(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20250520BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250520BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021168733
(22)【出願日】2021-10-14
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森 厚平
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康介
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕葵
(72)【発明者】
【氏名】永井 敦
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/038790(WO,A1)
【文献】特開2010-91465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動駐車機能を備える車両の駐車予定地点における少なくとも自車両
及び前記自車両以外の他の車両の過去の運転の履歴を取得する取得部と、
取得した運転の履歴に基づいて
、前記自車両の切り返し回数が所定回数以上の場合又は前記他の車両の切り返し回数の平均値が前記所定回数以上の場合、前記駐車予定地点の駐車の難易度が
高いと判定する判定部と、
前記判定部により前記難易度が高いと判定された場合、自動駐車機能の使用を提案する提案情報を、車両内に設けられる出力装置に出力させる提案部と、
を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記判定部は、さらに、取得した運転の履歴に基づいて、駐車予定地点において前記自車両及び前記他の車両がバックで駐車した割合が所定の割合以上の場合、前記駐車予定地点の駐車の難易度が高いと判定する
請求項1に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転するドライバに対して自動駐車機能の提案を行う駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種車載ユニットの操作に関係する情報を提供する車両用のエージェント装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、車両のドライバによる操舵なしに車両を自動で駐車する自動駐車システムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-89360号公報
【文献】特開2021-8243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を駐車する場所として、自宅の駐車場のような慣れた場所と、公共の駐車場のような慣れていない場所とがある。例えば、慣れていない駐車場または狭い駐車場では自動駐車機能が必要とされる場合が多く、慣れた駐車場又は広い駐車場では自動駐車機能が必要とされない場合が多い。また、自動駐車機能の使用の要否は、運転の技量によっても異なる。
【0005】
例えば、エージェント装置の提案機能に自動駐車機能が含まれる場合、エージェント装置は、ドライバが自動駐車機能を必要としているか否かにかかわりなく所定の条件下で自動駐車機能の使用を提案する。自動駐車機能が不要な場面で自動駐車機能の使用が提案された場合、ドライバ等に不快感を与えてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、駐車予定地点での自車両を含む車両の過去の運転の履歴に基づいて、ドライバに不快感を与えることなく自動駐車機能の使用を提案する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、自動駐車機能を備える車両の駐車予定地点における少なくとも自車両及び前記自車両以外の他の車両の過去の運転の履歴を取得する取得部と、取得した運転の履歴に基づいて、前記自車両の切り返し回数が所定回数以上の場合又は前記他の車両の切り返し回数の平均値が前記所定回数以上の場合、前記駐車予定地点の駐車の難易度が高いと判定する判定部と、前記判定部により前記難易度が高いと判定された場合、自動駐車機能の使用を提案する提案情報を、車両内に設けられる出力装置に出力させる提案部と、を備える駐車支援装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、駐車予定地点での自車両を含む車両の過去の運転の履歴に基づいて、ドライバに不快感を与えることなく自動駐車機能の使用を提案する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るエージェント装置を含むエージェントシステムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1の車両のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1のエージェントサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3のエージェントサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1のエージェントシステムにおいて実行される自動駐車機能の使用を提案する処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】
図5のステップS34の選定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
[第1の実施形態の構成]
図1は、第1の実施形態に係るエージェント装置を含むエージェントシステムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すエージェントシステム10は、ネットワークNを介して相互に無線で接続される車両12、エージェントサーバ30及び情報提供サーバ40を有する。エージェントサーバ30は、駐車支援装置の一例である。例えば、車両12は、車載器20と、車両12の各部を制御する制御装置である複数のECU(Electronic Control Unit)22とを有する。車両12には、車両12のドライバからの指示に基づいて機能する自動駐車機能が搭載されている。
【0012】
エージェントサーバ30は、車載器20から車両12の情報を取得することにより、車両12の制御状態及び位置情報を把握し、車両12の乗員に対する推奨機能の提案に関する情報を車載器20に送信する。推奨機能は、自動駐車機能を含む。
【0013】
例えば、エージェントサーバ30は、車載器20から車両12の駐車予定地点を取得する。エージェントサーバ30は、取得した駐車予定地点における少なくとも自車両12を含む車両の過去の運転の履歴を情報提供サーバ40から取得する。エージェントサーバ30は、取得した運転の履歴に基づいて駐車予定地点の駐車の難易度が高いか否かを判定する。そして、エージェントサーバ30は、駐車の難易度が高いと判定した場合、自動駐車機能の使用を提案する提案情報を車載器20に出力し、車両12内に設けられるスピーカ又はモニタ等の出力装置に提案情報を出力させる。例えば、駐車の難易度は、駐車予定地点での自車両12を含む車両の切り返し回数及びバックで駐車する車両の頻度の少なくともいずれかに基づいて判定される。
【0014】
情報提供サーバ40は、様々な駐車場又は駐車スペース等の駐車予定地点における過去の自車両12を含む車両の運転の履歴を示す運転履歴情報を、エージェントサーバ30等に提供可能に保持している。情報提供サーバ40が提供する運転履歴情報は、各地点での車両の切り返し回数を示す切り返し情報及びバックで駐車する車両の割合を示すバック頻度情報の少なくともいずれかを含む。ここで、車両の切り返しとは、例えば、車両の前進と後退とにより車両の向きを変えることを示し、前進と後退、又は後退と前進とで1回の切り返しとする。
【0015】
情報提供サーバ40は、車両毎に切り返し回数を蓄積しているため、エージェントサーバ30に対する問い合わせに対して、自車両12の切り返し回数と、自車両12以外の車両の切り返し回数とを、エージェントサーバ30に応答可能である。なお、情報提供サーバ40は、切り返し回数の代わりに、駐車予定地点での切り返し回数が多いか少ないかを示す切り返し情報をエージェントサーバ30に応答してもよい。
【0016】
なお、情報提供サーバ40が蓄積する切り返し回数は、ドライバが操舵する場合の駐車の難易度の指標となる。このため、情報提供サーバ40が蓄積する切り返し回数は、自動駐車機能を使用したときの車両の切り返し回数は含まないことが好ましい。
【0017】
車載器20は、各ECU22から送信されたCAN(Controller Area Network)プロトコルに基づく通信情報を取得し、エージェントサーバ30に送信する機能を有する。
例えば、車両12に搭載されるECU22として、車両制御ECU、エンジンECU、ブレーキECU、ボデーECU、カメラECU、マルチメディアECU等がある。車載器20及び各ECU22は、外部バス29を介して、相互に接続される。
【0018】
図2は、
図1の車両12のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。車両12は、
図1に示した車載器20及び複数のECU22に加えて、マイク24、スピーカ26、モニタ27及びGPS(Global Positioning System)装置28を有する。
【0019】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(インタフェース)20D、無線通信I/F20E及び入出力I/F20Fを有する。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、無線通信I/F20E及び入出力I/F20Fは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続される。
【0020】
例えば、CPU20Aは、ROM20Bに格納された各種プログラムを実行することで車両12の各部を制御する。CPU20Aは、各種プログラムの実行に使用するデータを記憶する作業領域をRAM20Cに割り当ててもよい。
【0021】
ROM20Bには、各種プログラムと初期設定値等のデータとが予め格納される。ROM20Bに格納される各種プログラムとして、車載器20を制御するための制御プログラムがある。RAM20Cは、CPU20Aの作業領域として使用され、ワークデータ又はプログラム等を一時的に記憶する。
【0022】
車内通信I/F20Dは、外部バス29を介して複数のECU22と接続される。例えば、車内通信I/F20Dは、CANプロトコルに基づく通信フレームを車載器20と各ECU22との間で送受信する。なお、車内通信I/F20Dは、イーサネット(登録商標)を使用して通信を実施してもよい。
【0023】
無線通信I/F20Eは、
図1に示したネットワークNに無線で接続され、エージェントサーバ30及び情報提供サーバ40との間で通信を実施する無線通信モジュールである。無線通信I/F20Eでは、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格が使用される。
【0024】
入出力I/F20Fは、車両12に搭載されるマイク24、スピーカ26、モニタ27及びGPS装置28等に接続され、各種データ信号及び各種電圧信号等を送受信する。なお、マイク24、スピーカ26、モニタ27及びGPS装置28の少なくともいずれかは、入出力I/F20Fを介することなく、内部バス20Gに直接接続されてもよい。スピーカ26及びモニタ27は、出力装置の一例である。
【0025】
マイク24は、車両12内のインストルメントパネル、センタコンソール、フロントピラー、又はダッシュボード等に設けられる。マイク24は、車両12の乗員が発した音声を集音し、集音により生成した音声データを入出力インタフェース20Fに出力する。
【0026】
スピーカ26は、インストルメントパネル、センタコンソール、フロントピラー、又はダッシュボード等に設けられる。スピーカ26は、入出力インタフェース20Fを介してCPU20Aから受信する音声データ等に基づいて音声等を出力する。スピーカ26は、CPU20Aによる制御に基づいて、推奨機能を提案する音声を出力可能である。
【0027】
モニタ27は、例えば、液晶モニタであり、車両12のインストルメントパネル、ダッシュボード等に設けられる。モニタ27は、入出力インタフェース20Fから受信する画像データ(テキスト情報を含む)に基づいて画像を表示する。モニタ27は、CPU20Aによる制御に基づいて、推奨機能の提案を示す画像を表示可能である。推奨機能の提案を示す画像には、スピーカ26から出力される音声を示すテキスト、及び、マニュアル等に記載された推奨機能の説明が含まれてもよい。すなわち、推奨機能は、スピーカ26とモニタ27とを同時に使用して提案されてもよい。
【0028】
GPS装置28は、車両12の現在位置を測定する装置である。GPS装置28は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含む。なお、GPS装置28は、車両12に搭載される図示しないカーナビゲーションシステムを経由して車載器20に接続されてもよい。
【0029】
CPU20Aは、入出力I/F20Fを介してGPS装置28から受信する車両12の位置情報等に基づいて、車両12の駐車予定地点を認識可能である。例えば、CPU20Aは、GPS装置28に接続されたカーナビゲーションシステムに設定された目的地と地図情報とに基づいて、駐車予定地点を認識してもよい。
【0030】
図3は、
図1のエージェントサーバ30のハードウェア構成を示すブロック図である。エージェントサーバ30は、内部バス30Gを介して相互に通信可能に接続されるCPU30A、ROM30B、RAM30C、ストレージ30D及び通信I/F30Eを有する。CPU30A、ROM30B、RAM30C及び通信I/F30Eの機能は、
図2に示した車載器20のCPU20A、ROM20B、RAM20C及び無線通信I/F20Eの機能とそれぞれ同様である。なお、通信I/F30Eは、有線による通信を行ってもよい。
【0031】
ストレージ30Dは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)であり、各種プログラム及び各種データを記憶する。例えば、ストレージ30Dには、CPU30Aにより実行される処理プログラム100、機能DB(データベース)110、オーナーズマニュアル120、及び機能利用情報130が記憶される。なお、処理プログラム100、機能DB(データベース)110、オーナーズマニュアル120、及び機能利用情報130は、ROM30Bに記憶されてもよい。
【0032】
処理プログラム100は、エージェントサーバ30を制御するためのプログラムである。機能DB110は、車両12の機能の情報を記憶したデータベースである。車両12の機能には、車両12の走行機能に係る走行機能群と、車両12の自動駐車機能に係る自動駐車機能群と、車室内の快適機能に係る快適機能群と、が含まれている。車両12の乗員に提案する推奨機能は、機能DB110に記憶されている。
【0033】
オーナーズマニュアル120は、車両12の各機能に係るマニュアルを記憶したデータベースである。機能利用情報130は、車両12の機能を動作させた履歴が記憶されている。
【0034】
図4は、
図3のエージェントサーバ30の機能構成を示すブロック図である。例えば、エージェントサーバ30は、CPU30Aが処理プログラム100を実行することにより機能する取得部200、検出部210、選定部220及び提案部230を有する。
【0035】
取得部200は、車両12が走行する地点及び駐車予定地点の位置情報を車載器20から取得する機能を有する。また、取得部200は、車載器20から取得した駐車予定地点での少なくとも自車両12を含む車両の運転履歴情報(切り返し情報及びバック頻度情報等)を情報提供サーバ40から取得する機能を有する。なお、取得部200は、車両12が走行する地点の気象に関する気象情報を情報提供サーバ40等から取得する機能を有してもよい。
【0036】
検出部210は、車両12において動作している機器を検出する機能を有する。例えば、検出部210は、選定部220により選定される推奨機能が動作しているか否かを、車載器20から取得した車両12の通信情報に基づいて検出する。
【0037】
選定部220は、車両12の機能のうち、乗員に対して動作を推奨する推奨機能を選定する。車両12の機能には、自動駐車機能が含まれる。選定部220は、
図3の機能DB110を参照し、車両12の走行モードにおいて推奨する推奨機能(例えば、自動駐車機能又は降雪時のスノーモード等)を選定する。
【0038】
例えば、選定部220は、取得部200により取得された運転履歴情報に基づいて、駐車予定地点の駐車の難易度が高いと判定した場合、車両12の自動駐車機能を推奨機能として選定する。駐車の難易度は、例えば、駐車時の車両の切り返し回数が多いほど高く、バックで駐車する車両の割合が多いほど高い。選定部220は、取得した運転の履歴に基づいて駐車予定地点の駐車の難易度が高いか否かを判定する判定部の一例である。
【0039】
提案部230は、選定された推奨機能の利用を乗員に提案する提案情報を車載器20に送信する機能を有する。提案部230は、選定部220により選定された推奨機能が車両12で動作しておらず、かつ、推奨機能を動作させることが好ましい場合、提案情報を車載器20に送信する。例えば、提案部230は、選定部220により駐車予定地点の駐車の難易度が高いと判定され、自動駐車機能が推奨機能として選定された場合、自動駐車機能の使用を提案する提案情報を車載器20に送信する。
【0040】
図5は、
図1のエージェントシステム10において自動駐車機能の使用を提案する処理の流れを示すシーケンス図である。車載器20における処理は、CPU20Aがプログラムを実行することにより実現される。エージェントサーバ30における処理は、CPU30Aが、プログラムの実行により取得部200、検出部210、選定部220及び提案部230として機能することで実現される。
図5は、エージェントサーバ30による複数種の推奨機能のうち、自動駐車機能の使用を提案する例が示される。
【0041】
まず、車載器20のCPU20Aは、ステップS21において、駐車予定地点の位置情報及び車両ID(Identification)をエージェントサーバ30に送信する。そして、車載器20は、ステップS21に続いてステップS22、S23の処理を実施する。例えば、車載器20は、カーナビゲーションシステムに目的地が設定されたとき、又は目的地に近づいたとき、位置情報及び車両IDをエージェントサーバ30に送信する。
【0042】
エージェントサーバ30のCPU30Aは、ステップS31において、車載器20から送信される位置情報及び車両IDを受信する。CPU30Aは、ステップS31で車載器20から位置情報及び車両IDを受信した場合、ステップS32以降の処理を実施する。CPU30Aは、ステップS32において、車載器20から受信した位置情報及び車両IDを情報提供サーバ40に送信する。
【0043】
情報提供サーバ40は、ステップS41において、エージェントサーバ30から送信される位置情報及び車両IDを受信する。情報提供サーバ40は、ステップS41でエージェントサーバ30から位置情報及び車両IDを受信した場合、ステップS42の処理を実施する。
【0044】
情報提供サーバ40は、ステップS42において、受信した位置情報が示す駐車予定地点での車両の過去の切り返し情報と車両の過去のバック頻度情報とを図示しないデータベースから取得する。なお、データベースは、例えば、切り返し情報を車両IDに紐付けて記憶している。情報提供サーバ40は、取得した切り返し情報とバック頻度情報とをエージェントサーバ30に送信し、エージェントサーバ30からの次の情報の受信を待つ。
【0045】
ここで、情報提供サーバ40は、駐車予定地点において、例えば、車両IDが示す車両12の過去の切り返し回数の平均値と、車両12以外の他の車両の過去の切り返し回数の平均値とを切り返し情報としてエージェントサーバ30に送信する。また、情報提供サーバ40は、駐車予定地点において、過去にバックで駐車した車両の割合を示すバック頻度情報をエージェントサーバ30に送信する。
【0046】
ここで、各駐車予定地点において、車両IDが同じ車両(又は同じドライバ)がバックで駐車するか否かの傾向は、車両毎にほぼ同じになる。また、各駐車予定地点において、過去の駐車回数は、車両毎に互いに異なる。このため、特定の車両の駐車回数が他の車両の駐車回数より極めて多い場合、過去の全駐車回数に基づいて算出されたバックで駐車した車両の割合は、特定の車両の駐車回数に依存してしまう。したがって、適正なバック駐車頻度を得るためには、各駐車予定地点において、バックで駐車した車両の割合は、バックで駐車したか否かを示す車両毎の情報に基づいて算出されるることが好ましい。
【0047】
CPU30Aは、ステップS32の後、ステップS33において、情報提供サーバ40から送信される切り返し情報とバック頻度情報とを受信する。次に、CPU30Aは、ステップS34において、受信した切り返し情報とバック頻度情報とに基づいて、車両12のドライバ等に提示する推奨機能を選定する。
図5に示す例では、CPU30Aは、ステップS34において、自動駐車機能を選定するか否かを決定する。ステップS34による選定処理の例は、
図6で説明される。
【0048】
次に、CPU30Aは、ステップS35において、ステップS34の選定結果に基づいて、自動駐車機能の使用を提案するか否かを判定する。CPU30Aは、自動駐車機能の使用を提案する場合、ステップS36の処理を実施する。CPU30Aは、自動駐車機能の使用を提案しない場合、
図5に示すエージェントサーバ30の処理を終了し、車載器20からの次の情報の受信を待つ。
【0049】
CPU30Aは、ステップS36において、自動駐車機能の使用を提案する提案情報を車載器20に送信する。ステップS36の後、CPU30Aは、車載器20からの次の情報の受信を待つ。
【0050】
車載器20のCPU20Aは、ステップS22において、エージェントサーバ30から送信される提案情報を受信する。次に、CPU20Aは、車両12が駐車予定地点に到達した場合、又は、駐車予定地点に近づいた場合、ステップS23において、自動駐車機能の使用を提案(推奨)する情報をスピーカ26又はモニタ27等を使用して車両12の乗員等に提示する。
【0051】
この実施形態では、エージェントサーバ30は、自動駐車機能の使用の提案を、駐車予定地点での自車両12を含む車両の過去の運転の履歴に基づいて、駐車の難易度が高い場合のみ行うことができる。すなわち、自動駐車機能の使用の提案は、車両12が駐車予定地点に到達する毎に行われるのではない。これにより、自動運転機能を使用せずに車両12を駐車できると推定される駐車予定地点では、自動駐車機能の使用の提案が行われることを抑制することができる。この結果、ドライバに不快感を与えることなく自動駐車機能の使用を提案することができる。
【0052】
例えば、CPU20Aは、自動駐車機能を提案する音声をスピーカ26に出力させ、または、自動駐車機能の提案を示すテキストまたは画像をモニタ27に表示させる。あるいは、CPU20Aは、自動駐車機能を提案する音声のスピーカ26からの出力と、自動駐車機能の提案を示すテキストまたは画像のモニタ27への表示との制御を同時に行ってもよい。
【0053】
なお、エージェントサーバ30のCPU30Aは、ステップS35で自動駐車機能を提案しない場合、自動駐車機能を提案しないことを示す非提案情報を車載器20に送信してもよい。この場合、エージェントサーバ30から非提案情報を受信したCPU20Aは、ステップS23の処理をせずに、
図5に示す車載器20の処理を終了する。
【0054】
図6は、
図5のステップS34の選定処理の一例を示すフロー図である。エージェントサーバ30のCPU30Aは、情報提供サーバ40から受信する切り返し情報とバック頻度情報とに基づいて
図6に示す処理を実施する。
【0055】
まず、CPU30Aは、ステップS341において、切り返し情報に基づいて、自車両12の過去の駐車毎の切り返し回数が所定回数以上か否かを判定する。例えば、CPU30Aは、切り返し回数が所定回数以上の場合、自車両12の過去の駐車での切り返しが多いと判定し、ステップS344の処理を実施する。CPU30Aは、切り返し回数が所定回数未満の場合、自車両12の過去の駐車での切り返しが少ないと判定し、ステップS342の処理を実施する。
【0056】
CPU30Aは、ステップS342において、切り返し情報に基づいて、過去の駐車毎の切り返し回数が所定回数以上の車両が多いか否かを判定する。例えば、CPU30Aは、車両12以外の他の車両の過去の駐車毎の切り返し回数の平均値が所定回数以上の場合、過去の駐車での切り返しが多いと判定し、ステップS344の処理を実施する。CPU30Aは、車両12以外の他の車両の過去の駐車毎の切り返し回数の平均値が所定回数未満の場合、過去の駐車での切り返しが少ないと判定し、ステップS343の処理を実施する。
【0057】
CPU30Aは、ステップS343において、バック頻度情報に基づいて、バックで駐車する車両が多いか否かを判定する。例えば、CPU30Aは、バック頻度情報で示されるバックで駐車した割合が所定の割合以上の場合、バックで駐車する車両が多いと判定し、ステップS344を実施する。CPU30Aは、バック頻度情報で示されるバックで駐車した頻度が所定の割合より低い場合、バックで駐車する車両が少ないと判定し、ステップS345を実施する。
【0058】
ステップS344において、CPU30Aは、自動駐車機能を推奨機能として選定し、ステップS34の処理を終了する。ステップS345において、エージェントサーバ30は、自動駐車機能を推奨機能として選定せず、
図6に示すステップS34の処理を終了する。
【0059】
なお、情報提供サーバ40は、駐車予定地点毎に車両が自動駐車機能を使用して駐車した頻度を蓄積してもよい。この場合、ステップS343とステップS345の間に、車両が自動駐車機能を使用して駐車した頻度が所定の頻度以上の場合、ステップS344に移行する新たな判定処理が追加されてもよい。
【0060】
なお、
図6では、自車両12の切り返し回数と、他の車両の切り返し回数と、バックでの駐車頻度とに応じて、自動駐車機能が推奨機能として選定される例が示される。しかしながら、自車両12の切り返し回数と、他の車両の切り返し回数と、バックでの駐車頻度との1つまたは2つに応じて、自動駐車機能が推奨機能として選定されてもよい。
【0061】
以上、この実施形態では、エージェントサーバ30は、自動駐車機能の使用の提案を、駐車予定地点での自車両12を含む車両の過去の運転の履歴に基づいて、駐車の難易度が高い場合のみ行うことができる。換言すれば、エージェントサーバ30は、ドライバの駐車動作の傾向、ドライバの運転技量、及び他の車両の駐車動作の傾向を考慮して、自動駐車機能の使用を提案するか否かを判定することができる。これにより、自動運転機能を使用せずに車両12を駐車できると推定される駐車予定地点では、自動駐車機能の使用の提案が行われることを抑制することができる。この結果、ドライバに不快感を与えることなく自動駐車機能の使用を提案することができる。
【0062】
なお、エージェントサーバ30の機能の一部又は全部は、車載器20により実現されてもよい。この場合、
図4に示した取得部200、検出部210、選定部220及び提案部230の機能は、車載器20のCPU20Aがプログラムを実行することで実現され、
図5のステップS31-S36の処理は、CPU20Aにより実施される。すなわち、車載器20は、駐車支援装置としても動作する。
【0063】
なお、車載器20及びエージェントサーバ30の少なくともいずれかは、CPUの代わりに、他のプロセッサを有してもよく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有してもよい。すなわち、車載器20及びエージェントサーバ30の少なくともいずれかの機能は、ハードウェアにより実現されてもよい。また、FPGA又はASICは、通信インタフェースの機能又は入出力インタフェースの機能を含んでもよい。
【0064】
また、上述した実施形態において、CPU20A、30Aがそれぞれ実行するプログラムは、CPU等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されてもよい。この場合、プログラムは、記録媒体からストレージ又はRAM等のメモリにダウンロードされる。記録媒体として、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等が挙げられる。また、プログラムは、ネットワークを介して車載器20及びエージェントサーバ30の少なくともいずれかにダウンロードされてもよい。
【0065】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨をそこなわない範囲で、種々の変形・改良が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 エージェントシステム
12 車両
20 車載器
20A CPU
20B ROM
20C RAM
20D 車内通信I/F
20E 無線通信I/F
20F 入出力I/F
20G 内部バス
22 ECU
24 マイク
26 スピーカ
27 モニタ
28 GPS装置
29 外部バス
30 エージェントサーバ
30A CPU
30B ROM
30C RAM
30D ストレージ
30E 通信I/F
30G 内部バス
40 情報提供サーバ
100 処理プログラム
110 機能DB
120 オーナーズマニュアル
130 機能利用情報
200 取得部
210 検出部
220 選定部
230 提案部