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特許7683044排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-16
(45)【発行日】2025-05-26
(54)【発明の名称】排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/12 20060101AFI20250519BHJP
   E03F 1/00 20060101ALI20250519BHJP
【FI】
G01N1/12 A
E03F1/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023569802
(86)(22)【出願日】2023-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(86)【国際出願番号】 CN2023123665
(87)【国際公開番号】W WO2024061376
(87)【国際公開日】2024-03-28
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】202310536506.3
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523423816
【氏名又は名称】長江生態環保集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 俊
(72)【発明者】
【氏名】朱 向東
(72)【発明者】
【氏名】張 超
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205067138(CN,U)
【文献】中国実用新案第203758777(CN,U)
【文献】中国実用新案第217155946(CN,U)
【文献】中国実用新案第207937218(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103267654(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0180578(US,A1)
【文献】特表2018-505387(JP,A)
【文献】特開2002-286597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
E03F 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法であって、
排水管網水質サンプリング用の装置は、
水試料を採取するための採水バケット(1)を含み、
前記採水バケット(1)は上部に位置する水流入部と下部に位置する排水部を含み、
前記採水バケット(1)は昇降調節可能に支持器(2)に取り付けられ、採水水深要求に合わせて支持器(2)の指定高さに係止されて設定された水位高度の水質のサンプリングを達成することができ、
深さの異なる検査井戸の水質のサンプリングに適応するように、前記支持器(2)の頂部には複数段を繋ぎ合わせて長さを調節することができる持ち上げ機構(3)が固定的に取り付けられており、
前記排水部は円錐形バレル(109)を含み、
前記支持器(2)は円柱ロッド(201)を含み、円柱ロッド(201)の下部中心部位にはその軸線方向に沿って配置されるスライド溝(203)が加工され、スライド溝(203)の外壁に目盛線(202)が設置され、
前記持ち上げ機構(3)は縦ロッド(301)を含み、縦ロッド(301)の頂端に第2ナットスリーブ(306)が固定され、縦ロッド(301)の底端にねじボルト(303)が設置され、
前記縦ロッド(301)に対向貫通孔(302)が加工され、対向貫通孔(302)に横ロッド(304)が係合され、
前記方法は、
堆積物(6)の深さを検出し、即ち、
市販の堆積物柱状サンプラ(4)を用いて検査井戸(5)内の堆積物(6)の深さを測定し、堆積物(6)の厚さをhとし、同時に検査井戸(5)の内部の水位高さを測定してBとするステップ1と、
採水高さを設定し、即ち、
採水要求に応じて、所望の採水水深Aを設定しておき、採水水深Aが検査井戸(5)の底部からサン採水ポイントまでの高さの値であるステップ2と、
採水バケット(1)の取り付け高さをマーキングし、即ち、
支持器(2)を取り出し、被測定堆積物(6)の厚さhにより、支持器(2)の目盛線(202)にマーク位置を付け、このマーク位置は、採水バケット(1)を取り付けた後、円錐形バレル(109)の底端が堆積物(6)に触れないように、円錐形バレル(109)の底端から円柱ロッド(201)の底端までの距離Dが堆積物(6)の厚さhより大きく、即ちD≧hであることを確保しなければならないステップ3と、
採水バケット(1)の取り付け高さを確定し、即ち、
ステップ2で設定した採水水深Aにより、即ち採水バケット(1)の第1水入口(101)と第2水入口(105)の頂端を標識線とする採水水深Aにより、採水バケット(1)の支持器(2)での取り付け高さをAとし、且つA-C≧hを確保し、Cが採水バケット(1)の高さであるステップ4と、
採水バケット(1)を取り付けて固定し、即ち、
ステップ4で確定した取り付け高さにより、採水バケット(1)を支持器(2)の円柱ロッド(201)に取り付け、次にナット(103)によって採水バケット(1)を支持器(2)にロックするステップ5と、
持ち上げ機構(3)を組み立て、即ち、
検査井戸(5)の深さにより、持ち上げ機構(3)を組み立て、複数本の縦ロッド(301)をねじボルト(303)と第2ナットスリーブ(306)との間の螺合によって、いちいち作業高さまで取り付け、次に持ち上げ機構(3)と支持器(2)を組み立て、次に横ロッド(304)を取り付け、持ち上げ機構を形成するステップ6と、
水質サンプリングを行い、即ち、
サンプリング装置の取り付けが完了した後、手で持ち上げ機構を握ってサンプリング装置を検査井戸内に挿入し、円柱ロッド(201)を検査井戸(5)の底端まで挿入し、続いて固定深さ位置Aの水試料を採取するステップ7と、
水試料を取り出し、即ち、
水試料を採取した後、サンプリング装置全体を検査井戸から持ち上げ、採水バケット(1)の底部の沈殿物底部の妨害性堆積物を排出してから、水試料を貯留瓶に注入して実験室に送って検査するステップ8と、
サンプリング装置を回収し、即ち、
水試料採取が完了した後、サンプリング装置の部材をいちいち取り外し、部材箱内に格納し、次回の使用に備えるステップ9とを含むことを特徴とする排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法
【請求項2】
前記水流入部は、外形が直方体型であり、六つの面を含み、頂面が閉鎖され、四つの側面が対称して設置され、一対の側面には対称して配置される第1水入口(101)と第2水入口(105)が設置され、他の一対の側面にはそれぞれ二組の高さの異なる第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)が設置され、第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)にそれぞれナット(103)が取り付けられ、底面に水出口(107)が設置されている水流入タンク(108)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記水流入タンク(108)は材質が透明な有機ガラスであり、
前記第1水入口(101)と第2水入口(105)は矩形口を採用し、且つ水流入タンク(108)の側面における上部に設置され、設置高さが側面高さの半分より小さく、設置幅が側面幅の半分より大きく、
同一側に位置する第1固定ボルト(102)又は第2固定ボルト(106)は上下に揃えられ、両側面の第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)は同じ平面において上下にずれて配置され、第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)にはナット(103)に螺合するための雄ねじが加工されていることを特徴とする請求項2に記載の方法
【請求項4】
錐形バレル(109)の頂端に雄ねじ繋ぎ口(111)が設置され、雄ねじ繋ぎ口(111)が水流入タンク(108)の底端に設置された雌ねじ繋ぎ口(104)に螺合され、雌ねじ繋ぎ口(104)が水出口(107)の所在する位置に設置され、円錐形バレル(109)の底端には水流出を制御するための排水制御弁(110)が設置されていることを特徴とする請求項2に記載の排水管網水質サンプリング用の方法
【請求項5】
柱ロッド(201)の頂端に第1ナットスリーブ(204)が設置され、スライド溝(203)に第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)が係合されることを特徴とする請求項2に記載の方法
【請求項6】
前記スライド溝(203)は長さが円柱ロッド(201)の長さの2/3であり、他の1/3の長さは円柱ロッドの原状を保持し、前記目盛線(202)は溝底部から溝頂部へ配置されていることを特徴とする請求項5に記載の方法
【請求項7】
じボルト(303)が別の縦ロッド(301)の第2ナットスリーブ(306)に螺合されることを特徴とする請求項1に記載の方法
【請求項8】
ロッド(304)の二つの先端部にはロックナット(305)に螺合するための雄ねじが取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の方法
【請求項9】
A-C<hの時に、代わりに別の型番の採水バケット(1)を用い、採水バケット(1)の高さとしてC1を選択し、且つA-C1≧hを確保することを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管網水質検出の分野に関し、特に、排水管網水質サンプリング用の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管網検査井戸内の水質を所定時間毎に検出することは、排水管網に地下水が浸入したか否かを調査する重要な手段であり、良好な対照結果を形成するために、毎回同じ位置での水試料を採取できることが求められる。しかしながら、管網の運転に伴い、検査井戸の内部に堆積が徐々に発生して堆積物を形成し、そして検査井戸内の堆積物の深さ分布が異なり、このようにして、その後で同じ位置に対して水質サンプリングを行う場合に、一般の市販水質サンプラは主にロープ水質サンプラを用い、その作業深さを制御しにくく、毎回採取する水試料が同じ採水水深の水試料であることを良好に確保することができず、後続の検出結果に影響を与え、検出結果に偏差が発生することを引き起こす。具体的に検査井戸に堆積物がない時の水位高さを示す図1を参照されたく、この時にロープ水質サンプラを用いて採取するのは水位高さがHの水試料である。具体的に図2に示すように、検査井戸内に堆積物がある時に、検査井戸内の水位が増加し、この時にロープ水質サンプラを用いて採取するのは水位高さがH1の水試料であり、実質的には最初の水位Hの水試料を採取することが求められ、このようにして二回の採水水位が同じ高さの水位ではないことになる。また、採水過程で堆積物がかき回されるため、採水するたびに異なる含有量の堆積物によって水質データ品質に影響を与えることがよくある。
【0003】
例えば、従来のCN210322446Uに記載の排水管網用のサンプリング装置においては、伸縮ロッドの末端にバケットを設けることによって排水管網のサンプリングを行い、サンプリング過程で、毎回の採水水深を精確に制御することができない。
【0004】
CN209356242Uに記載の汚廃水水質サンプリング装置においては、傾斜ロッド部分の末端にサンプリング容器を設けることによってサンプリングする効果を達成するが、サンプリング過程で、同様に毎回の採水水深を精確に制御することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に対して、本発明は、管網に厚さの異なる堆積物がある場合の水質サンプリングに良好に適用でき、サンプリング過程で、採水するたびに設定された同じ水深位置の水試料を採取できることを確保し、サンプリング精度を確保し、更に後続の計算精度と結果を確保する排水管網水質サンプリング用の装置及び方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的問題を解決するために、本発明で採用される技術手段は、
水試料を採取するための採水バケットを含み、
前記採水バケットは上部に位置する水流入部と下部に位置する排水部を含み、
前記採水バケットは昇降調節可能に支持器に取り付けられ、採水水深要求に合わせて支持器の指定高さに係止されて設定された水位高度の水質のサンプリングを達成することができ、
深さの異なる検査井戸の水質のサンプリングに適応するように、前記支持器の頂部には複数段を繋ぎ合わせて長さを調節することができる持ち上げ機構が固定的に取り付けられている排水管網水質サンプリング用の装置。
【0007】
前記水流入部は、外形が直方体型であり、六つの面を含み、頂面が閉鎖され、四つの側面が対称して設置され、一対の側面には対称して配置される第1水入口と第2水入口が設置され、他の一対の側面にはそれぞれ二組の高さの異なる第1固定ボルトと第2固定ボルトが設置され、第1固定ボルトと第2固定ボルトにそれぞれナットが取り付けられ、底面に水出口が設置されている水流入タンクを含む。
【0008】
前記水流入タンクは材質が透明な有機ガラスであり、
前記第1水入口と第2水入口は矩形口を採用し、且つ水流入タンクの側面における上部に設置され、設置高さが側面高さの半分より小さく、設置幅が側面幅の半分より大きく、
同一側に位置する第1固定ボルト又は第2固定ボルトは上下に揃えられ、両側面の第1固定ボルトと第2固定ボルトは同じ平面において上下にずれて配置され、第1固定ボルトと第2固定ボルトにはナットに螺合するための雄ねじが加工されている。
【0009】
前記排水部は円錐形バレルを含み、円錐形バレルの頂端に雄ねじ繋ぎ口が設置され、雄ねじ繋ぎ口が水流入タンクの底端に設置された雌ねじ繋ぎ口に螺合され、雌ねじ繋ぎ口が水出口の所在する位置に設置され、円錐形バレルの底端には水流出を制御するための排水制御弁が設置されている。
【0010】
前記支持器は円柱ロッドを含み、円柱ロッドの下部中心部位にはその軸線方向に沿って配置されるスライド溝が加工され、スライド溝の外壁に目盛線が設置され、円柱ロッドの頂端に第1ナットスリーブが設置され、スライド溝に第1固定ボルトと第2固定ボルトが係合される。
【0011】
前記スライド溝は長さが円柱ロッドの長さの2/3であり、他の1/3の長さは円柱ロッドの原状を保持し、前記目盛線は溝底部から溝頂部へ配置されている。
【0012】
前記持ち上げ機構は縦ロッドを含み、縦ロッドの頂端に第2ナットスリーブが固定され、縦ロッドの底端にねじボルトが設置され、ねじボルトが別の縦ロッドの第2ナットスリーブに螺合される。
【0013】
前記縦ロッドに対向貫通孔が加工され、対向貫通孔に横ロッドが係合され、横ロッドの二つの先端部にはロックナットに螺合するための雄ねじが取り付けられている。
【0014】
排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法であって、
堆積物の深さを検出し、即ち、
市販の堆積物柱状サンプラを用いて検査井戸内の堆積物の深さを測定し、堆積物の厚さをhとし、同時に検査井戸の内部の水位高さを測定してBとするステップ1と、
採水高さを設定し、即ち、
採水要求に応じて、所望の採水水深Aを設定しておき、採水水深Aが検査井戸の底部からサン採水ポイントまでの高さの値であるステップ2と、
採水バケットの取り付け高さをマーキングし、即ち、
支持器を取り出し、被測定堆積物の厚さhにより、支持器の目盛線にマーク位置を付け、このマーク位置は、採水バケットを取り付けた後、円錐形バレルの底端が堆積物に触れないように、円錐形バレルの底端から円柱ロッドの底端までの距離Dが堆積物の厚さhより大きく、即ちD≧hであることを確保しなければならないステップ3と、
採水バケットの取り付け高さを確定し、即ち、
ステップ2で設定した採水水深Aにより、即ち採水バケットの第1水入口と第2水入口の頂端を標識線とする採水水深Aにより、採水バケットの支持器での取り付け高さをAとし、且つA-C≧hを確保し、Cが採水バケットの高さであるステップ4と、
採水バケットを取り付けて固定し、即ち、
ステップ4で確定した取り付け高さにより、採水バケットを支持器の円柱ロッドに取り付け、次にナットによって採水バケットを支持器にロックするステップ5と、
持ち上げ機構を組み立て、即ち、
検査井戸の深さにより、持ち上げ機構を組み立て、複数本の縦ロッドをねじボルトと第2ナットスリーブとの間の螺合によって、いちいち作業高さまで取り付け、次に持ち上げ機構と支持器を組み立て、次に横ロッドを取り付け、持ち上げ機構を形成するステップ6と、
水質サンプリングを行い、即ち、
サンプリング装置の取り付けが完了した後、手で持ち上げ機構を握ってサンプリング装置を検査井戸内に挿入し、円柱ロッドを検査井戸の底端まで挿入し、続いて固定深さ位置Aの水試料を採取するステップ7と、
水試料を取り出し、即ち、
水試料を採取した後、サンプリング装置全体を検査井戸から持ち上げ、採水バケットの底部の沈殿物底部の妨害性堆積物を排出してから、水試料を貯留瓶に注入して実験室に送って検査するステップ8と、
サンプリング装置を回収し、即ち、
水試料採取が完了した後、サンプリング装置の部材をいちいち取り外し、部材箱内に格納し、次回の使用に備えるステップ9とを含む。
【0015】
A-C<hの時に、代わりに別の型番の採水バケットを用い、採水バケットの高さとしてC1を選択し、且つA-C1≧hを確保する。
【0016】
本発明の有益な効果は次の通りである。
1、本発明の装置は、管網に厚さの異なる堆積物がある場合の水質サンプリングに良好に適用でき、サンプリング過程で、採水するたびに設定された同じ水深位置の水試料を採取できることを確保し、サンプリング精度を確保し、更に後続の計算精度と結果を確保する。本発明は従来のロープ水質サンプラの欠点を克服して、排水管網水質サンプリングに適用される装置アセンブリを構築し、高い産業利用価値を有する。
【0017】
2、水流入部を設置することによって、サンプリング過程で、水試料が水流入タンクの内部に流れやすくなる。
【0018】
3、透明な有機ガラスによって、採取する水試料の様子の観察が容易になって、後の堆積物排出の制御が容易になる。
【0019】
4、上記の第1固定ボルトと第2固定ボルトによって、採水バケットと支持器の取り付けが容易になる。
【0020】
5、上記の排水部によって、後続の排水が容易になる。
【0021】
6、上記のスライド溝によって、採水バケットの取り付け高さの調節が容易になる。
【0022】
7、持ち上げ機構によって、高さ調節が容易になって、異なる高さの検査井戸に適応するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、図面と実施例を参照しながら本発明を更に説明する。
【0024】
図1】検査井戸に堆積物がない時の水位の高さである。
図2】検査井戸内に堆積物がある時の水位の変化である。
図3】本発明のサンプリング装置の全体構造図である。
図4】本発明の水流入部の構造図である。
図5】本発明のナットの構造図である。
図6】本発明の排水部の構造図である。
図7】本発明の支持器の構造図である。
図8】本発明の持ち上げ機構の構造図である。
図9】本発明のステップ1の構造図である。
図10】本発明の具体的な測定過程中の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に説明する。
【0026】
(実施例1)
図3-10を参照し、水試料を採取するための採水バケット1を含み、前記採水バケット1は上部に位置する水流入部と下部に位置する排水部を含み、前記採水バケット1は昇降調節可能に支持器2に取り付けられ、採水水深要求に合わせて支持器2の指定高さに係止されて設定された水位高度の水質のサンプリングを達成することができ、深さの異なる検査井戸の水質サンプリングに適応するように、前記支持器2の頂部には複数段を繋ぎ合わせて長さを調節することができる持ち上げ機構3が固定的に取り付けられている、排水管網水質サンプリング用の装置である。本発明の装置は、管網に厚さの異なる堆積物がある場合の水質サンプリングに良好に適用でき、サンプリング過程で、採水するたびに設定された同じ水深位置の水試料を採取できることを確保し、サンプリング精度を確保し、更に後続の計算精度と結果を確保する。本発明は従来のロープ水質サンプラの欠点を克服して、排水管網水質サンプリングに適用される装置アセンブリを構築し、高い産業利用価値を有する。
【0027】
更に、前記水流入部は、外形が直方体型であり、六つの面を含み、頂面が閉鎖され、四つの側面が対称して設置され、一対の側面には対称して配置される第1水入口101と第2水入口105が設置され、他の一対の側面にはそれぞれ二組の高さの異なる第1固定ボルト102と第2固定ボルト106が設置され、第1固定ボルト102と第2固定ボルト106にそれぞれナット103が取り付けられ、底面に水出口107が設置されている水流入タンク108を含む。水流入部を設置することによって、サンプリング過程で、水試料が水流入タンク108の内部に流れやすくなる。
【0028】
更に、前記水流入タンク108は材質が透明な有機ガラスである。透明な有機ガラスによって、採取する水試料の様子の観察が容易になって、後の堆積物排出の制御が容易になる。
【0029】
更に、前記第1水入口101と第2水入口105は矩形口を採用し、且つ水流入タンク108の側面における上部に設置され、設置高さが側面高さの半分より小さく、設置幅が側面幅の半分より大きい。上記の第1水入口101と第2水入口105によって、水の流入過程が容易になる。
【0030】
更に、同一側に位置する第1固定ボルト102又は第2固定ボルト106は上下に揃えられ、両側面の第1固定ボルト102と第2固定ボルト106は同じ平面において上下にずれて配置され、第1固定ボルト102と第2固定ボルト106にはナット103に螺合するための雄ねじが加工されている。上記の第1固定ボルト102と第2固定ボルト106によって、採水バケット1と支持器2の取り付けが容易になる。
【0031】
更に、前記排水部は円錐形バレル109を含み、円錐形バレル109の頂端に雄ねじ繋ぎ口111が設置され、雄ねじ繋ぎ口111が水流入タンク108の底端に設置された雌ねじ繋ぎ口104に螺合され、雌ねじ繋ぎ口104が水出口107の所在する位置に設置され、円錐形バレル109の底端には水流出を制御するための排水制御弁110が設置されている。上記の排水部によって、後続の排水が容易になる。
【0032】
更に、前記支持器2は円柱ロッド201を含み、円柱ロッド201の下部中心部位にはその軸線方向に沿って配置されるスライド溝203が加工され、スライド溝203の外壁に目盛線202が設置され、円柱ロッド201の頂端に第1ナットスリーブ204が設置され、スライド溝203に第1固定ボルト102と第2固定ボルト106が係合される。上記のスライド溝203によって、採水バケット1の取り付け高さの調節が容易になる。
【0033】
更に、前記スライド溝203は長さが円柱ロッド201の長さの2/3であり、他の1/3の長さは円柱ロッドの原状を保持し、前記目盛線202は溝底部から溝頂部へ配置されている。
【0034】
更に、前記持ち上げ機構3は縦ロッド301を含み、縦ロッド301の頂端に第2ナットスリーブ306が固定され、縦ロッド301の底端にねじボルト303が設置され、ねじボルト303が別の縦ロッド301の第2ナットスリーブ306に螺合される。持ち上げ機構3によって、高さ調節が容易になって、異なる高さの検査井戸に適応するようになる。
【0035】
更に、前記縦ロッド301に対向貫通孔302が加工され、対向貫通孔302に横ロッド304が係合され、横ロッド304の二つの先端部にはロックナット305に螺合するための雄ねじが取り付けられている。上記の横ロッド304によって、両者の連結強度が強くなる。
【0036】
(実施例2)
排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法であって、
堆積物6の深さを検出し、即ち、
市販の堆積物柱状サンプラ4を用いて検査井戸5内の堆積物6の深さを測定し、堆積物6の厚さをhとし、同時に検査井戸5の内部の水位高さを測定してBとするステップ1と、
採水高さを設定し、即ち、
採水要求に応じて、所望の採水水深Aを設定しておき、採水水深Aが検査井戸5の底部からサン採水ポイントまでの高さの値であるステップ2と、
採水バケット1の取り付け高さをマーキングし、即ち、
支持器2を取り出し、被測定堆積物6の厚さhにより、支持器2の目盛線202にマーク位置を付け、このマーク位置は、採水バケット1を取り付けた後、円錐形バレル109の底端が堆積物6に触れないように、円錐形バレル109の底端から円柱ロッド201の底端までの距離Dが堆積物6の厚さhより大きく、即ちD≧hであることを確保しなければならないステップ3と、
採水バケット1の取り付け高さを確定し、即ち、
ステップ2で設定した採水水深Aにより、即ち採水バケット1の第1水入口101と第2水入口105の頂端を標識線とする採水水深Aにより、採水バケット1の支持器2での取り付け高さをAとし、且つA-C≧hを確保し、Cが採水バケット1の高さであるステップ4と、
採水バケット1を取り付けて固定し、即ち、
ステップ4で確定した取り付け高さにより、採水バケット1を支持器2の円柱ロッド201に取り付け、次にナット103によって採水バケット1を支持器2にロックするステップ5と、
持ち上げ機構3を組み立て、即ち、
検査井戸5の深さにより、持ち上げ機構3を組み立て、複数本の縦ロッド301をねじボルト303と第2ナットスリーブ306との間の螺合によって、いちいち作業高さまで取り付け、次に持ち上げ機構3と支持器2を組み立て、次に横ロッド304を取り付け、持ち上げ機構を形成するステップ6と、
水質サンプリングを行い、即ち、
サンプリング装置の取り付けが完了した後、手で持ち上げ機構を握ってサンプリング装置を検査井戸内に挿入し、円柱ロッド201を検査井戸5の底端まで挿入し、続いて固定深さ位置Aの水試料を採取するステップ7と、
水試料を取り出し、即ち、
水試料を採取した後、サンプリング装置全体を検査井戸から持ち上げ、採水バケット1の底部の沈殿物底部の妨害性堆積物を排出してから、水試料を貯留瓶に注入して実験室に送って検査するステップ8と、
サンプリング装置を回収し、即ち、
水試料採取が完了した後、サンプリング装置の部材をいちいち取り外し、部材箱内に格納し、次回の使用に備えるステップ9とを含む。
【0037】
更に、A-C<hの時に、代わりに別の型番の採水バケット1を用い、採水バケット1の高さとしてC1を選択し、且つA-C1≧hを確保し、上記の配置によって、採水バケット1の底端が堆積物をかき回すことを防止する。
【0038】
(付記)
(付記1)
水試料を採取するための採水バケット(1)を含み、
前記採水バケット(1)は上部に位置する水流入部と下部に位置する排水部を含み、
前記採水バケット(1)は昇降調節可能に支持器(2)に取り付けられ、採水水深要求に合わせて支持器(2)の指定高さに係止されて設定された水位高度の水質のサンプリングを達成することができ、
深さの異なる検査井戸の水質のサンプリングに適応するように、前記支持器(2)の頂部には複数段を繋ぎ合わせて長さを調節することができる持ち上げ機構(3)が固定的に取り付けられていることを特徴とする排水管網水質サンプリング用の装置。
【0039】
(付記2)
前記水流入部は、外形が直方体型であり、六つの面を含み、頂面が閉鎖され、四つの側面が対称して設置され、一対の側面には対称して配置される第1水入口(101)と第2水入口(105)が設置され、他の一対の側面にはそれぞれ二組の高さの異なる第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)が設置され、第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)にそれぞれナット(103)が取り付けられ、底面に水出口(107)が設置されている水流入タンク(108)を含むことを特徴とする付記1に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0040】
(付記3)
前記水流入タンク(108)は材質が透明な有機ガラスであり、
前記第1水入口(101)と第2水入口(105)は矩形口を採用し、且つ水流入タンク(108)の側面における上部に設置され、設置高さが側面高さの半分より小さく、設置幅が側面幅の半分より大きく、
同一側に位置する第1固定ボルト(102)又は第2固定ボルト(106)は上下に揃えられ、両側面の第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)は同じ平面において上下にずれて配置され、第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)にはナット(103)に螺合するための雄ねじが加工されていることを特徴とする付記2に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0041】
(付記4)
前記排水部は円錐形バレル(109)を含み、円錐形バレル(109)の頂端に雄ねじ繋ぎ口(111)が設置され、雄ねじ繋ぎ口(111)が水流入タンク(108)の底端に設置された雌ねじ繋ぎ口(104)に螺合され、雌ねじ繋ぎ口(104)が水出口(107)の所在する位置に設置され、円錐形バレル(109)の底端には水流出を制御するための排水制御弁(110)が設置されていることを特徴とする付記2に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0042】
(付記5)
前記支持器(2)は円柱ロッド(201)を含み、円柱ロッド(201)の下部中心部位にはその軸線方向に沿って配置されるスライド溝(203)が加工され、スライド溝(203)の外壁に目盛線(202)が設置され、円柱ロッド(201)の頂端に第1ナットスリーブ(204)が設置され、スライド溝(203)に第1固定ボルト(102)と第2固定ボルト(106)が係合されることを特徴とする付記2に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0043】
(付記6)
前記スライド溝(203)は長さが円柱ロッド(201)の長さの2/3であり、他の1/3の長さは円柱ロッドの原状を保持し、前記目盛線(202)は溝底部から溝頂部へ配置されていることを特徴とする付記5に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0044】
(付記7)
前記持ち上げ機構(3)は縦ロッド(301)を含み、縦ロッド(301)の頂端に第2ナットスリーブ(306)が固定され、縦ロッド(301)の底端にねじボルト(303)が設置され、ねじボルト(303)が別の縦ロッド(301)の第2ナットスリーブ(306)に螺合されることを特徴とする付記1に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0045】
(付記8)
前記縦ロッド(301)に対向貫通孔(302)が加工され、対向貫通孔(302)に横ロッド(304)が係合され、横ロッド(304)の二つの先端部にはロックナット(305)に螺合するための雄ねじが取り付けられていることを特徴とする付記7に記載の排水管網水質サンプリング用の装置。
【0046】
(付記9)
付記1から8のいずれか一つに記載の排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法であって、
堆積物(6)の深さを検出し、即ち、
市販の堆積物柱状サンプラ(4)を用いて検査井戸(5)内の堆積物(6)の深さを測定し、堆積物(6)の厚さをhとし、同時に検査井戸(5)の内部の水位高さを測定してBとするステップ1と、
採水高さを設定し、即ち、
採水要求に応じて、所望の採水水深Aを設定しておき、採水水深Aが検査井戸(5)の底部からサン採水ポイントまでの高さの値であるステップ2と、
採水バケット(1)の取り付け高さをマーキングし、即ち、
支持器(2)を取り出し、被測定堆積物(6)の厚さhにより、支持器(2)の目盛線(202)にマーク位置を付け、このマーク位置は、採水バケット(1)を取り付けた後、円錐形バレル(109)の底端が堆積物(6)に触れないように、円錐形バレル(109)の底端から円柱ロッド(201)の底端までの距離Dが堆積物(6)の厚さhより大きく、即ちD≧hであることを確保しなければならないステップ3と、
採水バケット(1)の取り付け高さを確定し、即ち、
ステップ2で設定した採水水深Aにより、即ち採水バケット(1)の第1水入口(101)と第2水入口(105)の頂端を標識線とする採水水深Aにより、採水バケット(1)の支持器(2)での取り付け高さをAとし、且つA-C≧hを確保し、Cが採水バケット(1)の高さであるステップ4と、
採水バケット(1)を取り付けて固定し、即ち、
ステップ4で確定した取り付け高さにより、採水バケット(1)を支持器(2)の円柱ロッド(201)に取り付け、次にナット(103)によって採水バケット(1)を支持器(2)にロックするステップ5と、
持ち上げ機構(3)を組み立て、即ち、
検査井戸(5)の深さにより、持ち上げ機構(3)を組み立て、複数本の縦ロッド(301)をねじボルト(303)と第2ナットスリーブ(306)との間の螺合によって、いちいち作業高さまで取り付け、次に持ち上げ機構(3)と支持器(2)を組み立て、次に横ロッド(304)を取り付け、持ち上げ機構を形成するステップ6と、
水質サンプリングを行い、即ち、
サンプリング装置の取り付けが完了した後、手で持ち上げ機構を握ってサンプリング装置を検査井戸内に挿入し、円柱ロッド(201)を検査井戸(5)の底端まで挿入し、続いて固定深さ位置Aの水試料を採取するステップ7と、
水試料を取り出し、即ち、
水試料を採取した後、サンプリング装置全体を検査井戸から持ち上げ、採水バケット(1)の底部の沈殿物底部の妨害性堆積物を排出してから、水試料を貯留瓶に注入して実験室に送って検査するステップ8と、
サンプリング装置を回収し、即ち、
水試料採取が完了した後、サンプリング装置の部材をいちいち取り外し、部材箱内に格納し、次回の使用に備えるステップ9とを含むことを特徴とする排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法。
【0047】
(付記10)
A-C<hの時に、代わりに別の型番の採水バケット(1)を用い、採水バケット(1)の高さとしてC1を選択し、且つA-C1≧hを確保することを特徴とする付記9に記載の排水管網水質サンプリング用の装置を用いて水質サンプリングを行う方法。
【符号の説明】
【0048】
1 採水バケット、2 支持器、3 持ち上げ機構、4 堆積物柱状サンプラ、5 検査井戸、6 堆積物、7 採水水位線、8 堆積物高さ線、9 採水バケット底端線、101 第1水入口、102 第1固定ボルト、103 ナット、104 雌ねじ繋ぎ口、105 第2水入口、106 第2固定ボルト、107 水出口、108 水流入タンク、109 円錐形バレル、110 排水制御弁、111 雄ねじ繋ぎ口、201 円柱ロッド、202 目盛線、203 スライド溝、204 第1ナットスリーブ、301 縦ロッド、302 対向貫通孔、303 ねじボルト、304 横ロッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10