(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】ネットワークシステム構築装置及びネットワークシステム構築方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/00 20220101AFI20250520BHJP
【FI】
H04L41/00
(21)【出願番号】P 2023507099
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2022011286
(87)【国際公開番号】W WO2022196628
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2021045743
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】窪庭 亮太
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】鈴木 久智 HISATOMO SUZUKI,オープン技術を採用したプライベートクラウド基盤,FUJITSU Vol.67 No.5,富士通株式会社,2016年09月01日
【文献】鈴木 和宏 Kazuhiro SUZUKI,仮想システムの連携を考慮した配備エンジンの提案と実装,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.113 No.282,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年11月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドプロバイダから提供され、
かつ、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化され
たネットワークシステムを識別する識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する設定手段と、
前記ネットワークシステムへ設定した前記構成情報を管理するデータベースと、を備え、
前記設定手段は、
前記ネットワークシステムから、現在の前記ネットワークシステムの設定情報を収集し、前記データベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とを比較し、前記データベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とが一致している場合に、前記識別情報と関連付けられた新たな構成情報を前記ネットワークシステムへ設定する、
ネットワークシステム構築装置。
【請求項2】
前記複数のシステム要素の組み合わせをパターン化するシステム設計手段、をさらに備える請求項1に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項3】
前記システム設計手段は、
ハードウェアリソースが仮想化された前記ネットワークシステムを用いて、組み合わせがパターン化された前記複数のシステム要素を生成する、請求項2に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項4】
前記システム設計手段は、
共通の機能を有する複数の仮想装置を生成し、前記複数の仮想装置を用いて前記ネットワークシステムを設計する、請求項2又は3に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項5】
前記システム設計手段は、
共通の処理能力を有する複数の仮想装置を生成し、前記複数の仮想装置を用いて前記ネットワークシステムを構築する、請求項2又は3に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項6】
前記構成情報は、
前記システム要素を動作させるためのパラメータ情報及び前記システム要素に適用されるプログラムを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項7】
前記設定手段は、
前記識別情報と関連付けられた前記パラメータ情報を前記システム要素へ設定した後に、自律的に前記プログラムを前記システム要素へ適用する、請求項6に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項8】
前記設定手段は、
前記識別情報と関連付けられた構成情報が設定された前記ネットワークシステムを監視し、監視結果を、前記データベースへ登録する、請求項
1に記載のネットワークシステム構築装置。
【請求項9】
ネットワークシステム構築装置が、
クラウドプロバイダから提供され、かつ、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化されたネットワークシステムを識別する識別情報を取得し、
前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定し、
前記ネットワークシステムから、現在のネットワークシステムの設定情報を収集し、
前記ネットワークシステムへ設定した前記構成情報を管理するデータベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とを比較し、
前記データベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とが一致している場合に、前記識別情報と関連付けられた新たな構成情報を前記ネットワークシステムへ設定する、
ネットワークシステム構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はネットワークシステム構築装置、通信システム、ネットワークシステム構築方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドプロバイダが提供するネットワークリソースを活用してシステム構築を行う事業者が増加している。システム構築を行う事業者は、提供されたネットワークリソースを活用して、アプリケーションもしくはサービスを提供するためのシステムを構築する。システム構築を行う事業者は、アプリケーションを動作させるための環境構築、アプリケーションのリリース、及びアプリケーションの試験等を繰り返し実施することによってシステムを構築する。
【0003】
特許文献1には、システム構築を効率的に行うために、処理パターンを標準化したテンプレートを作成することが開示されている。特許文献1には、処理パターンを標準化したテンプレートを作成することによって、システム構築に関して設計、製造作業を効率化し、工数の削減を可能とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラウドプロバイダが提供するネットワークリソースを活用してシステム構築を行う場合に、システムを構築する設計者、運用者、もしくは開発者等は、システムにおいて取り扱われる多数のソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせを考慮する必要がある。このような環境においてシステムを構築する場合、多数のソフトウェアおよびハードウェアに影響を及ぼすため、システム構築手順を自動化することが困難であるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、システム構築を効率化することができるネットワークシステム構築装置、通信システム、ネットワークシステム構築方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかるネットワークシステム構築装置は、クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得する取得部と、前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する設定部と、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる通信システムは、クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得する取得部と、前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する設定部と、を有するネットワークシステム構築装置と、前記識別情報と前記構成情報とを関連付けて管理するデータベースと、を備える。
【0009】
本開示の第3の態様にかかるネットワークシステム構築方法は、クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得し、前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する。
【0010】
本開示の第4の態様にかかるプログラムは、クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得し、前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、システム構築を効率化することができるネットワークシステム構築装置、通信システム、ネットワークシステム構築方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかるネットワークシステム構築装置の構成図である。
【
図2】実施の形態2にかかる通信システムの構成図である。
【
図3】実施の形態2にかかるネットワークシステム構築装置の構成図である。
【
図4】実施の形態2にかかるパターン管理データベースを示す図である。
【
図5】実施の形態2にかかる構成情報データベースを示す図である。
【
図6】実施の形態2にかかる構成情報のネットワークシステムへの適用処理の流れを示す図である。
【
図7】実施の形態2にかかるリリース後の確認処理の流れを示す図である。
【
図8】実施の形態2にかかる構成情報データベースの更新内容を説明する図である。
【
図9】実施の形態2にかかる構成情報データベースの更新内容を説明する図である。
【
図10】それぞれの実施の形態にかかるネットワークシステム構築装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1を用いて実施の形態1にかかるネットワークシステム構築装置10の構成例について説明する。ネットワークシステム構築装置10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。ネットワークシステム構築装置10は、例えば、サーバ装置であってもよい。
【0014】
ネットワークシステム構築装置10は、取得部11及び設定部12を有している。取得部11及び設定部12は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、取得部11及び設定部12は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0015】
取得部11は、ネットワークシステムを識別する識別情報を取得する。ネットワークシステムは、クラウドプロバイダから提供され、パターン化された複数のシステム要素を含む。
【0016】
クラウドプロバイダは、提供するクラウドコンピューティングを実現するためのネットワークもしくはシステムとして、クラウドインフラストラクチャを有している。クラウドインフラストラクチャは、複数のハードウェア要素の組み合わせであってもよく、複数のソフトウェア要素の組み合わせであってもよく、ハードウェア要素及びソフトウェア要素の組み合わせであってもよい。
【0017】
ネットワークシステムは、例えば、クラウドプロバイダから提供されるクラウドインフラストラクチャであり、ユーザが利用可能なクラウド領域と称されてもよい。または、クラウドインフラストラクチャは、ユーザが利用可能なリソースもしくはクラウドリソースと言い換えられてもよい。ネットワークシステムは、例えば、ネットワークを介して複数のサービスを提供するサービス提供システムや企業内の業務システム等である。クラウドインフラストラクチャのユーザである事業者等は、クラウドプロバイダからリソースを提供され、提供されたリソースを活用して各種サービスを実現する。
【0018】
識別情報は、例えば、ネットワークシステムを一意に識別する情報であってもよい。ネットワークシステムを一意に識別することは、ネットワークシステムを構成する複数のシステム要素の組み合わせを識別することも含む。つまり、識別情報は、ネットワークシステムに含まれる複数のシステム要素の組み合わせのパターンを識別する情報であってもよい。
【0019】
システム要素は、ネットワークシステムを構成する要素である。システム要素には、例えば、サーバ、ネットワーク機器、ストレージ機器及びサービス機能等が含まれる。尚、サーバとは、OS(Operating System)及びミドルウェアが稼働している物理的なサーバ装置又は仮想サーバであってもよい。ネットワーク機器及びストレージ機器も、物理的な装置又は仮想装置であってもよい。また、サービス機能は、ミドルウェア又はアプリケーションプログラム等により提供される機能をいい、以下では、単に「機能」と呼ぶ場合もある。
【0020】
仮想サーバもしくは仮想装置は、物理的な装置に搭載された仮想ソフトウェア上で動作する機能、ソフトウェア、もしくはプロセスであってもよい。仮想ソフトウェアは、ハードウェアリソースを仮想化して、ハードウェアリソースを複数の仮想サーバもしくは仮想装置に共有させてもよい。複数の仮想サーバもしくは仮想装置は、共通の仮想OS上で動作してもよく、それぞれ異なる仮想OS上で動作してもよい。もしくは、複数の仮想サーバもしくは仮想装置は、物理的な装置に搭載されたOS上において動作し、仮想OSを用いない場合もある。
【0021】
複数のシステム要素の組み合わせをパターン化することは、複数のシステム要素の組み合わせを予め定めることであってもよい。さらに、複数のシステム要素の組み合わせをパターン化することは、ネットワークシステムを構成するシステム要素の種類を限定することもしくは減少させることであってもよい。ネットワークシステムを構成するシステム要素の種類を限定するとは、例えば、システム要素であるサーバ装置として、多数の種類のサーバ装置を用いることが可能である場合に、予め用いるサーバ装置の種類を限定することであってもよい。
【0022】
複数のシステム要素の組み合わせをパターン化することによって、ネットワークシステムを構成する複数のシステム要素の組み合わせを減少させることができる。
【0023】
設定部12は、識別情報によって識別されるネットワークシステムへ、識別情報と関連付けられた構成情報を設定する。構成情報は、ネットワークシステムを構成するシステム要素に設定するパラメータ情報及びプログラムを含む。パラメータ情報は、例えば、コンフィグ情報、コンフィグファイル等と称されてもよい。ネットワークシステムに構成情報が設定されることによって、ネットワークシステムを介したサービスの提供が可能となる。
【0024】
以上説明したように、
図1のネットワークシステム構築装置10は、ネットワークシステムを構成する複数のシステム要素の組み合わせをパターン化する。これによって、ネットワークシステムの運用者は、ネットワーク構築の際に考慮すべきシステム要素の数を限定することができるため、システム要素の数が限定されていない場合と比較して、ネットワークシステムの構築を自動化することが容易となる。つまり、ネットワークシステムの識別情報と構成情報とを関連付けておくことによって、ネットワークシステムへの構成情報の設定を自動化することが可能となる。その結果、ネットワークシステム構築装置10を用いることによって、ネットワークシステムの構築に要する時間を減少させることができる。
【0025】
(実施の形態2)
続いて、
図2を用いて実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。
図2の通信システムは、ネットワークシステム構築装置20、CMDB(Configuration Management Database)30、及びネットワークシステム40を有している。ネットワークシステム40は、クラウドプロバイダ50から提供されるクラウドインフラストラクチャである。ネットワークシステム構築装置20は、ネットワークシステム40に対して、サービスを提供するための構成情報を設定する。
【0026】
ネットワークシステム40は、複数のシステム要素が組み合わされて構築されている。複数のシステム要素の組み合わせは、物理的な装置の組み合わせであってもよく、ソフトウェアとして動作する仮想装置の組み合わせであってもよい。もしくは、複数のシステム要素の組み合わせは、物理的な装置と仮想装置の組み合わせであってもよい。
【0027】
続いて、CMDB30について説明する。CMDB30は、ネットワークシステム40に設定される構成情報を格納するデータベースである。格納するとは、記憶する、記録する、登録する等と言い換えられてもよい。例えば、設計書もしくは要求仕様書等に基づいて構成情報を設計した開発者は、CMDB30に構成情報を登録する。もしくは、開発者は、CMDB30に登録されている構成情報を更新してもよい。さらに、ネットワークシステム40に構成情報を適用する運用者は、CMDB30に登録もしくは格納されている構成情報をネットワークシステム40へ適用する。開発者もしくは運用者は、コンピュータ装置を用いて、ネットワークを介して構成情報をCMDB30へ登録し、もしくは、CMDB30から構成情報を取り出してもよい。
【0028】
運用者は、構成情報をネットワークシステム40に適用する際に、ネットワークシステム40に対する事前設定、リリース、及び試験、との手順を実行する。事前設定は、例えば、ネットワークシステム40を動作させるための手順であり、システム要素を動作させるためのパラメータ情報を設定する手順であってもよい。パラメータ情報は、構成情報に含まれる。パラメータ情報とは、例えば、それぞれのシステム要素において動作するタイマに関する値であってもよく、それぞれのシステム要素が送信もしくは処理するデータのデータサイズ等であってもよい。パラメータ情報は、プログラムによって参照される値であり、コンフィグ情報と称されてもよい。
【0029】
リリースは、システム要素に適用されるプログラムをシステム要素に登録、設定、もしくはインストールすることであってもよい。もしくは、リリースは、既に設定されているシステム要素のプログラムを更新することであってもよい。プログラムは、構成情報に含まれる。
【0030】
試験は、リリースされたプログラムがネットワークシステム40において正常に動作しているか否かを確認することである。例えば、運用者が、予め定められた試験を実施して、ネットワークシステム40の正常性を判定してもよい。もしくは、試験は、運用者等を介することなく、コンピュータによって自動化されてもよい。
【0031】
続いて、
図3を用いて実施の形態2にかかるネットワークシステム構築装置20の構成例について説明する。ネットワークシステム構築装置20は、
図1のネットワークシステム構築装置10に、設計部21が追加された構成である。設計部21は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、設計部21は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。取得部11及び設定部12は、
図1のネットワークシステム構築装置10と同様であるため、以下においては、主に
図1のネットワークシステム構築装置10と異なる点について説明する。
【0032】
設計部21は、複数のシステム要素の組み合わせをパターン化する。つまり、設計部21は、システム要素の組み合わせを生成する。例えば、設計部21は、所定の基準に従って複数のシステム要素の組み合わせをパターン化してもよい。所定の基準は、開発者によって入力された情報であってもよい。
【0033】
例えば、所定の基準は、システム要素として用いられるネットワーク機器を、2種類のスイッチとする、という基準であってもよい。この場合、例えば、システム要素としてスイッチA及びスイッチBが選択されてもよい。スイッチAとスイッチBとは、異なる機能を有するスイッチであってもよい。
【0034】
もしくは、所定の基準は、システム要素として用いられるサーバを、所定の処理能力を有する2種類のサーバとする、という基準であってもよい。この場合、例えば、所定の処理能力以上の処理能力を有する、処理能力Aのサーバ及び処理能力Bのサーバが選択されてもよい。処理能力は、例えば、プロセッサの処理能力、メモリサイズ、データ転送速度等であってもよい。
【0035】
所定の基準として、使用する装置の種類をN種類(Nは1以上の整数)と限定することによって、多数の装置のなかから特定の数の装置に限定することができる。また、多数の装置の中から特定の数の装置に限定するための所定の基準は、上記の基準に限定されない。
【0036】
設計部21は、生成したシステム要素の組み合わせを、
図4に示すパターン管理データベースとしてCMDB30に格納してもよい。パターン管理データベースは、パターンID、リソースID、及びシステム要素が関連付けられている。パターンIDは、システム要素の組み合わせを示す識別情報である。リソースIDは、クラウドプロバイダから提供されたリソースを示す識別情報である。例えば、クラウドプロバイダから提供されたネットワークシステムのリソースを、複数のリソースに分割した際に、分割されたそれぞれのリソースを識別する情報として、リソースIDが用いられてもよい。システム要素は、リソースIDにおいて定められたリソースにおいて使用されるシステム要素を示している。
図4のパターン管理データベースの例においてはシステム要素の組み合わせとして3パターンの組み合わせが管理されている。
【0037】
さらに、CMDB30には、
図5に示す構成情報データベースが格納されている。構成情報データベースは、システム要素と構成情報とを関連付けて管理している。構成情報データベースは、構成情報が履歴付きで管理されている。例えば、
図5に示すように、構成情報データベースは、現在設定されている構成情報と、更新予定の構成情報と、を管理してもよい。現在設定されている構成情報は、ネットワークシステム40に既に設定されている構成情報である。つまり、現在設定されている構成情報は、ネットワークシステム40において既に運用されている構成情報であってもよい。
【0038】
例えば、ネットワークシステム40は、システム要素として現在、スイッチA及びスイッチBの組み合わせにて構築されているとする。また、スイッチAには、構成情報a1が適用されており、スイッチBには、構成情報b1が適用されているとする。
【0039】
ここで、開発者が、今後ネットワークシステム40に新たに適用する構成情報を設計した場合に、設計した構成情報をCMDB30の構成情報データベースへ登録する。更新予定の構成情報に、開発者が設計した構成情報が管理されている。開発者は、それぞれのシステム要素毎に、異なる構成情報を設計する。例えば、開発者は、スイッチAの構成情報として構成情報a2を設計し、スイッチBの構成情報として構成情報b2を設計した。また、開発者は、スイッチC、スイッチD、処理能力Aのサーバ、及び処理能力Bのサーバの構成情報も設計したとする。このように、CMDB30において管理される構成情報データベースには、ネットワークシステム40に適用されている最新の構成情報と、更新予定の構成情報とが管理されている。また、構成情報データベースには、ネットワークシステム40に適用されている最新の構成情報のみではなく、過去に適用されていた構成情報も管理されてよい。
【0040】
図3に戻り、取得部11は、例えば、運用者が操作するユーザインタフェースから入力された、もしくは、運用者が操作するコンピュータ装置からネットワークを介して入力されたパターンIDを取得する。運用者は、ネットワークシステム40に新たな構成情報を適用する場合に、パターンIDを入力する。取得部11は、パターンIDを設定部12へ出力する。
【0041】
設定部12は、パターンIDを取得すると、パターン管理データベースを用いて、リソースIDによって識別されるそれぞれのリソースに用いられるシステム要素の組み合わせを特定する。例えば、設定部12は、パターンID_1を取得した場合、システム要素の組み合わせとして、スイッチA及びスイッチBを特定する。さらに、設定部12は、構成情報データベースを用いて、スイッチAの構成情報a2及びスイッチBの構成情報b2を取得もしくは抽出する。
【0042】
設定部12は、構成情報a2及び構成情報b2をネットワークシステム40へ適用する。ここで、
図6を用いて構成情報のネットワークシステム40への適用処理の流れについて説明する。
【0043】
初めに、設定部12は、取得部11からパターンIDを取得する(S11)。次に、設定部12は、CMDB30に格納されている構成情報データベースから、現在のネットワークシステム40に設定されている構成情報を取得する(S12)。
【0044】
次に、設定部12は、ネットワークシステム40から、現在設定されている構成情報を取得する(S13)。例えば、ネットワークシステム構築装置20は、ネットワークシステム40から構成情報を取得するツールもしくはプログラム等を有していてもよい。ツールもしくはプログラムは、例えば、設定部12から出力された指示情報を、ネットワークシステム40へ発行されるコマンドへ変換してもよい。この場合、設定部12は、ツール等へ構成情報の取得を指示して、ネットワークシステム40から構成情報を取得する。
【0045】
次に、設定部12は、CMDB30から取得した構成情報と、ネットワークシステム40から取得した構成情報とを比較して、それぞれの構成情報が一致しているか否かを判定する(S14)。設定部12は、CMDB30から取得した構成情報と、ネットワークシステム40から取得した構成情報とが一致しないと判定した場合、処理を終了する。一般的に、開発者は、現在設定されている構成情報を前提として、新たな構成情報を設計する。そのため、CMDB30から取得した構成情報と、ネットワークシステム40から取得した構成情報とが一致しない場合、新たな構成情報が正常に動作しない場合がある。そのため、CMDB30から取得した構成情報と、ネットワークシステム40から取得した構成情報とが一致しない場合、構成情報の設定処理を中止する。
【0046】
設定部12は、CMDB30から取得した構成情報と、ネットワークシステム40から取得した構成情報とが一致すると判定した場合、ネットワークシステム40へ、更新予定の新たなパラメータ情報を設定する(S15)。例えば、ネットワークシステム構築装置20は、ネットワークシステム40へ構成情報を設定するツールもしくはプログラム等を有していてもよい。この場合、設定部12は、ツール等へパラメータ情報の設定を指示してもよい。ステップS15の処理は、ネットワークシステム40に対する事前設定に相当する。
【0047】
設定部12は、パターン管理データベースを用いて、ステップS11において取得したパターンIDに関連付けられたシステム要素を特定し、さらに、構成情報データベースを用いて、更新予定の構成情報を特定する。設定部12は、更新予定の構成情報の特定をステップS11の後に実行してもよく、ステップS14の後に実行してもよい。
【0048】
ステップS15において、設定部12は、更新予定の構成情報に含まれるすべてのパラメータ情報をネットワークシステム40へ設定してもよく、一部のパラメータ情報をネットワークシステム40へ設定してもよい。または、設定部12は、パラメータ情報とともに、更新予定の構成情報に含まれる一部のプログラムもネットワークシステム40へ設定してもよい。
【0049】
次に、設定部12は、ネットワークシステム40へ、更新予定の構成情報に含まれるプログラムを設定する(S16)。構成情報に含まれる一部のプログラムがステップS15において既に設定されている場合、設定部12は、残りのプログラムをネットワークシステム40へ設定する。ステップS16の処理は、ネットワークシステム40に対するリリースに相当する。
【0050】
設定部12は、ステップS15において、パラメータ情報をネットワークシステム40へ設定した後に、ネットワークシステム40における設定状況を確認してもよい。例えば、設定部12は、ステップS15において、パラメータ情報をネットワークシステム40へ設定した後に、ネットワークシステム40における設定情報を取得してもよい。設定部12は、ネットワークシステム40から構成情報を取得するツールを用いて、設定情報を取得してもよい。
【0051】
設定部12は、ステップS15において設定したパラメータ情報と、ネットワークシステム40から取得した設定情報とを比較して、一致している場合に、ステップS16の処理を実行してもよい。
【0052】
設定部12は、ステップS15の処理を実行した後に自律的にステップS16の処理を実行してもよく、ステップS15の処理とステップS16の処理の間に、ネットワークシステム40における設定状況の確認処理を実行してもよい。設定部12は、ネットワークシステム40における設定状況の確認処理及びステップS16の処理を自律的に実行する。設定部12がステップS16等の処理を自律的に実行するとは、運用者等の指示情報の入力を待つことなく実行することである。自律的に実行するとは、自動的に実行すると言い換えられてもよい。
【0053】
続いて、
図7を用いて、リリース後の確認処理の流れについて説明する。リリース後の確認処理は、リリース後の試験の一部として実行されてもよく、リリース後の試験とは異なる処理もしくは手順として実行されてもよい。確認処理は、監視処理と言い換えられてもよい。
【0054】
初めに、設定部12は、ネットワークシステム40への疎通確認を行う(S21)。例えば、設定部12は、プログラムのリリース後に自律的にネットワークシステム40への疎通確認を行ってもよく、運用者から確認処理の指示情報が入力された場合に、ネットワークシステム40への疎通確認を行ってもよい。
【0055】
疎通確認は、例えば、設定部12がネットワークシステム40を構成するシステム要素へログインできるか否かの確認であってもよい。さらに、疎通確認は、設定部12が、システム要素へのログインを成功した後に、他のシステム要素との間におけるデータの到達性を確認することを含んでもよい。データの到達性は、例えば、設定部12がログインしたシステム要素から、他のシステム要素へメッセージを送信し、他のシステム要素から応答メッセージを受信するか否かの確認であってもよい。
【0056】
次に、設定部12は、確認結果をCMDB30へ登録する(S22)。確認結果は、監視結果と言い換えられてもよい。例えば、疎通確認結果が正常である場合、設定部12は、構成情報データベースにおける、現在設定されている構成情報を、更新後の新たな構成情報に変更してもよい。例えば、
図8に示すように、スイッチA及びスイッチBの構成情報のリリースが行われ、疎通確認結果が正常であった場合、現在設定されている構成情報を新たな構成情報に更新し、更新予定の構成情報を空白にしてもよい。
【0057】
また、疎通確認結果が異常である場合、設定部12は、例えば、
図9に示すように、構成情報データベースの、現在設定されている構成情報において、更新した構成情報が異常であることを示す情報を設定してもよい。また、疎通確認結果が正常である場合、設定部12は、現在設定されている構成情報において、更新した構成情報が正常であることを示す情報を設定してもよい。
【0058】
運用者は、構成情報データベースを確認することによって、リリース後の疎通確認結果を確認することが可能である。運用者は、リリース後の疎通確認結果が正常である場合には、リリース後の試験を実行することができる。さらに、運用者は、リリース後の疎通確認結果が異常である場合には、構成情報の切り戻し、もしくは、新たな構成情報の設計等を検討することができる。
【0059】
以上説明したように、実施の形態2にかかるネットワークシステム構築装置20は、ネットワークシステム40に関するパターンIDを取得すると、自律的に、新たな構成情報をネットワークシステム40へ設定することができる。クラウドインフラストラクチャにおいては、例えば、仮想化技術等を用いることによって、多数のシステム要素の組み合わせが考えられる。そのため、システム要素の組み合わせをパターン化し、システム要素の組み合わせの数を限定することによって、構成情報の事前設定及びリリースを自動化することを可能にする。
【0060】
さらに、ネットワークシステム構築装置20は、構成情報の設定において、現在の状態を確認するための構成情報の比較処理を事前に実行することを予め定めておくことによって、事前設定及びリリースを円滑に進めることができる。
【0061】
さらに、ネットワークシステム構築装置20は、リリース後の疎通確認を行うことによって、早期に、構成情報の設定が正常に行われたか否かを判定することができる。
【0062】
図10は、ネットワークシステム構築装置10及びネットワークシステム構築装置20(以下、ネットワークシステム構築装置10等とする)の構成例を示すブロック図である。
図10を参照すると、ネットワークシステム構築装置10等は、ネットワークインタフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワークインタフェース1201は、他のネットワークノードと通信するために使用されてもよい。ネットワークインタフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0063】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明されたネットワークシステム構築装置10等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0064】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0065】
図10の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明されたネットワークシステム構築装置10等の処理を行うことができる。
【0066】
図10を用いて説明したように、上述の実施形態におけるネットワークシステム構築装置10等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0067】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0068】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0069】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する設定部と、を備えるネットワークシステム構築装置。
(付記2)
前記複数のシステム要素の組み合わせをパターン化するシステム設計部、をさらに備える付記1に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記3)
前記システム設計部は、
ハードウェアリソースが仮想化された前記ネットワークシステムを用いて、組み合わせがパターン化された前記複数のシステム要素を生成する、付記2に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記4)
前記システム設計部は、
共通の機能を有する複数の仮想装置を生成し、前記複数の仮想装置を用いて前記ネットワークシステムを設計する、付記2又は3に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記5)
前記システム設計部は、
共通の処理能力を有する複数の仮想装置を生成し、前記複数の仮想装置を用いて前記ネットワークシステムを構築する、付記2又は3に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記6)
前記構成情報は、
前記システム要素を動作させるためのパラメータ情報及び前記システム要素に適用されるプログラムを含む、付記1乃至4のいずれか1項に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記7)
前記設定部は、
前記識別情報と関連付けられた前記パラメータ情報を前記システム要素へ設定した後に、自律的に前記プログラムを前記システム要素へ適用する、付記6に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記8)
ネットワークシステムへ設定した前記構成情報を管理するデータベースをさらに備え、
前記設定部は、
前記ネットワークシステムから、現在のネットワークシステムの設定情報を収集し、前記データベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とを比較し、前記データベースに管理されている構成情報と、現在の前記ネットワークシステムの設定情報とが一致している場合に、前記識別情報と関連付けられた構成情報を前記ネットワークシステムへ設定する、付記1乃至7のいずれか1項に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記9)
前記設定部は、
前記識別情報と関連付けられた構成情報が設定された前記ネットワークシステムを監視し、監視結果を、前記データベースへ登録する、付記8に記載のネットワークシステム構築装置。
(付記10)
クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得する取得部と、前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する設定部と、を有するネットワークシステム構築装置と、
前記識別情報と前記構成情報とを関連付けて管理するデータベースと、を備える通信システム。
(付記11)
前記ネットワークシステム構築装置は、
前記複数のシステム要素の組み合わせをパターン化するシステム設計部、をさらに有する付記10に記載の通信システム。
(付記12)
クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得し、
前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定する、ネットワークシステム構築方法。
(付記13)
クラウドプロバイダから提供されるネットワークシステムであって、複数のシステム要素の組み合わせがパターン化された前記ネットワークシステムを識別する識別情報を取得し、
前記識別情報によって識別される前記ネットワークシステムへ、前記識別情報と関連付けられた構成情報を設定することをコンピュータに実行させるプログラム。
【0070】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0071】
この出願は、2021年3月19日に出願された日本出願特願2021-045743を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0072】
10 ネットワークシステム構築装置
11 取得部
12 設定部
20 ネットワークシステム構築装置
21 設計部
30 CMDB
40 ネットワークシステム
50 クラウドプロバイダ