(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】スリーブアセンブリおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F23R 3/42 20060101AFI20250519BHJP
【FI】
F23R3/42 E
F23R3/42 A
F23R3/42 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021024246
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-02-01
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】カイル・リー・キダー
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト・ゼイル
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0260316(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0064693(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼システム用のスリーブアセンブリ(120)であって、
当該スリーブアセンブリ(120)が、
第1の円周方向面(168)を備える第1のダクト(148)と、
第2の円周方向
面を備える第2のダクト(146)であって、前記第1の円周方向面(168)
が、前記第1のダクト(148)および前記第2のダクト(146)が連続燃焼室を内部に集合的に画定するように、前記第2の円周方向
面と半径方向に重なり、前記連続燃焼室
が、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成される第2のダクト(146)と、
前記第1の円周方向面(168)に取り外し可能に結合され、前記第1の円周方向面(168)から半径方向に延びて前記第2の円周方向
面と係合する摩耗インサート(166)と
を備
ており、前記第1のダクト(148)が、前記第1の円周方向面(168)から半径方向に凹んだ溝(384)を画定し、前記摩耗インサート(166)が、前記溝(384)内に着座している、スリーブアセンブリ(120)。
【請求項2】
前記摩耗インサート(166)
が、単一部品の一体構造であり、単一部品として前記第1の円周方向面(168)から取り外し可能である、請求項1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項3】
前記第1のダクト(148)
が、前記摩耗インサート(166)の第1の半径方向縁部(378)と係合するための第1の半径方向面(386)と、第2の半径方向面(388)とをさらに備え、前記溝(384)
が、前記第1の半径方向面(386)と前記第2の半径方向面(388)との間に軸方向に画定され、前記第2の半径方向面(388)
が、前記第1の半径方向面(386)から軸方向に間隔を置いて配置されて前記摩耗インサート(166)の第2の半径方向縁部(380)と係合し、前記溝(384)内での前記摩耗インサート(166)の軸方向移動を阻害する、請求項
1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項4】
前記摩耗インサート(166)
が、複数の溶接継手(176)を介して前記第1の円周方向面(168)に取り外し可能に結合される、請求項1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項5】
前記摩耗インサート(166)
が、前記第1の円周方向面(168)の円周の周りに連続的に円周方向に延びる、請求項1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項6】
前記第2のダクト(146)
が、本体(158)と、前記本体(158)から軸方向に延びるシール(162)とをさらに備え、前記シール(162)
が、前記第2の円周方向
面を備える、請求項1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項7】
前記摩耗インサート(166)
が、前記第1の円周方向面(168)と前記第2の円周方向
面との間の直接接触を阻害する、請求項
6に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項8】
前記第2の円周方向
面が、少なくとも部分的に、前記第1の円周方向面(168)内に半径方向に位置決めされ
ている、請求項1に記載のスリーブアセンブリ(120)。
【請求項9】
タービンアセンブリ(100)であって、当該タービンアセンブリ(100)が、
圧縮機セクション(102)と、
前記圧縮機セクション(102)の下流に結合されたタービンセクション(106)と、
前記圧縮機セクション(102)と前記タービンセクション(106)との間の流れ連通で結合された複数の缶(118)を備える燃焼器(104)
と
を備えており、前記複数の缶(118)の第1の缶
が、
第1の円周方向面(168)を備える第1のダクト(148)、
第2の円周方向
面を備える第2のダクト(146)であって、前記第1の円周方向面(168)
が、前記第1のダクト(148)および前記第2のダクト(146)が連続燃焼室を内部に集合的に画定するように、前記第2の円周方向
面と半径方向に重なり、前記連続燃焼室
が、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成される第2のダクト(146)、ならびに
前記第1の円周方向面(168)に取り外し可能に結合され、前記第1の円周方向面(168)から半径方向に延びて前記第2の円周方向
面と係合する摩耗インサート(166)
を備えるスリーブアセンブリ(120)を備える燃焼器(104)と
を備え
ており、前記第1のダクト(148)が、前記第1の円周方向面(168)から半径方向に凹んだ溝(384)を画定し、前記摩耗インサート(166)が、前記溝(384)内に着座している、タービンアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記第1のダクト(148)
が、前記第2のダクト(146)と前記タービンセクション(106)との間に延びる、請求項
9に記載のタービンアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記摩耗インサート(166)
が、単一部品の一体構造であり、単一部品として前記第1の円周方向面(168)から取り外し可能である、請求項
9に記載のタービンアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記第1のダクト(148)
が、前記摩耗インサート(166)の第1の半径方向縁部(378)と係合するための第1の半径方向面(386)と、第2の半径方向面(388)とをさらに備え、前記溝(384)
が、前記第1の半径方向面(386)と前記第2の半径方向面(388)との間に軸方向に画定され、前記第2の半径方向面(388)
が、前記第1の半径方向面(386)から軸方向に間隔を置いて配置されて前記摩耗インサート(166)の第2の半径方向縁部(380)と係合し、前記溝(384)内での前記摩耗インサート(166)の軸方向移動を阻害する、請求項
9に記載のタービンアセンブリ(100)。
【請求項13】
燃焼システム用のスリーブアセンブリ(120)を組み立てる方法(400)であって、
第1の円周方向面(168)を含む第1のダクト(148)
であって前記第1の円周方向面(168)から半径方向に凹んだ溝(384)を画定する第1のダクト(148)を提供すること(402)と、
摩耗インサート(166)が前記溝(384)内に着座するように前記摩耗インサート(166)を前記第1の円周方向面(168)に取り外し可能に結合すること(404)と、
前記第1の円周方向面(168)が第2の円周方向
面と半径方向に重なり、前記摩耗インサート(166)が前記第2の円周方向
面と係合するように、前記第2の円周方向
面を含む第2のダクト(146)を前記第1のダクト(148)に隣接して位置決めすること(406)であって、前記第1のダクト(148)および前記第2のダクト(146)
が、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成された連続燃焼室を内部に集合的に画定すること(406)と
を含む、方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、スリーブアセンブリに関し、より詳細には、燃焼器と共に使用するためのスリーブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知のタービンアセンブリは、直列流れ配置で共に結合された圧縮機、燃焼器、およびタービンを含む。圧縮機に流入するガスは圧縮されて燃焼器内に吐出され、そこで燃料と混合される。得られた混合物は点火されて燃焼ガスを生成し、燃焼ガスは燃焼器からタービンを通して送られる。ガスはタービンを駆動し、次にタービンはタービンに結合された発電機に電力を供給することができる。
【0003】
少なくともいくつかの既知の燃焼器は、燃焼室を集合的に画定するライナおよび移行ダクトを含むスリーブアセンブリを含み、燃焼室では、燃料と圧縮ガスの混合物が移行ダクトに結合されたタービンに供給される前に点火される。既知のスリーブアセンブリは、一般に、動作中の熱膨張/移動に対応するために、互いに対する移行ダクトとライナとの間の軸方向移動を許容する。結果として、少なくともいくつかのそのようなアセンブリは、ライナと移行ダクトとの間に画定されたインターフェースで摩耗しやすい場合がある。
【0004】
スリーブアセンブリ内の移動の影響を低減するために、少なくともいくつかの既知のスリーブアセンブリは、移行ダクトおよび/またはライナに適用される耐摩擦性の摩耗コーティングを含む。より具体的には、少なくともいくつかの既知の摩耗コーティングが、スプレーコーティングの形で適用される。しかし、これらのスプレーコーティングを適用することは、一般に、スプレーコーティングが適用される前に、コーティングを受ける表面のかなりの準備を必要とする。さらに、メンテナンスがライナまたは移行ダクトのいずれかで必要な場合、新しい摩耗コーティングが適用され得る前にコーティングを手動で除去する必要がある。このようなコーティングを除去することは、時間と労力のかかる作業であり得る。
【0005】
したがって、より単純かつ堅牢であり、そしてより容易に交換可能な摩耗インサートを可能にするスリーブアセンブリを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、燃焼システム用のスリーブアセンブリが提供される。スリーブアセンブリは、第1の円周方向面を含む第1のダクトと、第2の円周方向面を含む第2のダクトとを含む。第1の円周方向面は、第1のダクトおよび第2のダクトが連続燃焼室を内部に集合的に画定するように、第2の円周方向面と半径方向に重なる。連続燃焼室は、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成される。スリーブアセンブリは、第1の円周方向面に取り外し可能に結合され、第1の円周方向面から半径方向に延びて第2の円周方向面と係合する摩耗インサートをさらに含む。
【0007】
別の態様では、タービンアセンブリが提供される。タービンアセンブリは、圧縮機セクションと、圧縮機セクションの下流に結合されたタービンセクションと、燃焼器とを含む。燃焼器は、圧縮機セクションとタービンセクションとの間の流れ連通で結合された複数の缶を含む。複数の缶の第1の缶は、スリーブアセンブリを含む。スリーブアセンブリは、第1の円周方向面を含む第1のダクトと、第2の円周方向面を含む第2のダクトとを含む。第1の円周方向面は、第1のダクトおよび第2のダクトが連続燃焼室を内部に集合的に画定するように、第2の円周方向面と半径方向に重なる。連続燃焼室は、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成される。スリーブアセンブリは、第1の円周方向面に取り外し可能に結合され、第1の円周方向面から半径方向に延びて第2の円周方向面と係合する摩耗インサートをさらに含む。
【0008】
さらに別の態様では、燃焼システム用のスリーブアセンブリを組み立てる方法が提供される。方法は、第1の円周方向面を含む第1のダクトを提供することを含む。方法はまた、摩耗インサートを第1の円周方向面に取り外し可能に結合することを含む。方法は、第1の円周方向面が第2の円周方向面と半径方向に重なり、摩耗インサートが第2の円周方向面と係合するように、第2の円周方向面を含む第2のダクトを第1のダクトに隣接して位置決めすることをさらに含む。第1のダクトおよび第2のダクトは、通過して流れる高温ガスを受け入れるように構成された連続燃焼室を内部に集合的に画定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的なタービンアセンブリの概略図である。
【
図2】
図1に示すタービンアセンブリと共に使用することができる例示的なスリーブアセンブリの概略図である。
【
図3】
図2に示すスリーブアセンブリの一部の概略分解図である。
【
図4】
図3に示すスリーブアセンブリの概略断面図である。
【
図5】
図1の例示的なタービンアセンブリと共に使用することができる代替のスリーブアセンブリの一部の断面図である。
【
図6】
図2に示すスリーブアセンブリなどのスリーブアセンブリを組み立てる例示的な方法の流れ図である。
【0010】
特に明記のない限り、本明細書で提供する図面は、本開示の実施形態の特徴を例示することを意味する。これらの特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態を含む多種多様なシステムに適用可能であると考えられる。したがって、図面は、本明細書に開示する実施形態の実践のために必要とされる当業者に知られている従来の特徴をすべて含むことを意味しない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載の例示的なシステムおよび方法は、スリーブアセンブリの少なくとも1つのダクトに取り外し可能に結合され、スリーブアセンブリ内のスライドインターフェースにおける耐摩擦性の低減を容易にする摩耗インサートを提供することによって、既知のスリーブアセンブリの少なくともいくつかの欠点を克服する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、第1の円周方向面を有する第1のダクトと、第2の円周方向面を有する第2のダクトと、2つのダクト表面の間で円周方向に延びる摩耗インサートとを含む。より具体的には、第1の円周方向面は、第1のダクトおよび第2のダクトが連続燃焼室を内部に集合的に画定するように、第2の円周方向面と半径方向に重なる。一実施形態では、摩耗インサートは、第1の円周方向面に取り外し可能に結合され、第1の円周方向面から半径方向に延びて第2の円周方向面と係合する。いくつかの実施形態では、摩耗インサートは、単一部品の一体構造である。いくつかの実施形態では、第1のダクトは、第1の円周方向面から半径方向に凹んだ溝を含み、摩耗インサートは、溝内に着座している。
【0012】
別途指定のない限り、本明細書で使用される「一般に」、「実質的に」、および「およそ」などの近似を表す文言は、そのように修飾された用語が、絶対的または完全な程度ではなく、当業者によって認識されるようなおおよその程度にのみ適用され得ることを示している。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限界が特定されてもよい。このような範囲は、組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、本明細書に含まれるすべての部分範囲を含む。加えて、別途指定のない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する項目について順序、位置、または階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」項目への言及は、例えば、「第1の」もしくはより小さい番号の項目、または「第3の」もしくはより大きい番号の項目の存在を要求するものではなく、または排除するものでもない。
【0013】
図1は、例示的なタービンアセンブリ100の概略図である。例示的な実施形態では、タービンアセンブリ100は、中心線軸110に沿ってケーシング108内で互いに直列流れ連通で結合された圧縮機セクション102、燃焼器セクション104、およびタービンセクション106を含む産業用ガスタービンアセンブリである。動作中、作動ガス112が圧縮機セクション102に流入し、そこで圧縮された後、燃焼器セクション104内に送られる。圧縮ガス114は、燃料(図示せず)と混合され、燃焼器セクション104で点火されて燃焼ガス115を生成し、燃焼ガス115はタービンセクション106を通して送られた後、排気ガス116としてタービンセクション106から吐出される。
【0014】
例示的な実施形態では、燃焼器セクション104は、複数の燃焼缶118を含む。各燃焼缶118は、燃焼室122を画定するスリーブアセンブリ120を有する。燃料送達システム124が、各燃焼缶118に結合され、燃焼缶118の前端に位置する燃料噴射器126を含む。燃料と圧縮ガスの混合物は、燃料噴射器126を介して軸方向に燃焼室122内に噴射される。
【0015】
図2は、タービンアセンブリ100と共に使用することができる例示的なスリーブアセンブリ120の概略図である。例示的な実施形態では、スリーブアセンブリ120は、圧縮機吐出ケーシング101(
図1に示す)に結合された前端134と、タービンセクション106のノズル109(
図1に示す)と流れ連通で結合された反対側の後端136とを有する。スリーブアセンブリ120は、それぞれ前端134と後端136との間に燃焼室122を画定する。
【0016】
例示的な実施形態では、クロスファイア管138がスリーブアセンブリ120に結合される。クロスファイア管138は、管138が燃焼室122の燃焼ゾーン140内に延びるように、スリーブアセンブリ120に結合される。代替の実施形態では、クロスファイア管138は、燃焼室122内に画定された任意の他のゾーン内に延びることができる。例示的な実施形態では、タービンアセンブリ100の動作中、燃料と圧縮ガスの混合物が、燃料噴射器126を介して燃焼室122内に噴射される。混合物は、燃焼室122の燃焼ゾーン140で点火され、それによってタービンセクション106(
図1に示す)を通って流れる燃焼ガス115を生成する。
【0017】
例示的な実施形態では、スリーブアセンブリ120は、燃焼室122内で軸方向142および円周方向144に延びる。本明細書で使用する場合、「軸方向」(またはその任意の変形)という用語は、任意の適切な形状(例えば、正方形、長方形、三角形など)の中心に沿って延びる寸法を指し、円形形状の中心に沿って延びる寸法に限定されない。同様に、本明細書で使用する場合、「半径」(またはその任意の変形)という用語は、任意の適切な形状(例えば、正方形、長方形、三角形など)の中心から外側に延びる寸法を指し、円形形状の中心から外側に延びる寸法に限定されない。加えて、本明細書で使用する場合、「円周」(またはその任意の変形)という用語は、任意の適切な形状(例えば、正方形、長方形、三角形など)の中心の周りに延びる寸法を指し、円形形状の中心の周りに延びる寸法に限定されない。
【0018】
例示的な実施形態では、スリーブアセンブリ120は、移行ダクト148、またはより広義には、第1のダクトと、ライナ146、またはより広義には、第2のダクトとを含む。例示的な実施形態では、移行ダクト148は、単一部品の一体構造であり、ライナ146に隣接する前端152から反対側の後端154に延びる外面150を含む。特に、例示的な実施形態では、移行ダクト148は、ライナ146の少なくとも一部に外接するように位置決めされる。代替の実施形態では、ライナ146は、移行ダクト148の少なくとも一部に外接するように位置決めされる。別の代替の実施形態では、移行ダクト148は、任意の他の適切なプロセスを使用して製造され、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の適切な数の部品を含み得る(例えば、移行ダクト148は、単一部品の一体構造でなくてもよい)。移行ダクト148は、任意の適切なレベルの剛性または柔軟性であり得る。
【0019】
例示的な実施形態では、ライナ146は、前端156と、隣接する燃料噴射器126と、移行ダクト148内に受け入れられるサイズの後端(図示せず)とを有する単一部品の一体構造である。例示的な実施形態では、ライナ146は、本体158を含み、本体158は、外面160と、外面160に結合し、本体158から軸方向に移行ダクト148内に延びるシール162とを有する。例示的な実施形態では、ライナ146は、概して円筒形である。代替の実施形態では、ライナ146は、ライナ146が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の他の形状であってもよい。
【0020】
図3は、
図2に示すスリーブアセンブリ120の一部の概略分解図である。
図4は、
図3に示すスリーブアセンブリ120の一部の概略断面図である。例示的な実施形態では、移行ダクト148は、インターフェースアセンブリ164を介してライナ146に結合される。インターフェースアセンブリ164は、シール162と、移行ダクト148がライナ146に結合されたときにシール162と直接接触するようなサイズのインサート166とを含む。より具体的には、例示的な実施形態では、シール162は、シールが移行ダクト148内に軸方向に延びるように、ライナ146の外面160に固定可能に固着される。代替の実施形態では、シール162は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の方式で、ライナ146と移行ダクト148との間に軸方向に延びる。例えば、限定はしないが、いくつかの代替の実施形態では、シール162は、ライナ146または移行ダクト148と一体的に形成されてもよい。例示的な実施形態では、シール162は、移行ダクト148とスライド可能に係合し、ライナ146および/または移行ダクト148の他方に対する相対的な軸方向移動および/または膨張(例えば、動作中の熱膨張による)を許容する。各実施形態において、シール162は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の方式で、ライナ146を移行ダクト148に結合することを容易にする。
【0021】
例示的な実施形態では、移行ダクト148は、ライナ146から燃焼ガス115(
図2に示す)を受け入れるようにサイズ決定および配向された移行ダクト148の内部空洞170を画定する内面168(またはより広義には、第1の円周方向面)を含む。代替の実施形態では、スリーブアセンブリ120は、1つまたは複数の内側スリーブ(図示せず)を含み、内側スリーブは、燃焼ガス115(
図2に示す)を送るために使用され、移行ダクト148とライナ146との間(例えば、内側スリーブから半径方向外側)に延びる1つまたは複数の冷却経路(図示せず)を画定する。例えば、いくつかのそのような実施形態では、冷却流(図示せず)が、1つまたは複数の冷却経路(図示せず)を通って流れて内面168の冷却を容易にし、燃焼ガス115(
図2に示す)は、移行ダクト148の内面168と接触しない。
【0022】
例示的な実施形態では、シール162は、ライナ146が移行ダクト148に結合されたとき(例えば、
図4に示すように)、シール162がライナ146と移行ダクト148との間に軸方向に延び、移行ダクト148の内面168の少なくとも一部と半径方向に重なるように、軸方向長さでサイズ決定される。代替の実施形態では、シール162は、移行ダクト148に固定可能に固着され、軸方向に延びてライナ146の外面160の一部と半径方向に重なる。例示的な実施形態では、シール162は、スプリングシール、またはより具体的には、フラシールである。シール162は、ライナ146と移行ダクト148との間に画定されたインターフェースで実質的に気密シールを提供する。シール162は、シール162の周りに円周方向に間隔を置いて配置された、内部に画定された複数の軸方向に延びるスリット172を含む。スリット172は、移行ダクト148がライナ146に結合されたとき、移行ダクト148がシール162と係合してシール162を圧縮し、それによってスリット172を圧迫またはシールして気密シール162を提供するように、シール162の収縮および膨張を可能にする。より具体的には、例示的な実施形態では、インサート166は、ライナ146が移行ダクト148に結合されたときにシール162を圧縮する。例示的な実施形態では、シール162は、フラシール162である。代替の実施形態では、シール162は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の他のシールである。
【0023】
図4を参照すると、例示的な実施形態では、インサート166は、内面168に固定可能に固着され、内面168から半径方向に延びてシール162の外面163(またはより広義には、第2の円周方向面)と係合し、動作中の移行ダクト148およびシール162への摩耗保護を容易にする。
図4に示すように、インサート166は、明確化の目的で拡大されている。特に、例示的な実施形態では、インサート166は、移行ダクト148の内面168から半径方向高さH
1に延び、これは例示的な実施形態では、およそ1/1000インチ~およそ1/10インチである。より具体的には、例示的な実施形態では、H
1は、概しておよそ10/1000インチ~およそ15/1000インチである。代替の実施形態では、インサート166の高さH
1は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意のサイズであり得る。
【0024】
例示的な実施形態では、インサート166は、移行ダクト148の内面168の周りに円周方向に延びる単一部品の一体構造である。インサート166は、軸方向長さL1に延びる。長さL1は、動作中、シール162がインサート166に直接接触し、移行ダクト148の内面168に直接接触しないように、シール162から内面168を遮蔽する(すなわち、直接阻害する)のに十分であるように選択される。特に、動作中、シール162と移行ダクト148の内面168との間のスライド接触は、互いに対するライナ146または移行ダクト148の少なくとも1つの膨張および/または移動の結果として起こり得る。そのようなスライド接触は、時間の経過と共に内面168の摩耗(すなわち、材料の劣化)をもたらす場合がある。例示的な実施形態では、シール162は、インサート166にスライド接触し、移行ダクト148の内面168にスライド接触しない。言い換えれば、例示的な実施形態では、移行ダクト148ではなくインサート166が、ライナ146と移行ダクト148との間の摩擦接触から生じる摩耗を被る。代替の実施形態では、例えば、上述のように、シール162が移行ダクト148に固定可能に結合される場合、インサート166は、ライナ146の内面174に結合し、内面174とシール162との間に半径方向に延びる。さらなる代替の実施形態では、インサート166は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の他の方式で、ライナ146または移行ダクト148のいずれかに結合され得る。
【0025】
例示的な実施形態では、インサート166は、複数の溶接継手176を介して移行ダクト148の内面168に固定可能に固着される。より具体的には、インサート166は、インサート166の第1の半径方向縁部178に沿って、および第2の半径方向縁部180に沿って、溶接継手176を介して内面168にスポット溶接される。例示的な実施形態では、溶接継手176は、第1の半径方向縁部178に沿って、および第2の半径方向縁部180に沿って、インサート166の円周の周りに実質的に等間隔に配置される。代替の実施形態では、インサート166は、スリーブアセンブリ120が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の方式で、内面168に固定可能に固着される。例えば、限定はしないが、いくつかの代替の実施形態では、移行ダクト148は、移行ダクト148の内面168と外面182との間に延びる(例えば、移行ダクト148を通して半径方向に穴を開けることによって)、内部に画定された少なくとも1つの開口(図示せず)を含む。そのような実施形態では、インサート166は、少なくとも1つの開口を介して移行ダクト148に溶接される。
【0026】
例示的な実施形態では、溶接継手176は、内面168からのインサート166を単一部品のユニットとして容易に取り外すことが可能である(すなわち、インサート166を取り外し、単一ユニットとして実質的に完全なままにすることができる)。例えば、スプレー式摩耗コーティングを使用する既知の他のスリーブアセンブリとは対照的に、例示的な実施形態では、例えば、インサート166を交換するためのメンテナンス作業中、オペレータは、溶接継手176を切断するだけで内面168からインサート166を容易に取り外せる。
【0027】
図5は、タービンアセンブリ100(
図1に示す)と共に使用するための代替のスリーブアセンブリ320の一部の断面図である。例示的な実施形態では、スリーブアセンブリ320は、以下に記載されることを除いて、
図1~
図4に関して上述したスリーブアセンブリ120と実質的に同じである。より具体的には、例示的な実施形態では、スリーブアセンブリ120の移行ダクト348は、移行ダクト348の内面368に対して半径方向に凹んだ溝384を画定する。より具体的には、例示的な実施形態では、溝384は、内面368に対して凹んでおり、内面368から半径方向外側に位置決めされる。代替の実施形態では、溝384は、シール362および/またはライナ346上に画定され、半径方向内側に凹んでいる。
【0028】
例示的な実施形態では、インサート366が、溝384内に受け入れられる。インサート366は、以下に記載されることを除いて、
図3および
図4に関して上述したインサート166と実質的に同じである。より具体的には、例示的な実施形態では、インサート366は、溝384から、内面368の半径方向内側(すなわち、上)にインサート166(
図4に示す)とほぼ同じ高さH
1に延びる。言い換えれば、例示的な実施形態では、インサート366は、インサート166の全半径方向高さH
1よりも大きい、H
2で示されるより大きな全半径方向高さに延び、内面368から半径方向内側に延びる。例示的な実施形態では、溝384は、インサート366が溝384内に着座したとき、インサート366がシール362と係合するようにサイズ決定される。代替の実施形態では、溝384およびインサート366は、スリーブアセンブリ320が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の方式で、サイズ決定される。
【0029】
例示的な実施形態では、インサート366は、溝384を介して移行ダクト348に結合される。より具体的には、
図1~
図4に関して上述したスリーブアセンブリ120とは異なり、例示的な実施形態では、インサート366は、移行ダクト348に溶接されていない。むしろ、例示的な実施形態では、溝384は、第1の半径方向側壁386と、第2の半径方向側壁388とを含む。第1の半径方向側壁386は、インサート366の第1の半径方向縁部378と係合し、第2の半径方向側壁388は、インサート366の第2の半径方向縁部380と係合し、それによりインサート466が溝384内に受け入れられたとき、内部のインサート366の軸方向移動が阻害される。さらに、例示的な実施形態では、シール362は、シール362が溝384内にインサート366を固着するように、ライナ346が移行ダクト348に結合されたときに半径方向外側の力をインサート366に加える。結果として、例示的な実施形態では、インサート366は、固定可能なカップリング(例えば、
図4に示す溶接継手176)なしで移行ダクト348上の所定の位置に固着され、例えば、メンテナンス作業中などにより容易に取り外して交換することができる。代替の実施形態では、インサート366は、スリーブアセンブリ320が本明細書に記載のように機能することを可能にする任意の方式で、移行ダクト348に結合される。例えば、限定はしないが、いくつかの代替の実施形態では、インサート366は、インサート366が溝384に着座した後に移行ダクト348に溶接される。さらなる代替の実施形態では、インサート366および溝384のうちの1つは、インサート366を移行ダクト348に解放可能に結合することを容易にするための係合特徴(例えば、ラッチおよびキャッチ)を含む。
【0030】
図6は、スリーブアセンブリ120(
図2に示す)などのスリーブアセンブリを組み立てる方法の例示的な方法の流れ図である。方法400は、第1の円周方向面(例えば、
図4に示す内面168)を含む第1のダクト(例えば、
図4に示す移行ダクト148)を提供すること402を含む。方法は、摩耗インサート面(例えば、
図4に示すインサート166)を第1の円周方向面に取り外し可能に結合すること404をさらに含む。方法はまた、第1の円周方向面が第2の円周方向面(例えば、
図4に示す外面163)と半径方向に重なり、摩耗インサートが第2の円周方向面と係合するように、第2の円周方向面を含む第2のダクト(例えば、
図4に示すライナ146)を第1のダクトに隣接して位置決めすること406であって、第1のダクトおよび第2のダクトは、通過して流れる高温ガス(例えば、
図2に示す燃焼ガス115)を受け入れるように構成された連続燃焼室(例えば、
図2に示す燃焼室122)を内部に集合的に画定すること406を含む。
【0031】
上述のスリーブアセンブリは、燃焼器のダクト間の熱膨張/移動を可能にすると同時に、そのようなダクトをより容易に保守することを可能にする。特に、上述のスリーブアセンブリは、スリーブアセンブリの少なくとも1つのダクトに取り外し可能に結合され、スリーブアセンブリ内のスライドインターフェースにおける耐摩擦性の低減を容易にする摩耗インサートを含む。摩耗インサートは、第1のダクトの第1の円周方向面に取り外し可能に結合され、第2のダクトの第2の円周方向面に半径方向に延びる。いくつかの実施形態では、摩耗インサートは、複数の溶接継手を介して第1のダクトに取り外し可能に結合される。他の実施形態では、第1のダクトは、溝を内部に画定し、摩耗インサートは、溝に着座している。結果として、スリーブアセンブリは、タービンアセンブリの動作中に第1のダクトおよび第2のダクトの表面での摩耗を阻害する。むしろ、摩耗インサートは、第1のダクトおよび第2のダクトの一方の他方に対するスライド移動に起因する材料の摩耗を吸収する。
【0032】
さらに、時間の経過と共に除去および交換しなければならないスプレー式摩耗コーティングを含み得るいくつかの既知のスリーブアセンブリとは異なり、上述のスリーブアセンブリの摩耗インサートは、必要に応じてオペレータによって容易に交換することができる。例えば、摩耗インサートを第1のダクトに結合する溶接継手を含む上述のスリーブアセンブリの摩耗インサートを取り外すために、オペレータは、溶接継手を切り離すだけで摩耗インサートを取り外せる。さらに、摩耗インサートを受け入れるサイズの溝を含む上述のスリーブアセンブリの摩耗インサートを取り外すために、オペレータは、溝から摩耗インサートを手動で取り外すことができる。したがって、スリーブアセンブリは、スリーブアセンブリを修理および保守するために必要な時間および費用を削減する。
【0033】
本明細書に記載の方法、システム、および装置の例示的な技術的効果は、(a)スリーブアセンブリの耐久性の改善、(b)スリーブアセンブリの修理に必要なメンテナンス時間の短縮、(c)スリーブアセンブリを組み立てる際の材料費の削減、および(d)スリーブアセンブリの寿命の改善の少なくとも1つを含む。
【0034】
タービンアセンブリ用のスリーブアセンブリの例示的な実施形態、およびスリーブアセンブリを組み立てる方法は、上で詳細に説明されている。スリーブアセンブリは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、スリーブアセンブリの要素は、本明細書に記載した他の要素とは独立して別々に利用することができる。例えば、スリーブアセンブリの要素はまた、他のタービンアセンブリと組み合わせて使用されてもよく、本明細書に記載されるような産業用ガスタービンアセンブリのみでの実践に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他のタービンアセンブリ用途と関連して実現および利用することができる。
【0035】
様々な実施形態の具体的な特徴がいくつかの図面には示されており、他の図面には示されていない場合があるが、これは単に便宜上のものである。さらに、上記の説明における「一実施形態」への言及は、記載した特徴も組み込んだ付加的な実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図しない。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求することができる。
【0036】
本明細書は、あらゆるデバイスまたはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実施を含む本開示の実践を当業者にとって可能にするために、最良の態様を含むいくつかの実施例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0037】
100 タービンアセンブリ
101 圧縮機吐出ケーシング
102 圧縮機セクション
104 燃焼器セクション、燃焼器
106 タービンセクション
108 ケーシング
109 ノズル
110 中心線軸
112 作動ガス
114 圧縮ガス
115 燃焼ガス
116 排気ガス
118 燃焼缶
120 スリーブアセンブリ
122 燃焼室
124 燃料送達システム
126 燃料噴射器
134 前端
136 後端
138 クロスファイア管
140 燃焼ゾーン
142 軸方向
144 円周方向
146 ライナ/第2のダクト
148 移行ダクト/第1のダクト
150 外面
152 前端
154 後端
156 前端
158 本体
160 外面
162 気密シール/フラシール
163 外面/第2の円周方向面
164 インターフェースアセンブリ
166 インサート/摩耗インサート
168 内面/第1の円周方向面
170 内部空洞
172 スリット
174 内面
176 溶接継手
178 第1の半径方向縁部
180 第2の半径方向縁部
182 外面
320 スリーブアセンブリ
346 ライナ
348 移行ダクト
362 シール
366 インサート
368 内面
378 第1の半径方向縁部
380 第2の半径方向縁部
384 溝
386 第1の半径方向側壁/第1の半径方向面
388 第2の半径方向側壁/第2の半径方向面
400 方法
402 ステップ
404 ステップ
406 ステップ
H1 半径方向高さ
H2 半径方向高さ
L1 軸方向長さ