(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】ユーザインタフェース変更推奨方法、ユーザインタフェース変更推奨プログラム、及びユーザインタフェース変更推奨システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04842 20220101AFI20250519BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20250519BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2020173032
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2022-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】712005584
【氏名又は名称】株式会社Donuts
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】根岸 心
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】伊藤 隆夫
【審判官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-501415号公報(JP,A)
【文献】特開2012-220969号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0285357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて一のアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの変更を推奨する方法であって、
一のアプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報であって、後記操作群情報そのものを含まない嗜好情報を記録する嗜好情報記録ステップと、
前記一のアプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取ステップと、
当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報であって、前記嗜好情報には含まれない、前記一のアプリケーションプログラムの起動、終了のほか、起動中のあらゆる処理に関する情報である操作群情報を取得する操作群情報取得ステップと、
嗜好情報記録ステップにて記録される嗜好情報と、操作群情報取得ステップにて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによる前記一のアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断ステップと、
変更判断ステップにて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力ステップと、
からなるユーザインタフェース変更推奨方法。
【請求項2】
嗜好情報記録ステップは、一のアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの嗜好に限定されない情報である一般嗜好情報をも嗜好情報として記録する一般嗜好情報記録サブステップを有する請求項1に記載のユーザインタフェース変更推奨方法。
【請求項3】
操作群情報は、少なくとも所定のユーザの目、口、顔、四肢又は指の動きに関する情報のうち一を含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載のユーザインタフェース変更推奨方法。
【請求項4】
推奨情報出力ステップにて出力された推奨情報に応じてユーザインタフェースを変更するユーザインタフェース変更ステップを有する請求項1から
3のいずれか一に記載のユーザインタフェース変更推奨方法。
【請求項5】
ユーザインタフェース変更ステップの変更処理に応じて嗜好情報記録ステップにて記録された嗜好情報を変更する嗜好情報変更ステップをさらに有する請求項
4に記載のユーザインタフェース変更推奨方法。
【請求項6】
一のアプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報であって、後記操作群情報そのものを含まない嗜好情報を記録する嗜好情報記録ステップと、
前記一のアプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取ステップと、
当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報であって、前記嗜好情報には含まれない、前記一のアプリケーションプログラムの起動、終了のほか、起動中のあらゆる処理に関する情報である操作群情報を取得する操作群情報取得ステップと、
嗜好情報記録ステップにて記録される嗜好情報と、操作群情報取得ステップにて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによる前記一のアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断ステップと、
変更判断ステップにて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力ステップと、
をコンピュータを用いて実行可能にするユーザインタフェース変更推奨プログラム。
【請求項7】
一のアプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報であって、後記操作群情報そのものを含まない嗜好情報を保持する嗜好情報保持部と、
前記一のアプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取部と、
当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報であって、前記嗜好情報には含まれない、前記一のアプリケーションプログラムの起動、終了のほか、起動中のあらゆる処理に関する情報である操作群情報を取得する操作群情報取得部と、
嗜好情報保持部にて保持される嗜好情報と、操作群情報取得部にて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによる前記一のアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断部と、
変更判断部にて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力部と、
を有するユーザインタフェース変更推奨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションプログラムにおけるGUIをはじめとするインターフェースをユーザごとに好適に変化させるためのシステムや、同システムを機能させるためのプログラムや方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いてアプリケーションプログラムを実行する際、ユーザは、あらかじめ設定されたユーザインターフェース(UI)を介して情報の入出力処理を実行させる。一のアプリケーションプログラムにおいて様々な処理が可能な場合には、上記プログラム上では、各々の処理を実行するための情報入力を受け付けるためのインターフェース上の構造が必要になり、具体的には、複数のボタンやタブ、アイコンなどが一又は複数のページごとに複数階層に分かれて配置される。
【0003】
こういったアプリケーションプログラムがユーザにどのようにして活用されているのかを可視化するための施策として、いわゆるヒートマップと呼ばれる技術が従来から知られている。これは、マウスの動きを追尾して当該動きをデジタル処理することで、ユーザの思考を解析することを可能にする手法である。当該手法を用いることで、例えばウェブアプリケーションの実行に際して、ユーザの当該アプリケーションを実行するに際してのマウスの動きを把握し、ひいては当該ユーザのアプリケーション利用に際しての思考を可視化することができる。
【0004】
なお、以上のようなヒートマップの技術を用いて、アプリケーションプログラムを、ユーザの嗜好に応じて利用しやすくするための技術が開示されている。例えば特許文献1には、ヒートマップを通じて得られたユーザの操作予測に基づいて、アプリケーションプログラム上の特定のアイコンまたはリンクを拡大して選択しやすくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている先行技術は、特定の表示を見やすくするためのものではあっても、あくまで一の画面上の表示形態を変更するものにすぎない。複数のページ間にまたがった操作を要するような場合においてもユーザの嗜好に適合した表示を実現しているとは言い難かった。
【0007】
また、近年様々なアプリケーションプログラムが登場した結果、ユーザにとって複数のアプリケーションプログラムを並行して利用する際の利便性向上が大きな課題となっている。そのための施策として、一のアプリケーションプログラムを通じて上記複数のアプリケーションプログラムを実行し、それぞれのアプリケーションプログラムで用いる情報やデータを相互に利用可能とするスーパーアプリとも呼ばれる仕組みが注目されているが、従来技術ではそのようなスーパーアプリの趣旨を十分に活かすことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、コンピュータを用いてアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの変更を推奨する方法であって、アプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を記録する嗜好情報記録ステップと、アプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取ステップと、当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得する操作群情報取得ステップと、嗜好情報記録ステップにて記録される嗜好情報と、操作群情報取得ステップにて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断ステップと、変更判断ステップにて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力ステップと、からなるユーザインタフェース変更推奨方法などを提案する。
【0009】
また、嗜好情報記録ステップが、一のアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの嗜好に限定されない情報である一般嗜好情報をも嗜好情報として記録する一般嗜好情報記録サブステップを有する構成のユーザインタフェース変更推奨方法も提案する。
【0010】
また、嗜好情報記録ステップが、一のユーザの操作群情報以外の操作群情報である一般操作群情報をも嗜好情報として記録する一般操作群情報記録サブステップを有する構成のユーザインタフェース変更推奨方法も提案する。
【0011】
また、操作群情報が、少なくとも所定のユーザの目、口、顔、四肢又は指の動きに関する情報のうち一を含むことを特徴とする構成のユーザインタフェース変更推奨方法も提案する。
【0012】
また、推奨情報出力ステップにて出力された推奨情報に応じてユーザインタフェースを変更するユーザインタフェース変更ステップを有する構成のユーザインタフェース変更推奨方法も提案する。
【0013】
また、ユーザインタフェース変更ステップの変更処理に応じて嗜好情報記録ステップにて記録された嗜好情報を変更する嗜好情報変更ステップをさらに有する構成のユーザインタフェース変更推奨方法も提案する。
【0014】
また、当該方法の発明に関連して、アプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を記録する嗜好情報記録ステップと、アプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取ステップと、当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得する操作群情報取得ステップと、嗜好情報記録ステップにて記録される嗜好情報と、操作群情報取得ステップにて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断ステップと、変更判断ステップにて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力ステップと、をコンピュータを用いて実行可能にするユーザインタフェース変更推奨プログラムなども提案する。
【0015】
また、当該方法の発明に関連して、アプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を保持する嗜好情報保持部と、アプリケーションプログラムを読取るアプリケーションプログラム読取部と、当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得する操作群情報取得部と、嗜好情報保持部にて保持される嗜好情報と、操作群情報取得部にて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行う変更判断部と、変更判断部にて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力する推奨情報出力部と、を有するユーザインタフェース変更推奨システムなども提案する。
【発明の効果】
【0016】
主に以上のような構成をとる本発明によって、ユーザに対し、スーパーアプリなどを通じて複数のアプリケーションプログラムを利用する際にも、ユーザ自身の利用形態に応じた好適な操作感を反映した表示を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明のユーザインタフェース変更推奨システムを用いてユーザ端末の表示画面の一例を示す図
【
図1B】本発明のユーザインタフェース変更推奨システムを用いてユーザ端末の表示画面の別の一例を示す図
【
図1C】本発明のユーザインタフェース変更推奨システムを用いてユーザ端末の表示画面の別の一例を示す図
【
図2】本発明のユーザインタフェース変更推奨システムを用いてユーザ端末の表示画面の別の一例を示す図
【
図3】実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図4】実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムを用いてユーザ端末の表示画面の別の一例を示す図
【
図5】実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
【
図6】実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図7】実施形態2のユーザインタフェース変更推奨システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
【
図8】実施形態2のユーザインタフェース変更推奨システムにおける処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず
図1Aないし1C及び
図2を示す。これらの図はいずれも本発明の概要を示すための図であって、本発明をタブレット端末を用いて実現した場合のディスプレイ表示の一例を示す図である。これらの図はいずれも同一のタブレット端末で同一のアプリケーションソフトを実行した場合の表示の一例を示すものである。
【0019】
図1Aは、アプリケーションソフトを起動し、ユーザID「abcde9876」にてログインした場合の画面である。同図には、ログイン時間が2020年1月11日11時11分だったことが示されており、メニューとして8つのアイコンが表示されている。ユーザはタッチパネルやタッチペンの入力デバイスを用いて、当該アイコンのうち自らが利用したい機能をクリックするなどして選択する。ここでは、ナイフとフォークが交差する様子が示されているアイコン(飲食予約に関する機能、又は、当該機能を有する他のアプリケーションプログラムを意味する)をクリックしたとする。
【0020】
次に
図1Bを示す。同図は、
図1Aで示した例においてアイコンをクリックした後の画面表示の一例である。同図ではさらに8つの複数のアイコンが表示されており、これらのアイコンは具体的には、イタリアンや和食、エスニック・中華料理等、さらには喫茶店や居酒屋・バーなどの飲食店に関する情報が表示されるページにリンクされている。ユーザはタッチパネルやタッチペンの入力デバイスを用いて、当該アイコンのうち自らが利用したい類型の飲食店舗が属するアイコンをクリックするなどして選択する。ここでは、和食を示す寿司のアイコンをクリックしたとする。
【0021】
その次に
図1Cを示す。同図は1Bで示した例において寿司のアイコンをクリックした後画面表示の一例である。同図ではあらかじめ登録されている和食店舗のリストが表示される。ユーザはこのなかから所定の店舗を選択することで、当該店舗の予約ができる。ユーザは飲食店の予約をしようとする場合には、その都度このような操作を繰り返して飲食店予約を行う。
【0022】
ここで
図2を示す。同図は
図1Aないし1Cの処理や同様の処理を行ったあと(2020年2月1日14時25分ログイン)に、同一ユーザが改めてアプリケーションソフトウェアを起動しログインした場合のディスプレイ表示の一例を示す図である。同図に示されているように、8つのアイコンが整列表示されている点は従前と変わらないが、当初は表示されていなかった寿司のアイコンが従前表示されていたアイコン表示に重畳して表示されている様子が示されている。表示態様がこのように変化することにより、ユーザは形式的な操作を繰り返すことなく、効率よく和食店舗の予約ができるようになる。
【0023】
なお、ここまでは飲食予約に関する機能を有するアプリケーションプログラムを例に説明をしたが、本発明はその他の種々の機能を有するものに適用可能である。具体的には、労務管理や勤怠管理、採用管理などを行うためのアプリケーションプログラムにおいて適用することが考えられる。
【0024】
労務管理を行うアプリケーションプログラムにおいては、例えば、社員名簿管理や人事評価管理、備品在庫管理、証明書発行管理、在宅勤務等管理、研修受講管理、予算・実績管理、顧客リスト管理、案件管理、受注・売上管理、報告書管理、契約書管理、知財管理、FAQ管理、クレーム・問い合わせ管理、日報管理、議事録管理、アンケート管理その他さまざまな機能が要求される。
【0025】
また、勤怠管理を行うアプリケーションプログラムにおいては、例えば、日々の勤怠打刻時間の管理から有給・休暇付与管理、残業管理、シフト管理、月末調整管理、給与管理、工数管理などの機能を、週次、月次ないし年度ごとといった所定期間ごとに効率的に行うことが要求される。特に勤怠管理の場合は、月末等一定の期間に給与支払額の確定等の観点から業務量が増大することになり、本発明のように、操作群情報をもとに好適なユーザインタフェース環境を提供することによる需要者の業務効率化の余地は決して少なくない。
【0026】
さらに、採用管理を行うアプリケーションプログラムにおいては、例えば、応募情報管理、応募者管理、選考状況管理、採用状況分析管理などの機能が要求される。採用は定期的に行われる場合はもちろん、臨時であったり急遽行われることも少なくなく、本発明のようなアプリケーションプログラムを用いることで、突発的に生じうるこれらの業務についても、当該業務従事者にとり好適なユーザインタフェースを提供し、効率的な業務環境を提供することができる。
【0027】
各機能とも利用される頻度や時期はそれぞれ異なっており、例えば証明書発行管理業務や、社員名簿管理などの機能は、新年度開始の前後の時期に集中して利用されうる。いっぽう、知財管理のような機能は、知財創出や更新期限の際に利用される程度であり、その時期も頻繁とは言い難い。
【0028】
いっぽう、それぞれの機能を実行するには、社員のIDや所属先ID、労働時間や勤務日時等共通に管理利用されるべき情報も少なくない。これらの情報は各機能を利用する際に何度も重複して入力することは極めて煩雑であり、共通に利用可能とされることが好ましい。
【0029】
本発明においてはこのように、時期や目的によって利用頻度は異なる複数の機能について、利用態様に応じてユーザの煩雑な入力処理を回避できるようなUI環境を提供することが可能となる。
【0030】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互
の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、2、3、6、7などに対応する。実施形態2は主に請求項4、5などに対応する。
【0031】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0032】
<<実施形態1>>
<概要>
図3は、本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「ユーザインタフェース変更推奨システム」0300は、「嗜好情報保持部」0301と、「アプリケーションプログラム読取部」0302と、「操作群情報取得部」0303と、「変更判断部」0304と、「推奨情報出力部」0305と、を有する。
【0033】
なお、以下で詳しく説明するユーザインタフェース変更推奨システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマウス、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペンなどの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0034】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0035】
<機能的構成>
「嗜好情報保持部」0301は、アプリケーションプログラムにおけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を保持するように構成されている。ここでいう嗜好情報とは、特定又は不特定のアプリケーションプログラムを使用するユーザごとに、当該使用の傾向を表す種々の情報である。具体的には、機能ごとの使用頻度や継続使用時間、機能間の遷移頻度及び回数や、使用タイミングなどが考えられ、その内容はここで挙げたものに限定されないが、後述する操作群情報そのものは嗜好情報には含まれない。
【0036】
嗜好情報は、ユーザごとに記録され、保持されていることが考えられる。このように構成することで、一のアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの嗜好に限定されず、その他のコンピュータ操作に関するユーザの通常の嗜好一般に関する情報として位置付けられる一般嗜好情報をも嗜好情報として記録するように構成されることが考えられる。当該構成を採用し、嗜好情報を広くユーザによるアプリ操作一般の嗜好として位置付けることによって、嗜好情報を解析し、真にユーザにとって好適と考えられるカスタマイズ推奨処理に用いることも可能になる。
【0037】
一般嗜好情報は、他のアプリケーションプログラムを操作する際の操作処理や処理時間、処理頻度などに関する情報である。したがって、一般嗜好情報を取得するにあたっては、他のアプリケーションプログラムの操作に関する情報を取得するための機能を有することが求められる。そのため、他のアプリケーションプログラムとのインタラクションに関する種々の機能を用いて当該機能を実行することにより得られる情報に基づき一般嗜好情報を生成又は取得し、保持することが考えられる。
【0038】
なおさらに、嗜好情報保持部においては、一のユーザの操作群情報以外の操作群情報である一般操作群情報をも嗜好情報として記録するように構成されることが考えられる。所定のユーザの操作群情報自体は嗜好情報を構成しないが、他のユーザの操作群情報は、アプリケーションプログラムの実行に関するより一般的な嗜好を表す情報として嗜好情報に含まれうる。
【0039】
「一のユーザの操作群情報以外の操作群情報」とはつまり、他のユーザの操作群情報を意味し、他のユーザが当該アプリケーションプログラムを利用する際にどのような操作態様であるかを把握可能な情報である。ユーザが属する会社・法人・団体その他の組織や業種、業態、組織の規模その他組織に関する情報である組織情報を当該ユーザの属性として、相互に紐づけて記録・保持されてもよい。
【0040】
一般操作群情報は、当該操作群情報と紐づくユーザの属性に応じて複数種類保持されることが望ましい。一例としては、ユーザの業態や企業規模、好みや年齢層、地域その他の属性情報に応じて複数保持されることが考えられる。当該構成を採用し、嗜好情報を組織情報ないし一般操作群情報と紐づけることによって、嗜好情報を解析し、特定の組織情報を有するユーザ一般にとり好適と考えられる嗜好情報の推奨などの処理に用いることも可能になる。
【0041】
なお一般操作群情報は、組織情報などのように所定の属性ごとにラベルを付したうえで検索可能に保持されたり、ユーザによって任意の情報の入力を受け付けたりすることによって記録・保持されることが考えられる。また、一度保持された一般操作群情報は、外部とネットワークを介してその内容を更新したり、新たな内容の一般操作群情報としてアップデートしたりすることがあってもよい。新たな機能をもつアプリケーションプログラムの登場や市場におけるアプリケーションプログラム利用に関するトレンドの変化、技術革新や社会情勢その他の外部環境の変化により、一般的と評価されるような嗜好情報は流動的に変化しうる。当該構成を採用することで、ユーザに対し、最新の外部環境に適合した嗜好情報を用いて推奨情報を提供することが可能になる。
【0042】
「アプリケーションプログラム読取部」0302は、アプリケーションプログラムを読取るように構成されている。ここでいうアプリケーションプログラムは、それ単体で提供され種々の機能を利用されるものである場合はもちろん、先に述べたスーパーアプリを用いる場合のように、一のアプリケーションプログラムを介して読み取られるものを当然に含む。
【0043】
「操作群情報取得部」0303は、アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得するように構成されている。ここでいう「アプリケーションプログラムの実行に際して」とは、アプリケーションプログラムの起動、終了のほか、起動中のあらゆる処理に関する情報を操作群情報として取得可能であることを意味している。
【0044】
操作群情報は、操作に直接又は間接に関連する情報である。したがって、ユーザが実際に操作したことによる情報に限定されず、ユーザが操作しなかったことを意味する情報も操作群情報に含まれうる。具体的に言えば、一のアプリケーションプログラムを起動後次の操作を行うまでの何らの指示も受け付けなかった待機時間などの情報である。操作群情報として多様な情報を用いることを可能にすることで、よりユーザの嗜好に適した推奨情報を出力することが可能になる。
【0045】
ちなみに操作群情報は、例えば、所定のユーザの目、口、顔、四肢又は指の動きに関する情報を用いて生成、取得することも考えられる。具体的には、カメラを通じてユーザを撮影し、アプリケーションプログラムを実行する際またはその前後の一連のユーザの動きに関する情報を取得し、当該一連の情報を操作群情報として取得する。一般に、アプリケーションプログラム実行中のユーザの目の動きは、ディスプレイ上のポインタ操作の動きと連動しているといわれることが多い。しかし目の動きとポインタ操作の動きとが連動していない場合には、ユーザが所定の機能を起動するためのボタンやアイコンを探している可能性が高い、といった解析を行うことが可能であり、そのような動きの情報や解析結果を操作群情報ないし嗜好情報として取得することにより、ユーザに対する推奨情報の出力に資することができるようになる。
【0046】
そして目の動き以外であっても、口の動きに起因するユーザの音声をマイクを通じて取得することで、例えば音声入力を受け付ける場合の当該入力内容を操作群情報として取得することも可能であるし、加速度センサやジャイロセンサ、その他各種のセンサを通じてユーザの四肢の動きを特定の意味内容と紐づけられた入力内容である操作群情報として取得することなどがあってもよい。
【0047】
なお、ここで取得する情報は複数種類の動きを含むものであってもよく、操作群情報を多様な動きを踏まえた内容として構成することにより、ユーザの嗜好をより反映させた推奨処理を行うことが可能になる。
【0048】
ここまで説明した嗜好情報、一般嗜好情報、一般操作群情報、そして操作群情報はいずれも、適宜のタイミングで生成、取得、保持されてもよいが、定期的なタイミング又は特定のタイミングで生成又は取得されることが好ましい。例えば、労務管理に関するアプリケーションプログラムのユーザインタフェースの変更を推奨する場合においては、毎月月末又は月初にこれらの各種の情報を生成、取得、又は更新し保持されることが考えられる。
【0049】
労務管理に用いるアプリケーションプログラムは、勤怠管理や給与計算、経費精算その他の観点から、月末にかけて集中的に操作されることが多い。また、旅行予約やクリスマスプレゼント購入予約等のアプリケーションプログラムについても、当該イベントの一定期間前の段階で集中的に操作されることが多い。さらには、家計簿アプリやフリーランス向けの帳簿管理アプリなどは、確定申告前の時期に集中的に操作されることが多い。
【0050】
本発明において、これらの例のように、アプリケーションプログラムの性質に応じて所定のタイミングで操作されることが多い場合には、当該操作が集中的に行われるタイミングで操作群情報等を取得等することが考えられる。そしてこのように、集中的に操作されるタイミングで操作群情報等を取得等する構成を採用すれば、ランダムに取得等したり、操作の都度取得等したりする構成に比べて効率的かつ有意な情報の取得が可能になる。
【0051】
「変更判断部」0304は、嗜好情報保持部にて保持される嗜好情報と、操作群情報取得部にて取得する操作群情報と、を用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェースの変更に関する判断を行うように構成される。嗜好情報と操作群情報とを用いるとはつまり、ユーザの嗜好と、日頃のアプリケーションプログラムの操作の実績とを踏まえて、当該アプリケーションプログラムのより好適な利用に資するユーザインタフェースへの変更可否を判断するための処理である。
【0052】
例えば、アプリケーションプログラムが有する複数の機能のうち、特定の機能の利用頻度が他の機能の利用頻度に比べて著しく多い場合には、当該機能を起動するためのボタンやアイコン等をより目立つ配置位置に変更することが考えられる。また、特定の時期においては、複数の機能のうち限定された複数の機能のみを所定の順番でのみ利用していることが識別できれば、当該時期については、利用している機能を当該利用する順番で起動できるようユーザインタフェースを変更することが考えられる。
【0053】
ここで説明したような変更処理は、アプリケーションプログラムが簡素なユーザインタフェースで構成されている場合にはあまり問題にはならない。しかし、機能が複数あったり、ユーザインタフェースが複数階層で構成され、機能間の遷移のため複雑な画面選択その他の処理が必要になったりする場合には、これらの非効率的な操作の負担を軽減するための処理として極めて有意である。
【0054】
なお、変更判断部においては、例えば機能ごとに使用頻度が高い時期や時間帯などの情報を取得しておくことにより、ユーザインタフェースを変更する時期や時間帯を限定することを判断内容に含めてもよい。月末の給与計算処理や年度末の確定申告処理、年末前の忘年会会場検索処理など、一定の時期について集中的に発生する作業について特に対処可能な構成を採用することにより、ユーザインタフェースの変更に伴い、かかる変更を元に戻すことを希望するようなユーザの潜在的な需要をも満たすことが可能になる。
【0055】
ちなみに、嗜好情報と操作群情報とを用いて変更に関する判断を行う場合の具体的処理については、適宜の方法が考えられる。一例としては、あらかじめ適切な変更処理として考えられるパターンをルールベースで保持しておき、嗜好情報と操作群情報との組み合わせについて当該ルールを適用することで、所定の結論を導き出すことが考えられる。
【0056】
また例えば、保持された嗜好情報や操作群情報を用いて、あらかじめ所定のユーザの一のアプリケーションプログラムの利用に関する嗜好についての機械学習を行うことで学習済モデルを生成しておき、当該学習済モデルと最新の操作群情報を用いてユーザインタフェース変更に関する判断を行うことが考えられる。この場合、新たに取得した操作群情報を用いることで追加学習が行われ、新たな学習済モデルが生成され保持される構成なども当然考えられる。
【0057】
なお、嗜好情報として一般嗜好情報や一般操作群情報を用いることで、上記学習済モデルが過度にユーザの嗜好に依存しないように構成されることも考えられる。例えば、ユーザがアプリケーションプログラムを誤った理解で利用していたり、客観的には非効率的方法で利用していたりする期間が長期的に継続していたような場合には、当該利用態様を機械学習した学習済モデルが生成されることになる。このようにして生成された学習済モデルを用いたとしても、その後真にユーザに好適なユーザインタフェースの変更を推奨できるとは限らず、一般的に推奨されるべき利用態様に関する情報である一般嗜好情報や一般操作群情報をも用いた機械学習を通じた変更判断を行うことが好ましい。当該構成を採用することで、ユーザが明確に意識していないような利用態様についても、本発明を通じて変更を推奨することが可能になる。
【0058】
変更判断部では、ユーザインタフェースの変更に関する判断を行うのであって、用いる嗜好情報や操作群情報の内容如何によっては、ユーザインタフェースを変更しないとの判断を行う場合ももちろんありうる。
【0059】
いずれにしても変更判断部での判断結果は、推奨情報としてユーザに把握可能に出力可能である。しかしそのほかにも、上述のとおり、以後の変更判断のためにも用いられる場合もありうる。その場合には、当該変更判断の結果に関する情報が例えば嗜好情報として嗜好情報保持部に記録保持される構成を採用してもよいし、別途変更判断結果の情報を記録保持する構成を採用し、当該構成下において、別途の機会における変更判断の際に用いられるような構成を採用してもよい。
【0060】
ちなみに、ここで述べた変更判断の結果に関する情報はいずれも、変更判断を行った日時や変更判断を行った通算回数などの情報とともに記録保持されることが望ましい。それらの情報は、変更判断結果がユーザのある種の一時的な傾向に過ぎないものなのか、本質的なユーザの嗜好に基づくものなのかを識別するうえで用いられうるものであって、これらの情報を取得しておく構成を採用することで、より実効性のある変更判断に資することができるようになる。
【0061】
「推奨情報出力部」0305は、変更判断部にて行った判断結果に応じて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報を出力するように構成される。推奨情報は一に限定される必要はなく、複数の推奨情報が出力される構成があってもよい。複数の推奨情報が出力される場合には、当該複数の情報間の推奨の程度を示したうえで出力されることが好まし、それ以外にも例えば、変更を推奨する場合に加えて必ず、変更しないことを推奨することを内容とする情報として推奨情報を出力するような構成を採用してもよい。複数の情報を出力することで、ユーザが自身で好適と判断する情報に則ったユーザインタフェースの変更処理が可能になるし、特に変更することと変更しないこととを推奨する情報を併せて出力することで、ユーザに対してユーザインタフェースの変更ありきという先入観を与えず、本当に自らがユーザインタフェースの変更を欲しているのかどうかを意識しながら推奨情報を吟味することが可能になる。
【0062】
なお、推奨情報出力によってその内容を把握したユーザは、能動的に当該推奨情報に則ったユーザインタフェースの変更処理を実行する場合もあれば、推奨内容に従わない場合も考えられる。それらの推奨情報を踏まえたユーザによるユーザインタフェースの変更処理に関する操作に関する情報もまた、嗜好情報として記録保持されることが望ましい。当該構成を採用することにより、推奨情報ひいては変更判断の精度向上を図ることが可能になる。
【0063】
推奨情報を出力する具体的な態様については、変更判断部の判断結果を推奨情報として、ユーザに対し当該判断結果を視認可能に表示出力する構成が考えられるが、そのような態様に限定されるものではない。例えば、特定の態様として推奨されるユーザインタフェースへの変更処理とともに、当該変更処理結果を推奨情報の出力として行うことも考えられる。このうち変更処理については実施形態2で詳述するが、このように、わざわざユーザに変更処理を推奨するのみではなく、すでにユーザインタフェースの変更処理までも先行してその旨をアナウンスする構成を採用することにより、ユーザの手間を軽減することも可能である。
【0064】
当該構成を採用することにより、ユーザに対し、アプリケーションプログラムのデフォルトの構成にかかわらず、自身の利用形態に応じた好適な操作感を提供できるようになる。
【0065】
<具体的な構成>
ここで
図5を示す。同図は本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0501と、「記憶装置(記憶媒体)」0502と、「メインメモリ」0503と、「入力インターフェース」0504、「出力インターフェース」0505、「ネットワークインターフェース」0506と、を備え、入出力インターフェースを介して、例えば「マウス」0507、「ディスプレイ」0508などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。また、ネットワークインターフェースを介して「利用者端末」0509などの外部装置と情報の送受信を行う場合があってもよい。このネットワークインターフェースの具体的な態様は有線、無線を問わず、また、通信方法も直接、間接を問わない。よって特定の外部装置ないし同装置の利用者と紐づけられた第三者の管理するサーバとの間で情報の送受信を行ういわゆるクラウドコンピューティングの形式を採用することも可能である。
【0066】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0599などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。
【0067】
(嗜好情報保持部の具体的な構成)
嗜好情報保持部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成される。具体的には、CPUが記憶装置から「嗜好情報取得プログラム」0511をメインメモリに読み出して実行し、マウスやタッチパネル、カメラ、マイク、各種センサその他のハードウェアやネットワークを介して取得した嗜好情報をメインメモリの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0068】
(アプリケーションプログラム読取部の具体的な構成)
アプリケーションプログラム読取部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成される。具体的には、CPUが記憶装置から「アプリケーションプログラム読取プログラム」0512をメインメモリに読み出して実行し、ユーザによって選択された所定のコンピュータプログラムをメインメモリの所定のアドレスに読み出す処理を行う。
【0069】
(操作群情報取得部の具体的な構成)
操作群情報取得部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成される。具体的には、CPUが記憶装置から「操作群情報プログラム」0513をメインメモリに読み出して実行し、マウスやタッチパネル、カメラ、マイク、各種センサその他のハードウェアを介して取得した操作群情報をユーザと紐づけてメインメモリの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0070】
(変更判断部の具体的な構成)
変更判断部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成される。具体的には、嗜好情報や操作群情報、あるいはこれらの情報を用いるためのルールやプログラムを読み出すとともに、CPUが記憶装置から「変更判断プログラム」0514をメインメモリに読み出して実行し、当該情報等に基づいてユーザインタフェースの変更処理の要否判断処理を実行し、当該処理結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0071】
(推奨情報出力部の具体的な構成)
推奨情報出力部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成される。具体的には、CPUが記憶装置から「推奨情報出力プログラム」0515をメインメモリに読み出して実行し、変更判断プログラムの実行により得られた判断結果に関する情報を推奨情報として出力する処理を行う。
【0072】
<処理の流れ>
図6は、本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0601では、アプリケーションプログラム(アプリ)におけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を記録する(嗜好情報記録ステップ)。その後ステップS0602では、アプリケーションプログラムを読取り(アプリケーションプログラム読取ステップ)、ステップS0603では当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得する(操作群情報取得ステップ)。そしてステップS0604で、嗜好情報と操作群情報とを用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェース(UI)の変更に関する判断を行う(変更判断ステップ)。ここでの判断が変更すべきとの内容である場合には、ステップS060501にて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報として、ユーザインタフェース変更を推奨するとの内容を出力する。また、判断結果が変更すべきでないとの内容である場合には、ステップS060502にて、推奨情報として、ユーザインタフェース変更を推奨すべきではないとの内容を出力する(以上の2つの処理をまとめて推奨情報出力ステップとする)。
【0073】
<効果>
以上の構成を採用するユーザインタフェース変更推奨システムを利用することにより、ユーザに対し、スーパーアプリなどを通じて複数のアプリケーションプログラムを利用する際にも、ユーザ自身の利用形態に応じた好適な操作感を提供できるようになる。
【0074】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムは、基本的には実施形態1に記載のユーザインタフェース変更推奨システムの技術的特徴と同様であるが、推奨情報出力部にて出力された推奨情報に応じてユーザインタフェースを変更する点を更なる特徴として備えている。
【0075】
<機能的構成>
図7は、本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムを一のコンピュータ(装置)で実現した場合の機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「ユーザインタフェース変更推奨システム」0700は、「嗜好情報保持部」0701と、「アプリケーションプログラム読取部」0702と、「操作群情報取得部」0703と、「変更判断部」0704と、「推奨情報出力部」0705と、「ユーザインタフェース変更部」0706と、を有する。基本的な構成は、実施形態1の
図3を用いて説明したユーザインタフェース変更推奨システムと共通するため、以下では相違点である「ユーザインタフェース変更部」0706の機能について説明する。
【0076】
「ユーザインタフェース変更部」0706は、推奨情報出力部にて出力された推奨情報に応じてユーザインタフェースを変更するように構成されている。具体的な変更処理については、推奨情報の内容に応じて適宜決まるが、そもそもアプリケーションプログラムにおいてそのような変更処理が許容されているかどうかを判断しなければならない。ユーザインタフェースの変更には、対象となるアプリケーションプログラムの変更を伴う処理をも含みうるが、それらの処理は対象となるアプリケーションプログラムの開発者が想定していない処理となり、ややもすると適法性の観点からも好ましくない場合もある。
【0077】
そこでユーザインタフェースの変更処理については、アプリケーションプログラムを上書処理して変更する構成ではなく、推奨情報に則ったユーザインタフェースを実現する新たなプログラムを提供し、ユーザに対しあたかもアプリ内の構成が変更されたように認識させるような構成を採用することが考えられる。また、アプリケーションプログラムの開発者に対し、ユーザインタフェースの変更処理の許可を求める信号を出力し、当該許可を受け次第変更処理を行うような構成も考えられる。その他、変更処理に関し特定の限定を付すものではないが、いずれにせよ、当該構成を採用することにより、ユーザが自身で開発者に依頼したりすることなく、スムーズにユーザインタフェースの変更を実現することが可能となる。
【0078】
<具体的な構成>
本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図5を用いて説明した実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「ユーザインタフェース変更部」の具体的な処理について説明する。
【0079】
(ユーザインタフェース変更部の具体的な構成)
ユーザインタフェース変更部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「ユーザインタフェース変更プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、推奨情報に基づいてユーザインタフェースの変更のための処理を行う。
【0080】
<処理の流れ>
図8は、本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0801では、アプリケーションプログラム(アプリ)におけるユーザインタフェースの嗜好に関する情報である嗜好情報を記録する(嗜好情報記録ステップ)。その後ステップS0802では、アプリケーションプログラムを読取り(アプリケーションプログラム読取ステップ)、ステップS0803では当該アプリケーションプログラムの実行に際して、所定のユーザによる操作に直接又は間接に関連する複数の情報である操作群情報を取得する(操作群情報取得ステップ)。そしてステップS0804で、嗜好情報と操作群情報とを用いて当該所定のユーザによるアプリケーションプログラムの実行に関するユーザインタフェース(UI)の変更に関する判断を行う(変更判断ステップ)。ここでの判断が変更すべきとの内容である場合には、ステップS080501にて、当該所定のユーザに対するユーザインタフェース変更の推奨に関する情報である推奨情報として、ユーザインタフェース変更を推奨するとの内容を出力する。また、判断結果が変更すべきでないとの内容である場合には、ステップS080502にて、推奨情報として、ユーザインタフェース変更を推奨すべきではないとの内容を出力する(以上の2つの処理をまとめて推奨情報出力ステップとする)。そして推奨情報としてユーザインタフェース変更を推奨された場合には、ステップS0806として、当該推奨情報に応じてユーザインタフェースを変更する(ユーザインタフェース変更ステップ)。
【0081】
<効果>
本実施形態のユーザインタフェース変更推奨システムを用いることにより、実施形態1のユーザインタフェース変更推奨システムを用いる場合に比べ、より直截的にユーザに対して好適なユーザインタフェースを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0082】
0300・・・ユーザインタフェース変更推奨システム、0301・・・嗜好情報保持部、0302・・・アプリケーションプログラム読取部、0303・・・操作群情報取得部、0304・・・変更判断部、0305・・・推奨情報出力部