(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】複合サイクル発電所およびそこからの排出物を制御する方法
(51)【国際特許分類】
F02C 6/10 20060101AFI20250519BHJP
F02C 9/00 20060101ALI20250519BHJP
F02C 9/18 20060101ALI20250519BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20250519BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20250519BHJP
【FI】
F02C6/10
F02C9/00 B
F02C9/18
F01K23/10 U
F02C6/00 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021032305
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2024-02-20
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・クロシンスキ
(72)【発明者】
【氏名】サンジ・エカナヤク
(72)【発明者】
【氏名】アルストン・イルフォード・シピオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・バルゲス・マタイ
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0226374(US,A1)
【文献】特開2017-110650(JP,A)
【文献】特開昭64-326(JP,A)
【文献】特開昭61-104107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/10
F02C 9/00
F02C 9/18
F01K 23/10
F02C 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電所(100)であって、
当該複合サイクル発電所(100)が、
第1のタービンセクション(112)を含む第1のガスタービンエンジン(102)と、
排気ガス流(122)を排出するように構成された後部出口(120)を有する第2のタービンセクション(112)を含む第2のガスタービンエンジン(104)と、
前記第2のガスタービンエンジン(104)から排出された前記排気ガス流(122)を受け入れるように構成され、かつ、前記排気ガス流(122)から窒素酸化物を除去するように構成された排出削減システム(128)と、
前記第1のタービンセクション(112)と通信可能に結合された段間抽出システム(140)であって、
直接的に前記排出削減システム(128)に熱を供給するため
に前記第1のタービンセクション(112)からタービン抽出空気(142)を選択的に抽出するように構成された段間抽出システム(140)
と
を含む、複合サイクル発電所(100)。
【請求項2】
前記段間抽出システム(140)
が、
前記第1のタービンセクション(112)の複数の段のうちの1つと流れ連通している少なくとも1つのバルブ(150、152)と、
前記排出削減システム(128)の温度を監視するように構成された少なくとも1つの温度センサ(154、156)と、
前記少なくとも1つのバルブ(150、152)
及び前記少なくとも1つの温度センサ(154、156)と通信可能に結合されたコントローラ(158)であって、前記監視された温度に基づいて前記少なくとも1つのバルブを選択的に開閉するように構成されたコントローラ(158)
と
を含む、請求項1に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項3】
前記排出削減システム(128)
が、触媒床(131)を含み、前記段間抽出システム(140)
が、前記タービン抽出空気(142)で前記触媒床(131)を選択的に加熱するために、前記触媒床(131)と流れ連通している、請求項2に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項4】
前記排出削減システム(128)
が、前記触媒床(131)と流れ連通している化学物質注入グリッド(132)をさらに含み、前記段間抽出システム(140)
が、前記タービン抽出空気(142)で前記化学物質注入グリッド(132)を選択的に加熱するために、前記化学物質注入グリッド(132)と流れ連通している、請求項3に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項5】
前記コントローラ(158)
が、前記少なくとも1つのバルブ(150、152)を選択的に開閉して、所定の温度範囲で温度を維持するように構成される、請求項2に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバルブ(150、152)
が、前記複数の段のうちの第1段(146)と流れ連通している第1のバルブ(150)、
及び前記複数の段のうちの第2段(148)と流れ連通している第2のバルブ(152)を含む、請求項2に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項7】
前記段間抽出システム(140)
が、前記第2のガスタービンエンジン(104)が過渡動作状態にあるときにのみ作動可能である、請求項1に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項8】
前記排出削減システム(128)
が、前記排気ガス流(122)から還元ガス流(134)を形成するようにさらに構成され、前記複合サイクル発電所(100)
が、前記排出削減システム(128)から前記還元ガス流(134)を受け取るように構成された熱回収蒸気発生器(130)をさらに含む、請求項1に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項9】
複合サイクル発電所(100)であって、
当該複合サイクル発電所(100)が、
第1の排気ガス流(122)を排出するように構成された後部出口(120)を有する第1のタービンセクション(112)を含む第1のガスタービンエンジン(102)と、
前記第1の排気ガス流(122)を受け入れるように構成され、かつ、前記第1の排気ガス流(122)から窒素酸化物を除去するように構成された第1の排出削減システム(128)と、
第2の排気ガス流(122)を排出するように構成された後部出口(120)を有する第2のタービンセクション(112)を含む第2のガスタービンエンジン(104)と、
前記第2の排気ガス流(122)を受け入れるように構成され、かつ、前記第2の排気ガス流(122)から窒素酸化物を除去するように構成された第2の排出削減システム(128)と、
前記第1のタービンセクション(112)と通信可能に結合された段間抽出システム(140)であって、
直接的に前記第2の排出削減システム(128)に熱を供給するため
に前記第1のタービンセクション(112)からタービン抽出空気(142)を選択的に抽出するように構成された段間抽出システム(140)
と
を含む、複合サイクル発電所(100)。
【請求項10】
前記段間抽出システム(140)
が、前記第2のタービンセクション(112)とさらに通信可能に結合され、前記段間抽出システム(140)
が、前記第1の排出削減システム(128)に熱を供給するために、前記第2のタービンセクション(112)からタービン抽出空気(142)を選択的に抽出するように構成される、請求項9に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項11】
前記段間抽出システム(140)
が、
前記第1のタービンセクション(112)の複数の段のうちの1つと流れ連通している少なくとも1つのバルブ(150、152)と、
前記第2の排出削減システム(128)の温度を監視するように構成された少なくとも1つの温度センサ(154、156)と、
前記少なくとも1つのバルブ(150、152)
及び前記少なくとも1つの温度センサ(154、156)と通信可能に結合されたコントローラ(158)であって、前記監視された温度に基づいて、前記少なくとも1つのバルブ(150、152)を選択的に開閉するように構成されたコントローラ(158)
と
を含む、請求項9に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項12】
前記第1
及び第2の排出削減システム(128)
が、触媒床(131)
及び前記触媒床(131)と流れ連通している化学物質注入グリッド(132)を各々含み、前記少なくとも1つの温度センサ(154、156)
が、前記触媒床(131)の温度
又は前記化学物質注入グリッド(132)内の化学物質の
温度を監視するように構成された、請求項11に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項13】
前記コントローラ(158)
が、前記少なくとも1つのバルブ(150、152)を選択的に開閉して、所定の温度範囲で温度を維持するように構成される、請求項11に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのバルブ(150、152)
が、前記複数の段のうちの第1段(146)と流れ連通している第1のバルブ(150)、
及び前記複数の段のうちの第2段(148)と流れ連通している第2のバルブ(152)を含む、請求項11に記載の複合サイクル発電所(100)。
【請求項15】
前記段間抽出システム(140)
が、前記第2のガスタービンエンジン(104)が過渡動作状態にあるときにのみ作動可能である、請求項9に記載の複合サイクル発電所(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、選択的触媒還元システム、より具体的には、発電所で使用するための還元触媒を加熱するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどの回転機械は、発電機のための動力を生成するためによく使用される。少なくともいくつかの公知のガスタービンは、流れの順に、吸気口、圧縮機、燃焼器、タービン、およびガス出口を含むガス経路を有する。圧縮機およびタービンセクションは、ハウジング内に結合された円周方向に離間された回転バケットまたはブレードの複数の列を含む。少なくともいくつかの公知のタービンエンジンは、コージェネレーション施設および発電所で使用されている。このようなエンジンは、単位質量流量あたりの比仕事量および出力が高い場合がある。運転効率を上げるために、少なくともいくつかの公知のガスタービンエンジンは、燃焼ガス温度が上昇するにつれてエンジン効率が一般に上昇するので、燃焼温度を上げて運転することができる。
【0003】
しかし、タービンエンジンを高温で運転すると、窒素酸化物(NOx)などの汚染排出物の生成も増加する可能性がある。NOx排出量の削減を促進するために、少なくともいくつかの公知のガスタービンプラントは、触媒全体に還元剤を注入して、NOxを元素窒素に変換させる。さらに具体的には、選択的触媒還元(「SCR」)触媒を備えたアンモニアの使用は、NOx排出量を削減するための一般的な手法である。しかし、そのようなNOx還元反応は、一般に、周囲温度よりも高い所与の温度範囲内でのみ有効である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、複合サイクル発電所が提供される。発電所は、第1のタービンセクションを含む第1のガスタービンエンジンと、排気ガス流を排出するように構成された後部出口を有する第2のタービンセクションを含む第2のガスタービンエンジンと、第2のガスタービンエンジンから排出された排気ガス流を受け入れるように構成され、かつ、排気ガス流から窒素酸化物を除去するように構成された排出削減システムと、第1のタービンセクションと通信可能に結合された段間抽出システムと、を含む。段間抽出システムは、排出削減システムに熱を供給するために、第1のタービンセクションからタービン抽出空気を選択的に抽出するように構成される。
【0005】
別の態様では、複合サイクル発電所が提供される。発電所は、第1の排気ガス流を排出するように構成された後部出口を有する第1のタービンセクションを含む第1のガスタービンエンジンと、第1の排気ガス流を受け入れるように構成され、かつ、第1の排気ガス流から窒素酸化物を除去するように構成された第1の排出削減システムと、第2の排気ガス流を排出するように構成された後部出口を有する第2のタービンセクションを含む第2のガスタービンエンジンと、第2の排気ガス流を受け入れるように構成され、かつ、第2の排気ガス流から窒素酸化物を除去するように構成された第2の排出削減システムと、を含む。発電所はまた、第1のタービンセクションと通信可能に結合された段間抽出システムであって、第2の排出削減システムに熱を供給するために、第1のタービンセクションからタービン抽出空気を選択的に抽出するように構成された段間抽出システムと、を含む。
【0006】
さらに別の態様では、第1のガスタービンエンジンおよび第2のガスタービンエンジンを有する複合サイクル発電所における排出物を制御する方法が提供される。本方法は、第2のガスタービンエンジンから受け取った排気ガス流から窒素酸化物を除去するための排出削減システムの動作温度を決定し、排出削減システムの温度を監視し、排出削減システムに熱を供給するために、第1のガスタービンエンジンのタービンセクションからタービン抽出空気を選択的に抽出することを含む。選択的抽出は、動作温度に対する監視対象温度の比較に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な複合サイクル発電所の概略図である。
【
図2】複合サイクル発電所における排出物を制御する例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、発電所で使用するための還元触媒を加熱するシステムおよび方法に関する。具体的には、本明細書に記載のシステムおよび方法は、ガスタービン段間抽出ガスを使用して、化学物質注入グリッドおよび/または同じ複合サイクルブロック内の異なるガスタービンエンジンに関連する熱回収蒸気発生器(HRSG)の選択的触媒還元(SCR)触媒を加熱する。段間抽出は、触媒がその有効な動作可能な温度範囲で作動していないときに形成されるガスタービンエンジンの始動および停止時の排出物の削減を容易にするために実行される。より具体的には、第1のガスタービンエンジンから抽出されたタービン抽出空気は、触媒の温度を上昇させるために第2のガスタービンエンジンに送られる。抽出はコントローラでアクティブに制御され、第2のガスタービンエンジンに関連するAIGおよび触媒で所望のHRSG排気流温度を達成できるようにする。したがって、タービンセクションのガスを抽出することにより、発電所からの排出物を制御することが容易になるだけでなく、電力需要が少ない期間にターンダウン運転で負荷を減らすことが容易になる。
【0009】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「一般に」、「実質的に」、および「およそ」などの近似を表す文言は、そのように修飾された用語が、絶対的または完全な程度ではなく、当業者によって認識されるようなおおよその程度にのみ適用され得ることを示している。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。加えて、別途指定のない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する項目について順序、位置、または階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」項目への言及は、例えば、「第1の」もしくはより小さい番号の項目、または「第3の」もしくはより大きい番号の項目の存在を要求するものではなく、または排除するものでもない。
【0010】
図1は、例示的な複合サイクル発電所100の概略図である。例示的な実施形態では、発電所100は、第1のガスタービンエンジン102、第2のガスタービンエンジン104、および蒸気タービン106を含む。各ガスタービンエンジン102および104は、流れの順に一緒に結合された圧縮機セクション108、燃焼器110、およびタービンセクション112を含む。動作中、燃焼器110は、圧縮機セクション108から空気114を受け取り、燃料供給部から燃料116を受け取り、燃料と空気を使用して、燃焼ガス118を生成するために燃焼される燃料-空気混合物を生成する。燃焼ガス118は、タービンセクション112を通って運ばれ、排気ガス流122としてタービンセクション112の後部出口120から排出される。
【0011】
例示的な実施形態では、発電所100はまた、第1のガスタービンエンジン102に関連する第1の熱回収システム124、および第2のガスタービンエンジン104に関連する第2の熱回収システム126を含む。各熱回収システム124および126は、排出削減システム128、および排出削減システム128と流れ連通して結合された熱回収蒸気発生器(HRSG)130を含む。排出削減システム128は、触媒床131、および触媒床131と流れ連通する化学物質注入グリッド132を含む。
【0012】
動作中、排気ガス流122は、そこからの窒素酸化物(NOx)の少なくとも部分的な除去を容易にするために、排出削減システム128で受け取られる。例えば、化学物質注入グリッド132は、アンモニアなどの化学物質を、触媒床131の上流の排気ガス流122に注入する。NOxは、酸素の存在下で触媒床131の表面全体で化学物質と反応し、元素窒素(N2)、水(H2O)、および二酸化炭素(CO2)を生成する。次に、還元ガス流134は、HRSG130内の給水136との相互作用のために、排出削減システム128から排出される。還元ガス流134は、給水136を加熱して蒸気138を生成し、蒸気138は、追加の動力を生成するために蒸気タービン106に向けて送られる。
【0013】
上記のように、排出削減システム128内で行われるNOx還元反応は、触媒床131に含まれる触媒材料に基づく所定の動作温度範囲内でのみ有効であり得る。触媒材料の例には、卑金属酸化物、白金、およびゼオライト材料が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約600°Fから約1000°Fの間であり得る。定常状態の動作条件では、触媒床131は、排気ガス流122との相互作用を介して、所定の動作温度範囲に加熱され得る。ガスタービンエンジン102および104が一時的な始動またはターンダウンモードにあるときなどの他の動作条件では、排気ガス流122の温度が定常状態の動作条件よりも低くなることがあり、触媒床131の温度が所定の動作温度範囲内にならない場合がある。
【0014】
したがって、例示的な実施形態では、発電所100はまた、ガスタービンエンジン102および104のタービンセクション112と通信可能に結合された段間抽出システム140を含み、排出削減システム128への補助加熱の供給を容易にする。以下の説明は、第2のガスタービンエンジン104が過渡動作モードにあるときに、第1のガスタービンエンジン102から第2の熱回収システム126に補助加熱が供給されるシナリオを説明する。しかし、以下の説明は、第1のガスタービンエンジン102が過渡動作モードにあってもよく、第1の熱回収システム124が補助加熱を必要とするシナリオにも適用可能であることを理解されたい。
【0015】
例示的な実施形態では、段間抽出システム140は、第1のガスタービンエンジン102のタービンセクション112からタービン抽出空気142を選択的に引き出しまたは抽出し、それを第2の排出削減システム128に向けてルーティングしてそれに熱を供給する。タービンセクション112は、複数の段144を含み、タービン抽出空気142は、段144のうちの任意の1つまたは複数から引き出され得る。例えば、一実施形態では、段144は、少なくとも第1段146および第1段146の下流の第2段148を含む複数の段を含む。第1段146から抽出されたタービン抽出空気142は、一般に、第2段148から抽出されたタービン抽出空気142よりも高温である。したがって、タービン抽出空気142は、第2の熱回収システム126に供給される所望の量の熱および抽出空気に基づいて、第1段146および/または第2段148の一方または両方から抽出され得る。
【0016】
段間抽出システム140は、タービン112の複数の段144に関連付けられる任意の数のバルブを含む。例えば、システム140は、タービンセクション112からのタービン抽出空気142の抽出を制御することを容易にするために、第1段146と流れ連通する第1のバルブ150と、第2段148と流れ連通する第2のバルブ152と、を含む。さらに、第1の温度センサ154は、触媒床131の温度を監視し、第2の温度センサ156は、化学物質注入グリッド132内のある量の化学物質の温度を監視する。バルブ150および152、ならびに温度センサ154および156は、段間抽出システム140のコントローラ158と通信可能に結合されている。動作中、コントローラ158は、所定の動作温度範囲に対する監視された温度の比較に基づいて、バルブ150および152を選択的に開閉する。
【0017】
例えば、一実施形態では、コントローラ158は、第1の温度センサ154からフィードバックを受け取り、監視された温度を、触媒床131内の触媒材料の所定の動作温度範囲と比較する。監視された温度が所定の動作温度範囲外に下がった場合、コントローラ158は、バルブ150および152のうちの1つまたは複数を開いて、直接的または間接的に触媒床131に熱を供給する。一実施形態では、タービン抽出空気142は、触媒床131を加熱するために使用され、次に給水136を加熱するために送られる。コントローラ158は、触媒床131の温度を監視し続け、バルブ150および152の位置を選択的に調整して、例えば、第2のガスタービンエンジン104の負荷が調整され続けるときに、触媒床131の温度を所定の動作温度範囲内に維持することができる。
【0018】
一実施形態では、コントローラ158は、代替的または追加的に、第2の温度センサ156からフィードバックを受け取る。上記のように、化学物質注入グリッド132は、触媒床131の上流の排気ガス流122に化学物質を注入する。注入された化学物質は触媒床131に接触する。したがって、化学物質注入グリッド132に熱を供給することは、化学物質が触媒床131と接触する前に化学物質の温度を上昇させることを容易にし、その結果、タービン抽出空気142を使用して、触媒床131を所定の動作温度範囲内に間接的に加熱する。したがって、触媒材料の監視された温度が所定の動作温度範囲外に下がった場合、コントローラ158は、バルブ150および152のうちの1つまたは複数を開いて、化学物質注入グリッド132に熱を供給する。
【0019】
いくつかの実施形態では、段間抽出システム140は、発電所100がターンダウンモードにあるときに作動される。ターンダウンモードでは、発電の必要性が比較的低いときに、ガスタービンエンジン102および104の一方または両方の出力が低減される。一実施形態では、ガスタービンエンジン102および104の両方の出力が低減される。そのようなシナリオでは、タービン抽出空気142を第1のタービンセクション112内に保持して、未使用になる可能性のある電力を生成するのではなく、段間抽出システム140を作動させることにより、タービン抽出空気142から得られるエネルギーを利用することによって、第1のガスタービンエンジン102をより効率的な方法でターンダウンさせることができる。
【0020】
図2は、複合サイクル発電所における排出物を制御する例示的な方法200を示す流れ図である。方法200は、第2のガスタービンエンジンから受け取った排気ガス流から窒素酸化物を除去するのに使用するための排出削減システムの動作温度を決定するステップ202と、排出削減システムの温度を監視するステップ204と、排出削減システムに熱を供給するために、第1のガスタービンエンジンのタービンセクションからタービン抽出空気を選択的に引き出すステップ206と、を含み、選択的に引き出すステップは動作温度に対する監視温度に基づく。
【0021】
本明細書に記載の実施形態は、第1のガスタービンエンジンからのガスタービン段間ガスを使用して、同じ複合サイクルブロックに結合された異なるガスタービンエンジンに関連する熱回収蒸気発生器(HRSG)の触媒床を加熱するシステムおよび方法に関する。段間抽出は、触媒がその有効な動作可能温度範囲で動作していないときに形成される異なるガスタービンエンジンの始動および停止時の排出物を削減するために実行される。抽出は、特にガスの抽出を制御するために、所定のシーケンス対数を備えたマイクロプロセッサベースのコントローラでアクティブに制御される。抽出されたガスは、タービンセクションの1つまたは複数の異なる段から抽出されて、第2のガスタービンエンジンに関連するAIGおよび触媒の位置で所望のHRSG排気流温度を達成することができる。したがって、タービンセクションのガスを抽出することにより、発電所からの排出物の制御が容易になる。
【0022】
上記の説明は例示のみを意図したものであり、当業者は、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に変更を加えることができることを認識するであろう。例えば、本明細書に記載のプロセスステップは、例えば、持続時間、温度、またはサイクル間の時間において修正されてもよい。本発明の範囲内にあるさらに他の修正は、本開示を検討すれば当業者には明らかであり、そのような修正は、添付の特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0023】
複合サイクル発電所の例示的な実施形態が、上記で詳細に説明されている。排出物を制御する方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、むしろ、本方法のステップは、本明細書に記載の他のステップとは独立して別々に利用することができる。例えば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の複合サイクル発電所での実施に限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の用途と関連して実施および利用することができる。
【0024】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、一部の図面に示され、他の図面には示されていないかもしれないが、これは単に便宜上にすぎない。さらに、上記の説明における「一実施形態」への言及は、記載した特徴も組み込んだ付加的な実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図しない。本発明の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求することができる。
【0025】
本発明を様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者は、本発明が特許請求の範囲の趣旨および範囲内の修正を加えて実施することができることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0026】
100 複合サイクル発電所
102 第1のガスタービンエンジン
104 第2のガスタービンエンジン
106 蒸気タービン
108 圧縮機セクション
110 燃焼器
112 第1のタービンセクション
114 空気
116 燃料
118 燃焼ガス
120 後部出口
122 排気ガス流
124 第1の熱回収システム
126 第2の熱回収システム
128 第2の排出削減システム
130 熱回収蒸気発生器(HRSG)
131 触媒床
132 化学物質注入グリッド
134 還元ガス流
136 給水
138 蒸気
140 段間抽出システム
142 タービン抽出空気
144 段
146 第1段
148 第2段
150 第1のバルブ
152 第2のバルブ
154 第1の温度センサ
156 第2の温度センサ
158 コントローラ
200 方法