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特許7683920和弓用の振動低減ウエイト及び和弓、並びに和弓の振動低減方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】和弓用の振動低減ウエイト及び和弓、並びに和弓の振動低減方法
(51)【国際特許分類】
   F41B 5/00 20060101AFI20250520BHJP
   F41B 5/14 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
F41B5/00 Z
F41B5/14 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021131195
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2023025821
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2024-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521063476
【氏名又は名称】上野 恭和
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】上野 恭和
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-03600(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183293(JP,U)
【文献】実開昭50-40097(JP,U)
【文献】特開2015-143322(JP,A)
【文献】米国特許第5595168(US,A)
【文献】中国実用新案第208124967(CN,U)
【文献】独国実用新案第202017103324(DE,U1)
【文献】実開平1-104218(JP,U)
【文献】特開昭52-79600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 5/00
F41B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉を含んだ樹脂材料からなり柔軟性を有し、重さが20~100gである、和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項2】
和弓の握り部または矢摺籐に装着する、
請求項1に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項3】
比重が5g/cm以上である、
請求項1または請求項2に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項4】
金属粉は、比重が6g/cm以上の金属の粉体である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項5】
金属粉は、全部または一部が、タングステンである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項6】
金属粉は、比重が6g/cm以上の金属の粉体であり、
樹脂材料は、ゴム系材料である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項7】
棒状である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項8】
シート状である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイト。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の和弓用の振動低減ウエイトを装着した、和弓。
【請求項10】
和弓の握り部又は矢摺籐に、金属粉を含んだ樹脂材料からなり柔軟性を有し、重さが20~100gである、和弓用の振動低減ウエイトを装着する、和弓の振動低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和弓用の振動低減ウエイト及び和弓、並びに和弓の振動低減方法に関する。詳細には、和弓に装着することで矢を射る際に和弓の振動を低減する、和弓用の振動低減ウエイト、及びこの和弓用の振動低減ウエイトを装着した和弓、並びに和弓の振動低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弓は、矢をつがえて射る武器であるが、弓道やアーチェリーなどの武道や競技にも用いられている。弓は、和弓と洋弓に大別することができる。和弓は、日本の弓道・弓術などで使用される長弓の弓である。弓のエネルギーを矢に伝えるため、弓の上下両端にはストリング(弦)が張られる。
【0003】
弓を用いて矢を射る際、和弓では、和弓の弓束(ゆづか)を弓手(ゆんで:左手)で握り、矢の後端部の溝が切られた筈(はず)に、弦(つる)に設けた中関(なかじかけ)を引っ掛けて、ゆがけを挿した馬手(めて:右手)で弦と矢を把持する。この状態で、弓手と馬手を上から大きく引き下ろして、馬手が右肩辺りにくるまで大きく弓を引く。そして、狙いを定めた状態で馬手から弦と矢を離すことで、矢が放たれる。このとき、放たれた矢は、しばらくの間、弓を握った弓手の指に密着ないしは接触しながら飛んで行くことになる。このとき、矢を放った反動で弓が振動するため弓手が安定せず、その結果、矢飛びに悪影響が生じることがあった(狙いが定まらなくなることがあった)。
【0004】
同様の現象は、アーチェリーなどの洋弓でも生じうる。しかし、アーチェリーにはスタビライザーと称される振動低減装置が装着してあり、これによって、狙いどおりの矢飛びを実現しやすくなっている。このようなスタビライザーは、例えば、前方に大きく伸びる棒状や左右に突き出た角状などであり、外観上大きく目立ち、アーチェリーの弓を最も特徴付けるものとなっている。
そして、前方に大きく伸びる棒状のスタビライザーで、弓全体の左右の動き(トルク)や、上下の傾き(ピッチング)を抑えたり、左右に突き出た角状のスタビライザーで、主に押し手を軸にした回転(ローリング)を抑えている。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、前方に大きく延びるロングスタビライザーGとショートスタビライザーS1を備えたアーチェリーが開示されている。
【0006】
しかしながら、和弓の場合は、アーチェリーのような大きくて目立つスタビライザーを装着することはできない。そのため、矢を射る際の振動をできるだけ低減させる目的などのため、振動の節となりうる部分を弓手で握って矢を射ることが古くから行われている。
具体的には、振動の節となりうる、和弓の上下方向の上端から和弓の長さの概ね1/3の部分および和弓の上下方向の上端から和弓の長さの概ね2/3の部分のうち、和弓の上下方向の上端から和弓の長さの概ね2/3の部分を弓手で握って矢を射るのである。このような手法によって、弓から弓手に伝わる振動をある程度弱めることが行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公平04-046571号公報(図12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、和弓において、上下方向の上端から和弓の長さの概ね2/3の部分を弓手で握って矢を射ることは古くから行われていた。しかしながら、これ以外に、振動を低減させる手法などは行われていなかった。
【0009】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、和弓で矢を射る際の振動を低減させることができる和弓用の振動低減ウエイト及び和弓、並びに和弓の振動低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、金属粉を含んだ樹脂材料からなり柔軟性を有する、和弓用の振動低減ウエイトとした。
【0011】
この和弓用の振動低減ウエイトは、和弓の所定位置に装着することで、矢を射る際の振動を低減させることができる。また、和弓用の振動低減ウエイトは、柔軟性を有しているため和弓のしなりを阻害しにくい。さらに、和弓用の振動低減ウエイトは、金属粉を含んだ樹脂材料からなるため、ウエイトとしての重量を確保しつつ任意の形状に成形することが容易である。
【0012】
和弓の握り部または矢摺籐に装着する、和弓用の振動低減ウエイトとすることができる。
【0013】
この和弓用の振動低減ウエイトは、矢を射る際の振動をより低減させることができる。和弓の握り部は、振動の節となる和弓の上下方向の上端から和弓の長さの概ね2/3の部分に設けられ(通常は、当該部分に握り皮を巻き付けて握り部とする)、この部分に振動低減ウエイトを装着することで振動の節がより安定し、矢を射る際の振動をより低減させることができる。また、握り部の上方に隣接する矢摺籐に振動低減ウエイトを装着した場合も、同様の作用効果が期待できる。矢摺籐と握り部の双方に振動低減ウエイトを装着することもできる。
和弓用の振動低減ウエイトは、例えば、握り部(握り皮)の裏側、すなわち握り部(握り皮)と和弓の間に装着したり、矢摺籐の裏側、すなわち矢摺籐と和弓との間に装着したりすることができる。
和弓用の振動低減ウエイトの装着位置は、好ましくは、和弓の上下方向の上端から和弓の長さの8/15~12/15の部分であり、より好ましくは、和弓の上下方向の上端から和弓の長さの9/15~11/15の部分である。和弓の長さは、和弓に沿った長さである。
【0014】
比重が5g/cm以上である、和弓用の振動低減ウエイトとすることもできる。
【0015】
この和弓用の振動低減ウエイトは、ずっしりと重たく、矢を射る際の振動をより低減させることができる。和弓用の振動低減ウエイトの比重は、好ましくは8g/cm以上、より好ましくは10g/cm以上、最も好ましくは11g/cm以上である。
和弓用の振動低減ウエイトの比重の上限は特に制限されないが、金の比重が19.32g/cm、タングステンの比重が19.3g/cm、であり、このような比重の金属粉が樹脂材料に分散されていることを考慮すると、通常は18g/cm以下、一般的には18g/cm以下、通常は15g/cm以下と考えられる。
【0016】
金属粉は、比重が6g/cm以上の金属の粉体である、和弓用の振動低減ウエイトとすることも好ましい。
【0017】
この和弓用の振動低減ウエイトは、高比重の金属粉体を用いることで、ずっしりと重たくなりやすい。
【0018】
金属粉は、全部または一部が、タングステンの粉体である、和弓用の振動低減ウエイトとすることも好ましい。
【0019】
タングステンは、比重が19.3g/cmと金に近い高比重でありながら、金と比較すれば低廉のため、この和弓用の振動低減ウエイトは、ずっしりと重たく、かつ比較的低廉である。
【0020】
金属粉は、比重が6g/cm以上の金属の粉体であり、樹脂材料は、ゴム系材料である、和弓用の振動低減ウエイトとすることも好ましい。
【0021】
この和弓用の振動低減ウエイトは、重量と柔軟性を両立することができる。
【0022】
棒状である、和弓用の振動低減ウエイトとすることもできる。
【0023】
この和弓用の振動低減ウエイトは、和弓の上下方向に沿うように貼り付けて使用することができる。例えば、握り部を形成する握り革を巻き付ける位置に、棒状の振動低減ウエイトを装着しておき、その上から、握り革を巻き付けることができる。和弓用の振動低減ウエイトは、長さが5~15cmで幅が1~3cmの棒状とすることが好ましい。
【0024】
シート状である、和弓用の振動低減ウエイトとすることもできる。
【0025】
この和弓用の振動低減ウエイトは、和弓に巻き付けて使用することができる。例えば、矢摺籐を形成する位置に、シート状の振動低減ウエイトを和弓に巻き付けて装着しておき、その上から籐を巻き付けて矢摺籐とすることができる。
【0026】
重さが20~100gである、和弓用の振動低減ウエイトとすることもできる。
【0027】
この和弓用の振動低減ウエイトは、矢を射る際の振動をより低減させることができる。和弓用の振動低減ウエイトの重さは、好ましくは30~80g、より好ましくは40~60g、最も好ましくは45~55gである。
【0028】
また、上記課題は、これらいずれかの和弓用の振動低減ウエイトを装着した和弓によっても解決される。
【0029】
さらに、上記課題は、和弓の握り部又は矢摺籐に、金属粉を含んだ樹脂材料からなり柔軟性を有する、和弓用の振動低減ウエイトを装着する、和弓の振動低減方法によっても解決される。この方法では、前記いずれかに記載の和弓用の振動低減ウエイトを用いることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、和弓で矢を射る際の振動を低減させることができる和弓用の振動低減ウエイト及び和弓、並びに和弓の振動低減方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第一実施形態の和弓用の振動低減ウエイトを例示する斜視図である。
図2図1の和弓用の振動低減ウエイトを握り部に装着した和弓を例示する図(写真)である。
図3図2のA‐A線に沿う断面を矢印方向から見た拡大端面図である。
図4】第二実施形態の和弓用の振動低減ウエイトを例示する斜視図である。
図5図4の和弓用の振動低減ウエイトを矢摺籐に装着した和弓を例示する図(写真)である
図6図5のB‐B線に沿う断面を矢印方向から見た拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図を用いて和弓用の振動低減ウエイトなどを例示説明する。和弓用の振動低減ウエイトは、金属粉を含んだ樹脂材料からなり柔軟性を有する。以下、各要素などについて例示説明するが、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。まず、金属粉から例示説明する。なお、本明細書において、和弓用の振動低減ウエイトを単に「振動低減ウエイト」と略称することがある。
【0033】
1.金属粉
金属粉は、振動低減ウエイト1,2,2′にウエイトとしての重量を付与する。金属粉に用いる金属の種類としては、ある程度の比重があれば特に制限されない。しかし、金属粉に用いる金属の比重は6g/cm以上であることが好ましい。このような金属として、例えば、金、ビスマス、コバルト、クロム、銅、鉄、マンガン、モリブデン、ニオブ、ニッケル、鉛、白金、セレン、すず、タンタル、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、これらの酸化物や合金、化合物などを例示することができる。なかでも、タングステンは比重が19.3g/cmと高いため、好適である。また、金属粉に用いる金属には、合金や酸化物なども含まれる。複数の種類の金属粉を混合して用いることもできる。
【0034】
金属粉の大きさも特に制限されない。例えば、いわゆるナノサイズのものから数mmのものまで用いることができる。金属粉の大きさ(平均粒子径)は、好ましくは1μm~1mm、より好ましくは5μm~500μm、最も好ましくは10μm~100μmである。
金属粉にタングステンを用いる場合、その平均粒子径は、好ましくは1~50μm、より好ましくは1.5~10μm、最も好ましくは2~5μmである。このようなタングステンの粉体は、酸化物の水素還元などによって製造することができる。
【0035】
金属粉の形状も特に制限されず、例えば、略球状、略楕円形状、略鱗片状、略樹枝状、略線状、不定形状などを用いることができる。
【0036】
金属粉の表面には、樹脂材料との親和性を高めるなどの目的で、各種表面処理を施してもよい。
【0037】
2.樹脂材料
樹脂材料は振動低減ウエイト1,2,2′を形作る。樹脂材料の種類としては、振動低減ウエイトに柔軟性を付与することができるような材料であれば特に制限されない。例えば、ポリウレタン、ウレタン変性ポリエステル、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、及び各種ゴム系材料などから選ばれる一種以上を挙げることができる。
また、ゴム系材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムなどから選ばれる一種以上を挙げることができる。なかでも、エチレンプロピレンゴムが好ましい。
【0038】
3.振動低減ウエイト
振動低減ウエイト1,2,2′における金属粉の割合は、金属粉の比重や得ようとする振動低減ウエイトの比重に大きく影響を受ける。それ以外にも、樹脂材料の比重や、他の成分(各種フィラーや添加剤など)の有無などにも若干の影響を受けうる。
例えば、金属粉としてタングステン(比重19.3g/cm)の粉体、樹脂材料としてエチレンプロピレンゴム(比重0.86g/cm)を用いて、比重5g/cmの振動低減ウエイトを得ようとすると振動低減ウエイトに占める金属粉の割合は、概ね22.5重量%、比重10g/cmの振動低減ウエイトを得ようとすると振動低減ウエイトに占める金属粉の割合は、概ね49.6重量%、比重15g/cmの振動低減ウエイトを得ようとすると振動低減ウエイトに占める金属粉の割合は、概ね76.7重量%となる。
【0039】
金属粉としてタングステンの粉体(タングステン粉)を用いる場合、振動低減ウエイトに占めるタングステンの粉の割合は、好ましくは20~80重量%である。タングステン粉の割合が20重量%以上であると振動低減ウエイトとして十分な比重を確保することができる。タングステン粉の割合が80重量%以下であると振動低減ウエイトの柔軟性を十分確保することができる。振動低減ウエイトに占めるタングステン粉の割合は、より好ましくは、30~70重量%、さらに好ましくは40~60重量%である。
【0040】
以上例示したような金属粉と樹脂材料を用いて振動低減ウエイト1,2,2′を形成する。振動低減ウエイトの形状としては特に制限されないが、例えば、棒状やシート状とすることができる。このような形状に形成する方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、及び真空成形などを用いることができる。
【0041】
棒状の振動低減ウエイト1を図1に例示する。この振動低減ウエイト1は、長さ(図1における上下方向)が概ね90mm、幅が概ね19mmの棒状であり、断面が略三日月状である。この振動低減ウエイト1の厚みは、好ましくは0.3~3mm、より好ましくは0.5~2.5mm、最も好ましくは1~2mmである。
この振動低減ウエイト1は、例えば、図2および図3に例示するように、和弓5の握り部7に装着することができる。詳細には、和弓5の上下方向の上端から概ね2/3の部分に振動低減ウエイト1を装着して、その上から握り皮71を巻き付けることで握り部7とすることができる。これによって、振動低減ウエイト1が握り皮71の裏側、すなわち握り皮71と和弓5の間に装着されることになる。
【0042】
次に、シート状の振動低減ウエイト2を図4に例示する。この振動低減ウエイト2は、長さ60mm、幅60mmのシート状である。なお、図4に例示する振動低減ウエイト2はシート状であり柔軟性を有しているが、説明の便宜上、横にした状態でなく、立てた状態で表示してある。
この振動低減ウエイト2は、例えば、図5および図6に例示するように、和弓5の矢摺籐8に装着することができる。詳細には、和弓5の握り部7上方にシート状の振動低減ウエイト2′を巻き付けて、その上から弓一張分の長さの籐81を巻き付けることで矢摺籐8とすることができる。これによって、振動低減ウエイト2′が矢摺籐8の裏側、すなわち矢摺籐8と和弓5の間に装着されることになる。図6においては和弓5の外周に沿うように前記振動低減ウエイト2をカットして振動低減ウエイト2′として用いてある。
【0043】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を例示説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0044】
例えば、図1に例示する棒状の振動低減ウエイトは、断面が略三日月状であるが、これに限定されず任意の断面形状とすることができる。また、振動低減ウエイトの長さや幅などの各種寸法も特に制限されないが、高比重の振動低減ウエイトとしつつ、あまり長さを長くし過ぎないことが好ましい。また、図3の例示では、棒状の振動低減ウエイトを和弓の内側(射手側)に装着したが、これに限定されず、外側や両側に装着することもできる。
【0045】
例えば、図6に例示するように、シート状の振動低減ウエイトを和弓の外周に沿う形状にカットして、和弓の握り部上方に一巻きしたが、これに限定されず、和弓の握り部上方に複数回巻き付けてもよい。また、細長いシート状の振動低減ウエイトを、和弓の内側、外側、および左右両側にそれぞれ装着してもよい。シート状の振動低減ウエイトは、任意の形状にカットしやすいという特徴を有する。
【符号の説明】
【0046】
1 和弓用の振動低減ウエイト(棒状)
2 2′和弓用の振動低減ウエイト(シート状)

5 和弓
6 弦
7 握り部
71 握り皮
8 矢摺籐
81 籐
図1
図2
図3
図4
図5
図6