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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】制御装置及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/06 20160101AFI20250516BHJP
【FI】
H02P25/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2025504382
(86)(22)【出願日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2024026303
【審査請求日】2025-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 裕司
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-026199(JP,A)
【文献】特開2014-014257(JP,A)
【文献】国際公開第2021/157239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って移動する少なくとも1つの可動子と、前記搬送路に沿って配置される複数のコイルユニットと、前記可動子に設けられるスケールヘッドと、前記搬送路に沿って既定の間隔で配置され、前記スケールヘッドの位置を検出するスケールユニットと、前記コイルユニットに駆動電流を供給する駆動装置とを備えた搬送システムに適用可能に構成される制御装置であって、
前記制御装置は、
前記スケールヘッドの位置を検出した前記スケールユニットの検出データに基づいて、前記可動子の位置情報である可動子位置を計算する可動子位置計算部と、
前記可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する可動子速度計算部と、
前記前回の計算値と前記今回の計算値とが異なるスケールユニットでの計算値である場合に前記可動子速度を補正する可動子速度補正部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記可動子位置が可動子位置目標値に追従するように推力指令を計算する推力指令計算部を備え、
前記可動子速度補正部は、前記可動子が前記スケールユニットを乗り換える際に、1更新周期前に計算された前記可動子速度を前記推力指令計算部に出力し、
前記1更新周期は、可動子速度演算の1周期である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記可動子速度補正部は、前記可動子が形状の異なる前記スケールユニットを乗り換える際に、前記可動子が存在する前記スケールユニットと隣接する前記スケールユニットとの形状に応じて前記可動子速度を補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記可動子速度補正部は、前記可動子が形状の異なる前記スケールユニットを乗り換える際には、前記可動子が存在する前記スケールユニットと隣接する前記スケールユニットとの形状から計算される前記可動子の幾何学的な軌跡に応じて前記可動子速度を補正する
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記可動子速度補正部には、前記可動子速度を補正するための補正値、前記補正値を近似した近似値又は前記近似値を計算するための係数値が予め保持されており、
前記可動子速度補正部は、前記補正値、前記近似値又は前記係数値を用いて前記可動子速度を補正する
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
搬送路に沿って移動する少なくとも1つの可動子と、
前記搬送路に沿って配置される複数のコイルユニットと、
前記可動子に設けられるスケールヘッドと、
前記搬送路に沿って既定の間隔で配置され、前記スケールヘッドの位置を検出するスケールユニットと、
前記コイルユニットに駆動電流を供給する駆動部と、
前記スケールヘッドの位置を検出した前記スケールユニットの検出データに基づいて、前記可動子の位置情報である可動子位置を計算する可動子位置計算部と、
前記可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する可動子速度計算部と、
前記前回の計算値と前記今回の計算値とが異なるスケールユニットでの計算値である場合に前記可動子速度を補正する可動子速度補正部と、
を備えることを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物を搬送する搬送システムに適用可能に構成される制御装置及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクトリーオートメーションが導入される生産ライン、例えば工業製品を組み立てるための生産ライン、又は食品を包装するための生産ラインなどには、ワークを搬送する搬送システムが一般的に用いられる。近年、ワークを搬送する搬送路を複数のゾーンに分割し、ワークが載せられた台車を、各ゾーンに配置された制御装置によって走行させる搬送システムが多く用いられている。このような搬送システムは、生産効率の面で優れた搬送システムの1つである。
【0003】
搬送システムの一形態として、可動子である台車にマグネットとスケールヘッドとが配置され、搬送路の固定子にコイルユニットとスケールユニットとが配置された、いわゆるムービングマグネット型のリニアモータが活用されている。ムービングマグネット型のリニアモータは、コイルを可動子とするムービングコイル型のリニアモータと比較して長距離の搬送に適している。一方、ムービングマグネット型のリニアモータは、可動子のサイズに比べて長距離の搬送を必要とする場合、搬送距離に応じた複数のコイルが必要となる。また、ムービングマグネット型のリニアモータを用いた搬送システムでは、複数の台車を個別に制御でき、且つ複数の台車が隣接する場合においても、台車の移動を高精度に制御できることが要望されている。
【0004】
また、搬送システムには、複数の固定子を搬送路に配置し、直線型の搬送路と曲線型の搬送路とを組み合わせて周回構造にすることで、複数の可動子を1周させる使用形態がある。本使用形態では、可動子が形状の異なる搬送路を乗り換えながら1周することになる。
【0005】
下記特許文献1には、複数のコイルを備えた固定子と、固定子に沿って移動してワークを搬送する複数の可動子と、可動子に設けられたスケールと、スケールを検出する複数のセンサとを備えたリニア搬送システムが開示されている。複数の可動子はマグネットを有し、複数のセンサは固定子に沿って既定の間隔で配置されている。また、特許文献1に記載のリニア搬送システムは、パラメータ記録部と、位置算出部とを備える。パラメータ記録部は、既定の間隔の設定値と測定値との誤差を補正するための誤差補正値を原点から累積した第1累積値を、センサごとに別々のパラメータとして記録する。位置算出部は、スケールユニットを検出したセンサの検出データと、スケールユニットを検出したセンサに設定された第1累積値とに基づいて可動子の位置を算出する。特許文献1によれば、センサの検出データ及び当該センサに対して設定されたパラメータのみを使用して可動子の機械座標位置を算出できるので、可動子の機械座標位置を速やかに算出できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第7316554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ムービングマグネット型のリニアモータを用いた搬送システムでは、固定子である複数のコイルユニットを乗り換えながら可動子が移動し、コイルユニット間にはコイルユニット間ごとに異なる長さの隙間が存在する。コイルユニット間ごとに異なる長さの隙間が存在すれば、必然的に、スケールヘッドの位置を検出するスケールユニット間にも異なる長さの隙間が存在することになる。このため、ムービングマグネット型のリニアモータを用いた搬送システムでは、計算される可動子速度と実際の可動子速度との間には、隙間の長さのばらつきに応じた誤差が発生するという問題が生じる。
【0008】
この問題に対し、特許文献1の技術では、コイルユニット間には異なる長さの隙間が存在するという前提の下で、コイルユニット間の異なる長さの隙間を誤差として扱って、当該誤差を補正することが考慮されている。このため、特許文献1の技術を用いれば、可動子がコイルユニットを乗り換えても、可動子位置の計算精度を向上させることができ、可動子位置の差分値から計算される可動子速度と実際の可動子速度との間の誤差を小さくすることが可能となる。
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、可動子位置の差分値から計算される可動子速度と実際の可動子速度との間の誤差を小さくするには、コイルユニット間ごとに異なる隙間の長さを精度よく測定する必要があるのと共に、コイルユニット間の隙間の長さは、個々のシステムによっても異なる。このため、特許文献1の技術では、システム構築の調整作業に要する工数が増大するという問題がある。また、特許文献1の技術では、可動子位置の差分値から計算される可動子速度と実際の可動子速度との間の誤差のうち、可動子の軌跡がスケールユニットからずれることにより発生する誤差は、補正できないという問題がある。
【0010】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、システム構築の調整作業に要する工数を削減でき、可動子の軌跡がスケールユニットからずれることにより発生する誤差を補正できる制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本開示に係る制御装置は、少なくとも1つの可動子と、複数のコイルユニットと、可動子に設けられるスケールヘッドと、スケールヘッドの位置を検出するスケールユニットと、コイルユニットに駆動電流を供給する駆動装置とを備えた搬送システムに適用可能に構成される。複数のコイルユニットは、搬送路に沿って配置され、スケールユニットは、搬送路に沿って既定の間隔で配置され、少なくとも1つの可動子は、搬送路に沿って移動する。制御装置は、可動子位置計算部と、可動子速度計算部と、可動子速度補正部とを備える。可動子位置計算部は、スケールヘッドの位置を検出したスケールユニットの検出データに基づいて、可動子の位置情報である可動子位置を計算する。可動子速度計算部は、可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する。可動子速度補正部は、可動子位置に応じて可動子速度を補正する。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る制御装置によれば、システム構築の調整作業に要する工数を削減でき、可動子の軌跡がスケールユニットからずれることにより発生する誤差を補正できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る制御装置を備えた搬送システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る制御装置及び駆動装置の構成例を示す図
図3】実施の形態1における可動子位置の計算方法の説明に供する図
図4】実施の形態1に係る位置速度制御部の構成例を示す図
図5】実施の形態1に係る軌跡誤差補正部の動作説明に供する第1の図
図6】実施の形態1に係る軌跡誤差補正部の動作説明に供する第2の図
図7】実施の形態1に係る可動子速度補正部に内部可動子速度切り換え部を設けることの効果の説明に供する図
図8】実施の形態1に係る制御装置及び駆動装置の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図
図9】実施の形態1に係る制御装置及び駆動装置の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図
図10】実施の形態2に係る制御装置及び駆動装置の構成例を示す図
図11】実施の形態2に係る位置速度制御部の構成例を示す図
図12】実施の形態2に係る軌跡誤差補正部の動作説明に供する図
図13】実施の形態2に係る軌跡誤差補正部において実施される補正処理の説明に供する図
図14】実施の形態2に係る軌跡誤差補正部に保持される補正値テーブルの例を示す図
図15】実施の形態2に係る軌跡誤差補正部に保持される係数値テーブルの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照し、本開示の実施の形態に係る制御装置及び搬送システムについて詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
実施の形態1に係る搬送システムは、物の搬送に使用されるシステムである。搬送システムは、物が載せられた可動子を移動させることによって物を搬送する。可動子の例は、台車である。
【0016】
図1は、実施の形態1に係る制御装置1を備えた搬送システム10の構成例を示す図である。実施の形態1に搬送システム10は、図1に示すように、制御装置1と、駆動装置2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H(以下、適宜「2A~2H」と表記、他の符号も同様に表記)と、コイルユニット3A~3Hと、可動子4A~4Cと、スケールヘッド5A~5Cとを備える。以下、駆動装置2A~2Hの各々を区別せずに個別に示す場合、「駆動装置2」と総称する。コイルユニット3A~3H、可動子4A~4C及びスケールヘッド5A~5Cについても同様である。
【0017】
実施の形態1に係る搬送システム10は、ムービングマグネット型のリニアモータである。複数の駆動装置2は、互いに連結されている。搬送システム10では、複数の駆動装置2が互いに連結されることで、可動子4が移動する搬送路8が構成される。複数のコイルユニット3は、搬送路8に沿って配置され、可動子4は搬送路8に沿って移動する。搬送路8の側面には、図1では図示しないガイドレールが設けられる。可動子4は、図1では図示しない永久磁石とガイドローラとを備え、ガイドローラが回転することによってガイドレール上を移動する。可動子4は、搬送路8の側面において移動し、搬送路8の側面において停止する。なお、ガイドレールは、搬送路8の上面に設けられていてもよい。
【0018】
駆動装置2は、コイルユニット3に駆動電流を供給する。コイルユニット3に駆動電流が供給されると、可動子4に推力が与えられ、可動子4は移動する。駆動装置2A,2B,2E,2Fは、搬送路8が直線経路である直線型の駆動装置2として構成され、駆動装置2C,2D,2G,2Hは、搬送路8が曲線経路である曲線型の駆動装置2として構成されている。
【0019】
なお、図1には、搬送路8について、環状の閉じた経路が示されているが、経路の形状は任意であり、この例に限定されない。搬送システム10の搬送路8は、開いた経路でもよい。即ち、搬送システム10の搬送路8は、始点及び終点を有する経路でもよい。また、搬送路8は、直線経路を持たず、曲線経路のみを持つものであってもよい。
【0020】
各可動子4の進行方向は、図1における時計回りの方向、又は図1における反時計回りの方向である。進行方向のうち、図1における時計回りの方向を、順方向とする。進行方向のうち、図1における反時計回りの方向を、逆方向とする。矢印17Aは順方向を表し、矢印17Bは逆方向を表す。
【0021】
図1に示す例では、搬送システム10は、8個の駆動装置2と、3個の可動子4とを備える。搬送システム10に備えられる駆動装置2の数は、任意であるものとする。即ち、搬送路8を構成する駆動装置2の数は任意であり、搬送路8を移動する可動子4の数も任意である。また、搬送路8を移動する可動子4の数は、1個でもよい。
【0022】
制御装置1は、データ通信線7を介して各駆動装置2に接続されている。制御装置1は、複数の駆動装置2の各々を制御する。データ通信線7は、制御装置1と、複数の駆動装置2の1つである駆動装置2とを接続する通信線と、互いに隣り合う駆動装置2同士を接続する通信線とにより構成される。即ち、搬送システム10は、ディジーチェーン接続により制御装置1が各駆動装置2に接続される構成である。なお、制御装置1と各駆動装置2との接続形態は、ディジーチェーン接続に限られない。制御装置1と各駆動装置2との接続形態は、各駆動装置2が通信ハブを介して制御装置1と接続されるスター接続でもよい。或いは、搬送システム10は、複数のデータ通信線7を備え、制御装置1と各駆動装置2とがデータ通信線7により直接接続される構成でもよい。また、データ通信線7は、物理的な通信線ではなく、無線通信可能な通信路であってもよい。
【0023】
次に、図2を参照して、制御装置1及び駆動装置2の構成及び機能について説明する。図2は、実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の構成例を示す図である。
【0024】
図2には、駆動装置2Aと、固定子であるコイルユニット3Aと、可動子4Aと、可動子4Aに設けられるスケールヘッド5Aと、スケールヘッド5Aの位置を検出するスケールユニット6Aとが示されている。また、図2には、駆動装置2Bと、コイルユニット3Bと、可動子4Bと、可動子4Bに設けられるスケールヘッド5Bと、スケールヘッド5Bの位置を検出するスケールユニット6Bとが示されている。また、図2には、制御装置1が示されている。スケールユニット6A,6Bは、搬送路8に沿って既定の間隔で配置される。以下、スケールユニット6A,6Bの各々を区別せずに個別に示す場合、「スケールユニット6」と総称する。
【0025】
駆動装置2Aは、駆動部20Aと、データ通信部21Aと、検出器通信部24Aと、電流検出器23Aとを備える。駆動部20Aは、複数の電流制御部22Aを備え、コイルユニット3Aは、駆動部20Aの電流制御部22Aに1対1で接続される複数のコイル9Aを備える。図2では搬送路8を図示していないが、複数のコイル9Aは、搬送路8に沿って配置される。また、複数のコイル9Aは、図2に示されるように、単相のコイルである。駆動装置2Bも駆動装置2Aと同様に、駆動部20Bと、データ通信部21Bと、検出器通信部24Bとを備える。
【0026】
可動子4Aは、永久磁石40を備えている。可動子4Aが具備する永久磁石40は、可動子4Aの駆動に寄与する永久磁石である。
【0027】
なお、図1を参照して説明したように、駆動装置2A,2B,2E,2Fは、共に直線型の駆動装置2である。直線型の駆動装置2において、搬送路8の形状は直線形状であり、搬送路8に沿って配置されるスケールユニット6の形状も直線形状である。一方、駆動装置2C,2D,2G,2Hは、曲線型の駆動装置2である。曲線型の駆動装置2において、搬送路8の形状は曲線形状であり、搬送路8に沿って配置されるスケールユニット6の形状も曲線形状である。
【0028】
図2では、コイルユニット3Aにおける5つのコイル9Aに符号9A1~9A5が付され、駆動部20Aにおける5つの電流制御部22Aに符号22A1~22A5が付され、電流検出器23Aに符号23A1~23A5が付されている。ここで、符号9A1~9A5が付された5つのコイル9Aは、可動子4Aの備える永久磁石40から発せられる磁界の影響を受ける範囲に配置されたコイルであり、可動子4Aの駆動に寄与するコイルである。また、符号22A1~22A5が付された5つの電流制御部22Aは、符号9A1~9A5が付されたコイル9Aと接続されている電流制御部である。また、符号23A1~23A5が付された5つの電流検出器23Aは、コイル9A1~9A5に流れる電流を検出する電流検出器である。以下、コイル9A1~9A5の各々を区別せずに個別に示す場合、「コイル9A」と総称する。また、電流制御部22A1~22A5の各々を区別せずに個別に示す場合、「電流制御部22A」と総称する。また、電流検出器23A1~23A5の各々を区別せずに個別に示す場合、「電流検出器23A」と総称する。
【0029】
可動子4Aとコイルユニット3Aとの位置関係が図2に示すような場合、可動子4Aから遠いコイル9Aは、可動子4Aの駆動には大きく寄与しない。実施の形態1では、コイル9A1~9A5が可動子4Aの駆動に寄与するコイルとして説明する。そして、コイル9A1~9A5には、それぞれ1対1で接続される電流制御部22A1~22A5によって駆動電流が供給される。なお、1つの可動子4の駆動に寄与するコイル9Aの数は、可動子4の永久磁石40のサイズや磁界の強さなどにより影響を受ける範囲に配置されているコイル9Aの数で決まるものである。ここで説明した1つの可動子4Aを駆動するコイル9Aの数は一例であり、この例に限定されない。即ち、1つの可動子4Aの駆動に寄与するコイル9Aの数は、5つ以外であってもよい。
【0030】
スケールヘッド5は、可動子4と共にスケールユニット6上を移動する。スケールユニット6は、可動子4の位置情報である可動子位置を検出して駆動装置2の検出器通信部24に送信する。具体的に、スケールユニット6Aは、可動子4Aに設けられているスケールヘッド5Aの位置から、コイルユニット3A内における可動子位置を表すユニット内位置yAを検出し、検出したユニット内位置yAを検出器通信部24Aに送信する。スケールユニット6Bも同様に動作する。スケールヘッド5は、例えば位置検出用の永久磁石で構成することができ、スケールユニット6は、位置検出用の永久磁石の磁界を検出するセンサ素子を備えるように構成することができる。
【0031】
制御装置1は、可動子位置目標値生成部11と、位置速度制御部12と、電流指令生成部13と、データ通信部14と、可動子位置計算部15とを備える。
【0032】
データ通信部14とデータ通信部21Aとは通信線7Aで接続され、データ通信部21Aとデータ通信部21Bとは通信線7Bで接続されている。この接続形態は、前述したディジーチェーン接続であり、データ通信部14とデータ通信部21Aとが送受する通信データTxRxには、駆動装置2Aの情報だけでなく、駆動装置2B~2Hに関する情報も含まれる。駆動装置2Aのデータ通信部21Aは、データ通信部14から受信した通信データTxRxを駆動装置2Bのデータ通信部21Bに送信する。データ通信部21Bも同様に、受信した通信データTxRxを後続の図2では図示しない駆動装置2Cに送信する。
【0033】
データ通信部14は、ユニット内位置yの情報を駆動装置2Aのデータ通信部21Aを介して受信する。データ通信部14が受信するユニット内位置yには、可動子4Aのユニット内位置yAだけでなく、可動子4B,4Cのユニット内位置も含まれている。
【0034】
可動子位置目標値生成部11は、可動子4を移動させる位置を示す可動子位置目標値xrefを生成して位置速度制御部12へ出力する。本稿において、可動子位置目標値xrefを生成する方式は、任意の方式でよい。なお、図2では、可動子位置目標値xrefが制御装置1の内部で生成されるように構成されているが、この構成に限定されない。可動子位置目標値xrefは、外部から制御装置1に入力される構成でもよい。可動子位置目標値xrefは、搬送システム10内に存在する全ての可動子4に対する可動子位置目標値を含んでいる。
【0035】
位置速度制御部12は、可動子位置目標値生成部11から可動子4の可動子位置目標値xrefを取得し、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得する。位置速度制御部12は、可動子位置xが可動子位置目標値xrefに追従するように推力指令τrefを生成して電流指令生成部13へ出力する。本稿において、可動子位置目標値xrefに可動子位置xが追従するように推力指令τrefを生成する方式は、任意の方式でよい。推力指令τrefは、可動子4ごとに生成される。可動子位置目標値xrefと同様に、推力指令τrefは、搬送システム10内に存在する全ての可動子4に対する推力指令を含んでいる。
【0036】
電流指令生成部13は、位置速度制御部12から推力指令τrefを取得し、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得する。電流指令生成部13は、可動子4に発生する推力が推力指令τrefに追従するように、複数のコイルユニット3に流す駆動電流の目標値である電流目標値を電流指令Irefとして生成する。電流指令生成部13で生成される電流指令Irefは、搬送システム10内に存在する全てのコイルユニット3における複数のコイル9Aに対する電流指令を含んでいる。なお、電流指令Irefは、全てのコイル9Aに対して同じであるとは限らず、電流指令Irefはコイル9A毎に異なってもよい。電流指令生成部13が生成した電流指令Irefは、データ通信部14に出力される。データ通信部14は、電流指令生成部13が生成した電流指令Irefを取得してデータ通信部21Aに送信する。
【0037】
可動子位置計算部15は、可動子4のスケールヘッド5を検出したスケールユニット6の検出データに基づいて、可動子位置xを計算する。具体的に、可動子位置計算部15は、データ通信部14から取得したユニット内位置yと、スケールユニット6のコイルユニット3内の基準位置であるスケール原点までの距離とに基づいて可動子位置xを計算して位置速度制御部12及び電流指令生成部13に出力する。可動子位置計算部15における可動子位置xの計算方法については、後述する。
【0038】
駆動装置2Aのデータ通信部21Aは、データ通信部14から送信された通信データTxRxを受信する。データ通信部14から送信された通信データTxRxには、駆動装置2Aに対する電流指令Irefだけでなく、駆動装置2B~2Hに対する電流指令Irefも含まれている。データ通信部21Aは、通信データTxRxから、駆動装置2Aに対する電流指令である電流指令IrefA1~IrefA5を抽出し、抽出した電流指令IrefA1~IrefA5を電流制御部22A1~22A5に出力する。
【0039】
電流検出器23A1~23A5は、コイル9A1~9A5に流れる電流IA1~IA5を検出する。電流制御部22A1~22A5は、データ通信部21Aから電流指令IrefA1~IrefA5を取得し、検出器通信部24Aからユニット内位置yAを取得し、電流検出器23A1~23A5から電流IA1~IA5の検出値を取得する。電流制御部22A1~22A5は、電流IA1~IA5の検出値が電流指令IrefA1~IrefA5に追従するように、コイル9A1~9A5に与える駆動電流である電流IA1~IA5を制御する。なお、電流IA1~IA5を制御する方式は、任意の方式でよい。
【0040】
図3は、実施の形態1における可動子位置の計算方法の説明に供する図である。図3には、コイルユニット3A,3B、搬送路8に沿って既定の間隔で配置されるスケールユニット6A,6B、及び搬送路8に沿ってスケールユニット6A,6B上を移動する可動子4Aが示されている。
【0041】
図2に示した可動子位置計算部15は、データ通信部14から可動子4Aのユニット内位置yAを含むユニット内位置yを取得する。可動子位置計算部15は、スケールユニット6Bのスケール原点までの距離と、ユニット内位置yAとを用いて、以下の(1)式で可動子位置xAを計算する。
【0042】
可動子位置xA=スケールユニット6Bのスケール原点までの距離
+半径補正値×ユニット内位置yA…(1)
【0043】
図3において、可動子位置xAは、システム原点を基準とする可動子4Aまでの距離であり、ユニット内位置yAは、スケールユニット6Bのスケール原点を基準とする可動子4Aまでの距離である。ここで、システム原点は、搬送システム10全体から見た原点であり、スケール原点は、個々のスケールユニット6又は個々のコイルユニット3から見た原点である。図3では、コイルユニット3Aの左端の位置をシステム原点とし、コイルユニット3Bの左端の位置をスケールユニット6Bのスケール原点として示しているが、これらの例に限定されない。システム原点は、任意に選択されたコイルユニット3又はスケールユニット6の基準位置であってもよい。また、スケール原点は、スケールユニット6又は個々のコイルユニット3の中心位置もしくは右端の位置であってもよい。
【0044】
また、上記(1)式において、半径補正値は、図3のように、可動子4Aが直線経路上に存在する場合は“1”である。また、可動子4Aが曲線経路上に存在する場合、半径補正値は、以下の(2)式で計算される。
【0045】
半径補正値=可動子位置xAの半径/ユニット内位置yAの半径…(2)
【0046】
上記(2)式において、「可動子位置xAの半径」とは、曲線経路の曲率中心から可動子4Aまでの距離を意味し、「ユニット内位置yAの半径」とは、曲線経路の曲率中心からスケールヘッド5Aまでの距離を意味する。可動子位置xAの半径及びユニット内位置yAの半径は、可動子4Aが存在する位置におけるスケールユニット6又はガイドレールの形状から決まる値である。可動子位置xAの半径として、例えば、曲線経路の曲率中心から可動子4Aの表面までの距離(曲率半径)を用いることができる。ユニット内位置yAの半径として、例えば、ガイドレールの曲率半径を用いることができる。
【0047】
図3のように、スケールユニット6Bのスケール原点をコイルユニット3Bの左端とする場合、システム原点を基準とするスケールユニット6Bのスケール原点までの距離は、コイルユニット3Aの幅とすることができる。従って、コイルユニット3Aの幅に関する情報を可動子位置計算部15へ予め設定しておけば、システム原点を基準とする可動子位置xAの計算が可能となる。なお、システム原点とスケールユニット6Bとの間に曲線経路が存在する場合、又はスケールユニット6Bが曲線経路である場合、これらの曲線経路においては、スケールユニットの内周に沿った長さ、正確には、可動子表面半径における円弧の長さを、距離として扱う。
【0048】
また、スケールユニット6Bのスケール原点がコイルユニット3Bの左端又は右端に存在しない場合でも、コイルユニット3Bの左端又は右端からスケールユニット6Bのスケール原点までの距離が既知であれば、その情報を可動子位置計算部15へ予め設定しておくことで、システム原点を基準とする可動子位置xAの計算が可能となる。
【0049】
なお、図3は、可動子4Aがスケールユニット6B上にある場合の可動子位置xAの計算方法について説明したが、可動子4Aがスケールユニット6B以外の任意のスケールユニット6上に存在する場合でも、同様の計算要領で、可動子位置xAを計算することが可能である。
【0050】
次に、位置速度制御部12の構成及び動作について説明する。図4は、実施の形態1に係る位置速度制御部12の構成例を示す図である。位置速度制御部12は、図4に示すように、可動子速度計算部121と、可動子速度補正部122と、推力指令計算部123とを備えるように構成することができる。なお、推力指令計算部123は、電流指令生成部13に設けられていてもよい。この構成の場合、可動子位置目標値xrefは、電流指令生成部13に入力される。
【0051】
可動子速度計算部121は、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得する。可動子速度計算部121は、今回入力された可動子位置xと前回入力された可動子位置xとの差分値に基づき、以下の(3)式を用いて、補正前内部可動子速度v''を計算する。補正前内部可動子速度v''は、位置速度制御部12の内部で計算される速度であって、後述する補正処理が行われる前の速度である。
【0052】
補正前内部可動子速度v''
=(可動子位置x-前回の可動子位置x)/可動子位置xの1更新周期…(3)
【0053】
上記(3)式において、可動子位置xの1更新周期は、可動子位置xの更新処理を行う際の1更新周期、即ち可動子位置演算の1周期である。可動子速度計算部121は、可動子位置xが更新される都度、補正前内部可動子速度v''を計算するので、補正前内部可動子速度v''の1更新周期である可動子速度演算の1周期は、可動子位置xの1更新周期と同じと考えてよい。なお、本稿では、可動子位置計算部15によって計算されて位置速度制御部12に入力される可動子位置xの計算値に関し、今回入力された可動子位置xの計算値を「今回の計算値」と呼び、前回入力された可動子位置xの計算値を「前回の計算値」と呼ぶことがある。
【0054】
可動子速度補正部122は、可動子速度計算部121から補正前内部可動子速度v''を取得し、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得する。可動子速度補正部122は、可動子位置xに応じて補正前内部可動子速度v''を補正し、補正した結果を内部可動子速度vとして、推力指令計算部123へ出力する。可動子速度補正部122は、図4に示すように、軌跡誤差補正部1221と、スケールユニット乗り換え判定部1222と、内部可動子速度保存部1223と、内部可動子速度切り換え部1224とを備えるように構成することができる。
【0055】
軌跡誤差補正部1221は、可動子速度計算部121から補正前内部可動子速度v''を取得し、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得する。軌跡誤差補正部1221は、可動子位置xに応じて補正前内部可動子速度v''を補正し、補正した結果を現在内部可動子速度v'として、内部可動子速度保存部1223と内部可動子速度切り換え部1224とに出力する。
【0056】
軌跡誤差補正部1221の動作については、更に図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、実施の形態1に係る軌跡誤差補正部1221の動作説明に供する第1及び第2の図である。
【0057】
図5には、可動子4Aが直線形状のスケールユニット6Bから、形状の異なる曲線形状のスケールユニット6Cへ乗り換える様子が示されている。なお、直線形状の長さの違い、曲線形状の長さの違いは、ここで言う「形状の異なる」には含まれない。
【0058】
可動子4Aが形状の異なるスケールユニット6間を通過する場合、可動子4Aに設けられているスケールヘッド5Aが通る軌跡が、スケールユニット6B又はスケールユニット6Cからずれる領域が存在する。スケールユニット6Bは、可動子4Aの直線方向の位置をユニット内位置xAとして検出する。このため、スケールヘッド5Aが通る軌跡が、スケールユニット6Bからずれた場合、スケールユニット6Bが検出するユニット内位置xAを含む可動子位置xを用いて計算される補正前内部可動子速度v''と可動子4Aの実速度との誤差が大きくなる。また、スケールユニット6Cは、可動子4Aの円弧方向の位置をユニット位置xAとして検出する。このため、スケールヘッド5Aが通る軌跡が、スケールユニット6Cからずれた場合、スケールユニット6Cが検出するユニット内位置xAを含む可動子位置xを用いて計算される補正前内部可動子速度v''と可動子4Aの実速度との誤差が大きくなる。
【0059】
図6には、図5と同様に、可動子4Aが、直線形状のスケールユニット6Bから曲線形状のスケールユニット6Cへ乗り換える様子が示されている。図6に示すように、直線形状のスケールユニット6Bには、スケールユニット6Bに沿って直線形状のガイドレール18Bが配置され、曲線形状のスケールユニット6Cには、スケールユニット6Cに沿って曲線形状のガイドレール18Cが配置されている。可動子4Aにおける進行方向前方のガイドローラ19Fは、スケールユニット6C上に存在し、可動子4Aにおける進行方向後方のガイドローラ19Rは、スケールユニット6B上に存在する。可動子4Aは、ガイドローラ19F,19Rの回転によって直線形状のガイドレール18Bから曲線形状のガイドレール18Cに移動することで、異なる形状のスケールユニット6間を乗り換える。
【0060】
また、図6は、補正前内部可動子速度v''を補正する補正値の計算に使用する計算モデルの概念を示す図でもある。図6において、スケールユニット6B上に存在するガイドローラ19Rのx座標及びy座標であるxy座標を(x,y)とし、スケールユニット6C上に存在するガイドローラ19Fのxy座標を(x,y)とし、可動子4Aの位置のxy座標を(x,y)とし、スケールヘッド5Aの検出位置のxy座標を(x,y)とする。また、ガイドレール18Cの曲率半径をRとし、ガイドローラ19R,19F間の距離をLとし、可動子4Aの位置からスケールヘッド5Aの検出位置までの距離をDとし、ガイドローラ19Fの進み角をθとし、可動子4Aの傾き角をφとする。なお、これらの座標の原点、即ち計算モデルの座標原点は、スケールユニット6Bからスケールユニット6Cに切り替わる地点からスケールユニット6B側にガイドローラ19R,19F間の距離L分だけ移動させた地点とする。また、ガイドローラ19Fの進み角θは、曲率中心とスケールユニット6B,6C間の隙間とを結ぶ線と、曲率中心とガイドローラ19Fとを結ぶ線との成す角であるとする。また、可動子4Aの位置は、ガイドローラ19F,19R間の中心に存在するものとし、スケールヘッド5Aの検出位置と可動子4Aの位置とを結ぶ線と、ガイドローラ19F,19Rを結ぶ線とは、直交する関係にあるとする。
【0061】
まず、ガイドローラ19Fのxy座標(x,y)は、以下の(4)、(5)式で表すことができる。
【0062】
=Rsinθ+L…(4)
=R-Rcosθ…(5)
【0063】
また、ガイドローラ19Fの進み角θは、以下の(6)~(8)式で計算することができる。
【0064】
a=sin-1{(L-R-(L-x-(R-y
/√((2(L-x)×R)+(2(R-y)×R))}…(6)
b=sin-1{(-2×2(R-y)×R)
/√((2(L-x)×R)+(2(R-y)×R))}…(7)
θ=a-b …(8)
【0065】
また、可動子4Aの位置のxy座標(x,y)は、以下の(9)、(10)式で計算することができる。
【0066】
=(x+x)/2…(9)
=(y+y)/2…(10)
【0067】
また、スケールヘッド5Aの検出位置のxy座標(x,y)は、以下の(11)、(12)式で計算することができる。
【0068】
=x+D×(y-y)/L…(11)
=y+D×(x-x)/L…(12)
【0069】
軌跡誤差補正部1221は、上記の(4)~(12)式に基づいて、可動子4Aの位置のxy座標(x,y)と、スケールヘッド5Aの検出位置のxy座標(x,y)とを計算する。また、軌跡誤差補正部1221は、これらの座標から、可動子4Aの速度と、スケールヘッド5Aの速度とを計算し、スケールヘッド5Aの速度が可動子4Aの速度に一致するように補正値を計算する。軌跡誤差補正部1221は、計算した補正値を用いて補正前内部可動子速度v''を補正することで、現在内部可動子速度v'を求め、求めた現在内部可動子速度v'を内部可動子速度保存部1223と内部可動子速度切り換え部1224とに出力する。
【0070】
内部可動子速度保存部1223は、軌跡誤差補正部1221から出力された現在内部可動子速度v'をデータとして保存する。また、内部可動子速度保存部1223は、保存されている現在内部可動子速度v'のうち1更新周期前のデータであるz-1v'を内部可動子速度切り換え部1224に出力する。
【0071】
スケールユニット乗り換え判定部1222は、可動子位置xの値から、可動子4がスケールユニット6を乗り換えたことを検知し、検知した結果を示す信号であるスケールユニット乗り換え信号τsを内部可動子速度切り換え部1224に出力する。
【0072】
内部可動子速度切り換え部1224は、軌跡誤差補正部1221から現在内部可動子速度v'を取得し、内部可動子速度保存部1223から前回内部可動子速度z-1v'を取得し、スケールユニット乗り換え判定部1222からスケールユニット乗り換え信号τsを取得する。内部可動子速度切り換え部1224は、スケールユニット乗り換え信号τsに基づいて、可動子4がスケールユニット6を乗り換えたか否かを判定する。可動子4がスケールユニット6を乗り換えた場合、内部可動子速度切り換え部1224は、前回内部可動子速度z-1v'を内部可動子速度vとして出力する。可動子4がスケールユニット6を乗り換えていない場合、内部可動子速度切り換え部1224は、現在内部可動子速度v'を内部可動子速度vとして出力する。
【0073】
推力指令計算部123は、可動子位置目標値生成部11から可動子位置目標値xrefを取得し、可動子位置計算部15から可動子位置xを取得し、内部可動子速度切り換え部1224から内部可動子速度vを取得する。推力指令計算部123は、可動子位置xが可動子位置目標値xrefに追従するように推力指令τrefを計算し、計算した推力指令τrefを電流指令生成部13へ出力する。
【0074】
上述のように、可動子速度補正部122は、可動子4Aがスケールユニット6を乗り換える際には、1更新周期前に計算された可動子速度を推力指令計算部123に出力する。
【0075】
図7は、実施の形態1に係る可動子速度補正部122に内部可動子速度切り換え部1224を設けることの効果の説明に供する図である。
【0076】
搬送システム10では、図3のようにコイルユニット3が隙間なく構成されていることが理想である。しかしながら、実際の搬送システム10では、図7に示すように、コイルユニット3間には、隙間が存在する。この隙間は、コイルユニット間だけでなく、個々のシステムによっても異なるため、システムの出荷前に設定しておくことは困難である。従って、システムの出荷時には、コイルユニット3間には隙間が存在しない構成が想定されている。このため、スケールユニット6Bのスケール原点までの距離は、コイルユニット3Aの幅と同じ設定がされる。これにより、図7に示すように、システム原点を基準とするスケールユニット6Bのスケール原点までの距離を示す位置と、スケールユニット6Bのスケール原点を示す位置とは、コイルユニット3間の隙間を示す分だけの誤差が生じる。
【0077】
前述したように、可動子速度計算部121によって計算される補正前内部可動子速度v''は、以下の(3)式によって計算される。
【0078】
補正前内部可動子速度v''
=(可動子位置x-前回の可動子位置x)/可動子位置xの1更新周期
…(3)(再掲)
【0079】
一方、可動子4Aがスケールユニット6Aからスケールユニット6Bに乗り換えたとき、上記(3)式で計算される補正前内部可動子速度v''には、以下の(13)式で示されるような速度誤差が生じることになる。
【0080】
補正前内部可動子速度v''
=(可動子位置x-前回の可動子位置x)/可動子位置xの1更新周期
≒実際の可動子速度-(コイルユニット3間の隙間/可動子位置xの1更新周期)
…(13)
【0081】
上記(13)式に示されるように、補正前内部可動子速度v''には、実際の可動子速度に対して、コイルユニット3間の隙間分の誤差に対応する速度誤差が生じることになる。
【0082】
前述したように、推力指令計算部123が推力指令τrefを計算する場合、補正前内部可動子速度v''に基づく内部可動子速度vを使用する。実際の可動子速度に対して、コイルユニット3間の隙間分の誤差に対応する速度誤差が生じる現象は、可動子4Aがスケールユニット6間を乗り換えるときにのみ発生する。この現象は、コイルユニット3間に隙間が存在していれば、形状が同じスケールユニット6間を乗り換えるときにも発生する。補正前内部可動子速度v''に含まれ得る速度誤差が大きい場合、補正前内部可動子速度v''に基づく内部可動子速度vを使用して計算される推力指令τrefの誤差も大きくなる。誤差の大きい推力指令τrefを使用して可動子4を駆動した場合、可動子4にショック又は振動が発生してしまうおそれがある。
【0083】
一方、実施の形態1に係る制御装置1では、可動子速度補正部122の出力段に内部可動子速度切り換え部1224が設けられている。前述したように、内部可動子速度切り換え部1224は、可動子4がスケールユニット6を乗り換えたときのみ、前回内部可動子速度z-1v'を内部可動子速度vとして出力する。これにより、可動子速度補正部122から推力指令計算部123に出力される内部可動子速度vと実際の可動子速度との誤差が大きくなることが抑止でき、推力指令計算部123で計算される推力指令τrefが急に変化することも抑止できる。その結果、可動子4にショック又は振動が発生しないように可動子4を制御することが可能となる。
【0084】
以上説明したように、実施の形態1に係る制御装置は、少なくとも1つの可動子と、複数のコイルユニットと、可動子に設けられるスケールヘッドと、スケールヘッドの位置を検出するスケールユニットと、コイルユニットに駆動電流を供給する駆動装置とを備えた搬送システムに適用可能に構成される。複数のコイルユニットは、搬送路に沿って配置され、スケールユニットは、搬送路に沿って既定の間隔で配置され、少なくとも1つの可動子は、搬送路に沿って移動する。制御装置は、可動子位置計算部と、可動子速度計算部と、可動子速度補正部とを備える。可動子位置計算部は、スケールヘッドの位置を検出したスケールユニットの検出データに基づいて、可動子の位置情報である可動子位置を計算する。可動子速度計算部は、可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する。可動子速度補正部は、可動子位置に応じて可動子速度を補正する。実施の形態1に係る制御装置によれば、特許文献1のように、コイルユニット間又はスケールユニット間の隙間を測定する必要がないので、システム構築の調整作業に要する工数を削減することができ、可動子の軌跡がスケールユニットからずれることにより発生する誤差を補正することが可能となる。また、実施の形態1に係る制御装置は、可動子位置に応じて可動子速度を補正する可動子速度補正部を備えているので、可動子速度と実際の可動子速度との間の速度誤差を低減することができ、可動子を高精度に制御することが可能となる。
【0085】
実施の形態1に係る制御装置は、可動子位置が可動子位置目標値に追従するように推力指令を計算する推力指令計算部を備えていてもよい。また、実施の形態1に係る制御装置に備えられる可動子速度補正部は、可動子がスケールユニットを乗り換える際に、1更新周期前に計算された可動子速度を推力指令計算部に出力する内部可動子速度切り換え部を備えていてもよい。内部可動子速度切り換え部は、異なるコイルユニット間又はスケールユニットに隙間が存在している場合においても、可動子がスケールユニットを乗り換える際に発生し得る速度誤差を抑制するように動作するので、可動子にショック又は振動が発生しないように可動子を制御することが可能となる。
【0086】
また、実施の形態1に係る制御装置が備える可動子速度補正部は、可動子が形状の異なるスケールユニットを乗り換える際に、可動子が存在するスケールユニットと隣接するスケールユニットとの形状に応じて可動子速度を補正する軌跡誤差補正部を備えていてもよい。軌跡誤差補正部は、可動子が形状の異なるスケールユニットを乗り換える際に、可動子が存在するスケールユニットと隣接するスケールユニットとの形状から計算される可動子の幾何学的な軌跡に応じて可動子速度を補正するように構成されていてもよい。軌跡誤差補正部は、可動子の幾何学的な軌跡に応じて可動子速度を補正するので、軌跡誤差補正部を有さない構成と比較して、可動子速度と実際の可動子速度との間の速度誤差をより低減することができ、可動子をより高精度に制御することが可能となる。
【0087】
また、実施の形態1に係る搬送システムは、少なくとも1つの可動子と、複数のコイルユニットと、可動子に設けられるスケールヘッドと、スケールヘッドの位置を検出するスケールユニットと、コイルユニットに駆動電流を供給する駆動装置とを備える。複数のコイルユニットは、搬送路に沿って配置され、スケールユニットは、搬送路に沿って既定の間隔で配置され、少なくとも1つの可動子は、搬送路に沿って移動する。搬送システムを制御する制御装置は、可動子位置計算部と、可動子速度計算部と、可動子速度補正部とを備える。可動子位置計算部は、スケールヘッドの位置を検出したスケールユニットの検出データに基づいて可動子の位置情報である可動子位置を計算する。可動子速度計算部は、可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する。可動子速度補正部は、可動子位置に応じて可動子速度を補正する。実施の形態1に係る搬送システムによれば、特許文献1のように、コイルユニット間又はスケールユニット間の隙間を測定する必要がないので、システム構築の調整作業に要する工数を削減することができ、可動子の軌跡がスケールユニットからずれることにより発生する誤差を補正することが可能となる。また、実施の形態1に係る搬送システムが備える制御装置は、可動子位置に応じて可動子速度を補正する可動子速度補正部を備えているので、可動子速度と実際の可動子速度との間の速度誤差を低減することができ、可動子を高精度に制御することが可能となる。
【0088】
実施の形態1の最後では、上述した制御装置1及び駆動装置2の機能を実現するためのハードウェア構成について、図8,9を参照して説明する。図8は、実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図9は、実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図である。
【0089】
実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の機能の一部又は全部を実現する場合には、図8に示されるように、演算を行うプロセッサ300、プロセッサ300によって読みとられるプログラムが保存される記憶部302、及び信号の送受信を行う通信回路304を含む構成とすることができる。
【0090】
プロセッサ300は、演算手段の一例である。プロセッサ300は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)と称される演算手段であってもよい。また、記憶部302には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)を例示することができる。
【0091】
記憶部302には、実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の機能を実行するプログラムが格納されている。プロセッサ300は、通信回路304を介して必要な情報を授受し、記憶部302に格納されたプログラムをプロセッサ300が実行し、記憶部302に格納されたテーブルをプロセッサ300が参照することにより、上述した処理を行うことができる。プロセッサ300による演算結果は、記憶部302に記憶することができる。また、上述したコイルユニット3Aの幅に関する情報なども記憶部302に記憶することができる。
【0092】
また、実施の形態1に係る制御装置1及び駆動装置2の機能の一部を実現する場合には、図9に示す処理回路303を用いることもできる。処理回路303は、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。処理回路303に入力する情報、及び処理回路303から出力する情報は、通信回路304を介して授受することができる。また、処理回路303による処理結果は、記憶部302に記憶することができる。
【0093】
なお、制御装置1及び駆動装置2における一部の処理を処理回路303で実施し、処理回路303で実施しない処理をプロセッサ300及び記憶部302で実施してもよい。
【0094】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1における課題を解決しつつ、更に別の課題を解決できる制御装置及び搬送システムについて説明する。
【0095】
図10は、実施の形態2に係る制御装置1及び駆動装置2の構成例を示す図である。図2に示す制御装置1と比較すると、図10では、位置速度制御部12が位置速度制御部12'に置き換えられている。可動子位置目標値生成部11、電流指令生成部13、データ通信部14及び可動子位置計算部15の役割は、前述した実施の形態1と同じである。
【0096】
図11は、実施の形態2に係る位置速度制御部12'の構成例を示す図である。図4に示す位置速度制御部12と比較すると、図11では、可動子速度補正部122が可動子速度補正部122'に置き換えられ、軌跡誤差補正部1221が軌跡誤差補正部1221'に置き換えられている。位置速度制御部12'において、可動子速度計算部121及び推力指令計算部123の役割は、前述した実施の形態1と同じである。また、可動子速度補正部122'において、スケールユニット乗り換え判定部1222、内部可動子速度保存部1223及び内部可動子速度切り換え部1224の役割は、前述した実施の形態1と同じである。
【0097】
実施の形態1に係る制御装置1の場合、上記(6)、(7)式に示されるように、逆正弦関数、平方根などの計算負荷の高い演算をリアルタイムに行う必要がある。このため、実施の形態1に係る制御装置1では、図8に示したプロセッサ300、図9に示した処理回路303には、能力の高い、高価なものを使用する必要がある。この課題に対し、実施の形態2では、計算負荷を下げて、より安価なプロセッサ300又は処理回路303を使用できる制御装置1について説明する。
【0098】
図12は、実施の形態2に係る軌跡誤差補正部1221'の動作説明に供する図である。図12には、図6と同様に、可動子4Aが、直線形状のスケールユニット6Bから曲線形状のスケールユニット6Cへ乗り換える様子が示されている。図中の記号及び用語は、図6と同じである。
【0099】
上述した(4)~(12)式において使用される各種の値は、搬送システム10の構成に従って決まる設定値であり、事前に把握することが可能である。このため、軌跡誤差補正部1221'が(4)~(12)式の計算を行うのではなく、事前に(4)~(12)式の計算を行うことで求めた補正値を軌跡誤差補正部1221'に保存しておく。
【0100】
図13は、実施の形態2に係る軌跡誤差補正部1221'において実施される補正処理の説明に供する図である。図13の横軸は可動子位置を示し、縦軸は速度補正値を示している。図12において、速度補正が必要になる可動子位置xは、可動子4Aのガイドローラ19Fがスケールユニット6B,6C間の隙間を通過する位置から、可動子4Aのガイドローラ19Rがスケールユニット6B,6C間の隙間を通過する位置までである。このため、補正前内部可動子速度v''を補正するための補正値は、図13に示すように、スケールユニット6B,6C間の隙間の位置を原点として、その前後の±L/2の区間となる。なお、図13は、可動子4Aの位置がガイドローラ19F,19Rの中点にあるものとして示している。可動子4Aの位置がガイドローラ19F,19Rの中点にない場合、補正の開始位置と補正の終了位置との長さはLで変わらないが、スケールユニット6B,6C間の隙間の位置を基準とする、補正の開始位置までの長さと、補正の終了位置までの長さとは、異なることは言うまでもない。
【0101】
図14は、実施の形態2に係る軌跡誤差補正部1221'に保持される補正値テーブルの例を示す図である。また、図15は、実施の形態2に係る軌跡誤差補正部1221'に保持される係数値テーブルの例を示す図である。図14に示す補正値テーブルは、可動子位置xと、可動子位置xに応じた補正値との対応関係を示すテーブルである。この補正値は、(4)~(12)式に基づいて予め計算された補正値である。軌跡誤差補正部1221'は、補正値を計算せず、補正値テーブルを参照することで補正前内部可動子速度v''を補正する。入力された可動子位置xに対応する補正値が補正値テーブルにない場合は、内挿処理又は補間処理による計算処理によって求めた近似値を補正値として使用してもよいし、入力された可動子位置xに近い可動子位置に対応する補正値を使用して補正処理を行ってもよい。
【0102】
また、図15に示す補正値テーブルは、n次多項式近似を行って補正値を計算する場合の、次数とその係数値との対応関係を示すテーブルである。軌跡誤差補正部1221'は、係数値テーブルを参照して係数値をn次多項式に当てはめ、入力された可動子位置xに対応する補正値を計算し、計算した補正値を使用して補正前内部可動子速度v''を補正する。
【0103】
以上説明したように、実施の形態2に係る制御装置が備える可動子速度補正部には、内部可動子速度を補正するための補正値、補正値を近似した近似値又は近似値を計算するための係数値が予め保持されている。可動子速度補正部は、補正値、近似値又は係数値を用いて内部可動子速度を補正する。実施の形態2に係る制御装置及び搬送システムでは、負荷の高い計算処理を行うことなく補正前内部可動子速度を補正するための補正値を求めることができるので、実施の形態1の効果を享受しつつ、制御装置及び搬送システムをより安価に構築することが可能となる。
【0104】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 制御装置、2,2A~2H 駆動装置、3,3A~3H コイルユニット、4,4A~4C 可動子、5,5A~5C スケールヘッド、6,6A~6C スケールユニット、7 データ通信線、7A,7B 通信線、8 搬送路、9A,9A1~9A5 コイル、10 搬送システム、11 可動子位置目標値生成部、12,12' 位置速度制御部、13 電流指令生成部、14,21A,21B データ通信部、15 可動子位置計算部、17A,17B 矢印、18B,18C ガイドレール、19F,19R ガイドローラ、20A,20B 駆動部、22A,22A1~22A5 電流制御部、23A,23A1~23A5 電流検出器、24,24A,24B 検出器通信部、40 永久磁石、121 可動子速度計算部、122,122' 可動子速度補正部、123 推力指令計算部、300 プロセッサ、302 記憶部、303 処理回路、304 通信回路、1221,1221' 軌跡誤差補正部、1222 スケールユニット乗り換え判定部、1223 内部可動子速度保存部、1224 内部可動子速度切り換え部。
【要約】
制御装置(1)は、搬送路(8)に沿って移動する可動子(4)と、搬送路(8)に沿って配置される複数のコイルユニット(3)と、可動子(4)に設けられるスケールヘッド(5)と、搬送路(8)に沿って既定の間隔で配置され、スケールヘッド(5)の位置を検出するスケールユニット(6)と、コイルユニット(3)に駆動電流を供給する駆動装置(2)とを備えた搬送システム(10)に適用可能に構成される。制御装置(1)は、スケールユニット(6)の検出データに基づいて、可動子(4)の位置情報である可動子位置を計算する可動子位置計算部(15)と、可動子位置に関する今回の計算値と前回の計算値との差分値から可動子速度を算出する可動子速度計算部(121)と、可動子位置に応じて可動子速度を補正する可動子速度補正部(122)とを備える。
図1
図2
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図10
図11
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図13
図14
図15