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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】ゾーニングシステム
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20250520BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
E04B2/74 561E
E04B2/74 541P
E05D15/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021037997
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138231
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 開催日:令和2年12月1日~令和2年12月25日 展示会名:2021 KOKUYO FAIR 開催場所:コクヨ株式会社 梅田ショールーム(大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC11F) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2) 開催日:令和2年12月1日~令和2年12月25日 展示会名:2021 KOKUYO FAIR 開催場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (3) ウェブサイトの掲載日:令和3年1月8日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/01UBV010X58-04DFSL-04LU0W-0L81Z-1GBZLB4CE00Y9EP 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (4) ウェブサイトの掲載日:令和2年12月1日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/6UVN3019ITX-09P77T-04TCBL-0YN2S-1NDEV00U2VJ212P 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (5) ウェブサイトの掲載日:令和3年2月12日 ウェブサイトのアドレス:https://www.youtube.com/watch?v=D_DAaGo4p6I 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (6) ウェブサイトの掲載日:令和3年1月8日 ウェブサイトのアドレス:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/showroom/umeda-sr/ https://www.kokuyo-furniture.co.jp/showroom/umeda/panorama/tour.html?startscene=1 https://www.kokuyo-furniture.co.jp/showroom/umeda/panorama/tour.html?startscene=2 https://www.kokuyo-furniture.co.jp/showroom/umeda/panorama/tour.html?startscene=3 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (7) ウェブサイトの掲載日:令和3年2月6日 ウェブサイトのアドレス:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/showroom/tokyo-sr/ 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (8) 案件を提案した日:令和3年2月18日、19日 案件を提案した場所:日本橋アステラス三井ビル(東京都中央区日本橋本町2丁目5番6号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (9) 案件を提案した日:令和2年12月17日 案件を提案した場所:大阪府東大阪市若江東町1丁目2番46号 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (10)案件を提案した日:令和3年3月6日 案件を提案した場所:東京倶楽部ビル(東京都千代田区霞が関3丁目2番6号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (11)案件を提案した日:令和3年2月2日 案件を提案した場所:大阪府守口市松下町1-1 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (12)案件を提案した日:令和3年1月20日 案件を提案した場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (13)案件を提案した日:令和2年12月14日、令和3年1月20日 案件を提案した場所:株式会社オフィス空間(大阪府大阪市北区豊崎3-19-3 ピアスタワー4階) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (14)案件を提案した日:令和3年1月18日 案件を提案した場所:住友不動産日本橋タワー(東京都中央区日本橋2丁目7番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (15)案件を提案した日:令和2年12月16日 案件を提案した場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (16)案件を提案した日:令和2年11月23日 案件を提案した場所:富士通株式会社 富士通ソリューションスクエア O棟 3階(東京都大田区新蒲田1丁目17番25号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (17)案件を提案した日:令和2年11月24日 案件を提案した場所:コクヨ株式会社 梅田ショールーム(大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC11F) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (18)販売日:令和2年12月13日 販売した場所:富士通株式会社 富士通ソリューションスクエア O棟 2階及び4階(東京都大田区新蒲田1丁目17番25号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (19)販売日:令和2年11月22日 販売した場所:富士通株式会社 富士通ソリューションスクエア O棟 3階(東京都大田区新蒲田1丁目17番25号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (20)販売日:令和3年1月24日 販売した場所:富士通株式会社 富士通ソリューションスクエア O棟 5階(東京都大田区新蒲田1丁目17番25号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (21)販売日:令和2年12月20日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 5階北(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (22)販売日:令和2年12月6日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 8階北、18階北(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (23)販売日:令和3年3月6日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 13階南(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (24)販売日:令和3年2月23日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 13階北(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (25)販売日:令和3年2月20日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 14階南(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (26)販売日:令和3年2月13日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 14階北(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (27)販売日:令和3年2月21日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 15階北、15階南(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (28)販売日:令和2年12月13日 販売した場所:富士通株式会社 川崎工場 16階北、16階南(神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (29)公開日:令和2年11月19日 公開した場所:コクヨ株式会社 芝山工場 工場棟(千葉県山武郡芝山町大台3155番4号 芝山第二工業団地) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (30)設置日:令和2年12月16日 設置した場所:コクヨ株式会社 芝山工場 事務所棟 会議室エリア(千葉県山武郡芝山町大台3155番4号 芝山第二工業団地) 公開者:コクヨ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】内座 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康志
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-217546(JP,A)
【文献】特開2008-297742(JP,A)
【文献】特開昭52-65929(JP,A)
【文献】特開昭63-167865(JP,A)
【文献】特開平2-282590(JP,A)
【文献】特開2004-84222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E05D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の案内レールと、これら各案内レールに案内されて移動可能な複数枚の仕切りパネルとを具備してなり、前記仕切りパネルを前記案内レールに沿って移動させることによってこれら仕切りパネルにより区画されるエリアの形態を変更することができるようにしたものであって、
特定の案内レールの一部のみを他の案内レールの一部に平行に接近させて配しているものであり、
前記案内レールは、前記仕切りパネルを受止め支持しつつ案内する床レールを主体に構成されたものであるゾーニングシステム。
【請求項2】
前記特定の案内レールは、延伸方向が異なる複数の直線領域と、これら直線領域同士を滑らかに連続させる曲線領域とを備えたものであり、前記直線領域の少なくとも1つを前記他の案内レールの一部に平行に接近させて配している請求項1記載のゾーニングシステム。
【請求項3】
前記仕切りパネルは、パネル本体の底部に、前記床レールに沿って転動する複数の車輪を首振り可能に設けてなるものである請求項1又は2記載のゾーニングシステム。
【請求項4】
前記各案内レールには、それぞれ複数の仕切りパネルが支持させてある請求項1、2又は3記載のゾーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を緩やかに仕切る場合に好適に使用されるゾーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゾーニングシステムとして、比較的疎らに配されたスライド式のパネルにより空間を緩やかに仕切るものが開発されている。かかるシステムは、床に配した案内レールに沿ってパネルを移動させることができるようになっており、ワークモードに合わせてパネルの位置を変えることより、当該パネルにより区画されるエリアの形態を変更することができるようにしてある(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、従来のものは、複数本の直線案内レールを組み合わせて仕切るべきエリアを特定しており、各案内レールに所要枚数の仕切りパネルをそれぞれ支持させてある。しかして、かかる仕切りパネルは、対応する案内レールに沿って自由に移動可能ではあるが、他の案内レールに移行させることはできないため、エリア変更の自由度をより高めてほしいという要望が提示された場合には、何らかの対策を講じる必要がある。
【0004】
エリア変更の自由度を高める方策としては、床レールに切替ポイント等を有する合流点を設けておき、必要に応じてパネルを異なった床レールに移行させることができるようにすることが考えられる。しかしながら、複数の床レールを合流点を介して相互に接続すると、その接続箇所の構造が複雑化するとともに、パネル移動時に合流点でのポイント切替作業等が必須となり、パネル移動操作が煩雑なものになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“frein”,コクヨ総合カタログL21年版ファニチャー編,コクヨ株式会社,令和3年1月,p.878
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、構造の複雑化やパネル移動操作の煩雑化を招くことなしに、エリアの形態変更における自由度を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項記載の発明に係るゾーニングシステムは、複数本の案内レールと、これら各案内レールに案内されて移動可能な複数枚の仕切りパネルとを具備してなり、前記仕切りパネルを前記案内レールに沿って移動させることによってこれら仕切りパネルにより区画されるエリアの形態を変更することができるようにしたものであって、特定の案内レールの一部のみを他の案内レールの一部に平行に接近させて配しているものであり、前記案内レールは、前記仕切りパネルを受止め支持しつつ案内する床レールを主体に構成されたものである。
【0008】
請求項記載の発明は、前記特定の案内レールは、延伸方向が異なる複数の直線領域と、これら直線領域同士を滑らかに連続させる曲線領域とを備えたものであり、前記直線領域の少なくとも1つを前記他の案内レールの一部に平行に接近させて配している請求項1記載のゾーニングシステムである。
【0010】
請求項記載の発明は、前記仕切りパネルは、パネル本体の底部に、前記床レールに沿って転動する複数の車輪を首振り可能に設けてなるものである請求項1又は2記載のゾーニングシステムである。
【0011】
請求項記載の発明は、前記各案内レールには、それぞれ複数の仕切りパネルが支持させてある請求項1、2又は3記載のゾーニングシステムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構造の複雑化やパネル移動操作の煩雑化を招くことなしに、エリアの形態変更における自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のゾーニングシステムによるゾーニングの態様を示す概略図。
図2】本発明の第1実施形態に係るゾーニングシステムを示す平面図。
図3】同実施形態に係るゾーニングの態様を示す概略図。
図4】同実施形態に係る仕切りパネルを示す正面図。
図5図4におけるA-A線に沿った断面図。
図6図4におけるB部拡大図。
図7図5におけるC部拡大図。
図8図5におけるD部拡大図。
図9】同実施形態に係る案内レールの曲線領域及び仕切りパネルを示す概略図。
図10】本発明の第2実施形態に係るゾーニングシステムを示す平面図。
図11】同実施形態に係るゾーニングの態様を示す概略図。
図12】本発明の第3実施形態に係るゾーニングシステムを示す平面図。
図13】同実施形態に係るゾーニングの態様を示す概略図。
図14】本発明の他の実施形態に係るゾーニングシステムを示す平面図。
図15】本発明の他の実施形態に係るゾーニングシステムを示す平面図。
図16】本発明の他の実施形態に係る仕切りパネルの下端部を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
<第1実施形態(図2図9)>
この実施形態にかかるゾーニングシステムZ1は、図2及び図3に示すように、複数本の案内レール1、2、3、4と、これら各案内レール1、2、3、4に案内されて移動可能な複数枚の仕切りパネル5とを具備してなり、仕切りパネル5を案内レール1、2、3、4に沿って移動させることによってこれら仕切りパネル5により区画されるエリア(A1~A4)の形態を変更することができるようにしたものである。すなわち、この実施形態は、平面視長方形状に配された4本の外縁用案内レール1、2と、これら外縁用案内レール1、2により囲まれる空間S内を前後(平面視において上下)に2分割する1本の前後区画用案内レール3と、外縁用案内レール1、2により囲まれる空間S内を左右に4分割する3本の左右区画用案内レール4とを備えたものである。そして、長尺な2本の横向きの外縁用案内レール1に例えば8枚の仕切りパネル5をそれぞれ移動可能に支持させるとともに、2本の縦向きの外縁用案内レール2に例えば4枚の仕切りパネル5をそれぞれ移動可能に支持させている。また、前後区画用案内レール3には、例えば4枚の仕切りパネル5をそれぞれ移動可能に支持させるとともに、各左右区画用案内レール4には、例えば2枚の仕切りパネル5をそれぞれ移動可能に支持させてある。
【0016】
そして、図2及び図3に示すように、特定の案内レール3、4の一部のみを他の案内レール1、2の一部に平行に接近させて配している。この実施形態においては、前述した1本の前後区画用案内レール3と3本の左右区画用案内レール4が、それぞれ特定の案内レールに該当し、外縁用案内レール1、2が他の案内レールに該当する。これらの前後区画用案内レール3と左右区画用案内レール4は、それぞれ延伸方向が異なる複数の直線領域3a、3b、4a、4bと、これら直線領域3a、3b、4a、4b同士を滑らかに連続させる曲線領域3c、4cとを備えたものであり、直線領域3a、3b、4a、4bの少なくとも1つを他の案内レール1、2の一部に平行に接近させて配している。
【0017】
具体的に説明すれば、前後区画用案内レール3は、図2に示すように、長尺な横向きの外縁用案内レール1と平行な第1の直線領域3aと、この第1の直線部3aの両端にそれぞれ曲線領域3cを介して連続させた第2の直線領域3bとを備えたもので、第2の直線領域3bは第1の直線領域3aに対して直交する方向に延びている。そして、これら第2の直線領域3bは、対応する縦向き外縁用案内レール2の内側に平行に接近させて配されている。第2の直線領域3bと対応する外縁用案内レール2との接近度合は、各案内レール2、3に支持された仕切りパネル5同士が干渉しないことを条件として、相互の離間距離が可及的に小さくなるように設定されている。
【0018】
左右区画用案内レール4は、図2に示すように、縦向きの外縁用案内レール2と平行な第1の直線領域4aと、この第1の直線領域4aの両端にそれぞれ曲線領域4cを介して連続させた第2の直線領域4bとを備えたもので、第2の直線領域4bは第1の直線領域4aに対して直交する方向に延びている。そして、これら第2の直線領域4bは、対応する横向き外縁用案内レール1の内側に平行に接近させて配されている。第2の直線領域4aと対応する外縁用案内レール1との接近度合は、各案内レール1、4に支持された仕切りパネル5同士が干渉しないことを前提として、案内レール1、4相互の離間距離が可及的に小さくなるように設定されている。
【0019】
この実施形態では、横方向に延びる横向き外縁用案内レール1の長さを4モジュール(例えば、1モジュールが3600mm)とするとともに、縦方向に延びる縦向き外縁用案内レール2の長さを2モジュールに設定しており、各案内レール1、2、3、4に支持された仕切りパネル5の巾寸法をそれぞれ900mm程度としている。そして、前後区画用案内レール3の左右方向寸法は、4モジュール弱に設定され、左右区画用案内レール4の前後方向寸法は、2モジュール弱に設定されている。そして、各区画用案内レール3、4の曲線領域3c、4cの曲率半径は、仕切りパネル5の巾寸法と同程度、すなわち、900mm前後に設定されている。これらの具体的寸法は一例であり、案内レール1、2、3、4の長さや仕切りパネル5の大きさ等に応じて適宜設定可能なものである。なお、本実施形態では前述したように仕切りパネル5の巾寸法をそれぞれ900mm程度に設定しているが、仕切りパネル5の巾寸法は例えば700~1200mmの範囲で任意に設定してよい。
【0020】
外縁用案内レール1、2と区画用案内レール3、4は、平面視における長さ寸法や配置パターンが異なるだけであり、基本的に同じ断面形状をなす床レールFR及び天井レールCRにより構成されている。
【0021】
詳述すれば、前述した各案内レール1、2、3、4は、仕切りパネル5を受止め支持しつつ案内する床レールFRを主体に構成されたものである。すなわち、この実施形態における案内レール1、2、3、4は、仕切りパネル5をその荷重を支持しつつ案内する床レールFRを主体とするもので、この床レールFRの真上に当該床レールFRと同じ案内パターンを有し仕切りパネル5の厚み方向の傾きや転動を防止する天井レールCRが設けられている。
【0022】
床レールFRは、例えば、OAフロアー等と称される二重床6上に配されたものである。この二重床6は、図5及び図8に示すように、建築床F上に複数の支持脚61を介して床パネル62を敷設し、その床パネル62上にカーペット63を敷き詰めた通常のものである。この実施形態の床レールFRは、かかる二重床6の床パネル62の上に止着されたもので、レール本体FR1はカーペット63の切れ目を通して外部に露出するように配設されている。すなわち、床レールFRは、上方に開口するチャンネル状のレール本体FR1と、このレール本体FR1の底部から外側方に延出させた薄いフランジ部FR2とを一体に備えたもので、フランジFR2部を皿ビス等により床パネル62に止着することによって、二重床6に取着されている。レール本体FR1の高さ寸法は、カーペット63の厚み寸法に近い値に設定されているため、フランジ部FR2が薄いことと相まって、床レールFRの開口端は、カーペット63の切れ目から外部に目立つことなく露出するようになっている。床レールFRは、押出成形により一体に作られたものであり、その開口端には、凹陥溝FRaが形成されている。
【0023】
天井レールCRは、例えば、アルミ押出材製のもので、下方に開口するチャンネル状をなしている。天井レールCRは、天井材7の下面に添接された通常のもので、懸吊具CR1を介して図示しない天井構造材に懸吊支持されている。
【0024】
仕切りパネル5は、正面視長方形状のパネル本体51を備えたもので、その底部に、床レールFRに沿って転動する複数の車輪52を首振り可能に設けているとともに、頂部に天井レールCRに案内される複数の水平回転ローラ53を設けている。
【0025】
パネル本体51は、左右の側枠54と、両側枠54の上端間に架設された上枠55と、両側枠54の下端間に架設された下枠56と、これら上枠55及び下枠56の間に位置させて両側枠54間にそれぞれ架設された上中間枠57及び下中間枠58とを備えたものである。上枠55と上中間枠57との間、及び、下枠56と下中間枠58との間は、それぞれ空間5sが形成されており、上中間枠57と下中間枠58との間にだけ面板59が装着されている。面板59としては、ホワイトボード、木目調のボード、あるいは、金属板を網目状に成型したエキスパンドメタル等が使用可能であり、前述した以外の材料を利用して形成してももちろんよい。さらに、面板59を省略してもよい。その場合、上中間枠57と下中間枠58との間に1本または複数本の横桟を設け、この横桟にホワイトボードパネルその他のオプション部材を掛けることができるようにするとよい。
【0026】
上枠55は、角柱パイプ状のものであり、両端近傍部に前述した水平回転ローラ53を有する転倒抑止具551がそれぞれ設けられている。転倒抑止具551は、上枠44内に配設され上下対をなす軸受け555を有する基体552と、この基体552の上下の軸受け555にスライド可能に支持された鉛直軸553と、この鉛直軸553の上端部に枢着された水平回転ローラ53と、この水平回転ローラ53を鉛直軸553とともに上方に弾性付勢するスプリング554とを備えたものである。鉛直軸553の上端部と水平回転ローラ53は、天井レールCR内に配され、この水平回転ローラ53が天井レールCRの内側面のいずれかに選択的に転接するようになっている。
【0027】
下枠56は、上端部を折り返した板状の素材により構成された前後一対の面板560の上端間を天井板565を介して接続してなる下方に開放されたチャンネル状のものであり、両端近傍部に前述した車輪52を有する自在戸車561がそれぞれ設けられている。自在戸車561は、取付高さ調整用のライナー564及び雄ネジ569を介して下枠56の天井板565に止着されたベース562と、このベース562にスラストベアリング566を介して取り付けられ取付軸567の軸心周りに回動可能な首振りフレーム563と、この首振りフレーム563に軸着された車輪52とを備えたもので、その車輪52が床レールFRの凹陥溝FRaに転動可能に係合させてある。床レールの凹陥溝FRaは、例えば、上方に向かって漸次開口幅が拡大する断面V字形のものであり、車輪52は、外周部が凹陥溝FRaに係合する形状をなしている。首振りフレーム563は、車輪52の進行方向両側において床レールFRに係り合う誘導要素568を備えており、これら誘導要素568が床レールFRをトレースすることにより車輪52が床レールFRから脱線しない方向に逐次首振動作を行うように構成されている。なお、自在戸車561には下枠56の長手方向中央側に向けて突出する回り止め板56Aが設けられている。流通時には自在戸車561の回り止めを行うべく回り止めねじ56Bを下枠56の天井板565及び回り止め板56Aの切欠き部56Cを貫通させた状態としているが、使用時にはこの回り止めねじ56Bは取り外される。図6及び図8ではこの回り止めねじ56Bを想像線により示している。また、取付高さ調整用のライナー564の枚数は天井や床面の不陸等その他に対応して任意に設定してよく、ライナー564を設けない(ライナー564が0枚である)ようにしてもかまわない。
【0028】
ここで、図2は実施形態に係るゾーニングシステムZを示す平面図であり、図3は同実ゾーニングシステムZによるゾーニングの態様を示す概略図である。図4は本実施形態の仕切りパネル5を示す正面図である。図5図4におけるA-A線に沿った断面図であり、上枠55と上中間枠57との中間部分、上中間枠57と下中間枠58との中間部分、及び下中間枠58と下枠56との中間部分は省略して示している。図6図4におけるB部拡大図である。なお、図4及び図6においては、床レールFR及び天井レールCRを想像線により示している。また、図6では、自在戸車561をわかりやすく示すべく、下枠56の前面を形成する部分を破断している。図7図5におけるC部拡大図であり、図8図5におけるD部拡大図である。そして、図9は案内レール、より具体的には床レールFRの曲線領域及び仕切りパネル5を示す概略図である。また、各案内レール1、2、3、4を構成する床レールFR及び天井レールCRはそれぞれ基本的に同じ断面形状をなすものであり、仕切りパネル5は同一の態様で移動可能に支持されているため、以上の説明及び図4~9においては、床レールには符号FR、天井レールには符号CRのみを付している。
【0029】
次いで、このゾーニングシステムZ1の作用効果について説明する。
【0030】
以上説明した第1実施形態のゾーニングシステムZ1では、各案内レール1、2、3、4に支持された仕切りパネル5は、対応する案内レール1、2、3、4(床レールFRと天井レールCR)に沿って自在に幅方向に移動させることができるが、他の案内レール1、2、3、4に移行させることはできない。この点は、従来のものと同様であるが、本ゾーニングシステムZ1では、特定の案内レール3、4の一部のみを他の案内レール1、2の一部に平行に接近させて配しているため、従来のものに比べてゾーニングの自由度を効果的に高めることができる。
【0031】
すなわち、本ゾーニングシステムZ1によれば、特定の案内レール3、4に支持されている仕切りパネル5を、他の案内レール1、2の一部に平行に接近させている部位に移動させることによって、当該仕切りパネル5に、あたかも他の案内レール1、2に乗り移ったかのような配置を採らせることが可能になる。そのため、案内レールをポイントを介して接続しているのと同じようなパネル配置の自由度が生まれる。図を参照して具体的に説明すれば、次の通りである。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態に対応した従来のゾーニングシステムZ0を示している。比較例であるこの従来システムは、平面視長方形状に配された4本の外縁用案内レールJ1、J2と、これら外縁用案内レールJ1、J2により囲まれる空間S内を前後(平面視において上下)に2分割する1本の前後区画用案内レールJ3と、外縁用案内レールJ1、J2により囲まれる空間S0内を左右に4分割する3本の左右区画用案内レールJ4とを備えたものである。そして、長尺な2本の横向きの外縁用案内レールJ1に8枚の仕切りパネルJ5をそれぞれ移動可能に支持させるとともに、2本の縦向きの外縁用案内レールJ2に4枚の仕切りパネルJ5をそれぞれ移動可能に支持させている。また、前後区画用案内レールJ3には、4枚の仕切りパネルJ5をそれぞれ移動可能に支持させるとともに、各左右区画用案内レールJ4には、2枚の仕切りパネルJ5をそれぞれ移動可能に支持させてある。全ての案内レールJ1、J2、J3、J4は直線状のものであり、交差点で各仕切りパネルJ5は係止されるようになっている。
【0033】
このような比較例では、各外縁用案内レールJ1、J2に支持されたパネルJ5や、各区画用案内レールJ3、J4に支持された仕切りパネルJ5は、対応する案内レールJ1、J2、J3、J4に沿って直線的にしか移動できない。そのため、この比較例では、図1(a)に示すように全空間を8つの小エリアJA1に区画するか、図1(b)に示すように2つの小エリアJA1と3つの中エリアJA2に区切るか、図1(c)に示すように4つの小エリアJA1と2つの中エリアJA2に区画するような形態変化には対応することができるが、全空間を1つまたは2つの大きなエリアに区成するようなことはできない。
【0034】
これに対して、本発明の第1実施形態に係るゾーニングシステムZ1によれば、区画用案内レール3、4に支持された仕切りパネル5は、仕切り機能を発揮し得る位置に設置することができるだけでなく、案内レール3、4の曲線領域3c、4cで方向転換をさせることによって外縁用案内レール1、2に沿った位置に退避させることもできる。そのため、従来例において可能なエリア分けは全て実現することができる上に、さらに、全空間を1つ又は2つの大きなエリアに分ける等、エリア変更の自由度を飛躍的に高めることができる。
【0035】
すなわち、図3(a)は、外縁用案内レール1、2に囲まれた全空間Sを8つの小エリアA1(1辺が1モジュールの正方形のエリア)に分けたもので、従来でも可能な態様であるが、図3(b)、(c)、(d)は、本実施形態特有のエリア分けであり、従来システムでは不可能な態様例である。すなわち、図3(b)は、前後区画用案内レール3に支持される全ての仕切りパネル5を、当該案内レール3の第1の直線領域3aから曲線領域3cを通過させて第2の直線領域3bに退避させたものである。第2の直線領域3bに退避させた仕切パネル5は、外縁用案内レール2上に移行したかのような姿勢で保持されることになり、全空間Sは、前後に仕切られていない4つの中エリアA2(短辺が1モジュールで長辺が2モジュールの長方形のエリア)に区画されることになる。
【0036】
図3(c)は、図3(b)の状態からさらに2本の左右区画用案内レール4上の仕切りパネル5を、第1の直線領域4aから曲線領域4cを通過させて第2の直線領域4bに退避させたものである。この場合には、全空間Sが、仕切りパネル5を第1の直線領域4aに残した中央の左右区画用案内レール4を境にして、2つの大エリアA3(1辺が2モジュールの正方形のエリア)に区画されることになる。
【0037】
図3(d)は、図3(c)の状態からさらに中央の左右区画用案内レール4上の仕切りパネル5をも、第1の直線領域4aから曲線領域4cを通過させて第2の直線領域4bに退避させたものである。この場合には、全空間Sに、仕切りのない単一の特大エリアA4(長辺が4モジュールで短辺が2モジュールの長方形をなすエリア)が形成されることになる。
【0038】
さらに、この第1実施形態によれば、図3(d)の状態から、例えば前後区画用案内レール3の第1の直線領域3aに仕切りパネル5を復帰させることによって、全空間Sを二つの横長なエリア(長辺が4モジュールで短辺が1モジュールのエリア)に区画することができ、また、図3(c)の状態に代えて、他の左右区画用案内レールにのみ仕切りパネルを残すことによって、全空間Sを縦辺が2モジュールで横辺が1モジュールのエリアと、縦辺が2モジュールで横辺が3モジュールのエリアとに区画することもできる。
【0039】
このように本発明に係るゾーニングシステムZ1によれば、従来のシステムに比べてエリア変更の自由度が飛躍的に高まるものである。しかも、本ゾーニングシステムZ1は、各案内レール1、2、3、4が相互に独立しており、ポイント等を介して案内レール同士を接続するものではないため、構造の複雑化を抑制することができるとともに、パネル移動操作の煩雑さを招くこともない。
【0040】
<第2実施形態(図10図11)>
第2実施形態のゾーニングシステムZ2は、図10に示すように、例えば、縦2モジュール、横1モジュールの空間S2を囲繞する1本の連続した外縁用案内レールK1と、空間S内に配された1本の区画用案内レールK3とを備えたもので、外縁用案内レールK1に、複数、例えば6枚の仕切りパネルK5をそれぞれ移動可能に支持させるとともに、区画用案内レールK3に、複数、例えば2枚の仕切りパネルK5をそれぞれ移動可能に支持させている。
【0041】
外縁用案内レールK1は、空間S2を介して左右に対向する一対の第1の直線領域K1aと、空間S2を介して前後に対向する一対の第2の直線領域K1bと、これら第1、第2の直線領域K1a、K1bの端部同士をそれぞれ滑らかに連続させる4つの曲線領域K1cとを備えたものである。区画用案内レールK3は、空間S2を前後に区画する第1の直線領域K3aと、この第1の直線領域K3aの端部に曲線領域K3cを介して滑らかに連続する第2の直線領域K3bとを備えたものである。そして、区画用案内レールK3の第2の直線領域K3bのみ(特定の案内レールの一部のみ)を、外縁用案内レールK1の第1の直線領域K1aの片半部(他の案内レールの一部)に平行に接近させて配している。
【0042】
外縁用案内レールK1及び区画用案内レールK3は、第1実施形態と同様に、床レールFRの上方に同じ案内パターンを有する天井レールCRを配したものでよい。仕切りパネルK5も前述した仕切りパネル5と同じ構成のものでよい。
【0043】
このような構成のものであれば、区画用案内レールK3に支持された仕切りパネルK5は、仕切り機能を発揮し得る位置に設置することができるだけでなく、案内レールK3の曲線領域K3cで方向転換をさせることによって外縁用案内レールK1に沿った位置に退避させることもできる。そのため、仕切りパネルを方向転換させることができない従来のものに比べて、エリア変更の自由度を高めることができる。
【0044】
図11(a)は、外縁用案内レールK1に6枚の仕切りパネルK5を概ね均等に間隔を空けて支持させるとともに、区画用案内レールK3の第1の直線領域K3aに2枚の仕切りパネルK5を配したものであり、空間S2が、一辺1モジュールの正方形をなす2つの小エリアA11に区画されている。
【0045】
図11(b)は、外縁用案内レールK1の片半部に6枚の仕切りパネルK5を集中させている。そして、区画用案内レールK3に支持された2枚の仕切りパネルK5の内、一方を第1の直線領域K3aに残すとともに、他方を第2の直線領域K3bに退避させている。それにより、空間S2の片半部にだけ一辺1モジュールの正方形をなす小エリアA11を形成している。
【0046】
図11(c)は、図11(a)の状態から、区画用案内レールK3の第1の直線領域K3aの仕切りパネルK5を第2の直線領域K3bに退避させたものであり、空間S2に相当する大きなエリアA12を形成している。
【0047】
図11(d)は、外縁用案内レールK1に支持された仕切りパネルK5を第1の直線領域K1aの一方に集中させるとともに、区画用案内レールK3に支持された2枚の仕切りパネルK5を一方の第2の直線領域K3bに退避させたものであり、空間S2を開放している。
【0048】
このゾーニングシステムZ2においても、区画用案内レールK3に支持された仕切りパネルK5を、あたかも外縁用案内レールK1上に移行させたかのような位置に退避させることができるため、図11に一部の例を示したように種々のゾーニングが可能となる。
【0049】
<第3実施形態(図12図13)>
第3実施形態のゾーニングシステムZ3は、図12に示すように、直交する建築壁W1、W2と共同してコーナーの空間S3をゾーニングするように構成されたもので、外縁用案内レールL1と、2本の区画用案内レールL3、L4とを備えたものである。外縁用案内レールL1には複数の、例えば4枚の仕切りパネルL5が移動可能に支持させてあり、一方の区画用案内レールL3には複数の、例えば3枚の仕切りパネルL5が移動可能に支持させてあり、他方の区画用案内レールL4には複数の、例えば2枚の仕切りパネルが移動可能に支持させてある。
【0050】
外縁用案内レールL1は、空間S3を介して一方の建築壁W1に対向する第1の直線領域L1aと、空間S3を介して他方の建築壁W2に対向する第2の直線領域L1bと、これら第1、第2の直線領域L1a、L1bの端部同士をそれぞれ滑らかに連続させる曲線領域L1cとを備えたものである。一方の区画用案内レールL3は、空間S3を前後に区画する第1の直線領域L3aと、この第1の直線領域L3aの端部に曲線領域L3cを介して滑らかに連続する第2の直線領域L3bとを備えたものである。そして、区画用案内レールL3の第2の直線領域L3bのみ(特定の案内レールの一部のみ)を、外縁用案内レールL1の第1の直線領域L1aの一部(他の案内レールの一部)に平行に接近させて配している。他方の区画用案内レールL4は、空間Sの一部を左右に区画する第1の直線領域L4aと、この第1の直線領域L4aの両端部に曲線領域L4cを介して滑らかに連続する対をなす第2の直線領域L4bとを備えたものである。そして、区画用案内レールL4の一方の第2の直線領域L4bのみ(特定の案内レールの一部のみ)を、外縁用案内レールL1の第2の直線領域L1bの一部(他の案内レールの一部)に平行に接近させて配している。
【0051】
外縁用案内レールL1及び区画用案内レールL3、L4は、第1実施形態と同様に、床レールFRの上方に同じ案内パターンを有する天井レールCRを配したものである。仕切りパネルL5も前述した仕切りパネル5と同じ構成のものである。
【0052】
このような構成のものであれば、区画用案内レールL3、L4に支持された仕切りパネルL5は、仕切り機能を発揮し得る位置に設置することができるだけでなく、案内レールL3、L4の曲線領域L3c、L4cで方向転換をさせることによって外縁用案内レールL1に沿った位置に退避させることもできる。そのため、仕切りパネルを方向転換させることができない従来のものに比べて、エリア変更の自由度を高めることができる。
【0053】
図13(a)は、一方の区画用案内レールL3に支持されている全ての仕切りパネルL5を外縁用案内レールL1に平行に接近させた第2の直線領域L3bに退避させるとともに、他方の区画用案内レールL4に支持されている全ての仕切りパネルL5を当該区画用案内レールL4の外縁用案内レールL1に平行に接近させた第2の直線領域L4bに退避させたものであり、空間Sに相当する大きなエリアA21を形成している。この場合、外縁用案内レールL1に支持されている仕切りパネルL5は、大部屋となるエリアへの動線や囲われ感などを配慮して適宜な位置に移動させておけばよい。
【0054】
図13(b)は、図13(a)に示す状態から、一方の区画用案内レールL3の第2の直線領域L3bに退避させてある仕切りパネルを、当該区画用案内レールL3の第1の直線領域L3aに復帰させることによって空間Sを前後に区画したものであり、当該空間Sが、大きな中部屋となるエリアA22と、小さな中部屋となるエリアA23とに区画されることになる。
【0055】
図13(c)は、図13(b)に示す状態から、他方の区画用案内レールL4の第2の直線領域L4bに退避させていた仕切りパネルを、当該区画用案内レールL4の第1の直線領域L4aに復帰させたものであり、空間Sが、大きな中部屋となるエリアA22と、二つの小部屋となるエリアA24とに区画されている。この場合も、外縁用案内レールL1に支持されている仕切りパネルL5は、中部屋となるエリアA22や小部屋となるエリアA24への動線等を配慮して適宜な位置に移動させておけばよい。
【0056】
<その他の実施態様>
なお、本発明は、以上説明した第1、第2、第3実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0057】
例えば、本発明は、特定の案内レールの一部のみを他の案内レールの一部に平行に接近させて配している点を必須の発明特定事項としているが、ここでいう「特定の案内レールの一部のみ」や「他の案内レールの一部」は、必ずしも平面視直線でなくてもよく、例えば、平面視曲線であってもよい。図14に示すゾーニングシステムZ4は、平面視円弧状をなす外縁用案内レールM1と、この外縁用案内レールM1に囲まれた空間を区画する区画用案内レールM3とを備えたもので、外縁用案内レールM1および区画用案内レールM3にそれぞれ複数の仕切りパネルM5を移動可能に支持させている。
【0058】
区画用案内レールM3は、空間Sを二分割する直線領域M3aと、この直線領域M3aの端部に小円弧領域M3cを介して滑らかに連続し外縁用案内レールM1に沿って伸びる大円弧領域M3bとを備えたものである。
【0059】
また、以上の実施形態は、「特定の案内レール」が区画用案内レールであり、「他の案内レール」が外縁用案内レールである場合について説明したが、本発明は必ずしもこのようなものに限られず、例えば、「特定の案内レール」も「他の案内レール」も区画用案内レールにするなど、種々変形が可能である。
【0060】
さらに、案内レールは、外縁用或いは区画用に限られたものでもなく、例えば、図15に示すようなものであってよい。図15に示すゾーニングシステムZ5では、直線領域N1aと曲線領域N1cとを有するループ状の案内レールN1を複数備え、各案内レールN1上にそれぞれ複数の仕切りパネルN5を移動可能に支持させているものであり、各ループ状案内レールN1における他の隣接するループ状案内レールN1に対向する一辺の直線領域N1aのみ(特定の案内レールの一部のみ)を、隣接するループ状案内レールN1の一辺の直線領域N1a(他の案内レールの一部)に平行に接近させて配している。このような構成のものであっても、各ループ状案内レール401に複数の仕切りパネルを移動可能に支持させておけば、空間を種々の形態のエリアに区画することが可能となる。
【0061】
また、前記第一ないし第三実施形態では、案内レールが仕切りパネルを受止め支持しつつ案内する床レールを主体に構成されたものであるが、その他の態様、例えば、案内レールが仕切りパネルを懸吊支持しつつ案内する天井レールを主体に構成されたものであってもよい。床レールは、前記第一ないし第三実施形態では二重床の上に敷設しているが、建築床面に直接敷設するものであってもかまわない。
【0062】
一方、案内レールが仕切りパネルを受止め支持しつつ案内する床レールを主体に構成されたものにおいても、仕切りパネルへの車輪の取付態様は前記第一ないし第三実施形態にかかるもの、すなわち床レールに沿って転動する複数の車輪をパネル本体の底部に首振り可能に設けてなるもの以外の種々のものを採用してもよい。但し、前記第一ないし第三実施形態にかかる構成であれば、車輪が床レールから脱線しない方向に逐次首振動作を行うことによって、仕切りパネルが案内レール上を安定して走行することができる。
【0063】
さらに、仕切りパネルの構成も任意のものを採用してよい。すなわち、側枠、上枠及び下枠の形状、材質その他の仕様は任意に設定してよく、また、上枠と下枠との間に設ける中間枠を設けるか否か、設ける場合にはその本数も任意に設定してよい。特に、仕切りパネルの下枠は、図16を参照しつつ以下に述べるような構成のものであってもよい。
【0064】
この下枠X56は、以下の点で前述した第一ないし第三実施形態に係る下枠56と異なり、その他の点では同一の構成を有している。対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。すなわちこの下枠X56は、下方に開放され上面に左右に述べる凹溝X56aを有するチャネル状の下枠本体X560と、この下枠本体X560の凹溝X56aの下方に取り付けられ上方に開放されたチャネル状の天井板X565とを剛結してなるものであり、両端近傍部に前記第一ないし第三実施形態に係るものと同様な車輪52を有する自在戸車561がそれぞれ設けられている。この自在戸車561も、第一ないし第三実施形態に係るものと同様の構成を有しているので、対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。ここで、図16は、この下枠X56を含む仕切りパネルの下端部を示す図8に対応する部位で切断した断面図である。
【0065】
そして、各案内レールに支持させる仕切りパネルの数は任意に設定してよい。換言すれば、前記第一ないし第三実施形態にかかる構成では各案内レールにそれぞれ複数の仕切りパネルが支持させてあるが、いずれか1つ又は複数の案内レールには仕切りパネルを1つだけ支持させるようにしてもよい。
【0066】
加えて、本発明のゾーニングシステムにより区画する空間の寸法及び形状は任意のものであってもよく、特定の案内レールにより区画されるエリアの数及び形状も任意のものであってよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0068】
Z、Z2~Z5…ゾーニングシステム
3…特定の案内レール(前後区画用案内レール)
4…特定の案内レール(左右区画用案内レール)
3a、3b、4a、4b…直線領域
3c、4c…曲線領域
1、2…他の案内レール(外縁用案内レール)
K3…特定の案内レール(区画用案内レール)
K3a、K3b…直線領域
K3c…曲線領域
K1…他の案内レール(外縁用案内レール)
L3、L4…特定の案内レール(区画用案内レール)
L3a、L3b、L4a、L4b…直線領域
L3c、L4c…曲線領域
L1…他の案内レール(外縁用案内レール)
M3…特定の案内レール
M1…他の案内レール
N1…案内レール
5、K5、L5、M5、N5…仕切りパネル
51…パネル本体
52…車輪
FR…床レール
A1~A4、A11~A12、A21~A24…区画されるエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16