IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】多層基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20250516BHJP
   H01P 1/207 20060101ALI20250516BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H01P1/207 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2025501249
(86)(22)【出願日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2023025214
【審査請求日】2025-01-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 勇太
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-210061(JP,A)
【文献】特表2005-527963(JP,A)
【文献】特開2007-243697(JP,A)
【文献】特表2016-538148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 3/46
H01L 21/00 - 25/18
H01P 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂又はセラミックスで形成される基板本体と、
前記基板本体の内部に設けられる中空部と、
前記中空部の内部に設けられ、導体又は磁性体で形成される可動部と、
前記基板本体における前記中空部の周囲に設けられるコイルと
前記可動部の下面に設けられ、導電性材料から形成される突起部と、
前記基板本体に設けられる導波管と、
前記導波管の途中部分に設けられ、前記突起部が出し入れされる空洞共振器とを備える
ことを特徴とする多層基板。
【請求項2】
樹脂又はセラミックスで形成される基板本体と、
前記基板本体の内部に設けられる中空部と、
前記中空部の内部に設けられ、導体又は磁性体で形成される可動部と、
前記中空部の底面を形成し、前記可動部と接触する一対のスイッチ導体パターンと、
前記基板本体における前記中空部の天面及び底面を取り囲むように設けられるコイルと、
前記基板本体における前記中空部の上方及び下方のうちの少なくともいずれか一方に設けられるストリップ線路用パターンとを備える
ことを特徴とする多層基板。
【請求項3】
前記基板本体における前記コイルの内側に設けられる磁性体を備える
ことを特徴とする請求項2記載の多層基板。
【請求項4】
前記可動部の側面に設けられる誘電体を備える
ことを特徴とする請求項2記載の多層基板。
【請求項5】
前記基板本体における前記中空部の天面及び底面を取り囲むように設けられる信号用コイルを備える
ことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の多層基板。
【請求項6】
樹脂又はセラミックスで形成される基板本体と、
前記基板本体の内部に設けられる中空部と、
前記中空部の内部に設けられ、導体又は磁性体で形成される可動部と、
前記中空部の底面を形成し、前記可動部と接触する一対のスイッチ導体パターンと、
前記基板本体における前記中空部の天面及び底面を取り囲むように設けられるコイルと、
前記可動部の側面に設けられ、導電性材料から形成される突起部と、
前記基板本体に設けられる導波管と、
前記導波管の途中部分に設けられ、前記突起部が出し入れされる空洞共振器とを備える
ことを特徴とする多層基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可動部を内蔵する多層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多層基板を中空構造とし、その中空部内に電子部品を実装する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-179573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された多層基板は、中空部内に電子部品を実装するものであり、その電子部品を中空部内において移動させるものではない。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、可動部を中空部の内部において移動させることができる多層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る多層基板は、樹脂又はセラミックスで形成される基板本体と、基板本体の内部に設けられる中空部と、中空部の内部に設けられ、導体又は磁性体で形成される可動部と、基板本体における中空部の周囲に設けられるコイルと、可動部の下面に設けられ、導電性材料から形成される突起部と、基板本体に設けられる導波管と、導波管の途中部分に設けられ、突起部が出し入れされる空洞共振器とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、可動部を中空部の内部において移動させることができる。このとき、本開示は、半導体製造技術及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いることなく、中空部を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る多層基板の縦断面図である。図1Aは、磁石が中空部の下方に移動した状態(非導通状態)を示す図である。図1Bは、磁石が中空部の上方に移動した状態(導通状態)を示す図である。
図2】実施の形態1に係る多層基板の横断面図である。図2Aは、図1AのA-A矢視断面図である。図2Bは、図1AのB-B矢視断面図である。図2Cは、図1AのC-C矢視断面図である。
図3】実施の形態1に係る多層基板の変形例1の構成を示す図である。図3Aは、変形例1の縦断面図である。図3Bは、図3のD-D矢視断面図である。
図4】実施の形態1に係る多層基板の変形例2,3の構成を示す図である。図4Aは、変形例2の縦断面図である。図4Bは、変形例3の縦断面図である。
図5】実施の形態1に係る多層基板の変形例4,5の構成を示す図である。図5Aは、変形例4の縦断面図である。図5Bは、変形例5の縦断面図である。
図6】実施の形態1に係る多層基板の変形例6の縦断面図である。
図7】実施の形態2に係る多層基板の縦断面図である。図7Aは、磁石が中空部の上方に移動した状態を示す図である。図7Bは、磁石が中空部の下方に移動した状態を示す図である。
図8】実施の形態2に係る多層基板の変形例1,2の構成を示す図である。図8Aは、変形例1の縦断面図である。図8Bは、変形例2の縦断面図である。
図9】実施の形態2に係る多層基板の変形例3,4の構成を示す図である。図9Aは、変形例3の縦断面図である。図9Bは、変形例4の縦断面図である。
図10】実施の形態3に係る多層基板の縦断面図である。
図11】実施の形態3に係る多層基板の横断面図である。図11Aは、図10のE-E矢視断面図である。図11Bは、図10のF-F矢視断面図である。図11Cは、図10のG-G矢視断面図である。
図12】実施の形態3に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。
図13】実施の形態3に係る多層基板の変形例1の横断面図である。図13Aは、図12のH-H矢視断面図である。図13Bは、図12のI-I矢視断面図である。図13Cは、図12のJ-J矢視断面図である。
図14】実施の形態3に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。
図15】実施の形態4に係る多層基板の縦断面図である。
図16】実施の形態4に係る多層基板の変形例1,2の構成を示す図である。図16Aは、変形例1の縦断面図である。図16Bは、変形例2の縦断面図である。
図17】実施の形態4に係る多層基板の変形例3の構成を示す図である。図17Aは、変形例3の縦断面図である。図17Bは、図17AのK-K矢視断面図である。図17Cは、図17AのL-L矢視断面図である。
図18】実施の形態5に係る多層基板の縦断面図である。図18Aは、磁石の非導通状態を示す図である。図18Bは、磁石の導通状態を示す図である。
図19】実施の形態5に係る多層基板の横断面図である。図19Aは、図18AのM-M矢視断面図である。図19Bは、図18AのN-N矢視断面図である。図19Cは、図18AのO-O矢視断面図である。図19Dは、図18AのP-P矢視断面図である。
図20】実施の形態5に係る多層基板の変形例1-4の縦断面図である。
図21】実施の形態6に係る多層基板の縦断面図である。
図22】実施の形態7に係る多層基板の縦断面図である。
図23】実施の形態7に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。
図24】実施の形態7に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。
図25】実施の形態8に係る多層基板において、磁石が中空部の右側に移動したときの図である。図25Aは、実施の形態8に係る多層基板の縦断面図である。図25Bは、図25AのQ-Q矢視断面図である。
図26】実施の形態8に係る多層基板において、磁石が中空部の左側に移動したときの図である。図26Aは、実施の形態8に係る多層基板の縦断面図である。図26Bは、図26AのR-R矢視断面図である。
図27】実施の形態9に係る多層基板において、磁石が中空部を右側に移動したときの図である。図27Aは、実施の形態9に係る多層基板の縦断面図である。図27Bは、図27AのS-S矢視断面図である。
図28】実施の形態9に係る多層基板において、磁石が中空部を左側に移動したときの図である。図28Aは、実施の形態8に係る多層基板の縦断面図である。図28Bは、図28AのT-T矢視断面図である。
図29】実施の形態10に係る多層基板の縦断面図である。
図30】実施の形態11に係る多層基板の構成を示す図である。図30Aは、実施の形態11に係る多層基板の縦断面図である。図30Bは、図30AのU-U矢視断面図である。
図31】実施の形態12に係る多層基板の構成を示す図である。図31Aは、実施の形態12に係る多層基板の縦断面図である。図31Bは、図31AのV-V矢視断面図である。図31Cは、図31AのW-W矢視断面図である。
図32】実施の形態12に係る多層基板の変形例1の構成を示す図である。図32Aは、変形例1の縦断面図である。図32Bは、図32AのX-X矢視断面図である。図32Cは、図32AのY-Y矢視断面図である。
図33】実施の形態12に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。
図34】実施の形態13に係る多層基板の縦断面図である。
図35】実施の形態14に係る多層基板の構成を示す図である。図35Aは、実施の形態14に係る多層基板の縦断面図である。図35Bは、図35AのZ-Z矢視断面図である。図35Cは、突起部が下方に向けて移動したときの図である。
図36】実施の形態14に係る多層基板の変形例を示す図である。図36Aは、実施の形態14に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。図36Bは、実施の形態14に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。図36Cは、実施の形態14に係る多層基板の変形例3の縦断面図である。
図37】実施の形態15に係る多層基板の構成を示す図である。図37Aは、実施の形態15に係る多層基板の縦断面図である。図37Bは、図37AのA1-A1矢視断面図である。図37Cは、突起部が右側に向けて移動したときの図である。
図38】実施の形態15に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。
図39】実施の形態16に係る多層基板の縦断面図である。
図40】実施の形態17に係る多層基板の構成を示す図である。図40Aは、実施の形態17に係る多層基板の縦断面図である。図40Bは、図40AのB1-B1矢視断面図である。
図41】実施の形態18に係る多層基板の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。なお、先の実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係る多層基板について、図1から図6を用いて説明する。
【0011】
図1は、実施の形態1に係る多層基板の縦断面図である。図2は、実施の形態1に係る多層基板の横断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、実施の形態1に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、可動部となる磁石13、第1スイッチ導体パターン14、第2スイッチ導体パターン15、コイル16を備えている。なお、多層基板の厚さ方向と、多層基板の上下方向とは、同じ方向である。
【0013】
基板本体11は、例えば、樹脂又はセラミックスで形成されている。即ち、実施の形態1に係る多層基板は、樹脂製の多層基板又はセラミックス製の多層基板である。そして、基板本体11の内部には、中空部12が形成されている。この中空部12の縦、横、高さ(厚さ)は、数十μm~数十mmの寸法でそれぞれ形成されている。
【0014】
磁石13は、中空部12の内部において、上下方向に移動可能に設けられている。ここで、磁性体となる磁石13の上半分の磁極は、S極であり、当該磁石13の下半分の磁極は、N極となっている。また、磁石13の表面全域には、導体によるめっきが施されている。この導体でめっきした部分は、以下、導体めっき13aと称す。なお、磁石13は、例えば、フェライト磁石、サマコバ磁石、及び、ネオジム磁石等である。導体層となる導体めっき13aは、例えば、ニッケル金めっきである。この導体めっき13aは、磁石13が良導体の磁石である場合、無くても良い。
【0015】
一対の第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15は、中空部12の天面における左側及び右側にそれぞれ設けられている。左側に配置される第1スイッチ導体パターン14と、右側に配置される第2スイッチ導体パターン15とは、基板本体11の厚さ方向において、互いに重なり合っていない。第1スイッチ導体パターン14と第2スイッチ導体パターン15とは、基板本体11の幅方向において、所定量の隙間を有して配置されている。第1スイッチ導体パターン14の幅狭部分は、基板本体11の左側内部に設けられている。また、その幅広部分は、中空部12の内部に露出しており、磁石13の上面と対向している。一方、第2スイッチ導体パターン15の幅狭基板は、基板本体11の右側内部に設けられている。また、その幅広部分は、中空部12の内部に露出しており、磁石13の上面と対向している。
【0016】
コイル16は、基板本体11における第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15の上部に設けられている。このコイル16は、可動部となる磁石13を動かすための磁界を発生するものである。また、コイル16は、下層コイル導体パターン16a、上層コイル導体パターン16b、及び、ビア16cを有している。
【0017】
下層コイル導体パターン16a及び上層コイル導体パターン16bは、コイル状に形成されている。下層コイル導体パターン16aは、上層コイル導体パターン16bよりも下方に配置されている。下層コイル導体パターン16aの巻き方向と上層コイル導体パターン16bの巻き方向とは、互いに逆向きとなっている。ビア16cは、コイル16の中心軸を形成するものである。このビア16cは、下層コイル導体パターン16aの中心端と、上層コイル導体パターン16bの中心端との間を、接続するものである。
【0018】
従って、下層コイル導体パターン16aの外端と、上層コイル導体パターン16bの外端との間に、電圧を印加すると、当該下層コイル導体パターン16a、上層コイル導体パターン16b、及び、ビア16cに電流が流れる。このため、コイル16の厚さ方向に、磁極が形成される。このとき、コイル16に流れる電流の向きを変えることで、コイル16に形成される磁極が、切り替わる。
【0019】
図1Aに示すように、磁石13が中空部12の底面に配置される状態で、コイル16の下側にN極が形成される一方、コイル16の上側にSが形成されるように、当該コイル16に電流を流すと、磁石13のS極は、コイル16に形成されるN極に引き寄せられる。このため、図1Bに示すように、磁石13は、中空部12の底面から浮き上がり、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15に接触する。このとき、磁石13の表面には、導体めっき13aが施されているため、第1スイッチ導体パターン14と第2スイッチ導体パターン15とは、導通する。即ち、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15は、スイッチがON状態となる。
【0020】
また、上述した図1Bの状態から、コイル16に流れる電流の向きを変えることで、コイル16の下側にS極が形成される一方、コイル16の上側にNが形成される。このため、磁石13のS極と、コイル16に形成されるS極とは、互いに反発し合う。この結果、図1Aに示すように、磁石13は、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15から離れて落下し、中空部12の底面に着座する。よって、第1スイッチ導体パターン14と第2スイッチ導体パターン15とは、非導通となる。即ち、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15は、スイッチがOFF状態となる。
【0021】
よって、実施の形態1に係る多層基板は、一辺が数十μm~数十mmで形成される中空部12の内部において、可動部となる磁石13をその中空部12の上下方向に移動させることができる。このような、中空部12及び磁石13は、半導体製造技術及びMEMS技術を用いても、製造が困難である。また、実施の形態1に係る多層基板は、中空部12に周囲に、複雑な立体構造をしたコイル16を、容易に形成することができる。これに対して、コイル16は、半導体製造技術及びMEMS技術を用いても、製造が困難である。
【0022】
次に、実施の形態1に係る多層基板の変形例について、図3から図6を用いて説明する。
【0023】
図3は、実施の形態1に係る多層基板の変形例1の構成を示す図である。この図3に示すように、実施の形態1に係る多層基板は、2層のコイル16に替えて、1層のコイル17を備えても良い。コイル17は、コイル導体パターン17a、引き出し導体パターン17b、及び、ビア17cを有している。コイル導体パターン17aは、中空部12の上方に設けられている。引き出し導体パターン17bは、基板本体11の中心部から側部に向けて一直線状に形成されている。引き出し導体パターン17bの一端は、基板本体11の中心部に配置されている。引き出し導体パターン17bの他端は、基板本体11の側面から露出している。ビア17cは、コイル17の中心軸である。このビア17cは、コイル導体パターン17aの中心端と引き出し導体パターン17bの一端との間を、接続している。
【0024】
図4は、実施の形態1に係る多層基板の変形例2,3の構成を示す図である。図4Aに示すように、実施の形態1に係る多層基板は、2層のコイル16に替えて、3層のコイル18を備えても良い。また、図4Bに示すように、実施の形態1に係る多層基板は、2層のコイル16に替えて、9層のコイル19を備えても良い。但し、引き出し導体パターン17bが、磁力を増やす効果が乏しい場合、当該引き出し導体パターン17bは、偶数層のコイルの方が奇数層のコイルよりも基板面積を活用できるため、当該偶数層のコイルに適用することが好適である。
【0025】
図5は、実施の形態1に係る多層基板の変形例4,5の構成を示す図である。図5Aに示すように、実施の形態1に係る多層基板は、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15を、中空部12の底面における左側及び右側にそれぞれ設けても良い。また、図5Bに示すように、実施の形態1に係る多層基板は、第3スイッチ導体パターン20及び第4スイッチ導体パターン21を、中空部12の底面における左側及び右側にそれぞれ設けても良い。この場合、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15の組みと、第3スイッチ導体パターン20及び第4スイッチ導体パターン21の組みとのうち、一方の組みをスイッチON状態で使用し、他方の組みをスイッチOFF状態で使用すれば良い。
【0026】
図6は、実施の形態1に係る多層基板の変形例6の縦断面図である。この図6に示すように、実施の形態1に係る多層基板は、中空部12の上方に、コイル(上側コイル)16を設けるだけでなく、中空部12の下方に、更に、コイル(下側コイル)16を設けても良い。
【0027】
なお、中空部12の表面に潤滑材を塗布しても構わない。この場合、実施の形態1に係る多層基板は、磁石13の移動時に発生する摩擦力及び摩耗を抑えることができる。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態2に係る多層基板について、図7から図9を用いて説明する。
【0029】
図7は、実施の形態2に係る多層基板の縦断面図である。この図7に示すように、実施の形態2に係る多層基板は、図1に示す実施の形態1に係る多層基板の構成に加えて、上側ヨーク22及び下側ヨーク23を備えたものである。
【0030】
上側ヨーク22は、基板本体11の上面に設けられている。下側ヨーク23は、基板本体11の下面に設けられている。上側ヨーク22及び下側ヨーク23は、例えば、SUS430等の軟磁性体である。軟磁性体とは、磁場の影響下では強く磁化され、磁場が存在しない場合には磁力を持たないものであり、磁場を集める役割を有するものである。
【0031】
上側ヨーク22及び下側ヨーク23は、磁石13とコイル16との間で発生する吸引力が、磁石13とヨーク22,23との間で発生する吸引力よりも大きくなるように、設計されている。磁石13とヨーク22,23との間で発生する吸引力が、磁石13とコイル16との間で発生する吸引力よりも大きくなる場合には、ヨーク22,23の厚さ及び基板本体11との接触面積を小さくする、又は、ヨーク22,23のコイル16からの距離を長くすれば良い。
【0032】
図7は、コイル16から遠く配置された下側ヨーク23における基板本体11との接触面積が、コイル16に近く配置された上側ヨーク22における基板本体11との接触面積よりも小さくなる例である。磁石13が中空部12の底面に配置される場合、当該磁石13は、コイル16から遠い分、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力が小さくなるからである。
【0033】
また、磁石13が上側ヨーク22に最も近づいた位置での当該磁石13と上側ヨーク22との間で発生する吸引力は、その位置での磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力よりも大きくする。一方、磁石13が下側ヨーク23に最も近づいた位置での当該磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力は、その位置での磁石13と上側ヨーク22との間で発生する吸引力よりも大きくする。
【0034】
更に、磁石13が上側ヨーク22に最も近づいた位置での当該磁石13と上側ヨーク22との間で発生する吸引力と、磁石13が下側ヨーク23に最も近づいた位置での当該磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力とは、磁石13に働く重力よりも大きくする。
【0035】
従って、図7Aに示すように、磁石13は、当該磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力によって、中空部12の底面に配置される。そして、磁石13とコイル16との間で発生する吸引力が、磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力よいも大きくなるように、コイル16に電流を流す。このため、図7Bに示すように、磁石13は、中空部12の底面から浮き上がり、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15に接触する。この結果、第1スイッチ導体パターン14と第2スイッチ導体パターン15とは、導通する。
【0036】
このとき、磁石13は、コイル16に流す電流が止められても、当該磁石13と上側ヨーク22との間で発生する吸引力によって、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15との間の接触が保持される。このため、スイッチがON状態で維持される。
【0037】
よって、実施の形態2に係る多層基板は、コイル16に電流を流さなくても、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15に対して、磁石13を接触し続けることができる。このため、実施の形態2に係る多層基板は、消費電力及び発熱量を抑えることができる。
【0038】
次に、実施の形態2に係る多層基板の変形例について、図8及び図9を用いて説明する。
【0039】
図8は、実施の形態2に係る多層基板の変形例1,2の構成を示す図である。図8Aに示しように、実施の形態2に係る多層基板は、上側ヨーク22及び下側ヨーク23を、基板本体11の内部に埋め込んでも良い。また、図8Bに示すように、実施の形態2に係る多層基板は、上側ヨークパターン24及び下側ヨークパターン25を、基板本体11の内部に埋め込んでも良い。上側ヨークパターン24及び下側ヨークパターン25は、例えば、軟磁性体となるSUS430から形成したステンレス箔を、ステンレスエッチング技術を用いて、基板本体11に設けられたものである。
【0040】
図9は、実施の形態2に係る多層基板の変形例3,4の構成を示す図である。図9Aに示すように、実施の形態2に係る多層基板は、下側ヨーク23に対して、厚さ方向に貫通孔となる調整孔23aを設けることで、磁石13と下側ヨーク23との間で発生する吸引力の大きさを調整しても良い。また、図9Bに示すように、実施の形態2に係る多層基板は、上側ヨーク22及び下側ヨーク23のうち、いずれか一方のヨークを備えても良い。この場合、磁石13を保持する時間が長い側のヨークを設けることが好適である。
【0041】
実施の形態3.
実施の形態3に係る多層基板について、図10から図14を用いて説明する。
【0042】
図10は、実施の形態3に係る多層基板の縦断面図である。図11は、実施の形態3に係る多層基板の横断面図である。なお、図11においては、磁石13が省略されている。図10及び図11に示すように、実施の形態3に係る多層基板は、図1に示す実施の形態1に係る多層基板のコイル16に替えて、3層のコイル26を備えたものである。
【0043】
コイル26は、中空部12の側面の周囲を取り囲むように設けられている。このコイル26は、下層コイル導体パターン26a、中層コイル導体パターン26b、上層コイル導体パターン26c、及び、ビア26d,26eを有している。下層コイル導体パターン26a、中層コイル導体パターン26b、及び、上層コイル導体パターン26cは、下方から上方に向けて、順に配置されている。また、これらは、1巻きのコイル状に形成されている。
【0044】
下層コイル導体パターン26aの一端は、基板本体11の側面から露出している。下層コイル導体パターン26aの他端と、中層コイル導体パターン26bの一端とは、ビア26dによって接続されている。中層コイル導体パターン26bの他端と、上層コイル導体パターン26cの一端とは、ビア26eによって接続されている。上層コイル導体パターン26cの他端は、基板本体11の側面から露出している。
【0045】
従って、下層コイル導体パターン26aの一端と、上層コイル導体パターン26cの他端との間に、電圧を印加すると、下層コイル導体パターン26a、中層コイル導体パターン26b、上層コイル導体パターン26c、及び、ビア26d,26eに電流が流れる。このため、コイル26の厚さ方向に、磁極が形成される。このとき、コイル26に流れる電流の向きを変えることで、コイル26に形成される磁極が、切り替わる。
【0046】
よって、実施の形態3に係る多層基板は、コイル26を中空部12の側面の周囲を取り囲むように設けることで、コイル26の巻き数を少ない巻き数で、磁石13とコイル26との間で発生する吸引力を得ることができる。
【0047】
次に、実施の形態3に係る多層基板の変形例について、図12から図14を用いて説明する。
【0048】
図12は、実施の形態3に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。図13は、実施の形態3に係る多層基板の変形例1の横断面図である。なお、図13においては、磁石13が省略されている。図12及び図13に示すように、実施の形態3に係る多層基板は、3層のコイル26に替えて、3層のコイル27を備えるものである。コイル27は、下層コイル導体パターン27a、中層コイル導体パターン27b、上層コイル導体パターン27c、及び、ビアを有している。これらは、2巻きのコイル状に形成されている。
【0049】
図14は、実施の形態3に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。この図14に示すように、実施の形態3に係る多層基板は、実施の形態1に係る多層基板における下側コイルを構成するコイル16が追加されたものである。
【0050】
実施の形態4.
実施の形態4に係る多層基板について、図15から図17を用いて説明する。
【0051】
図15は、実施の形態4に係る多層基板の縦断面図である。この図15に示すように、実施の形態4に係る多層基板は、図6に示す実施の形態1に係る多層基板の変形例6の磁石13に替えて、可動部となるヨーク31を備えるものである。ヨーク31は、中空部12の内部に設けられている。また、ヨーク31の表面全域には、導体によるめっきが施されている。この導体でめっきした部分は、以下、導体めっき31aと称す。
【0052】
図15に示すように、ヨーク31が中空部12の底面に配置される場合、上側のコイル16に電流を流す一方、下側のコイル16には電流を流さない。ヨーク31は、中空部12の底面から浮き上がり、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15に接触する。このとき、ヨーク31の表面には、導体めっき31aが施されているため、第1スイッチ導体パターン14と第2スイッチ導体パターン15とは、導通する。即ち、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15は、スイッチがON状態となる。
【0053】
よって、実施の形態4に係る多層基板は、可動部として、ヨーク31を備えるため、磁石13に比べて、割れ難く、且つ、小型化を図ることができる。
【0054】
次に、実施の形態4に係る多層基板の変形例について、図16及び図17を用いて説明する。
【0055】
図16は、実施の形態4に係る多層基板の変形例1,2の構成を示す図である。図16Aに示すように、実施の形態4に係る多層基板の変形例1は、上記実施の形態4に係る多層基板の構成に、上側磁石32及び下側磁石33を加えたものである。上側磁石32は、基板本体11の上面に設けられている。下側磁石33は、基板本体11の下面に設けられている。
【0056】
従って、ヨーク31は、上側のコイル16に流す電流が止められても、当該ヨーク31と上側磁石32との間で発生する吸引力によって、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15との間の接触が保持される。このため、スイッチがON状態で維持される。
【0057】
よって、実施の形態4に係る多層基板は、上側のコイル16に電流を流さなくても、第1スイッチ導体パターン14及び第2スイッチ導体パターン15に対して、ヨーク31を接触し続けることができる。このため、実施の形態4に係る多層基板は、消費電力及び発熱量を抑えることができる。
【0058】
また、図16Bに示すように、実施の形態4に係る多層基板は、下側のコイル16及び上側磁石32の組み、及び、上側のコイル16及び下側磁石33の組みのうち、いずれか一方の組みを設けても構わない。
【0059】
図17は、実施の形態4に係る多層基板の変形例3の構成を示す図である。なお、図17B及び図17Cにおいては、ヨーク31が省略されている。図17に示すように、実施の形態4に係る多層基板は、コイル16に替えて、コイル34を備えても良い。コイル34は、中空部12の側面の周囲を取り囲むように設けられている。このコイル34は、2層からなり、各層は、1巻きで形成されている。
【0060】
よって、実施の形態4に係る多層基板は、コイル34を中空部12の側面の周囲を取り囲むように設けることで、コイル34の巻き数を少ない巻き数で、ヨーク31とコイル34との間で発生する吸引力を得ることができる。
【0061】
実施の形態5.
実施の形態5に係る多層基板について、図18から図20を用いて説明する。
【0062】
図18は、実施の形態5に係る多層基板の縦断面図である。図19は、実施の形態5に係る多層基板の横断面図である。
【0063】
図18及び図19に示すように、実施の形態5に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、磁石41、第1スイッチ導体パターン42、第2スイッチ導体パターン43、及び、コイル44を備えている。
【0064】
磁石41は、中空部12の内部において、幅方向に移動可能に設けられている。ここで、磁性体となる磁石41の幅方向左側の磁極は、N極であり、当該磁石41の幅方向右側の磁極は、S極となっている。また、磁石41の表面全域には、導体によるめっきが施されている。この導体でめっきした部分は、以下、導体めっき41aと称す。
【0065】
一対の第1スイッチ導体パターン42及び第2スイッチ導体パターン43は、中空部12の底面における左側及び右側にそれぞれ設けられている。左側に配置される第1スイッチ導体パターン42と、右側に配置される第2スイッチ導体パターン43とは、基板本体11の幅方向において、互いに重なり合っていない。第1スイッチ導体パターン42と第2スイッチ導体パターン43とは、基板本体11の幅方向において、所定量の隙間を有して配置されている。
【0066】
コイル44は、中空部12の天面及び底面、更には、第1スイッチ導体パターン42の上面及び下面の周囲を取り囲むように設けられている。具体的には、コイル44は、複数のコイル導体パターン44a、及び、それらを接続する複数のビア44bから構成されている。複数のコイル導体パターン44aは、中空部12の天面及び底面と、第1スイッチ導体パターン42の上面及び下面とに対して、略平行となっている。また、複数のビア44bは、基板本体11の上下方向に延びるように配置されている。
【0067】
従って、コイル44の一端と他端との間に、電圧を印加すると、当該コイル44に電流が流れる。このため、コイル44の軸方向(言い換えれば、基板本体11の幅方向)において、磁極が形成される。即ち、コイル44の左側と右側とに、磁極が形成される。
【0068】
図18Aに示すように、磁石41が、中空部12の右側に位置して、第2スイッチ導体パターン43に接触している状態で、コイル44の右側がS極となるように、当該コイル44に電流を流すと、磁石41のN極は、コイル44のS極に引き寄せられる。このため、図18Bに示すように、磁石41は、中空部12を左側に向けて移動し、第2スイッチ導体パターン43に接触しつつ、第1スイッチ導体パターン42にも接触する。この結果、第1スイッチ導体パターン42と第2スイッチ導体パターン43とは、導通する。即ち、第1スイッチ導体パターン42及び第2スイッチ導体パターン43は、スイッチがON状態となる。
【0069】
これに対して、コイル44に流す電流の向きを変えることで、コイル44の右側がN極となり、磁石41のN極と、コイル44に形成されるN極とは、互いに反発し合う。この結果、図18Aに示すように、磁石41は、中空部12を右側に向けて移動し、第1スイッチ導体パターン42から離れて、第2スイッチ導体パターン43のみに接触する。よって、第1スイッチ導体パターン42と第2スイッチ導体パターン43とは、非導通となる。即ち、第1スイッチ導体パターン42及び第2スイッチ導体パターン43は、スイッチがOFF状態となる。
【0070】
よって、実施の形態5に係る多層基板は、一辺が数十μm~数十mmで形成される中空部12の内部において、可動部となる磁石41をその中空部12の幅方向に移動させることができる。このような、中空部12及び磁石41は、半導体製造技術及びMEMS技術を用いても、製造が困難である。また、実施の形態5に係る多層基板は、中空部12に周囲に、複雑な立体構造をしたコイル44を、容易に形成することができる。これに対して、コイル44は、半導体製造技術及びMEMS技術を用いても、製造が困難である。
【0071】
次に、実施の形態5に係る多層基板の変形例について、図20を用いて説明する。図20は、実施の形態5に係る多層基板の変形例1-4の縦断面図である。
【0072】
図20Aに示すように、実施の形態5に係る多層基板は、中空部12の右側にもコイル44を設けても良い。このため、実施の形態5に係る多層基板は、一方のコイル44を、磁石41の吸引用として使用し、他方のコイル44を磁石41の反発用として使用することができる。
【0073】
また、図20Bに示すように、実施の形態5に係る多層基板は、中空部12の中央部にもコイル44を設けても良い。
【0074】
また、図20Cに示すように、実施の形態5に係る多層基板は、中空部12の側方にコイル44を設けても良い。
【0075】
更に、図20Dに示すように、実施の形態5に係る多層基板は、コイル44の内側に磁性体45を設けても良い。このため、実施の形態5に係る多層基板は、コイル44に電流が流れていない場合でも、その移動位置を保持することができる。
【0076】
実施の形態6.
実施の形態6に係る多層基板について、図21を用いて説明する。図21は、実施の形態6に係る多層基板の縦断面図である。
【0077】
図21に示すように、実施の形態6に係る多層基板は、図20Aに示す実施の形態5に係る多層基板の変形例1の磁石41に替えて、ヨーク31を備えるものである。よって、実施の形態6に係る多層基板は、可動部として、ヨーク31を備えるため、磁石41に比べて、割れ難く、且つ、小型化を図ることができる。
【0078】
なお、実施の形態6においては、中空部12の左側及び右側のうち、いずれか一方にコイルを設けると共に、中空部12の左側及び右側のうち、いずれか一方に磁性体を設けても良い。
【0079】
実施の形態7.
実施の形態7に係る多層基板について、図22から図24を用いて説明する。
【0080】
図22は、実施の形態7に係る多層基板の縦断面図である。この図22に示すように、実施の形態7に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、磁石13、コイル16、第1ストリップ線路用パターン51、第2ストリップ線路用パターン52、第1グランドパターン53、第2グランドパターン54、第3グランドパターン55、及び、複数のビア56を備えている。第1ストリップ線路用パターン51、第2ストリップ線路用パターン52、第1グランドパターン53、第2グランドパターン54、第3グランドパターン55、及び、複数のビア56は、基板本体11の内部に設けられている。
【0081】
第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52は、中空部12の下方に設けられている。第1ストリップ線路用パターン51は、中空部12の左側に配置されている。第2ストリップ線路用パターン52は、中空部12の右側に配置されている。また、第1グランドパターン53は、基板本体11の下部に配置されている。第2グランドパターン54は、中空部12の側面の周囲に配置されている。第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52は、上下方向において、第1グランドパターン53と第2グランドパターン54との間に配置されている。
【0082】
第3グランドパターン55は、第2グランドパターン54の上方に配置されている。この第3グランドパターン55は、中空部12の天面を形成するように設けられている。複数のビア56は、第2グランドパターン54と第3グランドパターン55との間を接続している。このビア56は、上下方向に延びており、中空部12の側面の周囲を取り囲むように配置されている。ビア56の設置間隔は、第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52を通過する高周波信号の半波長の長さ未満となっている。
【0083】
従って、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力によって、上方に向けて移動すると、磁石13と、第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52との間の距離が長くなる。このため、それらの間の静電容量は、減少する。これに対して、磁石13が下方に向けて移動すると、磁石13と、第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52との間の距離が短くなる。このため、それらの間の静電容量は、増加する。
【0084】
よって、実施の形態7に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変容量コンデンサとして動作することができる。
【0085】
次に、実施の形態7に係る多層基板の変形例について、図23及び図24を用いて説明する。
【0086】
図23は、実施の形態7に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。この図23に示すように、実施の形態7に係る多層基板においては、第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52が、中空部12の底面に露出し、磁石13が絶縁膜13bで覆われている。
【0087】
図24は、実施の形態7に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。この図24に示すように、第3グランドパターン55が、コイル16よりも上方に配置されている。このため、複数のビア56は、中空部12に加えて、コイル16の周囲を取り囲むように配置される。
【0088】
なお、実施の形態7に係る多層基板は、磁石13に替えて、ヨーク31を備えても良い。
【0089】
実施の形態8.
実施の形態8に係る多層基板について、図25及び図26を用いて説明する。図25は、実施の形態8に係る多層基板において、磁石41が中空部12を右側に移動したときの図である。図26は、実施の形態8に係る多層基板において、磁石41が中空部12を左側に移動したときの図である。
【0090】
図25及び図26に示すように、実施の形態8に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、磁石41、コイル44、第1ストリップ線路用パターン61、第2ストリップ線路用パターン62、複数のグランドパターン63a~63d、及び、複数のビア64a~64dを備えている。
【0091】
第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62は、中空部12の右下下方に配置されている。それらは、磁石41の移動方向に対して直交する方向において、並んで配置されている。互いに対向する、第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62の一端同士は、中空部12の直下に位置している。また、中空部12、第1ストリップ線路用パターン61、及び、第2ストリップ線路用パターン62周囲は、複数のグランドパターン63a~63d、及び、複数のビア64a~64dによって取り囲まれている。
【0092】
従って、図25に示すように、磁石41は、中空部12を右側に向けて移動する程、第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62と重なり合う面積が大きくなる。このように、多層基板は、磁石41と第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62とが重なり合う面積が大きくなる程、静電容量が増大する。
【0093】
これに対して、図26に示すように、磁石41は、中空部12を左側に向けて移動する程、第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62と重なり合う面積が小さくなる。このように、多層基板は、磁石41と第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62とが重なり合う面積が小さくなる程、静電容量が減少する。
【0094】
よって、実施の形態8に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変容量コンデンサとして動作することができる。
【0095】
実施の形態9.
実施の形態9に係る多層基板について、図27及び図28を用いて説明する。図27は、実施の形態9に係る多層基板において、磁石41が中空部12を右側に移動したときの図である。図28は、実施の形態9に係る多層基板において、磁石41が中空部12を左側に移動したときの図である。
【0096】
図27及び図28に示すように、実施の形態9に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、磁石41、コイル44、第1ストリップ線路用パターン61、第2ストリップ線路用パターン62、誘電体65複数のグランドパターン66a~66f、及び、複数のビア67a~67fを備えている。
【0097】
誘電体65は、磁石41の右側に設けられている。第1ストリップ線路用パターン61は、中空部12の右下に配置されている。第2ストリップ線路用パターン62は、中空部12の右上に配置されている。また、中空部12、第1ストリップ線路用パターン61、及び、第2ストリップ線路用パターン62周囲は、複数のグランドパターン66a~66f、及び、複数のビア67a~67fによって取り囲まれている。
【0098】
従って、図27に示すように、誘電体65は、磁石41が中空部12を右側に向けて移動する程、第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62と重なり合う面積が大きくなる。このように、多層基板は、誘電体65と第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62とが重なり合う面積が大きくなる程、静電容量が増大する。
【0099】
これに対して、図28に示すように、誘電体65は、磁石41が中空部12を左側に向けて移動する程、第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62と重なり合う面積が小さくなる。このように、多層基板は、誘電体65と第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62とが重なり合う面積が小さくなる程、静電容量が減少する。
【0100】
よって、実施の形態9に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変容量コンデンサとして動作することができる。
【0101】
実施の形態10.
実施の形態10に係る多層基板について、図29を用いて説明する。図29は、実施の形態10に係る多層基板の縦断面図である。
【0102】
図29示すように、実施の形態10に係る多層基板は、図22に示す実施の形態7に係る多層基板の第1ストリップ線路用パターン51及び第2ストリップ線路用パターン52に替えて、誘電体71及びストリップ線路用パターン72を備えたものである。誘電体71は、磁石13の下面に設けられている。ストリップ線路用パターン72は、中空部12の底面に露出するように設けられている。
【0103】
従って、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力によって、上方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた誘電体71と、ストリップ線路用パターン72との間の距離は、長くなる。このため、ストリップ線路用パターン72の実効誘電率は減少するので、電気長は短くなる。これに対して、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する反発力によって、下方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた誘電体71と、ストリップ線路用パターン72との間の距離は、短くなる。このため、ストリップ線路用パターン72の実効誘電率は増加するので、電気長は長くなる。
【0104】
よって、実施の形態10に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変位相器として動作することができる。
【0105】
実施の形態11.
実施の形態11に係る多層基板について、図30を用いて説明する。図30は、実施の形態11に係る多層基板の構成を示す図である。
【0106】
図30に示すように、実施の形態11に係る多層基板は、図27及び図28に示す実施の形態9に係る多層基板の第1ストリップ線路用パターン61及び第2ストリップ線路用パターン62に替えて、ストリップ線路用パターン72を備えるものである。このストリップ線路用パターン72は、中空部12の右側底面を形成するように配置されている。
【0107】
従って、誘電体65は、磁石41が中空部12を右側に向けて移動する程、ストリップ線路用パターン72と重なり合う面積が大きくなる。このように、多層基板は、誘電体65とストリップ線路用パターン72とが重なり合う面積が大きくなる程、ストリップ線路用パターン72の実効誘電率を増加させることができる。このため、多層基板は、電気長を長くすることができる。
これに対して、誘電体65は、磁石41が中空部12を左側に向けて移動する程、ストリップ線路用パターン72と重なり合う面積が小さくなる。このように、多層基板は、誘電体65とストリップ線路用パターン72とが重なり合う面積が小さくなる程、ストリップ線路用パターン72の実効誘電率を減少させることができる。このため、多層基板は、電気長を短くすることができる。
【0108】
よって、実施の形態11に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変位相器として動作することができる。
【0109】
実施の形態12.
実施の形態12に係る多層基板について、図31から図33を用いて説明する。
【0110】
図31は、実施の形態12に係る多層基板の構成を示す図である。この図31に示すように、実施の形態12に係る多層基板は、図29に示す実施の形態10に係る多層基板の誘電体71及び誘電体71及びストリップ線路用パターン72に替えて、軟磁性体76及び第1信号用コイル73を備えるものである。
【0111】
軟磁性体76は、磁石13の下面に設けられている。この軟磁性体76は、磁場を集める役割を有している。第1信号用コイル73は、基板本体11における中空部12の下方に設けられている。この第1信号用コイル73は、インダクタンスが可変となるものである。第1信号用コイル73は、コイル導体パターン73a、引き出し導体パターン73b、及び、ビア73cを有している。
【0112】
従って、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力によって、上方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた軟磁性体76と、第1信号用コイル73との間の距離は、長くなる。このため、第1信号用コイル73のインダクタンスは、減少する。これに対して、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する反発力によって、下方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた軟磁性体76と、第1信号用コイル73との間の距離は、短くなる。このため、第1信号用コイル73のインダクタンスは、増加する。
【0113】
よって、実施の形態12に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変インダクタンスとして動作することができる。
【0114】
以下、実施の形態12に係る多層基板の変形例について、図32及び図33を用いて説明する。
【0115】
図32は、実施の形態12に係る多層基板の変形例1の構成を示す図である。この図32に示すように、実施の形態12に係る多層基板は、基板本体11における中空部12の下方において、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74を備えている。第2信号用コイル74は、コイル導体パターン74a、引き出し導体パターン74b、及び、ビア74cを有している。
【0116】
従って、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力によって、上方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた軟磁性体76と、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74との間の距離は、長くなる。このため、第1信号用コイル73と第2信号用コイル74との結合係数は、減少する。この結果、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74のインダクタンスは、減少する。
【0117】
これに対して、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する反発力によって、下方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた軟磁性体76と、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74との間の距離は、短くなる。このため、第1信号用コイル73と第2信号用コイル74との結合係数は、増加する。この結果、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74のインダクタンスは、増加する。
【0118】
図33は、実施の形態12に係る多層基板の変形例2の縦断面図である。この図33に示ように、実施の形態12に係る多層基板は、軟磁性体76に替えて、第2基板75を備えている。第1信号用コイル73は、基板本体11における中空部12の下方に設けられている。第2信号用コイル74は、第2基板75に設けられている。
【0119】
従って、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する吸引力によって、上方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた第2信号用コイル74と、第1信号用コイル73との間の距離は、長くなる。このため、第1信号用コイル73と第2信号用コイル74との結合係数は、減少する。この結果、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74のインダクタンスは、減少する。
【0120】
これに対して、磁石13が、当該磁石13とコイル16との間で発生する反発力によって、下方に向けて移動すると、その磁石13に設けられた第2信号用コイル74と、第1信号用コイル73との間の距離は、短くなる。このため、第1信号用コイル73と第2信号用コイル74との結合係数は、増加する。この結果、第1信号用コイル73及び第2信号用コイル74のインダクタンスは、増加する。
【0121】
実施の形態13.
実施の形態13に係る多層基板について、図34を用いて説明する。図34は、実施の形態13に係る多層基板の縦断面図である。
【0122】
図34に示すように、実施の形態13に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、磁石41,コイル44、軟磁性体77、及び、信号用コイル78を備えている。 軟磁性体77は、磁石41の右側に設けられている。コイル44は、中空部12の左側に配置されている。信号用コイル78は、中空部12の右側に配置されている。
【0123】
従って、軟磁性体77は、磁石41が中空部12を右側に向けて移動する程、信号用コイル78と重なり合う長さが長くなる。このため、信号用コイル78のインダクタンスは、増加する。これに対して、軟磁性体77は、磁石41が中空部12を左側に向けて移動する程、信号用コイル78と重なり合う長さが短くなる。このため、信号用コイル78のインダクタンスは、減少する。
【0124】
よって、実施の形態13に係る多層基板は、上述した構成をなすことにより、可変インダクタンスとして動作することができる。
【0125】
実施の形態14.
実施の形態14に係る多層基板について、図35及び図36を用いて説明する。
【0126】
図35は、実施の形態14に係る多層基板の構成を示す図である。図35に示すように、実施の形態14に係る多層基板は、突起部81、導波管82、及び、空洞共振器83を備えている。
【0127】
突起部81は、磁石13の下面に設けられている。この突起部81は、磁石13の下面から下方に向けて突出するように形成されている。突起部81は、例えば、導電性材料で形成されている。
【0128】
中空部12の下方には、導波管82及び空洞共振器83が設けられている。導波管82及び空洞共振器83は、複数の導体パターン及び複数のビアから構成されている。空洞共振器83は、導波管82の途中部分に設けられており、中空部12の直下に位置している。中空部12の下部には、突起部81が挿通可能な連通孔が形成されている。この連通孔は、中空部12と空洞共振器83との間を連通している。なお、中空部12の各辺の長さは、導波管82を伝わる高周波信号の2分の1波長の長さよりも短い長さとなっている。
【0129】
従って、磁石13が上下動すると、その磁石13に設けられた突起部81は、空洞共振器83に対して、出し入れされる。このように、導電性材料で形成された突起部81が、空洞共振器83に対して出し入れされることで、当該空洞共振器83の内部における高周波電磁界分布は、変化する。
【0130】
即ち、導体となる突起部81が、空洞共振器83の電界内に挿入されることで、当該電界はほぼ存在することができなくなる。このとき、空洞共振器83は、突起部81の挿入長の分だけ拡がったのと同じように扱える。このため、空洞共振器83の共振周波数は、低下する。よって、空洞共振器83の共振周波数は、突起部81の挿入長を調整することで制御でき、当該空洞共振器83は、導波管82を伝わる高周波信号の可変フィルタの役割を果たす。
【0131】
よって、実施の形態14に係る多層基板は、空洞共振器83を通過する高周波信号の特性を変化させることができる。なお、突起部81は、誘電体又は磁性体でも良い。突起部81を磁性体とする場合、当該突起部81は、空洞共振器83の内部における磁界が強い部分に対して、出し入れされる。
【0132】
次に、実施の形態14に係る多層基板の変形例について、図36を用いて説明する。図36は、実施の形態14に係る多層基板の変形例を示す図である。
【0133】
図36Aに示すように、導波管82及び空洞共振器83の内部は、突起部81の可動範囲以外が、誘電体材料で充填されていても良い。図36Bに示すように、突起部81は、大径部81aを有しても良い。この大径部81aは、平板状に形成されており、上記連通孔の開口断面積よりも広い面積を有している。大径部81aは、当該連通孔の外側、即ち、空洞共振器83の内部に配置されている。図36Cに示すように、多層基板は、突起部81を空洞共振器83に対して出し入れするのではなく、空洞共振器83に形成されたスタブの電気長を変化させても良い。
【0134】
実施の形態15.
実施の形態15に係る多層基板について、図37及び図38を用いて説明する。
【0135】
図37は、実施の形態15に係る多層基板の構成を示す図である。図37に示すように、実施の形態15に係る多層基板は、突起部85、導波管86、及び、空洞共振器87を備えている。
【0136】
突起部85は、磁石13の右側面に設けられている。この突起部85は、磁石13の右側面から外側に向けて突出するように形成されている。突起部85は、例えば、導電性材料で形成されている。
【0137】
中空部12の右側には、導波管86及び空洞共振器87が設けられている。導波管86及び空洞共振器87は、複数の導体パターン及び複数のビアから構成されている。空洞共振器87は、導波管86の途中部分に設けられており、中空部12の真横に位置している。中空部12の側部には、突起部85が挿通可能な連通孔が形成されている。この連通孔は、中空部12と空洞共振器87との間を連通している。
【0138】
従って、磁石13が左右に移動すると、その磁石13に設けられた突起部85は、空洞共振器87に対して、出し入れされる。このように、導電性材料で形成された突起部85が、空洞共振器87に対して出し入れされることで、当該空洞共振器87の内部における高周波電磁界分布は、変化する。
【0139】
よって、実施の形態15に係る多層基板は、空洞共振器87を通過する高周波信号の特性を変化させることができる。
【0140】
なお、突起部85は、誘電体又は磁性体でも良い。突起部85を磁性体とする場合、当該突起部81は、空洞共振器83の内部における磁界が強い部分に対して、出し入れされる。また、導波管86及び空洞共振器87の内部は、突起部85の可動範囲以外が、誘電体材料で充填されていても良い。更に、多層基板は、突起部85を空洞共振器87に対して出し入れするのではなく、空洞共振器87に形成されたスタブの電気長を変化させても良い。
【0141】
次に、実施の形態15に係る多層基板の変形例について、図38を用いて説明する。図38は、実施の形態15に係る多層基板の変形例1の縦断面図である。
【0142】
図38に示すように、突起部85は、大径部85aを有しても良い。この大径部85aは、平板状に形成されており、上記連通孔の開口断面積よりも広い面積を有している。大径部85aは、当該連通孔の外側、即ち、空洞共振器87の内部に配置されている。
【0143】
実施の形態16.
実施の形態16に係る多層基板について、図39を用いて説明する。図39は、実施の形態16に係る多層基板の縦断面図である。
【0144】
図39に示すように、実施の形態16に係る多層基板は、第1高周波回路パターン91、第2高周波回路パターン92、及び、第2基板93を備えている。第1高周波回路パターン91は、中空部12の下部に設けられている。この第1高周波回路パターン91は、中空部12の底面を形成するように配置されている。第2基板93は、磁石13の下面に設けられている。この第2基板93には、第2高周波回路パターン92が設けられている。なお、第2高周波回路パターン92は、第1高周波回路パターン91を通過する高周波信号の周波数の4分の1波長の電気長を有する回路である。
【0145】
従って、磁石13を上下動すると、第1高周波回路パターン91と第2高周波回路パターン92との間の距離が変化し、それらの結合係数が変化する。この結果、実施の形態16に係る多層基板は、第1高周波回路パターン91の高周波信号特性を、第2高周波回路パターン92との間の距離に応じて変化させることで、可変共振器、可変フィルタ、及び、可変アッテネーター等の可変機能を持った高周波回路を形成することができる。
【0146】
実施の形態17.
実施の形態17に係る多層基板について、図40を用いて説明する。図40は、実施の形態17に係る多層基板の構成を示す図である。
【0147】
図40に示すように、実施の形態17に係る多層基板は、基板本体11、中空部12、片持ち梁部101、コイル102、及び、磁石103を備えている。可動部となる片持ち梁部101は、中空部12の側面に片持ち支持されている。片持ち梁部101と中空部12の天面及び底面との間には、それぞれ隙間が形成されている。コイル102は、片持ち梁部101に設けられている。磁石103は、基板本体11の下面に設けられている。
【0148】
従って、コイル102に電流を流すと、当該コイル102に発生する磁界と、磁石103の磁界との間の、相互作用によって、コイル102と磁石103との間に、吸引力又は反発力が発生する。このため、片持ち梁部101は、上下方向に撓む。
【0149】
なお、コイル102の設置位置と、磁石103の設置位置とは、逆であっても良い。また、実施の形態17に係る多層基板は、磁石103に替えて、軟磁性体のヨークを用いても良い。
【0150】
実施の形態18.
実施の形態18に係る多層基板について、図41を用いて説明する。図41は、実施の形態18に係る多層基板の断面図である。
【0151】
図41に示すように、実施の形態18に係る多層基板は、図21に示す実施の形態6に係る多層基板のヨーク31に替えて、導体104を備えたものである。
【0152】
従って、導体104が中空部12の左側にある状態で、左側のコイル44に対して、短い時間だけ電流を流すと、誘導磁界によって、導体104の内部に渦電流が生じる。そして、導体104の内部に渦電流が生じている間に、当該導体104の内部の渦電流による磁界と逆向きの磁界が発生するように、右側のコイル44に電流を流すと、右側のコイル44における磁界と、導体104の内部における過電流との間の、相互作用によって、当該導体104が、中空部12を右側に向けて移動する。なお、導体104を中空部12の右側から左側に移動させる場合には、上述した動作の逆の動作を行えば良い。
【0153】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、或いは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、若しくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示に係る多層基板は、中空部の周囲にコイルを設けることで、可動部を中空部内で移動させることができ、多層基板等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0155】
11 基板本体、12 中空部、13 磁石、13a 導体めっき、13b 絶縁膜、14 第1スイッチ導体パターン、15 第2スイッチ導体パターン、16 コイル、16a 下層コイル導体パターン、16b 上層コイル導体パターン、16c ビア、17 コイル、17a コイル導体パターン、17b 引き出し導体パターン、17c ビア、18,19 コイル、20 第3スイッチ導体パターン、21 第4スイッチ導体パターン、22 上側ヨーク、23 下側ヨーク、23a 調整孔、24 上側ヨークパターン、25 下側ヨークパターン、26 コイル、26a 下層コイル導体パターン、26b 中層コイル導体パターン、26c 上層コイル導体パターン、26d,26e ビア、27 コイル、27a 下層コイル導体パターン、27b 中層コイル導体パターン、27c 上層コイル導体パターン、31 ヨーク、31a 導体めっき、32 上側磁石、33 下側磁石、34 コイル、41 磁石、41a 導体めっき、42 第1スイッチ導体パターン、43 第2スイッチ導体パターン、44 コイル、44a コイル導体パターン、44b ビア、45 磁性体、51 第1ストリップ線路用パターン、52 第2ストリップ線路用パターン、53 第1グランドパターン、54 第2グランドパターン、55 第3グランドパターン、56 ビア、61 第1ストリップ線路用パターン、62 第2ストリップ線路用パターン、63a~63d グランドパターン、64a~64d ビア、65 誘電体、66a~66f グランドパターン、67a~67f ビア、71 誘電体、72 ストリップ線路用パターン、73 第1信号用コイル、73a コイル導体パターン、73b 引き出し導体パターン、73c ビア、74 第2信号用コイル、74a コイル導体パターン、74b 引き出し導体パターン、74c ビア、75 第2基板、76,77 軟磁性体、78 信号用コイル、81 突起部、81a 大径部、82 導波管、83 空洞共振器、84 スタブ、85 突起部、85a 大径部、86 導波管、87 空洞共振器、91 第1高周波回路パターン、92 第2高周波回路パターン、93 第2基板、101 片持ち梁部、102 コイル、103 磁石、104 導体。
【要約】
多層基板は、樹脂又はセラミックスで形成される基板本体(11)と、基板本体11の内部に設けられる中空部(12)と、中空部(12)の内部に設けられる磁石(13)と、基板本体(11)における中空部(12)の周囲に設けられるコイル(16)とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41