(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】地図情報システムおよび車載装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20250520BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20250520BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20250520BHJP
G01C 21/32 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/00 J
G08G1/13
G01C21/32
(21)【出願番号】P 2023576925
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2023002144
(87)【国際公開番号】W WO2023145739
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022010351
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 智
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-113979(JP,A)
【文献】特開2020-177065(JP,A)
【文献】特開2021-051349(JP,A)
【文献】特開2018-206024(JP,A)
【文献】特開2021-140309(JP,A)
【文献】特開2021-073547(JP,A)
【文献】特開2017-041070(JP,A)
【文献】特開2021-156845(JP,A)
【文献】特開2022-002055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G08G 1/00
G08G 1/13
G01C 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(200)に位置する記憶部(30)に記憶される地図情報を管理する地図情報システムであって、
前記車両に搭載された周辺検出センサ(21)により検出された周辺情報と、前記地図情報とが異なる場合には、前記周辺情報を加工した加工情報を生成する情報生成部(61)を含み、
前記加工情報は、前記周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも前記地図情報と異なる部分の前記周辺情報と前記地図情報との差異を定量化した定量情報を含
み、
前記情報生成部は、前記周辺情報と前記地図情報との差異が許容範囲内である場合には、前記加工情報を生成し、前記許容範囲外である場合には前記加工情報の生成を停止する地図情報システム。
【請求項2】
前記情報生成部は、前記周辺情報と前記地図情報の差異が対象となる地物の位置の差異である場合には、前記定量情報として前記地物の位置の変化量を用いる請求項1に記載の地図情報システム。
【請求項3】
前記情報生成部は、前記周辺情報と前記地図情報の差異が対象となる地物の有無の差異である場合には、前記定量情報と、前記地物の有無を示す存在情報とを含む前記加工情報を生成する請求項1または2に記載の地図情報システム。
【請求項4】
前記車両の位置、前記車両の位置における天候、前記車両の周辺の路面状況、および前記周辺情報の検出時間の少なくとも1つを用いて、前記周辺検出センサの前記周辺情報の検出精度を決定する検出精度決定部(85)をさらに含み、
前記加工情報には、前記検出精度が含まれる請求項1
または2に記載の地図情報システム。
【請求項5】
前記車両の位置、前記車両の位置における天候、前記車両の周辺の路面状況、および前記周辺情報の検出時間の少なくとも1つを用いて、前記周辺検出センサの前記周辺情報の検出精度を決定する検出精度決定部(85)をさらに含み、
前記情報生成部は、前記検出精度が所定の検出精度よりも低い場合には、前記検出精度が低い前記周辺情報を用いた前記加工情報の生成を停止する請求項1
または2に記載の地図情報システム。
【請求項6】
前記情報生成部は、前記周辺情報を用いて、走行中の道路で工事が行われていると判断した場合には、前記加工情報の生成を停止する請求項1
または2に記載の地図情報システム。
【請求項7】
車両(200)に搭載されて用いられる車載装置であって、
地図情報が記憶される記憶部(30)と、
前記車両に搭載された周辺検出センサ(21)により検出された周辺情報と、前記地図情報とが異なる場合には、前記周辺情報を加工した加工情報を生成する情報生成部(61)と、
管理サーバ(80)と通信する車両通信部であって、前記加工情報または前記周辺情報を前記管理サーバに送信するとともに、前記管理サーバから新しい前記地図情報を受信する車両通信部(40)と、
前記管理サーバから新しい前記地図情報を受信すると、前記記憶部の前記地図情報を更新する地図更新部(63)と、を含み、
前記加工情報は、前記周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも前記地図情報と異なる部分の前記周辺情報と前記地図情報との差異を定量化した定量情報を含み、
前記情報生成部は、前記周辺情報と前記地図情報との差異が許容範囲内である場合には、前記加工情報を生成し、前記許容範囲外である場合には前記加工情報
の生成
を停止し、
前記車両通信部は、前記許容範囲内である場合には、前記加工情報を前記管理サーバに送信し、前記許容範囲外である場合には、前記周辺情報を前記管理サーバに送信する車載装置。
【請求項8】
前記車両通信部は、
前記加工情報を送信する場合、前記加工情報を所定の制限通信量以下となるように圧縮または削減して前記管理サーバに送信し、
前記周辺情報を送信する場合、前記周辺情報を前記制限通信量以下となるように分割して前記管理サーバに送信する請求項
7に記載の車載装置。
【請求項9】
前記加工情報および前記周辺情報の前記管理サーバへの送信可否を設定する設定部(64)をさらに含む請求項
7または
8に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2022年1月26日に日本に出願された特許出願第2022-010351号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
この明細書における開示は、地図情報を管理する地図情報システムおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に記載されている装置は、車両に搭載された外界センサで検出した地物の位置および形状等と、地図データとして記憶部に記憶されている地物情報とを比較する。そして、外界センサで検出した地物に変化があると判断した場合には、差異情報をサーバへ送信する。サーバは、その差異情報をもとに高度化地図データベースを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1では、高度化地図データベースに含まれている地物情報が、実際に現地を走行した車両に搭載されたセンサで検出した地図の位置および形状等と相違している場合に、その差異情報またはセンサが検出した計測データをサーバへ送信する。
【0006】
差異情報はフラグを用いているので、差異情報では地物の変化の度合いを把握することができないという問題がある。たとえば、特許文献1に記載の変化特定フラグが地物の位置変化を表す場合、変化特定フラグとなりえるギリギリの変化量だったのか、それとも大幅に位置が変化したのか不明という問題がある。また計測データをアップロードする場合、データ量が大きすぎ、通信負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、データ量が大きくなるのを抑制しつつ、詳細な差異情報を収集することができる地図情報システムおよび車載装置を提供することを目的とする。
【0008】
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
ここに開示された地図情報システムは、車両に位置する記憶部に記憶される地図情報を管理する地図情報システムであって、車両に搭載された周辺検出センサにより検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報を生成する情報生成部を含み、加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分の周辺情報と地図情報との差異を定量化した定量情報を含み、情報生成部は、周辺情報と地図情報との差異が許容範囲内である場合には、加工情報を生成し、許容範囲外である場合には加工情報の生成を停止する。
【0010】
また開示された車載装置は、車両(200)に搭載されて用いられる車載装置であって、地図情報が記憶される記憶部(30)と、車両に搭載された周辺検出センサ(21)により検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報を生成する情報生成部(61)と、管理サーバ(80)と通信する車両通信部であって、加工情報または周辺情報を管理サーバに送信するとともに、管理サーバから新しい地図情報を受信する車両通信部(40)と、管理サーバから新しい地図情報を受信すると、記憶部の地図情報を更新する地図更新部(63)と、を含み、加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分の周辺情報と地図情報との差異を定量化した定量情報を含み、情報生成部は、周辺情報と地図情報との差異が許容範囲内である場合には、加工情報を生成し、許容範囲外である場合には加工情報の生成を停止し、車両通信部は、許容範囲内である場合には、加工情報を管理サーバに送信し、許容範囲外である場合には、周辺情報を管理サーバに送信する。
【0011】
また開示された車載装置は、車両に搭載されて用いられる車載装置であって、地図情報が記憶される記憶部と、車両に搭載された周辺検出センサにより検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報を生成する情報生成部と、管理サーバと通信する車両通信部であって、加工情報または周辺情報を管理サーバに送信するとともに、管理サーバから新しい地図情報を受信する車両通信部と、管理サーバから新しい地図情報を受信すると、記憶部の地図情報を更新する地図更新部と、を含み、加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分の周辺情報と地図情報との差異を定量化した定量情報を含み、情報生成部は、周辺情報と地図情報との差異が許容範囲内である場合には、加工情報を生成し、許容範囲外である場合には加工情報を生成の停止し、車両通信部は、許容範囲内である場合には、加工情報を管理サーバに送信し、許容範囲外である場合には、周辺情報を管理サーバに送信する。
【0012】
このような車載装置に従えば、車両に搭載された周辺検出センサにより検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報が情報生成部によって生成される。加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分の周辺情報と地図情報との差異を定量化した定量情報を含む。これによってデータ量は周辺情報よりも少ないが、単なるフラグよりも、異なる部分の詳細な情報を収集することができる。このような加工情報を管理サーバに送信するので、管理サーバは加工情報を用いて地図の更新の有無を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の地図更新システムの全体構成を示す図。
【
図5】サーバ制御部83の処理を示すフローチャート。
【
図6】車載装置60の他の処理を示すフローチャート。
【
図7】サーバ制御部83の他の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、
図1~
図7を用いて説明する。
図1は、本実施形態の地図情報システム100の全体構成を示す図である。地図情報システム100は、車両200に位置する車両記憶部30に記憶される地図情報を更新する。地図情報システム100は、車両200に搭載された車載システム10と、車両200の外の任意の位置に設置された管理サーバ80とを備えている。車載システム10と管理サーバ80とは通信回線網300を介して通信できる。
【0017】
まず、車載システム10の構成に関して、
図2を用いて説明する。車載システム10は、車載センサ20、車両記憶部30、車両通信部40、車両制御部50、および車載装置60を備えている。これらは、車内LAN11に接続されており、車内LAN11を介して互いに通信する。車両通信部40は、無線通信する通信部であり、通信回線網300を介して他の装置、たとえば管理サーバ80との間で通信する。
【0018】
車載センサ20は、車両制御に使う種々の情報を検出するために車両200に搭載されるセンサである。車載センサ20は、周辺検出センサ21と、GNSS受信機24と、慣性センサ25と、ドライバ操作検出センサ26とを備えている。この他に、車載センサ20として、ドライバの状態を検出するセンサなど、他のセンサを備えてもよい。
【0019】
周辺検出センサ21は、車両200に搭載され、車両200の周辺に存在する種々の物体を検出するセンサである。物体には、路面標示および区画線などの平面的な物体も含まれる。
図2には、周辺検出センサ21としてカメラ22とLidar23を示している。カメラ22は、車両200の前方の画像を撮影する。また、カメラ22は、車両200の側方および後方を撮影するようになっていてもよい。Lidar23は、光の投光と受光により、車両200の周辺に存在する物体の位置などを検出する。周辺検出センサ21は、これらに加えて、あるいは、これらに代えて、ミリ波レーダなど、車両200の周辺に存在する物体を検出する他のセンサを備えていてもよい。周辺検出センサ21は、検出したセンサの生情報である周辺情報を車両記憶部30に記憶する。
【0020】
GNSS受信機24は、衛星航法システムであるGNSS(Global Navigation Satellite System)が備える航法衛星が送信する航法信号を受信し、受信した航法信号に基づいて現在位置を逐次算出する。慣性センサ25は、車両200に生じる慣性を検出するセンサであり、加速度センサおよび角速度センサの一方または両方を含む。GNSS受信機24と慣性センサ25は、車両200の現在位置を逐次検出するためのセンサである。現在位置の変化は車両200の挙動を示すので、GNSS受信機24と慣性センサ25は、車両200の挙動を示す情報を検出するセンサである。
【0021】
ドライバ操作検出センサ26は、ドライバが車両200の挙動を変化または維持するためにする入力操作を検出するセンサである。ドライバ操作検出センサ26は、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、シフトポジションセンサなどである。
【0022】
車両記憶部30は、書き込み可能であり、種々の情報を記憶している。車両記憶部30は、常に車両200に搭載されている必要はなく、車両200と着脱可能であってもよい。車両記憶部30は、たとえばユーザが車両200を停止した後は、取り外して、他の場所、たとえば会社にある他の情報端末と接続して使用可能であってもよい。
【0023】
車両記憶部30には、フラッシュメモリを用いることができる。車両記憶部30には、地図データベース(以下、地
図DB)が記憶されている。地
図DBは、地図情報を含む。地図情報には、道路の標識、路面標示および区画線に関し、これらの種別を特定する標識情報を含む。道路の標識、路面標示および区画線は、法律で定められ、道路上の交通が安全かつ円滑に移動できるようにするために設けられる。道路の標識は、たとえば案内標識、警戒標識、規制標識および指示標識である。標識情報は、これらの種類および内容を特定するための情報である。地図情報は、たとえば高精度地図と呼ばれる地図情報によって実現される。
【0024】
高精度地図は、3次元地図であり、道路の周辺に存在する地物についての情報を含んでいる。地物には、信号機、道路標識、看板および建物が含まれる。看板は、店舗名などを表示する。信号機に関する情報は、たとえば信号機の座標、信号形状、サイズおよび向きなど、信号機を特定する信号機情報である。高精度地図には、立体的な情報だけでなく、道路の表面に存在する平面的な情報も含む。平面的な情報は、たとえば路面標示の種類、路面標示の位置、区画線の位置、および区画線の種類である。
【0025】
車両制御部50は、車載センサ20から、車両200の挙動を示す挙動情報、および車両200の周辺に存在する物体を示す周辺情報を取得する。また車両制御部50は、車両記憶部30に記憶されている地
図DBから地図情報を取得する。車両制御部50は、これら取得した情報を使い、車両200の挙動を制御する車両制御を実行する。車両制御部50は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。
【0026】
車両制御の一例は、信号停止制御である。信号停止制御は、対象信号機の灯火が赤であって、矢印灯火が示す方向に走行する走行レーンを走行中でない場合には、停止線で停止する制御である。対象信号機は、周辺検出センサ21で複数の信号機が検出できた場合、どれが対象信号機であるかは、車両200に対する信号機の位置と向きなどから判断する。信号停止制御では、地図情報に記憶されている信号機情報を用いて、周辺検出センサ21が検出した信号機から対象信号機を特定する。そして、特定した対象信号機において点灯している灯火を判断する。
【0027】
車両制御の他の例は、車線維持制御である。車線維持制御は、区画線と車両200との車幅方向の位置を逐次検出しつつ、同じ車線を自動で走行する制御である。車線維持制御は、周辺検出センサ21を使って認識した区画線の位置および形状と、地図情報に含まれている区画線の位置および形状とを用いて実行する。
【0028】
車載装置60は、車両200に搭載されて用いられる。車載装置60は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、車載装置60は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを車載装置60として作動させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行する。車載装置60は、
図2に示すように、機能ブロックとして、情報生成部61、精度算出部62、地図更新部63および設定部64を有する。これらの機能ブロックによって実行されることは、プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0029】
精度算出部62は、車両200の位置、車両200の位置における天候、車両200の周辺の路面状況、および周辺情報の検出時間の少なくとも1つを用いて、周辺検出センサ21の周辺情報の検出精度を算出する。車両200の位置には、車両200の位置を決定するGNSS受信機24の受信精度も含まれる。たとえばGNSS受信機24の受信状況が悪い場合、具体的にはGNSS受信信号の信頼度が低い、または測位衛星数が少ない場合、車両200の位置が決定してもその位置精度は低い。したがって検出精度を算出するためには、GNSSの受信精度も考慮した車両200の位置を用いる。周辺検出センサ21の検出精度は、様々な外的要因によって変化する。たとえば車両200が高層ビル群を走行中の場合、高層ビルの影が路面に多数あり、影と日向とのコントラストによって検出精度が低下する。また車両200の位置が繁華街である場合には、繁華街は路上駐車が多いので、路上駐車によって区画線の検出精度が低下する。またトンネルを走行中の場合、トンネルの出入り口付近では、トンネルの内と外で明るさが急激に変化するので、検出精度が低下する。したがって車両200の位置によって、検出精度が異なる。
【0030】
またトンネル内などでは、GNSS受信機24の受信精度も低下するおそれがある。したがって車両200の位置によって、GNSS受信機24の受信精度が異なる。このようなGNSS受信機24の受信精度も検出精度に含まれる。
【0031】
また雨および雪などによって路面状況が悪化している場合には、路面標示の検出精度が低下する。したがって車両200の位置における天候によって検出精度が異なる。たとえば雨が降っているか否かは、ワイパーの作動状況によって判断してもよく、車両通信部40から他の装置から天候情報を取得してもよい。また西日、朝日などの検出時間には、太陽の位置が低くカメラ22の撮影がしにくいことがある。したがって検出時間によっては、検出精度が低下する。
【0032】
精度算出部62は、前述のような検出精度に影響を与える因子を考慮して、周辺情報の検出精度を算出する。前述のように、たとえば車両200の位置が繁華街である場合には、区画線の検出精度が低い可能性があるので、区画線の検出精度を低く設定する。車両200の位置、車両200の位置における天候、車両200の周辺の路面状況、および周辺情報の検出時間に基づいて、検出精度が低下するおそれがある場合には、検出精度を低く設定する。
【0033】
このような検出精度は、予め設定される制御マップ、および相関関係に基づいて設定される計算式などを用いて算出される。精度算出部62は、定期的、たとえば数秒毎に検出精度を算出する。精度算出部62は、算出した精度を、算出時刻および算出位置とともに精度情報として、車両記憶部30に記憶する。
【0034】
情報生成部61は、周辺検出センサ21により検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報を生成する。加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分の周辺情報と地図情報との差異を定量化した定量情報を含む。周辺情報は、たとえば計測データともいい、カメラ22の計測データは、画像データである。定量情報は、たとえばカメラ22の画像データを画像認識処理し、画像認識処理によって得られた認識結果である。画像認識処理によって、たとえば特徴点に関する情報が数値として定量化して抽出される。特徴点とは、たとえば区画線の中心、区画線のエッジ、看板であることなどの種別である。
【0035】
情報生成部61は、周辺情報の加工として、座標変換処理も含む。座標変換処理は、たとえば絶対座標から自車座標系への変換、世界測地系1984(WGS84)から直行座標系への変換などである。絶対座標系は、データ点の座標が緯度、経度、標高で表される座標系である。自車位置座標系は、自車位置からデータ点までの座標が車幅方向、車長方向および車高方向で表される座標系である。
【0036】
情報生成部61は、周辺情報の加工として、地物の高さを算出、地物の色の抽出も含む。地物の色の抽出は、たとえば路面ペイントの場合は、白、黄および不明のいずれか情報に圧縮する。換言すると、路面ペイントなどの色の情報は、単純化された色に対応する値に数値化される。また情報生成部61は、周辺情報から、差異の情報の種類、差異の大きさ、特徴点の数などを抽出する。これによって加工情報は、定量化されて、周辺情報よりデータ量が少なくなる。
【0037】
情報生成部61は、周辺情報と地図情報の差異が対象となる地物の位置の差異である場合には、定量情報として地物の位置の変化量を用いる。周辺情報と地図情報との差異は、たとえば地物の位置の差異、路面標示の位置の差異、区画線の線種の差異などである。
【0038】
周辺情報と地図情報とにおいて、地物の位置が、たとえば100mmの差異がある場合には、定量情報には、100mmの変化量を含む情報が含まれる。また定量情報には、周辺情報における地物の位置の座標を含んでもよい。地物の位置の座標は、たとえば地物の中心点など予め地物に設定されている基準点の座標である。また変化量は、基準点の変化量である。また変化量には、地物の位置が変化した方向、すなわちベクトル情報を含んでも良い。
【0039】
情報生成部61は、周辺情報の標識情報および地図情報の標識情報に差異がある場合には、周辺情報の標識情報および地図情報の標識情報の両方の情報を含む加工情報を生成する。たとえば周辺情報では区画線が破線であり、地図情報では区画線が実線である場合には、加工情報には、周辺情報では区画線が破線である情報と、地図情報では区画線が実線である情報とを含む。換言すると、加工情報には、周辺情報と地図情報との両方の情報が含まれる。
【0040】
情報生成部61は、周辺情報と地図情報の差異が対象となる地物の有無の差異である場合には、定量情報とは別に、地物の有無を示す存在情報を含む加工情報を生成する。たとえば周辺情報では、道路標識があるが、地図情報には道路標識がない場合には、道路標識の有無の差異があることになる。この場合は、情報生成部61は、周辺情報には道路標識が在ることを示す存在情報を含むように加工情報を生成する。逆に、たとえば周辺情報では、道路標識がないが、地図情報には道路標識がある場合には、同様に道路標識の有無の差異があることになる。この場合は、情報生成部61は、周辺情報には道路標識が無いことを示す存在情報を含むように加工情報を生成する。存在情報には、有無の差異がある地物を特定する情報を含んでもよい。たとえば周辺情報に含まれる複数の地物に、地図情報には含まれる複数の地物のうちの1つの地物、たとえば道路標識がない場合には、その道路標識を特定する情報を含んでもよい。
【0041】
また情報生成部61は、周辺情報を用いて走行中の道路で工事が行われていると判断した場合には、加工情報の生成を停止する。道路工事の有無は、工事を示す看板、道路上に位置する作業員、誘導員、車線誘導の表示、車線規制、および事前に配信される工事予定の情報などから判断する。工事の場合は、加工情報でなく、周辺情報を送信するように車両通信部40を制御してもよい。また工事によって地図情報を更新する必要がある可能性があるので、工事をしていることを示す情報を管理サーバ80に送信してもよい。
【0042】
また情報生成部61は、周辺情報と地図情報との差異が許容範囲内である場合には、加工情報を生成し、許容範囲外である場合には加工情報の生成を停止する。差異が大きい場合は、差異が大きい原因を特定する必要がある。そこで差異が許容範囲外の場合には、加工情報ではなく周辺情報を送信するように車両通信部40を制御する。
【0043】
また加工情報には、検出精度に関する情報も含まれる。具体的には、加工情報には、精度算出部62が算出した検出精度の情報が含まれる。また情報生成部61は、検出精度が所定の検出精度よりも低い場合には、検出精度が低い周辺情報を用いた加工情報の生成を停止する。所定の検出精度は、周辺情報を信頼すべき情報か否かを判断する指標である。検出精度が低い周辺情報であると、周辺情報の信頼度が低くなるので、加工情報も信頼度が低くなる。このような信頼度が低い加工情報を生成しないように制御される。
【0044】
また周辺情報の検出精度は、センサによって異なる。たとえばGNSS受信機24の受信精度は低いが、カメラ22の検出精度が高い場合はある。このような場合は、GNSS受信機24を用いた加工情報の生成は停止するが、カメラ22を用いた加工情報は生成する。
【0045】
車載装置60は、加工情報を送信する場合、加工情報を所定の制限通信量以下となるように圧縮または削減する。そし車両通信部40は、圧縮または削減された加工情報を管理サーバ80に送信する。
【0046】
また車載装置60は、周辺情報のデータサイズが閾値以下であれば、周辺情報を加工せずにそのまま送信してもよい。車載装置60は、たとえば100ms毎に加工情報を生成し、加工情報が所定の閾値以上、たとえば600byte以上になると生成を停止してもよい。そして車載装置60は、生成した複数の加工情報を集めて送信してもよい。
【0047】
また車載装置60は、周辺情報を送信する場合、周辺情報を制限通信量以下となるように分割する。そして車両通信部40は、分割した加工情報を管理サーバ80に送信する。車載装置60は、任意に設定されたアップロードタイミングで、加工情報を管理サーバ80に送信するように車両通信部40を制御してもよい。アップロードタイミングは、たとえば、車両制御が終了する毎である。また、アップロードタイミングは、車両200の起動時、すなわち、イグニッションスイッチがオンになるときでもよい。また、アップロードタイミングは、定期的でもよい。車載装置60は、記憶されている情報を車両通信部40から管理サーバ80にアップロードさせた後は、アップロードした情報を車両記憶部30から消去してもよい。
【0048】
設定部64は、加工情報および周辺情報の管理サーバ80への送信可否を設定する。設定部64は、たとえば運転者によって設定されることで、送信可否が設定される。これによって運手者が設定した、すなわち運転者が合意した場合に、加工情報および周辺情報が管理サーバ80に送信される。
【0049】
たとえばナビゲーション装置の表示画面に、「送信してもよいですか? YES、NO」の画面を表示して、運転者が選択することで、送信可否が設定される。また個人情報の情報開示請求ができるようにしてもよい。
【0050】
また情報を送受信するときに、送受信中であることを乗員に通知、たとえば音声出力および画面表示してもよい。また送受信中に、乗員によって、送受信を停止または送受信のキャンセルする操作が可能にしてもよい。
【0051】
地図更新部63は、新しい地図情報が与えられると、地
図DBの地図情報を更新する。また地図更新部63は、車両通信部40が新しい地図情報を管理サーバ80から受信すると、地
図DBの地図情報を更新する。
【0052】
次に、情報生成部61および精度算出部62の制御に関して、
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3に示すフローチャートは、車載装置60によって短時間に繰り返し実行される。
【0053】
ステップS1では、周辺情報と地図情報とを比較し、ステップS2に移る。ステップS2では、周辺情報と地図情報とに差異があるか否かを判断し、差異がある場合には、ステップS3に移り、差異がない場合には、本フローを終了する。
【0054】
ステップS3では、差異があるので、差異が許容範囲内であるか否かを判断し、許容範囲内である場合には、ステップS4に移り、許容範囲内でない場合には、ステップS7に移る。
【0055】
ステップS4では、許容範囲内であるので、周辺情報の検出精度が所定の検出精度よりも高いか否かを判断し、高い場合には、ステップS5に移り、高くない場合には、本フローを終了する。
【0056】
ステップS5では、検出精度が高いので、加工情報を生成し、ステップS6に移る。加工情報には、検出精度に関する精度情報も含まれる。ステップS6では、加工情報を車両通信部40から管理サーバ80に送信するように制御し、本フローを終了する。
【0057】
ステップS7では、許容範囲外であるので、周辺情報と精度情報を車両通信部40から管理サーバ80に送信するように制御し、本フローを終了する。
【0058】
これによって周辺情報と地図情報とに差異がある場合には、加工情報が管理サーバ80に送信される。また差異が許容範囲外である場合には、周辺情報が管理サーバ80に送信される。
【0059】
次に、管理サーバ80の構成に関して、
図4を用いて説明する。管理サーバ80は、複数の車両200に搭載されている車載装置60と通信し、車載装置60の車両記憶部30に記憶されている地図情報を管理する。管理サーバ80は、
図4に示すように、サーバ通信部81、サーバ記憶部82、サーバ制御部83を備えている。サーバ通信部81は、通信回線網300を介して車両通信部40と通信する通信部である。サーバ通信部81は、通信回線網300に有線接続してもよいし、通信回線網300に無線接続してもよい。
【0060】
サーバ記憶部82には、配信地
図DBが記憶されている。配信地
図DBは、車両記憶部30に記憶されている地
図DBの一部または全部を更新するために、車両200に配信する地図情報を格納したデータベースである。したがって配信地
図DBは、最新の地図情報が記憶されている。
【0061】
サーバ制御部83は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、サーバ制御部83は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータをサーバ制御部83として作動させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行する。
【0062】
サーバ制御部83は、サーバ通信部81が加工情報または周辺情報および精度情報を受信すると、受信した情報を受信した時刻とともに、サーバ記憶部82に記憶するように制御する。またサーバ制御部83は、配信地
図DBの地図情報を更新した場合には、更新された地図情報を車両200に送信するようにサーバ通信部81を制御する。
【0063】
サーバ制御部83は、車載装置60からの情報を蓄積することで、たとえば加工情報の変化を時系列で把握することができる。たとえば、ある地物の加工情報における位置ずれが、最初は数mmであったが、数日後には、数十mmになっている場合には、工事などの要因によって地物の位置が変化していると予測することができる。したがって加工情報が発生している要因を、より早い段階で把握することができる。
【0064】
またサーバ制御部83は、
図4に示すように、機能ブロックとして、信頼度算出部84、検出精度決定部85および更新判断部86を有する。これらの機能ブロックによって実行されることは、プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0065】
検出精度決定部85は、車両200の位置、車両200の位置における天候、車両200の周辺の路面状況、および周辺情報の検出時間の少なくとも1つを用いて、周辺検出センサ21の周辺情報の検出精度を決定する。検出精度決定部85は、車載装置60から送信された精度情報も加味して、検出精度を決定する。たとえば検出精度決定部85は、車載装置60の精度情報に天候に関する情報が含まれていない場合には、天候に関する情報を他の装置から取得して、検出精度の決定に用いる。換言すると、車載装置60の精度情報には含まれていないが、検出精度決定部85が取得可能な情報を用いて、最終的な検出精度を決定する。
【0066】
また検出精度決定部85は、複数の車載装置60から精度情報を受信すると、複数の精度情報を統計処理して、検出精度を決定する。たとえば同じ時間帯、または同じ天候などで、検出精度にばらつきがある場合には、検出精度の分散、標準偏差、中央値および平均値などを用いて、検出精度を決定する。換言すると、ある車載装置60では極端に検出精度が低いが、他の複数の車載装置60では検出精度が高いことを示す精度情報を受信した場合には、検出精度が低いという情報が誤りであるおそれがある。したがって統計処理によって、検出精度が低い情報を軽く扱い、他の複数の車載装置60の検出情報を重く扱って検出精度を決定する。
【0067】
信頼度算出部84は、加工情報を用いて地図情報の確かさを示す信頼度を算出する。また信頼度算出部84は、複数の車両200から加工情報を取得した場合に、複数の加工情報を統計処理して、信頼度を算出する。また信頼度算出部84は、検出精度決定部85が決定した検出精度を用いて信頼度を算出する。信頼度算出部84は、サーバ通信部81を介して、交通量または平均交通量を取得する。そして信頼度算出部84は、複数の加工情報をある時間帯で受信した場合、加工情報の受信数と、同時間帯の同じ道路の交通量または平均交通量とを比較して、加工情報の信頼度を算出する。信頼度算出部84は、たとえば加工情報の受信数を交通量で除した比率を算出する。
【0068】
一例としては、信頼度算出部84は、同様の加工情報を一定比率以上取得した場合に、加工情報は正しいと判断し、信頼度を高く算出する。信頼度は、複数段階、たとえば5段階で評価し、信頼度が5の場合は最も信頼度が高いとする。前述のように加工情報を一定比率以上取得した場合には、信頼度5として算出する。逆に、交通量が一定数あるにもかかわらず、加工情報が少ない場合には、受信した加工情報の信頼度が低く、たとえば信頼度1として算出する。
【0069】
また信頼度算出部84は、検出精度が高い加工情報は信頼度が高くなるように算出する。また信頼度算出部84は、検出精度が低くはないが高くもない場合、複数の車両200から同様の加工情報を受信したときは、その加工情報の信頼度が高くなるように算出する。
【0070】
信頼度算出部84は、統計処理によって信頼度を求める場合には、車種毎、時間毎、情報種別毎に信頼度を算出してもよい。たとえば車種が異なると周辺情報の検出精度が異なる場合があるので、車種毎に信頼度を求めることで、より精度よく信頼度を算出することができる。また時間帯によって信頼度が異なる場合があるので、たとえば昼の時間と夜の時間で信頼度が異なる場合には、異なる要因を周辺の明るさにある可能性が高い。したがって信頼度が異なる原因を追求することができる。また信頼度を情報種別毎、たとえば区画線の加工情報の信頼度、および地物の位置の位置情報の信頼度などを、それぞれ計算してもよい。それぞれの信頼度は、比較する周辺情報が異なるので、検出精度が異なる場合があるので、種別毎に信頼度を求めることで、より精度良く信頼度を算出することができる。
【0071】
更新判断部86は、信頼度を用いて、地図情報を更新するか否かを判断する。地
図DBが正しいことを示している信頼度が閾値よりも小さい場合には、更新判断部86は、地
図DBを更新する必要があると判断する。
【0072】
更新判断部86は、地図情報を更新する場合には、更新した地図情報を車載装置60に送信するようにサーバ通信部81を制御する。更新判断部86は、地図情報を更新する必要があると判断した場合には、更新用地図データを作成する。そして、作成した更新用地図データを車載システム10に送信する。更新用地図データを車両通信部40が受信した場合、地図更新部63が地
図DBを更新する。なお、更新用地図データを、受信相手を特定して送信してもよく、受信相手を特定せずに放送的に送信してもよい。更新用地図データを放送的に送信する場合、受信側にて、更新用の地図データのバージョンなどから、更新用の地図データを更新するかどうかを決定する。
【0073】
次に、サーバ制御部83の制御に関して、
図5のフローチャートを用いて説明する。
図5に示すフローチャートは、管理サーバ80によって短時間に繰り返し実行される。
【0074】
ステップS11では、サーバ通信部81を介して、加工情報を取得し、ステップS12に移る。ステップS12では、信頼度算出部84によって、加工情報および検出精度を用いて信頼度を算出し、ステップS13に移る。
【0075】
ステップS13では、更新判断部86によって、地図情報の更新の要否を判断し、更新が必要の場合にはステップS14に移り、更新の必要が無い場合には本フローを終了する。ステップS13では、更新判断部86は閾値と信頼度を用いて、更新の要否を判断する。たとえば信頼度3以下の場合には、更新が必要と判断する。
【0076】
ステップS14では、地図情報の更新が可能か否かを判断し、可能な場合は、ステップS15に移り、情報が不足しており更新ができない場合には、ステップS17に移る。ステップS17では、情報が不足しているので、加工情報をアップロードするように車両200に要求を送信し、本フローを終了する。
【0077】
ステップS15では、更新が必要であるので、配信地
図DBの地図情報を更新し、ステップS15に移る。ステップS15では、更新した地図情報を車載装置60に送信するようにサーバ通信部81を制御し、本フローを終了する。
【0078】
次に、アップロードの要求に関して、
図6および
図7のフローチャートを用いて説明する。
図5にて説明したように、地図情報を更新が情報不足によってできない場合は、さらに加工情報を車両200から送信してもらう必要がある。
【0079】
そこで、車載装置60は、
図6に示すフローチャートを短時間に繰り返し実行する。ステップS21では、アップロード要求を受信したか否かを判断し、アップロード要求を受信した場合には、ステップS22に移り、アップロード要求を受信していない場合には、本フローを終了する。
【0080】
ステップS22では、アップロード要求を受信したので、対応する加工情報を生成し、ステップS23に移る。アップロード要求には、地図情報の更新に必要な情報、たとえば所定の地点の所定の情報、たとえば区画線の情報などが含まれる。情報生成部61は、その地点を通過した場合には、加工情報を生成する。また情報生成部61は、車両記憶部30に該当する周辺情報が記憶されている場合には、記憶されている周辺情報から加工情報を生成する。
【0081】
ステップS23では、加工情報を管理サーバ80に送信するように車両通信部40を制御し、本フローを終了する。これによって地図情報の更新に必要な情報が、管理サーバ80に送信される。アップロード要求は、複数の車両200に一斉に送信されるので、該当する地点の付近に走行する車両200がアップロード要求に応じる。
【0082】
アップロード要求に応じて加工情報を送信する場合は、加工情報でなく周辺情報を送信してもよい。また周辺情報を送る場合には、データ通信量が多くなるので、車両200が自宅駐車場など所定の場所に駐車後などの、通信負荷の影響が少ない場所および時間で、情報を送信することが好ましい。
【0083】
同様に、管理サーバ80は、
図7に示すフローチャートを短時間に繰り返し実行する。ステップS31では、アップロード要求に応じた加工情報を受信したか否かを判断し、受信した場合には、ステップS32に移り、受信していない場合には、本フローを終了する。
【0084】
ステップS32では、地図情報の更新に必要な加工情報を受信したので、受信した加工情報を用いて地図情報を再構築し、本フローを終了する。
【0085】
以上説明したように本実施形態の地図情報システム100は、周辺検出センサ21により検出された周辺情報と、地図情報とが異なる場合には、周辺情報を加工した加工情報が情報生成部61によって生成される。加工情報は、周辺情報よりも情報量が少なく、少なくとも地図情報と異なる部分を周辺情報から抽出した情報を含む。周辺情報から抽出した情報は、数値によって定量化され定量情報となる。これによってデータ量は周辺情報よりも少ないが、単なるフラグよりも、異なる部分の詳細な情報を収集することができる。
【0086】
また本実施形態では、情報生成部61は、周辺情報と地図情報の差異が対象となる地物の位置の差異である場合には、地物の位置の変化量を示す定量情報を含む加工情報を生成する。これによって地物の位置の変化量がわかるので、位置の変化が軽微であるか否かを把握することができる。したがって単なるフラグよりも、変化量という詳細な情報を収集することができる。これによって更新判断部86は、位置の変化が軽微の場合には、地図を更新しないと判断することができ、必須でない地図情報の更新を抑制することができる。
【0087】
さらに本実施形態では、情報生成部61は、周辺情報と地図情報の差異が対象となる地物の有無の差異である場合には、地物の有無を示す存在情報を含む加工情報を生成する。存在情報によって、どのように地物の存在が異なるかをより詳細に把握することができる。
【0088】
また本実施形態では、加工情報には、検出精度が含まれる。検出精度は、車両200の位置などによって決定される。周辺情報の検出精度は、用いるセンサによって長所および短所などに起因して、検出条件によって変化する。このような検出精度を用いて、加工情報の信頼度を判断することができる。したがって検出精度が低い、換言すると検出に誤りや大きいノイズがある加工情報を用いることなく、検出精度が高い加工情報を用いて更新の有無などを判断することができる。
【0089】
さらに本実施形態では、情報生成部61は、検出精度が所定の検出精度よりも低い場合には、検出精度が低い周辺情報を用いた加工情報の生成を停止する。これによって検出精度が低い加工情報が管理サーバ80などに送信されることを抑制することができる。
【0090】
また本実施形態では、情報生成部61は、周辺情報を用いて走行中の道路で工事が行われていると判断した場合には、加工情報の生成を停止する。工事が行われている道路では、周辺情報と地図情報とが異なる可能性が高く、工事中の周辺情報を用いて地図情報を更新する必要性が低い。したがって工事中の道路では、加工情報の生成を停止することで、処理負荷を低減し、不要な情報が管理サーバ80に送信されることを抑制することができる。
【0091】
さらに本実施形態では、情報生成部61は、周辺情報と地図情報との差異が許容範囲内である場合には、加工情報を生成し、許容範囲外である場合には加工情報の生成を停止する。差異が大きい場合は、差異が大きい原因を特定する必要がある。そこで差異が許容範囲外の場合には、加工情報の生成を停止して、周辺情報を送信することで、差異が大きい原因を究明することができる。
【0092】
また本実施形態では、加工情報を送信する場合、加工情報を所定の制限通信量以下となるように圧縮または削減して管理サーバ80に送信する。これによって通信負荷が増大することを抑制することができる。また周辺情報を送信する場合、周辺情報を制限通信量以下となるように分割して管理サーバ80に送信する。これによって一度の通信負荷を低減し、大容量を一度に送信することによる通信不良の発生を抑制することができる。
【0093】
さらに本実施形態では、加工情報および周辺情報の管理サーバ80への送信可否を設定部64によって設定することができる。これによって乗員の走行によって生成される乗員の個人情報が勝手に第三者に送信されることを防ぐことができる。
【0094】
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0095】
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0096】
前述の第1実施形態では、管理サーバ80は、車両200の外にある構成であったが、このような構成に限るものではない。管理サーバ80は、車両200に搭載されていてもよい。よって、更新判断部86など、サーバ制御部83の機能を車載装置60が備えていてもよい。
【0097】
前述の第1実施形態では、管理サーバ80から配信される更新用地図データをもとに、車載装置60の地図更新部63が地
図DBをオンラインで更新しているが、このような構成に限るものではない。地
図DBの更新は、オフラインで行われてもよい。
【0098】
前述の第1実施形態において、車載装置60およびサーバ制御部83によって実現されていた機能は、前述のものとは異なるハードウェアおよびソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現してもよい。車載装置60およびサーバ制御部83は、たとえば他の制御装置と通信し、他の制御装置が処理の一部または全部を実行してもよい。車載装置60およびサーバ制御部83が電子回路によって実現される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって実現することができる。
【0099】
前述の第1実施形態では、車載装置60は車両200で用いられているが、車両200に搭載された状態に限定されるものではなく、少なくとも一部が車両200に搭載されていなくてもよい。