(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】室内機、および空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/89 20180101AFI20250516BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20250516BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20250516BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/36
F24F1/0007 401E
(21)【出願番号】P 2025502480
(86)(22)【出願日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2024020327
【審査請求日】2025-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達斗
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090108(JP,A)
【文献】特開2017-053514(JP,A)
【文献】特開2021-014963(JP,A)
【文献】特許第6653455(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/110904(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163417(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/162993(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/278304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 1/0007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する冷媒回路を有する空気調和機の室内機であって、
気化した前記冷媒を検知する冷媒センサ、および前記冷媒センサを収容するハウジングを有する冷媒センサユニットを有し、
前記ハウジングは、
前記冷媒センサを収容する収容空間に気化した前記冷媒を導く第1冷媒流入口
、第2冷媒流入口、および第3冷媒流入口と、
前記収容空間を囲む内側面に設けられ前記冷媒センサと対向する凹部と、
を有
し、
前記第1冷媒流入口と前記冷媒センサと結ぶ方向を第1方向とし、
前記第1冷媒流入口および前記第2冷媒流入口は、前記冷媒センサに対し前記第1方向の一方側および他方側にそれぞれ位置する、
前記凹部は、前記第1方向において前記第1冷媒流入口と前記第2冷媒流入口との間に配置され、
前記凹部は、
下側を向く上壁面と、
前記上壁面から下側に延び水平方向を向く側壁面と、を有し、
第3冷媒流入口は、前記側壁面に開口する、
室内機。
【請求項2】
前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、
前記凹部は、前記第2方向において前記冷媒センサと対向して前記第2方向に凹む、
請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記冷媒センサは、
実装面を有する基板と、
前記実装面に実装されるセンサ素子と、
前記実装面に固定され前記センサ素子を囲み前記実装面から直交する方向に延びる筒状の素子ケースと、を有し、
前記素子ケースの前記実装面の反対側の端部には、前記素子ケースの内部に気化した前記冷媒を導くケース開口部が設けられ、
前記ケース開口部は、前記第2方向において前記凹部と対向する、
請求項
2に記載の室内機。
【請求項4】
前記凹部は、上側に向かって凹み、
前記ケース開口部は、前記凹部の下側で上側に開口する、
請求項
3に記載の室内機。
【請求項5】
前記ハウジングの上面には、前記第3冷媒流入口の下端縁に連なる傾斜領域が設けられ、
前記傾斜領域は、前記第3冷媒流入口から離れるに従い下側に位置する向きに傾斜する、
請求項
1に記載の室内機。
【請求項6】
前記ハウジングは、
ベース部材と、
前記冷媒センサを支持するとともに、前記ベース部材に着脱可能に取り付けられるセンサ支持部材と、を有する、
請求項
1に記載の室内機。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載の室内機と、
前記冷媒回路と、
室外機と、を備える、
空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機、および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内機に冷媒センサが取り付けられた空気調和機が知られている。特許文献1には、熱交換器の下側にドレンパンを配置し、さらに冷媒センサをドレンパンの上側に配置することで、熱交換器から漏れ出す冷媒ガスを冷媒センサで検知する室内機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒センサは、当該冷媒センサを結露水から保護する等のためにハウジングに収容される。このようなハウジングには、内部の収容空間に冷媒ガスを導くための流入口が設けられる。従来の室内機では、冷媒流入口からハウジングの内部に流入する冷媒ガスがハウジングの内部に充満するまで、冷媒センサが冷媒ガスを検知しにくく、冷媒センサの応答性が低いという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような事情に鑑みて、冷媒検知の応答性を高めることができる室内機、および空気調和機の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る室内機の一つの態様は、気化した前記冷媒を検知する冷媒センサ、および前記冷媒センサを収容するハウジングを有する冷媒センサユニットを有し、前記ハウジングは、前記冷媒センサを収容する収容空間に気化した前記冷媒を導く第1冷媒流入口、第2冷媒流入口、および第3冷媒流入口と、前記収容空間を囲む内側面に設けられ前記冷媒センサと対向する凹部と、を有し、前記第1冷媒流入口および前記第2冷媒流入口は、前記冷媒センサに対し前記第1方向の一方側および他方側にそれぞれ位置する、前記凹部は、下側を向く上壁面と、前記上壁面から下側に延び水平方向を向く側壁面と、を有し、第3冷媒流入口は、前記側壁面に開口する。
【0007】
本開示に係る空気調和機の一つの態様は、上述の室内機と、前記冷媒回路と、室外機と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷媒検知の応答性を高めることができる室内機、および空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態における空気調和機の概略構成を示す模式図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿う室内機の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿う室内機の断面図である。
【
図6】実施の形態の冷媒センサユニットの斜視図である。
【
図7】実施の形態の冷媒センサユニットの斜視図である。
【
図8】実施の形態の冷媒センサユニットの断面図であり、冷媒ガスの流れを示す図である。
【
図9】実施の形態の冷媒センサユニットの断面図であり、結露水の流れを矢印で示す図である。
【
図11】変形例1の冷媒センサユニットの断面図である。
【
図12】変形例2の冷媒センサユニットの断面図である。
【
図13】変形例2の冷媒センサユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0011】
また、図面には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸、およびY軸は、それぞれ水平方向のうちの一方向を示している。Z軸は、上下方向を示している。以下の説明においては、X軸に沿った水平方向を“前後方向X”と呼び、Y軸に沿った水平方向を“左右方向Y”と呼び、Z軸に沿った上下方向を“上下方向Z”と呼ぶ。前後方向X、左右方向Y、および上下方向Zは、互いに直交する方向である。以下の説明においては、前後方向XのうちX軸の矢印が向く側(+X)を前側とし、前後方向XのうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X)を後側とする。また、左右方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y)を右側とし、左右方向YのうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y)を左側とする。さらに、上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を上側とし、上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z)を下側とする。なお、左右方向Y、前後方向X、および上下方向Zは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。また、以下の実施の形態において、前後方向Xは、“第1方向”に相当し、上下方向Zは“第2方向”に相当する。
【0012】
<空気調和機>
図1は、本実施の形態における空気調和機100の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、空気調和機100は、室内機10と、室外機20と、冷媒回路30と、を備える。室内機10は、室内に配置されている。室外機20は、屋外に配置されている。室内機10と室外機20とは、冷媒33が循環する冷媒回路30によって互いに接続されている。室内機10および室外機20は、空気との間で熱交換を行う熱交換ユニットである。
【0013】
空気調和機100は、冷媒回路30内を流れる冷媒33と室内機10が配置された室内の空気との間で熱交換を行うことによって、室内の空気の温度を調整可能である。冷媒33としては、例えば、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低いフッ素系冷媒、または炭化水素系冷媒などが挙げられる。冷媒33としては、例えば、R1234yf、R1234ze、R32、R290のいずれかの単一冷媒、もしくはこれらのいずれか2種以上の混合冷媒、またはこれらのいずれかと他の冷媒との混合冷媒が挙げられる。また、冷媒33としては、例えば、R1132(E)を含む混合冷媒、もしくはR1123を含む混合冷媒が挙げられる。また、冷媒33としては、例えば、R516A、R445A、R444A、R454C、R444B、R454A、R455A、R457A、R459B、R452B、R454B、R447B、R447A、R446A、R459Aの混合冷媒が挙げられる。
【0014】
室外機20は、圧縮機21と、室外熱交換器23と、流量調整弁24と、室外機送風機25と、四方弁22と、を有する。圧縮機21と室外熱交換器23と流量調整弁24と四方弁22とは、冷媒回路30によって接続されている。
【0015】
四方弁22は、冷媒回路30のうち圧縮機21の吐出側に繋がる部分に配置されている。四方弁22は、冷媒回路30の一部の経路を切り替えることで、冷媒回路30内を流れる冷媒33の向きを反転させることができる。四方弁22によって繋がれる経路が
図1の四方弁22に実線で示す経路である場合、冷媒33は、冷媒回路30内を
図1に実線の矢印で示す向きに流れる。一方、四方弁22によって繋がれる経路が
図1の四方弁22に破線で示す経路である場合、冷媒33は、冷媒回路30内を
図1に破線の矢印で示す向きに流れる。
【0016】
室内機10は、送風機15と、送風機15の周囲に配置される熱交換器14と、を有する。室内機10は、室内機10が配置された室内の空気を冷やす冷房運転と、室内機10が配置された室内の空気を暖める暖房運転とが可能である。
【0017】
室内機10が冷房運転をする場合、冷媒回路30内を流れる冷媒33は、
図1に実線の矢印で示す向きに流れる。つまり、室内機10が冷房運転をする場合、冷媒回路30内を流れる冷媒33は、圧縮機21、室外機20の室外熱交換器23、流量調整弁24、および室内機10の熱交換器14をこの順に通って圧縮機21に戻るように循環する。冷房運転において、室外機20内の室外熱交換器23は凝縮器として機能し、室内機10内の熱交換器14は蒸発器として機能する。
【0018】
一方、室内機10が暖房運転をする場合、冷媒回路30内を流れる冷媒33は、
図1に破線で示す向きに流れる。つまり、室内機10が暖房運転をする場合、冷媒回路30内を流れる冷媒33は、圧縮機21、室内機10の熱交換器14、流量調整弁24、および室外機20の室外熱交換器23をこの順に通って圧縮機21に戻るように循環する。暖房運転において、室外機20内の室外熱交換器23は蒸発器として機能し、室内機10内の熱交換器14は凝縮器として機能する。
【0019】
<室内機>
次に、本実施の形態の室内機10について、さらに詳細に説明する。
図2は、本実施の形態の室内機10の斜視図である。
図3は、室内機10の断面図であり室内機10を前側から見た図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿う室内機10の断面図である。
図5は、
図3のV-V線に沿う室内機10の断面図である。
【0020】
図2に示すように、本実施の形態の室内機10は、室内の壁面の上部領域に固定される壁掛け型の室内機である。
図3に示すように、本実施の形態の室内機10は、上述した筐体11、熱交換器14、および送風機15に加えて、ドレンパン40、制御部50、および冷媒センサユニット60を備える。筐体11は、熱交換器14、送風機15、ドレンパン40、制御部50、および冷媒センサユニット60を収容する。
【0021】
<筐体>
図2に示すように、本実施の形態の筐体11は、左右方向Yに長い略直方体箱状である。筐体11は、天面パネル11aと前面パネル11bと底面パネル11cと第1側面パネル(側面パネル)11dと第2側面パネル11eと背面パネル11fとを有する。天面パネル11aは、筐体11の内部空間を上側から覆う。前面パネル11bは、筐体11の内部空間を前側(+X)から覆う。底面パネル11cは、筐体11の内部空間を下側から覆う。第1側面パネル11dは、筐体11の内部空間を右側(+Y)から覆う。第2側面パネル11eは、筐体11の内部空間を左側(-Y)から覆う。背面パネル11fは、筐体11の内部空間を後側(-X)から覆う。
【0022】
図4に示すように、筐体11には、吸込口12と吹出口13とが設けられる。吸込口12は、天面パネル11aに設けられる。吸込口12は、上側に開口し、左右方向Yに延びる。吸込口12には、吸い込まれる空気から埃を除去するフィルタ12aが配置される。吹出口13は、底面パネル11cの前端部および前面パネル11bの下端部に設けられる。吹出口13は、前側(+X)および下側に開口し、左右方向Yに延びる。吹出口13には、吹き出される空気の風向を調整する風向ベーン13aが設けられる。停止状態の室内機10において、吹出口13は、風向ベーン13aに覆われる。
【0023】
<送風機>
図3に示すように、本実施の形態の送風機15は、クロスフローファンである。送風機15は、左右方向Yに延びる羽根車15aと、羽根車15aの右側(+Y)に配置される駆動モータ15bと、を有する。羽根車15aは、周方向に並ぶ複数の翼部(図示略)を有する略筒状である。羽根車15aは、駆動モータ15bは、羽根車15aを左右方向Yに延びる回転軸線周りに回転させる。
【0024】
<熱交換器>
熱交換器14は、熱交換器本体14dと、配管連結部14eと、有する。熱交換器本体14dは、左右方向Yと直交する平面に沿って延び左右方向Yに並ぶ複数のフィン部材と、これら複数のフィン部材を貫通する複数の配管と、を有する。配管連結部14eは、熱交換器本体14dの右側(+Y)の端部に位置する。配管連結部14eは、熱交換器本体14dの配管に接続される。配管連結部14eは、熱交換器本体14dの複数の配管同士を接続するヘアピン状の複数の配管と、熱交換器本体14dの配管と外部の配管とを接続する配管と、を有する。熱交換器14の配管は、冷媒回路30(
図1参照)の一部を構成し、内部に冷媒が流れる。熱交換器本体14dは、筐体11内の空気と冷媒との間で熱交換を行う。これにより、熱交換器14は、送風機15に吸い込まれる空気を冷却又は加熱する。
【0025】
図4に示すように、熱交換器14は、第1部分14aと、第2部分14bと、第3部分14cと、を有する。第1部分14aは、羽根車15aの前側(+X)に位置する。第1部分14aは、左右方向Yから見て、上下方向Zに延びる。第2部分14bおよび第3部分14cは、羽根車15aの上側に位置する。第2部分14bは、左右方向Yから見て、第1部分14aの上端部から上側(+Z)かつ斜め後側(-X)に延びる。第3部分14cは、第2部分14bの後側(-X)に位置する。第3部分14cは、左右方向Yから見て、第2部分14bの上端部から下側(-Z)かつ斜め後側(-X)に延びる。
【0026】
<ドレンパン>
図3に示すように、ドレンパン40は、筐体11の内部空間の下部に配置される。ドレンパン40は、左右方向Yに延びる。ドレンパン40は、ドレンパン本体部41とドレンパン側端部42と、を有する。
図4に示すように、ドレンパン本体部41は、熱交換器本体14dの第1部分14aの直下に位置する。
図5に示すように、ドレンパン側端部42は、配管連結部14eの直下に位置する。ドレンパン側端部42は、ドレンパン本体部41の右側(+Y)の端部に繋がる。
【0027】
図4に示すように、ドレンパン本体部41は、上側に開口する貯留部41pを有する。ドレンパン本体部41は、左右方向Yに樋状に延びる。ドレンパン本体部41は、熱交換器本体14dの表面で凝縮して滴下する結露水を貯留部41pにおいて下側から受け止める。
【0028】
図5に示すように、ドレンパン側端部42は、上側に開口する貯留部42pを有する。ドレンパン側端部42は、配管連結部14eの表面で凝縮して滴下する結露水を貯留部42pにおいて下側から受け止める。ドレンパン側端部42の貯留部42pは、ドレンパン本体部41の貯留部41pと繋がっている。したがって、ドレンパン側端部42の貯留部42pには、配管連結部14eから滴下した結露水のみならず、ドレンパン本体部41で受け止めた結露水が流入する。ドレンパン側端部42には、ドレンホース49が接続される。ドレンパン40によって受け止められた結露水は、ドレンホース49を介して、屋外へと排出される。筐体11の底面パネル11cの上面には、吸水シート(図示略)が設けられる。吸水シートは、ドレンホース49の表面、およびドレンパン側端部42とドレンホース49との接続部から滴下する結露水を受け止めて吸収する。これにより、吸水シートは、結露水が、室内機10から下側に滴下することを抑制する。
【0029】
ドレンパン側端部42の下面は、断熱材48によって覆われる。これにより、ドレンパン側端部42の下面に結露水が凝集することを抑制することができる。ドレンパン側端部42の下側には、冷媒センサユニット60が配置される。本実施の形態によれば、ドレンパン側端部42の下面に結露水が付着しにくくなり、ドレンパン側端部42から冷媒センサユニット60に結露水が滴下することを抑制できる。これにより、結露水が冷媒センサユニット60の動作に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0030】
また、本実施の形態の冷媒センサユニット60は、ドレンパン側端部42の直下に位置する。すなわち、冷媒センサユニット60は、送風機15の羽根車15aに対して左右方向Yにずれて配置される。このため、羽根車15aの回転によって、羽根車15a、または羽根車15aの風を受ける周囲の部材から結露水が飛散する場合であっても、この結露水が冷媒センサユニット60にかかることを抑制できる。
【0031】
<制御部>
図3に示すように、制御部50は、熱交換器14および送風機15の右側(+Y)に位置する。制御部50は、空気調和機100の冷暖房運転に必要な構成部品の制御を行う。制御部50は、冷媒センサユニット60、および熱交換器14に設けられる各種センサの測定結果を基に、送風機15および熱交換器14などを制御する。
【0032】
<冷媒センサユニット>
図5に示すように、冷媒センサユニット60は、ドレンパン40の下側に配置される。また、ドレンパン40は、熱交換器14の下側に位置する。一般的に冷媒ガスは、空気よりも重い。このため、熱交換器14から漏出し気化した冷媒(以下、冷媒ガスと呼ぶ)は、ドレンパン40の貯留部41p、42pに溜まる。さらに、ドレンパン40の貯留部41p、42pに溜った冷媒ガスは、ドレンパン40の前側(+X)および後側(-X)の壁部を越えてドレンパン40の下側に向かって流れる。冷媒センサユニット60は、ドレンパン40の下側で、前側(+X)又は後側(-X)から冷媒センサユニット60の内部に流入する冷媒ガスを検知し、検知結果を制御部50に送信する。
【0033】
図6および
図7は、それぞれ異なる方向から見た冷媒センサユニットの斜視図である。
図8および
図9は、冷媒センサユニット60の断面図である。
図8において、冷媒ガスの流れを矢印で示す。また、
図9において、冷媒センサユニット60に付着する結露水の流れを矢印で示す。
【0034】
図8に示すように、冷媒センサユニット60は、冷媒センサ70と、ハウジング80と、他機能部68、69と、を有する。本実施の形態の冷媒センサユニット60は、冷媒ガスの検知する機能のみならず、他の機能を有している。他の機能としては、例えば、室内機10が配置される居住空間を監視する監視機能、およびリモートコントローラーの電波を受信するアンテナ機能などが挙げられる。他機能部68、69は、これらの他の機能を担う。他機能部68、69の詳細な説明については省略する。
【0035】
ハウジング80は、ベース部材81と蓋部材82とを有する。また、ハウジング80には、冷媒センサ70および他機能部68、69を配置する収容空間Aが設けられる。ベース部材81および蓋部材82は、収容空間Aを囲む。ベース部材81は、冷媒センサ70および他機能部68、69を支持する。蓋部材82は、ベース部材81の上側に位置しベース部材81に固定される。蓋部材82は、冷媒センサおよび他機能部68、69を上側から覆う。これにより、蓋部材82は、冷媒センサおよび他機能部68、69を保護する。
【0036】
ベース部材81は、ベース板部81pと、第1壁部81aと、第2壁部81bと、第3壁部81cと、を有する。ベース板部81pは、水平面(XY平面)に沿って延びている。第1壁部81a、第2壁部81b、および第3壁部81cは、ベース板部81pから上側に突出する。第1壁部81a、第2壁部81b、および第3壁部81cは、それぞれ前後方向Xと直交する平面に沿って延びる板状である。第1壁部81a、第2壁部81b、および第3壁部81cは、前側(+X)から後側(-X)に向かってこの順に並んで配置される。
【0037】
第1壁部81aよりも前側(+X)には、第1の他機能部68が配置される。第1壁部81aと第2壁部81bとの間には、第2の他機能部69が配置される。第2壁部81bと第3壁部81cとの間には、冷媒センサ70が配置される。
【0038】
第2壁部81bには、第1溝部81dが設けられる。第1溝部81dは、後側(-X)に開口し左右方向Yに延びる。同様に、第3壁部81cには、第2溝部81eが設けられる。第2溝部81eは、前側(+X)に開口し左右方向Yに延びる。第1溝部81dの開口と第2溝部81eの開口とは、前後方向Xにおいて互いに対向する。第1溝部81dおよび第2溝部81eの溝幅は、後述する冷媒センサ70のセンサ基板73の板厚よりも若干大きい。第1溝部81dおよび第2溝部81eには、センサ基板73が挿入される。これにより、ベース板部81pは、冷媒センサ70を支持する。なお、図示を省略するが、他機能部68、69は、固定ネジなどの固定手段によってそれぞれベース板部81pに固定される。
【0039】
図6および
図7に示すように、蓋部材82は、第1上板部82aと、第2上板部82bと、段差部82gと、凸部84と、前板部82cと、後板部82dと、側板部82eと、サイドケース部83と、を有する。
【0040】
第1上板部82aおよび第2上板部82bは、水平面(XY平面)に沿って延びる。第1上板部82aは、第2上板部82bよりも上側に位置する。第1上板部82aは、第2上板部82bよりも後側(-X)に位置する。第1上板部82aと第2上板部82bとの間には、段差部82gが設けられる。段差部82gは、左右方向Yに直線状に延びる。
【0041】
前板部82cおよび後板部82dは、前後方向Xと直交する平面に沿って延びる。前板部82cと後板部82dとは、前後方向Xに対向して配置される。
【0042】
図6に示すように、前板部82cは、第2上板部82bの前端に接続される。前板部82cには、前後方向Xに貫通する第1冷媒流入口85が設けられる。すなわち、ハウジング80は、第1冷媒流入口85を有する。第1冷媒流入口85は、ハウジング80の収容空間Aとハウジング80の外部空間とを繋ぐ。第1冷媒流入口85は、収容空間Aを前側(+X)に開放する。第1冷媒流入口85は、冷媒センサ70を収容する収容空間Aに前側(+X)から冷媒ガスを導く。
【0043】
図7に示すように、後板部82dは、第1上板部82aの後端に接続される。後板部82dには、前後方向Xに貫通する第2冷媒流入口86が設けられる。すなわち、ハウジング80は、第2冷媒流入口86を有する。第2冷媒流入口86は、ハウジング80の収容空間Aとハウジング80の外部空間とを繋ぐ。第2冷媒流入口86は、収容空間Aを後側(-X)に開放する。第2冷媒流入口86は、冷媒センサ70を収容する収容空間Aに後側から冷媒ガスを導く。
【0044】
側板部82eは、左右方向Yと直交する平面に沿って延びる。側板部82eは、第1上板部82a、第2上板部82b、前板部82c、および後板部82dの左側(-Y)の端部に接続される。サイドケース部83は、第1上板部82a、第2上板部82b、前板部82c、および後板部82dの右側(+Y)に接続される。サイドケース部83には、図示を省略する他機能部が収容される。
【0045】
図8に示すように、凸部84は、第1上板部82aの前側(+X)の端部に位置する。凸部84は、第1上板部82aの上面から上側に突出する。蓋部材82は、板状である。このため、凸部84の下面は、上側に向かって凹む。ここで、ハウジング80において、収容空間Aと対向し収容空間Aを囲む面をハウジング80の内側面80fと呼ぶ。第1上板部82aの下面は、ハウジング80の内側面80fの一部を構成する。ハウジング80の内側面80fには、凸部84の内部に位置する凹部88が設けられる。すなわち、ハウジング80は、凹部88を有する。凹部88は、収容空間Aを上側に拡張する。
【0046】
凹部88は下側に開口する。凹部88は、上壁面88aと側壁面88bとを有する。上壁面88aは、水平面(XY平面)に沿って延びて下側を向く面である。上壁面88aは、第1上板部82aの上面よりも上側に位置する。側壁面88bは、上壁面88aに繋がり、上壁面88aから下側に延びる。側壁面88bは、水平方向を向く面である。本実施の形態の側壁面88bは、凹部88の内部空間を水平方向から枠状に囲む。
【0047】
凹部88の側壁面88bのうち、前側(+X)を向く部分には、第3冷媒流入口87が設けられる。すなわち、ハウジング80は、側壁面88bに開口する第3冷媒流入口87を有する。第3冷媒流入口87は、ハウジング80の収容空間Aとハウジング80の外部空間とを繋ぐ。第3冷媒流入口87は、収容空間A(より具体的には、凹部88の内部の空間)を後側(-X)に開放する。第3冷媒流入口87は、ハウジング80の収容空間Aに冷媒ガスを導く。
【0048】
凹部88の側壁面88bのうち、後側(-X)を向く部分には、傾斜面88tが設けられる。傾斜面88tは、前側(+X)に向かうに従い下側に向かう向きに傾斜する。傾斜面88tは、段差部82gの内側面に滑らかに繋がる。傾斜面88tは、第2上板部82bの下側を通り凹部88の内部に流入する冷媒ガスの流れをスムーズにする。
【0049】
図10は、冷媒センサ70の斜視図である。冷媒センサ70は、センサ基板(基板)73とセンサ素子71と素子ケース72とを有する。
【0050】
センサ基板73は、水平面(XY平面)に沿って延びる。センサ基板73は、センサ素子71、およびその他の素子78が実装される実装面73aを有する。本実施の形態の実装面73aは、上側(+Z)を向く面である。
【0051】
センサ素子71は、気化した冷媒ガスを検知する。センサ素子71は、センサ基板73の実装面73aに実装される。センサ素子71は、素子ケース72に囲まれる。これにより、センサ素子71は、素子ケース72によって保護される。
【0052】
素子ケース72は、実装面73aから上側(+Z)に延びる円筒状である。素子ケース72は、実装面73aに固定される基端部72aと、基端部72aの反対側の端部である先端部72bと、を有する。素子ケース72の基端部72aは、接着剤などによって、実装面73aに対し隙間なく固定される。素子ケース72の先端部72bには、素子ケース72の内部に冷媒ガスを導くケース開口部72hが設けられる。ケース開口部72hは、上側に開口する。センサ素子71は、ケース開口部72hから素子ケース72の内部に流入する冷媒ガスを検知する。
【0053】
図8に示すように、本実施の形態のハウジング80において、第1冷媒流入口85および第2冷媒流入口86は、冷媒センサ70に対し前側(+X)および後側(-X)にそれぞれ位置する。上述したように、ドレンパン40に溜まった冷媒ガスは、ドレンパン40の前側および後側の壁部を越えて下側に流れ、ドレンパン40の下側で前側、又は後側に向かって流れる。本実施の形態によれば、第1冷媒流入口85は、ドレンパン40の下側で後側に向かって流れる冷媒ガスを収容空間Aに導く。同様に、第2冷媒流入口86は、ドレンパン40の下側で前側に向かって流れる冷媒ガスを収容空間Aに導く。
【0054】
また、送風機15の駆動にともない、冷媒センサユニット60の周囲には、前後方向Xの空気の流れが形成される。本実施の形態によれば、第1冷媒流入口85と第2冷媒流入口86とは、前後方向Xに並んで配置される。また、冷媒センサ70は、前後方向Xにおいて、第1冷媒流入口85と第2冷媒流入口86との間に配置される。本実施の形態によれば、収容空間Aを第1冷媒流入口85から第2冷媒流入口86の向かって流れる経路、又は、収容空間Aを第2冷媒流入口86から第1冷媒流入口85の向かって流れる経路の途中に冷媒センサ70が配置される。本実施の形態によれば、送風機15によって生じる空気の流れに乗る冷媒ガスを、収容空間Aの内部の冷媒センサ70に導くことができる。
【0055】
本実施の形態の収容空間Aにおいて、蓋部材82の下面と、ベース部材81の第1壁部81a、第2壁部81b、およびベース部材81に固定される他機能部68、69との間には、隙間が設けられる。第1冷媒流入口85から収容空間Aに流入する冷媒ガスは、蓋部材82の下面に沿って後側(-X)に流れる。また、冷媒ガスが、凹部88の下側に達すると、冷媒ガスの一部は、上側に向かって流れる方向を変えて凹部88の内部に侵入する。同様に、収容空間Aにおいて、蓋部材82の下面と、ベース部材81の第3壁部81cとの間には、隙間が設けられる。第2冷媒流入口86から収容空間Aに流入する冷媒ガスは、蓋部材82の下面に沿って前側(+X)に流れる。また、冷媒ガスが、凹部88の下側に達すると、冷媒ガスの一部は、上側に向かって流れる方向を変えて凹部88の内部に侵入する。第1冷媒流入口85、又は第2冷媒流入口86から収容空間Aに導かれ、さらに凹部88内に流入する冷媒ガスは、凹部88の側壁面88bおよび上壁面88aに沿って旋回する。これにともない、冷媒ガスは、流速を低下させ、やがて凹部88の内部から下側に流出する。
【0056】
本実施の形態においてハウジング80の凹部88は、冷媒センサ70と対向する。このため、凹部88で滞留させた後に凹部88の内部から流出する冷媒ガスは、自然と冷媒センサ70に導かれる。凹部88から流出する冷媒ガスは、凹部88内で流速が低下しているため冷媒センサ70で検知しやすくなる。本実施の形態によれば、冷媒センサ70で冷媒ガスを即座に検知でき、冷媒センサユニット60による冷媒ガスの検知の応答性を高めることができる。
【0057】
本実施の形態において、第1冷媒流入口85と冷媒センサ70とを結ぶ方向は、前後方向Xである。また、凹部88が凹む方向(上下方向Z)は、第1冷媒流入口85と冷媒センサ70とを結ぶ方向(前後方向X)と直交する方向である。本実施の形態によれば、収容空間Aにおいて第1冷媒流入口85から冷媒センサ70に向かって前後方向Xに流れる冷媒ガスは、凹部88内に流出する際に上下方向Zに流動方向を変える。これにより、冷媒ガスは、凹部88内で旋回し流速が低下した状態で、冷媒センサ70に導かれる。本実施の形態によれば、冷媒ガスの流速を凹部88によって低下させることができる。結果的に、冷媒ガスを冷媒センサ70の周囲に留めやすくなり、冷媒センサ70が冷媒ガスを即座に検知しやすくなる。
【0058】
このような作用は、第2冷媒流入口86から収容空間Aに流入する冷媒ガスについても、同様である。すなわち、本実施の形態において、凹部88が凹む方向(上下方向Z)は、第2冷媒流入口86と冷媒センサ70とを結ぶ方向(前後方向X)と直交する方向である。本実施の形態によれば、第2冷媒流入口86から収容空間Aに流入し、さらに凹部88に流入する冷媒ガスを凹部88内で旋回させ流速を低下させることができる。結果的に、冷媒ガスを冷媒センサ70の周囲に留めやすくなり、冷媒センサ70が冷媒ガスを即座に検知しやすくなる。
【0059】
特に、本実施の形態において、冷媒センサ70のセンサ素子71は、素子ケース72に囲まれている。センサ素子71が素子ケース72に囲まれることで、センサ素子71を保護することができる一方で、センサ素子71に冷媒ガスが到達しにくくなる。本実施の形態によれば、ケース開口部72hは、凹部88の凹む方向である上下方向Zにおいて凹部88と対向する。このため、凹部88で流速を低下させて凹部88から流出する冷媒ガスを、ケース開口部72hを介して素子ケース72の内部に導くことができる。
【0060】
さらに、本実施の形態の凹部88は、上側に向かって凹み下側に開口する。また、本実施の形態の素子ケース72のケース開口部72hは、凹部88の下側で上側に開口する。本実施の形態によれば、凹部88で流速が低下して重力によって下側に流れ落ちる流体を素子ケース72の内部に導くことができる。
【0061】
また、上述したように、凹部88には、第3冷媒流入口87が開口する。第3冷媒流入口87は、ハウジング80の上面に沿って流れる冷媒ガスを収容空間Aに導く。本実施の形態によれば、冷媒センサユニット60が、周囲のより幅広い範囲の冷媒ガスを検知しやすくなり、冷媒センサユニット60の応答性を高めることができる。
【0062】
本実施の形態の第3冷媒流入口87は、凹部88の内部に開口する。このため、第3冷媒流入口87から収容空間Aに流入する冷媒ガスは、凹部88に対向する冷媒センサ70にスムーズに導くかれ即座に検知される。
【0063】
本実施の形態の第3冷媒流入口87は、凹部88の側壁面88bに開口する。側壁面88bは、水平方向を向く面である。本実施の形態によれば、冷媒流入口が上壁面88aに開口する場合と比較して、第3冷媒流入口87が収容空間Aに結露水を侵入させにくい。
【0064】
図9に示すように、第1上板部82aは、水平面Hpに対して傾斜した方向に延びる。したがって、第1上板部82aの上面は、後側(-X)に向かうに従って下側に位置する向きに傾斜する。ここで、ハウジング80の上面のうち、第1上板部82aの上面を傾斜領域82tと呼ぶ。傾斜領域82tは、前側(+X)の端部で第3冷媒流入口87の下端に繋がる。本実施の形態によれば、傾斜領域82tに付着する結露水を、重力によって第3冷媒流入口87から離れる方向に流すことができる。これにより、収容空間Aに結露水が侵入することを抑制することができる。
【0065】
水平面Hpに対する傾斜領域82tの傾斜角度αは、1°以上10°以下とすることが好ましい。傾斜角度αを、1°以上とすることで、結露水が第3冷媒流入口87に向かって流れることを抑制することができる。また、傾斜角度αを、10°以下とすることで、筐体11の内部における冷媒センサユニット60の配置空間をコンパクトにしやすく、またハウジング80の収容空間Aを十分に広く確保しやすい。
【0066】
(まとめ)
図1に示すように、本実施の形態の室内機10は、冷媒が循環する冷媒回路を有する空気調和機100の室内機10である。
図5に示すように、室内機10は、冷媒センサユニット60を有する。
図8に示すように、冷媒センサユニット60は、気化した冷媒を検知する冷媒センサ70、および冷媒センサ70を収容するハウジング80を有する。ハウジング80は、第1冷媒流入口85と、凹部88と、を有する。第1冷媒流入口85は、冷媒センサ70を収容する収容空間Aに気化した冷媒を導く。凹部88は、収容空間Aを囲む内側面80fに設けられる。凹部88は、冷媒センサ70と対向する。この構成によれば、収容空間Aで冷媒ガスを凹部88内に流入させることで冷媒ガスの流速を低下させた状態で、冷媒ガスを冷媒センサ70に検知させることができる。これにより、収容空間A内を冷媒ガスで充満させることなく冷媒センサ70が冷媒ガスを検知することが可能となり、冷媒センサユニット60による冷媒ガスの検知の応答性を高めることができる。
【0067】
本実施の形態において、第1冷媒流入口85と冷媒センサ70と結ぶ方向(本実施の形態の前後方向X)を第1方向とする。第1方向(前後方向X)と直交する方向(本実施の形態の上下方向Z)を第2方向とする。凹部88は、第2方向(上下方向Z)において冷媒センサ70と対向して第2方向(上下方向Z)に凹む。この構成によれば、収容空間Aにおいて第1冷媒流入口85から冷媒センサ70に向かって第1方向(前後方向X)に流れる冷媒ガスは、流動方向を第2方向(上下方向Z)に変えて凹部88内に流入する。このため、凹部88内で冷媒ガスを旋回させて冷媒ガスの流速を低下させることができる。結果的に、流速が低下した状態の冷媒ガスを冷媒センサ70に導くことができ、冷媒ガスが冷媒センサ70に検知されることなく冷媒センサ70の周囲を流れてしまうことを抑制でき、冷媒センサ70が冷媒ガスを検知しやすくなる。結果的に、冷媒センサユニット60による冷媒ガスの検知の応答性を高めることができる。
【0068】
本実施の形態において、ハウジング80は、第2冷媒流入口86を有する。第2冷媒流入口86は、冷媒センサ70を収容する収容空間Aに気化した冷媒を導く。第1冷媒流入口85および第2冷媒流入口86は、冷媒センサ70に対し第1方向(前後方向X)の一方側(前側)および他方側(後側)にそれぞれ位置する。室内機10の送風機15が駆動すると、筐体11の内部であって風路の外に配置される冷媒センサユニット60の周囲にも緩やかな空気の流れが生じる。上述の構成によれば、冷媒センサユニット60の周囲に形成される空気の流れが、前後方向Xの一方側および他方側の何れの方向に空気が流れる場合であっても、ハウジング80の収容空間Aに冷媒ガスを導くことができる。さらに、上述の構成によれば、第1冷媒流入口85と第2冷媒流入口86とは、前後方向Xに並んで配置される。また、冷媒センサ70は、前後方向Xにおいて、第1冷媒流入口85と第2冷媒流入口86との間に配置される。このため、収容空間Aを第1冷媒流入口85から第2冷媒流入口86の向かって流れる経路、又は第2冷媒流入口86から第1冷媒流入口85の向かって流れる経路の途中に冷媒センサ70を配置することができる。これにより、送風機15によって生じる空気の流れに乗る冷媒ガスを、収容空間Aの内部の冷媒センサ70に導きやすくなり、冷媒ガスの検知の応答性を高めることができる。
【0069】
本実施の形態において、冷媒センサ70は、センサ基板73と、センサ素子71と、筒状の素子ケース72と、を有する。センサ基板73は、実装面73aを有する。センサ素子71は、実装面73aに実装される。素子ケース72は、実装面73aに固定されセンサ素子71を囲み前記実装面から直交する方向に延びる。素子ケース72の実装面73aの反対側の端部には、素子ケース72の内部に気化した冷媒を導くケース開口部72hが設けられる。ケース開口部72hは、第2方向(上下方向Z)において凹部88と対向する。この構成によれば、素子ケース72が、センサ素子71を水分および埃等から保護することができる。また、凹部88の内部で流速が低減し、凹部88の内部から流出する冷媒ガスを、ケース開口部72hを介して素子ケース72の内部に導くことができる。これにより、素子ケース72内のセンサ素子71で冷媒ガスを即座に検知することができる。
【0070】
本実施の形態において、凹部88は、上側に向かって凹む。また、ケース開口部72hは、凹部88の下側で上側に開口する。この構成によれば、凹部88で流速が低下して重力によって下側に流れ落ちる流体を素子ケース72の内部に導きやすい。
【0071】
本実施の形態において、凹部88は、下側を向く上壁面88aと、前記上壁面88aから下側に延び水平方向を向く側壁面88bと、を有する。ハウジング80は、側壁面88bに開口する第3冷媒流入口87を有する。この構成によれば、冷媒センサユニット60の第2方向の一方側(上側)を流れる冷媒を、第3冷媒流入口87を介して収容空間Aに導くことができる。これにより、冷媒センサユニット60の周囲の冷媒ガスを冷媒センサ70によって検知しやすくなり、冷媒センサユニット60の応答性を高めることができる。また、上述の構成によれば、第3冷媒流入口87は、側壁面88bに開口するため、第3冷媒流入口87を介して結露水が収容空間Aに侵入することを抑制できる。
【0072】
本実施の形態において、ハウジング80の上面には、第3冷媒流入口87の下端縁に連なる傾斜領域82tが設けられる。傾斜領域82tは、第3冷媒流入口87から離れるに従い下側に位置する向きに傾斜する。
図9に示すように、この構成によれば、傾斜領域82tに付着する結露水が、重力によって第3冷媒流入口87から離れる方向に流れ第3冷媒流入口87を介して結露水が収容空間Aに侵入することを抑制できる。
【0073】
(変形例1)
図11は、上述の実施の形態に採用可能な、変形例1の冷媒センサユニット160の断面図である。本変形例の説明において、既に説明した実施の形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。本変形例の冷媒センサユニット160は、上述の実施の形態と比較して、ハウジング180が第3冷媒流入口87(
図8参照)を有さない点が主に異なる。
【0074】
上述の実施の形態と同様に、本変形例の冷媒センサユニット160は、冷媒センサ70、および冷媒センサ70を収容するハウジング180を有する。また、ハウジング180は、ハウジング180の収容空間Aを囲むベース部材81、および蓋部材182を有する。蓋部材182の下面には、凹部88が設けられる。凹部88は、冷媒センサ70の上側に位置する。
【0075】
本変形例において、凹部88の内側面に冷媒流入口が設けられていない。このため、第1冷媒流入口85又は第2冷媒流入口86から収容空間Aに流入し、さらに凹部88の内部に流入した冷媒ガスが、冷媒センサユニット160の外部に流出しにくい。このため、冷媒センサユニット160の収容空間Aに流入した冷媒ガスをより確実に冷媒センサユニット160で検知することが可能となる。本変形例の構成は、冷媒センサユニット160の上側を冷媒ガスが通過しにくい場合に、上述の実施の形態と比較して冷媒ガスセンサ検知の応答性を高めることができる。
【0076】
(変形例2)
図12は、上述の実施の形態に採用可能な、変形例2の冷媒センサユニット260の断面図である。本変形例の説明において、既に説明した実施の形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。本変形例の冷媒センサユニット260は、上述の実施の形態と比較して、ハウジング280が、ベース部材281に着脱可能に取り付けられるセンサ支持部材289を有する点が主に異なる。
【0077】
上述の実施の形態と同様に、本変形例の冷媒センサユニット260は、冷媒センサ70、および冷媒センサ70を収容するハウジング280を有する。冷媒センサ70は、ハウジング280の収容空間Aに配置される。本変形例のハウジング280は、ベース部材281および蓋部材282に加えて、センサ支持部材289を有する。
【0078】
ベース部材281は、センサ支持部材289を支持する。ベース部材281は、前後方向Xに対向する第1壁部281aと第2壁部281bとを有する。第1壁部281aは、第2壁部281bの前側(+X)に位置する。第1壁部281aと第2壁部281bとの間の隙間には、センサ支持部材289が配置される。以下の説明において、第1壁部281aと第2壁部281bとの間の隙間を配置空間Bと呼ぶ。配置空間Bは、下側(-Z)に開口する。
【0079】
第1壁部281aには、上側(+Z)を向く第1段差面281cが設けられる。第2壁部281bには、上側(+Z)を向く第2段差面281dが設けられる。本変形例において、第2段差面281dは、第1段差面281cよりも上側(+Z)に位置する。本変形例において。第2壁部281bは、上端部が前後方向Xに移動する方向に弾性変形可能である。
【0080】
蓋部材282は、ベース部材281の上側に固定される。蓋部材282は、配置空間Bを上側から覆う。蓋部材282の下面には、上側に向かって凹む凹部288が設けられる。凹部288は、配置空間Bの直上に配置される。また、蓋部材282の後側(-X)の端部には、冷媒流入口286が設けられる。すなわち、ハウジング280は、冷媒流入口286を有する。冷媒流入口286は、収容空間Aに後側(-X)から冷媒ガスを導く。
【0081】
センサ支持部材289は、箱状である。センサ支持部材289には、冷媒センサ70を囲む支持空間Cを有する。支持空間Cは、収容空間Aの一部を構成する。センサ支持部材289は、支持空間Cを上側から覆う天板部289aと、支持空間Cを下側から覆う底板部289bと、支持空間Cを前側(+X)から覆う前板部289cと、支持空間Cを後側(-X)から覆う後板部289dと、を有する。図示を省略するが、本変形例のセンサ支持部材289は、支持空間Cを左右方向Yの両側から覆う側板部をさらに有する。
【0082】
天板部289aおよび底板部289bは、上下方向Zと直交する平面に沿って延びて上下方向Zに対向する。底板部289bは、センサ基板73の下面に沿って延びる。前板部289cおよび後板部289dは、前後方向Xと直交する平面に沿って延びて前後方向Xに対向する。前板部289cには、第1溝部289eが設けられる。第1溝部289eは、後側(-X)に開口し左右方向Yに延びる。同様に、後板部289dには、第2溝部289gが設けられる。第2溝部289gは、前側(+X)に開口し左右方向Yに延びる。第1溝部289eの開口と第2溝部289gの開口とは、前後方向Xにおいて互いに対向する。第1溝部289eおよび第2溝部289gの溝幅は、センサ基板73の板厚よりも若干大きい。第1溝部289eおよび第2溝部289gには、センサ基板73が挿入される。これにより、センサ支持部材289は、冷媒センサ70を支持する。
【0083】
前板部289cの下端部には、前側(+X)に突出し左右方向Yに延びる第1リブ289jが設けられる。第1リブ289jは、ベース部材281の第1段差面281cに搭載される。後板部289dの上端部には、後側(-X)に突出し左右方向Yに延びる第2リブ289kが設けられる。第2リブ289kは、ベース部材281の第2段差面281dに搭載される。これにより、センサ支持部材289は、ベース部材281に支持される。
【0084】
天板部289aは、センサ基板73の上側に位置する。天板部289aには、窓部289wが設けられる。窓部289wは、天板部289aを上下方向Zに貫通する。窓部289wには、素子ケース72の一部が配置される。すなわち、素子ケース72の先端部は、窓部289wの内側に配置される。上述の実施の形態と同様に、素子ケース72の先端部には、素子ケース72の内部に冷媒ガスを導くケース開口部72hが設けられる。したがって、本変形例において、ケース開口部72hは、センサ支持部材289の外部であって収容空間A内に配置される。また、ケース開口部72hは、凹部288の下側で上側に開口する。
【0085】
図13は、本変形例の冷媒センサユニット260の分解斜視図である。本変形例のハウジング280において、センサ支持部材289は、ベース部材281に対して着脱可能である。作業者は、まず、
図12に示す第1リブ289jを、ベース部材281の第1段差面281cに引っ掛ける。次いで、作業者は、センサ支持部材289の第2リブ289kを上側(+Z)に移動させる。これにより、作業者は、ベース部材281の第2壁部281bを後側(-X)に弾性変形させて、第2リブ289kをベース部材281の第2段差面281dの上側に移動する。これにより、センサ支持部材289が、ベース部材281の第1段差面281cおよび第2段差面281dに搭載されて、センサ支持部材289がベース部材281に支持される。
【0086】
本変形例のハウジング280は、上述の実施の形態と同様に、収容空間Aに気化した冷媒を導く冷媒流入口286と、冷媒センサ70と対向する凹部288と、を有する。本変形例によれば、収容空間Aで冷媒ガスを凹部288内に流入させることで冷媒ガスの流速を低下させた状態で、冷媒ガスを冷媒センサ70に検知させることができ、冷媒センサユニット260による冷媒ガスの検知の応答性を高めることができる。
【0087】
また、本変形例のハウジング280は、ベース部材281と、冷媒センサ70を支持するとともに、ベース部材281に着脱可能に取り付けられるセンサ支持部材289と、を有する。本変形例によれば、冷媒センサ70を、センサ支持部材289とともにベース部材281から取り外すことが可能となり、冷媒センサ70のメンテナンスが容易となる。また、空気調和機100において、冷媒センサ70の必要性は、循環する冷媒の量によって変わる。例えば、冷媒センサ70は、1つの室内機10に対し1つの室外機20が接続される場合に必ずしも必要でなく、複数の室外機20が接続される場合に必要となる場合などが考えられる。本変形例によれば、冷媒センサ70の必要性に応じて、ベース部材281に冷媒センサ70を支持するセンサ支持部材289を取り付けることができる。これにより、様々な構成の空気調和機100に対応可能な室内機10を提供できる。
【0088】
ハウジング280には、配置空間Bを下側から覆う外郭パネル(図示略)が取り付けられる。冷媒センサ70を取り付ける際には、外郭パネルを外して、
図13に示すように、配置空間Bを下側に開口させる。次いで、室内機10の制御部(図示略)から延び出て配置空間Bに収容される接続リード線L1を引き出す。さらに、この接続リード線L1を、センサ基板73から延び出てセンサ支持部材289の外部に引き出されるセンサ側リード線L2に接続し、さらにセンサ支持部材289を配置空間Bに収容する。
【0089】
なお、本変形例において、ハウジング280に1つの冷媒流入口286のみが設けられる場合について説明したが、ハウジング280は、冷媒センサ70に対し前側(+X)および後側(-X)に位置する2つの冷媒流入口(第1冷媒流入口および第2冷媒流入口)を有していてもよい。さらに、ハウジング280は、凹部288の側壁面に開口する第3冷媒流入口を有していてもよい。
【0090】
以上に本開示における実施の形態およびその変形例について説明したが、本開示は上述した各実施の形態およびその変形例の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。また、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0091】
例えば、上述の実施の形態では、冷媒センサユニットを壁掛け型の室内機に採用する場合について説明した。しかしながら、実施の形態の冷媒センサユニットは、他のタイプの室内機に用いることもできる。
【0092】
上述の実施の形態では、凹部が上側に凹み下側に開口する場合についてのみ例示した。しかしながら、凹部の凹む方向は、上述の実施の形態に限定されない。また、上述の実施の形態では、冷媒センサが、基板、センサ素子、および素子ケースを有する場合について説明したが、冷媒センサの構成は、これらを有する場合に限定されない。
【符号の説明】
【0093】
10…室内機、20…室外機、30…冷媒回路、33…冷媒、60,160…冷媒センサユニット、70…冷媒センサ、71…センサ素子、72…素子ケース、72h…ケース開口部、73…センサ基板(基板)、73a…実装面、78…素子、80,180…ハウジング、80f…内側面、82t…傾斜領域、85…第1冷媒流入口、86…第2冷媒流入口、87…第3冷媒流入口、88…凹部、88a…上壁面、88b…側壁面、100…空気調和機、A…収容空間
【要約】
本開示に係る室内機の一つの態様は、気化した冷媒を検知する冷媒センサ、および冷媒センサを収容するハウジングを有する冷媒センサユニットを有し、ハウジングは、冷媒センサを収容する収容空間に気化した冷媒を導く第1冷媒流入口と、収容空間を囲む内側面に設けられ冷媒センサと対向する凹部と、を有する。