む。
【0085】
(14)本開示の第14の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至13の態様において、基板は上面に溝部を有し、端面は、溝部の側面である。
【0086】
(15)本開示の第15の態様に係る弾性波装置は、上記第1乃至14の態様において、基板は、支持基板と、支持基板と圧電体の間に位置する第1層と、を有する。
【0087】
(16)本開示の第16の態様に係る、上記第1乃至15の態様の弾性波装置の製造方法は、基板の上方に複数のストリップ電極を形成する第1の工程を有する。第1の工程の後、ストリップ電極の上方にマスクを形成する第2の工程を有する。第2の工程の後、エッチングによって、基板に端面を形成するとともに、エッチングによって、複数のストリップ電極のうち、弾性波伝搬方向において、最も端面側に位置する第1ストリップ電極の一部を除去する第3の工程と、を有する。
【0088】
(17)本開示の第17の態様に係る弾性波装置の製造方法は、上記第16の態様において、第1ストリップ電極の上方に位置するマスクの一部を除去した後、第2の工程を行う。
【0089】
(18)本開示の第18の態様に係る弾性波装置の製造方法は、上記第17の態様において、第3の工程は、マスクが、弾性波伝搬方向の反対方向に向かって、徐々に後退する。
【0090】
(19)本開示の第19の態様に係る分波器は、アンテナ端子と、送信信号をフィルタリングしてアンテナ端子に出力するように構成された送信フィルタと、アンテナ端子からの受信信号をフィルタリングするように構成された受信フィルタと、を有する。送信フィルタおよび受信フィルタの少なくとも一方が上記第1乃至15の態様の弾性波装置を含む。
【0091】
(20)本開示の第20の態様に係る通信装置は、アンテナと、アンテナにアンテナ端子が接続された上記第19の態様の分波器と、送信フィルタおよび受信フィルタに接続されたICと、を有する。
【符号の説明】
【0092】
1:弾性波装置
2:基板
21:圧電体
22:第1層
23:支持基板
3:電極層
31:ストリップ電極
311:励振部
311a:第1励振部
311b:第2励振部
3117:第2ストリップ電極
313:浮電極
315:第1ストリップ電極
35:IDT電極
351:バスバー
351a:第1バスバー
351b:第2バスバー
37:反射器
4:溝部
41:端面
41a:第1端面
41b:第2端面
5:マスク
8:分波器
9:通信装置
【要約】
【課題】弾性波装置のスプリアス低減が求められている。
【解決手段】弾性波装置は、端面を含み、圧電体を有する基板と、前記基板の上方に位置し、それぞれが平行に延びた複数のストリップ電極と、を有し、前記複数のストリップ電極のうち、少なくとも一部の前記ストリップ電極は、弾性波を励振可能である励振部であり、前記端面は、上方からの平面視で、前記ストリップ電極の延びる方向と平行であり、前記励振部に対して弾性波伝搬方向に位置し、前記複数のストリップ電極は、前記弾性波伝搬方向において、最も前記端面側に位置する第1ストリップ電極と、前記弾性波伝搬方向において、前記第1ストリップ電極よりも前記端面から遠く、前記励振部である第2ストリップ電極と、を含み、前記弾性波伝搬方向に切断した断面において、前記第1ストリップ電極の平均の厚みが、前記第2ストリップ電極の平均の厚みよりも小さく、前記基板は上面に溝部を有し、前記端面は、前記溝部の側面の一部である。
【選択図】
図2