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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20250516BHJP
【FI】
F25B1/00 396Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2025507373
(86)(22)【出願日】2024-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2024036672
【審査請求日】2025-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2024016354
(32)【優先日】2024-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 匠
(72)【発明者】
【氏名】平塚 研吾
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣行
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-2978(JP,A)
【文献】特開2023-113463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を含む冷媒回路を備え、
前記圧縮機内に冷凍機油が充填されており、
前記冷媒回路内に冷媒が封入されており、
前記冷媒は、C2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す。)で表される化合物をi種類(iは1以上の整数を表す。)含み、
前記冷媒回路を構成する部材の少なくとも一つがゴム部品であり、
当該ゴム部品は前記冷凍機油及び前記冷媒と接触し、
下記式(1)を満たす、冷凍サイクル装置。
B×Σ{A/(n-1)}≦0.24・・・(1)
[式(1)中、
は、前記冷媒中のi種類目の前記化合物のモル比率を表し、
は、i種類目の前記化合物の前記nの値を表し、
Σ{A/(n-1)}は、i種類の前記化合物についての、A/(n-1)の合計値を表し、
Bは、前記ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率を表し、かつ、0より大きい。]
【請求項2】
前記化合物は、ハイドロフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記冷媒は、炭素数が2以上4以下の飽和炭化水素をさらに含む、請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、冷凍サイクル装置に使用する冷媒は、例えば、フロン排出抑制法(平成27年4月施行)によって規制されている。具体的には、使用する冷媒の地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)値の上限が設定されている。このため、よりGWPの低い冷媒の使用が必要とされている。
【0003】
近年、GWP値が低い冷媒として、例えば、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、トリフルオロエチレン(HFO-1123)及び2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)等のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)が検討されている。
【0004】
冷凍サイクル装置の冷媒回路の構成部材としては、ゴム部品を用いることができる。該ゴム部品を構成するゴムとしては、ニトリルゴムなどのアクリロニトリル単位を含有するゴムを用いることができる。一般に、そのアクリロニトリル単位の量が多いほどゴムの物性をより良好なものとする傾向がある。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2018-128022号公報)には、冷凍サイクル装置の冷媒回路に用いるゴム部品を構成するゴムについて、そのアクリロニトリル単位の量を高くすることでゴム部品の劣化を抑制する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特開2019-203138号公報)には、不飽和フッ化炭化水素冷媒を含む冷凍サイクル装置において、冷凍機油を用いることで不飽和フッ化炭化水素冷媒と冷凍機油との相溶性を損なうことなく、冷凍機油や冷凍機用混合組成物によるゴム膨潤を適切に抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-128022号公報
【文献】特開2019-203138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記HFO冷媒のようなGWPが十分に小さい冷媒を用いて冷凍サイクルを行う場合に、冷凍サイクル装置内における冷媒とゴム部品の影響による冷凍機油の劣化については、これまで検討されていない。
【0009】
本開示は、HFO冷媒を適用した冷凍サイクル装置において、冷凍機油の品質の低下を抑制し、良好な信頼性を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
圧縮機を含む冷媒回路を備え、前記圧縮機内に冷凍機油が充填されており、前記冷媒回路内に冷媒が封入されており、前記冷媒は、C2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す。)で表される化合物をi種類(iは1以上の整数を表す。)含み、前記冷媒回路を構成する部材の少なくとも一つがゴム部品であり、前記ゴム部品は前記冷凍機油及び前記冷媒と接触し、下記式(1)を満たす、冷凍サイクル装置。
B×Σ{A/(n-1)}≦0.24・・・(1)
[式(1)中、Aは、前記冷媒中のi種類目の前記化合物のモル比率を表し、nは、i種類目の前記化合物の前記nの値を表し、Σ{A/(n-1)}は、i種類の前記化合物についての、A/(n-1)の合計値を表し、Bは、前記ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率を表す。]
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、HFO冷媒を適用した冷凍サイクル装置において、冷凍機油の品質の低下を抑制し、良好な信頼性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の圧縮機の一例を示す断面模式図である。
図3図3は、ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率(Bの値)と冷凍機油の全酸価との関係を示すグラフである(評価試験1)。
図4図4は、Σ{A/(n-1)}の値と冷凍機油の全酸価の値との関係を示すグラフである(評価試験2)。
図5図5は、一定の全酸価の値となる場合における、Σ{A/(n-1)}の値とゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率(Bの値)との関係を示すグラフである(評価試験3)。図面中「TAN」とは、全酸価の値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面において、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
【0014】
実施の形態1.
本開示の一態様に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機を含む冷媒回路を備え、該圧縮機内に冷凍機油が充填されており、該冷媒回路内に冷媒が封入されており、該冷媒は、C2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す)で表される化合物をi種類(iは1以上の整数を表す。)含み、該冷媒回路を構成する部材の少なくとも一つがゴム部品であり、該ゴム部品は該冷凍機油及び該冷媒と接触し、該冷凍サイクル装置は下記式(1)を満たす。本明細書中において、上記化合物を「化合物X」とも称する。
B×Σ{A/(n-1)}≦0.24・・・(1)
[式(1)中、Aは、上記冷媒中のi種類目の化合物Xのモル比率を表し、nは、i種類目の化合物Xの上記nの値を表し、Σ{A/(n-1)}は、i種類の化合物Xについての、A/(n-1)の合計値を表し、Bは、上記ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率を表す。]
【0015】
本実施の形態の冷凍サイクル装置の概要について簡単に説明する。図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の一例を示す概略構成図である。室外機1は、圧縮機3、凝縮器4、室外送風機5等を備え、圧縮機3と凝縮器4とが配管で接続されている。室内機2は、膨張弁6、蒸発器7、室内送風機8等を備え、膨張弁6と蒸発器7とが配管で接続されている。
【0016】
室外機1の圧縮機3と室内機2の蒸発器7とは、ガス管10で接続されている。室外機1の凝縮器4と室内機2の膨張弁6とは、液管9で接続されている。
【0017】
このような冷凍サイクル装置の構成により冷媒回路100が形成され、液管9及びガス管10を介して冷媒回路100内で冷媒が循環する。
【0018】
圧縮機3は、ガス管10内でガス状となった冷媒を圧縮する。凝縮器4は、圧縮機3が圧縮したガス状の冷媒を冷却して、高圧液状の冷媒又は気液2相状の冷媒にする。膨張弁6は、高圧液状の冷媒又は気液2相状の冷媒を減圧する。蒸発器7は、減圧された冷媒を加熱して低圧ガス状の冷媒とする。圧縮機3は、蒸発器7によって低圧ガス状となった冷媒を吸引して再度圧縮する。
【0019】
なお、室外送風機5は、凝縮器4に空気を送る構成要素であり、凝縮器4に流れる冷媒が空気と熱交換して熱を吸収又は放出することを促進するために設けられている。また、室内送風機8は、蒸発器7に空気を送る構成要素であり、蒸発器7に流れる冷媒が空気と熱交換して熱を吸収又は放出することを促進するために設けられている。
【0020】
本実施の形態においては、凝縮器4及び蒸発器7と空気との熱交換を実施するための構成について説明しているが、これに限定されず、例えば、空気ではなく水等の液体と熱交換するように構成されていてもよい。
【0021】
また、本実施の形態においては、蒸発器7が室内機2内に設けられる構成について説明しているが、これに限定されず、例えば、凝縮器4が室内に配置され、蒸発器7が室外に配置されていてもよい。
【0022】
上記のような室外機1に対し、例えば、四方弁又は複数の弁を組み合わせて配置し、圧縮機3の吸入管と吐出管とを切り替える切替機構を設けてもよい。切替機構を設けることにより、室外機1内の熱交換器が蒸発器7として機能し、及び、室内機2内の熱交換器が凝縮器4として機能し、室外の熱を利用して、室内を加熱する暖房が可能となる。
【0023】
なお、冷凍サイクル装置は、例えば、冷房及び暖房の両方が実施可能な装置、冷房のみが実施可能な装置、又は、暖房のみが実施可能な装置、のいずれであってもよい。また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置の用途は空気調和に限らず、冷凍、冷蔵、給湯等でもよい。
【0024】
本実施の形態においては、膨張弁6が室内機2内に設けられる構成について説明しているが、これに限定されず、例えば、膨張弁6を室外機1内に設けてもよい。また、例えば、膨張弁6を室外機1と室内機2との両方に設けるようにしてもよい。さらに、例えば、冷媒回路100内に、複数の室内機2を設けてもよく、複数の室外機1を設けてもよい。
【0025】
<冷媒>
次に、本実施の形態において、冷媒回路内に封入される冷媒について説明する。上記冷媒は、C2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す。)で表される化合物Xをi種類含む。上記式(1)中のΣ{A/(n-1)}は、i種類の化合物Xについての、A/(n-1)の合計値を表す。上記式(1)中のAは、上記冷媒中のi種類目の化合物Xのモル比率を表す。上記式(1)中のnは、i種類目の化合物Xのnの値を表す。上記式(1)中の1/(n-1)は、i種類目の化合物Xにおける、炭素-炭素結合の総数に占める炭素-炭素二重結合の数の割合を意味している。以下、当該割合を、i種類目の化合物Xにおける「二重結合比率」とも称する。
【0026】
冷媒の少なくとも一部である化合物Xは、式(1)の左辺の値が0.24以下となるように選択される。冷媒は、化合物Xを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。式(1)の左辺の値が0.24以下であることにより、冷凍機油の劣化を抑制し、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0027】
化合物Xは、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)に属する化合物であり、比較的不安定な分子構造である炭素-炭素二重結合を有するため、後述する冷凍機油を酸化させるおそれがある。よって、化合物Xは、Σ{A/(n-1)}の値が増加するに伴い、冷凍機油を劣化させ得る。具体的には空気共存下において、化合物Xは、酸化による劣化が進行し、フッ化物イオンを生成する。当該フッ化物イオンは、冷凍機油を酸化させ、劣化させ得る。したがって、式(1)の左辺の値が0.24以下となるように、冷媒中の化合物Xのモル比率を低下させること、及び化合物Xにおける二重結合比率を低下させることの少なくとも一方によってΣ{A/(n-1)}の値を低下させることにより、冷凍機油の劣化を抑制し、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0028】
冷凍機油の劣化を抑制し、圧縮機の信頼性を向上させる観点から、式(1)の左辺の値は、0.23以下であってもよく、0.22以下であってもよい。
【0029】
化合物Xとしては、例えばモノフルオロエチレン(HFO-1141)、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、(E)-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、(Z)-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、(E)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、(Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、(E)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、(Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))、(E)-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ye(E))、(Z)-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ye(Z))、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、3,3-ジフルオロプロペン(HFO-1252zf)、及び2-フルオロプロペン(HFO-1261yf)が挙げられる。
【0030】
化合物Xは、冷媒のGWPを低減させる観点から、ハイドロフルオロエチレンを含むことが好ましく、トリフルオロエチレンを含むことがより好ましい。
【0031】
冷媒中における化合物Xの含有率(すなわち、ΣA)は、冷媒のGWPを低減させる観点から、10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましい。冷媒中における化合物Xの含有率は、冷凍機油の酸化による劣化を抑制する観点から、90mol%以下であることが好ましく、80mol%以下であることがより好ましい。
【0032】
冷媒は、化合物Xと、炭素数が1以上4以下の炭化水素及び炭素数が1以上4以下のハロゲン化炭化水素(ただし、化合物X以外のもの)から選択される1種以上の化合物との混合物でもよい。ハロゲン化炭化水素とは、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン等である。ハロゲン化炭化水素は、炭化水素の水素原子がハロゲン原子で置換されることで、炭化水素よりも低い燃焼性を有しており、混合により冷媒の燃焼性を低下させることができる。混合の方法としては、すべての化合物を混合した状態の冷媒を冷媒回路に充填する方法が挙げられる。炭素数が1以上4以下の炭化水素を用いる場合、化合物X(及びハロゲン化炭化水素)が充填された、もしくはわずかに残留した冷媒回路に炭素数が1以上4以下の炭化水素を追加で充填してもよい。
【0033】
化合物X以外のハロゲン化炭化水素は、炭素数が1以上4以下の炭化水素と同程度の動作圧力を有するものが好ましい。これにより、冷媒の主成分の共沸性が高くなり、高い冷却性能を得ることができる。炭素数が1以上4以下の炭化水素と同程度の動作圧力を有するハロゲン化炭化水素は、炭素数が1以上4以下のハロゲン化炭化水素であり、より好ましくは炭素数が1以上3以下のハロゲン化炭化水素である。炭素数1以上3以下が好ましい理由は、炭化水素がハロゲン化されることで分子が大きくなり、同炭素数の炭化水素との比較で動作圧力が低下する傾向があるため、炭素数4では動作圧力の差が大きいためである。
【0034】
炭素数1以上3以下のハロゲン化炭化水素の例としては、フルオロホルム(HFC-23)、ジフルオロメタン(HFC-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、トリフルオロヨードメタン(FIC-13I3)、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、及びジクロロジフルオロメタン(CFC-12)が挙げられる。
【0035】
なかでも上記冷媒は、良好な冷凍サイクル装置を提供できる観点から、化合物Xと炭素数が2以上4以下の飽和炭化水素とを含むことが好ましい。炭素数が2以上4以下の飽和炭化水素としては、例えばエタン(R-170)、プロパン(R-290)、ブタン(R600)、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143、HFC-143a、HFC-152、HFC-152a、HFC-161、及びHCFC-22等が挙げられる。
【0036】
上記冷媒は、二酸化炭素(R-744)を含んでもよい。二酸化炭素は、GWPが1と低いため、冷凍サイクル装置の製造時における環境負荷の軽減に貢献し得る。また、二酸化炭素は不燃性であるため、混合により冷媒の燃焼性を低下させることができる。
【0037】
冷媒に空気が含まれると、冷媒、冷凍機油、圧縮機内材料の劣化を促進させるおそれがあるため、冷媒に空気を混入させないよう冷媒回路に冷媒を充填する前に冷媒回路内の空気を除くことが好ましい。
【0038】
<ゴム部品>
本実施の形態において、冷媒回路内に使用されるゴム部品について説明する。本実施の形態において、冷媒回路を構成する部材の少なくとも一つはゴム部品である。該ゴム部品は、ゴムで構成されており、冷凍サイクル装置中で化合物Xを含む冷媒及び後述する冷凍機油とそれぞれ接触している。
【0039】
ゴム部品を構成するゴムは、式(1)の左辺の値が0.24以下となるように選択される。具体的には、式(1)の左辺の値が0.24以下となるような、Bの値が小さいゴムが用いられる。
【0040】
ゴム部品と接触している冷媒に含まれる化合物Xは、対応するハイドロフルオロカーボン(HFC)よりも極性が高い。そのため、化合物Xはゴム部品に対する浸透性が高い。よって、化合物Xは、ゴム部品に接触する冷凍機油を劣化させやすい傾向にある。ゴム部品に対する浸透性は、ゴム部品を使用する環境が高温又は高圧であるほど、並びに、ゴム部品と冷凍機油との相溶性が増大するほど、高くなる。したがって、ゴム部品を構成するゴムの極性を低くすることにより、すなわち、ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率(Bの値)を小さくすることにより、ゴム部品に対する浸透性を低下させることができる。ゴム部品に対する浸透性の低下は、冷凍機油の劣化を抑制し、ひいては圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0041】
Bの値は、0であってもよいし、0より大きい値であってもよい。式(1)の左辺の値は0以上であってもよい。上記アクリロニトリル単位とは、ゴムの高分子主鎖を構成する構成単位のうち、アクリロニトリルモノマーに由来する構成単位を意味する。
【0042】
本実施の形態において、上記ゴム部品を構成するゴムとしては、例えばエチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、及びフッ素化ゴムが挙げられる。
【0043】
ニトリルゴムとは、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合させた合成ゴムである。水素化ニトリルゴムとは、ニトリルゴムの高分子主鎖を構成するアクリロニトリル単位及びブタジエン単位のうち、ブタジエン単位の二重結合を化学的に水素化させた合成ゴムである。本実施の形態において、上記ゴム部品を構成するゴムにニトリルゴム又は水素化ニトリルゴムを含む場合、アクリロニトリル単位の質量比率(Bの値)が低いものを使用することが好ましい。具体的には、Bの値は、冷凍機油の劣化を抑制する観点から、0.50以下であることが好ましく、0.45以下であることが好ましい。Bの値は、例えば0.05以上であってもよく、0.10以上であってもよく、0.20以上であってもよい。
【0044】
<圧縮機>
本実施の形態において、冷凍サイクル装置は、圧縮機を備える。冷媒は圧縮機の内部を通過する。圧縮機はポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、炭化水素系合成油、及び鉱油から選択される少なくとも一種を組成物として含む冷凍機油を含む。
【0045】
図2は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置の圧縮機の一例を示す断面模式図である。圧縮機3は、図2に示されるように、シェル11を備える。シェル11は、内部に圧縮機構12を備え、圧縮機構12を駆動する電動機13を備える。また、シェル11には、冷媒を内部に流入させるための吸入管14と、外部に流出させるための吐出管15とが接続されている。吸入管14の上流側には、冷媒中の気液を分離し蒸気を吸入管14に送るアキュームレーター16が接続されている。
【0046】
アキュームレーター16を経た冷媒は、吸入管14からシェル11内の圧縮機構12に流入する。圧縮機構12に流入した冷媒は、圧縮されて高温高圧となり、吐出管15から吐出される。つまり、圧縮機構12は、吸入管14からシェル11に流入した冷媒を圧縮して吐出管15から吐出するように構成されている。
【0047】
圧縮機構12は、ローリングピストン17とベーン(図示なし)等の組み合わせからなるロータリ型の圧縮機構である。シリンダー18のシリンダー室19の内周面とローリングピストン17の外周面とベーン(図示なし)とで囲まれたクランク軸10aがローリングピストン17の偏心回転運動によって体積変化することで、冷媒が圧縮される。
【0048】
圧縮された冷媒は、上軸受20の吐出孔21からマフラー空間22に吐出され、その後、吐出マフラー23の吐出孔24からシェル11内に吐出される。吐出された冷媒は電動機13の隙間(電動機回転子25と電動機固定子26間の隙間、電動機固定子26の外周面に設けた溝等)を通過した後、吐出管15から冷媒回路100の下流側へ排出される。
【0049】
なお、圧縮機3は、圧縮機構12の内部に摺動部を有する。摺動部の潤滑のため、圧縮機3には、下方に位置する油溜部27に冷凍機油が貯留されている。油溜部27に貯留された冷凍機油は、駆動軸28の軸内に設けられた給油孔(図示なし)を通じてポンプ作用により圧縮機構12の内部の摺動部に供給される。冷凍機油は、圧縮機3内で冷媒と接触するため、冷媒の一部は冷凍機油中に溶解する。駆動軸28は、副軸受29と上軸部20との間に位置することで支持される。また、副軸受29は、シリンダー18の端面を閉塞させることで、冷媒を圧縮させる。
【0050】
<冷凍機油>
本実施の形態において、圧縮機に充填される冷凍機油について説明する。圧縮機に充填された冷凍機油の少なくとも一部は、運転時に冷媒と共に冷媒回路内を循環する。上記冷凍機油の組成物は、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、及びポリビニルエーテル(PVE)等のエーテル系合成油、ポリオールエステル(POE)等のエステル系合成油、ポリアルファオレフィン(PAO)、アルキルベンゼン(AB)、及びアルキルナフタレン(AN)等の炭化水素系合成油、並びに、パラフィン、及びナフテン等の鉱油が挙げられる。上記冷凍機油は、単一の組成物で構成されていてもよく、混合物から構成されていてもよい。
【0051】
ここで、上記冷凍機油の組成物は、当該組成物が有する動粘度により圧縮機内を潤滑する成分であり、冷媒よりも高い動粘度を有する物質が好ましい。具体的には、上記組成物の40℃における動粘度は、上記圧縮機の摺動部を潤滑させ、冷凍サイクル装置の冷却効率を著しく低下させない観点から、5mm/s以上250mm/s以下であるものが好ましい。
【0052】
上記エーテル系合成油であるPAGは、下記化学式(I)で表されるエキレンオキサイド基(EO基)プロピレンオキサイド基(PO基)からなる群より選択される少なくとも1種の重合体である。
【0053】
【化1】
【0054】
上記化学式(I)において、l及びpは、それぞれEO基及びPO基の数の平均を示す。上記化学式(I)において、R及びRは、水素原子又は炭素数が1以上の炭化水素基のいずれかである。EO基とPO基の配列は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
【0055】
上記化学式(I)において、l及びpは、下記式(2)及び(3)の関係を満たすことが好ましい。下記式(2)及び(3)の関係を満たさない場合、PAGが低温で凝固するおそれがある。
l+p≦100・・・(2)
p/(l+p)≧0.20・・・(3)
【0056】
及びRは、炭素数が1以上の炭化水素基であることが好ましい。R及びRが水素原子の場合、PAGの吸湿性が高くなり、水分が混入するおそれがある。
【0057】
また、PAGは、単一の構造を有するPAGであってもよく、異なる構造を有するPAGの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するPAGの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0058】
上記エーテル系合成油であるPVEは、ビニルエーテル化合物の重合反応により得られる化合物であり、化学式(II)に示されるポリビニルエーテル構造を有する。
【0059】
【化2】
【0060】
上記化学式(II)において、R、R、及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数が1以上8以下の炭化水素基を示す。R、R、及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数が2以上10以下の炭化水素基を示す。Rは炭素数が1以上10以下の炭化水素基を示す。kは、PVEが有するROの構成単位の平均値を示し、その数は0以上10以下である。RからRは構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。またROが複数ある場合、複数のROは同一であっても、異なっていてもよい。sは、PVEが有するポリビニルエーテル構造の数を示し、その平均値は2以上である。
【0061】
、R、及びRの具体的な例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基のアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、及び各種メチルベンジル基のアリールアルキル基が挙げられる。これらの中で、R、R、Rは、水素原子又は炭素数が1以上5以下の炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数が1以上3以下の炭化水素基がより好ましい。
【0062】
の具体的な例として、エチレン基、フェニルエチレン基、1,2-プロピレン基、2-フェニル-1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種ヘプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、及び各種デシレン基の炭化水素基、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、及びプロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式基、各種フェニレン基、各種メチルフェニレン基、各種エチルフェニレン基、各種ジメチルフェニレン基、及び各種ナフチレンなどの芳香族炭化水素基、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンなどのアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分にそれぞれ一価の結合部位とを有するアルキル芳香族基、キシレン、及びジエチルベンゼンなどのポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有するアルキル芳香族基などが挙げられる。これらの中で、Rは、炭素数が2以上4以下の脂肪族基であることがより好ましい。化学式(II)中において、kは繰り返し数を示し、その平均値は0以上10以下が好ましく、0以上5以下がより好ましい。
【0063】
の具体的な例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、及び各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、及び各種ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、及び各種フェニルブチル基のアリールアルキル基などが挙げられる。この中で、Rは、炭素数が8以下の炭化水素基であることが好ましい。kが0の場合、Rは炭素数が1以上6以下のアルキル基がより好ましい。kが1以上の場合、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基がより好ましい。
【0064】
また、PVEは、単一の構造のPVEであってもよく、異なる構造を有するPVEの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するPVEの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0065】
上記エステル系合成油であるPOEは、多価アルコールと脂肪酸とから合成されるエステルである。合成方法は多価アルコールと脂肪酸との脱水縮合に限定されない。
【0066】
脂肪酸は、一価又は二価の脂肪酸である。脂肪酸は、不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸のいずれでもよく、また直鎖脂肪酸及び分岐鎖脂肪酸のいずれでもよい。
【0067】
脂肪酸は、飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸は酸化安定性が高いため、POEが熱劣化を起こしにくいためである。脂肪酸は、炭素数が4以上20以下であることが好ましい。POEの動粘度が圧縮機の摺動部を潤滑するのに十分かつ冷凍サイクル装置の冷却効率を著しく低下させないためである。
【0068】
本実施の形態における、炭素数が4以上20以下である一価脂肪酸としては、具体的に、ブタン酸(すべての異性体を含む)、ペンタン酸(すべての異性体を含む)、ヘキサン酸(すべての異性体を含む)、ヘプタン酸(すべての異性体を含む)、オクタン酸(すべての異性体を含む)、ノナン酸(すべての異性体を含む)、デカン酸(すべての異性体を含む)、ウンデカン酸(すべての異性体を含む)、ドデカン酸(すべての異性体を含む)、トリデカン酸(すべての異性体を含む)、テトラデカン酸(すべての異性体を含む)、ペンタデカン酸(すべての異性体を含む)、ヘキサデカン酸(すべての異性体を含む)、ヘプタデカン酸(すべての異性体を含む)、オクタデカン酸(すべての異性体を含む)、ノナデカン酸(すべての異性体を含む)、及びイコサン酸(すべての異性体を含む)が挙げられる。これらの炭素数が4以上20以下である一価脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。さらに具体的には、α位及び/又はβ位に分岐を有する脂肪酸であってもよく、2-メチルプロパン酸、2-メチルブタン酸、2-メチルペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-メチルヘプタン酸、2-エチルヘキサン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、及び2-エチルヘキサデカン酸などが好ましく、中でも2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸がより好ましい。分岐鎖の立体障害により、エステルが耐加水分解性に優れるためである。
【0069】
本実施の形態における、炭素数が4以上20以下である二価脂肪酸としては、具体的に、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸が挙げられる。
【0070】
脂肪酸は、炭素数が4以上20以下の脂肪酸以外の脂肪酸を含んでいてもよい。炭素数が4以上20以下の脂肪酸以外の脂肪酸としては、例えば炭素数が21以上24以下の脂肪酸が挙げられ、具体的には、直鎖状又は分岐状のヘンイコ酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、及び直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等が挙げられる。エステルを構成する脂肪酸は、上記の1種類でもよく、2種類以上が含まれてもよい。
【0071】
多価アルコールは、上記圧縮機の摺動部を潤滑させ、冷凍サイクル装置の冷却効率を著しく低下させない観点から、水酸基の数が2以上6以下の多価アルコールが好ましい。多価アルコールの炭素数としては、4以上12以下が好ましく、5以上10以下がより好ましい。具体的には、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ-(トリメチロールプロパン)、トリ-(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコールが好ましい。エステルを構成する多価アルコールは、上記の1種類でもよく、2種類以上が含まれてもよい。
【0072】
POEは、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のまま残っている部分エステルであってもよく、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、また部分エステルと完全エステルとの混合物であってもよい。
【0073】
上記脂肪酸が二価脂肪酸である場合、両方のカルボキシル基がエステル化されていてもよく、片方のカルボキシル基のみがエステル化されていてもよい。二価脂肪酸の両方のカルボキシル基がエステル化される場合、片方のカルボキシル基は多価アルコールとのエステルではなく、一価のアルコールとのエステルでもよい。一価のアルコールは、炭素数が1以上20以下であることが好ましい。
【0074】
また、POEは、単一の構造を有するPOEであってもよく、異なる構造を有するPOEの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するPOEの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0075】
上記炭化水素系合成油であるPAOの例としては、オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーを重合して得られたものが挙げられる。オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとしては、エチレン、プロピレン、各種ブテン、各種ペンテン、各種ヘキセン、各種ヘプテン、各種オクテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、スチレン、α-メチルスチレン、及び各種アルキル置換スチレン等が挙げられる。オレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、PAOは、単一の構造を有するPAOであってもよく、異なる構造を有するPAOの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するPAOの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0076】
上記炭化水素系合成油であるABは、ベンゼンの水素原子のうち少なくとも1つが炭化水素基で置換された化合物である。上記炭化水素系合成油であるABは、ベンゼンの水素原子のうち、1つ以上4つ以下が炭化水素基で置換されたものが好ましく、1つ以上2つ以下が炭化水素基で置換されたものがより好ましい。安定性、入手可能性に優れるためである。該炭化水素基の炭素数は、1以上19以下であるものが好ましい。ABの動粘度が圧縮機の摺動部を潤滑するのに十分かつ冷凍サイクル装置の冷却効率を著しく低下させないためである。
【0077】
本実施の形態において、炭素数が1以上19以下である炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含む)、及びエイコシル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖であってもよい。
【0078】
また、ABは、単一の構造を有するABであってもよく、異なる構造を有するABの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するABの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0079】
上記炭化水素系合成油であるANは、ナフタレンの水素原子のうち少なくとも1つが炭化水素基で置換された化合物である。上記炭化水素系合成油であるANは、ナフタレンの水素原子のうち、1つ以上4つ以下が炭化水素基で置換されたものが好ましく、1つ以上3つ以下が炭化水素基で置換されたものがより好ましい。安定性、入手可能性に優れるためである。該炭化水素基の炭素数は、1以上19以下であるものが好ましい。ANの動粘度が圧縮機の摺動部を潤滑するのに十分かつ冷凍サイクル装置の冷却効率を著しく低下させないためである。
【0080】
本実施の形態において、炭素数が1以上19以下の炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含む)、及びエイコシル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖であってもよい。
【0081】
また、ANは、単一の構造を有するANであってもよく、異なる構造を有するANの混合物であってもよい。冷凍機油に異なる構造を有するANの混合物が含まれることにより、冷凍機油の特性を調整することができる。
【0082】
鉱油は、原油の分離、精製により得られる潤滑油である。鉱油の分類として、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油があるが、そのいずれでもよく、それらの混合物であってもよい。
【0083】
上記冷凍機油には、添加剤として、酸化防止剤、酸捕捉剤、及び極圧剤(摩耗防止剤)が含まれていてもよい。
【0084】
酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、及び2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)等のフェノール系、フェニル-α-ナフチルアミン、及びN,N’-ジ-フェニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系が挙げられる。
【0085】
酸化防止剤は、冷凍機油の劣化を抑制する効果がある。冷凍機油に対する酸化防止剤の含有量は、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1質量%以下がより好ましい。酸化防止剤を含有させることで冷凍機油の酸化劣化を抑制することができるが、過剰に含有すると冷凍機油の動粘度が低下する、劣化により夾雑物として冷媒回路を閉塞させる等の虞がある。
【0086】
酸捕捉剤としては、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシド、及びエポキシ化大豆油等のエポキシ化合物が挙げられる。特に、アルキルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエーテル、及びα-オレフィンオキシドが好ましい。
【0087】
酸捕捉剤は、冷凍機油や冷媒回路内に存在する有機材料(絶縁フィルム、シール材等)の劣化により発生する酸を捕捉する効果がある。そのため、酸による冷凍機油の劣化を抑制する効果がある。冷凍機油に対する酸捕捉剤の含有量は、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。酸捕捉剤を含有させることで酸の発生を抑制することができるが、過剰に含有すると冷凍機油の動粘度が低下する、劣化により夾雑物として冷媒回路を閉塞させる等の虞がある。
【0088】
極圧剤(摩耗防止剤)としては、リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、及び酸性亜リン酸エステル、ならびにこれらのアミン塩等のリン系極圧剤が挙げられる。極圧剤(摩耗防止剤)としては、リン酸エステル、チオリン酸エステル、又はこれらの混合物が好ましい。具体的には、トリクレジルホスフェート(O=P-(OC)、トリフェニルホスフォロチオエート(S=P-(OC)、及びトリフェニルホスフェート(O=P-(OC)、これらの誘導体又はこれらの混合物が好ましい。
【0089】
極圧剤は、圧縮機の摺動部の摩擦を低減させることができる。そのため、摩擦熱による冷凍機油の劣化を抑制することができる。冷凍機油に対する極圧剤の含有量は、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上4質量%以下がより好ましい。極圧剤を含有させることで摺動部の摩擦を低減させることができるが、過剰に含有すると極圧剤により金属が腐食される、冷凍機油の動粘度が低下する、劣化により夾雑物として冷媒回路を閉塞させる等の虞がある。
【0090】
また、冷凍機油には、酸素捕捉剤が含まれていてもよい。酸素捕捉剤としては、例えば、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ジフェニルスルフィド、ジオクチルジフェニルスルフィド、ジアルキルジフェニレンスルフィド、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、ベンゾチアピラン、チアピラン、チアントレン、ジベンゾチアピラン、及びジフェニレンジスルフィド等の含硫黄芳香族化合物、各種オレフィン、ジエン、及びトリエン等の脂肪族不飽和化合物、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、及びフェランドレン等の不飽和結合を有する環式テルペン類が挙げられる。酸捕捉剤としては、脂肪族不飽和化合物、不飽和結合を有する環式テルペン類等が好ましい。
【0091】
酸素捕捉剤は、冷凍機油の酸化劣化を抑制する効果がある。冷凍機油に対する酸素捕捉剤の含有量は、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。酸素捕捉剤を含有させることで冷凍機油の酸化劣化を抑制することができるが、過剰に含有すると冷凍機油の動粘度が低下する、劣化により夾雑物として冷媒回路を閉塞させる等の虞がある。
【0092】
その他、冷凍機油には、冷媒及び冷凍機油を視覚で検知できるように、蛍光剤、着色剤等を含ませていてもよい。蛍光剤及び着色剤は、低温で析出を起こさないよう、冷凍機油の飽和溶解量以下の添加量であることが好ましい。
【0093】
冷凍機油に水分が含まれると、冷媒、冷凍機油、冷媒回路内の金属、冷媒回路内の有機材料(ポリエステル等)等の劣化を促進させるおそれがあるため、充填される冷凍機油に含まれる水分は、300質量ppm以下が好ましく、100質量ppm以下がより好ましい。
【0094】
上述した冷凍サイクル装置においては、圧縮機3としてロータリ圧縮機を用いる形態について説明しているが、これに限定されず、例えば、圧縮機3として、低圧シェル型又は高圧シェル型のスクロール圧縮機又はスクリュー圧縮機等を用いてもよい。
【実施例
【0095】
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0096】
<評価試験1>
ゴム部品を含む部材から構成される試験容器に冷媒及び冷凍機油を混合した場合に冷凍機油の劣化度合いを評価するため、試験容器、冷媒、冷凍機油、及びゴム部品を表1に示す条件で準備した。また、水素化ニトリルゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率であるBの値、Σ{A/(n-1)}の値、及び式(1)の左辺の値を表2に示した。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
冷媒はHFO-1123(AGC社製)とR-290(岩谷瓦斯株式会社製)とをそれぞれ56mol%と44mol%となるよう混合して調製した。試験容器に冷媒を15g封入した。
【0100】
冷凍機油は、組成物として95.5質量%のポリオールエステル試薬(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード320-65295)、酸化防止剤として0.5質量%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード023-07395)、酸捕捉剤として2.0質量%の2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード329-7425)、極圧剤(摩耗防止剤)として2.0質量%のトリクレジルホスフェート(東京化成工業株式会社製、製品コードP0273)を添加して調製した。当該冷凍機油に水分量が50ppm未満になるようモレキュラシーブス(富士フイルム和光純薬株式会社製、133-0865)を加えて、水分を除去した。試験容器に冷凍機油を60g封入した。
【0101】
試験容器には、試験No.1-1を除いて、それぞれBの値が異なる水素化ニトリルゴム(市販品)を含むゴム部品を封入した。試験No.1-1ではBの値が0のゴム部品を封入した。試験No.1-2ではBの値が0.25のゴム部品を封入した。試験No.1-3ではBの値が0.34のゴム部品を封入した。試験No.1-4ではBの値が0.44のゴム部品を封入した。
【0102】
冷凍機油の劣化試験は、オートクレーブテストであり、JIS K2211:2009(付属書C)に準拠して行った。オートクレーブテストとは、冷媒との化学的安定性試験方法の一種である。試験容器は、容量が200cmのポータブルリアクター(耐圧硝子工業株式会社製、TVS-N2-200)を用いた。当該試験容器に冷凍機油を入れて密閉し、減圧した後に冷媒を注入した。減圧後に冷媒を注入することで、冷凍サイクル装置における圧縮機内部の冷凍機油と冷媒とが混合した状態を模擬することができる。次に密閉した試験容器を125℃~200℃で一定時間加熱後、冷凍機油の色等の変化によって、化学的安定性を評価した。
【0103】
冷凍機油の劣化度合いを評価するため、JIS K2501:2003に準拠して冷凍機油の全酸価測定を行った。重量については、電子天秤(株式会社島津製作所製 AP125WD)を用いて測定を行った。冷凍機油の全酸価を測定するため、オーブン(エスペック株式会社製、SPH-201S)を用いて、冷凍機油と冷媒とを封入した試験容器を150℃で、336時間加熱した。
【0104】
Bの値と、試験後の冷凍機油における全酸価の値との関係を図3に示した。試験No.1-1~1-3は実施例に相当する。試験No.1-4は比較例に相当する。試験後の冷凍機油における全酸価の値は、Bの値の増加に伴って直線関係で増加した。試験後の冷凍機油における全酸価の値が0.15mgKOH/gを超えると冷凍機油の酸化劣化で生成した夾雑物による冷媒回路配管の閉塞や、金属配管の腐食等の問題が生じるおそれがある。そのため冷凍サイクル装置の信頼性が低下する可能性がある。以上のように、Σ{A/(n-1)}の値が0.56である場合、Bの値が0.42以下であれば、冷凍サイクル装置の信頼性が高くなることを確認した。
【0105】
<評価試験2>
ゴム部品を含む部材から構成される試験容器に冷媒及び冷凍機油を混合した場合に冷凍機油の劣化度合いを評価するため、試験容器、冷媒、冷凍機油、及びゴム部品を表3に示す条件で準備した。評価試験2では、水素化ニトリルゴムのBの値と冷媒の組成とを表4で示した条件で調製した以外、評価試験1と同じ条件で試験を行った。そのため、評価試験1と同じ条件について、ここでは説明を繰り返さない。
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
冷媒は、HFO-1123とR-290とをそれぞれ混合して調製した。つまり、冷媒はC2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す。)で表される化合物を1種類含む。試験No.2-1では、冷媒中のHFO-1123におけるモル比率が38mol%となるよう調製した。試験No.2-2では、冷媒中のHFO-1123におけるモル比率が51mol%となるよう調製した。試験No.2-3では、冷媒中のHFO-1123におけるモル比率が74mol%となるよう調製した。
【0109】
試験容器には、Bの値が0.34の水素化ニトリルゴム(市販品)を含むゴム部品を封入した。
【0110】
冷凍機油の劣化試験及び試験後冷凍機油の全酸価の測定に関しては評価試験1と同様の手順で実施した。
【0111】
Σ{A/(n-1)}の値と、試験後の冷凍機油における全酸価の値との関係を図4に示した。試験No.2-1~2-2は実施例に相当する。試験No.2-3は比較例に相当する。試験後の冷凍機油における全酸価の値は、Σ{A/(n-1)}の値の増加に伴って直線関係で増加した。試験後の冷凍機油における全酸価の値が0.15mgKOH/gを超えると冷凍機油の酸化劣化で生成した夾雑物による冷媒回路配管の閉塞や、金属配管の腐食等の問題が生じるおそれがある。そのため、冷凍サイクル装置の信頼性が低下する可能性がある。以上のように、Bの値が0.34である場合、Σ{A/(n-1)}の値が0.65以下であれば、冷凍サイクル装置の信頼性が高くなることを確認した。
【0112】
<評価試験3>
ゴム部品を含む部材から構成される試験容器に冷媒及び冷凍機油を混合した場合に冷凍機油の劣化度合いを評価するため、試験容器、冷媒、冷凍機油、及びゴム部品を表5に示す条件で準備した。評価試験3では、水素化ニトリルゴムのBの値と冷媒の組成とをそれぞれ調製した以外、評価試験1と同じ条件で行った。そのため、評価試験1と同じ条件について、ここでは説明を繰り返さない。
【0113】
【表5】
【0114】
冷媒は、HFO-1123とR-290とをそれぞれ混合して任意の値に調製した。つまり、冷媒はC2n-m(nは2又は3を表し、mは1以上2n未満の整数を表す。)で表される化合物を1種類含む。試験容器には、Bの値を任意の値に変更したゴム部品を封入した。
【0115】
冷凍機油の劣化試験及び試験後冷凍機油の全酸価の測定に関しては評価試験1と同様の手順で実施した。
【0116】
Σ{A/(n-1)}の値と、Bの値との関係を図5に示した。試験後冷凍機油の全酸価の値が、0.15以下のもの、及び0.15を超えるものをそれぞれプロットし、境界曲線を作成した。試験後冷凍機油の全酸価の値が0.15以下であるものが実施例に相当する。試験後冷凍機油の全酸価の値が0.15を超えるものが比較例に相当する。試験後冷凍機油の全酸価の値は、Σ{A/(n-1)}の値の増加、又はBの値の増加により、増大した。試験後の冷凍機油における全酸価の値が0.15mgKOH/gを超えると冷凍機油の酸化劣化で生成した夾雑物による冷媒回路配管の閉塞や、金属配管の腐食等の問題が生じるおそれがある。そのため、冷凍サイクル装置の信頼性が低下する可能性がある。以上のように、上記式(1)を満たすΣ{A/(n-1)}の値及びBの値であれば、冷凍サイクル装置の信頼性が高くなることを確認した。
【0117】
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
1 室外機、2 室内機、3 圧縮機、4 凝縮器、5 室外送風機、6 膨張弁、7 蒸発器、8 室内送風機、9 液管、10 ガス管、10a クランク軸、11 シェル、12 圧縮機構、13 電動機、14 吸入管、15 吐出管、16 アキュームレーター、17 ローリングピストン、18 シリンダー、19 シリンダー室、20 上軸受、21 上軸受の吐出孔、22 マフラー空間、23 吐出マフラー、24 吐出マフラーの吐出孔、25 電動機回転子、26 電動機固定子、27 油溜部、28 駆動軸、29 副軸受、100 冷媒回路。
【要約】
圧縮機を含む冷媒回路を備え、圧縮機内に冷凍機油が充填されており、冷媒回路内に冷媒が封入されており、冷媒は、C2n-m(nは2又は3、mは1以上2n未満の整数)で表される化合物をi種類(iは1以上の整数)含み、冷媒回路を構成する部材の少なくとも一つがゴム部品であり、ゴム部品は冷凍機油及び冷媒と接触し、式(1):B×Σ{A/(n-1)}≦0.24を満たす冷凍サイクル装置。Aは、該冷媒中のi種類目の上記化合物のモル比率、nは、i種類目の上記化合物のnの値、Σ{A/(n-1)}は、i種類の上記化合物についての、A/(n-1)の合計値、Bは、上記ゴム部品を構成するゴムに含まれるアクリロニトリル単位の質量比率を表す。
図1
図2
図3
図4
図5