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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】加飾用積層体、加飾成形品及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20250520BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20250520BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20250520BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20250520BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20250520BHJP
   G09F 13/12 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
B32B27/00 E ZBP
B32B27/18 Z
B32B27/20 Z
B32B3/30
G02B5/02 B
G09F13/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024509756
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2022046255
(87)【国際公開番号】W WO2023181530
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022048595
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池原 宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山口 健太郎
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6839319(JP,B1)
【文献】特開2021-123016(JP,A)
【文献】特開2017-187477(JP,A)
【文献】国際公開第2022/004581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
G01D 11/00-13/28
G02B 5/00-5/136
G09F 9/00
13/00-13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射した光が通過する加飾用積層体であって、
光透過性を有し、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する基材と、
前記基材の前記第1主面側に設けられる光調整層と、
前記基材の前記第2主面側に設けられ、複数種類の干渉顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含み、視認可能な意匠を表す干渉顔料印刷層と、
前記干渉顔料印刷層の前記基材とは反対側の面に設けられ、顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含む黒半透明印刷層と、
を備え、
前記光調整層は、前記基材とは反対側の面に、前記干渉顔料印刷層によって表される前記意匠の形状に対応するように形成された凹凸部を有し、
前記干渉顔料印刷層は、前記干渉顔料印刷層に前記光が透過可能な第1光透過部を有し、
前記黒半透明印刷層は、前記黒半透明印刷層の主面の、平面視において前記第1光透過部と少なくとも一部が重なる位置に、前記光が透過可能な第2光透過部を有し、
前記第1光透過部及び前記第2光透過部は、それぞれ、前記干渉顔料印刷層及び前記黒半透明印刷層の主面に形成された塗膜除去部である加飾用積層体。
【請求項4】
前記黒半透明印刷層の前記干渉顔料印刷層とは反対側の面に、黒シンボル印刷層を有し、
前記黒シンボル印刷層は、前記第2光透過部を含む領域が露出するように形成された開口部を有する請求項1に記載の加飾用積層体。
【請求項5】
前記第1光透過部と前記第2光透過部とが平面視において略同じ位置にあり、
前記第1光透過部と前記第2光透過部との割合が、前記干渉顔料印刷層の平面視において、0.1%~20%である請求項1に記載の加飾用積層体。
【請求項8】
光源から出射した光が通過する加飾用積層体であって、
光透過性を有し、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する基材と、
前記基材の前記第1主面側に設けられる光調整層と、
前記基材の前記第2主面側に設けられ、複数種類の顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含み、視認可能な意匠を表し、かつ光屈折性、光反射性又は光散乱性を有する顔料印刷層と、
前記顔料印刷層の前記基材とは反対側の面に設けられ、顔料と紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含んだ下地スモーク白色層と、
を備え、
前記光調整層は、前記基材とは反対側の面に、前記顔料印刷層によって表される前記意匠の形状に対応するように形成された凹凸部を有し、
前記顔料印刷層は、前記顔料印刷層の主面に前記光が透過可能な第3光透過部を有し、
前記下地スモーク白色層は、前記下地スモーク白色層の主面の、平面視において前記第3光透過部と少なくとも一部が重なる位置に、前記光が透過可能な第4光透過部を有し、
前記第3光透過部及び前記第4光透過部は、それぞれ、前記顔料印刷層及び前記下地スモーク白色層の主面に形成された塗膜除去部である加飾用積層体。
【請求項12】
前記下地スモーク白色層の前記顔料印刷層とは反対側の面に、黒シンボル印刷層を有し、
前記黒シンボル印刷層は、前記下地スモーク白色層の光透過部を含む領域が露出するように形成された開口部を有する請求項8に記載の加飾用積層体。
【請求項13】
前記第3光透過部と前記第4光透過部とが平面視において略同じ位置にあり、
前記第3光透過部と前記第4光透過部との割合が、前記顔料印刷層の平面視において、0.1%~20%である請求項8に記載の加飾用積層体。
【請求項16】
成形品と、
前記成形品の表面の少なくとも一部に設けられる、請求項1又は8に記載の加飾用積層体と、
を備える加飾成形品。
【請求項17】
請求項16に記載の加飾成形品と、
前記加飾成形品の裏面側に配置された光源と、
を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾用積層体、加飾成形品及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内装部品、建築内装材、家電筐体等の成形品の表面には、成形品の周囲と調和させるため、模様及び絵柄等の意匠を有する加飾用積層体が設けられている。成形品の裏面側には、例えば、映像、図形及び文字等を表示する光源が設けられ、光源の消灯時には、加飾用積層体の表面の意匠を表示し、光源の点灯時には、光源から出射した光が成形品及び加飾用積層体を透過して加飾用積層体の表面に表示される。
【0003】
このような成形品の加飾に用いられる加飾用積層体として、例えば、ベースフィルムと、第1図柄層と、第2図柄層と、光学機能層と、透過率調整層と、接着層とを備え、表示装置の光源の消灯時には木目柄を表現し、点灯時には加飾シートの表面に画像を表示させる加飾シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許第6839319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の加飾シート等の加飾用積層体は、消灯時に成形品の裏面側に配置される光源が加飾用積層体の表面から視認できないようにするステルス性と、点灯時に光源からの光が透過できるようにする光透過性の両立を図る点から、例えば、木目柄等の場合には、加飾用積層体の光透過率を例えば20%以下に抑えることが望ましいとされている。
【0006】
しかしながら、加飾用積層体の光透過率を例えば20%以下に抑えると、加飾用積層体の表面に表示される画像が暗くなる傾向にある、という問題があった。一方、特許文献1の加飾シート等の加飾用積層体の光透過率を例えば25%以上に高めると、加飾用積層体の表面全体が白くなり、木目柄に見えなくなるため、ステルス性を確保しつつ加飾用積層体の表面に表示される画像の輝度を高めることには限界がある、という問題があった。
【0007】
また、光源の輝度を高めることが考えられるが、光源の輝度を高めると、消費電力が増大し、望ましくない。
【0008】
本発明の一態様は、光源の消灯時に成形品の裏面側に配置される光源が加飾用積層体の表面から視認できないようにするステルス性を十分確保すると共に、光源の点灯時に光源の輝度を高めることなく、光源から出射した光を高い輝度で透過表示することができ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができる加飾用積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加飾用積層体の一態様は、
光源から出射した光が通過する加飾用積層体であって、
光透過性を有し、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する基材と、
前記基材の前記第1主面側に設けられる光調整層と、
前記基材の前記第2主面側に設けられ、複数種類の干渉顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含み、視認可能な意匠を表す干渉顔料印刷層と、
前記干渉顔料印刷層の前記基材とは反対側の面に設けられ、顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含む黒半透明印刷層と、
を備え、
前記光調整層は、前記基材とは反対側の面に、前記干渉顔料印刷層によって表される前記意匠の形状に対応するように形成された凹凸部を有し、
前記干渉顔料印刷層は、前記干渉顔料印刷層の主面に前記光が透過可能な第1光透過部を有し、
前記黒半透明印刷層は、前記黒半透明印刷層の主面の、平面視において前記第1光透過部と少なくとも一部が重なる位置に、前記光が透過可能な第2光透過部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る加飾用積層体の一態様は、光源の消灯時に成形品の裏面側に配置される光源が加飾用積層体の表面から視認できないようにするステルス性を十分確保すると共に、光源の点灯時に光源の輝度を高めることなく、光源から出射した光を高い輝度で透過表示することができ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る加飾用積層体の平面の一例を示す図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】干渉顔料における光の反射と透過を説明するための模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る加飾用積層体の他の構成の一例を図2のA-A視で見た断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る加飾用積層体を備える加飾成形品の一部を示す部分拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る加飾用積層体を備える表示装置の平面の一例を示す図であり、消灯している状態と、点灯している状態を示す。
図8図7の一部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0013】
なお、本明細書において、層、シート及びフィルムの用語は、呼称の違いのみであり、互いに区別されるものではない。例えば、シートという用語は、層又はフィルムと呼ばれ得る部材も含む。
【0014】
<加飾用積層体>
本発明の実施形態に係る加飾用積層体(以下、単に、「積層体」と記載する。)について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る積層体の平面の一例を示す図であり、図2は、図1の部分拡大図であり、図3は、図2のA-A断面図であり、本実施形態に係る積層体の構成の一例を模式的に示す断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る積層体1Aは、表面に縦状に複数の木目が形成された木目模様からなる意匠を有している。
【0015】
なお、本実施形態では、積層体1Aの持つ意匠が木目模様である場合について説明するが、意匠は、木目模様に限られず、大理石調、幾何学模様、カーボン調、ストライプ、水玉及び単色等の任意の絵柄としてよいし、図形及び文字等でもよい。
【0016】
図3に示すように、積層体1Aは、光調整層10、基材である透明基材層20、干渉顔料印刷層30、黒半透明印刷層であるスモーク層40及び黒シンボル印刷層であるブラック層50をこの順に積層して備える。積層体1Aは、積層体1Aの裏面側(図3中、ブラック層50の下側)から発光部である光源2から出射した光が照射され、積層体1Aを透過して積層体1Aの表面側(図3中、光調整層10の上側)に出射する。なお、積層体1Aは、ブラック層50を備えなくてもよい。
【0017】
例えば、積層体1Aを加飾パネルとして用いる場合は、図3に示すシート材のスモーク層40又はブラック層50の外部に露出している面に成形樹脂と接合するためのバインダーを形成し、シートインサート成形してパネル化することで得られる。
【0018】
なお、本明細書では、説明の便宜上、積層体1Aの光調整層10側を表面とし、ブラック層50側を裏面とする。以下の説明において、説明の便宜上、表面側を上といい、裏面側を下という場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0019】
積層体1Aは、その表面側に凹凸形状を有する光調整層10を設け、光調整層10の下側に配置される干渉顔料印刷層30及びスモーク層40に光透過性が高い部分を設けている。これにより、積層体1Aは、光調整層10の表面に干渉顔料印刷層30の意匠に合わせた形状を表現しつつ、触感を付与すると共に、外部から侵入する可視光を散乱させて、光透過性(透光性)が高い部分を目視では目立たないようにさせている。また、積層体1Aは、全体として光透過率を例えば30%~40%に高めることができる。よって、積層体1Aは、光源2の消灯時に積層体1Aの裏面側に配置される光源2及びスモーク層40又はブラック層50のない部分が視認できないようにするステルス性と、点灯時に光源2からの光が透過できるようにする光透過性を両立させることができるので、点灯時には光源2の輝度を高めなくても全体として高い輝度で積層体1Aの表面に画像を表示することができる。
【0020】
なお、光透過性を有するとは、積層体1Aの裏面側に配置された光源2から光が照射された場合に、光源2からの光が透過できる程度に透過性を有することをいい、透明又は半透明であることを意味する。透明とは、無色透明又は着色透明を含む。
【0021】
光源2としては、特に限定されず、例えば、白熱電球、蛍光灯、LEDマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、発光ダイオード(LED)及び液晶ディスプレイ(LCD)等が挙げられる。また、自然光を光源2としてもよい。
【0022】
(光調整層)
光調整層10は、透明基材層20の第1主面である上面201の全面に設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。積層体1Aの表面を好適に保護する観点から、光調整層10は、主面側の全面に設けられていることが好ましい。
【0023】
光調整層10は、積層体1Aの表面をUVクリーム等の薬品から保護する機能を有し、高硬度で高い耐傷付き性を有するハードコート機能を有すると共に、反射防止機能、紫外線遮蔽機能、赤外線遮蔽機能、防曇機能、防汚機能、防眩機能等を有してもよい。
【0024】
光調整層10は、通常、透明又は半透明であるが、積層体1Aを光調整層10側から観察した場合に、光源2の点灯時に干渉顔料印刷層30の意匠が視認できる限りにおいて、着色されていてもよいし、シリカ等の艶消し剤等を含んでいてもよい。
【0025】
着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
【0026】
光調整層10を構成する素材としては、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂、アクリル系及びウレタン系等の熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐傷性等を向上させる点から、光調整層10は、電離放射線硬化性樹脂組成物により構成されていることが好ましい。但し、電離放射線硬化性樹脂組成物は、インサート成形及びフォーミング等により最終製品の形状に適合させたときに、最終製品の形状(例えば、曲面又は三次元形状)に追従できるようにするため、硬化前の状態(未硬化)であることが好ましい。
【0027】
光調整層10の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、モノマー及びオリゴマー等のうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含む。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、光調整層10の形成において好適に使用される。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂として使用されるモノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも、多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、一般的な多官能性(メタ)アクリレートモノマーであればよく、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0029】
電離放射線硬化性樹脂として使用されるオリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0030】
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、見た目による意匠感、耐摩耗性及び成形性をより一層向上させる観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することも好ましい。
【0031】
光調整層10は、所望の物性に応じて、各種添加剤を配合してよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、適宜選択して用いることができる。紫外線吸収剤や光安定剤としては、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤及び光安定剤等を用いてもよい。
【0032】
光調整層10は、その表面101に凹凸形状からなる凹凸部11を有する。凹凸部11は、干渉顔料印刷層30によって表される意匠の形状に対応するように形成されている。即ち、凹凸部11を構成する凹部111が干渉顔料印刷層30の意匠の形状に対応して形成されている。なお、対応するとは、凹凸部11の凹部が干渉顔料印刷層30によって表される意匠の輪郭と一致する場合の他に、意匠の輪郭と略一致する場合も含む。略一致する場合とは、ある程度合う場合を含む。
【0033】
光調整層10は、凹凸部11を有することで、意匠の触感を提供すると共に、凹凸部11により、積層体1Aの外部から入射する可視光を散乱させて、光源2の消灯時に、干渉顔料印刷層30の第1光透過部33と、スモーク層40の第2光透過部41と、ブラック層50の開口部51を目視で目立たないようにすることができる。
【0034】
また、光調整層10は、二以上の層により構成してもよい。例えば、光調整層10は、平面状の耐傷性等の表面保護性能を有する層に、凹凸部11の凸部からなり触感機能を有する層を1又は2層以上設けて構成してもよい。
【0035】
光調整層10の厚みは、特に制限されないが、表面101の耐傷性、耐久性等の表面保護性能を付与する観点から、0.1μm~2000μmが好ましい。なお、光調整層10は凹凸部11を有するため、光調整層10の厚みは凹凸部11の凸部の位置における厚みとする。
【0036】
光調整層10の形成方法は、特に限定されず、適宜任意の方法により形成することができる。例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、この調製した電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布面に塗布して未硬化樹脂層を形成する。
【0037】
電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方法により、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
【0038】
調製された電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布方法は、ロールコート、スクリーンコート、グラビアコート、スピンコート、リバースコート、キスコート、バーコート、ブレードコート、フローコート、エアーナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の通常の塗布方法、転写コーティング法、少量の電離放射線硬化性樹脂組成物を透明基材層20上に垂らしてドクターブレードで伸ばす方法等の一般的な塗布方法を用いることができる。これらの塗布方法により、電離放射線硬化性樹脂組成物は透明基材層20の上に略均一に塗布できる。
【0039】
次に、形成した未硬化樹脂層に、凹凸部11の凸部からなり触感機能を有する未硬化樹脂層を塗布し、熱乾燥させることで、凹凸形状をもった未硬化樹脂層、即ち光調整層10が形成される。
【0040】
光調整層10は、インサート成形及びフォーミング等により最終製品の形状にフィットさせて、最終製品の形状(例えば、曲面又は三次元形状)に追従させた後に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して未硬化樹脂層を硬化させることができる。
【0041】
電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂の種類及び層の厚み等に応じて適宜選定でき、例えば、加速電圧70kV~300kVとしてよい。
【0042】
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、光調整層10の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと光調整層10の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、光調整層10の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限に抑えることができる。また、照射線量は、適宜選定され、光調整層10の架橋密度が飽和する量が好ましい。
【0043】
電子線源としては、特に制限はなく、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型及び高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
【0044】
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190nm~380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ及びカーボンアーク燈等が挙げられる。
【0045】
(透明基材層)
図3に示すように、透明基材層20は、光調整層10の下面102に設けられている。透明基材層20は、光透過性と、干渉顔料印刷層30の耐薬品性や色付き塗膜の耐スクラッチ性との機能を有する。これにより、透明基材層20は、積層体1Aの裏面側に光源2が配置された際に、光源2から照射された光を透過させことができると共に、干渉顔料印刷層30の意匠をより適切に保護できる。
【0046】
透明基材層20は、光透過性を有するが、積層体1Aを表面側から観察した場合に、光源2の点灯時に干渉顔料印刷層30に基づく意匠が視認できる限りにおいて、着色されていてもよい。透明基材層20は、シリカ等の艶消し剤や着色剤等を含んでいてもよい。着色剤としては、上述の光調整層10で例示した着色剤を使用することができる。
【0047】
透明基材層20は、積層体1Aを二次元及び三次元等の成形に適したものとしつつ、光透過性を有し、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40を適切に保護できる材料であれば特に限定されない。透明基材層20に用いられる材料としては、例えば、光透過性を有する樹脂、光透過性を有するエラストマー、ガラス等を用いることができる。
【0048】
光透過性を有する樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂;アクリル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、バイオエンジニアリングプラスチック及び生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。透明基材層20は、上記の光透過性を有する樹脂を2種以上複合して構成されてもよく、例えば、アクリル系樹脂、バイオエンジニアリングプラスチック又は生分解性プラスチックとアクリル系樹脂とを複合させた複合層であることが好ましい。透明基材層20は、上記の光透過性を有する樹脂を二層以上積層して構成されてもよく、例えば、アクリル系樹脂からなる層とABS樹脂からなる層を含む積層体でもよいし、アクリル系樹脂からなる層とポリカーボネート樹脂からなる層を含む積層体でもよい。
【0049】
光透過性を有するエラストマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることができる。熱可塑性エラストマーには、例えば、アミド系TPE(TPA)、エステル系TPE(TPC)、オレフィン系TPE(TPO)、スチレン系TPE(TPS)、ウレタン系TPE(TPU)がある。
【0050】
透明基材層20は、光透過性を有する樹脂層と、光透過性を有するエラストマーからなる層とを積層してもよい。
【0051】
透明基材層20の厚みは、特に限定されないが、光透過性を有する点から、例えば、50μm~1300μmであることが好ましい。
【0052】
透明基材層20は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、上面201及び第2主面である下面202の少なくとも一方の面に酸化法及び凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。酸化法としては、例えば、エキシマUV処理法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸化処理法、火炎処理法、熱風処理法及びオゾン紫外線処理法等が挙げられる。凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法及び溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は、透明基材層20を構成する樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはエキシマUV処理法、コロナ放電処理法が挙げられる。
【0053】
(干渉顔料印刷層)
図3に示すように、干渉顔料印刷層30は、透明基材層20の下面202に設けられる。干渉顔料印刷層30は、赤色、緑色、青色及び銀色の4色を表現する干渉顔料を調合して作られた印刷層である。なお、調合する干渉顔料は4色に限定されず、赤色、緑色、青色及び銀色の何れか2色又は3色でもよいし、赤色、緑色、青色及び銀色以外の色、例えば、白色等を含む5色以上でもよい。
【0054】
干渉顔料印刷層30は、赤色、緑色、青色及び銀色の4色の粒子状の干渉顔料31と、バインダー樹脂32とを含み、添加剤として紫外線吸収剤を含んでいる。干渉顔料印刷層30は、赤色、緑色、青色及び銀色の4色の干渉顔料31の粒子を加法混色したインク組成物を用いて形成できる。
【0055】
干渉顔料31は、赤色の干渉光を放射する赤色の干渉顔料31Rと、緑色の干渉光を放射する緑色の干渉顔料31Gと、青色の干渉光を放射する青色の干渉顔料31Bと、銀色の干渉光を放射する銀色の干渉顔料31Sとを含んでいる。
【0056】
干渉顔料印刷層30は、干渉顔料31R、31G、31B及び31Sの種類と、干渉顔料31R、31G、31B及び31Sのそれぞれの含有量等により発現する混色に応じて、単数又は複数の種類の干渉顔料印刷層30-N(Nは1以上の整数)を含む。本実施形態では、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3を含む。
【0057】
第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3は、いずれも、4色(赤色、緑色、青色及び銀色)の干渉光を放射する4種類の干渉顔料31を紫外線吸収剤と共にバインダー樹脂32に含んでいる。本実施形態では、第1干渉顔料印刷層30-1は、4種類の干渉顔料31の干渉光の光量が所定の割合で加法混色されることによって、木目模様の「濃い茶色」を第1混色として発現する。第2干渉顔料印刷層30-2は、4種類の干渉顔料31の干渉光の光量が所定の割合で加法混色されることによって、木目模様の「薄茶色」を第2混色として発現する。第3干渉顔料印刷層30-3は、4種類の干渉顔料31の干渉光の光量が所定の割合で加法混色されることによって、木目模様の「茶色」を第3混色として発現する。
【0058】
なお、3つの混色(第1混色、第2混色及び第3混色)は、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3が、図3に示すように、同一面に形成されず、積層して形成されているが、本実施形態では、説明の便宜上、図3に示すように、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3が同一面に形成されているとして説明する。また、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3の少なくとも一つ以上は、複数積層して構成されてよい。
【0059】
第1干渉顔料印刷層30-1で発現する濃い茶色と、第2干渉顔料印刷層30-2で発現する薄茶色と、第3干渉顔料印刷層30-3で発現する濃い茶色とは、干渉顔料31R、31G、31B及び31Sのそれぞれの配合割合を調製することで発現できる。
【0060】
第1干渉顔料印刷層30-1及び第2干渉顔料印刷層30-2に含まれる、4色の干渉顔料31R、31G、31B及び31Sは、それぞれ、同一種類でもよいし、異なる種類でもよい。
【0061】
第1干渉顔料印刷層30-1及び第2干渉顔料印刷層30-2に含まれる、4色の干渉顔料31R、31G、31B及び31Sが異なる種類の場合、同じ色(例えば、赤色)の干渉光を放射する干渉顔料31であっても、その干渉光の周波数がずれていてもよく、干渉顔料31は同じ色(例えば、赤色)でも異なる色(例えば、青色)を放射する顔料でもよい。
【0062】
第1干渉顔料印刷層30-1と第2干渉顔料印刷層30-2とは、図2に示すように、異なる平面形状を有している。第1干渉顔料印刷層30-1と第2干渉顔料印刷層30-2とが組み合わされることで、干渉顔料印刷層30の表面には、図1に示すような木目模様の意匠が表されている。
【0063】
図4は、干渉顔料31の断面構造の一例を模式的に示す図である。図4に示すように、干渉顔料31は、コア部311と、コア部311を覆う薄いシェル部312を有している。コア部311とシェル部312は、波長に応じて、何れかの可視光を透過する。コア部311とシェル部312は、屈折率の異なる材料で構成されている。例えば、コア部311の屈折率は、シェル部312の屈折率より小さい材料で形成される。
【0064】
所定の波長を有する入射光IL1と、入射光IL1とは異なる波長を有する入射光IL2が干渉顔料31のシェル部312に入射すると、入射光IL1はシェル部312の表面で反射して反射光RL1となり、光IL2はシェル部312の中を進んでコア部311で反射して反射光RL2となる。反射光RL1と反射光RL2とが干渉して強め合うことで、特定の波長の干渉光が強く視認される。例えば、シェル部312の厚みを調節する等して干渉で強められる波長が特定の色(例えば、赤色)の波長になるようにすれば、特定の色(例えば、赤色)の干渉顔料が得られる。
【0065】
干渉顔料31に光源2の光L1が入射すると、光L1は干渉顔料31に入射して干渉顔料31を透過し、干渉顔料31の反対側から透過光TL1として抜ける。そのため、積層体1Aが第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3を含んでいても、光源2からの光は、積層体1Aの表面101の側から視認できる。
【0066】
また、積層体1Aは、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3よりも積層体1Aの表面に近い位置に光調整層10を備える。光調整層10は、光調整層10の表面101に入射する光の反射特性を光学機能として有している。即ち、光調整層10は、表面101に入射する光の反射特性を有することで、表面101で反射して積層体1Aの表面側で視認される可視光の光量に対して、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3の意匠(木目模様)を表す可視光の光量及び光源2からの光の光量のうちの少なくとも一方の割合を増やす反射特性を有することができる。
【0067】
なお、意匠を表す可視光の光量は、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3の平面形状を組み合わせた意匠を表す可視光の光量である。光源2の光の光量は、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3を通過した光の透過光の光量である。
【0068】
干渉顔料印刷層30に添加剤として含まれる紫外線吸収剤は、紫外線領域に吸収波長を有し、具体的には、波長315nm~400nm以下の領域で極大吸収波長を有する。干渉顔料印刷層30が紫外線吸収剤を含むことで、干渉顔料印刷層30はUVレーザーで加工して形成できる。
【0069】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系等が使用できる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジーt-ペンチル-2-ヒドロキシフェニル-2-ベンゾトリアゾール、2-(2-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタリミジルメチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチロキシフェニル)-2-ベンゾトリアゾール、及び2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)-2-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。
【0071】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシロキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシ-ベンゾフェノン、及び1,4-ビス(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-ブタン等のベンゾフェノン化合物が挙げられる。
【0072】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、及び2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が挙げられる。
【0073】
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、及びヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物が挙げられる。
【0074】
バインダー樹脂32は、干渉顔料31を内部に透明基材層20に固着する機能を有し、光透過性を有する。バインダー樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート樹脂、透明基材層20の光透過性を有する樹脂等を用いることができる。
【0075】
干渉顔料印刷層30は、光透過性を有する第1光透過部33を有する。第1光透過部33は、干渉顔料31を含まない、印刷がされていない領域である。
【0076】
第1光透過部33は、干渉顔料印刷層30に設けた貫通孔である塗膜除去部331によって形成することができる。塗膜除去部331内には、光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物が含まれてよい。塗膜除去部331内に、光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物が含まれる場合は、例えば、後述する成形品110(図6)と積層体1Aとの間にバインダー層を設ける場合、光透過性を有する充填用樹脂組成物は、バインダー層を構成する樹脂と兼用させることができる。
【0077】
塗膜除去部331内に含まれる充填用樹脂組成物は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の透明な樹脂を主材として含み、接着力を向上させる添加剤等を副材として含んでもよい。なお、主材とは、充填用樹脂組成物全体の質量の半分以上を占める材料をいう。
【0078】
充填用樹脂組成物としては、一般的なバインダー樹脂を用いることができ、例えば、後述する成形品110(図6)と積層体1Aとの間にバインダー層を設ける場合、バインダー層を構成するバインダー樹脂を用いることができる。
【0079】
第1光透過部33は、平面視において、円形、楕円形、四角形等の多角形等、適宜任意の形状に形成されていてもよい。干渉顔料印刷層30は、第1光透過部33では光透過性が高いため、光源2の点灯時には第1光透過部33は光透過率を不図示のバインダー層等の充填用樹脂組成物の硬化物の透過率を70%~98%に高めことができる。また、光源2の消灯時には、積層体1Aの表面から視認される意匠への影響が少なくできる。
【0080】
第1光透過部33は、主面301に六角格子状(正三角格子状又は千鳥格子状ともいう)、正方格子状、斜方格子状、ライン状等、適宜任意の配列となるように配置されてもよい。
【0081】
第1光透過部33は、平面視において、主面301に所定の間隔で略均等に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。第1光透過部33に均等な光透過性を持たせる点から、第1光透過部33は、主面301に所定の間隔で均等に配置されていることが好ましい。
【0082】
第1光透過部33の割合は、干渉顔料印刷層30の平面視において、0.1%~35%であることが好ましく、0.5%~18%であることがより好ましく、1.0%~15%であることがさらに好ましい。第1光透過部33の割合が上記の好ましい範囲内であれば、干渉顔料印刷層30は、ステルス性と高い光透過性を両立することができる。
【0083】
第1光透過部33は、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3の形成後、レーザー加工等により塗膜除去部331を形成し、塗膜除去部331に、例えば、透過性を有するバインダー樹脂等の、主剤と副材を含む充填用樹脂組成物を一般的な塗布方法により塗布して乾燥する方法、熱で融解した透過性のある充填用樹脂組成物を一般的な塗布方法により塗布して固化する方法、及び光透過性を有する成形樹脂を射出成形する方法等により、光透過性を有する充填用樹脂組成物を充填することにより形成できる。
【0084】
充填用樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、スクリーンコート、グラビアコート、スピンコート、リバースコート、キスコート、バーコート、ブレードコート、フローコート、エアーナイフコート、ディップコート及びスプレーコート等の通常の塗布方法を用いることができる。
【0085】
なお、干渉顔料印刷層30は、例えば、光を透過するように金属が形成された金属薄膜層でもよい。金属薄膜層は、例えば、金属を蒸着することにより形成される。
【0086】
(スモーク層)
スモーク層40は、干渉顔料印刷層30の下面302に設けられている。スモーク層40は、一層で所定の範囲(例えば、スモーク層40のみでは、1%~70%、好ましくは1%~47%である)の光透過率を有する。スモーク層40は、光源2の消灯時には、干渉顔料印刷層30の意匠をより見え易くして意匠の視認性及び識別性を高め、表示品質を向上させ、点灯時には、塗膜除去部331を含む積層体1A全体で所定の範囲(30%~50%)の光透過率を有する機能を有する。また、スモーク層40は、ブラック層50の開口部51と遮光部52との境界をより見え難くする機能を有する。
【0087】
スモーク層40は、例えば、減光色(例えば、黒色)の顔料又は染料と紫外線吸収剤を透明なバインダー樹脂に含むインク組成物を印刷することで形成できる。スモーク層40としては、例えば、黒色インク組成物を印刷して形成された層を用いることができる。スモーク層40は、例えば、光を透過するように金属が形成された金属薄膜層でもよい。金属薄膜層は、例えば、金属を蒸着することにより形成される。
【0088】
スモーク層40は、干渉顔料印刷層30と同様、光透過性を有する第2光透過部41を有する。第2光透過部41は、第1光透過部33と同様、干渉顔料31を含まない、印刷がされていない領域である。
【0089】
第2光透過部41は、スモーク層40の主面の平面視において第1光透過部33と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。第2光透過部41は、平面視においてスモーク層40の主面に第1光透過部33と略同じ位置に配置されていることが好ましい。なお、略同じ位置とは、同じ位置又は少しずれているが同じ位置と見なせる位置を含む。
【0090】
第2光透過部41は、干渉顔料印刷層30と同様、スモーク層40の塗膜除去部411によって形成することができ、塗膜除去部411内に光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。第2光透過部41内に含まれる光透過性を有する充填用樹脂組成物としては、塗膜除去部331に充填される透明な充填用樹脂組成物を用いることができる。
【0091】
なお、透明な充填用樹脂組成物は、干渉顔料印刷層30の塗膜除去部331又はスモーク層40の塗膜除去部411にのみ含まれてもよいし、塗膜除去部331及び411の一部にのみ含まれてもよい。
【0092】
第2光透過部41の形状及び配置は、第1光透過部33と同様の形状及び配置としてもよいし、異なる形状及び配置としてもよい。干渉顔料印刷層30及びスモーク層40を光源2の光が通過し易くする点から、第2光透過部41の形状及び配置は、第1光透過部33と同様の形状及び配置とすることが好ましい。
【0093】
第2光透過部41は、第1光透過部33と同様にレーザー加工等の方法により形成することができる。
【0094】
第2光透過部41の割合は、第1光透過部33と同様であることが好ましい。
【0095】
第2光透過部41が干渉顔料印刷層30の平面視において第1光透過部33と同じ位置又は略同じ位置にある場合、第1光透過部33及び第2光透過部41の割合は、干渉顔料印刷層30又はスモーク層40の平面視において、第1光透過部33の割合と同様、0.1%~20%であることが好ましく、0.5%~18%であることがより好ましく、1.0%~15%であることがさらに好ましい。
【0096】
干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分の光透過率、即ち第1光透過部33と第2光透過部41を有する部分の干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分の光透過率は、23%~51%であることが好ましく、33%~41%であることがより好ましい。例えば、干渉顔料印刷層30の第1光透過部33を有しない部分の光透過率は約85%であり、干渉顔料印刷層30層の第1光透過部33を有する部分の光透過率は約86%である。スモーク層40の第2光透過部41を有しない部分の光透過率は約47%であり、スモーク層40の第2光透過部41を有する部分の光透過率は約53%である。第1光透過部33と第2光透過部41を有しない部分の干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分の光透過率は18%~46%であることが好ましく、28%~36%であることがより好ましい。干渉顔料印刷層30、スモーク層40、干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分が、それぞれ上記のような光透過率を有することで、第1光透過部33と第2光透過部41を有する部分の干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分の光透過率は23%~51%に調整できる。
【0097】
干渉顔料印刷層30とスモーク層40の積層部分の厚みの和(積層厚み)は、1μm~50μmであることが好ましく、10μm~30μmであることがより好ましい。
【0098】
(ブラック層)
ブラック層50は、スモーク層40の下面401に設けられる。ブラック層50は、表示すべきパターンに対応した形状を有し、光源2からの光を通過させる開口部51と、開口部51の周囲に位置し遮光性を有する遮光部52を有する。
【0099】
開口部51は、断面視において、矩形状に形成されているが、台形状に形成されてよい。開口部51が台形状に形成されることで、ブラック層50の下面(図3中、下側)が設置される成形品110(図6参照)の材質、種類等によって、開口部51内に成形品110(図6参照)が隙間を生じないように入り込み易くなる。
【0100】
ブラック層50は、スモーク層40の形成に用いられる減光色(例えば、黒色)の顔料又は染料の含有量を高めて光透過率を略ゼロとなるように変更したこと以外、スモーク層40と同様に形成することができる。ブラック層50としては、スモーク層40と同様、例えば、黒色インク組成物を印刷して形成された層を用いることができる。ブラック層50は、例えば、光透過性が低い金属で形成された導電性を有する金属層でもよい。金属層は、例えば、スクリーンコート等の導電性を有する塗料の一般的な塗布方法により形成される。
【0101】
このように、本実施形態に係る積層体1Aは、光調整層10、透明基材層20、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40を備える。光調整層10は、その下面102に、干渉顔料印刷層30によって表される意匠の形状に対応するように形成された凹凸部11を有する。このため、光調整層10は、凹凸部11で干渉顔料印刷層30に表示される意匠に合わせて表現しつつ意匠に合う触感を与えることができると共に、外部から入射した可視光を拡散反射、屈折及び散乱効果により、干渉顔料印刷層30の第1光透過部33と、スモーク層40の第2光透過部41と、ブラック層50との境界を目立たないようにすることができる。
【0102】
干渉顔料印刷層30は、その下側にスモーク層40を備えることで、干渉顔料印刷層30の意匠の色彩をより鮮明にすることができる。また、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40は、それぞれ、第1光透過部33及び第2光透過部41を有する。このため、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40は、光源2の消灯時に積層体1Aの裏面側に配置される光源2及び開口部51の端面が加飾用積層体の表面側からの視認を抑えるステルス性と、点灯時に光源2からの光を透過できるようにする光透過性を発揮しつつ、積層体1Aの全体の光透過率を30%~50%に向上させることができる。このため、積層体1Aは、光源2を点灯する場合には、光源2の輝度を上げなくても、光源2からの光をより効率良く透過させて鮮明に映すことができるので全体として輝度を高く表示することができ、光源2を点灯していない場合には、干渉顔料印刷層30の意匠を表現することができる。
【0103】
即ち、干渉顔料印刷層30に含まれる、4色(赤、緑、青、銀)の干渉顔料31は、スモーク層40等の黒色を有する層と組み合わせることで色を表現できる特殊顔料である。干渉顔料印刷層30は、4色(赤、緑、青、銀)の干渉顔料31と透明なバインダー樹脂32と紫外線吸収剤を含むことで、第1光透過部33を形成する塗膜除去部331が形成されていない部分で、例えば、約33%~41%の光透過性を発揮でき、約79%の全光線透過率(このうち、拡散光線透過率は約33%)を発揮できる。干渉顔料印刷層30は、第1光透過部33で、例えば、約76~86%の光透過性を発揮でき、80%の全光線透過率(このうち、拡散光線透過率は42%)を発揮できる。
【0104】
スモーク層40は、上述の通り、黒色顔料と紫外線吸収剤とバインダー樹脂を含むインク組成物であり、第2光透過部41が形成されていない部分の光透過率から第1光透過部33の光透過率を減じた光透過率を有する。スモーク層40は、第2光透過部41を有することで、所定の光透過率(例えば、約40%)を有することができる。スモーク層40は、その主面に第2光透過部41を有することによって、目視で識別されることなく、例えば、所定の光透過率(例えば、30%~40%)を有すると共に、消灯時に光源2の視認を抑えるステルス性及び点灯時に光源2からの光を透過させる光透過性を発揮することができる。
【0105】
よって、積層体1Aは、光源2の消灯時に成形品の裏面側に配置される光源2及びブラック層50の開口部51を積層体1Aの表面から視認できないようにするステルス性を十分確保すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で透過表示することができ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができる。
【0106】
また、積層体1Aは、第1光透過部33及び第2光透過部41のそれぞれの光透過率の割合を調整することで、積層体1Aの全体としての総合的な光透過率のバラつきを小さくすることができる。特に、干渉顔料印刷層30は、第1光透過部33が形成されていない領域、即ち印刷がされていない領域と、第1光透過部33が形成されている領域とで層の厚みにばらつきが生じ易く、層が相対的に厚い部分と薄い部分とで光透過率に差が生じ易い傾向にある。積層体1Aは、全体としての総合的な光透過率のバラつきを小さくできるので、消灯時に光源2の視認を抑えるステルス性及び点灯時に光源2からの光を透過させる光透過性のばらつきを抑えつつ発揮することができる。
【0107】
積層体1Aは、第1光透過部33及び第2光透過部41を干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の塗膜除去部331及び411で形成することができる。塗膜除去部331及び411には干渉顔料31が存在しないため、塗膜除去部331及び411は高い光透過性を有する。また、塗膜除去部331及び411は任意の場所に任意の形状及び数でレーザー加工等で形成することができる。積層体1Aは、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の平面視において、第1光透過部33及び第2光透過部41を干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の任意の場所に干渉顔料印刷層30及びスモーク層40が所定の光透過率(例えば、30%~50%)を有するように形成することができる。よって、積層体1Aは、消灯時に光源2の視認を抑えるステルス性を十分確保すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で安定して透過表示させ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を安定して高めることができる。
【0108】
積層体1Aは、第1光透過部33及び第2光透過部41を構成する塗膜除去部331及び411内に透明な充填用樹脂組成物の硬化物を含めることができる。これにより、塗膜除去部331及び411は高い光透過性を維持しつつ、充填用樹脂組成物を、後述する成形品110(図6)と積層体1Aとの間にバインダー層を設ける場合のバインダー層を構成する樹脂と兼用させることができる。このため、積層体1Aは、全体の光透過率を所望の光透過率(例えば、30%~50%)に安定して維持することができると共に、消灯時に光源2の視認を抑えるステルス性及び点灯時に光源2からの光を透過させる光透過性を安定して維持することができる。よって、積層体1Aは、消灯時に光源2及びブラック層50の開口部51の端面の視認を抑えるステルス性を十分確保すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で継続して透過表示させ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性をさらに安定して高めることができる。
【0109】
積層体1Aは、スモーク層40の下面401に遮光性のブラック層50を有し、ブラック層50は開口部51を有することができる。開口部51は、スモーク層40の下面401の第2光透過部41を含む領域が露出されるように形成されている。ブラック層50は、遮光部52では光源2からの光を殆ど透過させない。よって、積層体1Aは、光源2から出射した光を開口部51内のみ透過させ、スモーク層40の第2光透過部41を含む領域を透過させることができるので、遮光機能をもったブラック層50の開口部51のステルス性を確実に有すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で開口部51内から出射させることができる。
【0110】
積層体1Aは、第1光透過部33及び第2光透過部41を積層体1Aの平面視において略同じ位置に設け、第1光透過部33及び第2光透過部41の割合を、干渉顔料印刷層30の平面視において、0.1%~20%にすることができる。これにより、積層体1Aは、全体で30%~40%の光透過率を確実に有することができ、消灯時に光源2の視認を抑えるステルス性及び点灯時に光源2からの光を透過させる光透過性を確実に発揮することができる。よって、積層体1Aは、消灯時に光源2及びブラック層50の開口部51の端面の視認を抑えるステルス性を十分確保すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度でより確実に透過表示させ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができる。
【0111】
積層体1Aは、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の平面視において、第1光透過部33及び第2光透過部41を、六角格子状、正方格子状、斜方格子状又はライン状に配置することができる。これにより、第1光透過部33及び第2光透過部41は容易に任意の場所に任意の形状で形成することができるので、干渉顔料印刷層30とスモーク層40とを積層した印刷層は、30%~50%の光透過率を有するように容易に制御することができる。よって、積層体1Aは、積層体1Aの全体の光透過率が30%~40%となるように制御し易いため、消灯時に光源2及びブラック層50の開口部51の端面の視認を抑えるステルス性を確保し易くすると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で安定して透過表示させ易くかつ点灯時の視認性を高め易くすることができる。
【0112】
積層体1Aは、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の厚さの和を、1μm~50μmにすることができる。厚さの和が上記の範囲内であれば、積層体1Aは、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40の機能を確実に発揮させることができる。このため、干渉顔料印刷層30とスモーク層40とを積層した印刷層は、30%~50%の光透過率を確実に発揮させることができる。よって、積層体1Aは、消灯時に光源2及びブラック層50の開口部51の端面の視認を抑えるステルス性を確保し易くすると共に、点灯時に光源2から照射される光の光透過性を安定して発揮させ易くすることができるので、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めなくても、光源2から出射した光を高い輝度で安定して確実に透過表示させかつ点灯時の視認性を高めることができる。
【0113】
積層体1Aは、上記のような特性を有することから、成形品及び表示装置等において光源から出射する光の表示と加飾を付与する表面層として有効に用いることができる。
【0114】
[変形例]
本実施形態に係る積層体1Aの他の構成の一例について説明する。積層体1Aは、干渉顔料印刷層30及びスモーク層40に代えて、紫外線吸収剤入りの顔料印刷層及び下地スモーク白色層を備えてもよい。図5は、本実施形態に係る積層体の他の構成の一例を図2のA-A視で見た断面図である。図5に示すように、積層体1Bは、光調整層10、透明基材層20、顔料印刷層60、下地スモーク白色層70及びブラック層50をこの順に積層して備える。
【0115】
(顔料印刷層)
顔料印刷層60は、シアン、マゼンタ、イエロー及び黒色の4色を表現する顔料61を調合して作られた印刷層であり、複数種類(シアン、マゼンタ、イエロー及び黒色の4色)の粒子状の顔料61と、添加剤である紫外線吸収剤をバインダー樹脂62中に含み、視認可能な意匠を表しかつ光散乱性を有する。なお、調合する顔料61は4色に限定されず、シアン、マゼンタ、イエロー及び黒色の何れか2色又は3色でもよいし、シアン、マゼンタ、イエロー、黒色及び白色等を含む5色以上でもよい。白色の顔料を用いる場合、例えば、上述の干渉顔料とシリカ等の散乱効果を有する顔料は、高い光透過性を有する白色を表現可能な顔料として用いることができる。
【0116】
顔料61は、シアンの顔料61Cと、マゼンタの顔料61Mと、イエローの顔料61Yと、黒色の顔料61Kとを含んでよい。顔料61としては、一般的に用いられる顔料を用いることができる。
【0117】
顔料印刷層60は、顔料61C、61M、61Y及び61Kの種類と、顔料61C、61M、61Y及び61Kのそれぞれの含有量等により発現する混色に応じて、複数の種類の顔料印刷層60-N(Nは1以上の整数)を含む。図5では、第1顔料印刷層60-1、第2顔料印刷層60-2及び第3顔料印刷層60-3を含む。
【0118】
第1顔料印刷層60-1、第2顔料印刷層60-2及び第3顔料印刷層60-3は、いずれも、4色(シアン、マゼンタ、イエロー及び黒色)の光を放射する4種類の顔料61をバインダー樹脂32に含んでいる。図5では、第1顔料印刷層60-1、第2顔料印刷層60-2及び第3顔料印刷層60-3は、第1干渉顔料印刷層30-1、第2干渉顔料印刷層30-2及び第3干渉顔料印刷層30-3と同様、それぞれ、4種類の顔料61が所定の割合で加法混色されることによって、木目模様の「濃い茶色」、「薄茶色」及び「黒色」を、第1混色、第2混色及び第3混色として発現させる。
【0119】
顔料印刷層60に含まれる紫外線吸収剤及びバインダー樹脂62は、干渉顔料印刷層30で用いる紫外線吸収剤及びバインダー樹脂32と同様であるため、詳細は省略する。
【0120】
顔料印刷層60は、光透過性を有する第3光透過部63を有する。第3光透過部63は、顔料61を含まない、印刷がされていない領域である。
【0121】
第3光透過部63は、顔料印刷層60に設けた貫通孔である塗膜除去部631によって形成することができる。塗膜除去部631内には、光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物が含まれてよい。第3光透過部63及び充填用樹脂組成物の構成等は、干渉顔料印刷層30の第1光透過部33及び充填用樹脂組成物等と同様であるため、詳細は省略する。
【0122】
第3光透過部63の形状、配置及びの割合及び形成方法は、第1光透過部33の形状、配置及び割合と同様にしてよい。
【0123】
即ち、第3光透過部63は、第1光透過部33と同様、平面視において、円形、楕円形、四角形等の多角形等、適宜任意の形状に形成されてもよい。第3光透過部63は、第1光透過部33と同様、第3光透過部63の主面601に六角格子状、正方格子状、斜方格子状、ライン状等、適宜任意の配列となるように配置されてもよいし、平面視において、主面301に所定の間隔で略均等に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。第3光透過部63の割合は、第1光透過部33と同様、顔料印刷層60の平面視において、0.1%~35%であることが好ましく、0.5%~18%であることがより好ましく、1.0%~15%であることがさらに好ましい。
【0124】
第3光透過部63の形成方法は、第1光透過部33の形成方法と同様に形成できるため、詳細は省略する。
【0125】
(下地スモーク白色層)
下地スモーク白色層70は、顔料印刷層60の下面602に設けられている。下地スモーク白色層70は、スモーク層40と同様、一層で所定の範囲(例えば、下地スモーク白色層70のみでは、1%~70%、好ましくは1%~47%である)の光透過率を有する。そのため、下地スモーク白色層70は、スモーク層40と同様、光源2の消灯時には、顔料印刷層60の意匠をより見え易くして意匠の視認性及び識別性を高め、表示品質を向上させ、点灯時には、塗膜除去部631を含む積層体1B全体で所定の範囲(例えば、下地スモーク白色層700のみでは、30%~70%、好ましくは53%~70%であり、総合的には30%~50%)の光透過率を有する機能を有する。
【0126】
下地スモーク白色層70は、例えば、減光色(例えば、白色)の顔料又は染料と紫外線吸収剤を透明なバインダー樹脂に含むインク組成物を印刷することで形成できる。下地スモーク白色層70としては、例えば、白色インク組成物を印刷して形成された層を用いることができる。
【0127】
下地スモーク白色層70は、顔料印刷層60と同様、光透過性を有する第4光透過部71を有する。第4光透過部71は、第3光透過部63と同様、顔料61を含まない、印刷がされていない領域である。第4光透過部71には、不図示のバインダー樹脂が充填されてよい。
【0128】
第4光透過部71の配置は、第2光透過部41の配置と同様にしてよい。即ち、第4光透過部71は、下地スモーク白色層70の主面の平面視において第3光透過部63と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。第4光透過部71は、平面視において下地スモーク白色層70の主面に第3光透過部63と略同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0129】
第4光透過部71は、顔料印刷層60と同様、下地スモーク白色層70の塗膜除去部711によって形成することができ、塗膜除去部711内に透明な充填用樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。第4光透過部71内に含まれる透明な充填用樹脂組成物としては、塗膜除去部631に充填される透明な充填用樹脂組成物を用いることができる。
【0130】
なお、透明な充填用樹脂組成物は、顔料印刷層60の塗膜除去部631又は下地スモーク白色層70の塗膜除去部711にのみ含まれてもよいし、塗膜除去部631及び711の一部にのみ含まれてもよい。
【0131】
第4光透過部71の形状及び配置は、第3光透過部63と同様の形状及び配置としてもよいし、異なる形状及び配置としてもよい。顔料印刷層60及び下地スモーク白色層70を光源2の光が通過し易くする点から、第4光透過部71の形状及び配置は、第3光透過部63と同様の形状及び配置とすることが好ましい。
【0132】
第4光透過部71は、第3光透過部63と同様にレーザー加工等の方法により形成することができる。
【0133】
第4光透過部71の割合は、第3光透過部63と同様であることが好ましい。
【0134】
第4光透過部71が顔料印刷層60の平面視において第3光透過部63と同じ位置又は略同じ位置にある場合、第3光透過部63及び第4光透過部71の割合は、顔料印刷層60又は下地スモーク白色層70の平面視において、第3光透過部63の割合と同様、0.1%~20%であることが好ましく、0.5%~18%であることがより好ましく、1.0%~15%であることがさらに好ましい。
【0135】
顔料印刷層60と下地スモーク白色層70の積層部分の光透過率は、23%~51%であることが好ましく、33%~41%であることがより好ましい。
【0136】
<加飾成形品>
本実施形態に係る積層体1Aを備える加飾成形品について説明する。図6は、本実施形態に係る積層体1Aを備える加飾成形品の一部を示す部分拡大断面図である。図6に示すように、加飾成形品100は、成形品110と、成形品110の表面に貼り付けられた積層体1Aとを備える。なお、成形品110の表面にバインダー層を設けて、積層体1Aの裏面をバインダー層を介して成形品110の表面に貼り付けてもよい。
【0137】
成形品110としては、光透過率が高い材料等が挙げられる。光透過率が高い材料としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、バイオエンジニアリングプラスチック、生分解性プラスチック、熱硬化性樹脂及びガラス等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0138】
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン(PP)、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂;シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)及びエチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂を挙げることができる。これらの中でも、製造のし易さ、光が透過可能な波長の範囲の広さ、及び耐薬品性等の点から、シクロオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、その中でも特に、COP及びCOCが好ましい。
【0139】
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)が挙げられる。
【0140】
スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂が挙げられる。
【0141】
ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸共重合体及びポリビニルアルコールが挙げられる。
【0142】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル樹脂及びポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0143】
エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリアセタール(POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリフェニレンオキシド;ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)樹脂が挙げられる。
【0144】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリサルフォン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、アラミド樹脂が挙げられる。
【0145】
バイオエンジニアリングプラスチックとしては、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)を主原料とし、イソソルバイドと共重合成分であるとエンジニアリングプラスチックとの共重合体である。
【0146】
イソソルバイドは、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られる。イソソルバイドは、デンプンや糖等の植物原料から誘導される2級の複素環式ジオール(ジヒドロキシ化合物)である。イソソルバイドは、分子骨格に芳香族構造を持たないが、剛直な縮合環構造を有するため、誘導される樹脂に高い耐熱性と剛性を与えることができる。イソソルバイドを用いた共重合体は非晶性であり、共重合成分と共重合比率の選択によりガラス転移温度を調整することができる。
【0147】
イソソルバイドでは、エーテル結合を含む複素環構造が水酸基を活性化し、2級のジオールにも関わらず高い酸性度を示し、エンジニアリングプラスチックとエステル交換させることで、バイオエンジニアリングプラスチックである高分子量重合体を得ることができる。重合法は、エステル交換法又は溶融重合法(溶融法)である。エステル交換法の触媒として、イソソルバイドでは、カルシウムやマグネシウム等の比較的ソフトな塩基性を示す2族の金属(塩)が高い重合活性を示す。
【0148】
生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)等が挙げられる。
【0149】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0150】
成形品110は、エンジニアリングプラスチック(特に、PC樹脂)、バイオエンジニアアリングプラスチック又は生分解性プラスチックと、透明樹脂を含む複合体が好ましい。
【0151】
加飾成形品100の製造方法は、特に限定されず、成形品110と積層体1Aと一体に成形する一般的な方法を用いることができる。加飾成形品100は、例えば、成形品110の射出成形と同時に、積層体1Aをその裏面にバインダー層を介して成形品110と一体成形することで得ることができる。また、積層体1Aの裏面にバインダー層に代えて光学用透明粘着シート(OCA)を貼付けた後、別工程で作成した成形体に真空圧空貼り合せ工法(TOM成形)等で張り付けて一体成型することで得ることができる。
【0152】
このように、加飾成形品100は、成形品110に積層体1Aを備えることで、光源2の消灯時に積層体1Aの表面側からの光源2及びブラック層50の開口部51の視認を抑えるステルス性を十分確保すると共に、光源2の点灯時に光源2の輝度を高めることなく、光源2から出射した光を高い輝度で透過表示することができ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができる。このため、加飾成形品100は、消灯時には積層体1Aの表面の意匠を見せつつ、点灯時には積層体1Aの表面に光源2の光により表される文字等を明確に表示できるので、外部から容易に視認することができる。
【0153】
加飾成形品100は、上記のような特性を有することから、例えば、車両の、フロントパネル、センターコンソールリアセンターパネル、及びドア等の車両内装部品、建築内装材、家電筐体等に好適に用いることができる。
【0154】
<表示装置>
本実施形態に係る積層体1Aを備える表示装置について説明する。なお、ここでは、表示装置が、車両のフロントパネルである場合について説明する。
【0155】
図7は、本発明の実施形態に係る積層体を備える表示装置の平面の一例を示す図であり、消灯している状態と、点灯している状態を示す。図8は、図7の一部の部分拡大断面図であり、本実施形態に係る積層体を備える表示装置の一部を示す部分拡大断面図である。なお、表示装置が備える積層体の層構成は、上述の図3又は図6に示す層構成と同様であるため、図8では、表示装置が備える積層体の層構成は簡略に示す。
【0156】
表示装置200は、図7に示すように、成形品の表面に木目模様の絵柄からなる意匠を有する積層体1Aが貼り付けられた加飾成形品であるフロントパネル210を有し、図8に示すように、フロントパネル210の裏面に表示部220を有する。フロントパネル210には、上述の加飾成形品100が用いられるため、フロントパネル210の詳細は省略する。
【0157】
表示部220は、マトリックス状に配置された複数の発光部である光源221を有し、文字、数字及び画像等をフロントパネル210の表面に表示するディスプレイである。表示部220は、光源221から照射した光がフロントパネル210を透過するように配置されている。
【0158】
光源221としては、特に限定されず、例えば、LED及びLCDデバイス等を用いることができる。
【0159】
図7に示すように、表示装置200は、表示部220が消灯している時は、フロントパネル210の積層体1Aの表面には木目模様の意匠のみが視認される。表示部220が点灯すると、表示部220から出射した光がフロントパネル210を透過して、フロントパネル210の表面に、例えば、マップ、走行ルート、時刻、温度、時速、総走行距離等の画像が表示される。なお、画像には、情報伝達のための符号、図形に限られず、例えば、加飾用の絵柄及びシグナル等でもよい。
【0160】
表示装置200は、フロントパネル210と、表示部220とを備え、フロントパネル210に積層体1Aが含まれているため、光源2の消灯時に積層体1Aの表面側からの表示部220の視認を抑えるステルス性を十分確保すると共に、表示部220の点灯時には表示部220の輝度を高めることなく、表示部2202から出射した表示画面を高い輝度で透過表示することができ、かつ拡散透過率を高めて点灯時の視認性を高めることができ、運転手等車両内の人に容易に視認させることができる。
【0161】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0162】
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 光源から出射した光が通過する加飾用積層体であって、
光透過性を有し、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する基材と、
前記基材の前記第1主面側に設けられる光調整層と、
前記基材の前記第2主面側に設けられ、複数種類の干渉顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含み、視認可能な意匠を表す干渉顔料印刷層と、
前記干渉顔料印刷層の前記基材とは反対側の面に設けられ、顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含む黒半透明印刷層と、
を備え、
前記光調整層は、前記基材とは反対側の面に、前記干渉顔料印刷層によって表される前記意匠の形状に対応するように形成された凹凸部を有し、
前記干渉顔料印刷層は、前記干渉顔料印刷層に前記光が透過可能な第1光透過部を有し、
前記黒半透明印刷層は、前記黒半透明印刷層の主面の、平面視において前記第1光透過部と少なくとも一部が重なる位置に、前記光が透過可能な第2光透過部を有する加飾用積層体。
<2> 前記第1光透過部及び前記第2光透過部は、それぞれ、前記干渉顔料印刷層及び前記黒半透明印刷層の主面に形成された塗膜除去部である<1>に記載の加飾用積層体。
<3> 前記第1光透過部及び前記第2光透過部の少なくとも一方は、前記塗膜除去部内に光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物を含む<2>に記載の加飾用積層体。
<4> 前記黒半透明印刷層の前記干渉顔料印刷層とは反対側の面に、黒シンボル印刷層を有し、
前記黒シンボル印刷層は、前記第2光透過部を含む領域が露出するように形成された開口部を有する<1>~<3>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<5> 前記第1光透過部と前記第2光透過部とが平面視において略同じ位置にあり、
前記第1光透過部と前記第2光透過部との割合が、前記干渉顔料印刷層の平面視において、0.1%~20%である<1>~<4>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<6> 前記第1光透過部と前記第2光透過部との少なくとも一方が、六角格子状、正方格子状、斜方格子状又はライン状に配置される<1>~<5>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<7> 前記干渉顔料印刷層と前記黒半透明印刷層の厚さの和が、1μm~50μmである<1>~<6>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<8> 光源から出射した光が通過する加飾用積層体であって、
光透過性を有し、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する基材と、
前記基材の前記第1主面側に設けられる光調整層と、
前記基材の前記第2主面側に設けられ、複数種類の顔料及び紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含み、視認可能な意匠を表し、かつ光屈折性、光反射性又は光散乱性を有する顔料印刷層と、
を備え、
前記光調整層は、前記基材とは反対側の面に、前記顔料印刷層によって表される前記意匠の形状に対応するように形成された凹凸部を有し、
前記顔料印刷層は、前記顔料印刷層の主面に前記光が透過可能な第3光透過部を有する加飾用積層体。
<9> 前記顔料印刷層の前記基材とは反対側の面に設けられ、顔料と紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に含んだ下地スモーク白色層と、
前記下地スモーク白色層は、前記下地スモーク白色層の主面の、平面視において前記第3光透過部と少なくとも一部が重なる位置に、前記光が透過可能な第4光透過部を有する<8>に記載の加飾用積層体。
<10> 前記第3光透過部及び前記第4光透過部は、それぞれ、前記顔料印刷層及び前記下地スモーク白色層の主面に形成された塗膜除去部である<9>に記載の加飾用積層体。
<11> 前記第3光透過部及び前記第4光透過部の少なくとも一方は、前記塗膜除去部内に光透過性を有する充填用樹脂組成物の硬化物を含む<10>に記載の加飾用積層体。
<12> 前記下地スモーク白色層の前記顔料印刷層とは反対側の面に、黒シンボル印刷層を有し、
前記黒シンボル印刷層は、前記下地スモーク白色層の光透過部を含む領域が露出するように形成された開口部を有する<9>~<11>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<13> 前記第3光透過部と前記第4光透過部とが平面視において略同じ位置にあり、
前記第3光透過部と前記第4光透過部との割合が、前記顔料印刷層の平面視において、0.1%~20%である<9>~<12>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<14> 前記第3光透過部と前記第4光透過部との少なくとも一方が、六角格子状、正方格子状、斜方格子状又はライン状に設けられる<9>~<13>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<15> 前記顔料印刷層と前記下地スモーク白色層の厚さの和が、1μm~50μmである<9>~<14>の何れか一つに記載の加飾用積層体。
<16> 成形品と、
前記成形品の表面の少なくとも一部に設けられる、<1>~<15>の何れか一つに記載の加飾用積層体と、
を備える加飾成形品。
<17> <16>に記載の加飾成形品と、
前記加飾成形品の裏面側に配置された光源と、
を備える表示装置。
【0163】
本出願は、2022年3月24日に日本国特許庁に出願した特願2022-048595号に基づく優先権を主張し、前記出願に記載された全ての内容を援用する。
【符号の説明】
【0164】
1A、1B 積層体(加飾用積層体)
2、221 光源
10 光調整層
11 凹凸部
20 透明基材層(基材)
30 干渉顔料印刷層
30-1 第1干渉顔料印刷層
30-2 第2干渉顔料印刷層
31 干渉顔料
32、62 バインダー樹脂
33 第1光透過部
331、631 塗膜除去部
40 スモーク層(黒半透明印刷層)
41 第2光透過部
50 ブラック層(黒シンボル印刷層)
51 開口部
60 顔料印刷層
61 顔料
63 第3光透過部
70 下地スモーク白色層
71 第4光透過部
100 加飾成形品
110 成形品
200 表示装置
210 フロントパネル
220 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8