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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】電気ケトル
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20250519BHJP
【FI】
A47J27/21 101Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021134628
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023028751
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 篤
(72)【発明者】
【氏名】藤本 康幸
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-020149(JP,U)
【文献】再公表特許第2018/074355(JP,A1)
【文献】中国特許出願公開第112006536(CN,A)
【文献】特開2012-080990(JP,A)
【文献】国際公開第2007/101998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ケトルであって、
外部電源から電力を受け取るように構成された受電接続部と、前記受電接続部が受け取る電力によって内部に収容された液体を加熱するように構成された加熱部とを有するケトル本体と、
前記ケトル本体が載置され、かつ、前記ケトル本体に給電可能に構成された給電ユニットであって、
前記ケトル本体が上面に載置される給電台部であって、前記受電接続部と取り外し可能に電気的に接続可能な給電接続部を備える、給電台部と、
前記給電接続部及び前記受電接続部を介して前記加熱部へ電力を供給する前記外部電源としてのバッテリパックを取り付け可能に構成された取付ユニットと、を備える、給電ユニットと、
前記給電台部に設けられた第1検知部と、前記ケトル本体に設けられた第2検知部とを含み、前記第1検知部と前記第2検知部とが接触している場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていると検知し、前記第1検知部と前記第2検知部とが接触していない場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成された、検知部と、を備え、
前記電気ケトルは、
前記検知部によって前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていることが検知された場合に、前記給電接続部と前記受電接続部を介して前記加熱部へ電力を供給し、
前記検知部によって前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないことが検知された場合に、前記給電接続部と前記受電接続部を介した前記加熱部へ電力の供給を停止し、
前記給電接続部と前記受電接続部との物理的接続は、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないことを前記検知部が検知し、前記加熱部への供給を停止した後に、解除されるように構成されており、
前記第1検知部は、第3検知部と第4検知部とを含み、
前記第2検知部は、第5検知部と第6検知部とを含み、
前記検知部は、前記第3検知部と前記第5検知部が接触し、かつ、前記第4検知部と前記第6検知部とが接触している載置条件が成立する場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されており、前記載置条件が成立しない場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成されており、
前記給電接続部は、前記給電台部の前記上面における中央部に設けられており、かつ、前記第3検知部と前記第4検知部は、前記給電接続部を中心として対称に設けられており、
前記受電接続部は、前記ケトル本体の底面における中央部に設けられており、かつ、前記第5検知部と前記第6検知部は、前記受電接続部を中心として対称に設けられている、
電気ケトル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気ケトルであって、
前記第1検知部と前記第2検知部とは、導電性を有しており、
前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との間が通電可能である場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていると検知し、前記第1検知部と前記第2検知部との間が通電不能である場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成されている、電気ケトル。
【請求項3】
請求項又は請求項に記載の電気ケトルであって、
前記ケトル本体は、液体を収容する液体収容部を備え、
前記検知部は、
前記液体収容部内の温度を計測するように構成された温度センサを更に備え、
前記第3検知部と前記第5検知部が通電し、前記第4検知部と前記第6検知部とが通電することで前記温度センサにより前記液体収容部の温度を計測可能に構成されている、電気ケトル。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電気ケトルであって、
前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方に設けられ、上下方向に伸縮可能な第1バネを含み、
前記第1バネの上下方向の変化長は、前記給電台部に載置された前記ケトル本体が上方へ移動される場合に、前記検知部が前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていないことを検知した後に、前記給電接続部と前記受電接続部との接続が解除される長さである、電気ケトル。
【請求項5】
請求項に記載の電気ケトルであって、
前記第1バネは、前記第2検知部に設けられている、電気ケトル。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電気ケトルであって、
前記給電接続部と前記受電接続部の少なくとも一方は、上下方向に伸縮可能な第2バネを含み、
前記第2バネの上下方向の変化長は、前記給電台部に載置された前記ケトル本体が上方へ移動される場合に、前記検知部が前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていないことを検知した後に、前記給電接続部と前記受電接続部との接続が解除される長さである、電気ケトル。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電気ケトルであって、
前記給電接続部は給電接続端子を備え、前記受電接続部は受電接続端子を備え、
前記給電接続端子と前記受電接続端子とは、一方が他方を挟み込むことで電気的に接続するように構成されている、電気ケトル。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電気ケトルであって、
前記第1検知部は、前記給電台部の前記上面に設けられており、
前記第2検知部は、前記電気ケトルの下面に設けられており、
前記給電接続部は、前記上面に設けられ、かつ、前記上面から上方に突出する給電接続端子を含み、
前記受電接続部は、前記下面において上方へ窪む窪み部に設けられた、受電接続端子を含み、
前記電気ケトルは、
前記給電台部から前記ケトル本体が上方に移動される場合に、前記第1検知部と前記第2検知部とが物理的に非接触となった後に、前記給電接続端子と前記受電接続端子の物理的接続が解除されるように構成されている、電気ケトル。
【請求項9】
請求項に記載の電気ケトルであって、
前記給電接続端子は、前記上面から上方に突出するように、上下方向に延在しており、
前記給電接続端子の上端は、前記第1検知部の上端よりも上方に位置する、電気ケトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケトル本体及び給電ユニットを備える電気ケトルに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に備えられた加熱部により容器内の水を沸騰させる電気ケトルが知られている。特許文献1には、熱源を内装したポット本体部と、ポット本体部を載せる円盤形の受け台とを備える電気ケトルが記載されている。受け台は、電源コードによって、外部電源としてのバッテリパックと接続されている。ポット本体部の熱源には、受け台を介して、バッテリパックの電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/074355号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリパックの電力を、受け台を介してポット本体部に供給する電気ケトルにおいて、耐久性をより向上させたいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、電気ケトルが提供される。前記電気ケトルは、ケトル本体と、取付ユニットと、検知部とを備える。前記ケトル本体は、受電接続部と、加熱部とを有する。前記受電接続部は、外部電源から電力を受け取るように構成されている。前記加熱部は、前記受電接続部が受け取る電力によって、内部に収容された液体を加熱するように構成されている。前記給電ユニットは、前記ケトル本体が載置可能に構成されている。また、前記給電ユニットは、前記ケトル本体に給電可能に構成されている。前記給電ユニットは、給電接続部を備える給電台部と、取付ユニットとを備える。前記給電接続部は、前記受電接続部と取り外し可能に構成され、かつ、前記受電接続部と電気的に接続可能に構成されている。前記給電台部は、前記給電台部の上面に、前記ケトル本体を載置可能に構成されている。前記取付ユニットは、前記給電接続部及び前記受電接続部を介して、前記加熱部へ電力を供給する前記外部電源としてのバッテリパックを取り付け可能に構成されている。前記検知部は、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されているか否かを検知可能に構成されている。前記電気ケトルは、前記検知部によって前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていることが検知された場合に、前記給電接続部と前記受電接続部を介して前記加熱部へ電力を供給するように構成されている。また、前記電気ケトルは、前記検知部によって前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないことが検知された場合に、前記給電接続部と前記受電接続部を介した前記加熱部へ電力の供給を停止するように構成されている。更に、前記給電接続部と前記受電接続部との接続は、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないことを前記検知部が検知した後に、解除されるように構成されている。
【0007】
この形態によれば、給電接続部と受電接続部との接続は、検知部によってケトル本体が給電台部に載置されていないことが検知された後に、解除されるように構成されているので、給電接続部と受電接続部との間に火花(アーク)が発生することを抑制できる。そのため、給電接続部と受電接続部の劣化を抑制することができ、その結果、ケトル本体の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの斜視図である。
図2】給電ユニットからケトル本体を取り外した状態の電気ケトルの斜視図である。
図3】給電接続部の拡大斜視図である。
図4】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの前面図である。
図5】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの右側面図である。
図6】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの左側面図である。
図7】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの上面図である。
図8】バッテリパックが取り付けられた電気ケトルの後面図である。
図9】電気ケトルの図5におけるIX-IX断面図である。
図10】電気ケトルの図4におけるX-X断面図である。
図11】バッテリパックが取り付けられた給電ユニットの上面図である。
図12】給電ユニットの下面図である。
図13図12のXIII-XIII断面図である。
図14】電気ケトル1の上面図である。
図15】電気ケトル1の後面図である。
図16】バッテリパックの一例を示す図である。
図17】ケトル本体の下面図である。
図18】電気ケトルの部分拡大断面図であり、ケトル本体が給電台部に載置されている場合の給電接続部と受電接続部の接続状態、及び、第1通電端子と第2通電端子の接続状態を示す図である。
図19】電気ケトルの構成を示すブロック図である。
図20】切替部について説明するための回路図である。
図21】第2実施形態において、ケトル本体が給電台部に載置された状態から、給電接続部と受電接続部との接続が解除されるまでの給電接続部、受電接続部、及び、検知部の様子について説明するための模式図である。
図22】第3実施形態において、ケトル本体が給電台部に載置された状態から、給電接続部と受電接続部との接続が解除されるまでの給電接続部、受電接続部、及び、検知部の様子について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本開示の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに開示は、更に改善された電気ケトル、その使用方法を提供するために、他の特徴や開示とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本開示を実施する際に必須のものではなく、特に本開示の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。更に、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本開示の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施形態及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。更に、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記検知部は、第1検知部と、第2検知部とを備えていてもよい。前記第1検知部は、前記給電台部における、前記給電接続部とは異なる位置に設けられていてもよい。前記第2検知部は、前記ケトル本体における、前記受電接続部とは異なる位置に設けられていてもよい。前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部とが接触している場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていると検知するように構成されていてもよい。前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部とが接触していない場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1検知部と、第2検知部とが接触しているか否かにより、ケトル本体が給電台部に載置されているか否かを検知する構成において、電気ケトルの耐久性を向上させることができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1検知部と前記第2検知部とは、導電性を有していてもよい。前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との間が通電可能である場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていると検知するように構成されていてもよい。前記検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との間が通電不能である場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1検知部と第2検知部との通電の可否を利用して、ケトル本体が給電台部に載置されているか否かを検知することができる。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記第1検知部は、第3検知部と第4検知部とを含んでいてもよい。前記第2検知部は、第5検知部と第6検知部とを含んでいてもよい。前記検知部は、前記第3検知部と前記第5検知部が接触し、かつ、前記第4検知部と前記第6検知部とが接触している載置条件が成立する場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていると検知するように構成されていてもよい。前記検知部は、前記載置条件が成立しない場合に、前記ケトル本体が前記給電台部に載置されていないと検知するように構成されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、給電台部とケトル本体との接触を、1つの接点で検知する場合と比較して、給電台部にケトル本体が載置されているか否かを、より精度よく検知することができる。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記給電接続部は、前記給電台部の前記上面における中央部に設けられていてもよい。また、前記第3検知部と前記第4検知部とは、前記給電接続部を中心として対称に設けられていてもよい。前記受電接続部は、前記ケトル本体の前記底面における中央部に設けられていてもよい。前記第5検知部と前記第6検知部とは、前記受電接続部を中心として対称に設けられていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、給電台部に対してケトル本体が傾いた場合には、第3検知部と第4検知部、第5検知部と第6検知部の少なくとも一方が非接触となるので、給電台部にケトル本体が載置されているか否かを、いっそう精度よく検知することができる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記ケトル本体は、液体を収容する液体収容部を備えていてもよい。前記検知部は、前記液体収容部内の温度を計測するように構成された温度センサを更に備えていてもよい。前記検知部は、前記第3検知部と前記第5検知部が通電し、前記第4検知部と前記第6検知部とが通電することで前記温度センサにより前記液体収容部の温度を計測可能に構成されていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、検知部に、給電台部にケトル本体が載置されているか否かを検知する機能と、液体収容部内の温度を計測する機能と、を発揮させることができる。そのため、温度センサの回路を、検知部とは別に設ける場合と比較して、電気ケトルの構成を簡易化できる。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記検知部は、上下方向に伸縮可能な第1バネを含んでいてもよい。前記第1バネは、前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方に設けられていてもよい。前記第1バネの上下方向の変化長は、前記給電台部に載置された前記ケトル本体が上方へ移動される場合に、前記検知部が前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていないことを検知した後に、前記給電接続部と前記受電接続部との接続が解除される長さに構成されていてもよい。
【0023】
上記構成によれば、第1バネは上下方向に伸縮するので、第1検知部と第2検知部との少なくとも一方に上下方向の寸法誤差等があっても、第1検知部と第2検知部との接触を担保できる。また、ケトル本体の上方への移動量が第1バネの変化長よりも大きくなるまで、第1検知部と第2検知部とを接触させつつ、給電台部にケトル本体が載置されていないことを検知部が検知した後に、給電接続部と受電接続部との接続が解除されるように、電気ケトルを構成することができる。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記第1バネは、前記第2検知部に設けられていてもよい。
【0025】
上記構成によれば、第1バネは、ケトル本体に形成された第2検知部に設けられるので、ケトル本体から液体がこぼれた場合であっても、当該液体は第1バネに付着し難い。そのため、液体が第1バネに付着することで第1バネが劣化することを抑制できるので、検知部の耐久性を向上させることができる。
【0026】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記給電接続部と前記受電接続部の少なくとも一方は、上下方向に伸縮可能な第2バネを含んでいてもよい。前記第2バネの上下方向の変化長は、前記給電台部に載置された前記ケトル本体が上方へ移動される場合に、前記検知部が前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていないことを検知した後に、前記給電接続部と前記受電接続部との接続が解除される長さに構成されていてもよい。
【0027】
上記構成によれば、第2バネは上下方向に伸縮するので、給電接続部と受電接続部との少なくとも一方に上下方向の寸法誤差等があっても、給電接続部と受電接続部との接触を担保できる。
【0028】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記給電接続部は給電接続端子を備え、前記受電接続部は受電接続端子を備えていてもよい。前記給電接続端子と前記受電接続端子とは、一方が他方を挟み込むことで電気的に接続するように構成されていてもよい。
【0029】
上記構成によれば、給電接続端子と受電接続端子との接触面積を大きくできるので、給電接続部から受電接続部への電力の供給をより安定させることができる。
【0030】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記第1検知部は、前記給電台部の前記上面に設けられていてもよい。前記給電接続端子は、前記給電台部の前記上面から上方に突出するように、前記上面に設けられていてもよい。前記給電接続端子は、前記給電接続端子の上端が前記第1検知部の上端よりも上方に位置するように、上下方向に延在していてもよい。
【0031】
上記構成によれば、給電接続端子は、給電接続端子の上端が第1検知部の上端よりも上方に位置し、かつ、上下方向に延在している。そのため、電気ケトルを、ケトル本体が給電台部から上方へ移動される場合に、第1検知部の上端と第2検知部とが離間した後、給電接続端子の上端と受電接続端子とが離間するように構成することができる。
【0032】
<第1実施形態>
<電気ケトルの構成>
以下、図1から図20までを参照しつつ、第1実施形態に係る電気ケトル1について説明する。電気ケトル1は、ケトル本体10と給電ユニット50とを備える。電気ケトル1の使用者は、水などの液体を入れたケトル本体10を、外部電源が取り付けられた給電ユニット50の給電台部70に載置し、給電ユニット50に設けられたメインスイッチS1を入れることにより、ケトル本体10内の液体を沸騰させることができる。図1及び図4から図8に示す電気ケトル1と、図11に示す給電ユニット50とには、バッテリパック100A、100Bが取り付けられている。バッテリパック100A、100Bは、電気ケトル1の外部電源の一例である。
【0033】
以下では、説明の便宜上、電気ケトル1のケトル本体10が給電ユニット50に載置されたときの姿勢を基準として、電気ケトル1の上下方向を規定する。つまり、給電ユニット50に対しケトル本体10の載置される側が電気ケトル1の上側であり、その反対側が電気ケトル1の下側である。また、給電ユニット50に対しバッテリパック100A、100Bが取り付けられる取付ユニット90が配置される側を後側、ケトル本体10が配置される側を前側とし、上下方向に直交する方向を前後方向と規定する。さらに、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向と規定する。
【0034】
<給電ユニットの構成>
給電ユニット50は、ケトル本体10が載置可能に構成されている。また、給電ユニット50は、載置されたケトル本体10に給電可能に構成されている。本実施形態の給電ユニット50は、主に、ベース部60と、壁部80と、取付ユニット90とを備える。給電ユニット50は、金属又は樹脂で形成することができる。壁部80は、ベース部60から上方に延びる略板状の部材である。
【0035】
図2に示すように、ベース部60は、前後方向及び左右方向に沿って広がる略板状部材である。ベース部60の下面63は、机や床、地面などの平面上に載置され得る。
【0036】
ベース部60のうち、壁部80の前面81側の領域には、給電台部70が設けられている。給電台部70は、ケトル本体10の底部40が載置可能に構成されている。具体的には、給電台部70の上面71には、ケトル本体10の底部40(下面41)が載置される。本実施形態では、給電台部70の上面71は、ベース部60の側壁62の上端よりも下方に位置する。給電台部70の面積は、ケトル本体10の底部40の面積よりもわずかに大きい。
【0037】
図11に示すように、給電台部70の上面71には、給電接続部72と、一対の端子(第1通電端子131A、131B)とが設けられている。給電接続部72は、上面71の略中心部に設けられている。第1通電端子131Aと第1通電端子131Bとは、給電接続部72を中心として略対称に配置されている。給電接続部72及び第1通電端子131A、131Bについては、詳細を後述する。
【0038】
図2図11、及び図12に示すように、給電台部70には、給電台部70を上下方向に貫通する貫通孔77が形成されている。本実施形態では、貫通孔77は給電接続部72が設けられた位置よりも、給電台部70の外側に近い位置に配置されている。給電台部70の外側に近い位置とは、給電台部70の径方向外側に近い位置でもある。当該位置は、ベース部60の側壁62や、壁部80に近い位置でもある。本実施形態では、貫通孔77の数は4つである。貫通孔77は、給電接続部72に対し略対称に配置されている。なお、図9及び図10に示すように、給電台部70の上面71は、給電接続部72から給電台部70の外側に向けて、下方に傾斜した部分(傾斜面74)を有する。
【0039】
図12及び図13に示すように、給電ユニット50の下面63には、下面スイッチ133が設けられている。なお、図13に示す給電ユニット50の下面63は、平面上に載置されていない。下面スイッチ133は押し込み式のスイッチである。本実施形態において、下面スイッチ133は、ボタン134とボタン受け部135とを備える。ボタン134とボタン受け部135とは、上下方向に移動可能に構成されている。ボタン134は、ベース部60の下面63が平面上に載置されていない場合に、下面63から下方へ突出している。ボタン受け部135は、ボタン134の上方に、ボタン134と対向して配置されている。ボタン受け部135は、給電ユニット50の下面63が平面上に載置されてボタン134が上方に押し込まれると、ボタン134に押されて上方へ移動するように構成されている。ボタン受け部135は、ボタン134の下面がベース部60の下面63と略同一面に位置するようになると、後述する制御部66へオン信号を送信するように構成されている。給電ユニット50の下面63が平面上から移動されると、ボタン134及びボタン受け部135は下方に移動する。その結果、ボタン受け部135から制御部66へのオン信号が遮断された、オフ状態となる。つまり、下面スイッチ133は、ベース部60の下面63が平面上に載置されている場合に、ベース部60の下面63に押し込まれ、ベース部60の下面63から下方へ突出しないように構成されている。下面スイッチ133は、給電ユニット50の状態が平面上に載置された状態であるか否かを検知する機能を有する。
【0040】
図1図2、及び図4から図7に示すように、給電台部70の前方には、給電台部70から上方に突出するリブ部75が形成されている。リブ部75は、壁部80の前面81と向かい合う位置に設けられている。リブ部75は、給電台部70の外縁及びケトル本体10の外周面31に沿った形状を有する。リブ部75は、給電台部70に載置されたケトル本体10が前方へ移動することを規制する。本実施形態では、リブ部75の上下方向の上端は、給電台部70に載置されたケトル本体10のケトル把持部23の下端よりも、上方に位置する。
【0041】
次に、壁部80について説明する。本実施形態では、壁部80は、上下方向及び左右方向に沿って延びた略板状の部材である。壁部80は、給電台部70から上方に延びて形成されている。壁部80の前面81側の領域には、給電台部70が設けられている。壁部80の後面82側の領域には、取付ユニット90が設けられている。本実施形態において、壁部80は、給電台部70が設けられる領域と、取付ユニット90が設けられる領域とを、区分している。
【0042】
壁部80は、取付ユニット90が設けられた位置よりも上方に、給電ユニット50を把持するための給電ユニット把持部85を備える。給電ユニット把持部85は、壁部80を前後方向に貫通させた形状を有する。給電ユニット把持部85は、取付ユニット90と給電台部70に載置されたケトル本体10との間に設けられているともいえる。給電ユニット把持部85の上端は、給電台部70に載置されたケトル本体10よりも上方まで突出している。本実施形態において、電気ケトル1は、取付ユニット90にバッテリパック100A、100Bが取り付けられ、かつ、ケトル本体10が給電台部70に載置された状態において、ケトル本体10内の液体の量にかかわらず、電気ケトル1の重心が壁部80又は壁部80の近傍に位置するように構成されている。つまり、給電ユニット把持部85は、電気ケトル1における重心の上方に配置されている。
【0043】
図2及び図11に示すように、壁部80は、その前面81に、後方に向けて窪んだ窪み部83を有する。窪み部83は、給電台部70に載置されたケトル本体10の外周面31に沿うように形成されている。
【0044】
図8及び図15に示すように、壁部80の後面82には、表示部86が設けられている。表示部86には、バッテリパック100A、100Bの電力の残容量等の電気ケトル1の駆動情報が表示される。
【0045】
次に、図14図16を参照して、取付ユニット90に取り付けられるバッテリパック100A、100Bと、取付ユニット90とについて説明する。
【0046】
バッテリパック100A、100Bは、例えば、公称電圧が36ボルト(V)の直流電源である。バッテリパック100A、100Bは、電気ケトル1の電源として使用可能である。
【0047】
バッテリパック100A、100Bは、バッテリーパッケージや組電池と呼ばれる場合があり、所定のサイズに成形された外郭ハウジングと当該外郭ハウジング内に収容され、直列に接続された複数のリチウムイオン電池セルを有している。バッテリパック100A、100Bは、再充電可能なバッテリパックであり、外部電源として使用された後に、充電器(不図示)によって再充電することができる。バッテリパック100A、100Bは、いわゆるスライド式のバッテリパックであり、取付ユニット90や充電器に、取り外し自在な状態で取り付け可能である。バッテリパック100A、100Bは、同様の構成を有する。
【0048】
図16には、バッテリパック100Aが取付ユニット90に取付られるときの姿勢を基準として、上下方向、前後方向、左右方向が示されている。バッテリパック100A、100Bには、左右一対のレール受け部101が設けられている。一対のレール受け部101の間には、正極出力端子102と負極出力端子103とが配置されている。正極出力端子102と負極出力端子103との間には、バッテリパック100A、100Bが充電器や他の機器との間で制御信号を送受信するためのコネクタ部104が配置されている。また、バッテリパック100A、100Bの上方部には、ロック部材105が設けられている。バッテリパック100A、100Bの筐体内部であってロック部材105の下方には、バネ部材(不図示)が配置されている。当該バネ部材は、ロック部材105を上方に押し上げるように付勢している。バッテリパック100A、100Bの後面には、アンロックボタン106(例えば、図11参照)が配置されている。アンロックボタン106が下方側に押下されると、ロック部材105は下方側に移動する。
【0049】
図14及び図15に示すように、取付ユニット90は、壁部80の後面82側の領域に配置されている。本実施形態において、取付ユニット90は、壁部80の後面82の下方に設けられている。取付ユニット90には、取付部91A、91Bが2つ配置されている。2つの取付部91A、91Bは互いに同様の構成を備えている。2つの取付部91A、91Bは電気的に並列に接続されている。取付ユニット90は、バッテリパック100A、100Bを並列に接続することができる。2つのバッテリパック100A、100Bが取り付けられた取付ユニット90から供給される電力で、電気ケトル1は駆動することができる。
【0050】
取付部91A、91Bには、夫々、一対のスライドレール92が設けられている。本実施形態では、スライドレール92は、上下方向に延びて形成されている。スライドレール92には、正極入力端子93と負極入力端子94が配置されている。また、取付部91A、91Bには、バッテリパック100A、100Bのロック部材105が係合するロック受入穴95が設けられている。
【0051】
取付部91A、91Bに対してバッテリパック100A、100Bが取り付け方向にスライドされることで、レール受け部101がスライドレール92に係合して、バッテリパック100A、100Bは取付部91A、91Bに取り付けられる。本実施形態において、取付方向は、上から下に向かう方向である。バッテリパック100A、100Bが取付部91A、91Bに取り付けられると、取付部91A、91Bが有する正極入力端子93及び負極入力端子94が、バッテリパック100A、100Bが有する正極出力端子102及び負極出力端子103に電気的に接続される。また、バッテリパック100A、100Bが取付部91A、91Bに取り付けられると、ロック部材105がロック受入穴95に係合し、バッテリパック100A、100Bが上下方向に移動不能に固定されたロック状態となる。
【0052】
取付部91A、91Bに取り付けられたバッテリパック100A、100Bのアンロックボタン106が使用者によって押下されると、ロック部材105とロック受入穴95との係合が解除された状態(アンロック状態)となる。アンロック状態において、取付部91A、91Bに対してバッテリパック100A、100Bが取り外し方向にスライドされることによって、バッテリパック100A、100Bは取付部91A、91Bから取り外される。本実施形態において、取り外し方向は、下から上に向かう方向である。このように、バッテリパック100A、100Bは、取付ユニット90が有する取付部91A、91Bに、取り外し自在な状態で取り付け可能である。
【0053】
<ケトル本体の構成>
図1図2図4図10に示すように、ケトル本体10は、主として、本体ユニット20と蓋部21とで構成された外観を有する。本体ユニット20は、上部が開口した有底筒状に形成されている。蓋部21は、本体ユニット20の開口を開閉可能なように、本体ユニット20に接続されている。本体ユニット20は、側壁部30と、底部40と、液体収容部48と、を備える。
【0054】
側壁部30は、本体ユニット20の上下方向に延びる略筒状の部位である。側壁部30は、ケトル本体10の外周面31を形成する。側壁部30の上方には、液体収容部48からの液体を吐出可能な注ぎ口22が設けられている。ケトル本体10を上から見た場合に、注ぎ口22と対向する位置には、ケトル本体10を把持するためのケトル把持部23が設けられている。ケトル把持部23の端部は、側壁部30の上方及び下方に接続されている。側壁部30とケトル把持部23とは、金属又は樹脂で形成することができる。
【0055】
底部40は、側壁部30の下方に接続された部位である。底部40は、金属又は樹脂で形成することができる。図17に示すように、底部40の下面41には、受電接続部42と、一対の端子(第2通電端子132A、132B)とが設けられている。受電接続部42は、下面41の略中心部に設けられている。第2通電端子132Aと第2通電端子132Bとは、受電接続部42を中心として略対称に配置されている。受電接続部42及び第2通電端子132A、132Bについては、詳細を後述する。
【0056】
図9及び図10に示すように、底部40の下面41は、受電接続部42から径方向外側に向けて、下方に傾斜した傾斜面46を備えている。傾斜面46は、給電台部70の傾斜面74に沿った形状を有する。そのため、ケトル本体10は、給電台部70に安定して載置され得る。
【0057】
図9に示すように、液体収容部48は、側壁部30及び底部40の内側に配置されている。液体収容部48は、内部に水などの液体を溜めることのできる形状を有する。液体収容部48の内表面は、フッ素樹脂などの耐熱性樹脂でコーティングされていてもよい。液体収容部48の底面は、金属等の伝熱材料で形成されている。
【0058】
図10に示すように、底部40には、ヒータ49が内装されている。ヒータ49は、受電接続部42を介して受電し、底部40の上方に位置する液体収容部48内の液体を加熱する。
【0059】
<給電接続部、受電接続部、第1通電端子及び第2通電端子の構成>
次に、主に、図2図3、及び図18を用いて、給電接続部72、受電接続部42、第1通電端子131A、131B及び第2通電端子132A、132Bの構成について説明する。給電接続部72及び第1通電端子131A、131Bは給電台部70に設けられ、受電接続部42及び第2通電端子132A、132Bはケトル本体10に設けられている。電気ケトル1では、給電台部70にケトル本体10が載置されると、給電接続部72と受電接続部42とが接続し、かつ、第1通電端子131Aと第2通電端子132A、第1通電端子131Bと第2通電端子132Aが夫々接続するように構成されている。また、給電台部70からケトル本体10が取り外されるときには、第1通電端子131Aと第2通電端子132A、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bの接続が解除された後に、給電接続部72と受電接続部42の接続が解除されるように構成されている。
【0060】
まず、給電接続部72と受電接続部42の詳細構成について説明する。
【0061】
図2に示すように、給電接続部72は、給電台部70の上面71から上方に向けて突出するように構成されている。給電接続部72は、ケトル本体10の受電接続部42が嵌り合うように形成されている。図3に示すように、給電接続部72は、下側に下底を有する略円錐台において、該円錐台の側面72sから中心に向けて一対の切欠き(切欠き部79)が設けられた形状を有する。一対の切欠き部79の夫々には、導電性の部材である、給電接続端子73が設けられている。給電接続端子73は、前後方向に平行な略板状部位材として形成されている。また、給電接続端子73は、上面71から上方に突出し、上下方向に延在している。本実施形態では、給電接続端子73は、切欠き部79の略中央に、前後方向に平行に配置されている。
【0062】
図3に示すように、切欠き部79は、円錐台の外周面(側面72s)に接続し、前後方向に平行な一対の面79sと、一対の面79sを接続する面79cとを備える。一対の面79sは、夫々、上下方向に延在する。一対の面79sは、給電接続端子73を挟んで対向している。面79sの上端は、給電台部70の上面72uよりも下方に位置している。面79sの上端と上面72uとは、傾斜面79gによって接続されている。傾斜面79gは、給電接続端子73に向けて傾斜している。詳細は後述するが、傾斜面79gは、給電接続端子73とケトル本体10の受電接続端子45とが接続するように、ケトル本体10を周方向に移動させるためのガイド部として機能する。
【0063】
給電接続部72の側面72sは、ケトル本体10の受電接続部42の側面42s(図17参照)に沿った形状を有する。つまり、給電接続部72は、ケトル本体10の受電接続部42の側面42sを給電接続部72の側面72sに沿わせつつ、ケトル本体10を周方向に移動させることが可能に構成されている。また、給電接続部72は、ケトル本体10の受電接続部42と嵌まり合った場合に、ケトル本体10の回転を規制するように形成されている。回転を規制するとは、ケトル本体10が給電台部70に載置された状態で、周方向にほぼ移動しないことである。ほぼ移動しないとは、給電接続端子73と受電接続端子45との電気的接点を保つことが可能な範囲での移動は許容することである。給電接続部72は、ケトル本体10の受電接続部42と嵌まり合った場合に、ケトル本体10が回転不能となるように構成されているということもできる。
【0064】
図9及び図10に示すように、受電接続部42は、ケトル本体10の下面41が上方へ向けて突出した部分に設けられている。当該部分は、下側に下底を有する略円錐台状に形成されている。図17に示すように、受電接続部42は、該円錐台の側面から中心に向けて突出する一対の板状部材44を有する。一対の板状部材44の夫々には、略上下方向に延び、給電接続端子73を挿入可能な間隙が設けられている。板状部材44のうち、当該間隙を構成する一対の面44sには、夫々、導電性の部材である、受電接続端子45が設けられている。受電接続端子45は、前後方向に平行な略板状部材として形成されている。また、受電接続端子45は、上記円錐台の下底に対応する位置から上底に対応する位置まで、上下方向に延在している。受電接続端子45は、給電接続端子73を挟み込んで給電接続端子73の両側面(右側面及び左側面)に接触可能に形成されている。なお、図18では、給電接続端子73の右側面に接触する受電接続端子45が図示されており、左側面に接触する受電接続端子45は図示されていない。板状部材44が切欠き部79(図3図18参照)に嵌まり合うように、給電接続部72に対するケトル本体10の周方向の位置が調整(位置合わせ)されると、給電接続端子73と受電接続端子45とが接触し、かつ、ケトル本体10の移動が規制される。また、取付ユニット90に取り付けられたバッテリパック100A、100Bからの電力は、給電接続端子73と受電接続端子45とを介して、ケトル本体10に供給可能となる。
【0065】
以上のように、受電接続端子45は、ケトル本体10の下面41から上方に窪んだ部分に設けられ、上下方向に延在している。また、給電接続端子73は、給電台部70の上面71から上方に突出し、上下方向に延在している。更に、受電接続端子45は、給電接続端子73を挟み込むように構成されている。受電接続端子45と給電接続端子73とは、給電台部70にケトル本体10が載置されているとき、上下方向において、受電接続端子45の下端部45Bから給電接続端子73の上端73Tまでの範囲で接触している(図18参照)。
【0066】
このような構成により、給電台部70にケトル本体10が載置されている状態(図18参照)からケトル本体10が上方に移動されるとき、給電接続端子73と受電接続端子45との接続(接触)は、受電接続端子45の下端部45Bが給電接続端子73の上端73Tから離れるまで、継続する。具体的には、給電台部70にケトル本体10が載置されているときにおける、受電接続端子45の下端部45Bから給電接続端子73の上端73Tまでの上下方向の長さ(接触長L1、図18参照)よりも、ケトル本体10の上方への移動量Lmが大きくなるまで、給電接続端子73と受電接続端子45との接続が継続する。言い換えると、給電接続端子73と受電接続端子45の接続は、移動量Lmが接触長L1よりも大きくなったときに解除される。
【0067】
なお、本実施形態では、上述したように、給電接続部72の切欠き部79は、給電接続部72の上面72uから給電接続端子73に向けて下方に傾斜する傾斜面79gを備える(図3参照)。そのため、ケトル本体10の板状部材44が傾斜面79g上に位置する場合には、ケトル本体10は自重によって傾斜面79gに沿って下方に移動し、板状部材44は切欠き部79に嵌まり合う。つまり、本実施形態の電気ケトル1では、周方向において、切欠き部79上あるいは傾斜面79g上に板状部材44が配置されれば、ケトル本体10の給電ユニット50に対する位置合わせが完了する。なお、傾斜面79g上に板状部材44が配置されていなくとも、使用者がケトル本体10を周方向に移動させて板状部材44が傾斜面79g上に移動すれば、ケトル本体10は自重によって傾斜面79gに沿って下方に移動するので、位置合わせが完了する。
【0068】
次に、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの詳細構成について説明する。
【0069】
図9図10及び図18に示すように、第1通電端子131A、131Bは、給電台部70の上面71に、給電接続部72を中心として略対称に設けられている。第1通電端子131A、131Bの上端面は、上下方向において、給電台部70の上面71から僅かに突出している。第1通電端子131A、131Bの上端は、給電接続端子73の上端73Tよりも下方に位置する。第2通電端子132A、132Bは、ケトル本体10の下面41に、受電接続部42を中心として略対称に設けられている。本実施形態では、第2通電端子132A、132Bの下端は、ケトル本体10の下面41と、上下方向において略同じ位置にある。他の実施形態では、第1通電端子131A、131Bの上端は、給電台部70の上面71から突出していなくともよいし、第2通電端子132A、132Bの上端は、ケトル本体10の下面41から突出していてもよい。
【0070】
第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとは、ケトル本体10が給電台部70に載置された場合に(給電接続部72と受電接続部42とが嵌まり合った場合に)、互いに接続(接触)するように配置されている。詳細には、第1通電端子131Aと第2通電端子132Aとが接触し、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bとが接触するように配置されている。図9に示すように、本実施形態では、液体収容部48の下方には、温度センサTcが設けられており、第1通電端子131Aと第2通電端子132Aとが接触し、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bとが接触すると、温度センサTcの回路が形成される。つまり、電気ケトル1では、給電台部70にケトル本体10が載置されると、第1通電端子131Aと第2通電端子132A、及び、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bが接触し、その結果、液体収容部48内の液体の温度が計測可能となる。そのため、第1通電端子131A、131B、第2通電端子132A、132B、温度センサTcは、給電ユニット50にケトル本体10が載置されているか否かを検知する検知部(以下、検知部130)としても機能する。温度センサTcの計測結果は、後述する制御部66に送信される。なお、温度センサTcの回路を流れる電流は、微弱電流である。
【0071】
第2通電端子132A、132Bの説明に戻る。図18に示すように、本実施形態の第2通電端子132A、132Bには、バネ301が設けられている。本実施形態では、バネ301は、圧縮コイルバネである。バネ301は、第2通電端子132A、132Bの上部に配置され、かつ、上下方向に伸縮するようにケトル本体10に支持されている。そのため、第2通電端子132A、132Bの下端は、バネ301の上下方向の長さの変化長L2(ストローク)分だけ、下方から上方へ押し込み可能である。したがって、ケトル本体10が給電台部70に載置されるとき、第2通電端子132A、132Bは第1通電端子131A、131Bによって上方に押し込まれる。このとき、バネ301は、第2通電端子132A、132Bを第1通電端子131A、131Bに対して付勢する。なお、バネ301の変化長L2は、給電接続端子73と受電接続端子45の接触長L1よりも小さい(図18参照)。
【0072】
ケトル本体10が給電台部70に載置されて、ケトル本体10の下面41が給電台部70の上面71に接触すると、第1通電端子131A、131Bの上端と第2通電端子132A、132Bの下端とが接触する。このとき、第1通電端子131A、131Bの上端は、バネ301の付勢力に逆らって、第2通電端子132A、132Bの下端を上方へ押し込む。給電台部70にケトル本体10が載置されている状態(図18参照)からケトル本体10が上方に移動されるときには、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接触は、バネ301が荷重を受けていないときの長さ(自由長、自由高さ)に戻るまで、継続する。具体的には、バネ301の変化長L2よりも、ケトル本体10の上方への移動量Lmが大きくなるまで、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの接続が継続する。言い換えると、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの接続は、ケトル本体10の上方への移動量Lmが変化長L2よりも大きくなったときに解除される。なお、バネ301の変化長L2は、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接触が継続する長さに対応するので、変化長L2を、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接触長L2ということもできる。
【0073】
以上で説明した給電接続部72、受電接続部42、第1通電端子131A、131B、第2通電端子132A、132Bの構成により、給電台部70がケトル本体10から上方に移動されるときには、ケトル本体10の上方への移動量Lmが、バネ301の変化長L2よりも大きくなると、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの接続が解除される。さらに、ケトル本体10が上方に移動されて、移動量Lmが、給電接続端子73と受電接続端子45の接触長L1よりも大きくなると、給電接続部72と受電接続部42の接続が解除される。
【0074】
<電気ケトルにおける電力供給制御>
次に、電気ケトル1における電力供給制御について説明する。図19に示すように、本実施形態の給電ユニット50は、制御装置65を備えている。制御装置65は、CPUと、メモリと、インターフェースとを備えるマイクロコンピュータとして構成された制御部66と、切替部200とを備える。制御部66は、上述の各部の検知結果を用いて電気ケトル1全体を制御する。
【0075】
制御部66は、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとが接触して温度センサTcの回路が構成されると、温度センサTcの計測結果を取得するように構成されている。制御部66により温度センサTcの計測結果が取得されることは、給電台部70にケトル本体10が載置されていることを意味する。また、制御部66により温度センサTcの計測結果が取得されないことは、給電台部70にケトル本体10が載置されていないことを意味する。
【0076】
制御部66は、温度センサTcの計測結果(つまり、検知部130の検知結果)を用いて、ヒータ49への電力の供給を制御する。本実施形態では、制御部66は、温度センサTcの計測結果を取得可能な場合、給電接続部72及び受電接続部42を介して、ヒータ49へ電力を供給する。また、制御部66は、温度センサTcの計測結果を取得不能な場合、給電接続部72及び受電接続部42を介した、ヒータ49への電力供給を停止する。そのため、給電台部70に載置されていたケトル本体10が、給電台部70から取り外されるとき、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの接続(接触)が解除された時点(つまり、温度センサTcの計測結果を取得不能になった時点)で、給電接続部72と受電接続部42を介したヒータ49への電力の供給が停止される。
【0077】
上述したように、本実施形態の電気ケトル1では、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接続が解除された後に、給電接続部72と受電接続部42との接続が解除されるように構成されている。また、第2通電端子132A、132Bに設けられたバネ301の変化長L2は、給電接続端子73と受電接続端子45との接触長L1よりも小さく構成されている。そのため、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接続状態と、給電接続部72と受電接続部42との接続状態と、制御部66による電力の供給状態とは、電気ケトル1が給電台部70から取り外されるとき、以下の(i)~(iii)の順に変化する。
【0078】
(i)ケトル本体の上方への移動量Lmが、0以上、かつ、バネ301の変化長L2以下(0≦Lm≦L2):
給電接続端子73と受電接続端子45とは接触している。第1通電端子131A、131Bの上端と第2通電端子132A、132Bの下端とが接触しており、温度センサTcは液体の温度を計測可能である。そのため、制御部66は、給電接続部72(給電接続端子73)と受電接続部42(受電接続端子45)を介してヒータ49へ電力を供給する。
【0079】
(ii)ケトル本体10の上方への移動量Lmが、バネ301の変化長L2よりも大きく、給電接続端子73と受電接続端子45の接触長L1以下(L2<Lm≦L1):
第1通電端子131A、131Bの上端と第2通電端子132A、132Bの下端とが離間し、温度センサTcは液体の温度を計測不能である。そのため、制御部66は、受電接続部42と給電接続部72とを介したヒータ49への電力の供給を停止する。なお、給電接続端子73と受電接続端子45との接触は継続している。
【0080】
(iii)ケトル本体10の上方への移動量Lmが、給電接続端子73と受電接続端子45の接触長L1よりも大きい(L1<Lm):
給電接続端子73と受電接続端子45との接続が解除される。なお、上記(ii)と同様に、第1通電端子131A、131Bの上端と第2通電端子132A、132Bの下端とは離間しており、温度センサTcは液体の温度を計測不能である。また、制御部66は、受電接続部42と給電接続部72とを介したヒータ49への電力の供給を停止している。
【0081】
以上の構成により、電気ケトル1では、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bの接続が解除されて(つまり、検知部130によってケトル本体10が給電台部70に載置されていないことが検知されて)、給電接続部72と受電接続部42を介したヒータ49への電力の供給が停止され、その後、給電接続部72と受電接続部42の接続が解除される。言い換えると、ヒータ49への電力の供給停止は、給電接続部72と受電接続部42の接続が解除される前に実行される。
【0082】
制御部66の説明に戻る。制御部66は、メインスイッチS1がオンされているとき、使用者に対し、電気ケトル1の駆動情報を報知するように構成されている。本実施形態では、駆動情報は、給電台部70にケトル本体10が載置されていないことを含む。なお、メインスイッチS1は、オンである場合に点灯するライトを備えている。また、給電ユニット50は、音声を出力可能な音声出力部141を内装している。制御部66は、給電台部70にケトル本体10が載置されていない場合に、メインスイッチS1の備えるライトを点滅させたり、音声出力部141から警告音を出力させたりして、駆動情報を報知する。
【0083】
制御部66は、メインスイッチS1がオンされ、給電台部70からケトル本体10が取り外された場合には、メインスイッチS1をオンにしたまま、ヒータ49への電力供給を停止するように構成されている。そして、当該停止から予め定められた期間内に再び給電台部70にケトル本体10が載置された場合には、制御部66は、ヒータ49への電力供給を再開するように構成されている。さらに、制御部66は、メインスイッチS1をオンにした状態でヒータ49への電力供給を停止してから、予め定められた期間が経過しても、給電台部70にケトル本体10が載置されない場合には、メインスイッチS1をオフにするように構成されている。予め定められた期間は、例えば、1秒から5秒の間のいずれかの期間である。このような構成により、電気ケトル1では、ヒータ49への電力供給中に、比較的短い期間、使用者がケトル本体10を給電台部70から取り外したり、意図せずケトル本体10が傾いたりしても、メインスイッチS1はオフされない。そのため、使用者の利便性を向上させることができる。なお、当該予め定められた期間において、制御部66は、メインスイッチS1や音声出力部141に、駆動情報を報知させてもよい。このようにすれば、使用者に対し、給電台部70にケトル本体10を載置することを促すことができる。
【0084】
次に、図19及び図20を用いて、切替部200について説明する。切替部200は、ヒータ49に電力を供給するためのバッテリパックを、バッテリパック100Aとバッテリパック100Bとで切り替えるように構成されている。
【0085】
図20を用いて、切替部200の回路構成について説明する。切替部200は、主に、第1電源部211と、第1昇圧回路212と、第1FETドライブ回路213と、第1電圧検出回路214と、第2電源部221と、第2昇圧回路222と、第2FETドライブ回路223と、第2電圧検出回路224と、チェック用電源230とを備える。第1昇圧回路212、第2昇圧回路222は、チャージポンプとも呼ばれる。切替部200は、更に、スイッチング素子Q1~Q4を備える。スイッチング素子Q1~Q4は、FET(Field Effect Transistor)である。
【0086】
第1電源部211は、一定電圧(V=15V)を生成するように構成された回路である。第1昇圧回路212は、制御部66からのパルスの入力により、取付部91Aに取り付けられたバッテリパック100Aの電圧を昇圧するように構成された回路である。第1昇圧回路212により昇圧された電圧((VBAT1+V)ボルト)は、第1FETドライブ回路213に加えられる。
【0087】
第1FETドライブ回路213は、スイッチング素子Q1、Q2を駆動制御する回路である。第1FETドライブ回路213は、スイッチング素子Q1、Q2をオン・オフ制御することにより、バッテリパック100Aから給電接続部72を介したヒータ49への通電を制御する。
【0088】
第1電圧検出回路214は、スイッチング素子Q1、Q2間の電圧を検出するように構成された回路である。第1電圧検出回路214は、検出電圧が高電圧である場合にはロー出力状態となり、検出電圧が低電圧である場合にはハイ出力状態となるように構成されている。第1電圧検出回路214の検出結果は、制御部66と、第2FETドライブ回路223とに出力される。なお、本実施形態において、高電圧とは約30ボルト以上、約42ボルト以下の電圧であり、低電圧とは約0ボルトである。
【0089】
図20に示すように、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、直列接続されており、夫々、ダイオードを備えている。スイッチング素子Q1のダイオードと、スイッチング素子Q2のダイオードとは、バッテリパック100Aからの放電と、バッテリパック100Bからの電流の逆流とを防止するように、互いに逆向きに設けられている。
【0090】
同様に、第2電源部221は、一定電圧(V=15V)を生成するように構成された回路である。第2昇圧回路222は、制御部66の指示により、取付部91Bに取り付けられたバッテリパック100Bの電圧を昇圧するように構成された回路である。第2昇圧回路222により昇圧された電圧((VBAT2+V)ボルト)は、第2FETドライブ回路223に加えられる。
【0091】
第2FETドライブ回路223は、スイッチング素子Q3、Q4を駆動制御する回路である。第2FETドライブ回路223は、スイッチング素子Q3、Q4をオン・オフ制御することにより、バッテリパック100Bから給電接続部72、受電接続部42を介したヒータ49への通電を制御する。
【0092】
第2電圧検出回路224は、スイッチング素子Q3、Q4間の電圧を検出するように構成された回路である。第2電圧検出回路224は、検出電圧が高電圧である場合にはロー出力状態となり、検出電圧が低電圧である場合にはハイ出力状態となるように構成されている。第2電圧検出回路224の検出結果は、制御部66と、第1FETドライブ回路213とに出力される。
【0093】
第1FETドライブ回路213と、第2FETドライブ回路223との動作について説明する。第1FETドライブ回路213は、第2電圧検出回路224がロー出力状態である場合に(つまり、スイッチング素子Q3、Q4間の電圧が高電圧である場合に)、スイッチング素子Q1、Q2をオフするように構成されている。更に、第1FETドライブ回路213は、第2電圧検出回路224がハイ出力状態である場合に(つまり、スイッチング素子Q3、Q4間の電圧が低電圧である場合に)、スイッチング素子Q1、Q2をオンするように構成されている。また、第2FETドライブ回路223は、第1電圧検出回路214がロー出力状態である場合に(つまり、スイッチング素子Q1、Q2間の電圧が高電圧である場合に)、スイッチング素子Q3、Q4をオフするように構成されている。更に、第2FETドライブ回路223は、第1電圧検出回路214がハイ出力状態である場合に(つまり、スイッチング素子Q1、Q2間の電圧が低電圧である場合に)、スイッチング素子Q3、Q4をオンするように構成されている。このような構成により、切替部200は、ヒータ49に電力を供給するバッテリパックを、バッテリパック100Aとバッテリパック100Bとで切り替えることができる。
【0094】
本実施形態では、更に、切替部200は、スイッチング素子Q1~Q4の異常(短絡)を検出可能に構成されている。上述したように、バッテリパック100Aからヒータ49に電力を供給しているとき、スイッチング素子Q1、Q2はオンであり、スイッチング素子Q3、Q4はオフである。このとき、スイッチング素子Q3、Q4に異常が発生していなければ、スイッチング素子Q3とQ4との間の電圧は低電圧となり、第2電圧検出回路224はハイ出力状態となる。一方、バッテリパック100Aからヒータ49に電力を供給しているとき、スイッチング素子Q3、Q4が短絡していると、スイッチング素子Q3とQ4との間の電圧は高電圧となり、第2電圧検出回路224はロー出力状態となる。言い換えると、バッテリパック100Aからヒータ49に電力を供給しているとき、第2電圧検出回路224から制御部66にロー出力がされる場合には、スイッチング素子Q3またはQ4が短絡している可能性がある(第1状態)。
【0095】
同様に、バッテリパック100Bからヒータ49に電力を供給しているとき、スイッチング素子Q3、Q4はオンであり、スイッチング素子Q1、Q2はオフである。このとき、Q1、Q2に異常が発生していなければ、スイッチング素子Q1とQ2との間の電圧は低電圧となり、第1電圧検出回路214はハイ出力状態となる。一方、バッテリパック100Bからヒータ49に電力を供給しているとき、Q1、Q2が短絡していると、Q1とQ2との間の電圧は高電圧となり、第1電圧検出回路214はロー出力状態となる。言い換えると、バッテリパック100Bからヒータ49に電力を供給しているとき、第1電圧検出回路214から制御部66にロー出力がされる場合には、スイッチング素子Q1またはQ2が短絡している可能性がある(第2状態)。
【0096】
本実施形態では、制御部66は、上記第1状態の場合には、第1昇圧回路212にスイッチング素子Q1、Q2をオフさせて、バッテリパック100Aからヒータ49への電力供給を停止する。同様に、制御部66は、上記第2状態の場合には、第2昇圧回路222にスイッチング素子Q3、Q4をオフさせて、バッテリパック100Bからヒータ49への電力供給を停止する。このようにすることで、スイッチング素子Q1~Q4のいずれかが故障している状態で電気ケトル1が動作することを防止できる。
【0097】
本実施形態では、切替部200は、バッテリパック100A又はバッテリパック100Bからヒータ49へ電力を供給していないときにも、スイッチング素子Q2、Q4の異常を検知可能である。チェック用電源230は、スイッチング素子Q1~Q4がオフである場合に、スイッチング素子Q2、Q4に電圧を印加するための電源である。スイッチング素子Q1~Q4がオフのとき、スイッチング素子Q2、Q4に電圧を印加して、第1電圧検出回路214、第2電圧検出回路224から異常値(ロー出力)がされる場合には、スイッチング素子Q2、Q4が故障している可能性がある。そのため、制御部66は、チェック用電源230による電圧印加時に、第1電圧検出回路214、第2電圧検出回路224からロー出力がされた場合には、以降のバッテリパック100A、100Bからヒータ49への供給を停止する。
【0098】
以上で説明したように、本実施形態の電気ケトル1では、ヒータ49へ電力を供給するバッテリパックを、バッテリパック100Aとバッテリパック100Bとで切り替えることができる。また、バッテリパック100Aからバッテリパック100Bへ、及び、バッテリパック100Bからバッテリパック100Aへ電流が逆流することを防止することができる。更に、スイッチング素子Q1~Q4の異常を検出して、異常が検出された場合には、ヒータ49への電力の供給を停止することができる。
【0099】
なお、スイッチング素子Q1~Q4の異常が検出された場合には、制御部66は、メインスイッチS1や、音声出力部141や、表示部86を用いて、スイッチング素子Q1~Q4の異常が発生していることを報知してもよい。
【0100】
<効果>
以上で説明した本実施形態の電気ケトル1は、以下の効果を奏する。
【0101】
電気ケトル1は、検知部130によってケトル本体10が給電台部70に載置されていることが検知された場合に、給電接続部72と受電接続部42を介してヒータ49へ電力を供給するように構成されている。また、電気ケトル1は、検知部130によってケトル本体10が給電台部70に載置されていないことが検知された場合に、給電接続部72と受電接続部42を介したヒータ49への電力供給を停止するように構成されている。また、電気ケトル1では、給電接続部72と受電接続部42との接続は、検知部130によってケトル本体10が給電台部70に載置されていないことが検知された後に、解除されるように構成されている。そのため、給電接続部72と受電接続部42との接続が、ケトル本体10が給電台部70に載置されていないことが検知される前や検知された時に解除される構成と比較して、給電接続部72と受電接続部42との間に火花(アーク)が発生することを抑制できる。したがって、給電接続部72と受電接続部42の耐久性を向上させることができ、その結果、電気ケトル1の耐久性を向上させることができる。
【0102】
また、電気ケトル1は、バッテリパック100A、100Bからの電力を、給電接続部72と受電接続部42とを介してヒータ49へ供給するように構成されている。直流電源を用いる場合には、電流の流れる方向が一定であるため、アークの継続時間が長くなり、電気的な接点が消耗しやすい。しかし、本実施形態の電気ケトル1では、給電接続部72と受電接続部42との接続は、検知部130によってケトル本体10が給電台部70に載置されていないことが検知された後に、解除されるように構成されているので、直流電源を使用しつつ、給電接続部72と受電接続部42の耐久性を向上させることができる。
【0103】
また、制御部66は、給電台部70にケトル本体10が載置されていないことが検知された場合には、ヒータ49への電力供給を実行しないので、給電接続端子73が露出した状態では、ヒータ49への電力供給が行われない。したがって、使用者が給電接続端子73に不意に触れたり、給電接続端子73に水などの液体が落下した場合における、電気ケトル1の安全性を担保することができる。
【0104】
また、電気ケトル1は、給電台部70に設けられた第1通電端子131A、131Bと、ケトル本体10に設けられた第2通電端子132A、132Bとを備えている。そのため、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとが接触しているか否か(通電可能か否か)により、ケトル本体10が給電台部70に載置されていることを検知することができる。
【0105】
また、電気ケトル1は、第1通電端子131Aと第2通電端子132A、及び、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bが接触している場合(載置条件が成立している場合)にはケトル本体10が給電台部70に載置されており、いずれか一方が接触していない場合(載置条件が成立しない場合)にはケトル本体10が給電台部70に載置されていないと検知することができる。そのため、給電台部70に1つの第1通電端子が設けられ、ケトル本体10に1つの第2通電端子が設けられて、第1通電端子と第2通電端子とが接触しているか否かによりケトル本体10が給電台部70に載置されているか否かを検知する構成と比較して、給電台部70に対するケトル本体10の載置状態を、より精度よく検知することができる。
【0106】
第1通電端子131Aと第1通電端子131Bは、給電接続部72を中心として対称に配置され、第2通電端子132Aと第2通電端子132Bとは、受電接続部42を中心として対称に配置されている。そのため、給電台部70に対してケトル本体10が傾いた場合には、第1通電端子131Aと第2通電端子132A、及び、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bの少なくとも一方が非接触になりやすい。したがって、給電台部70に対するケトル本体10の載置状態を、いっそう精度よく検知することができる。
【0107】
また、電気ケトル1では、第1通電端子131Aと第2通電端子132Aが接触し、第1通電端子131Bと第2通電端子132Bが接触することで温度センサTcの回路が形成されるように構成されている。そのため、検知部130に、給電台部70にケトル本体10が載置されているか否かを検知する機能と、液体収容部48内の温度を計測する機能とを発揮させることができる。また、温度センサTcの計測結果が得られる場合にケトル本体10が給電台部70に載置されており、温度センサTcの計測結果が得られない場合にケトル本体10が給電台部70に載置されていないと判断することができる。
【0108】
第2通電端子132A、132Bは、上下方向に収縮可能なバネ301を備えている。そのため、第1通電端子131A、131Bと、第2通電端子132A、132Bとの少なくとも1つに上下方向の寸法誤差等があっても、第1通電端子131A、131Bと第2通電端子132A、132Bとの接触を担保できる。
【0109】
また、バネ301はケトル本体10に設けられた第2通電端子132A、132Bの上部に設けられるので、ケトル本体10内の液体が意図せずバネ301に付着することを抑制できる。そのため、液体の付着によってバネ301が劣化することを抑制できる。
【0110】
本実施形態では、受電接続端子45は、ケトル本体10の下面41から上方に窪んだ部分に設けられ、上下方向に延在している。また、給電接続端子73は、給電台部70の上面71から上方に突出し、上下方向に延在している。そのため、給電接続端子73と受電接続端子45の接触領域を、上下方向に延在させることができる。また、受電接続端子45は、給電接続端子73を挟み込むように構成されている。そのため、給電接続端子73と受電接続端子45との接触面積を大きくできるので、給電接続部72から受電接続部42への電力の供給をより安定させることができる。なお、受電接続端子45が給電接続端子73を挟み込んで接触面積を大きく確保する本構成は、直流電流が流れる場合により有用である。
【0111】
また、受電接続端子45と給電接続端子73とは、給電台部70にケトル本体10が載置されているとき、上下方向において、受電接続端子45の下端部45Bから給電接続端子73の上端73Tまでの範囲内(接触長L1)で接触しており、接触長L1は、バネ301の変化長L2よりも大きい。そのため、ケトル本体10の上方への移動量Lmが変化長L2よりも大きくなった時に第1通電端子131A、131Bと、第2通電端子132A、132Bの接続が解除され、給電接続端子73から受電接続端子45への通電が停止された後、移動量Lmが接触長L2よりも大きくなった時に給電接続端子73と受電接続端子45の接続が解除されるように、電気ケトル1を構成することができる。
【0112】
また、給電ユニット50は、バッテリパック100A、100Bを取り付けるための取付ユニット90を備えるので、ケトル本体10にバッテリパック100A、100Bが取り付けられる場合と比較して、ケトル本体10を容易に取り扱うことができる。また、給電ユニット50にバッテリパック100A、100Bが取り付けられるので、使用者は、所望の場所で電気ケトル1を使用することができる。そのため、電気ケトル1の使用環境の自由度を高めることができる。
【0113】
給電ユニット50は、給電台部70から上方に延び、使用者に把持されるための給電ユニット把持部85を備える。そのため、使用者は、給電ユニット把持部85を把持して給電ユニット50を持ち運んだり、ケトル本体10と給電ユニット50とを一体に持ち運んだりすることができる。したがって、使用者にとって利便性の高い電気ケトル1を提供することができる。
【0114】
ケトル本体10が載置される給電台部70は、壁部80(給電ユニット把持部85)の一方の面(前面81)側の領域に配置され、バッテリパック100A、100Bを取り付けるための取付ユニット90は、壁部80の他方の面(後面82)側の領域に配置される。そのため、電気ケトル1に用いられる液体が取付ユニット90に付着することを抑制できる。したがって、電気ケトル1の安全性や耐久性を向上させることができる。加えて、使用者が、給電台部70にケトル本体10を載置したまま、ケトル本体10の蓋部21を開けてケトル本体10に液体を入れる場合にも、液体が取付ユニット90やバッテリパック100A、100Bに付着することを抑制できる。そのため、電気ケトル1の安全性や耐久性を向上させることと、電気ケトル1の取り扱いの自由度を向上させることとを実現できる。
【0115】
取付ユニット90は、バッテリパック100A、100Bが上下方向にスライドすることによって着脱することができる、上下方向に延びたスライドレール92を備える。そのため、スライドレール92にケトル本体10の液体が付着した場合であっても、当該液体は下方に落下しやすい。したがって、電気ケトル1の安全性や耐久性をより向上させることができる。
【0116】
給電ユニット把持部85は、壁部80における取付ユニット90よりも上方の位置に配置される。そのため、壁部80の後面82にバッテリパック100A、100Bが取り付けられ、かつ、壁部80の前面81側の給電台部70にケトル本体10が載置された状態で、電気ケトル1の姿勢が安定する。したがって、使用者が持ち運ぶ際に、電気ケトル1が傾くことを抑制することができる。その結果、より持ち運びやすい電気ケトル1を提供することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、電気ケトル1は、取付ユニット90にバッテリパック100A、100Bが取り付けられ、かつ、ケトル本体10が給電ユニット50に載置された状態において、ケトル本体10内の液体の量にかかわらず、電気ケトル1の重心が壁部80又は壁部80の近傍に位置するように構成されている。つまり、給電ユニット把持部85は、使用時の電気ケトル1における重心の上方に配置されている。そのため、よりいっそう持ち運びやすい電気ケトル1を提供することができる。
【0118】
給電ユニット50は、壁部80の前面81と向かい合う位置に設けられ、給電台部70から上方に突出したリブ部75を備える。そのため、電気ケトル1を持ち運ぶ際に、電気ケトル1が給電台部70からずれることを抑制することができる。したがって、この構成によれば、より持ち運びやすい電気ケトル1を提供することができる。
【0119】
給電台部70には、給電台部70を上下方向に貫通する貫通孔77が形成されている。そのため、給電台部70に液体が付着した場合であっても、貫通孔77から当該液体を排出することができる。したがって、給電台部70に液体が溜まることを抑制することができる。その結果、電気ケトル1の安全性や耐久性をいっそう向上させることができる。
【0120】
給電台部70は、上面71の中心部から給電台部70の外側に向けて下方に傾斜する傾斜面74を備える。そのため、給電台部70に液体が付着した場合であっても、当該液体を外側に向けて流すことができる。また、貫通孔77は、給電台部70の中心部よりも外側に近い位置に配置される。そのため、外側に向けて流れる液体は、外側に近い位置に配置された貫通孔77から排出される。したがって、給電台部70に液体が溜まることをより抑制することができる。その結果、電気ケトル1の安全性や耐久性をよりいっそう向上させることができる。
【0121】
給電ユニット50の備える壁部80は、前面81に、壁部80の前面81側から後面82側に向けて窪んだ窪み部83を備える。この窪み部83は、ケトル本体10の側壁部30の外周面31に沿うように形成されている。そのため、使用者は、窪み部83に沿わせながら、ケトル本体10を給電台部70に載置することができる。したがって、ケトル本体10を適切な位置に載置することができる。
【0122】
ケトル本体10の受電接続部42と給電台部70の給電接続部72とは、ケトル本体10が給電台部70に載置された場合に互いに篏合するように形成されている。受電接続部42と給電接続部72とは、互いに篏合した場合に、給電台部70上でのケトル本体10の回転が規制されるように形成されている。そのため、給電ユニット50からケトル本体10へ、安定して電力を供給することができる。
【0123】
リブ部75の上下方向の上端は、給電台部70に載置されたケトル本体10のケトル把持部23の下端よりも、上方に位置する。そのため、使用者は、前後方向においてリブ部75と壁部80との間にケトル把持部23が位置するように、ケトル本体10を給電ユニット50に載置し得る。また、本実施形態では、受電接続部42及び給電接続部72は、ケトル把持部23が前後方向においてリブ部75と壁部80との間に位置した範囲内において、互いに嵌まり合うように形成されている。そのため、リブ部75は、壁部80と協働して、さらに、ケトル本体10を給電台部70に適切に載置するための位置決め機能を発揮する。その結果、使用者は、簡易に、ケトル本体10を適切な位置へ載置することができる。
【0124】
<第2実施形態>
図21を用いて、第2実施形態に係る給電接続部72C、受電接続部42C、及び、検知部130について説明する。図21では、給電接続部72C、受電接続部42C、検知部130を模式化して示している。本実施形態では、第1実施形態と異なり、給電接続部72Cと受電接続部42Cとは、給電接続端子73Cの上端と受電接続端子45Cの下端とが接触するように構成されている。また、受電接続端子45Cの上部にはバネ302Cが設けられている。バネ302Cは、上下方向に伸縮するようにケトル本体10に支持されている。バネ302Cは、上下方向の長さの変化長L1Cが、第2通電端子132の上部に設けられたバネ301の変化長L2よりも大きくなるように構成されている。図21の(a1)は、ケトル本体10が給電台部70に載置されている状態を示し、(b1)は、ケトル本体10が上方へ移動されてバネ301に荷重がかかっていない状態(バネ301が自由長に戻った状態)を示す。(c1)は、ケトル本体10が(b1)よりも更に上方へ移動されてバネ302Cに荷重がかかっていない状態(バネ302Cが自由長に戻った状態)を示し、(d1)は、ケトル本体10が(c1)よりも更に上方へ移動された状態を示している。以下の説明では、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を使用し、説明を省略する。
【0125】
給電台部70に載置されたケトル本体10が(図21(a1)参照)、給電台部70から上方に移動されるときには、ケトル本体の移動量Lmがバネ301の変化長L2以下のときには、図21の(b1)に示すように、第1通電端子131と第2通電端子132の接触が継続する。そして、図21の(c1)に示すように、ケトル本体10の上方への移動量Lmが、バネ301の変化長L2よりも大きくなると、第1通電端子131と第2通電端子132の接続が解除される。さらに、図21の(d1)に示すように、ケトル本体10が上方に移動されて、移動量Lmが、受電接続端子45Cの上部のバネ302Cの変化長L1Cよりも大きくなると、給電接続部72Cと受電接続部42Cの接続が解除される。なお、第2実施形態の電気ケトル1における他の構成は、上述の第1実施形態と同様であるため説明及び図示を省略する。
【0126】
第2実施形態においても、第1通電端子131と第2通電端子132の接続が解除された後に、給電接続部72Cと受電接続部42Cとの接続が解除されるので、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0127】
<第3実施形態>
図22を用いて、第3実施形態に係る給電接続部72C、受電接続部42C、検知部130Dについて説明する。第2実施形態と同様に、図22では、給電接続部72C、受電接続部42C、検知部130Dを模式化して示している。本実施形態では、第2通電端子132Dの上下方向の長さは、受電接続端子45Cの上部に設けられたバネ302Cの上端から受電接続端子上下方向の長さと略等しい。第2通電端子132Dの上部には、バネが設けられていない。図22の(a2)は、ケトル本体10が給電台部70に載置されている状態を示し、(b2)は、ケトル本体10が上方へ移動されてバネ302Cに荷重がかかっていない状態(バネ302Cが自由長に戻った状態)を示し、(c2)は、ケトル本体10が(b2)よりも更に上方へ移動された状態を示している。
【0128】
本実施形態では、給電台部70に載置されたケトル本体10が、給電台部70から上方に移動されると、第1通電端子131と第2通電端子132Dとの接続が解除される(図22(b2)参照)。そして、図22(c2)に示すように、ケトル本体10が上方に移動されて、移動量Lmが、受電接続端子45Cの上部のバネ302Cの変化長L1Dよりも大きくなると、給電接続部72Cと受電接続部42Cの接続が解除される。なお、第3実施形態の電気ケトル1における他の構成は、上述の第1実施形態と同様であるため説明及び図示を省略する。
【0129】
第3実施形態においても、第1通電端子131と第2通電端子132Dのお接続が解除された後に、給電接続部72Cと受電接続部42Cとの接続が解除されるので、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0130】
<対応関係>
上記実施形態の各構成要素と本開示の技術の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本開示の各構成要素を限定するものではない。
【0131】
電気ケトル1は、「電気ケトル」の一例である。
バッテリパック100A、100Bは、「バッテリパック」の一例である。
受電接続部42、42Cは、「受電接続部」の一例である。
ヒータ49は、「加熱部」の一例である。
ケトル本体10は、「ケトル本体」の一例である。
給電ユニット50は、「給電ユニット」の一例である。
給電台部70、上面71は、夫々、「給電台部」、「上面」の一例である。
給電接続部72、72Cは、「給電接続部」の一例である。
取付ユニット90、取付部91A、91Bは、「取付ユニット」の一例である。
検知部130、130Dは、「検知部」の一例である。
第1通電端子131A、131B、131は、「第1検知部」の一例である。
第2通電端子132A、132B、132、132Dは、「第2検知部」の一例である。
第1通電端子131A、131Bは「第3検知部」、「第4検知部」の一例である。
第2通電端子132A、132Bは「第5検知部」、「第6検知部」の一例である。
液体収容部48は、「液体収容部」の一例である。
温度センサTcは、「温度センサ」の一例である。
バネ301は、「第1バネ」の一例である。
バネ302Cは、「第2バネ」の一例である。
変化長L2は、「第1バネの上下方向の変化長」の一例である。
変化長L1Cは、「第2バネの上下方向の変化長」の一例である。
給電接続端子73、73Cは、「給電接続端子」の一例である。
受電接続端子45、45Cは、「受電接続端子」の一例である

【0132】
<他の実施形態>
上記実施形態では、制御部66は、メインスイッチS1がオンされ、給電台部70にケトル本体10が載置されていることが検知された場合に、ヒータ49へ電力を供給し、ケトル本体10が載置されていないことが検知された場合に、ヒータ49への電力の供給を停止していた。これに対し、制御部66は、給電台部70にケトル本体10が載置されていることに加え、更に、下面スイッチ133がオンされたことと、バッテリパック100A、100Bの電力の残容量が予め定められた残容量以上であることと、の少なくとも一方が満たされた場合に、ヒータ49へ電力を供給してもよい。なお、バッテリパック100A、100Bの電力の予め定められた残容量は、ケトル本体10内部の所定の量の水(液体)を沸騰させることが可能な容量であってもよい。また、制御部66は、給電台部70にケトル本体10が載置されていないことと、下面スイッチ133がオフされたことと、の少なくとも一方が満たされた場合に、ヒータ49への電力供給を停止してもよい。
【0133】
制御部66は、給電台部70にケトル本体10が載置されていないことに加え、給電ユニット50が平面上に載置されていないことや、バッテリパック100A、100Bの電力の残容量が予め定められた容量より少ないことを、メインスイッチS1や、音声出力部141や、表示部86を用いて報知するように構成されていてもよい。なお、制御部66は、駆動情報の内容によって、メインスイッチS1のライトの色や点滅時間や、警告音の長さや、表示部86へ表示する図(マーク)や、これらの組み合わせを変更してもよい。
【0134】
制御装置65は、予め定められた設定温度を取得し、当該設定温度まで上昇させることのできる液体の量を算出可能に構成されていもよい。設定温度は、例えば、給電ユニット50に設けられた温度設定部67(図19参照)を用いて、使用者が設定可能であってもよい。この場合には、例えば、制御装置65は、ケトル本体10に収容される液体の量と液体を設定温度まで上昇させるために必要な電力との予め定められた関係を記憶しており、制御部66は、取付ユニット90を介して取得したバッテリパック100A、100Bの電力の残容量と、上記関係とを用いて、設定温度まで上昇させることのできる液体の量を算出してもよい。更に、制御部66は、算出された液体の量を、メインスイッチS1や、音声出力部141や、表示部86を用いて報知するように構成されていてもよい。この構成によれば、使用者は、例えばバッテリパック100A、100Bの電力の残容量が少ない場合であっても、表示された量の液体をケトル本体10に入れることで、設定温度まで上昇した液体を得ることができる。
【0135】
上記実施形態では、給電台部70の上面71とケトル本体10の下面41とに設けられた第1通電端子131A、131B、131と、第2通電端子132A、132B、132Dと、温度センサTcとにより、ケトル本体10が給電台部70に載置されていることを検知していた。これに対し、ケトル本体10の給電台部70に対する載置状態は、他のセンサやスイッチ等の機器を用いて検知されてもよい。例えば、ケトル本体10の下面41に、下面スイッチ133のような押し込み式のスイッチを設け、当該スイッチが押し込まれたか否かにより、ケトル本体10が給電台部70に載置されたか否かを検知するようにしてもよい。あるいは、ケトル本体10と給電台部70との接触状態を検知するホールセンサ等の磁気センサにより、ケトル本体10が給電台部70に載置されたか否かを検知するようにしてもよい。
【0136】
給電接続部72、72C、受電接続部42、42C、検知部130、130Cの構成は、上記実施形態の構成に限らない。例えば、給電台部70にケトル本体10が載置されているか否かを検知するための、給電台部70に設けられる端子と、ケトル本体10に設けられる端子との数は、夫々、1つであってもよいし、3以上であってもよい。また、第1通電端子131A、131B、131と第2通電端子132A、132B、132、132Dとは、温度センサTcの回路を構成しなくともよい。また、第2通電端子132A、132Bは、バネ301を備えていなくともよい。
【0137】
第1実施形態、第2実施形態のように、検知部130にバネ301を設ける場合には、第1通電端子131、131A、131Bと第2通電端子132、132A、132Bのいずれか一方に設けてもよいし、双方に設けてもよい。同様に、第3実施形態のように、給電接続部72Cと受電接続部42Cにバネ302Cを設ける場合には、給電接続端子73Cと受電接続端子45Cのいずれか一方に設けてもよいし、双方に設けてもよい。この場合には、検知部130、130Cに設けられるバネの変化長を、給電接続部72、72Cと受電接続部42、42Cの少なくとも一方に設けられるバネの変化長よりも小さく構成すればよい。また、バネ301、302Cとして、圧縮コイルバネに限らず、上下方向に伸縮可能な他のバネを用いてもよい。
【0138】
電気ケトル1は、外部機器と無線通信可能に構成されていてもよく、電気ケトル1に対する種々の設定は、外部機器により行われてもよい。例えば、無線通信可能な携帯端末が、電気ケトル1を駆動させたり、温度を設定するなどの種々の設定を行うためのアプリケーションを備えており、電気ケトル1の制御部66は、アプリケーションを介した指示により各種の制御を行ってもよい。また、制御部66は、電気ケトル1に設けられた通信部を介して、使用者が電気ケトル1に対して行った種々の設定や、使用者が電気ケトル1を使用した情報を、携帯端末に送信してもよい。例えば、制御部66は、メインスイッチS1や、下面スイッチ133や、第1通電端子131、第2通電端子132、温度センサTcの信号を取得して、電気ケトル1のメインスイッチS1がオンされたことや、ケトル本体10が給電台部70から取り外されたことや、給電ユニット50が平面上から移動されたことを、携帯端末に送信するようにしてもよい。
【0139】
上記実施形態では、給電台部70に設けられた2つの端子(第1通電端子131A、131B)と、ケトル本体10に設けられた2つの端子(第2通電端子132A、132B)とが接触して、温度センサTcの計測結果が得られるか否かにより、給電台部70にケトル本体10が載置されているか否かが検知されていた。これに対し、温度センサTcの計測結果が得られるか否かによらず、第1通電端子131A、131Bと、第2通電端子132A、132Bとの間で通電可能であるか否かにより、給電台部70にケトル本体10が載置されているか否かが検知されてもよい。また、給電台部70に一対の端子を設け、ケトル本体10に一対の端子を設ける場合には、給電台部70の一対の端子と、ケトル本体10の一対の端子とが、夫々、接触するように配置されていればよい。つまり、給電台部70の端子は、給電接続部72を中心として略対称に配置されていなくともよいし、ケトル本体10の端子は、受電接続部42を中心として略対称に配置されていなくともよい。
【0140】
電気ケトル1は、下面スイッチ133を備えていなくともよい。また、電気ケトル1の取付ユニット90には、36ボルトのバッテリパック100A、100B以外のバッテリパック(例えば、18ボルトのバッテリパック)が、取り付けられてもよい。
【0141】
制御部66による制御は、CPUに限らず、他の種類の制御回路、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブル・ロジック・デバイスによって行われてもよい。
【0142】
さらに、本開示の技術、上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、上述の実施形態及び各請求項に記載された技術のいずれかと組み合わされて採用されうる。
【0143】
[態様1]
前記制御部は、前記検知部の検知結果を用いて、前記給電接続部及び前記受電接続部を介した前記加熱部への電力供給を制御するように構成されている。
[態様2]
前記制御部は、
予め定められた条件が満たされた場合に、前記加熱部への電力供給を実行し、
前記予め定められた条件が満たされない場合に、前記加熱部への電力供給を実行せず、
前記予め定められた条件は、前記給電台部にケトル本体が載置されていることを含む。
[態様3]
上下方向における前記給電接続端子と前記受電接続端子の接触長又は変化長は、
前記第1検知部と前記第2検知部の接触長又は変化長よりも大きく構成されている。
[態様4]
前記電気ケトルの駆動情報を報知する報知部を備え、
前記制御部は、更に、前記検知部の検知結果を用いて前記報知部を制御し、前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていない場合に、前記報知部に、前記駆動情報として前記給電台部に前記ケトル本体が載置されていないことを報知させる。
[態様5]
前記取付ユニットは、2つの前記バッテリパックを取付可能に構成されており、
前記2つの前記バッテリパックは、並列に電気的に接続される。
[態様6]
前記給電ユニットは、板部を備え、
前記給電台部は、前記板部を構成する面のうち一方の面側の領域に配置され、
前記取付ユニットは、前記板部を構成する面のうち他方の面側の領域に配置される。
[態様7]
前記板部は、前記給電台部に接続され前記給電台部から前記上方に延びて形成されており、
前記取付ユニットは、前記板部の前記他方の面に設けられている。
[態様8]
前記取付ユニットは、前記バッテリパックが上下方向にスライドすることによって取り付られる、前記上下方向に延びたレール部を備える。
[態様9]
前記板部は、前記取付ユニットよりも前記上方に、使用者に把持されるための把持部を備える。
[態様10]
前記給電ユニットは、前記板部の一方の面と向かい合う位置に設けられ、前記給電台部から前記上方に突出したリブ部を備える。
[態様11]
前記給電台部には、前記給電台部を前記上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。
[態様12]
前記給電接続部は前記給電台部の上面の中心部に配置されており、
前記上面は前記中心部から前記給電台部の外側に向けて下方に傾斜する傾斜面を備え、
前記貫通孔は、前記中心部よりも前記給電台部の前記外側に近い位置に配置されている。
[態様13]
前記板部は、前記一方の面に、前記板部の前記一方の面側から前記他方の面側に向けて窪んだ窪み部であって、前記給電台部に載置された前記ケトル本体の側周面に沿うように形成された窪み部を備える。
[態様14]
前記ケトル本体の前記受電接続部と前記給電台部の前記給電接続部とは、前記ケトル本体が前記給電台部に載置された場合に互いに篏合し、かつ、前記ケトル本体の前記給電台部上での回転が規制されるように形成されている。
【0144】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0145】
1...電気ケトル
10...ケトル本体
20...本体ユニット
21...蓋部
22...注ぎ口
23...ケトル把持部
30...側壁部
31...外周面
40...底部
41...下面
42...受電接続部
42C...受電接続部
42s...側面
44...板状部材
44s...面
45...受電接続端子
45B...下端部
45C...受電接続端子
46...傾斜面
48...液体収容部
49...ヒータ
50...給電ユニット
60...ベース部
62...側壁
63...下面
65...制御装置
66...制御部
70...給電台部
71...上面
72...給電接続部
72C...給電接続部
72s...側面
72u...上面
73...給電接続端子
73C...給電接続端子
73T...上端
74...傾斜面
75...リブ部
77...貫通孔
79...切欠き部
79c...面
79g...傾斜面
79s...面
80...壁部
81...前面
82...後面
83...窪み部
85...給電ユニット把持部
86...表示部
90...取付ユニット
91A、91B...取付部
92...スライドレール
93...正極入力端子
94...負極入力端子
95...ロック受入穴
100A...バッテリパック
100B...バッテリパック
101...レール受け部
102...正極出力端子
103...負極出力端子
104...コネクタ部
105...ロック部材
106...アンロックボタン
130...検知部
130D...検知部
131...第1通電端子
131A...第1通電端子
131B...第1通電端子
132...第2通電端子
132A...第2通電端子
132B...第2通電端子
132D...第2通電端子
133...下面スイッチ
134...ボタン
135...ボタン受け部
141...音声出力部
200...切替部
211...第1電源部
212...第1昇圧回路
214...第1電圧検出回路
221...第2電源部
222...第2昇圧回路
224...第2電圧検出回路
230...チェック用電源
301...バネ
302C...バネ
L1...接触長
L2...接触長、変化長
Lm...移動量
L1C...変化長
L1D...変化長
213...第1FETドライブ回路
223...第2FETドライブ回路
S1...メインスイッチ
Q1...スイッチング素子
Q1...スイッチング素子
Q2...スイッチング素子
Q3...スイッチング素子
Tc...温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22