(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20250520BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/42 E
H01R13/42 F
(21)【出願番号】P 2021181776
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】西谷 章弘
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-294384(JP,A)
【文献】特開2020-107470(JP,A)
【文献】特開平03-280370(JP,A)
【文献】実開昭62-198677(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/641
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、
端子と、
前記端子を内部に収容するハウジングと、
前記ハウジングに外部から視認可能に設けられた型枠部と、
前記端子を前記ハウジング内に抜け止めするリテーナと、を備え、
前記型枠部は、本体部と、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向に交差する交差方向に前記本体部から凹んで形成される凹部と、を有し、
前記コネク
タは、前記型枠部より前記ハウジングの内方に配される背景部を備え、
前記リテーナの側部には、後方に突出する突出部が形成され、前記突出部の側面の後側部分は、前記背景部とされており、
前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合が完了した状態では、前記型枠部は嵌合完了時に前記相手側コネクタと嵌合していない非嵌合部に配され、前記背景部は完了位置に配され、前記交差方向について前記型枠部と前記背景部とが重なることにより、前記凹部の内側の部分と前記本体部との間で色の差異が生じることで、外部から検出可能なコードが出現し、
前記背景部が前記完了位置に配されていない状態では、前記コードが出現しない、コネクタ。
【請求項2】
前記凹部は、前記本体部を貫通する貫通孔である、請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記凹部には、前記本体部よりも肉薄とされる肉薄部が設けられている、請求項
1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雄ハウジングと雌ハウジングとが正規嵌合されているか否かを検知する嵌合検知機能を備えたコネクタとして、特表2018-535524号公報(下記特許文献1)に記載の電気コネクタが知られている。この電気コネクタは、第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、第1のコネクタは、ハウジングと、ハウジングによって保持された複数の導体と、ハウジングに回動可能に連結されたレバーと、を備えている。レバーは、ハウジングに対して開位置と閉位置との間で回動可能とされている。
【0003】
ハウジングの左側壁の外面にはバーコードラベルが配置されており、レバーが開位置にあるときには、レバーによってバーコードラベルが隠れるようになっており、バーコードラベルをバーコードスキャナによって読み取り不能となっている。一方、レバーが閉位置にあるときには、レバーに設けられた凹状部分を通してバーコードラベルが露出されることで、バーコードラベルをバーコードスキャナによって読み取り可能となっている。
【0004】
バーコードラベルがバーコードスキャナによって読み取られると、第1のコネクタおよび第2のコネクタが嵌合されていることを記録でき、製造または組立て工程中の進捗の追跡等が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の電気コネクタでは、レバーが開位置にあるときにバーコードラベルがレバーによって隠れているため、バーコードラベルの位置を知ることができない。したがって、バーコードラベルの位置によってはレバーを開位置から閉位置に回動した後に、バーコードラベルをすぐに見つけることができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、端子と、前記端子を内部に収容するハウジングと、前記ハウジングに外部から視認可能に設けられた型枠部と、を備え、前記型枠部は、本体部と、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向に交差する交差方向に前記本体部から凹んで形成される凹部と、を有し、前記コネクタまたは前記相手側コネクタは、前記型枠部より前記ハウジングの内方に配される背景部を備え、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合が完了した状態では、前記背景部は完了位置に配され、前記交差方向について前記型枠部と前記背景部とが重なることにより、前記凹部の内側の部分と前記本体部との間で色の差異が生じることで、外部から検出可能なコードが出現し、前記背景部が前記完了位置に配されていない状態では、前記コードが出現しない、コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コネクタと相手側コネクタとの嵌合が完了した状態でコードをすぐに見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるコネクタ構成体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、コネクタ構成体を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、雌コネクタを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、雌リテーナが係止位置に取り付けられた状態の雌コネクタの平面図である。
【
図5】
図5は、雌リテーナが退避位置に取り付けられた状態の雌コネクタの左側面図である。
【
図6】
図6は、
図4のA-A断面における雌リテーナが退避位置に取り付けられた状態の雌コネクタの断面図である。
【
図7】
図7は、
図4のB-B断面における雌リテーナが退避位置に取り付けられた状態の雌コネクタの断面図である。
【
図8】
図8は、雌リテーナが係止位置に取り付けられた状態の雌コネクタの左側面図である。
【
図12】
図12は、
図4のA-A断面における嵌合途中状態における雄コネクタと雌コネクタの断面図である。
【
図13】
図13は、
図4のB-B断面における嵌合途中状態における雄コネクタと雌コネクタの断面図である。
【
図14】
図14は、
図4のC-C断面における嵌合途中状態における雄コネクタと雌コネクタの断面図である。
【
図15】
図15は、嵌合完了状態における雄コネクタと雌コネクタの拡大左側面図であって、コード周辺を拡大して示す図である。
【
図16】
図16は、
図4のA-A断面における嵌合完了状態における雄コネクタと雌コネクタの断面図である。
【
図17】
図17は、
図4のC-C断面における嵌合完了状態における雄コネクタと雌コネクタの断面図である。
【
図19】
図19は、
図15のD-D断面における雌リテーナが係止位置に取り付けられた状態の雌コネクタの断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態2にかかる嵌合完了状態における雄コネクタと雌コネクタの拡大左側面図であって、コード周辺を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示のコネクタは、相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、端子と、前記端子を内部に収容するハウジングと、前記ハウジングに外部から視認可能に設けられた型枠部と、を備え、前記型枠部は、本体部と、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向に交差する交差方向に前記本体部から凹んで形成される凹部と、を有し、前記コネクタまたは前記相手側コネクタは、前記型枠部より前記ハウジングの内方に配される背景部を備え、前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合が完了した状態では、前記背景部は完了位置に配され、前記交差方向について前記型枠部と前記背景部とが重なることにより、前記凹部の内側の部分と前記本体部との間で色の差異が生じることで、外部から検出可能なコードが出現し、前記背景部が前記完了位置に配されていない状態では、前記コードが出現しない、コネクタである。
【0012】
このような構成によると、コネクタの型枠部は外部から視認可能に設けられており、コネクタと相手側コネクタとの嵌合が完了した状態で型枠部と背景部とが重なることで外部から検出可能なコードが出現するようになっているから、作業者はコネクタと相手側コネクタとを嵌合させる前の段階で型枠部によりコードが出現する位置を認識することができる。
【0013】
(2)本開示のコネクタは、前記端子を前記ハウジング内に抜け止めするリテーナをさらに備え、前記リテーナは、前記背景部を備えることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、ハウジングの型枠部とリテーナの背景部とによりコードを出現させることができる。
【0015】
(3)前記凹部は、前記本体部を貫通する貫通孔であることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、貫通孔を介して背景部が外部に露出されるから、背景部と本体部との間で色の差異を生じさせやすい。
【0017】
(4)前記凹部には、前記本体部よりも肉薄とされる肉薄部が設けられていてもよい。
【0018】
このような構成によると、凹部が形成しやすい。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図19を参照しつつ説明する。本実施形態にかかるコネクタ構成体1は、
図1及び
図2に示すように、雌コネクタ30(コネクタの一例)と、雄コネクタ10(相手側コネクタの一例)と、を有する。以下の説明においては、前後方向は雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合方向を基準とし、互いの嵌合面側を前側とする。上下方向については、
図5を基準とする。左右方向については、
図4の平面図において図示上方を右方、図示下方を左方とする。本実施形態では、前後方向は嵌合方向の一例であり、左右方向は交差方向の一例である。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0021】
[雄コネクタ]
雄コネクタ10は、
図16に示すように、雄端子11と、雄端子11を収容する雄ハウジング14と、雄ハウジング14に取り付けられる雄リテーナ20と、を備える。
【0022】
雄端子11は、金属板材が所定の形状にプレス加工されることにより形成される。雄端子11は、前方に突出する板状をなすタブ12と、タブ12の後方に連なるとともに電線W1が接続される電線接続部13と、を有する。電線接続部13が電線W1の外周に圧着されることにより、電線W1と電線接続部13とが電気的に接続されるようになっている。
【0023】
雄ハウジング14は、全体として直方体形状をなしており、絶縁性の合成樹脂により形成されている。雄ハウジング14は前方に開口するフード部15を有する。フード部15内には、雄端子11のタブ12が前方に突出した状態で配されている。
図1に示すように、雄ハウジング14には雄端子11が収容される複数(本実施形態では5つ)の雄キャビティ16が、左右方向に間隔を空けて形成されている。
図16に示すように、雄キャビティ16の内部には、前方に突出して延びるとともに弾性変形可能な雄ランス17が形成されている。雄ランス17の前端部が雄端子11に後方から係止することにより、雄端子11が雄キャビティ16内に抜け止め状態で保持されるようになっている。
図17に示すように、フード部15の下壁には、後述するロックアーム35のロック部36が嵌入するロック受け部18が、下壁を貫通して設けられている。
図14に示すように、フード部15の上壁には、後述する雌リテーナ41を上方から押圧する押圧突起19が、下方に突出して設けられている。
【0024】
図2に示すように、雄リテーナ20は、全体として上下方向に扁平な板状をなしており、絶縁性の合成樹脂により形成されている。雄リテーナ20の左右両端部には、雄ハウジング14に弾性的に係止するロック部21が設けられている。図示しないが、ロック部21が雄ハウジング14に係止することにより雄リテーナ20が雄ハウジング14に固定されるようになっている。
【0025】
図16に示すように、雄リテーナ20は、雄ハウジング14の雄ランス17が弾性変形する弾性変形空間22内に前方から進入して雄ランス17が弾性変形することを妨げる規制部23を有する。規制部23は、雄ハウジング14の雄ランス17に対応する位置に、雄リテーナ20の後端部から後方に突出して形成されている。
【0026】
図17に示すように、雄リテーナ20の前端部であって、且つ上端部には、前方に突出するとともに、後述する雌リテーナ41と当接する当接部24が形成されている。
図2に示すように、当接部24は上下方向に扁平な板状をなしている。当接部24の前端部には、左右両端部から前方に突出するアーム部25が形成されている。アーム部25は前後方向に細長く延びて形成されている。
図12に示すように、アーム部25の前端部には、下方に突出する係止部26が形成されている。係止部26は、後述する雌リテーナ41の係止受け部44と係止するようになっている。係止部26の後端面は、アーム部25の下面から切り立った形状に形成されている。一方、係止部26の前端面は、前後方向に緩やかに傾斜して形成されている。
【0027】
[雌コネクタ]
図9に示すように、雌コネクタ30は、雌端子31(端子の一例)と、雌端子31を内部に収容する雌ハウジング34(ハウジングの一例)と、雌ハウジング34に前方から装着される雌リテーナ41(リテーナの一例)とを備える。
【0028】
雌端子31は、金属板材が所定の形状にプレス加工されることにより形成される。雌端子31は、接続筒部32と、接続筒部32の後方に連なるとともに電線W2が接続される電線接続部33と、を有する。
図16に示すように、タブ12が接続筒部32内に挿入されると、接続筒部32内に配された弾性接触片(図示せず)とタブ12とが弾性的に接触するようになっている。これにより雄端子11と雌端子31とが電気的に接続されるようになっている。また、電線接続部33が電線W2の外周に圧着されることにより、電線W2と電線接続部33とが電気的に接続されるようになっている。
【0029】
図2に示すように、雌ハウジング34は全体として直方体形状をなしている。雌ハウジング34は、絶縁性の合成樹脂により形成されている。
図17に示すように、雌ハウジング34の下面には、前端部から後方に延びるロックアーム35が形成されている。ロックアーム35は上下方向に弾性変形可能になっている。ロックアーム35の前後方向中央位置付近には、下方に突出するロック部36が形成されている。
【0030】
図1に示すように、雌ハウジング34は前方、及び後方に開口する複数(本実施形態では5つ)の雌キャビティ37を有する。雌キャビティ37は、上下方向について雌ハウジング34の中央位置付近に、左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。
図6に示すように、雌キャビティ37内には後方から雌端子31が収容されるようになっている。
【0031】
図3に示すように、雌ハウジング34の前端部であって、雌キャビティ37の上方の位置には、雌リテーナ41が収容されるリテーナ収容部38が前方に開口して形成されている。リテーナ収容部38は、左右方向に細長く延びるとともに、上下方向について扁平な空間を構成している。リテーナ収容部38と雌キャビティ37とは、上下方向に連通している。
【0032】
図6に示すように、リテーナ収容部38の上壁には、各雌キャビティ37に対応する位置に、斜め前下方に向かって片持ち状に延出された雌ランス39が形成されている。雌ランス39は、雌ランス39の上方に設けられた弾性変形空間40に向かって弾性変位可能とされている。雌端子31が雌キャビティ37の適正な挿入位置まで挿入されると、雌ランス39と雌端子31とが前後方向に係止することで、雌端子31が後方へ抜け止めされた状態で雌ハウジング34内に保持される。雌ランス39の弾性変形空間40は、リテーナ収容部38内に設定されている。
【0033】
図3に示すように、雌リテーナ41は、全体として上下方向に扁平な板状をなしている。雌リテーナ41は絶縁性の合成樹脂により形成されている。
【0034】
図9に示すように、雌リテーナ41の上壁の後端部寄りの部分は、雌端子31が雌ランス39に係止された状態で、雌ランス39の弾性変形空間40内に進入することにより雌ランス39が弾性変形することを妨げる規制部42となっている。
【0035】
図3に示すように、雌リテーナ41の上面には、左右両端部寄りの位置に、それぞれ、下方に凹んだ係止凹部43が形成されている。係止凹部43は前後方向に細長く延びて形成されている。2つの係止凹部43は、同形同大に形成されている。なお、同形同大とは、同形同大である場合を含むとともに、同形同大でない場合であっても実質的に同形同大と認定しうる場合を含む。
【0036】
係止凹部43は、前後方向について、後側が深くなるように、二段階に陥没して形成されている。換言すると、係止凹部43のうち、雌リテーナ41の上面からの陥没深さ寸法は、前側の部分よりも後側の部分の方が大きく形成されている。これにより、係止凹部43には、前側の部分と後側の部分との間に段差状の係止受け部44が形成されている。
図12に示すように、係止受け部44は、雄リテーナ20の係止部26と係止するようになっている。
【0037】
図3に示すように、雌リテーナ41の上面には、係止凹部43の後方の位置に、それぞれ、上方に突出する第1係止部45が形成されている。第1係止部45の前端面は雌リテーナ41の上面から上方に切り立って形成されている。第1係止部45の後端面は前後方向に緩やかに傾斜して形成されている。2つの第1係止部45は、同形同大に形成されている。
【0038】
雌リテーナ41の上面には、左右方向について係止凹部43の内方の位置に、それぞれ、上方に突出する第2係止部46が形成されている。換言すると、左側に形成された係止凹部43の右方の位置と、右側に形成された係止凹部43の左方の位置とに、それぞれ、第2係止部46が形成されている。第2係止部46の前端面は雌リテーナ41の上面から上方に立ち上がって形成されている。第2係止部46の前端面の、雌リテーナ41の上面からの傾斜角度は、第1係止部45の前端面の傾斜角度よりも緩やかに形成されている。第2係止部46の後端面は前後方向に緩やかに傾斜して形成されている。2つの第2係止部46は、同形同大に形成されている。
【0039】
雌リテーナ41の後端部には、左右方向の中央位置付近から後方に突出する2つのアーム部47が形成されている。2つのアーム部47は同形同大に形成されている。アーム部47の後端部には上方に突出する第3係止部48が形成されている。第3係止部48の前端面は前後方向に緩やかに傾斜して形成されている。第3係止部48の後端面は、雌リテーナ41の上面に対して直交して形成されている。なお、直交するとは、直交する場合を含むとともに、直交していない場合であっても実質的に直交していると認定しうる場合も含む。
【0040】
図6に示すように、雌ハウジング34の上壁には、リテーナ収容部38内に雌リテーナ41が収容された状態で、第1係止部45に対応する位置に、前後方向に延びるとともに上下方向に上壁を貫通する第1係止受け部49が形成されている。
図4に示すように、第1係止受け部49は、雌ハウジング34の上壁の左右両端部寄りの位置に形成されている。第1係止受け部49は上方から見て長方形状をなしている。2つの第1係止受け部49は同形同大に形成されている。
【0041】
図10に示すように、雌ハウジング34の上壁には、リテーナ収容部38内に雌リテーナ41が収容された状態で、第2係止部46に対応する位置に、前後方向に延びるとともに上下方向に上壁を貫通する第2係止受け部50が形成されている。
図4に示すように、第2係止受け部50は、雌ハウジング34の上壁のうち、左右方向について第1係止受け部49の内方に形成されている。換言すると、雌ハウジング34の上壁の左側に形成された第1係止受け部49の右方に第2係止受け部50が形成されていると共に、右側に形成された第1係止受け部49の左方に第2係止受け部50が形成されている。第2係止受け部50は上方から見て長方形状をなしている。2つの第2係止受け部50は同形同大に形成されている。
【0042】
図4に示すように、雌ハウジング34の上壁には、左右方向の中央付近に、上方から見て角張ったC字状をなすスリット51が形成されている。スリット51は、左右方向に間隔を空けて並ぶとともに前後方向に延びる2つの部分と、この2つの部分の後端部を連結する部分と、を有する。このスリット51に囲まれた領域には、前後方向に延びる弾性変形部52が形成されている。
図11に示すように、弾性変形部52は、リテーナ収容部38内に雌リテーナ41が収容された状態で、雌リテーナ41のアーム部47の上方に形成されている。弾性変形部52の後端部には、上方に突出する突起部53が形成されている。突起部53の前端面、及び後端面は、前後方向について緩やかに傾斜して形成されている。
【0043】
スリット51のうち、左右方向に延びる部分であって、且つ弾性変形部52の後方に位置する部分は、雌リテーナ41の第3係止部48と係止可能な前第3係止受け部54とされる。また、
図4に示すように、雌ハウジング34の上壁には、前第3係止受け部54の後方の位置に、左右方向に間隔を空けて並ぶ2つの後第3係止受け部55が、上下方向に上壁を貫通して形成されている。後第3係止受け部55は上方から見て長方形状をなしている。
図17に示すように、後第3係止受け部55は、雌リテーナ41の第3係止部48と係止可能になっている。
【0044】
[雌ハウジングと雌リテーナとの組み付け構造]
雌リテーナ41は、雌ハウジング34に対して、退避位置(
図5から
図7参照)と、退避位置よりも後方の係止位置(
図8から
図11参照)と、係止位置よりも後方の完了位置(
図15から
図17参照)と、の間を移動可能に取り付けられている。
【0045】
図6に示すように、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して退避位置に組み付けられた状態においては、第1係止部45の前端面が第1係止受け部49の前壁に後方から当接している。これにより雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して前方へ抜け止めされた状態で保持されている。
図7に示すように、第2係止部46の後端面は、雌ハウジング34の前面に前方から当接している。これにより、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して後方への移動が規制された状態で保持されている。
図6に示されるように、規制部42は弾性変形空間40の前方に退避した状態になっている。これにより雌ランス39は弾性変形空間40内に弾性変形可能になっている。
【0046】
図10に示すように、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して係止位置に組み付けられた状態においては、第2係止部46は第2係止受け部50の前壁に後方から当接している。これにより、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して前方へ抜け止めされた状態で保持されている。
図11に示すように、第3係止部48は前第3係止受け部54の後壁に前方から当接している。これにより、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して後方への移動が規制された状態で保持されている。
図9に示すように、規制部42は弾性変形空間40内に進入した状態になっている。これにより、雌ランス39が弾性変形することが妨げられるようになっている。
【0047】
図17に示すように、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して完了位置に組み付けられた状態においては、雌リテーナ41の前端面に、雄リテーナ20の当接部24が前方から当接している。これにより、雌リテーナ41が前方に移動することが規制されるようになっている。第3係止部48は後第3係止受け部55の後壁に前方から当接している。これにより雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して後方への移動が規制された状態で保持されている。
【0048】
[背景部]
図3に示すように、雌リテーナ41の後端部には、左側部分から後方に突出する突出部57が形成されている。突出部57は、前後方向に長い直方体形状をなしている。突出部57の左側面は、雌リテーナ41の上面に対して直交して形成されている。突出部57の左側面の後側部分は、背景部58とされている。背景部58は、次述する型枠部60と重なることで、コード64を出現させるようになっている(
図15参照)。
【0049】
[型枠部]
図18及び
図19に示すように、雌ハウジング34は、雌リテーナ41の突出部57を受け入れる収容空間59を有する。収容空間59は、雌ハウジング34の内部の左上かつ奥側に設けられている。収容空間59の左方に位置する雌ハウジング34の左側壁には、型枠部60が設けられている。型枠部60は、雌ハウジング34の左側壁の外面から右方に凹んでいる。
図18に示すように、型枠部60は、雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合が完了し、雌リテーナ41が完了位置に保持された状態で、背景部58の左方に配されるようになっている。
図1、
図5、
図8、及び
図15に示すように、型枠部60は、外部から視認可能とされている。
【0050】
[本体部、凹部、貫通孔]
図18及び
図19に示すように、型枠部60は、左右方向に扁平な板状をなす本体部61と、本体部61から右方に凹んで形成される凹部62と、を有する。本実施形態では、凹部62は、本体部61を左右方向に貫通する貫通孔63とされている。
【0051】
[コード]
図18に示すように、背景部58を有する雌リテーナ41が完了位置に保持された状態では、左右方向に型枠部60と背景部58とが重なって配される。このとき、貫通孔63により背景部58が雌ハウジング34の左方に露出される。一方、本体部61は、背景部58の色が本体部61を通して透けて見えることがないような厚さに形成されている。したがって、雌リテーナ41が完了位置にあるとき、雌ハウジング34を左方から見ると、
図15に示すように、本体部61と、貫通孔63(凹部62)の内部に配される背景部58と、を認識することができる。型枠部60と背景部58とは、互いに異なる色に着色されている(詳細は後述する)。これにより、雌リテーナ41が完了位置にあるとき、型枠部60と背景部58とは、左方からカメラ等の検出装置が検出することができるコード64を生成する。コード64としては、一次元コード、二次元コード、三次元コードのいずれを用いてもよいが、実施形態1では二次元コードが用いられている。
【0052】
上記した型枠部60と背景部58との間の色の差異は、具体的には、カメラ等の検出装置によって検出可能な色の差異とされている。例えば、型枠部60及び背景部58の色の組み合わせとして、明度、色相、または彩度の差によるコントラストを有する色の組み合わせを採用することができる。また、色は蛍光色も含んでおり、例えば、紫外線を照射した際に蛍光を発する塗料を型枠部60及び背景部58のいずれか一方に塗布し、紫外線照射下で検出装置によりコード64を検出してもよい。なお、
図1から
図5、及び
図15においては、見易さのために、背景部58を含む雌リテーナ41を網掛けで示している。本実施形態では、雌ハウジング34全体を型枠部60と同色にするとともに、雌リテーナ41全体を背景部58と同色にしている。
【0053】
コード64には、「嵌合完了」や「ロットナンバー」などの情報が二次元コードとして記録されている。このコード64を検出装置により読み取ることができ、読み取られた情報を記録装置に記録できる。例えば、雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合を完了させた後、検出装置がコード64を検出して情報を読み取ることで雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合が完了したことを記録装置に記録できるようになっている。
【0054】
雌リテーナ41が完了位置に配されていない状態では、型枠部60全体と背景部58とが左右方向に重ならないようになっている。例えば、
図19に示す雌リテーナ41が係止位置に保持された状態では、背景部58は型枠部60よりも前方に位置する。よって、雌ハウジング34を左方から見ると、
図8に示すように、型枠部60を介して雌ハウジング34の内部が認識される。この雌ハウジング34の内部の色と型枠部60の色は同じ色とされている。このため、雌リテーナ41が係止位置にあるとき、検出装置によって検出可能なコード64は出現しないようになっている。
【0055】
図5に示すように、雌リテーナ41が退避位置に保持された状態では、雌リテーナ41は係止位置よりも前方に位置しているため、上記と同様にコード64は出現しない。また、図示しないが、雌コネクタ30と雄コネクタ10とが中途嵌合され、雌リテーナ41が係止位置(
図8参照)と完了位置(
図15参照)の間に配された状態では、型枠部60の一部と背景部58とが重なることでコード64の一部が出現するものの、検出装置によって情報を検出することはできないようになっている。
【0056】
上記のように、本実施形態では、雌ハウジング34においてコード64が出現する位置は、背景部58とともにコード64を構成する型枠部60によって知ることができる。型枠部60は外部から視認可能に雌ハウジング34に設けられているから、コード64を検出する際、コード64の位置を見つけやすい。
一方、コード64自体は、雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合が完了した状態で出現し、雌リテーナ41が完了位置に配されていない状態では出現しないから、コード64の誤検出を抑制することができる。
【0057】
[コネクタ構成体1の組み付け工程]
続いて、コネクタ構成体1の組み付け工程について説明する。なお、コネクタ構成体1の組み付け工程は以下の記載に限定されない。
【0058】
雄端子11が、雄ハウジング14の雄キャビティ16内に後方から挿入される。雄端子11が雄ランス17と当接することにより、雄ランス17が弾性変形空間22内に弾性変形する。さらに雄端子11が前方に押圧されると、雄ランス17が復帰変形することにより、雄ランス17の前端部が雄端子11に後方から当接する。これにより、雄端子11が雄ハウジング14内に後方に抜け止めされた状態で収容される。
【0059】
雄リテーナ20が前方から雄キャビティ16内に挿入される。雄リテーナ20の規制部23が雄ランス17の弾性変形空間22内に進入することにより、雄ランス17が弾性変形することが規制される。雄リテーナ20のロック部21が雄ハウジング14と弾性的に係合することにより、雄リテーナ20が雄ハウジング14に前方に抜け止めされた状態で組み付けられる。
【0060】
雌リテーナ41が、雌ハウジング34のリテーナ収容部38内に前方から挿入される。雌リテーナ41の第1係止部45と雌ハウジング34の上壁とが当接することにより、雌ハウジング34の上壁が第1係止部45の上に乗り上がるように変形し、第1係止部45は下方へと変形する。さらに雌リテーナ41が後方に押圧されると、雌ハウジング34の上壁及び第1係止部45が復帰変形し、第1係止部45が雌ハウジング34の第1係止受け部49内に進入する。第1係止部45の前端部が第1係止受け部49の前壁に後方から当接することにより、雌リテーナ41が前止まり状態で雌ハウジング34に保持される(
図6参照)。また、第2係止部46の後端部が雌ハウジング34の上壁の前端縁に前方から当接することにより、雌リテーナ41が後方に移動することが規制される(
図7参照)。このようにして、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して退避位置に組み付けられる。
【0061】
雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して退避位置に組み付けられた状態では、雌リテーナ41の規制部42は雌ハウジング34の弾性変形空間40の前方に位置している。これにより雌ハウジング34の雌ランス39は弾性変形可能になっている。
【0062】
雌端子31が、雌ハウジング34の雌キャビティ37内に後方から挿入される。雌端子31が雌ランス39と当接することにより、雌ランス39が弾性変形空間40内に弾性変形する。さらに雌端子31が前方に押圧されると、雌ランス39が復帰変形することにより、雌ランス39の前端部が雌端子31に後方から当接する。これにより、雌端子31が雌ハウジング34内に後方に抜け止めされた状態で収容される。
【0063】
雌リテーナ41が後方に押圧されることにより、第2係止部46の後端部が雌ハウジング34の上壁の前端縁に前方から当接する。これにより、雌ハウジング34の上壁が第2係止部46の上に乗り上がるように変形する。
【0064】
さらに雌リテーナ41が後方に押圧されると、雌ハウジング34の上壁が復帰変形し、第2係止部46が雌ハウジング34の第2係止受け部50内に進入する。第2係止部46の前端部が第2係止受け部50の前壁に後方から当接することにより、雌リテーナ41が前止まり状態で雌ハウジング34に保持される(
図10参照)。また、第3係止部48の後端部が、前第3係止受け部54の後壁に前方から当接することにより、雌リテーナ41が後方に移動することが規制された状態で雌ハウジング34に保持される(
図11参照)。このようにして、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して係止位置に組み付けられる。
【0065】
雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して係止位置に組み付けられた状態では、
図9に示すように、雌リテーナ41の規制部42は雌ハウジング34の弾性変形空間40内に進入している。これにより雌ハウジング34の雌ランス39が弾性変形することが妨げられるようになっている。この結果、雌端子31は、雌ランス39と雌リテーナ41とにより二重係止される。
【0066】
続いて、雄コネクタ10と雌コネクタ30とが向い合せになるように配置され(
図1参照)、互いに接近するように嵌合される。
【0067】
雄コネクタ10のフード部15内に雌コネクタ30の前端部が嵌入する。すると、フード部15の下壁の前端縁が雌ハウジング34のロックアーム35のロック部36に前方から当接する。これにより、
図14に示すように、ロックアーム35が上方に弾性変形する。さらに雄コネクタ10が前方に押圧されると、
図17に示すように、ロックアーム35が復帰変形し、ロック部36が、雄コネクタ10のフード部15のロック受け部18内に進入する。これにより、雄コネクタ10と雌コネクタ30とが抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0068】
雄コネクタ10のフード部15内に雌コネクタ30が嵌入すると、フード部15の押圧突起19が、雌ハウジング34の弾性変形部52の突起部53に、前方から当接する。すると、
図14に示すように、弾性変形部52が下方に弾性変形する。弾性変形部52が下方に弾性変形すると、弾性変形部52の下方に位置する雌リテーナ41のアーム部47が下方に弾性変形する。すると、アーム部47の第3係止部48が下方に移動し、第3係止部48と、前第3係止受け部54の後壁との係合が解除される。
【0069】
さらに雄コネクタ10が前方に押圧されると、雄リテーナ20の当接部24の前端部が、雌リテーナ41の前端部に、前方から当接する。これにより、雌リテーナ41は後方に移動する。
【0070】
さらに雄コネクタ10が前方に押圧されると、
図17に示すように、雌ハウジング34の弾性変形部52が復帰変形し、弾性変形部52の突起部53が、フード部15の押圧突起19の前方に位置するようになる。すると、弾性変形部52の下方に位置する雌リテーナ41のアーム部47も復帰変形し、アーム部47の第3係止部48が、後第3係止受け部55内に進入する。これにより、第3係止部48の後端部が、後第3係止受け部55の後壁に前方から当接し、雌リテーナ41が後方に移動することが規制されるようになっている。このようにして、雌リテーナ41は雌ハウジング34に対して完了位置に組み付けられる。
【0071】
一方、雄コネクタ10のフード部15内に雌コネクタ30が嵌入すると、雄リテーナ20のアーム部25の前端部が雌リテーナ41の前端縁に前方から当接する。すると、アーム部25が雌リテーナ41の上壁に乗り上げるように弾性変形する。さらに雄コネクタ10が前方に押圧されると、アーム部25が復帰変形し、アーム部25の係止部26が、雌リテーナ41の係止凹部43内に進入する(
図12参照)。
【0072】
[コネクタ構成体の離脱工程]
続いて、雄コネクタ10と雌コネクタ30との離脱工程について説明する。ロックアーム35が上方に弾性変形されることにより、雌コネクタ30のロック部36と、雄コネクタ10のロック受け部18との係合が解除される。その後、雄コネクタ10と雌コネクタ30とが互いに離れるように、雄コネクタ10と雌コネクタ30とに引っ張り力が加えられる。
【0073】
すると、
図12に示すように、雄リテーナ20のアーム部25の係止部26が、雌リテーナ41の係止凹部43の係止受け部44に後方から当接する。これにより、雌リテーナ41に対して前向きの力が加えられる。
【0074】
雌リテーナ41が係止部26を介して雄リテーナ20により前方に引っ張られると、雌リテーナ41のアーム部47が、雌ハウジング34の上壁の下に潜り込むように弾性変形する。これにより、雌リテーナ41の第3係止部48と、雌ハウジング34の後第3係止受け部55との係合が解除される(
図14参照)。
【0075】
さらに雌リテーナ41が前方に引っ張られると、雌リテーナ41の第2係止部46の前端部が第2係止受け部50の前壁に後方から当接する(
図13参照)。すると、雌リテーナ41の第2係止部46と雌ハウジング34の第2係止受け部50との間の保持力は、雄リテーナ20の係止部26と雌リテーナ41の係止受け部44との間の保持力よりも大きく設定されているので、雄リテーナ20の係止部26と雌リテーナ41の係止受け部44との係合が解除される。また、雌リテーナ41のアーム部47が復帰変形することにより、第3係止部48が前第3係止受け部54内に進入する(
図11参照)。これにより、雌リテーナ41が雌ハウジング34に対して係止位置に移動して、係止位置に保持されるようになっている。
【0076】
さらに、雄コネクタ10と雌コネクタ30とが互いに離れるように、雄コネクタ10と雌コネクタ30とに引っ張り力が加えられることにより、雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合が解除される(
図1参照)。
【0077】
[コードの視認及び検出]
上記した雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合工程及び離脱工程においては、型枠部60が常に雌コネクタ30の左方から視認可能とされている。よって、コード64が現れる位置を見つけやすくなっている。
また、上記した雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合工程及び離脱工程においては、雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合が完了した状態においてのみ雌リテーナ41が完了位置に配されるようになっている。よって、雌リテーナ41が完了位置にあるときに出現するコード64によって、雄コネクタ10と雌コネクタ30との嵌合完了を検知することができる。
【0078】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかる雌コネクタ30(コネクタ)は、雄コネクタ10(相手側コネクタ)と嵌合する雌コネクタ30であって、雌端子31(端子)と、雌端子31を内部に収容する雌ハウジング34(ハウジング)と、雌ハウジング34に外部から視認可能に設けられた型枠部60と、を備え、型枠部60は、本体部61と、雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合方向に交差する交差方向に本体部61から凹んで形成される凹部62と、を有し、雌コネクタ30は、型枠部60より雌ハウジング34の内方に配される背景部58を備え、雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合が完了した状態では、背景部58は完了位置に配され、交差方向について型枠部60と背景部58とが重なることにより、凹部62の内側の部分と本体部61との間で色の差異が生じることで、外部から検出可能なコード64が出現し、背景部58が完了位置に配されていない状態では、コード64が出現しない、雌コネクタ30である。
【0079】
このような構成によると、雌コネクタ30の型枠部60は外部から視認可能に設けられており、雌コネクタ30と雄コネクタ10との嵌合が完了した状態で型枠部60と背景部58とが重なることで外部から検出可能なコード64が出現するようになっているから、作業者は雌コネクタ30と雄コネクタ10とを嵌合させる前の段階で型枠部60によりコード64が出現する位置を認識することができる。
【0080】
実施形態1にかかる雌コネクタ30は、雌端子31を雌ハウジング34内に抜け止めする雌リテーナ41(リテーナ)をさらに備え、雌リテーナ41は、背景部58を備える。
【0081】
このような構成によると、雌ハウジング34の型枠部60と雌リテーナ41の背景部58とによりコード64を出現させることができる。
【0082】
実施形態1では、凹部62は、本体部61を貫通する貫通孔63である。
【0083】
このような構成によると、貫通孔63を介して背景部58が外部に露出されるから、背景部58と本体部61との間で色の差異を生じさせやすい。
【0084】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、
図20及び
図21を参照しつつ説明する。実施形態2にかかるコネクタ構成体101は、
図20に示すように、雌コネクタ130と、雄コネクタ10と、を有する。実施形態2では、
図21に示すように、型枠部160の凹部162に肉薄部165が設けられている点で、実施形態1とは異なっている。その他の構成については、実施形態1と同様のものに同一の符号を付し、説明を省略する。実施形態1と同様の作用効果についても、説明を省略する。
【0085】
[肉薄部]
図21に示すように、雌コネクタ130の雌ハウジング134は、型枠部160を備える。雌ハウジング134における型枠部160の配置は、実施形態1の型枠部60と同様とされている。型枠部160は、本体部161と、本体部161から右方に凹む凹部162と、を有する。実施形態1の凹部62が本体部61に対して貫通形成されていたのに対し、本実施形態の凹部162は本体部161に対して貫通形成されていない。すなわち、凹部162には、本体部161よりも左右方向に肉薄である肉薄部165が設けられている。このように凹部162を貫通孔としないことにより、凹部162が形成しやすくなっている。
【0086】
肉薄部165は、左右方向から見て肉薄部165を隔てて奥側に配される部材の色が透けるような厚さに形成されている。これにより、
図20に示すように、雌リテーナ41が完了位置に保持され、型枠部160と背景部58とが左右方向に重なった状態では、肉薄部165を介して背景部58の色が透けることで、型枠部160を左方から見たとき、凹部162の内側の部分(肉薄部165)と本体部161との間に色の差異が生じるようになっている。この色の差異により、検出装置が検出可能なコード164が出現する。
【0087】
また、凹部162に肉薄部165を設けることにより、肉薄部165を介して雌ハウジング134の左側壁と本体部161とを接続することができるから、雌ハウジング134の左側壁に対して本体部161を直接接続しなくてもよい。したがって、本体部161を雌ハウジング134の左側壁と接続することなく、雌ハウジング134の左側壁に対して島状に形成することが可能である。一方、実施形態1では、
図15に示すように、凹部62は貫通孔63であるから、本体部61を雌ハウジング
34の左側壁に直接接続する必要がある。このように実施形態2では凹部162を肉薄部165とすることにより、実施形態1と比較してコード164の設計自由度を向上させることができる。
【0088】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2では、凹部162には、本体部161よりも肉薄とされる肉薄部165が設けられている。
【0089】
このような構成によると、凹部162が形成しやすい。
【0090】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、雌コネクタ30,130の雌リテーナ41が背景部58を備えていたが、これに限られることはない。例えば、雌コネクタはムービングプレートを備え、このムービングプレートが背景部を備えてもよい。また、雄コネクタの雄リテーナやフード部が背景部を備えてもよい。
(2)上記実施形態では、雌ハウジング34,134全体を型枠部60,160と同色にするとともに、雌リテーナ41全体を背景部58と同色にしていたが、これに限られず、雌ハウジングの一部のみを型枠部と同色にしてもよく、また、雌リテーナの一部のみを背景部と同色にしてもよい。
(3)上記実施形態とは異なり、背景部が光源とされることにより、背景部と本体部とが重なった状態で凹部の内側の部分と本体部との間に色の差異を生じさせて、コードを出現させる構成としてもよい。
(4)実施形態1では凹部62は貫通孔63であり、実施形態2では凹部162に肉薄部165が設けられていたが、これに限られず、型枠部は、貫通孔とされる凹部、及び肉薄部が設けられる凹部の双方を有してもよい。
(5)上記実施形態では、雄コネクタ10は、当接部24を有する雄リテーナ20を有する構成としたが、これに限られず、雄ハウジングに当接部が設けられており、雄リテーナが省略される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1,101: コネクタ構成体
10: 雄コネクタ
11: 雄端子
12: タブ
13: 電線接続部
14: 雄ハウジング
15: フード部
16: 雄キャビティ
17: 雄ランス
18: ロック受け部
19: 押圧突起
20: 雄リテーナ
21: ロック部
22: 弾性変形空間
23: 規制部
24: 当接部
25: アーム部
26: 係止部
30,130: 雌コネクタ
31: 雌端子
32: 接続筒部
33: 電線接続部
34,134: 雌ハウジング
35: ロックアーム
36: ロック部
37: 雌キャビティ
38: リテーナ収容部
39: 雌ランス
40: 弾性変形空間
41: 雌リテーナ
42: 規制部
43: 係止凹部
44: 係止受け部
45: 第1係止部
46: 第2係止部
47: アーム部
48: 第3係止部
49: 第1係止受け部
50: 第2係止受け部
51: スリット
52: 弾性変形部
53: 突起部
54: 前第3係止受け部
55: 後第3係止受け部
57: 突出部
58: 背景部
59: 収容空間
60,160: 型枠部
61,161: 本体部
62,162: 凹部
63: 貫通孔
64,164: コード
165: 肉薄部
W1: 電線
W2: 電線