(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】光変調増幅装置、光モジュール、光ネットワークユニット及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
H01S 5/50 20060101AFI20250520BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20250520BHJP
H01S 5/22 20060101ALI20250520BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20250520BHJP
【FI】
H01S5/50 610
H01S5/026 616
H01S5/026 618
H01S5/22
H04B10/272
(21)【出願番号】P 2023557119
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2022076157
(87)【国際公開番号】W WO2022193886
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】202110279672.0
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グアンツァン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユアンビン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヤンボ
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1467889(CN,A)
【文献】特開2013-258337(JP,A)
【文献】特開2011-258785(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102162968(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125159(US,A1)
【文献】特開2019-004093(JP,A)
【文献】特開平08-160234(JP,A)
【文献】特開平01-257386(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111129944(CN,A)
【文献】ZHOU, Dan et al.,“Electroabsorption modulators monolithically integrated with semiconductor optical amplifiers for zero insertion loss utilizing InGaAs/InGaAlAs MQW material”,OFC 2001. Optical Fiber Communication Conference and Exhibit. Technical Digest Postconference Edition (IEEE Cat. 01CH37171), null年,2001年,Vol. 3, p.WDD60-WD1-3,DOI: 10.1109/OFC.2001.928510
【文献】WARTAK, M.S. et al.,“The Effect of Thickness of Delta-Strained Layers in the Design of Polarization-Insensitive Semiconductor Optical Amplifiers”,IEEE Photonics Technology Letters,2004年04月,Vol. 16, No. 4,p.996-998,DOI: 10.10.1109/LPT.2004.824625
【文献】STEGMUELLER, B. et al.,“15-GHz modulation performance of integrated DFB laser diode EA modulator with identical multiple-quantum-well double-stack active layer”,IEEE Photonics Technology Letters,2002年12月,Vol. 14, No. 12,p.1647-1649,DOI: 10.10.1109/LPT.2002.804664
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01S 3/00 - 3/30
H04B 10/00 - 10/90
H04J 14/00 - 14/08
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/12 - 6/14
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調増幅装置であって、前記光変調増幅装置は、電気吸収変調器と半導体光増幅器とを含み、前記電気吸収変調器が前記半導体光増幅器から電気的に絶縁され、前記電気吸収変調器の第1導波路と前記半導体光増幅器の第2導波路とが注入光の伝送方向に直列に結合され、前記第1導波路と前記第2導波路とがそれぞれリッジ導波路構造を用い、
前記電気吸収変調器と前記半導体光増幅器とが同一の基板と前記基板の下に配置された同一の第1電極を共有し、前記電気吸収変調器と前記半導体光増幅器とが同一の多層材料構造を用い、前記多層材料構造が前記基板上に配置され、前記多層材料構造が下から上に第1量子井戸、電子遮断層、第2量子井戸、及び上部分離閉じ込め層を含み、前記電気吸収変調器は、前記多層材料構造の上に第2電極を更に含み、前記第1電極と前記第2電極の間の電圧を調整して、前記第1量子井戸に加えられる電圧を制御することにより前記注入光を変調し、前記半導体光増幅器は、前記多層材料構造の上に第3電極を更に含み、前記第1電極と前記第3電極の間の電圧を調整して、前記第2量子井戸にロードされる電流を制御することにより前記注入光を増幅し、前記電子遮断層を用いて前記第2量子井戸にロードされた電流が前記第1量子井戸に流れるのを遮断し、
前記電気吸収変調器において、横方向電気TEモードに対応する消光比と横方向磁気TMモードに対応する消光比との間に第1差があり、前記第1差は前記上部分離閉じ込め層の厚さ及び前記第1量子井戸に加えられる電圧に依存し、前記第1差は第1プリセット値以下であり、前記半導体光増幅器において、前記TEモードに対応するモーダル利得と前記TMモードに対応するモーダル利得との間に第2差があり、前記第2差は前記上部分離閉じ込め層の厚さ及び前記第2量子井戸にロードされる電流に依存し、前記第2差は第2プリセット値以下であり、
前記上部分離閉じ込め層の厚さは、前記第1量子井戸において、前記TEモードの光閉じ込め係数と前記TMモードの光閉じ込め係数
の差の割合が約2.2%であり、及び/又は
前記第2量子井戸において、前記TEモードの光閉じ込め係数と前記TMモードの光閉じ込め係数が互いに等しくなるよう、設定される、光変調増幅装置。
【請求項2】
前記第1量子井戸において、前記TEモードの光閉じ込め係数と前記TMモードの光閉じ込め係数との間に第3差があり、前記第1量子井戸において、前記TEモードの材料吸収係数と前記TMモードの材料吸収係数との間に第4差があり、前記第1差は前記第3差と前記第4差に依存し、前記第3差は前記上部分離閉じ込め層の厚さに依存し、前記第4差は前記第1量子井戸に加えられる電圧に依存し、前記第3差は第3プリセット値以下であり、前記第4差は第4プリセット値以下である、請求項1に記載の光変調増幅装置。
【請求項3】
前記第2量子井戸において、前記TEモードの光閉じ込め係数と前記TMモードの光閉じ込め係数との間に第5差があり、前記第2量子井戸において、前記TEモードの材料利得と前記TMモードの材料利得との間に第6差があり、前記第2差は前記第5差と前記第6差に依存し、前記第5差は前記上部分離閉じ込め層の厚さに依存し、前記第6差は前記第2量子井戸にロードされる電流に依存し、前記第5差は第5プリセット値以下であり、前記第6差は第6プリセット値以下である、請求項1又は2に記載の光変調増幅装置。
【請求項4】
前記第1量子井戸の材料屈折率が、前記第2量子井戸の材料屈折率よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項5】
前記第2導波路を軸として使用する前記半導体光増幅器の両側の多層材料構造が対称である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項6】
前記第1導波路を軸として使用する前記電気吸収変調器の両側の多層材料構造がエッチングされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項7】
エッチングされた領域がポリイミド又はベンゾシクロブテンで充填されている、請求項6に記載の光変調増幅装置。
【請求項8】
前記上部分離閉じ込め層の厚さHが75nm≦H≦95nmを満たす、請求項1~7のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項9】
前記第1導波路の長さLがL≦400μmを満たす、請求項1~8のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項10】
前記第1導波路及び前記第2導波路の両方のリッジ導波路構造の幅Wが1.5μm≦W≦3μmを満たす、請求項1~9のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項11】
前記光変調増幅装置は、コントローラと、電圧源と、電流源とを更に含み、
前記コントローラは、前記電圧源により出力された電圧を前記電気吸収変調器にロードして前記注入光を変調するように前記電圧源を制御するように構成され、
前記コントローラは、前記電流源により出力された電流を前記半導体光増幅器にロードして前記注入光を増幅するように前記電流源を制御するように構成されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項12】
前記電気吸収変調器の前記第2電極と前記半導体光増幅器の前記第3電極との間に溝を設けて電気的絶縁を実現する、請求項1~11のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項13】
前記溝にプロトン又は不活性イオンを注入する、請求項12に記載の光変調増幅装置。
【請求項14】
前記電気吸収変調器の前記第2電極と前記半導体光増幅器の前記第3電極との間にプロトン又は不活性イオンを注入して電気的絶縁を実現する、請求項1~11のいずれか一項に記載の光変調増幅装置。
【請求項15】
光モジュールであって、前記光モジュールは、請求項1~14のいずれか一項に記載の光変調増幅装置と、ドライバとを含み、前記ドライバは、前記光変調増幅装置を駆動して注入光を変調及び増幅するように構成される、光モジュール。
【請求項16】
光ネットワークユニットONUであって、前記ONUは、請求項15に記載の光モジュールと、メディアアクセス制御MACチップとを含み、前記光モジュールは、前記MACチップが出力する電気信号を光信号に変換するように構成されている、ONU。
【請求項17】
光通信システムであって、光回線終端装置OLTと、請求項16に記載の前記ONUとを含み、前記OLTは、前記ONUに注入光を伝送するように構成されている、光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本願は、光通信の分野に関するものであり、特に、光変調増幅装置、光モジュール、光ネットワークユニット及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の時分割多元接続受動光ネットワーク(Time Division Multiple Access Passive Optical Network, TDMA-PON)では、光ネットワークユニット(Optical Network Unit, ONU)は割り当てられたスロットでアップストリーム光信号を送信し、光回線終端装置(Optical Line Terminal, OLT)は同時に複数のONUにブロードキャスト方式でダウンストリーム光信号を送信し、各ONUは選択的にダウンストリーム光信号を受信する。この時分割多重方式では、単一ONUの有効帯域幅を増加させることは困難である。
【0003】
レート改善の要件を満たすために、複数ONUによって送信される光信号は同じ波長を共有する必要がある。具体的には、各ONUにおいて、波長ロックを実現するために、電気吸収変調器及び光増幅器が、遠隔注入光を変調及び増幅するために配置され得る。しかしながら、OLTによって伝送される遠隔注入光は、伝送過程における環境変化(例えば、光ファイバの応力と温度)の影響を受ける可能性がある。その結果、ONUに到達する注入光の偏光方向がランダムとなり、ONUの性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施形態は、光変調増幅装置、光モジュール、光ネットワークユニット及び光通信システムを提供し、光変調増幅装置は偏光に対して不感性を有する。
【0005】
第1態様によると、本願の実施形態は、電気吸収変調器及び半導体光増幅器を含む光変調増幅装置を提供する。電気吸収変調器は、半導体光増幅器から電気的に分離される。電気吸収変調器の第1導波路と半導体光増幅器の第2導波路は、注入光の伝送方向に直列に結合される。第1導波路と第2導波路は、各々リッジ導波路構造を用いている。電気吸収変調器と半導体光増幅器は同じ基板を共有し、電気吸収変調器と半導体光増幅器は同じ多層材料構造を用いている。多層材料構造は基板上に配置され、多層材料構造は下から上に第1量子井戸、電子遮断層、第2量子井戸、及び上部分離閉じ込め層を含む。第1量子井戸は注入光を変調するために使用される。第2量子井戸は注入光を増幅するために使用される。電子遮断層は、第2量子井戸にロードされた電流が第1量子井戸に流れるのを遮断するために使用される。電気吸収変調器における横方向電気(Transverse Electric, TE)モードに対応する消光比と横方向磁気(Transverse Magnetic, TM)モードに対応する消光比の間に第1差があり、第1差は上部分離閉じ込め層の厚さと第1量子井戸の応力に依存し、第1差は第1プリセット値以下である。半導体光増幅器におけるTEモードに対応するモーダルゲ利得とTMモードに対応するモーダル利得の間に第2差があり、第2差は上部分離閉じ込め層の厚さと第2量子井戸の応力に依存し、第2差は第2プリセット値以下である。
【0006】
この実装では、上部分離閉じ込め層の厚さと第1量子井戸の応力が設計要件を満たしている場合、電気吸収変調器におけるTEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比は互いに近いか等しい、すなわち、電気吸収変調器は偏光に対して不感性を有する。上部分離閉じ込め層の厚さと第2量子井戸の応力が設計要件を満たしている場合、半導体光増幅器におけるTEモードのモーダル利得とTMモードのモーダル利得は互いに近いか等しい、すなわち、半導体光増幅器は偏光に対して不感性を有する。したがって、注入光の偏光方向がランダムであっても、光変調増幅装置の性能に影響を及ぼさない、すなわち、本願で提供される光変調増幅装置は偏光に対して不感性を有する。また、本願で提供される設計方法によれば、電気吸収変調器と半導体光増幅器とは、同一の基板上に成長する。これにより、材料エピタクシーの回数が減少し、プロセスが簡素化される。
【0007】
幾つかの可能な実装では、第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数の間に第3差がある。第1量子井戸におけるTEモードの材料吸収係数とTMモードの材料吸収係数との間には第4差がある。第1差は第3差と第4差に依存し、第3差は上部分離閉じ込め層の厚さに依存し、第4差は第1量子井戸の応力に依存する。第3差は第3プリセット値以下であり、第4差は第4プリセット値以下である。この実装では、このソリューションの実装可能性を高めるために、上部分離閉じ込め層と第1量子井戸の厚さによって各々影響を受けるパラメータを詳細に説明する。
【0008】
幾つかの可能な実装では、第2量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数の間に第5差がある。第2量子井戸におけるTEモードの材料利得とTMモードの材料利得との間に第6差がある。第1差は第5差と第6差に依存し、第5差は上部分離閉じ込め層の厚さに依存し、第6差は第2量子井戸の応力に依存する。第5差は第5プリセット値以下であり、第6差は第6プリセット値以下である。この実装では、このソリューションの実装可能性を高めるために、上部分離閉じ込め層と第2量子井戸の厚さによって各々影響を受けるパラメータを詳細に説明する。
【0009】
幾つかの可能な実装では、第1量子井戸の材料吸収係数が固定されている前提で、高い吸収係数を得るために、電気吸収変調器は第1量子井戸でより高い光閉じ込め係数を持つ必要がある。高出力電力を得るために、半導体光増幅器は第2量子井戸で少ない光閉じ込め係数を持つ必要がある。この設計方法では、光閉じ込め係数に対する電気吸収変調器と半導体光増幅器の異なる要件を同じ構造で実現できる。
【0010】
幾つかの可能な実装では、第2導波路を軸として用いた半導体光増幅器の2つの側の多層材料構造は対称である。言い換えれば、材料構造の各層の厚さ分布は均一である。このように、上部分離閉じ込め層の厚さを制限して、上部分離閉じ込め層が厚すぎないようにし、第1量子井戸と第2量子井戸の光閉じ込め係数を別々に規定することができる。
【0011】
幾つかの可能な実装では、第1導波路を軸として用いた電気吸収変調器の2つの側の多層材料構造をエッチングし、深いリッジ導波路の構造を形成する。これは、電気吸収変調器に対する寄生容量と接合容量の影響を低減する。
【0012】
幾つかの可能な実装では、電気吸収変調器上のエッチング領域は、電気吸収変調器に対する寄生容量と接合容量の影響を更に低減するために、ポリイミド又はベンゾシクロブテンのような低誘電率材料で満たされる。
【0013】
幾つかの可能な実装では、上部分離閉じ込め層の厚さHは75nm≦H≦95nmを満たし、第1量子井戸と第2量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数が互いに近いか等しい。
【0014】
幾つかの可能な実装では、第1導波路の長さLはL≦400μmを満たし、具体的には、電気吸収変調器の全長は400μm以下であるため、電気吸収変調器の第1量子井戸に吸収される光を低減でき、第1量子井戸には高い光閉じ込め係数が存在する。
【0015】
幾つかの可能な実施形態では、第1導波路及び第2導波路の両方のリッジ導波路構造の幅Wは、1.5μm≦W≦3μmを満たす。埋込みヘテロ構造導波路を使用する製造方法と比較して、リッジ導波路構造を使用する製造方法は、より簡単であることを理解すべきである。
【0016】
幾つかの可能な実装では、光変調及び増幅装置は、更に、コントローラ、電圧源及び電流源を含む。コントローラは、電圧源により出力された電圧を電気吸収変調器にロードし、注入光を変調するように電圧源を制御するように構成される。コントローラは、電流源により出力された電流を半導体光増幅器にロードし、注入光を増幅するように電流源を制御するように構成される。この実装では、このソリューションの実用性を向上させるために、本願における光変調増幅装置の動作モードを説明する。
【0017】
幾つかの可能な実装では、電気吸収変調器の電極と半導体光増幅器の電極の間に溝が配置され、溝が電気吸収変調器と半導体光増幅器の間の絶縁抵抗を増加させ、電気吸収変調器と半導体光増幅器の間の電気的絶縁を実現する。
【0018】
幾つかの可能な実装では、プロトン又は不活性イオンが更に溝に注入され、電気的絶縁効果を改善することができる。
【0019】
幾つかの可能な実装では、プロトン又は不活性イオンが電気吸収変調器の電極と半導体光増幅器の電極との間に注入され、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の電気的絶縁を実現する。溝を配置する設計方法と比較して、この溶液の柔軟性が改善される。
【0020】
第2態様によれば、本願の実施形態は、第1態様のいずれかの実施形態による光変調増幅装置と、ドライバとを含む光モジュールを提供する。ドライバは、光変調増幅装置を駆動して注入光を変調及び増幅するように構成される。
【0021】
第3態様によれば、本願の実施形態は、光ネットワークユニット(ONU)を提供し、ONUは第2態様による光モジュール及びメディアアクセス制御(MAC)チップを含む。光モジュールは、MACチップにより出力される電気信号を光信号に変換するように構成される。
【0022】
第4態様によれば、本願の実施形態は、光回線終端装置(OLT)と、第3態様によるONUと、を含む光通信システムを提供する。具体的には、OLTは、ONUへの注入光を送信するように構成される。
【0023】
本願の実施形態において、光変調増幅装置は、電気吸収変調器及び半導体光増幅器を含み、電気吸収変調器及び半導体光増幅器は、同一の基板及び同一の多層材料構造を共有する。上部分離閉じ込め層の厚さと第1量子井戸の応力が設計要件を満たしている場合、電気吸収変調器におけるTEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比は互いに近いか等しい、すなわち、電気吸収変調器は偏光に対して不感性を有する。上部分離閉じ込め層の厚さと第2量子井戸の応力が設計要件を満たしている場合、半導体光増幅器におけるTEモードのモーダル利得とTMモードのモーダル利得は互いに近いか等しい、すなわち、半導体光増幅器は偏光に対して不感性を有する。したがって、注入光の偏光方向がランダムであっても、光変調増幅装置の性能に影響を及ぼさない、すなわち、本願で提供される光変調増幅装置は偏光に対して不感性を有する。また、本願で提供される設計方法によれば、電気吸収変調器と半導体光増幅器とは、同一の基板上に成長する。これにより、材料エピタクシーの回数が減少し、プロセスが簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【0025】
【
図2】本願の実施形態による光変調増幅装置の第1概略構造図である。
【0026】
【
図3】本願の実施形態による光変調増幅装置の第1側面図である。
【0027】
【
図4】本願の実施形態による光変調増幅装置の第2概略構成図である。
【0028】
【
図5A】上部分離閉じ込め層の厚さを有する第2量子井戸における光閉じ込め係数の変化傾向を示す図である。
【0029】
【
図5B】上部分離閉じ込め層の厚さを有する第2量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合の変化傾向を示す図である。
【0030】
【
図6】異なる注入電流条件下における半導体光増幅器におけるTEモードとTMモードのモーダル利得の概略図である。
【0031】
【
図7A】上部分離閉じ込め層の厚さを有する第1量子井戸における光閉じ込め係数の変化傾向を示す図である。
【0032】
【
図7B】上部分離閉じ込め層の厚さを有する第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合の変化傾向を示す図である。
【0033】
【
図8】異なる使用電圧条件下における電気吸収変調器におけるTEモードとTMモードに対応する消光比の概略図である。
【0034】
【
図9】多層構造材料の厚さ方向に沿った屈折率分布の概略図である。
【0035】
【
図10】本願の実施形態による光変調増幅装置の第2側面図である。
【0036】
【
図11】本願の実施形態による光変調増幅装置の第3概略構成図である。
【0037】
【
図12】本願の実施形態による光モジュールの概略構造図である。
【0038】
【
図13】本願の実施形態によるONUの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願の実施形態は、光変調増幅装置、光モジュール、光ネットワークユニット及び光通信システムを提供し、光変調増幅装置は偏光に対して不感性を有する。
【0040】
本願は主に受動光ネットワーク(passive optical network, PON)の光通信システムに適用される。最初にPONシステムについて説明する。
【0041】
図1は、PONシステムの概略構造図である。PONシステムのネットワーク装置は、光回線終端装置(
OLT)1と光ネットワークユニット(
ONU)2を含む。光回線終端装置1と光ネットワークユニット2との間には、光配信ネットワーク(
ODN)3が配置される。光回線終端装置1及び光ネットワークユニット2の各々には、光モジュールが配置される。
【0042】
なお、レート改善の要件を満たすために、複数ONUによって送信される光信号は同じ波長を共有する必要がある。これは、遠隔光注入ロックを介してONUによって具体的に実装することができる。しかしながら、OLTによって送信される遠隔注入光は、伝送過程における環境変化(例えば、光ファイバの応力と温度)の影響を受ける可能性がある。その結果、ONUに到達する注入光の偏光方向がランダムとなり、ONUの性能に影響を及ぼす。従って、本願は、ONU内の光モジュールに適用される光変調増幅装置を提供する。注入光の偏光方向がランダムであっても、光変調増幅装置の性能は影響を受けない。すなわち、本願で提供される光変調増幅装置は偏光に対して不感性を有する。次に、本願で提供される光変調増幅装置について詳細に説明する。
【0043】
図2は、本願の実施形態による光変調増幅装置の第1概略構造図である。
図2に示すように、光変調増幅装置は、電気吸収変調器10及び半導体光増幅器20を含む。電気吸収変調器10は、遠隔端からの注入光を変調するように構成されている。半導体光増幅器20は、注入光を増幅するように構成されている。第1の可能な実装では、電気吸収変調器10の端面から注入光を注入し、導波路30を透過した後、半導体光増幅器20の端面から注入光を出力することができる。すなわち、まず、電気吸収変調器10を用いて注入光を変調し、次に、変調された注入光を半導体光増幅器20を用いて増幅する。第2の可能な実装では、半導体光増幅器20の端面から注入光が注入され、導波路30を透過した後、電気吸収変調器10の端面から注入光を出力することも考えられる。すなわち、まず、半導体光増幅器20を用いて注入光を増幅し、次に電気吸収変調器10を用いて増幅された注入光を変調してもよい。前述の2つの実施形態では、電気吸収変調器10の端面と半導体光増幅器20の端面の両方に反射防止フィルム(Anti-Reflective, AR)をメッキして、入射光パワーと出射光パワーを増大させてもよい。第3の可能な実施形態では、注入光は電気吸収変調器10又は半導体光増幅器20の一方の端面から注入される。導波路30を介して他の端面に伝送された後、注入光は反射され、導波路30を介して伝送された後、注入光が注入された端面から注入光が出力される。すなわち、注入光は往復の過程で2度変調及び増幅される。光注入及び光出力に使用される端面はARフィルムでメッキされ、光反射に使用される端面は高反射性(Highly Reflective, HR)フィルムでメッキされ得る。
【0044】
電気吸収変調器10は、半導体光増幅器20から電気的に分離される。電気吸収変調器10の第1導波路と半導体光増幅器20の第2導波路は、注入光の伝送方向に直列に結合される。直列に結合された第1導波路と第2導波路とは、
図2の導波路30が示す位置に位置する。また、電気吸収変調器10の第1導波路と半導体光増幅器20の第2導波路は、各々
図2に示すリッジ導波路構造を用いている。好ましくは、リッジ導波路構造の幅Wは、1.5μm≦W≦3μmを満たす。埋込みヘテロ構造導波路を使用する製造方法と比較して、リッジ導波路構造を使用する製造方法は、より簡単であることを理解すべきである。
【0045】
電気吸収変調器10及び半導体光増幅器20は、同一の基板40を共有する。更に、電気吸収変調器10及び半導体光増幅器20は、同一の多層材料構造50を使用する。多層材料構造50は、基板40上に配置される。電気吸収変調器10と半導体光増幅器20の両方は、基板40に基づいて製造されることを理解すべきである。電気吸収変調器10は、基板40上に成長する部分に限定されず、基板40も電気吸収変調器10の一部である。同様に、半導体光増幅器20は、基板40上に成長する部分に限定されず、基板40も半導体光増幅器20の一部である。すなわち、電気吸収変調器10、半導体光増幅器20及び基板40は、モノリシックな集積構造を構成する。以下、多層材料構造50の詳細な構成について説明する。
【0046】
図3は、本願の実施形態による光変調増幅装置の第1側面図である。多層材料構造50は、下から上へ、少なくとも第1量子井戸504、電子遮断層505、第2量子井戸506及び上部分離閉じ込め層507を含む。第1量子井戸504の吸収係数は、負荷電圧によって変化する。したがって、第1量子井戸504にロードする電圧を調整することによって、注入光の強度を調整することができる。第2量子井戸506に電流をロードすることによって、注入光に利得を与えることができる。電子遮断層505は、第2量子井戸506にロードされた電流が第1量子井戸504に流れるのを遮断するように構成されており、第2量子井戸506は高いキャリア濃度を有し注入光に高い利得を提供し、第1量子井戸504は電流注入を有しておらず、したがって利得を提供しない。上部分離閉じ込め層507は、量子井戸内の光を制限するように構成されている。
【0047】
実際の適用において、多層材料構造は、上述の構造に限定されないことを理解すべきである。可能な実装では、
図3に示すように、多層材料構造は、下から上へ順に、バッファ層501、内部Nクラッド(Inner N-cladding)502、下部分離閉じ込め層503、第1量子井戸504、電子遮断層505、第2量子井戸506、上部分離閉じ込め層507、及び内部Pクラッド(Inner P-cladding)508を含む。
【0048】
なお、電気吸収変調器10及び半導体光増幅器20は、同一の多層材料構造50を用いているが、電気吸収変調器10が動作する場合、電気吸収変調器10は、第1量子井戸504のみを用いて注入光を変調し、第2量子井戸506を用いない点が異なる。半導体光増幅器20が動作するとき、半導体光増幅器20は、第1量子井戸504を用いずに、第2量子井戸506のみを用いて注入光を増幅する。次に、具体的な実装例を用いて、電気吸収変調器10及び半導体光増幅器20の動作方法について説明する。
【0049】
図4は、本願の実施形態による光変調増幅装置の第2概略構成図である。幾つかの可能な実装では、光変調増幅装置は、更に、電圧源60、電流源70及びコントローラ80を含む。P型電極101は、電気吸収変調器10の上面に配置される。P型電極201は、半導体光増幅器20の上面に配置される。N型電極401は、基板40の下面に配置される。コントローラ80は、電気吸収変調器10のP型電極101及びN型電極401に出力電圧をロードするように電圧源60を制御するように構成される。具体的には、注入光を変調するために、第1量子井戸504に電圧を注入することができる。コントローラ80は、半導体光増幅器20のP型電極201及びN型電極401に出力電流をロードするように電流源70を制御するように更に構成される。具体的には、注入光を増幅するために、第2量子井戸506に電流を注入することができる。
【0050】
電気吸収変調器及び半導体光増幅器における注入光は、横方向電気(TE)モード及び横方向磁気(TM)モードであってもよいことを理解すべきである。半導体光増幅器が偏光に対して不感性を有することを実現するためには、半導体光増幅器におけるTEモードとTMモードのモーダル利得(modal gain)が互いに近いか等しい必要がある。これは、上部分離閉じ込め層の厚さと第2量子井戸の応力を調整することによって具体的に実現することができる。電気吸収変調器が偏光に対して不感性を有することを実現するためには、電気吸収変調器におけるTEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比が互いに近いか等しい必要がある。これは、上部分離閉じ込め層の厚さと第1量子井戸の応力を調整することによって具体的に実現することができる。以下では、個別に詳細な説明を行う。
【0051】
1.半導体光増幅器は偏光に対して不感性を有する。
【0052】
上部分離閉じ込め層の厚さは、第2量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数に影響し得る。光閉じ込め係数は、光に対する第2量子井戸の閉じ込め効果を測定するために使用されるパラメータである。上部分離閉じ込め層の厚さが特定の条件を満たす場合、第2量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数は、互いに近いか等しい。したがって、TEモードの光に対する第2量子井戸の閉じ込め効果は、TMモードの光に対するものと同様か同等である。以下は例を用いて説明を提供する。
【0053】
図5Aは、上部分離閉じ込め層の厚さを有する第2量子井戸における光閉じ込め係数の変化傾向を示す図である。
図5Bは、上部分離閉じ込め層の厚さを有する第2量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合の変化傾向を示す図である。
図5Aに示すように、横座標は上部分離閉じ込め層の厚さを表し、縦座標は第2量子井戸における光閉じ込め係数を表す。上部分離閉じ込め層の厚さが85nmの場合、TEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数は互いに等しく、ともに2.91%であることが分かる。
図5Bに示すように、横座標は上部分離閉じ込め層の厚さを表し、縦座標は第2量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合を表す。また、上部分離閉じ込め層の厚さが85nmの場合、第2量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合は0である、すなわち、TEモードの光閉じ込め係数はTMモードの光閉じ込め係数と等しいことが分かる。理解されるべきことに、実際の用途では、上部分離閉じ込め層の厚さHは75nm≦H≦95nmを満たすものとする。
【0054】
理解されるべきことに、第2量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数が互いに近い又は等しいことを前提として、第2量子井戸におけるTEモードとTMモードの材料利得が互いに近い又は等しい必要がある。このように、半導体光増幅器においては、TEモードとTMモードのモーダル利得が互いに近い又は等しい。特に、第2量子井戸の応力は、TEモードとTMモードの材料利得に影響を及ぼす可能性がある。したがって、第2量子井戸の応力が特定の条件を満たす場合、TEモードとTMモードの材料利得は互いに近いか等しいため、TEモードとTMモードのモーダル利得は互いに近いか等しい。
図6は、異なる注入電流条件下における半導体光増幅器におけるTEモードとTMモードのモーダル利得の概略図である。
図6に示すように、横座標は波長を表し、縦座標はモーダル利得を表す。1510nm~1535nmの波長帯では、TEモードとTMモードのモーダル利得が互いに近いか等しいため、半導体光増幅器は偏光に対して不感性を有することが分かる。
【0055】
2.電気吸収変調器は偏光に鈍感である。
【0056】
第2量子井戸と同様に、上部分離閉じ込め層の厚さは、第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数及びTMモードの光閉じ込め係数にも影響を及ぼすことができる。上部分離閉じ込め層の厚さが特定の条件を満たす場合、第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数は、互いに近いか等しい。したがって、TEモードの光に対する第1量子井戸の閉じ込め効果は、TMモードの光に対するものと同様か同等である。以下は例を用いて説明を提供する。
【0057】
図7Aは、上部分離閉じ込め層の厚さを有する第1量子井戸における光閉じ込め係数の変化傾向を示す図である。
図7Bは、上部分離閉じ込め層の厚さを有する第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合の変化傾向を示す図である。
図7Aに示すように、横座標は上部分離閉じ込め層の厚さを表し、縦座標は第1量子井戸における光閉じ込め係数を表す。第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数及びTMモードの光閉じ込め係数は、上部分離閉じ込め層の厚さの増加に伴って増加することが分かる。上部分離閉じ込め層の厚さが85nmの場合、第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数は10.3%であり、第1量子井戸におけるTMモードの光閉じ込め係数は10.5%である。
図7Bに示すように、横座標は上部分離閉じ込め層の厚さを表し、縦座標は第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合を表す。第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合は、上部分離閉じ込め層の厚さの減少と共に減少することが分かる。上部分離閉じ込め層の厚さが85nmの場合、第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの光閉じ込め係数の差の割合は2.2%に近い。
【0058】
理解されるべきことに、第1量子井戸におけるTEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数が互いに近い又は等しいことを前提として、第1量子井戸におけるTEモードとTMモードの材料吸収係数が互いに近い又は等しい必要があり、したがって、電気吸収変調器におけるTEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比が互いに近い又は等しくなる。特に、第1量子井戸の応力がTEモードとTMモードの材料吸収係数に影響を及ぼす可能性がある。したがって、第1量子井戸の応力が特定の条件を満たす場合には、TEモードとTMモードの材料吸収係数は互いに近いか等しいため、TEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比は互いに近いか等しい。
図8は、異なる使用電圧条件下における電気吸収変調器におけるTEモードとTMモードに対応する消光比の概略図である。
図8に示すように、横座標は波長を表し、縦座標は消光比を表す。1480nm~1550nmの波長帯では、TEモードに対応する消光比とTMモードに対応する消光比が互いに近いか等しいため、電気吸収変調器は偏光に鈍感であることが分かる。
【0059】
本願の実施形態では、光変調増幅装置は、同じ基板及び同じ多層材料構造を共有する電気吸収変調器及び半導体光増幅器を含む。上部分離閉じ込め層507の厚さと第1量子井戸504の応力が設計要件を満たす場合、電気吸収変調器は偏光に対して鈍感である。上部分離閉じ込め層507の厚さと第2量子井戸506の応力が設計要件を満たす場合、半導体光増幅器は偏光に対して鈍感である。したがって、注入光の偏光方向がランダムであっても、光変調増幅装置の性能に影響を及ぼさない、すなわち、本願で提供される光変調増幅装置は偏光に鈍感である。また、本願で提供される設計方法によれば、電気吸収変調器と半導体光増幅器とは、同一の基板上に成長する。これにより、材料エピタクシーの回数が減少し、プロセスが簡素化される。
【0060】
オプションとして、幾つかの実装では、第1量子井戸の材料吸収係数が固定されている前提で、高い吸収係数を得るために、電気吸収変調器は第1量子井戸で
高い光閉じ込め係数を持つ必要がある。高出力電力を得るために、半導体光増幅器は第2量子井戸で少ない光閉じ込め係数を持つ必要がある。したがって、第1量子井戸の材料屈折率は、第2量子井戸の材料屈折率よりも大きくなければならない。例えば、第1量子井戸はAlGaInAs
の材料を使用し、第2量子井戸はInGaAsP
の材料を使用する。
図9は、多層構造材料の厚さ方向に沿った屈折率分布の概略図である。
図9に示すように、横座標が多層構造材料の厚さであり、縦座標が屈折率である。
図3に示す多層材料構造に対応する参照符号から、第1量子井戸504の屈折率が第2量子井戸506の屈折率よりも大きいことが分かる。この設計方法では、光閉じ込め係数に対する電気吸収変調器と半導体光増幅器の異なる要件を同じ構造で実現できる。
【0061】
これに基づいて、第1量子井戸に高い光閉じ込め係数があることを更に実現するために、電気吸収変調器の全長を縮小して、電気吸収変調器の第1量子井戸に吸収される光を低減することができる。例えば、電気吸収変調器の全長又は第1導波路の長さLは、400μm以下である。
【0062】
オプションとして、幾つかの実装では、第2導波路のリッジ導波路構造を軸として、半導体光増幅器の両側の多層材料構造が対称である。言い換えれば、材料構造の各層の厚さ分布は均一である。このように、上部分離閉じ込め層の厚さを制限して、上部分離閉じ込め層が厚すぎないようにし、第1量子井戸と第2量子井戸の光閉じ込め係数を別々に規定することができる。
図5Aから分かるように、上部分離閉じ込め層の厚さが大きいと、TEモードの光閉じ込め係数とTMモードの光閉じ込め係数との差が大きくなり、偏光に対する不感性を実現することが困難になり得る。また、上部分離閉じ込め層の厚さが大きいと、第2量子井戸の光閉じ込め係数が
高くなり得る。これは、半導体光増幅器による高出力パワーを得ることに貢献しない。
【0063】
オプションとして、幾つかの実装では、第1導波路のリッジ導波路構造を軸として用いる電気吸収変調器の両側の多層材料構造をエッチングして、深いリッジ導波路構造を形成する。これは、電気吸収変調器に対する寄生容量と接合容量の影響を低減する。例えば、
図10は、本願の実施形態による光変調増幅装置の第2側面図である。
図10に示すように、リッジ導波路構造の幅Wは2μmであり、リッジ導波路構造の両側の第1量子井戸504、電子遮断層505、第2量子井戸506、上部分離閉じ込め層507及び内部Pクラッド508がエッチングされている。理解されるべきことに、実際の適用においては、実際の要件に基づいてエッチング深さを選択することができる。例えば、リッジ導波路構造の両側のバッファ層501上の多層材料構造もエッチングすることができる。
【0064】
これに基づいて、電気吸収変調器に対する寄生容量及び接合容量の影響を更に低減するために、ポリイミド又はベンゾシクロブテンのような低誘電率材料をエッチング領域に更に充填することができる。
図11は、本願の実施形態による光変調増幅装置の第3概略構成図である。
図11に示すように、低誘電率材料90は、電気吸収変調器10のエッチング領域に充填される。
【0065】
本実施形態では、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の電気的絶縁は、以下に個別に説明する複数の方法で実施することができる。
【0066】
第1方法では、プロトン又は不活性イオンが電気吸収変調器と半導体光増幅器のP型電極との間に注入され、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の電気的絶縁を実現する。不活性イオンは、ヘリウム、ネオン、アルゴン又は他のイオンであってもよい。本願における光変調増幅装置の全体構造をよりコンパクトにし、干渉を低減するためには、電気吸収変調器と半導体光増幅器のP型電極との間の距離を所定の距離範囲内で制御する必要があることを理解すべきである。
【0067】
第2方法として、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間に溝を設けてもよい。例えば、リッジ導波路構造の一部を電気吸収変調器と半導体光増幅器との間にエッチングして溝を形成する。溝は、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の絶縁抵抗を増加させ、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の電気的絶縁を実現する。なお、電気吸収変調器と半導体光増幅器との間の電気的絶縁を実現することができ、電気吸収変調器と半導体光増幅器との正常動作に影響を与えない場合には、溝の深さは本願において限定されない。オプションとして、電気的絶縁効果を改善するために、プロトン又は不活性イオンを更に溝に注入することができる。
【0068】
本願において提供される光変調増幅装置は、上述したとおりである。これに基づき、本願の実施形態は、光モジュールを更に提供する。
図12は、本願の実施形態による光モジュールの概略構造図である。光モジュールは、上記実施形態で説明した光変調増幅装置1201とドライバ1202とを含む。ドライバは、光変調増幅装置を駆動して注入光を変調及び増幅するように構成される。
【0069】
更に、本願の実施形態は、ONUを提供する。
図13は、本願の実施形態によるONUの概略構造図である。ONUは、
図12に示す実施形態で説明した光モジュール1301とMACチップ1302とを含む。光モジュール1301は、MACチップ1302により出力される電気信号を光信号に変換するように構成される。ONUはPONシステムに適用されることを理解すべきである。OLT内の光源は、ONUに注入光を送信し、注入光は連続光である。ONUは、ONUの光モジュール内の光変調増幅装置を用いて注入光を変調及び増幅し、アップストリーム光信号を生成する。そして、ONUはアップストリーム光信号をOLTに送る。
【0070】
前述の実施形態は、単に本願の技術的ソリューションを説明するために使用され、本願を限定することを意図しないことに留意すべきである。本願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者は、本願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、彼らが前述の実施形態で説明された技術的ソリューションを変更し得ること、又はその幾つかの技術的特徴に均等な置換を行い得ること、を理解すべきである。