IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-手洗いカウンター 図1
  • 特許-手洗いカウンター 図2
  • 特許-手洗いカウンター 図3
  • 特許-手洗いカウンター 図4
  • 特許-手洗いカウンター 図5
  • 特許-手洗いカウンター 図6
  • 特許-手洗いカウンター 図7
  • 特許-手洗いカウンター 図8
  • 特許-手洗いカウンター 図9
  • 特許-手洗いカウンター 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】手洗いカウンター
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/02 20060101AFI20250520BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
A47B67/02 502L
A47K1/00 S
A47K1/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021124758
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019783
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】帖地 彩
(72)【発明者】
【氏名】田畑 博之
(72)【発明者】
【氏名】石津 大資
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087517(JP,A)
【文献】特開2018-089244(JP,A)
【文献】特開2013-180173(JP,A)
【文献】実開平03-022740(JP,U)
【文献】実開昭59-171590(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/02
A47B 67/00
A47K 1/00
A47K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部を有するカウンターと、
前記カウンターの下方に設けられるキャビネットと
を備え、
前記キャビネットは、
垂直状態と傾斜状態との間で可動し、前記キャビネットの内側へ下端が移動することで前記傾斜状態となるフロントパネルと、
前記傾斜状態における前記フロントパネルの前記下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面が形成される荷物置き部と
を有する
ことを特徴とする手洗いカウンター。
【請求項2】
前記荷物置き面は、
前記垂直状態における前記フロントパネルの後方に位置する
ことを特徴とする請求項に記載の手洗いカウンター。
【請求項3】
前記フロントパネルには、使用者が手指を掛けるための手掛かり部が設けられる
ことを特徴とする請求項またはに記載の手洗いカウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、手洗いカウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手洗いや洗面に使用される手洗いカウンターには、使用者が手荷物を置くためのスペース(手荷物の置き場所)が、たとえば、カウンターの上面に設けられたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-22030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の手洗いカウンターにおいて、水跳ねなどによってカウンターの上面が濡れていることが多々あり、使用者が濡れた上面に手荷物を置くことを躊躇う場面がある。このような場面では、手荷物を置くための棚などが別途設けられていない限り、手荷物を濡らさずに(衛生的に)置けるような場所がない。
【0005】
また、カウンターの下方にキャビネットが設けられている場合、通常はキャビネットの前面がパネルで塞がれているため、この場合も手荷物の置き場所はない。
【0006】
実施形態の一態様は、手荷物を衛生的に置ける場所を設けることができ、かつ、この手荷物の置き場所をコストをかけずに設けることができる手洗いカウンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る手洗いカウンターは、ボウル部を有するカウンターと、前記カウンターの下方に設けられるキャビネットとを備え、前記キャビネットは、前記キャビネットの前面を覆うとともに、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネルと、前記フロントパネルの下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面が形成される荷物置き部とを有する。
【0008】
このような構成によれば、フロントパネルの下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面が形成されるため、キャビネットの内側となる荷物置き面に置かれた手荷物の被水を抑制することができる。すなわち、手荷物を濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物を置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物の置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0009】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネルによってキャビネットの前面が開放されているため、手洗いカウンターに対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0010】
また、上記した手洗いカウンターにおいて、前記フロントパネルは、前記傾斜状態と、前記フロントパネルが垂直に設置された垂直状態との間で可動する。
【0011】
このような構成によれば、荷物置き面の未使用時には垂直状態のフロントパネルにより外観性を損なうこともなく、また、荷物置き面を使用するときにはフロントパネルを後方へと傾けるだけの簡単な操作で手荷物を置くためのスペース(手荷物の置き場所)を容易に作り出すことができる。
【0012】
また、上記した手洗いカウンターにおいて、前記荷物置き面は、前記垂直状態における前記フロントパネルの後方に位置する。
【0013】
このような構成によれば、荷物置き面の未使用時には垂直状態のフロントパネルに覆われているため、荷物置き面が濡れるのを抑えることができる。
【0014】
また、上記した手洗いカウンターにおいては、前記フロントパネルには、使用者が手指を掛けるための手掛かり部が設けられる。
【0015】
このような構成によれば、使用者が手掛かり部に手指を掛けてフロントパネルを動かすことができる。これにより、フロントパネルを容易に動かすことができる。
【発明の効果】
【0016】
実施形態の一態様によれば、手荷物を衛生的に置ける場所を設けることができ、かつ、この手荷物の置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る手洗いカウンターを示す斜視図(その1)である。
図2図2は、第1実施形態に係る手洗いカウンターを示す斜視図(その2)である。
図3図3は、図2におけるA-A線断面図である。
図4図4は、図3におけるB部の拡大図である。
図5図5は、図3におけるC部の拡大図である。
図6図6は、フロントパネルの操作説明図(その1)である。
図7図7は、フロントパネルの操作説明図(その2)である。
図8図8は、第2実施形態に係る手洗いカウンターを示す斜視図である。
図9図9は、第2実施形態に係る手洗いカウンターの第1変形例を示す斜視図である。
図10図10は、第2実施形態に係る手洗いカウンターの第2変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する手洗いカウンターの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
<第1実施形態>
図1~7を参照して第1実施形態に係る手洗いカウンター1について説明する。図1は、第1実施形態に係る手洗いカウンター1を示す斜視図であり、フロントパネル31が垂直状態の場合を示す図である。図2は、第1実施形態に係る手洗いカウンター1を示す斜視図であり、フロントパネル31が傾斜状態の場合を示す図である。
【0020】
図3は、図2におけるA-A線断面図(第1実施形態に係る手洗いカウンター1の左右方向の中央断面図)である。図4は、図3におけるB部の拡大図(フロントパネル31の上端部の拡大図)である。図5は、図3におけるC部の拡大図(フロントパネル31の下端部の拡大図)である。
【0021】
図6は、フロントパネル31の操作説明図であり、具体的には、フロントパネル31を垂直状態から傾斜状態へと操作する場合の説明図である。図7は、フロントパネル31の操作説明図であり、具体的には、フロントパネル31を傾斜状態から垂直状態へと操作する場合の説明図である。
【0022】
なお、各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定している。このため、以下では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0023】
手洗いカウンター1は、たとえば、トイレルームに設置され、用便の後などの使用者の手洗いや、使用者の洗面などに使用される。手洗いカウンター1は、トイレルームなどの壁面にその後面を密着させて設置される。
【0024】
図1~3に示すように、手洗いカウンター1は、カウンター2と、キャビネット3とを備える。カウンター2は、たとえば、陶器製であり、後述するキャビネット3の上方に設けられる。カウンター2は、上面21と、前面22とを備える。上面21は、水平な面である。なお、本明細書において「水平」は、厳密な水平に限らず、略水平を含む。上面21は、たとえば、手洗いカウンター1を使用している使用者側へ向けて、すなわち、前方へ向けて下り傾斜した面であってもよい。
【0025】
前面22は、上面21の前端側から連続する垂直な面である。なお、本明細書において「垂直」は、厳密な垂直に限らず、略垂直を含む。
【0026】
また、カウンター2は、ボウル部23を備える。ボウル部23は、たとえば、陶器製であり、カウンター2の上面21に凹状に形成され、ボウル部23の後部上方などに配置された吐水口(図示せず)から吐出される水を受ける。ボウル部23は、カウンター2の上面21と一体形成される。なお、ボウル部23は、カウンター2の上面21とは別体で、上面21に取り付けられるタイプであってもよい。
【0027】
また、図3に示すように、ボウル部23は、その底部に形成された排水口231に排水管4が接続される。ボウル部23は、吐水口からの水を、排水口231から排水管4へと排出する。
【0028】
図1~3に示すように、キャビネット3は、カウンター2の下方に設けられる。キャビネット3は、全体として矩形箱状であり、フロントパネル31と、サブフロントパネル32と、サイドパネル33と、ボトムパネル34と、バックプレート35とを備える。
【0029】
フロントパネル(メインフロントパネルともいう)31は、キャビネット3の前面に配設され、キャビネット3の前面を覆う矩形板状の部材である。フロントパネル31は、キャビネット3の前面を覆うように、垂直に設置された垂直状態(図1参照)と、キャビネット3前面を開放するように、キャビネット3の内側(奥側)へと引っ込んだ(後方へ向けて傾斜した)傾斜状態(図2参照)との間で可動する。なお、フロントパネル31の詳細については、図3~7を用いて後述する。
【0030】
サブフロントパネル32は、キャビネット3の前面に配設されるとともに、フロントパネル(メインフロントパネル)31の下方に配設され、フロントパネル31と共にキャビネット3の前面を覆う矩形板状の部材である。サブフロントパネル32は、後述する脚部36がキャビネット3の前方から見えないように隠すための化粧材でもある。
【0031】
サイドパネル33は、キャビネット3の左右の側面にそれぞれ配設され、キャビネット3の左右の側面を覆う矩形板状の部材である。なお、左右のサイドパネル33のそれぞれの下部(下面)には、複数(2つ)の脚部36が前後方向に並んで設けられる。脚部36は、たとえば、金属製である。なお、脚部36は、上記したように、キャビネット3の前方から見えないように、サブフロントパネル32によって隠されている。
【0032】
また、フロントパネル31は、キャビネット3の前面において、これら左右のサイドパネル33の間に配置される。
【0033】
ボトムパネル34は、キャビネット3の下部に配設され、キャビネット3の底面を形成する矩形板状の部材である。ボトムパネル34は、サブフロントパネル32の上方に位置し、その上面341が水平な面を形成する。なお、ボトムパネル34の上面341は、後述する荷物置き部37における荷物置き面341となる。また、ボトムパネル34の上面(荷物置き面)341には、後述するストッパー部38(図3参照)が設けられる。
【0034】
バックプレート35は、キャビネット3の後面に配設される。バックプレート35は、矩形板状の部材であり、図3に示すように、キャビネット3の後面における上部および下部において、左右のサイドパネル33の間に配置される。バックプレート35は、左右のサイドパネル33の間に懸架されるように設けられることで、キャビネット3を補強する補強材となる。
【0035】
なお、バックプレート35は、キャビネット3の後面の全体を覆うようなパネル部材であってもよい。また、キャビネット3は、その後面がトイレルームなどの壁面に密着することから、バックプレート35を備えないものであってもよい。
【0036】
また、フロントパネル31、サブフロントパネル32、サイドパネル33、ボトムパネル34およびバックプレート35は、たとえば、木製、樹脂製または金属製である。また、フロントパネル31、サブフロントパネル32、サイドパネル33、ボトムパネル34およびバックプレート35は、上記以外の材料から形成されたものであってもよい。
【0037】
図2および3に示すように、キャビネット3は、荷物置き部37をさらに備える。荷物置き部37は、手洗いカウンター1の使用者が手荷物HB(図2参照)を置くための荷物置き面(ボトムパネル34の上面)341を備える。
【0038】
荷物置き面341は、フロントパネル31が垂直状態の場合にはフロントパネル31の後方に位置し、フロントパネル31が後方へ向けて傾斜状態となることで、キャビネット3の前面が開放されて、キャビネット3の前面にあらわれる。荷物置き面341は、フロントパネル31の下端側から前方へ向けて延びるように形成された面である。
【0039】
ここで、図3~7を参照してフロントパネル31の詳細について説明する。図3に示すように、フロントパネル31は、垂直に設置された垂直状態と、フロントパネル31の下端側がキャビネット3の内側へと移動して、後方へ向けて傾斜した状態(傾斜状態)との間で可動する。言い換えると、フロントパネル31は、垂直状態から傾斜状態へと可変し、傾斜状態から垂直状態へと可変する。
【0040】
図3~5に示すように、フロントパネル31は、垂直状態では、後述する係合部311a,311bが係合することで、キャビネット3の前面において吊り下げ状態で配置される。また、フロントパネル31は、傾斜状態では、係合部311a,311bによって、その上端部がキャビネット3の前面に固定され、ストッパー部38によって、その下端部が荷物置き面341の後部に固定される。
【0041】
フロントパネル31は、その上端部に係合部(以下、第1フックという)311aを備える。第1フック311aは、カウンター2の前面22の後面に設けられた係合部(以下、第2フックという)311bと係合することで、フロントパネル31を吊り下げ状態で保持する。第1フック311aは、フロントパネル31の上端縁に沿って左右方向に連続して設けられる。なお、第1フック311aは、左右方向に断続的に複数設けられてもよい。
【0042】
第2フック311bも同様に、左右方向に連続して設けられてもよいし、左右方向に断続的に複数設けられた第1フック311aと対応するように、左右方向に断続的に複数設けられてもよい。なお、第1フック311aおよび第2フック311bは、たとえば、アルミニウム合金などの軽金属製である。
【0043】
また、フロントパネル31は、その下端部に、使用者が手指を掛けるための手掛かり部312を備える。手掛かり部312は、フロントパネル31の下端部を形成するとともに、左右方向に連続して設けられる。手掛かり部312は、その前面に、使用者が手指を挿入可能な凹部312aが形成される。凹部312aは、手掛かり部312の前面において、左右方向に連続して形成される。なお、手掛かり部312は、たとえば、アルミニウム合金などの軽金属製である。
【0044】
上記したように、荷物置き面341の後部には、フロントパネル31を傾斜状態で保持するために、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)を係止するストッパー部38が設けられる。ストッパー部38は、たとえば、左右方向に連続するレール状に設けられる。なお、ストッパー部38は、荷物置き面341の後部において左右方向に断続的に複数設けられてもよいし、荷物置き面341の後部おける一部にのみ設けられてもよい。
【0045】
また、ストッパー部38は、その側断面の形状が、上方が開放されたコ字状となるように形成される。ストッパー部38は、上方からフロントパネル31の下端部(手掛かり部312)が挿入されることで、フロントパネル31の下端部を固定して、フロントパネル31を傾斜状態で保持する。なお、ストッパー部38は、たとえば、樹脂製である。
【0046】
また、ストッパー部38としては、フロントパネル31を傾斜状態で保持するように機能すれば事足りるため、たとえば、左右方向に連続するかまたは左右方向に沿って断続的に複数並んだ、樹脂製などの単なる矩形板状の部材であってもよい。このような部材を用いても、摩擦によってフロントパネル31を傾斜状態で保持することができる。あるいは、ストッパー部38を設けずに、フロントパネル31の下端部を荷物置き面341に直接当接させることで、フロントパネル31を傾斜状態で保持してもよい。
【0047】
手洗いカウンター1は、たとえば、その未使用時、フロントパネル31が垂直状態であり、フロントパネル31によってキャビネット3の前面が閉鎖されている。手洗いカウンター1の使用者は、手洗いや洗面を行う場合には、フロントパネル31を、たとえば、手荷物HBを持っていない方の手で動かして、手荷物HBを置くためのスペース(荷物置き部37)を作り出す。
【0048】
この場合、まず、図6(左部)に示すように、使用者は、手掛かり部312の凹部312aに手指を挿入して、フロントパネル31を上方(D1方向)へと持ち上げる。これにより、第1フック311aと第2フック311bとの係合が解除される。
【0049】
次いで、図6(中央部)に示すように、使用者は、荷物置き面341よりも高く持ち上げたフロントパネル31の下端部(手掛かり部312)を後方(D2方向)へと押す。
【0050】
次いで、図6(右部)に示すように、使用者は、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)を下方(D3方向)へと下げて、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)とストッパー部38とを係合させるとともに、第1フック311aと第2フック311bとを係合させる。これにより、フロントパネル31が傾斜状態となる。
【0051】
このように、使用者は、手洗いカウンター1を使用する場合には、手荷物HB(図2参照)を置くための荷物置き面341を、フロントパネル31を傾斜状態となるように操作して作り出す。
【0052】
また、手洗いカウンター1の使用者は、手洗いや洗面を終えると、手荷物HBを再度持ち、フロントパネル31を、たとえば、手荷物HBを持っていない方の手で動かして、フロントパネル31を元の状態(垂直状態)へと戻す。
【0053】
この場合、まず、図7(左部)に示すように、使用者は、手掛かり部312の凹部312aに手指を挿入して、フロントパネル31を上方(D4方向)へと持ち上げる。これにより、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)とストッパー部38との係合が解除されるとともに、第1フック311aと第2フック311bとの係合が解除される。
【0054】
次いで、図7(中央部)に示すように、使用者は、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)を前方(D5方向)へと引き戻す。
【0055】
次いで、図7(右部)に示すように、使用者は、フロントパネル31の下端部(手掛かり部312)を下方(D6方向)へと下げて、第1フック311aと第2フック311bとを係合させる。これにより、フロントパネル31が垂直状態となる。
【0056】
このように、使用者は、手洗いカウンター1の使用を終えると、フロントパネル31を垂直状態となるように操作して、キャビネット3(図1参照)の前面において荷物置き面341が露出していない状態とする。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態によれば、フロントパネル31の下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成されるため、キャビネット3の内側となる荷物置き面341に置かれた手荷物HBの被水を(手荷物HBに水がかかるのを)抑制することができる。すなわち、手荷物HBを濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物HBを置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物HBの置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0058】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル31によってキャビネット3の前面が開放されているため、手洗いカウンター1に対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0059】
また、荷物置き面341の未使用時には垂直状態のフロントパネル31によって外観性を損なうこともなく、また、荷物置き面341を使用するときにはフロントパネル31を後方へと傾けるだけの簡単な操作で手荷物HBを置くためのスペース(手荷物HBの置き場所)を容易に作り出すことができる。
【0060】
また、荷物置き面341の未使用時には垂直状態のフロントパネル31に覆われているため、言い換えると、荷物置き面341の使用時のみ荷物置き面341があらわれるため、荷物置き面341が濡れるのを抑えることができる。
【0061】
また、フロントパネル31の垂直状態において、フロントパネル31の下端部が荷物置き面341よりも下方に位置することで、荷物置き面341が濡れるのをさらに抑えることができる。
【0062】
また、使用者が手掛かり部312に手指を掛けてフロントパネル31を動かすことができ、これにより、フロントパネル31を容易に動かすことができる。
【0063】
<第1実施形態の変形例>
上記した第1実施形態では、係合部である第1フック311aと第2フック311bとの係合によって、フロントパネル31を垂直状態と傾斜状態との間で可動するように構成しているが、たとえば、フロントパネル31の上端部をヒンジ構造として、フロントパネル31を前後方向に揺動可能となるように構成してもよい。
【0064】
この場合、フロントパネル31は、垂直状態において、その下端部が荷物置き面341よりも上方に位置するように、上下方向の寸法が設定される。
【0065】
また、この場合、フロントパネル31は、垂直状態へと戻る方向に付勢されていることが好ましい。
【0066】
このような構成によれば、フロントパネル31の下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成されるため、キャビネット3の内側となる荷物置き面341に置かれた手荷物HBの被水を抑制することができる。すなわち、手荷物HBを濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物HBを置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物HBの置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0067】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル31によってキャビネット3の前面が開放されているため、手洗いカウンター1に対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0068】
また、荷物置き面341の未使用時には垂直状態のフロントパネル31によって外観性を損なうこともなく、また、荷物置き面341を使用するときにはフロントパネル31を後方へと傾けるだけの簡単な操作で手荷物HBを置くためのスペース(手荷物HBの置き場所)を容易に作り出すことができる。
【0069】
また、荷物置き面341の未使用時には垂直状態のフロントパネル31に覆われているため、荷物置き面341が濡れるのを抑えることができる。
【0070】
また、フロントパネル31を後方へと押すだけで荷物置き面341を作り出し、また、手荷物HBの重さによってフロントパネル31を傾斜状態で保持することができる。
【0071】
また、フロントパネル31が垂直状態へと戻る方向に付勢されているため、使用者が荷物置き面341から手荷物HBを取り除くことで、フロントパネル31が自動的に垂直状態へと戻るようになる。
【0072】
<第2実施形態>
図8を参照して第2実施形態に係る手洗いカウンター10について説明する。図8は、第2実施形態に係る手洗いカウンター10を示す斜視図である。
【0073】
なお、第2実施形態に係る手洗いカウンター10は、上記した第1実施形態とは、フロントパネル310の構成が異なる。このため、以下で説明する第2実施形態において、第1実施形態と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、同一または同等箇所の説明を省略している。
【0074】
図8に示すように、手洗いカウンター10は、フロントパネル310を備える。フロントパネル310は、後方へ向けて傾斜状態である。このように、手洗いカウンター10は、キャビネット3の前面に、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル310による凹部(荷物置き部37)を備える。そして、フロントパネル310の下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成される。
【0075】
第2実施形態によれば、フロントパネル310の下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成されるため、キャビネット3の内側となる荷物置き面341に置かれた手荷物HB(図2参照)の被水を抑制することができる。すなわち、手荷物HBを濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物HBを置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物HBの置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0076】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル310によってキャビネット3の前面が開放されているため、手洗いカウンター10に対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0077】
<第2実施形態の変形例>
図9および10を参照して第2実施形態の変形例について説明する。図9は、第2実施形態に係る手洗いカウンター10の第1変形例(手洗いカウンター10A)を示す斜視図である。図10は、第2実施形態に係る手洗いカウンター10の第2変形例(手洗いカウンター10B)を示す斜視図である。
【0078】
図9に示すように、第1変形例に係る手洗いカウンター10Aは、フロントパネル310Aを備える。フロントパネル310Aは、後方へ向けて傾斜状態であるとともに、後方へと膨らむような湾曲面を有する。
【0079】
このような構成によれば、フロントパネル310Aの下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成されるため、キャビネット3の内側となる荷物置き面341に置かれた手荷物HB(図2参照)の被水を抑制することができる。すなわち、手荷物HBを濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物HBを置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物HBの置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0080】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル310Aによってキャビネット3の前面が開放されているため、手洗いカウンター10Aに対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0081】
また、第1変形例においては、フロントパネル310Aが後方へと膨らむような湾曲面を有することで、凹部である荷物置き部37の容積を大きくとることができる。これにより、手荷物HBのサイズが大きい場合でも対応可能となる。
【0082】
図10に示すように、第2変形例に係る手洗いカウンター10Bは、フロントパネル310Bを備える。フロントパネル310Bは、後方へ向けて傾斜状態であるとともに、複数(図示の例では、2つ)の面を有する。
【0083】
このような構成によれば、フロントパネル310Bの下端側から前方へ向けて延びるように荷物置き面341が形成されるため、キャビネット3の内側となる荷物置き面341に置かれた手荷物HB(図2参照)の被水を抑制することができる。すなわち、手荷物HBを濡らさずに(衛生的に)置ける場所を設けることができる。また、手荷物HBを置くための棚などを別途設ける必要がないため、手荷物HBの置き場所をコストをかけずに設けることができる。
【0084】
また、後方へ向けて傾斜状態のフロントパネル310Bによってキャビネット3の前面が開放されているため、手洗いカウンター10Bに対して使用者がより近付いた状態で使用することができる。
【0085】
また、第2変形例においても、凹部である荷物置き部37の容積を大きくとることができ、これにより、手荷物HBのサイズが大きい場合でも対応可能となる。
【0086】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 手洗いカウンター
2 カウンター
3 キャビネット
23 ボウル部
31 フロントパネル
37 荷物置き部
312 手掛かり部
341 荷物置き面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10