(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】温度制御装置およびそのエピタキシャル成長機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20250519BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20250519BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 B
(21)【出願番号】P 2024560808
(86)(22)【出願日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2023101036
(87)【国際公開番号】W WO2023246692
(87)【国際公開日】2023-12-28
【審査請求日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】202210724014.2
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524250329
【氏名又は名称】江蘇天芯微半導体設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】秦 志堅
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0027092(US,A1)
【文献】特開平5-136074(JP,A)
【文献】特表2015-522939(JP,A)
【文献】特表2011-515021(JP,A)
【文献】特表2019-523554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置と、反射板装置と、前記反射板装置に設けられて、前記反射板装置の温度を制御するための温度制御装置とを備えるエピタキシャル成長機器に用いられる温度制御装置であって、
外部リングと、
外部リングの内側に設けられる内部リングと、
前記外部リングおよび/または内部リングに設けられており、冷却媒体の入口と、冷却媒体の出口と、両方を通る冷却通路とを含む温度制御アセンブリと、を備えることを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記温度制御アセンブリは前記内部リングにのみ設置され、前記温度制御装置は、外部リングを通して、前記反射板装置の方向へ内部リングに圧力を加えるための圧力アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記圧力アセンブリは内部リングと外部リングとの間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記圧力アセンブリは、内部リングの外周に設けられる少なくとも1つの突起構造と、外部リングの内周に設けられ、前記突起構造に合致する段付き凹溝と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記外部リングの材料の熱伝導率は、前記内部リングの材料の熱伝導率未満であり、
および/または、前記外部リングの材料の耐摩耗性は、前記内部リングの材料の耐摩耗性よりも大きい、ことを特徴とする請求項4に記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記外部リングの材料はステンレス鋼を含み、前記内部リングの材料は銅を含むことを特徴とする請求項5に記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記温度制御アセンブリは前記外部リングにのみ設置され、前記温度制御装置は、内部リングを通して、前記反射板装置の方向へ外部リングに圧力を加えるための圧力アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記圧力アセンブリは内部リングと外部リングとの間に設けられることを特徴とする請求項7に記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記圧力アセンブリは、外部リングの内周に設けられる少なくとも1つの突起構造と、内部リングの外周に設けられて、前記突起構造に合致する段付き凹溝と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記内部リングの材料の熱伝導率は、前記外部リングの材料の熱伝導率未満であり、
および/または、前記内部リングの材料の耐摩耗性は、前記外部リングの材料の耐摩耗性よりも大きい、ことを特徴とする請求項9に記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記内部リングの材料はステンレス鋼を含み、前記外部リングの材料は銅を含むことを特徴とする請求項10に記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突起構造の輪郭は連続波形、連続ポリラインと連続ジグザグの中の一種または複数種である、ことを特徴とする請求項4または9に記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記温度制御装置は、接続アセンブリを介して前記外部リングまたは内部リングと着脱可能に接続される、加熱装置を着脱可能に載置するためのベースをさらに含む、ことを特徴とする請求項2または7に記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記接続アセンブリは、ベースと外部リングまたは内部リングとの間に配置されて、ベースを、外部リングまたは内部リングに対して摺動方向で摺動させるように案内するための摺動案内部材および位置決め部材を含み、前記位置決め部材は、前記ベースが取り付け位置に摺動して到達した時に、前記ベースを、外部リングまたは内部リングに対して前記取り付け位置に固定することに用いられる、ことを特徴とする請求項13に記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記摺動案内部材は、T字形ボスと、それに合致するT字形凹溝と、を含み、前記T字形凹溝は、T字形ボスをその内部で摺動させて案内することに用いられ、
前記T字形ボスは、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記T字形凹溝は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられるか、或いは、前記T字形凹溝は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記T字形ボスは、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられる、ことを特徴とする請求項14に記載の温度制御装置。
【請求項16】
前記位置決め部材は、弾性構造と、それに合致する位置決め凹溝とを含み、前記弾性構造は、延長部を含み、取り付け位置にある場合、前記弾性構造の延長部は、前記位置決め凹溝に対して係止関係を形成し、
前記弾性構造は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記位置決め凹溝は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられるか、或いは、前記弾性構造は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられ、前記位置決め凹溝は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられる、ことを特徴とする請求項14に記載の温度制御装置。
【請求項17】
前記弾性構造の延長部はボールプランジャーである、ことを特徴とする請求項16に記載の温度制御装置。
【請求項18】
前記位置決め部材の数量は少なくとも2つであり、かつ位置決め部材は、前記摺動案内部材に対して対称に設置され、
前記摺動案内部材は、外部リングまたは内部リングに沿って径方向に延伸する、ことを特徴とする請求項14に記載の温度制御装置。
【請求項19】
前記温度制御装置は、
外部リングおよび/または内部リングに設けられて、外部リング、内部リングを前記反射板装置に固定するための締結部材をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項20】
基板を載置するためのトレイが内部に含まれる、エピタキシャル成長プロセスを実施するための反応チャンバと、
反応チャンバの上方および/または下方に設けられて、エピタキシャル成長プロセスにおいて熱放射を提供するための加熱装置と、 加熱装置によって生成された熱放射を反応チャンバに反射するための反射板装置と、
前記反射板装置の温度を制御するための請求項
1に記載の温度制御装置と、を含むことを特徴とするエピタキシャル成長機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体機器の分野に関し、具体的には、温度制御装置およびそのエピタキシャル成長機器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの生産過程では、大量の微細加工が必要であるが、その中、一般的に使用される方式は、蒸着またはプラズマ処理プロセスを使用して、真空反応チャンバを用いて半導体基板を処理および加工することである。蒸着過程に化学反応が含まれているかどうかにより、蒸着は物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、略称PVD)と化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、略称CVD)に分けられる。ここで、CVDは、現在、半導体業界で最も広く使用されている様々な材料を蒸着させる技術であり、幅広い絶縁材料、ほとんどの金属材料および金属合金材料が含まれる。
【0003】
化学気相成長とは、化学ガスまたは蒸気が基板の表面で反応してコーティングまたはナノ材料を合成する方法を指し、一般的に言えば、その原理は、キャリアガスを利用して、気相反応物または前駆体を基板が載置された反応チャンバ中に運ぶことであり、ここで、エピタキシャル成長装置(化学気相成長装置の一種)は、複数の加熱装置を用いて反応チャンバ内に熱エネルギーを送り込み、チャンバ内の温度を上昇させ、基板およびチャンバ内の気相反応物を加熱してそれらの温度を上昇させ、その後、高温状態で単一または複数種のガス間の化学反応を引き起こし、各気相反応物は分解して再結合し、新しい固体物質を形成し、また基板の表面に蒸着されて必要な薄膜を形成する。
【0004】
一般に、加熱装置からチャンバへの熱放射伝達の効率を高めるために、反射板装置を利用して、加熱装置によって生成された熱放射を最大化して、反応チャンバに伝達することができる。ところが、プロセス過程で、反射板装置は必然的に加熱装置によって生成された熱エネルギーの一部を吸収するため、反射板装置の温度が高すぎることになり、温度が高すぎると、反射板装置の表面の金属層が剥がれるだけでなく、個々の部材の応力が増加し、部材の損傷がもたらされる。そのため、反射板装置の温度を調整するように、水冷板構造を設けることも必要である。しかしながら、エピタキシャル成長プロセスが行われる際、プロセス温度は1000°Cにも達し、かつ温度の変化が大きく、数百から数千の間で変化し、水冷板構造は熱膨張と冷間収縮の影響で反り、変形し、長期的には、水冷板構造と反射板装置との貼り合わせがあまりよくなく、両者の間のギャップが大きくなり、ギャップが大きくなると、水冷板構造と反射板装置と間の熱交換の効率が低いため、反射板装置の温度調整に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、温度制御装置およびそのエピタキシャル成長機器を提供することを目的とし、該温度制御装置は、内部リング、外部リングおよび温度制御アセンブリを組み合わせて、温度制御装置が反射板装置に接続されるときに熱変形によって生じるギャップを減らし、反射板装置との密着性の確保に役に立ち、長期間使用した後の温度制御装置の反りや変形の問題を回避し、温度制御装置と反射板装置との熱交換の効率を高め、その温度調整の効率を確保する。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段によって実現される。
【0007】
加熱装置と、反射板装置と、前記反射板装置に設けられて、前記反射板装置の温度を制御するための温度制御装置とを備える、エピタキシャル成長機器に用いられる温度制御装置であって、
【0008】
外部リングと、
外部リングの内側に設けられる内部リングと、
前記外部リングおよび/または内部リングに設けられており、冷却媒体の入口と、冷却媒体の出口と、両方を通る冷却通路とを含む温度制御アセンブリと、を備える。
【0009】
選択可能に、前記温度制御アセンブリは前記内部リングにのみ設置され、前記温度制御装置は、外部リングを通して、前記反射板装置の方向へ内部リングに圧力を加えるための圧力アセンブリをさらに含む。
【0010】
選択可能に、前記圧力アセンブリは内部リングと外部リングとの間に設けられる。
【0011】
選択可能に、前記圧力アセンブリは、内部リングの外周に設けられる少なくとも1つの突起構造と、外部リングの内周に設けられて、前記突起構造に合致する段付き凹溝と、を含む。
【0012】
選択可能に、前記外部リングの材料の熱伝導率は、前記内部リングの材料の熱伝導率未満であり、
および/または、前記外部リングの材料の耐摩耗性は、前記内部リングの材料の耐摩耗性よりも大きい。
【0013】
選択可能に、前記外部リングの材料はステンレス鋼を含み、前記内部リングの材料は銅を含む。
【0014】
選択可能に、前記温度制御アセンブリは前記外部リングにのみ設置され、前記温度制御装置は、内部リングを通して、前記反射板装置の方向へ外部リングに圧力を加えるための圧力アセンブリをさらに含む。
【0015】
選択可能に、前記圧力アセンブリは内部リングと外部リングとの間に設けられる。
【0016】
選択可能に、前記圧力アセンブリは、外部リングの内周に設けられる少なくとも1つの突起構造と、内部リングの外周に設けられて、前記突起構造に合致する段付き凹溝と、を含む。
【0017】
選択可能に、前記内部リングの材料の熱伝導率は、前記外部リングの材料の熱伝導率未満であり、
および/または、前記内部リングの材料の耐摩耗性は、前記外部リングの材料の耐摩耗性よりも大きい。
【0018】
選択可能に、前記内部リングの材料はステンレス鋼を含み、前記外部リングの材料は銅を含む。
【0019】
選択可能に、前記少なくとも1つの突起構造の輪郭は連続波形、連続ポリラインと連続ジグザグの中の一種または複数種である。
【0020】
選択可能に、前記温度制御装置は、接続アセンブリを介して前記外部リングまたは内部リングと着脱可能に接続される、加熱装置を着脱可能に載置するためのベースをさらに含む。
【0021】
選択可能に、前記接続アセンブリは、ベースと外部リングまたは内部リングとの間に配置されて、ベースを、外部リングまたは内部リングに対して摺動方向で摺動させるように案内するための摺動案内部材および位置決め部材を含み、前記位置決め部材は、前記ベースが取り付け位置に摺動して到達した時に、前記ベースを、外部リングまたは内部リングに対して前記取り付け位置に固定することに用いられる。
【0022】
選択可能に、前記摺動案内部材は、T字形ボスと、それに合致するT字形凹溝と、を含み、前記T字形凹溝は、T字形ボスをその内部で摺動させて案内することに用いられ、
前記T字形ボスは、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記T字形凹溝は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられるか、或いは、前記T字形凹溝は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記T字形ボスは、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられる。
【0023】
選択可能に、前記位置決め部材は、弾性構造と、それに合致する位置決め凹溝とを含み、前記弾性構造は、延長部を含み、取り付け位置にある場合、前記弾性構造の延長部は、前記位置決め凹溝に対して係止関係を形成し、
【0024】
前記弾性構造は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられ、前記位置決め凹溝は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられるか、或いは、前記弾性構造は、外部リングまたは内部リングのベースに接触する接触面に設けられ、前記位置決め凹溝は、ベースの外部リングまたは内部リングに接触する接触面に設けられる。
【0025】
選択可能に、前記弾性構造の延長部はボールプランジャーである。
【0026】
選択可能に、前記位置決め部材の数量は少なくとも2つであり、かつ位置決め部材は、前記摺動案内部材に対して対称に設置され、
前記摺動案内部材は、外部リングまたは内部リングに沿って径方向に延伸する。
【0027】
選択可能に、前記温度制御装置は、
外部リングおよび/または内部リングに設けられて、外部リング、内部リングを前記反射板装置に固定するための締結部材をさらに含む。
【0028】
選択可能に、エピタキシャル成長機器であって、
基板を載置するためのトレイが内部に含まれる、エピタキシャル成長プロセスを実施するための反応チャンバと、
反応チャンバの上方および/または下方に設けられて、エピタキシャル成長プロセスにおいて熱放射を提供するための加熱装置と、
加熱装置によって生成された熱放射を反応チャンバに反射するための反射板装置と、
前記反射板装置の温度を制御するための温度制御装置と、を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明は、従来技術に比べて、以下のメリットを有する。
【0030】
本発明により提供される温度制御装置およびそのエピタキシャル成長機器において、外輪水冷板構造は少なくとも2つのリングによって構成されるため、各リングの幅は、一体化された水冷板構造に比べて減り、幅が減るため、水冷板構造には熱変形による反りが発生した場合、水冷板構造の各リングと反射板装置との間のギャップは大きくなく、反射板装置との密着性を確保することに役に立ち、温度制御装置と反射板装置との熱交換の効率を高める。かつ、内部リングと外部リングとの間には圧力アセンブリがあり、内部リングまたは外部リングと反射板装置との密着性を確保できる。そのほか、内部リングと外部リングは一体化されておらず、2つのリングの材料は異なり、ベースは内部リングまたは外部リングの耐摩耗性材料の一方にのみ配置されるため、高温環境での加熱装置の水平度と安定性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明によるエピタキシャル成長機器の構造概略図である。
【
図2】本発明によるエピタキシャル成長機器の局所構造概略図である。
【
図3】本発明による外輪水冷板構造の概略図である。
【
図4】本発明によるほかの一つの外輪水冷板構造の概略図である。
【
図5】本発明による内部リングの構造概略図である。
【
図6a】本発明による外部リングの上面の概略図である。
【
図6b】本発明による外部リングの下面の概略図である。
【
図7】本発明による加熱装置、ベースおよび外部リングの接続の概略図である。
【
図8a】本発明によるベースの3次元構造概略図である。
【
図8b】本発明によるベースの下面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段およびメリットをより明確にするように、次に、本発明の実施例における図面を合わせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創作労力を払わずに得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0033】
なお、本書において、「含む」、「含有する」、「備える」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、一連の要素を含む過程、方法、物品または端末機器が、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていないほかの要素、またはそのような過程、方法、物品もしくは端末機器に固有の他の要素も含むように、非排他的な包含をカバーすることに留意されるべきである。さらなる制限がない場合、「......を含む」または「......を包含する」というステートメントによって限定される要素は、前記要素を含む過程、方法、物品または端末機器における他の要素の存在を排除するものではない。
【0034】
なお、図面は非常に単純化された形式であり、かつすべてが不正確な比率を使用しており、本発明の1つの実施例の目的を便利かつ明確に説明することを補助するためにのみ使用されることに留意されるべきである。
【0035】
実施例1
図1と
図2を合わせて示すように、本発明のエピタキシャル成長機器の構造概略図であり、該エピタキシャル成長装置は、エピタキシャル成長プロセスを実施するための反応チャンバ100を備え、該反応チャンバ100は、基板Wの上面に材料を堆積させることを含む1つまたは複数の基板Wの処理に用いられる。前記反応チャンバ100は、上端に位置する上部壁101と、底端に位置する下部壁102と、上部壁101と下部壁102との間に延びる側壁とを有し、選択可能に、上部壁101および下部壁102は、熱エネルギーに対して透明である光学的に透明または半透明の材料(例えば、特定の赤外線バンドに対して透明な石英材料など)によって製造される。
【0036】
前記反応チャンバ100は、一端に設けられるガス導入口103と、他端に設けられるガス排出口104とを備える。前記反応チャンバ100の内部には、ガス導入口103に対応するガス導入領域と、ガス排出口104に対応するガス排出領域と、前記ガス導入領域と前記ガス排出領域との間にある反応領域と、が含まれる。前記基板Wは前記反応領域内に位置し、
図1の矢印で示されるように、堆積用の反応ガスがガス導入口103からチャンバの内部空間に流入し、反応領域で化学気相成長プロセスが行われ、かつチャンバのガス排出口104からチャンバから排出される。
【0037】
図1に示されるように、前記下部壁102には、下方に延びる延伸管が設けられ、前記延伸管は、回転軸105が延伸管を通って反応チャンバ100に差し込まれる内部空間を収納することに用いられ、トレイとトレイが載置した基板Wを反応領域で回転させて駆動するように、前記回転軸105の上部には、トレイとトレイでの基板Wを支持するための複数の支持棒が含まれ、さらに、基板Wの薄膜堆積の均一性効果を確保する。選択可能に、顆粒による汚染のリスクを低減するように、前記回転軸105は、石英で製造される。
【0038】
さらに、該エピタキシャル成長機器は、エピタキシャル成長プロセスが行われる際、反応チャンバ100および基板Wに熱放射を提供するための複数の加熱装置106をさらに含み、各前記加熱装置106は、前記反応チャンバ100およびその中の基板Wを加熱するように、前記反応チャンバ100の外側に設けられる。反応チャンバ100内の温度変化の状況を了解しやすいように、前記エピタキシャル成長機器は、温度計107をさらに備える。
【0039】
本実施例において、前記反応チャンバ100の上下方には、いずれも加熱装置106が配置され、エピタキシャル成長過程では、反応チャンバ100における反応ガスの熱分解に役に立つように、各加熱装置106を介して反応チャンバ100内およびその基板Wに熱放射を提供することにより、エピタキシャル成長機器の反応チャンバ100の内部および基板Wを必要なプロセス温度に達させ、したがって、基板Wの上面に薄膜材料を堆積させ、同時に温度計107を用いて反応チャンバ100内の温度をリアルタイムに測定し、それにより、プロセス過程を調整する。選択可能に、基板Wの上面に堆積する薄膜材料は、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料であり、また、III族、IV族、および/またはV族材料などの他のドーピング材料を含んでもよい。さらに、選択可能に、前記加熱装置106は、透明な石英殻を有し、かつヨウ素等のハロゲンガスを含有する高輝度タングステンランプであり、各加熱装置106によって生成された熱エネルギーが、反応チャンバ100内の基板Wおよび反応ガスに最大限に伝達されるように、該高輝度タングステンランプによって生成された輻射熱エネルギーのごく一部のみが、反応チャンバ100の上部壁101および下部壁102に吸収される。当然ながら、前記加熱装置106は、熱放射を実現できる他の装置とすることもでき、本発明はこれについて限定するものではない。
【0040】
加熱装置106の反応チャンバ100への熱放射効率を高めるように、本発明のエピタキシャル成長機器は反射板装置をさらに含み、前記反射板装置は、加熱装置106によって生成された熱放射を反応チャンバ100に反射することに用いられ、加熱装置106の熱輻射に対して極めて反射性が高い。
図2に示されるように、本実施例において、各加熱装置106の熱放射伝達の効率を確保するように、加熱装置106の分布によって、内輪反射板装置108と外輪反射板装置109が設置される。前述したことから、各反射板装置は、熱輻射に対して極めて高い反射率を有するが、内輪反射板装置108と外輪反射板装置109によって吸収される一部の熱輻射が依然として存在するため、該エピタキシャル成長機器は、内輪反射板装置108および外輪反射板装置109の温度をそれぞれ調整するように、内輪水冷板構造110および外輪水冷板構造120がさらに対応して設けられることがわかる。選択可能に、前記内輪水冷板構造110と前記外輪水冷板構造120の構造は、部分的または完全に同じでる。次に、外輪水冷板構造120(即ち温度制御装置)を例として構造の説明を行う。
【0041】
図3に示されるように、前記外輪水冷板構造120は、前記外輪反射板装置109に設けられ、それは、前記外輪反射板装置109の温度を制御することに用いられる。前記外輪水冷板構造120は、外部リング121、外部リング121の内側に設けられる内部リング122、および温度制御アセンブリ123を含み、前記温度制御アセンブリ123は、前記内部リング122および/または外部リング121に設けられ、前記温度制御アセンブリ123は、冷却媒体の入口1231、冷却媒体の出口1232、および両方を通る冷却通路と、を含み、温度制御アセンブリ123と外部およびほかの部材との熱交換を実現するように、冷却媒体は、冷却通路内で流れる。本発明において、前記外輪水冷板構造120は、内部リング122と外部リング121を含み、一体構造の水冷板構造の幅に対して、該外輪水冷板構造120は、2つのリングによって構成されるため、各リングの幅は、一体化された水冷板構造に比べて減り、幅が減るため、水冷板構造には熱変形による反りが発生した場合、水冷板構造と反射板装置との間のギャップは大きくなく、外輪水冷板構造120と外輪反射板装置109との間の密着性を高めることに役に立ち、両者の間の熱交換の効率を高め、外輪反射板装置109に対する外輪水冷板構造120の均一な温度制御に役に立つ。同時に、該外輪水冷板構造120の部材はあまり多くなく、その接続締結の程度が制御されやすく、その構造が単純であり、組み立てと分解がより便利である。当然ながら、選択可能に、水冷板構造は、内部リングと外部リング以外のより多くのリングをさらに含むことができ、したがって、各リングの幅をさらに減らすことができる。
【0042】
実施例2
実施例1のエピタキシャル成長機器の構造の特性に基づいて、本実施例は、外輪水冷板構造120に対して変更を行い、主に温度制御アセンブリ123の設置位置を変える。
図4~
図6bを合わせて示すように、本実施例は、温度制御アセンブリ123が内部リング122に設けられる状況を示し、本実施例において、前記温度制御アセンブリ123は内部リング122にのみ設置され、内部リング122の温度制御アセンブリ123を通して、外輪反射板装置109に対する温度制御を実現する。前記外輪水冷板構造120は、圧力アセンブリをさらに含み、内部リング122と外輪反射板装置109との接続をより強固にさせて、内部リング122と外輪反射板装置109とのギャップを減らすように、前記圧力アセンブリは、外部リング121を介して、前記外輪反射板装置109の方向への圧力を内部リング122に加える。
【0043】
本発明において、前記圧力アセンブリは、内部リング122と外部リング121との間に配置され、前記内部リング122と外部リング121は着脱可能に接続される。選択可能に、前記圧力アセンブリは、内部リング122の外周に設けられる少なくとも1つの突起構造124と、外部リング121の内周に設けられて、前記突起構造124に合致する段付き凹溝125と、を含む。前記外輪水冷板構造120の内部リング122と外部リング121は、圧力アセンブリを介して着脱可能に接続され、分解と取り付けはすべて便利である。
【0044】
図5に示されるように、本実施例において、前記内部リング122の周縁部の周方向には、複数の1段の段付き突起構造124(すなわち、スカート状突起構造または角形突起構造)が配置され、前記外部リング121の内周には、複数の1段の段付き突起構造124に合致するスカート状突起構造の1段の段付き凹溝125が対応して周方向に沿って配置され、複数の1段の段付き突起構造124は、1段の段付き凹溝125と嵌合されて、外部リング121が下へ向く力(即ち、外輪反射板装置109に向く力)を内部リング122に加えることに役に立ち、したがって、内部リング122を外輪反射板装置109に密着させ、熱伝導の効率を高めると同時に、段付き凹溝125は、突起構造124がその中に熱膨張を径方向に行うことをガイドすることができ、接続後の安定性を確保する。当然ながら、前記突起構造124と段付き凹溝125は、1段の段差構造のみに限定されるものではなく、密着性の需要に応じて、多段の段差構造にされてもよく、本発明はこれについて制限しない。さらに、前記突起構造124は、段付き突起構造にのみ限定されず、その周辺の輪郭は、連続波形、連続ポリラインと連続ジグザグの中の一種または複数種であってもよく、即ち、前記突起構造124は、内部リング122の周縁部に沿って周方向に連続設置可能であり、外部リング121の内周は対応して設置され、それにより、内部リング122と外部リング121の係合範囲を広げ、さらに、外輪水冷板構造120の頑丈さを確保する。
【0045】
選択可能に、前記外輪水冷板構造120はさらに締結部材を含み、外部リング121、内部リング122を前記外輪反射板装置109に固定して、さらに外輪水冷板構造120の固定を実現するように、前記締結部材は前記外部リング121および/または前記内部リング122に設けられる。
【0046】
外輪水冷板構造120を取り付ける際、1段の段付き突起構造124と1段の段付き凹溝125との嵌合を通して、内部リング122の1段の段付き突起構造124を外部リング121の1段の段付き凹溝125内に対応して差し込むことによって、両方を対向して回転させない。また、締結部材を介して、外部リング121、内部リング122を前記外輪反射板装置109に固定して、さらに外輪水冷板構造120の固定を実現する。
【0047】
さらに、前記外部リング121の材料の熱伝導率は前記内部リング122の材料の熱伝導率未満であり、および/または前記外部リング121の材料の耐摩耗性は前記内部リング122の材料の耐摩耗性より大きく、選択可能に、前記外部リング121の材料はステンレス鋼を含み、前記内部リング122の材料は、純銅を含む。本実施例において、前記温度制御アセンブリ123は、内部リング122にのみ設けられ、温度制御アセンブリ123が存在し、かつ外部リング121の材料の熱伝導率が内部リング122の材料の熱伝導率よりも小さいため、熱は主に内輪122によって吸収され、外部リング121が吸収する熱が少ないため、熱変形が小さく、これだけでなく、外部リング121と内部リング122とが一体化されず、接合されているため、外部リング121の内周と内部リング122の外周との間にギャップが生じ、内部リング122から外部リング121への熱伝達の効率が低下し、したがって、外部リング121の温度が高くなく、それに、外部リング121はステンレス鋼を用いるため、その線膨張係数は銅よりも小さいため、外部リング121はより安定し、これは、ベース126が設置される時に、より良い利益を有し、次に詳しく説明する。それだけでなく、ステンレス鋼の硬度は銅よりも大きいため、銅の内部リング122が熱変形しても、ステンレス鋼の外部リング121は、銅の内部リング122を外輪反射板装置109の表面に強固に固定することができる。
【0048】
図7に示されるように、本実施例において、前記外輪水冷板構造120(即ち、温度制御装置)は、加熱装置106を着脱可能に載置するためのベース126をさらに含み、前記ベース126は、接続アセンブリを介して前記外部リング121と着脱可能に接続される。前記ベース126は、その上に設けられる逆L字形固定枠1261をさらに含む。
【0049】
前記加熱装置106は、ソケット1061と加熱ランプ1062とを備え、前記ソケット1061は、上部ソケットと下部ソケットとを含み、ソケット1061は、ベース126の前記逆L字形固定枠1261に固定され、該逆L字形固定枠1261には、4つの貫通穴が設けられ、前記上部ソケットと下部ソケットにも貫通穴が対応して設けられ、ねじアセンブリを、逆L字形固定枠1261、上部ソケットと下部ソケット上の対応する貫通孔に貫通させることにより、前記上部ソケットを前記ベース126の逆L字形固定枠1261の上方に取り付け、前記下部ソケットを、ベース126の逆L字形固定枠1261の下方に取り付け、加熱ランプ1062に近い側縁には、前記上部ソケットおよび下部ソケットに雌ピンが設けられ、これらの雌ピンは加熱ランプ1062の末端部の雄ピンに合致し、これらの雄と雌ピンを介して、加熱ランプ1062をソケット1061に接続し、さらに加熱ランプ1062をベース126に着脱可能に取り付ける。
【0050】
エピタキシャル成長機器の取り付けスペースを十分に活用するために、外輪水冷板構造120によって、ベース126を介して、加熱装置106を固定することができるが(
図2に示す)、従来技術では、通常、ねじアセンブリを用いて加熱装置106を直接固定する。外輪水冷板構造120での取り付け空間が狭いため、視野の範囲では、分解用工具を用いてねじアセンブリを分解するのは不便であり、同時に分解や取り付けの過程では、ねじアセンブリが機器の中に落ちて取り出せないリスクがあり、取り付けと分解は非常に不便である。他方では、取り付けスペースの制約により、ねじアセンブリは、加熱装置106と外輪水冷板構造120の縁端部にしか取り付けることができず、設備の加工誤差により、加熱装置106と外輪水冷板構造120との間に絶対平面が維持されることを確保することが困難であり、ねじアセンブリが取り付けられてロックされると、他端の加熱装置106を上向きに反るトルクが加熱装置106全体に対して発生し、したがって、加熱ランプ1062が良好な水平度を維持できず、加熱ランプ1062の水平度は、反応チャンバ100内の基板W温度場の均一性に影響を及ぼし、さらに、気流場の温度均一性を確保できず、それにより、基板Wおよび反応領域におけるプロセスガスの気流場の加熱効果は、期待される均一性を達成せず、薄膜堆積の均一性を確保できない。
【0051】
周知のように、エピタキシャル成長プロセス全過程では、基板W薄膜の成長環境は非常に過酷であり、基板W材料自体の温度均一性、気流場の温度均一性、および反応温度の精度などの要因はすべて重要であり、それらは、基板Wに堆積される薄膜の品質を直接決定する。そのため、外輪水冷板構造120と加熱装置106の安定的な固定は特に重要であり、外輪水冷板構造120が外輪反射板装置109に密着している場合、外輪水冷板構造120に載置される加熱装置106も良好な水平度を保持することができる。
【0052】
上記課題に鑑み、
図4、
図7、
図8aおよび
図8bの組み合わせに示すように、本実施例において、前記外輪水冷板構造120のベース126は、加熱装置106を着脱可能に載置し、前記ベース126は、接続アセンブリを介して前記外部リング121と着脱可能に接続され、選択可能に、前記加熱装置106は複数であり、かつ外輪水冷板構造120の上面に環状に配列し、各前記加熱装置106はいずれも1つのベース126により載置され、任意の加熱装置106の着脱に便利である。外輪水冷板構造120の外部リング121と内部リング122が外輪反射板装置109に安定的に接続されて固定された場合、ベース126に載置した加熱装置106の安定的な設置に役に立ち、さらに、加熱装置106の水平度および加熱の安定性を確保し、加熱装置106の水平度および方向の不安定性をもたらさず、特に、ベース126は外部リング121にのみ設けられ、かつステンレス鋼の外部リング121が内部リング122と分離して設置され、外部リング121は容易に変形せず、そのため、加熱装置106の水平度および方向の安定性をよりよく確保することができ、それだけでなく、外部リング121の材料は、良好な耐摩耗性を有し、ベース126の分解によりよく適応できる。
【0053】
分解の方式について、前記接続アセンブリは、摺動案内部材および位置決め部材を含む。前記摺動案内部材は、ベース126と外部リング121との間に配置されて、ベース126を、外部リング121に対して摺動方向で摺動させるように案内することに用いられ、前記位置決め部材は、前記ベース126が取り付け位置に摺動して到達した時に、前記ベース126を、外部リング121に対して前記取り付け位置に固定することに用いられる。
【0054】
加熱装置106を取り付ける際、加熱装置106を外輪水冷板構造120のベース126に搭載し、摺動案内部材を介して、加熱装置106を載置するベース126を、外部リング121に対して該摺動案内部材の軸方向に沿って摺動させ、それを初期位置から取り付け位置まで摺動させる。前記初期位置は、ベース126が摺動案内部材を介して外部リング121に接続される時の初期接続位置であり、前記取り付け位置は、ベース126と外部リング121が摺動案内部材を介して対向して摺動した後に到達した所定取り付け位置であり、この時、ベース126の下面と外部リング121の上面とが互いに接触する。それに対応して、該ランプホルダ構造を分解する際、ベース126を、外部リング121に対して摺動案内部材の軸方向に沿って摺動させることにより、ベース126の下面を外部リング121の上面から完全に分離させる。
【0055】
選択可能に、前記摺動案内部材は、T字形ボス127と、それに合致するT字形凹溝128と、を含み、前記T字形凹溝128は、T字形ボス127をその内部で摺動させて案内することに用いられる。T字形構造の縦方向構造は、摺動の案内作用を確保し、横方向構造は、脱落を防止し、それにより、両方を一体化してロックし、上下方向への変位を発生させない。該摺動案内部材は、さらに両方の接続の密着性を確保し、かつその構造はシンプルであり、加工しやすい。T字形ボス127とT字形凹溝128を摺動案内部材とし、組み立てと分離の過程で加熱装置106の安定した状態を保持でき、ベース126の落下を防止するように常に外力を加える必要がなく、操作しやすく、同時に組み立てられた後の加熱装置106はより安定する。
【0056】
図4、
図7および
図8aを合わせて示すように、本実施例において、前記外部リング121の上面には、複数の摺動案内部材が周方向に沿って等間隔で設けられ、各摺動案内部材は、外部リング121に沿って径方向に延伸し、選択可能に、各前記摺動案内部材には1つのベース126が対応して取り付けられる。具体的には、前記T字形ボス127は、外部リング121のベース126に接触する接触面に設けられ、前記T字形ボス127に合致するT字形凹溝128は、ベース126の外部リング121に接触する接触面に設けられる。
【0057】
さらに、ベース126に載置される加熱装置106の両側が力を均一に受けることを確保するように、前記T字形凹溝128は、ベース126の中心軸に対して対称に配置される。組み立てられた後の加熱装置106の一端には、加熱ランプ1062を上向きに反らせるか、または沈み込ませるトルクが現れると、該T字形凹溝128およびそれに合致するT字形ボス127は、上記トルクに対抗でき、それにより、ベース126およびそれが載置する加熱装置106は、より安定する。
【0058】
選択可能に、前記T字形ボス127の長さは、T字形凹溝128の長さ以下であり、かつ前記T字形凹溝128はベース126全体の下面を貫通する。ベース126を組み立てまたは分解する際、外部リング121の上面にあるT字形ボス127を、ベース126の下面を貫通するT字形凹溝128内で摺動させ、したがって、初期位置から取り付け位置まで摺動する組み立て過程、または、取り付け位置から初期位置までの分解過程、を実現する。
【0059】
本実施例において、前記T字形ボス127は、外部リング121の上面に設けられ、外部リング121のT字形ボス127とベース126のT字形凹溝128との摺動挿入を通して、加熱装置106の取り付けと分解を実現できる。部材の耐用年数を確保するように、前記外部リング121の材料の耐摩耗性は、前記内部リング122の材料の耐摩耗性より大きく、何度も摺動して挿入しても、外部リング121に大きな摩耗や損傷を生じさせず、外部リング121の耐用年数を延ばすのに役に立つ。前述したように、本実施例において、前記外部リング121の材料はステンレス鋼を含み、前記内部リング122の材料は銅または純銅を含む。ステンレス鋼材料で製造される外部リング121は、その耐摩耗性を大幅に高め、加熱装置106を頻繁に交換することでT字形ボス127の案内位置決め機能と信頼性が低下することはなく、各部材の熱伝導率を確保すると同時に、外部リング121の耐摩耗性も考慮する。
【0060】
なお、他の実施例では、T字形凹溝128とT字形ボス127の設置位置は交換できるが、それらの機能および相対的な摺動関係は変わらないことが理解される。例示的には、前記T字形ボス127は、ベース126の外部リング121に接触する接触面に設けられ、前記T字形ボス127に合致するT字形凹溝128は、外部リング121のベース126に接触する接触面に設けられる。選択可能に、前記T字形ボス127は、前記ベース126の下面の中心軸に対して対称に設置され、該T字形ボス127の長さはT字形凹溝128の長さ以下である。ベース126を組み立てまたは分離する際、ベース126のT字形ボス127を、外部リング121のT字形凹溝128内に摺動させ、さらに、加熱装置106の取り付けまたは分解を実現する。
【0061】
当然ながら、前記摺動案内部材は、T字形ボス127とT字形凹溝128の嵌合に限定されず、スライドレールなどの従来技術によく見られるほかの摺動案内構造を採用してもよい。摺動案内部材の数量は1つだけに限られず、2つにしてもよく、2つの摺動案内部材は、ベース126の中心軸に対して対称に設置され、また、3つにしてもよく、1つの摺動案内部材は中心軸に設置され、ほかの2つはその両側に等間隔で設けられ、当然ながら、必要に応じてより多くの数量や配置形式に設置してもよく、本発明はこれに対して制限しない。
【0062】
本実施例において、加熱装置106を組み立てる際、まずは、該加熱装置106を、外輪水冷板構造120のベース126に搭載し、加熱装置106は、ベース126とともに摺動案内部材の案内作用下で、外部リング121上を摺動し、取り付け位置に摺動して到達した場合、位置決め部材の作用により、ベース126と外部リング121の相対位置を固定し、さらに加熱装置106の固定を実現する。
【0063】
さらに、前記位置決め部材は、弾性構造と、それに合致する位置決め凹溝129(
図8bに示す)とを含み、前記弾性構造は、延長部を含み、取り付け位置にある場合、前記弾性構造の延長部は、前記位置決め凹溝129に対して係止関係を形成する。実際の使用において、弾性構造の延長部が位置決め凹溝129内に滑り込むと、該延長部が位置決め凹溝129の上部を押圧し、弾性構造は弾性変形を生じ、弾性構造は内へ縮んで、弾性圧縮の状態になり、その弾性力により、延長部は位置決め凹溝129の上部に常に接触し、さらに、位置決め機能を実現する。該位置決め部材は構造がシンプルで、使用と操作しやすい。
【0064】
本実施例において、前記弾性構造は、外部リング121のベース126に接触する接触面に設けられ、前記弾性構造に合致する位置決め凹溝129は、ベース126の外部リング121に接触する接触面に設けられる。具体的には、前記各ベース126の下面には、2つの位置決め凹溝129が対応して設けられ、ベース126に対応する位置では、前記外部リング121には、2つの弾性構造が設けられ、2つの弾性構造は、外部リング121の上面のT字形ボス127の両側に対して対称に設置され、それに対応して、ペアになった位置決め凹溝129は、ベース126の下面のT字形凹溝128の両側に対して対称に設置される。ベース126は、外部リング121に対して前記取り付け位置に摺動して到達した場合、前記弾性構造の延長部は、位置決め凹溝129の中に滑り込んで位置決めを実現する。
【0065】
本実施例の加熱相違T106を組み立てる際、まずは加熱装置106をベース126に搭載し、初期位置にある場合、外部リング121の上面に設けられるT字形ボス127を、ベース126のT字形凹溝128内に置き、この際、外部リング121の一部の上面と、ベース126の一部の下面が緊密に接続され、そのため、外部リング121の上面の弾性構造の延長部はベース126の作用下で圧縮される。T字形ボス127がT字形凹溝128内で摺動することに伴い、外部リング121とベース126の相対位置は取り付け位置に摺動して到達した場合、弾性構造のエピタキシャル成長は、ちょうどベース126の下面の位置決め凹溝129に対向し、この際、弾性構造の延長部は飛び出して対応する位置決め凹溝129内に伸び込み、それにより、ベース126と外部リング121との間の相対位置は取り付け位置に固定される。加熱装置106を分解する必要がある場合、加熱装置106を載置するベース126を先に取り出し、1つの上向きの力をベース126に加えるだけで、弾性構造の延長部を位置決め凹溝129から抜き出すことができる。
【0066】
加熱装置106を載置するベース126と外部リング121との間の位置決め部材として、上記対称な弾性構造とそれに対応する位置決め凹溝129とを採用することにより、取り付ける過程では、非対称トルクが存在しないだけでなく、該ベース126に取り付けられる加熱装置106の加熱ランプ1062を上向きに反らせず、良好な水平度を保持させ、反応チャンバ100内の基板Wと反応ガスが均一に熱を受けることに役に立つ。
【0067】
なお、本実施例における弾性構造および位置決め凹溝129の数量は2つであるが、弾性構造が外部リング121の上面のT字形ボス127に対して対称であり、前記位置決め凹溝129がベース126の下面のT字形凹溝128に対して対称であることを確保できれば、他の数量の弾性構造および位置決め凹溝129を採用することによっても同様の効果を奏することができる。即ち、本発明は、位置決め部材の数量を制限せず、位置決め部材は、取り付ける過程で非対称トルクが存在せず、加熱装置106を上向きに反らせないことを実現できれば済む。好ましくは、各位置決め部材は、摺動案内部材に対して対称に設置され、即ち、位置決め部材は、ベース126の中心軸に対して対称に設置されることは、加熱装置106の水平度を保持することに役に立つ。
【0068】
当然ながら、他の実施例において、それらの機能を変更せずに、前記弾性構造と位置決め凹溝129の位置を交換することができ、即ち、前記弾性構造は、ベース126の外部リング121に接触する接触面に設けられ、前記弾性構造に対応する位置決め凹溝129は、外部リング121のベース126に接触する接触面に設けられる。前記弾性構造は、ベース126の下面のT字形ボス127またはT字形凹溝128に対して対称であり、前記位置決め凹溝129は、外部リング121の上面のT字形凹溝128またはT字形ボス127に対して対称である。
【0069】
選択可能に、前記弾性構造の延長部はボールプランジャーであり、それに対応して、前記位置決め凹溝129は球状穴構造(
図8bに示す)である。当然ながら、前記延長部の構造は上述した内容に限定されず、それは、同じ機能を実現できる他の部材とすることもでき、本発明はこれについて限定するものではない。
【0070】
実施例3
実施例2のエピタキシャル成長機器の構造の特性に基づいて、本実施例は、外輪水冷板構造に対して変更を行い、主に温度制御アセンブリの設置位置を変える。本実施例において、前記外輪水冷板構造は、内部リング、外部リングと温度制御アセンブリを含んでおり、実施例2と異なるのは、本実施例における温度制御アセンブリは、外部リングにのみ設けられることである。
【0071】
本実施例において、前記外部リングにのみ、冷却通路が含まれる温度制御アセンブリが設置され、同時に、ベースは、接続アセンブリを介して前記内部リングと着脱可能に接続される。
【0072】
実施例2に似ているのは、本実施例において、該外輪水冷板構造は圧力アセンブリをさらに含み、前記圧力アセンブリは、内部リングを介して前記外輪反射板装置の方向への圧力を外部リングに加えることに用いられることである。本実施例において、前記圧力アセンブリは、内部リングと外部リングとの間に設けられ、内輪と外輪が互いに協同して外輪水冷板構造の安定性を確保する。
【0073】
さらに、本実施例の圧力アセンブリは、外部リングの内周に設けられる少なくとも1つの突起構造と、内部リングの外周に設けられて、前記突起構造に合致する段付き凹溝と、を含む。
【0074】
前記内部リングの材料の熱伝導率は、前記外部リングの材料の熱伝導率未満であり、および/または前記内部リングの材料の耐摩耗性は、前記外部リングの材料の耐摩耗性より大きい。前記内部リングの材料はステンレス鋼を含み、前記外部リングの材料は銅と純銅を含む。前述した実施例に似ているのは、本実施例において、前記温度制御アセンブリは、外部リングにのみ設けられ、温度制御アセンブリが存在し、かつ内部リングの材料の熱伝導率が前記外部リングの材料の熱伝導率よりも小さいため、熱は主に外部リングによって吸収され、内部リングが吸収する熱が少ないため、熱変形が小さく、これだけでなく、外部リングと内部リングとが一体化されず、接合されているため、外部リングの内周と内部リングの外周との間にギャップが生じ、外部リングから内部リングへの熱伝達の効率が低下し、したがって、内部リングの温度が高くなく、それに、内部リングはステンレス鋼を用いるため、その線膨張係数は銅よりも小さいため、内部リングはより安定し、そのため、内部リングに接続されるベースがより安定し、加熱装置の水平度と方向の安定性を確保する。それだけでなく、ステンレス鋼の硬度は銅よりも大きいため、銅の外部リングが熱変形しても、ステンレス鋼の内部リングは、銅の外部リングを外輪反射板装置の表面に強固に固定することができる。
【0075】
本実施例において、ベースが内部リングに設けられるため、前記接続アセンブリの摺動案内部材と位置決め部材もベースの内部リングとの間に作用する。
【0076】
また、本実施例のほかの構造および各アセンブリの作用方式は、すべて実施例1または2における構造と似ているか同じであり、ここで贅言しない。
【0077】
纏めれば、本発明による温度制御装置およびそのエピタキシャル成長機器において、外輪水冷板構造120は少なくとも2つのリングによって構成されるため、各リングの幅は、一体化された水冷板構造に比べて減り、幅が減るため、水冷板構造には熱変形による反りが発生した場合、水冷板構造の各リングと反射板装置との間のギャップは大きくなく、反射板装置との密着性を確保することに役に立ち、温度制御装置と反射板装置との熱交換の効率を高める。
【0078】
さらに、内部リング122と外部リング121は一体化されておらず、2つのリングの材料は異なり、ベース126は内部リング122または外部リング121の耐摩耗性材料の一方にのみ配置されるため、高温環境での加熱装置106の水平度と安定性が確保される。
【0079】
本発明の内容を上記好ましい実施例により詳細に説明したが、上記の説明は本発明に対する限定とみなすべきではないことを認識すべきである。当業者が上記内容を読んだ後、本発明の種々の変形および代替が明らかになるであろう。そのため、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定されるべきである。