(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】マルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20250520BHJP
G01S 19/48 20100101ALI20250520BHJP
【FI】
G01S5/02 A
G01S19/48
(21)【出願番号】P 2024568342
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2023083229
(87)【国際公開番号】W WO2024021642
(87)【国際公開日】2024-02-01
【審査請求日】2024-11-15
(31)【優先権主張番号】202210884919.6
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 ▲イー▼
(72)【発明者】
【氏名】趙 澤▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】王 以龍
(72)【発明者】
【氏名】袁 明新
(72)【発明者】
【氏名】薛 文博
(72)【発明者】
【氏名】劉 維
(72)【発明者】
【氏名】王 舜
(72)【発明者】
【氏名】張 亮
(72)【発明者】
【氏名】呂 増城
(72)【発明者】
【氏名】王 雨欣
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110888126(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101701826(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0221244(US,A1)
【文献】Francois Caron et al.,"Particle Filtering for Multisensor Data Fusion With Switching Observation Models: Application to Land Vehicle Positioning",IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING,,2007年06月,Vol.55, No.6,pp.2703-2719,DOI: 10.1109/TSP.2007.893914
【文献】Minggang Gan et al.,"Hierarchical particle filter tracking algorithm based on multi-feature fusion",Journal of Systems Engineering and Electronics,2016年02月,Vol. 27, No. 1,,pp.51-62,DOI: 10.1109/JSEE.2016.00006
【文献】Yi Shen et al.,"Research on Multi-Sensor Data Fusion Positioning Method of Unmanned Ships Based on Threshold- and Hierarchical-Capacity Particle Filter",Applied Sciences,2023年09月17日,Vol.13, No.18, 10390,pp.1-28,DOI: 10.3390/app131810390
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-5/14
G01S 19/00-19/55
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法であって、
無人船マルチセンサ測位システムが収集する無人船測位データを前処理するステップ(1)であって、その具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(A)測位システムセンサが収集する無人船航行軌跡経緯度情報に基づいて、それに対して時間的空間的基準の統一を行い、
(B)無人船が航行する河道に従って、測位システムのマルチノードの有効な接続を満たす通信環境を構築することで、無人船に位置するブラインドノードが送信信号強度と位置座標が既知の4つの信号受信ノードからなるネットワーク内にあるようにし、これによって無人船が河道を航行する時の位置座標を計算して収集し、
(C)ガウス・クリューガー投影原理に基づいて、マルチセンサ測位システム座標を変換及び統一するステップ(1)と、
マルチセンサが収集するデータに基づいて信頼度判定及び信頼因子割り当てを行うステップ(2)と、
マルチセンサデータに対して一致性検査を行うことにより、測位システムが収集する不一致故障データに対して重み付け補償処理を行うステップ(3)と、
基本粒子フィルタリングアルゴリズムに基づいて、前処理及び検査、補償後のマルチセンサデータに対してそれぞれフィルタリング処理を行うステップ(4)と、
ガウス混合モデルを構築し、且つ適応閾値及び信頼因子に関連する階層化サンプリング割合容量を設定することにより、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを設計し、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力するステップ(5)とを含む、ことを特徴とするマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【請求項2】
マルチセンサが収集するデータに基づいて信頼度判定及び信頼因子割り当てを行う前記ステップ(2)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
1)測位システムが収集する測定データに基づいて、マルチセンサ測定モデルp
i(x)を構築し、且つセンサデータ間の信頼距離d
iを計算し、前記p
i(x)、d
iをそれぞれ次式で計算し、
【数85】
式において、x
iは、i番目のセンサの測定値であり、μは、測定特徴の真値であり、θ
iは、i番目のセンサ情報測定精度であり、σ
iは、i番目のセンサ情報測定誤差であり、
【数86】
のそれぞれは、マルチセンサがi時刻に収集する測定値であり、
【数87】
測定分散平均値であり、Zは、標準正規分布に従うランダム変数であり、i=1,2,…,nであり、
2)ガウス確率モデルに従ってステップ1)において得られたd
iをセンサ測定データ間の確率意味上のメトリックp
r(Z
i)に書換え、且つセンサ支持度信頼レベルを設定し、これにより異なるセンサ情報の信頼性を判断し、前記p
r(Z
i)を次式で計算し、
【数88】
式において、Z
iは、マルチセンサの測定データであり、εは、信頼レベルであり、Kは、サンプリングサンプル確率区間の変数係数であり、
3)センサ信頼距離に従って、マルチセンサが収集する位置情報信頼性の大きさを判断し、且つ情報信頼性の大きさに基づいて測位データを異なる信頼区間に区分し、
4)k時刻にマルチセンサが収集する測定情報の動的支持度因子β
i(k)とガウス確率測定モデルp
i(k)のノルム方程を構築し、前記β
i(k)を次式で計算し、
【数89】
Frobeniusノルムであり、k=1,2,…,Tであり、i=1,2,…,nであり、
5)ステップ4)において得られたマルチセンサの動的支持度因子β
i(k)に基づいて、システムの測定誤差w
iを計算し、前記w
iを次式で計算し、
w
i=z
i-Aβ
i(k)
式において、Aは、状態遷移行列であり、z
iは、無人船マルチセンサ測位システムの測定値であり、i=1,2,…,nであり、
6)システムの測定誤差w
iの分散を
【数90】
を利用して測定データに対応する信頼因子
【数91】
センサ測定データの信頼因子であり、i=1,2,…,nである、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【請求項3】
マルチセンサデータに対して一致性検査を行うことにより、測位システムが収集する不一致故障データに対して重み付け補償処理を行う前記ステップ(3)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(I)無人船測位システムにより得られたセンサ測定データを算術平均化し、算術平均値
【数92】
式において、x
iは、センサ測定情報であり、i=1,2,…,nであり、
(II)ステップ(I)において求められたセンサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値x
hとを減算し、
(III)システム要求誤差を設定し、センサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値との差分値がシステム要求誤差よりも小さい場合に、マルチセンサ測位システムが収集する無人船位置データが一致性を有し、信頼できるデータであると判定し、差分値がシステム要求誤差よりも大きい場合に、サンプリングデータに対して分散重み付け補償を行い、これにより基本粒子フィルタリングによるデータサンプルのサンプリング需要を満たす必要があり、
(IV)マルチセンサ測定データの算術平均値
【数93】
のオフセットなし推定値として、無人船マルチセンサ測位システムが同一の空間の異なる位置で無人船航行軌跡を測定する時、i番目のセンサシステムの情報測定分散
【数94】
(V)無人船マルチセンサ測位システムが無人船に対してm回の測定を行って記録したデータセットに従って、i番目のセンサのj回目の測定データをx
ijとし、x
ijでステップ(IV)におけるセンサ測定情報x
iを置き換え、これによって複数回の測定によって得られたデータセット情報分散
【数95】
式において、i=1,2,…,nであり、j=1,2,…,mであり、
(VI)ステップ(V)において計算されるマルチセンサが収集する位置情報データセット分散に基づいて、ステップ(III)における不一致故障データの融合重みk
iを定義し、前記k
iを次式で計算し、
【数96】
(VII)求められた融合重みk
iに基づいて、不一致データ
【数97】
に対して重み付け補償を行い、これにより基本粒子フィルタリング処理要求を満たすセンサ測定データ
【数98】
を次式で計算する、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【数99】
【請求項4】
基本粒子フィルタリングアルゴリズムに基づいて、前処理及び検査、補償後のマルチセンサデータに対してそれぞれフィルタリング処理を行う前記ステップ(4)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(i)無人船マルチセンサ測位システムの基本粒子フィルタリングモデルを確立し、一致性検査及び分散重み付け後の無人船位置情報をシステムモデルに代入し、センサシステムの状態及び測定モデルを次式で記述し
【数100】
式において、x
kは、センサシステムのk時刻の位置予測値であり、x
hは、センサの後続サンプリング値であり、
【数101】
は、分散重み付け後のセンサ測定値であり、z
kは、k時刻の無人船位置測定値であり、λ
kは、推定ノイズであり、v
kは、測定ノイズであり、
(ii)粒子セットサンプルの初期化を行い、事前密度p(x
0)からランダムにサンプリングして初期化粒子セット
【数102】
(iii)重要性密度関数からN個の粒子サンプルをランダムに抽出し、
(iv)サンプリング粒子の重み
【数103】
サンプリング粒子の重みであり、i=1,2,…,Nであり、
(v)重要性重みを正規化し、
(vi)基本粒子フィルタリングアルゴリズムにおける有効粒子数N
effを計算し、且つ閾値N
thと比較し、N
eff<N
thの場合に再サンプリングを行い、前記N
effを次式で計算し、
【数104】
(vii)状態を出力し、無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定情報がフィルタリングされた一部の推定
【数105】
をそれぞれ次式で計算する、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【数106】
【請求項5】
ガウス混合モデルを構築する前記ステップ(5)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(a)基本粒子フィルタリングアルゴリズムで処理されたマルチセンサデータセットを抽出し、且つSigma点セット
【数107】
アンセンテッド変換後のSigma点セットであり、n
aは、Sigma点の次元であり、λは、スケールパラメータであり、
(b)得られたSigmaサンプリング点セットに最新測定情報を融合し、且つシステム状態
【数108】
式において、k
kは、カルマン利得であり、z
kは、測定情報であり、
【数109】
は、重み付けSigma点セットにより測定される共分散であり、
(c)ステップ(b)において得られたマルチセンサ測位システム状態
【数110】
且つ構築される提案分布からサンプリングし、
(d)ガウス混合モデルに従って、時間ステップサイズがkの事後確率密度関数
【数111】
ガウス混合モデルにおけるi番目の成分であり、C(k)は、離散サンプルのコンポーネントユニット数であり、ξは、離散点コンポーネント重みであり、
(e)ステップ(c)においてサンプリングされる離散サンプリング点及びそれに対応する重み
【数112】
をステップ(d)のガウス混合成分コンポーネントユニットに融合し、且つ構築される連続的な確率密度関数
【数113】
式において、p(k)は、離散粒子フィルタリング分布の共分散であり、
【数114】
は、離散粒子フィルタリング分布の平均値であり、hは、標準化定数であり、n
xは、粒子分布次元であり、
(f)クラスタリング分析を採用してステップ(e)の連続的な事後確率密度関数
【数115】
におけるガウス混合類似ユニットを統合処理する、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【請求項6】
前記適応閾値を設定するステップ(5)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(g)重要度サンプリング過程を選択した後、離散粒子サンプルセットにおける重みが最大の粒子X
cをクラスタリング中心とし、且つ他の粒子iとその間のマルテンサイト距離D
iを計算し、前記D
iは、下記に示され、
【数116】
粒子iの確率密度であり、Sは、共分散行列であり、
(h)クラスタリングユニットにおける有効粒子サンプル数N
eを計算し、前記N
eを次式で計算し、
【数117】
粒子確率密度共分散であり、
(i)閾値Tを構築し、前記Tは、下記に示され、
【数118】
式において、T
0は、閾値初期値であり、k
eは、割合係数であり、Rは、分類回数であり、
(j)ステップ(h)において得られた有効粒子サンプル数N
eを閾値Tに代入し、適応閾値T
cを構築し、前記T
cは、下記に示され、
【数119】
(k)D
iと適応閾値T
cとを比較し、D
iがT
cよりも小さい場合に、粒子をその確率質量に関連するコンポーネントユニットに入れ、D
iがT
cよりも大きい場合に、この粒子をスキップして、他の粒子をクラスタリングし、
(m)他の粒子サンプルから重みが最大の粒子をクラスタリング中心として選択し、クラスタリングが終了するまでステップ(k)を繰り返し、
(n)クラスタリング後のコンポーネントユニットに従って、構築される粒子セットの連続的な確率密度関数
【数120】
式において、β
iは、類似コンポーネントユニット成分iの確率質量であり、γ
iは、コンポーネントユニット成分iの平均値であり、p
iは、コンポーネントユニット成分iの共分散であり、i=1,2,…,nである、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【請求項7】
信頼因子を階層化サンプリング割合容量に関連づけ、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力する前記ステップ(5)の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(o)階層化理論に基づいて、それぞれの確率密度関数がp(x)の連続的な確率密度関数
【数121】
をl層に分け、且つその確率質量の大きさに従って組層を1組の重み優位層と2組の劣位層に分け、且つそれぞれl
a、l
b、l
cと定義し、
(p)それぞれl
a、l
b、l
c層の粒子数の割合容量をN/4、N/3、N/3とし、
(q)信頼因子を重み最適化組み合わせに代入して計算し、
(r)l
b、l
c層における重みが平均値
【数122】
よりも小さい粒子に対して重み最適化組み合わせを行い、最適化後の粒子の重み
【数123】
を得、且つサンプルデータに対して階層化サンプリングを行い、前記
【数124】
(s)ステップ(r)において得られたマルチセンサデータ融合サンプリング結果を取得し、
(t)ステップ(s)において取得されたデータをサンプリング結果に融合し、無人船に搭載されたブラインドノードからログファイルの形式で出力し、
(u)河川敷に配置されたPC側コーディネータノードが無人船ブラインドノードとネットワーキングすることで、ステップ(u)においてブラインドノードが出力する無人船位置情報をリアルタイムに取得し、それにより無人船航行軌跡の測位を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位航行の技術分野に属し、マルチセンサ情報収集に基づく融合処理技術に関し、特にマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のセンサ情報技術を支えとする知能無人船測位システムの発展と応用は、水面無人船の近海パトロール、水質モニタリング、水産養殖などの分野での発展を推進することができるだけでなく、作業者の作業強度を大幅に軽減し、作業効率を向上させることができる。
【0003】
無人船の効率的で正確な作業を実現するためには、まず得られたセンサ測位情報が水面無人船の位置を正確に感知できるかどうか、すなわち無人船が得られた測位情報を利用してその作業効率と正確性を確保できるかどうかに依存しなければならない。水面無人船の自動ナビゲーション技術の発展に伴い、無人船の測位精度と安定性に対する要求は高まっている。水面や岸辺の複雑な作業環境の影響により、センサ情報が失われて測位が不正確になる可能性がある。そのため、単一のセンサを使用する場合に大きな弊害があり、多種のセンサデータ融合の場合に相補的にそれらの優位性を利用して上記の弊害を効果的に克服し、組み合わせ測位システムの発展傾向となっている。そのため、無人船測位システムのマルチセンサデータ融合アルゴリズムの研究と応用を展開し、アルゴリズムのフォールトトレランス性能の向上に役立ち、さらにマルチセンサデータ融合アルゴリズムによる無人船位置データの高効率フィルタリング処理を実現し、最終的に無人船位置の正確な測位、生産作業効率の向上を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、単一のセンサを使用することによる従来技術の大きな弊害を克服するために、無人船航行軌跡のマルチセンサデータ融合測位に対して、マルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を用いて実現される。
【0006】
マルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法であって、まず無人船マルチセンサ測位システムが収集する測位データを前処理し、そして無人船測位データに対して信頼距離判定を行い且つ対応する信頼因子を割り当て、同時に測位データに対して故障検査及び重み付け補償を行い、そして測位データに対してフィルタリングオーギュメンテーションを行い、最後にデータ融合アルゴリズムを利用してマルチセンサデータ融合フィルタリング出力を行い、それにより無人船航行軌跡の測位を実現する。その具体的なステップは、以下の通りであり、
ステップ1.データ前処理、
無人船マルチセンサ測位システムが収集する無人船測位データを前処理する。
【0007】
ステップ2.データ信頼度判定及び割り当て、
前記データ信頼度判定及び割り当ては、マルチセンサが収集するデータに基づいて信頼度判定且つ信頼因子割り当てを行うことを含む。
【0008】
ステップ3.データ故障検査補償、
前記データ故障検査補償は、マルチセンサデータに対して一致性検査を行うことにより、測位システムが収集する不一致データに対して重み付け補償処理を行うことを含む。
【0009】
ステップ4.データオーギュメンテーション、
前記データオーギュメンテーションは、基本粒子フィルタリングアルゴリズムに基づいて、前処理及び検査、補償後のマルチセンサデータに対してそれぞれフィルタリング処理を行うことを含む。
【0010】
ステップ5.データ融合
前記データ融合は、ガウス混合モデルを構築し、且つ適応閾値及び信頼因子に関連する階層化サンプリング割合容量を設定することで、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを設計し、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力することを含む。
【0011】
さらに、無人船マルチセンサ測位システムが収集する位置データを前処理するステップ1に記載のデータ前処理の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
A)測位システムセンサが収集する無人船航行軌跡経緯度情報に基づいて、それに対して時間的空間的基準の統一を行う。
【0012】
B)無人船が航行する河道に従って、測位システムのマルチノードの有効な接続を満たす通信環境を構築することで、無人船に位置するブラインドノードが送信信号強度と位置座標が既知の4つの信号受信ノードからなるネットワーク内にあるようにし、これによって無人船が河道を航行する時の位置座標を計算して収集する。
【0013】
C)ガウス・クリューガー投影原理に基づいて、マルチセンサ測位システム座標を変換及び統一する。
【0014】
さらに、ステップ2に記載のデータ信頼度判定及び割り当ては、マルチセンサが収集するデータに基づいて信頼度判定を行い且つ信頼因子割り当てを行うことを含み、前記データ信頼度判定の具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
1)無人船測位システムの測定データの測定モデルp
i(x)に従って、センサデータ間の信頼距離d
iを計算し、前記p
i(x)、d
iの計算式は、以下の通りであり、
【数1】
式において、x
iは、i番目のセンサの測定値であり、μは、測定特徴の真値であり、θ
iは、i番目のセンサ情報測定精度であり、σ
iは、i番目のセンサ情報測定誤差であり、
【数2】
のそれぞれは、無人船測位システムマルチセンサがi時刻に収集する測定値であり、
【数3】
測定分散平均値であり、Zは、標準正規分布に従うランダム変数であり、i=1,2,…,nである。
【0015】
2)ガウス確率モデルに従ってステップ1)において得られたd
iをセンサ測定データ間の確率意味上のメトリックp
r(Z
i)に書換え、センサ支持度信頼レベルを設定し、これにより異なるセンサ情報の信頼性を判断し、前記p
r(Z
i)の計算式は、以下の通りであり、
【数4】
式において、Z
iは、無人船マルチセンサ測位システムの測定データであり、εは、信頼レベルであり、Kは、サンプリングサンプル確率区間の変数係数である。
【0016】
3)測定データ間の確率意味上の情報メトリック値の大きさに従って、判定された測位データを異なる信頼区間に区分し、信頼できるデータが信頼度の高い領域に近づくようにし、また、設定された信頼レベルεは、センサ測定分散平均値
【数5】
に対応し、収集する無人船マルチセンサ測位システムの測定データが区間
【数6】
に入る確率を示すために用いられるため、測定情報の分散が異なり、これに応じて、無人船測位情報の信頼区間分類も変化しており、センサ測定分散の大きさに応じて調節することができ、センサ測定データのサンプリング信頼性を向上させる。
【0017】
さらに、ステップ2に記載のデータ信頼度判定及び割り当てにおける、前記データ信頼因子を割り当てることの具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(A)k時刻にマルチセンサが収集する測定情報の動的支持度因子β
i(k)とガウス確率測定モデルp
i(k)のノルム方程を構築し、前記β
i(k)の計算式は、以下の通りであり、
【数7】
Frobeniusノルムであり、k=1,2,…,Tであり、i=1,2,…,nである。
【0018】
(B)ステップ(A)において計算されるマルチセンサ動的支持度因子βi(k)に基づいて、システムの測定誤差wiを計算し、前記wiの計算式は、以下の通りであり、
wi=zi-Aβi(k)
式において、Aは、状態遷移行列であり、ziは、無人船マルチセンサ測位システムの測定値であり、i=1,2,…,nである。
【0019】
(C)システムの測定誤差w
iの分散を
【数8】
を利用して測定情報に対応する信頼因子
【数9】
無人船マルチセンサ測位システムの測定データの信頼因子であり、i=1,2,…,nである。
【0020】
計算される無人船マルチセンサ測定データの信頼性の大きさに従って、それに対して対応する信頼因子を割り当て、且つ信頼因子を新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムに関連づけ、測定データは、信頼度が高いほど、それに対応する融合偏りが高くなり、無人船マルチセンサデータ融合アルゴリズムの処理精度を向上させる。
【0021】
さらに、ステップ3に記載のデータ故障検査補償は、マルチセンサデータに対して一致性検査を行うことにより、測位システムが収集する不一致故障データに対して重み付け補償処理を行うことを含み、前記一致性検査の具体的な内容及び方法は、下記ステップを採用し、
(1)無人船測位システムにより得られたセンサ測定データを算術平均化し、算術平均値
【数10】
式において、x
iは、センサ測定情報であり、i=1,2,…,nであり、
(2)ステップ(1)において求められたセンサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値x
hとを減算し、
(3)システム要求誤差を設定し、センサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値との差分値がシステム要求誤差よりも小さい場合に、マルチセンサ測位システムが収集する無人船位置データが一致性を有し、信頼できるデータであると判定し、差分値がシステム要求誤差よりも大きい場合に、サンプリングデータに対して分散重み付け補償を行い、これにより基本粒子フィルタリングによるデータサンプルのサンプリング需要を満たす必要がある。
【0022】
さらに、ステップ3に記載のデータ故障検査補償における、前記不一致故障データに対して重み付け補償処理を行うことの方法は、具体的に下記ステップを採用し、
(I)無人船マルチセンサ測定データの算術平均値
【数11】
のオフセットなし推定値として、無人船マルチセンサ測位システムが同一の空間の異なる位置で無人船航行軌跡を測定する時、i番目のセンサシステムの情報測定分散
【数12】
(II)無人船マルチセンサ測位システムが無人船に対してm回の測定を行って記録したデータセットに従って、i番目のセンサのj回目の測定データをx
ijとし、x
ijでステップ(I)におけるセンサ測定情報x
iを置き換え、これによって複数回の測定によって得られたデータセット情報分散
【数13】
式において、i=1,2,…,nであり、j=1,2,…,mであり、
(III)ステップ(II)において計算される無人船マルチセンサ測位システムが収集する位置情報データセット分散に基づいて、不一致故障データの融合重みk
iを計算する。前記k
iの計算式は、以下の通りであり、
【数14】
(IV)求められた融合重みk
iに基づいて、不一致故障データ
【数15】
に対して分散重み付け補償を行い、これにより基本粒子フィルタリング処理要求を満たすセンサ測定データ
【数16】
【0023】
さらに、ステップ4に記載のデータオーギュメンテーションは、基本粒子フィルタリングアルゴリズムに基づいて、前処理及び検査、補償後のマルチセンサデータに対してそれぞれフィルタリング処理を行うことを含み、前記データオーギュメンテーションの具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(i)無人船マルチセンサ測位システムの基本粒子フィルタリングモデルを確立し、一致性検査及び分散重み付け後の無人船位置情報をシステムモデルに代入し、センサシステムの状態及び測定モデルを次式で記述し
【数17】
式において、x
kは、センサシステムのk時刻の位置予測値であり、x
hは、センサの後続サンプリング値であり、
【数18】
は、分散重み付け後のセンサ測定値であり、z
kは、k時刻の無人船位置測定値であり、λ
kは、推定ノイズであり、v
kは、測定ノイズであり、
(ii)粒子セットサンプルの初期化を行い、事前密度p(x
0)からランダムにサンプリングして初期化粒子セット
【数19】
(iii)重要性密度関数からN個の粒子サンプルをランダムに抽出し、
(iv)サンプリング粒子の重み
【数20】
サンプリング粒子の重みであり、i=1,2,…,Nであり、
(v)重要性重みを正規化し、
(vi)基本粒子フィルタリングアルゴリズムにおける有効粒子数N
effを計算し、且つ閾値N
thと比較し、N
eff<N
thの場合に再サンプリングを行い、前記N
effを次式で計算し、
【数21】
(vii)状態を出力し、無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定情報がフィルタリングされた一部の推定
【数22】
【0024】
粒子伝播は、無人船マルチセンサ測位システム状態遷移モデル
【数23】
をサンプリングした後、新しい粒子状態X
kを生成する。ここで、x
k-1は前の再サンプリング後の粒子状態であり、Z
kはセンサシステムの検知データである。基本粒子フィルタリングアルゴリズムを用いて無人船マルチセンサ測位システムの測定データにフィルタリング処理を行い、データオーギュメンテーションを実現し、環境ノイズによる測定データの干渉を低減し、無人船マルチセンサ測定データの融合精度を向上させる。
【0025】
さらに、ステップ5に記載のデータ融合は、ガウス混合モデルを構築し、且つ適応閾値及び信頼因子に関連する階層化サンプリング割合容量を設定することで、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを設計し、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力することを含み、前記ガウス混合モデルを構築することの具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(a)基本粒子フィルタリングアルゴリズムで処理されたマルチセンサデータセットを抽出し、且つSigma点セット
【数24】
は、アンセンテッド変換後のSigma点セットであり、n
aは、Sigma点の次元であり、λは、スケールパラメータであり、
(b)得られたSigmaサンプリング点セットに最新測定情報を融合し、且つシステム状態
【数25】
式において、k
kは、カルマン利得であり、z
kは、測定情報であり、
【数26】
は、重み付けSigma点セットにより測定される共分散であり、
(c)ステップ(b)において得られた無人船マルチセンサ測位システム状態
【数27】
を構築し、且つ構築される提案分布からサンプリングし、
(d)ガウス混合モデルに従って、時間ステップサイズがkの事後確率密度関数
【数28】
ガウス混合モデルにおけるi番目の成分であり、C(k)は、離散サンプルのコンポーネントユニット数であり、ξは、離散点コンポーネント重みであり、
(e)ステップ(c)においてサンプリングされる離散サンプリング点及びそれに対応する重み
【数29】
をステップ(d)のガウス混合成分コンポーネントユニットに融合し、且つ構築される連続的な確率密度関数
【数30】
式において、p(k)は、離散粒子フィルタリング分布の共分散であり、
【数31】
は、離散粒子フィルタリング分布の平均値であり、hは、標準化定数であり、n
xは、粒子分布次元であり、
(f)クラスタリング分析を採用してステップ(e)の連続的な事後確率密度関数
【数32】
におけるガウス混合類似ユニットを統合処理する。
【0026】
まず状態を表す事後確率密度関数を、離散粒子で構築される連続的な確率密度関数で表し、そして構築される連続的な確率密度関数をガウス混合分布に近似し、その上に再サンプリングの代わりに粒子サンプルを抽出することで、粒子多様性を維持し、サンプルの欠乏を回避し、フィルタリング融合精度を向上させる。
【0027】
さらに、ステップ5に記載の前記データ融合における、前記適応閾値を設定することの具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
a)重要度サンプリング過程を選択した後、離散粒子サンプルセットにおける重みが最大の粒子x
cをクラスタリング中心とし、且つ他の粒子iとその間のマルテンサイト距離D
iを計算し、前記D
iの計算式は、以下の通りであり、
【数33】
は、粒子iの確率密度であり、Sは、共分散行列であり、
b)クラスタリングユニットにおける有効粒子サンプル数N
eを計算し、前記N
eの計算式は、以下の通りであり、
【数34】
は、粒子確率密度共分散であり、
c)閾値Tを構築し、前記Tの計算式は、以下の通りであり、
【数35】
式において、T
0は、閾値初期値であり、k
eは、割合係数であり、Rは、分類回数であり、
d)ステップb)において得られた有効粒子サンプル数N
eを閾値Tに代入し、適応閾値T
cを構築し、前記T
cの計算式は、以下の通りであり、
【数36】
e)D
iと適応閾値T
cとを比較し、D
iがT
cよりも小さい場合に、粒子をその確率質量に関連するコンポーネントユニットに入れ、D
iがT
cよりも大きい場合に、この粒子をスキップして、他の粒子をクラスタリングし、
f)他の粒子サンプルから重みが最大の粒子をクラスタリング中心として選択し、クラスタリングが終了するまでステップe)を繰り返し、
g)クラスタリング後のコンポーネントユニットに従って、構築される粒子セットの連続的な確率密度関数
【数37】
式において、β
iは、類似コンポーネントユニット成分iの確率質量であり、γ
iは、コンポーネントユニット成分iの平均値であり、p
iは、コンポーネントユニット成分iの共分散であり、i=1,2,…,nである。
【0028】
粒子は、確率密度が高いほど、ステップa)において計算されるDiが小さくなる。適応閾値Tcは、粒子確率密度共分散に正比例するため、ステップe)においてDiと比較したTcはDiの大きさに応じて大きさを調節することができるため、ガウス混合をクラスタリングする時、閾値を絶えず調整して類似ユニットを統合する必要がなく、他の粒子サンプルに対するクラスタリング回数を減少させ、クラスタリング効率を向上させる。なお、構築される適応閾値が粒子確率質量に関連しているため、粒子セットに対して類似ユニットの統合を行う時、閾値の大きさに基づいて、重みの大きさが類似する粒子を1つのコンポーネントユニットにクラスタリングし、同一のコンポーネントユニット内の粒子セットの間の重みの差分値が最小であることを確保し、ステップ(e)において構築される重み付け点セット混合ガウス分布を用いて類似ユニットを統合した後に事後確率密度関数により近似し、再サンプリング過程におけるサンプリング精度を向上させる。
【0029】
さらに、ステップ5に記載のデータ融合における、前記信頼因子を階層化サンプリング割合容量に関連づけ、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力することの具体的な内容及び方法ステップは、以下の通りであり、
(1)階層化理論に基づいて、それぞれの確率密度関数がp(x)の連続的な確率密度関数
【数38】
をl層に分け、且つその確率質量の大きさに従って組層を1組の重み優位層と2組の劣位層に分け、且つそれぞれl
a、l
b、l
cと定義する。
【0030】
(2)それぞれla、lb、lc層の粒子数の割合容量をN/4、N/3、N/3とする。
【0031】
(3)信頼因子を重み最適化組み合わせに代入して計算する。
【0032】
(4)l
b、l
c層における重みが平均値
【数39】
よりも小さい粒子に対して重み最適化組み合わせを行い、最適化後の粒子の重み
【数40】
を得、且つサンプルデータに対して階層化サンプリングを行い、前記
【数41】
(5)ステップ(4)において得られたマルチセンサデータ融合サンプリング結果を取得する。
【0033】
(6)ステップ(5)において取得されたデータ融合サンプリング結果を無人船に搭載されたブラインドノードからログファイルの形式で出力する。
【0034】
(7)河川敷に配置されたPC側コーディネータノードが無人船ブラインドノードとネットワーキングすることで、ステップ(7)においてブラインドノードが出力する無人船位置情報をリアルタイムに取得し、それにより無人船航行軌跡の測位を実現する。
【0035】
構築される重み付け点セットの連続的な確率密度関数のサンプリングサンプルを階層化し、且つ各サンプリング層の割合容量を設定し、階層におけるサンプリング粒子数の割り当てが合理的であることを確保し、そしてla層組をサンプリングし、且つlb、lc層組における粒子の重みに対して最適化組み合わせを行い、その確率質量を増加させ、また無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定データ信頼因子をマルチセンサデータアルゴリズムにおける階層化サンプリングに関連づけ、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを利用して無人船マルチセンサ測定データに対してデータ融合を行う時、信頼因子の大きいセンサ測定値を優先的にサンプリング融合する。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、以下の利点及び有益な効果を有する。
【0037】
(1)本発明では、無人船マルチセンサが収集する測位データを利用して情報補充を行い、環境信号遮断によるセンサ信号紛失の問題を効果的に克服し、センサが収集するデータの有効性を確保する。
【0038】
(2)本発明では、マルチセンサ測位システムが収集する無人船位置情報に対して一致性検査を行い、及び故障データに対して重み付け補償を行うことによって、データ融合アルゴリズムのフォールトトレランス性能を向上させるとともに、基本粒子フィルタリングアルゴリズムによってサンプリングされる粒子セットサンプルの信頼性を確保する。
【0039】
(3)基本粒子フィルタリングによって採用されるモンテカルロ方法に従ってベイズ推定における積分演算を解き、環境ノイズ干渉を除去し、サンプリングサンプルデータセットの処理精度を確保し、さらに無人船マルチセンサ測定データの信頼性を向上させる。
【0040】
(4)本発明では、データ融合アルゴリズムの重要性サンプリング過程において現在の測定情報を粒子セット提案分布に融合し、提案分布を実際の事後確率密度により近づけ、アルゴリズム推定性能を向上させ、また、ガウス混合ユニットのクラスタリング分析において適応閾値を構築し、離散粒子サンプルを類似コンポーネントユニットに統合し、クラスタリング演算の複雑度を下げ、システムの信号処理のリアルタイム性と演算効率を向上させる。
【0041】
(5)本発明では、構築される重み付け点セットの連続的な確率密度関数のサンプリングサンプルを階層化し、且つ各サンプリング層の割合容量を設定し、階層におけるサンプリング粒子数の割り当てが合理的であることを確保し、そしてla層組をサンプリングし、且つlb、lc層組における粒子の重みに対して最適化組み合わせを行い、その確率質量を増加させ、また無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定データ信頼因子をマルチセンサデータアルゴリズムにおける階層化サンプリングに関連づけ、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを利用して無人船マルチセンサ測定データに対してデータ融合を行う時、融合信頼因子の大きいセンサ測定値を優先的にサンプリングし、さらに情報サンプル全体の参照価値を増大させ、最終的にデータ融合アルゴリズムによる無人船位置データの融合測位精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法のフローチャートである。
【
図2】無人船マルチセンサプラットフォームの構築及び前処理の概略図である。
【
図4】一致性検査及び重み付け補償のフローチャートである。
【
図5】基本粒子フィルタリングデータのオーギュメンテーション処理のフローチャートである。
【
図7】ガウス混合モデルを構築するフローチャートである。
【
図8】サンプリング時刻k=30の時のサンプリング粒子の密度分布図である。
【
図9】適応閾値及び信頼因子に関連する階層化サンプリング割合容量を設定するフローチャートである。
【
図10(a)】アルゴリズム比較平均平方根のテスト図である。
【
図10(b)】アルゴリズム比較標準差のテスト図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施例の目的及び技術案をより明確にするために、以下に本発明の実施例の図面に関連して、本発明の実施例の技術案を明確に、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の一部の実施例である。記載された本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得した他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0044】
図1に示すように、本発明のマルチセンサデータ融合に基づく無人船測位方法であって、まず無人船マルチセンサ測位システムが収集する測位データを前処理し、そして無人船測位データに対して信頼距離判定を行い且つ対応する信頼因子を割り当て、同時に測位データに対して故障検査及び重み付け補償を行い、そして測位データに対してフィルタリング処理を行ってデータオーギュメンテーションを実現し、最後に新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを利用してマルチセンサデータ融合フィルタリング出力を行い、それにより無人船航行軌跡の正確な測位を実現する。
【0045】
具体的に下記ステップを採用し、
(1)データ前処理、
(2)データ信頼度判定及び割り当て、
(3)データ故障検査補償、
(4)データオーギュメンテーション、
(5)データ融合。
【0046】
図2に示すように、無人船マルチセンサ測位システムが収集する無人船測位データを前処理することの前記方法は、下記ステップを含む。
【0047】
(A)測位システムセンサが収集する無人船航行軌跡経緯度情報に基づいて、それに対して時間的空間的基準の統一を行う。
【0048】
(B)無人船が航行する河道に従って、測位システムのマルチノードの有効な接続を満たす通信環境を構築することで、無人船に位置するブラインドノードが送信信号強度と位置座標が既知の4つの信号受信ノードからなるネットワーク内にあるようにし、これによって無人船が河道を航行する時の位置座標を計算して収集する。
【0049】
(C)ガウス・クリューガー投影原理に基づいて、マルチセンサ測位システム座標を変換及び統一する。
【0050】
無人船マルチセンサが収集する測位データを利用して情報補充を行い、環境信号遮断によるセンサ信号紛失の問題を効果的に克服し、センサが収集するデータの有効性を確保する。
【0051】
図3に示すように、マルチセンサが収集するデータに基づいて信頼度判定を行い且つ信頼因子割り当てを行うことの前記方法は、下記ステップを含み、
1)測位システムが収集する測定データに従って、マルチセンサ測定モデルp
i(x)を構築し、且つセンサデータ間の信頼距離d
iを計算し、前記p
i(x)、d
i計算は、以下の通りであり、
【数42】
式において、x
iは、i番目のセンサの測定値であり、μは、測定特徴の真値であり、θ
iは、i番目のセンサ情報測定精度であり、σ
iは、i番目のセンサ情報測定誤差である。
【数43】
【0052】
式において、
【数44】
のそれぞれは、マルチセンサがi時刻に収集する測定値であり、
【数45】
測定分散平均値であり、Zは、標準正規分布に従うランダム変数であり、i=1,2,…,nである。
【0053】
2)ガウス確率モデルに従ってステップ1)において得られたd
iをセンサ測定データ間の確率意味上のメトリックp
r(Z
i)に書換え、センサ支持度信頼レベルを設定し、これにより異なるセンサ情報の信頼性を判断し、前記p
r(Z
i)の計算は、以下の通りであり、
【数46】
式において、Z
iは、マルチセンサの測定データであり、εは、信頼レベルであり、Kは、サンプリングサンプル確率区間の変数係数である。
【0054】
3)センサ信頼距離に従ってマルチセンサが収集する位置情報信頼性の大きさを判断し、且つ情報信頼性の大きさに基づいて測位データを異なる信頼区間に区分する。
【0055】
4)k時刻にマルチセンサが収集する測定情報の動的支持度因子β
i(k)とガウス確率測定モデルp
i(k)のノルム方程を構築し、前記β
i(k)の計算は、以下の通りであり、
【数47】
は、Frobeniusノルムであり、k=1,2,…,Tであり、i=1,2,…,nである。
【0056】
5)ステップ(4)において得られたマルチセンサ動的支持度因子βi(k)に基づいて、システムの測定誤差wiを計算し、前記wiの計算は、以下の通りであり、
wi=zi-Aβi(k)
式において、Aは、状態遷移行列であり、ziは、無人船マルチセンサ測位システムの測定値であり、i=1,2,…,nである。
【0057】
6)システムの測定誤差w
iの分散を
【数48】
を利用して測定情報に対応する信頼因子
【数49】
測定データの信頼因子であり、i=1,2,…,nである。
【0058】
測定データ間の確率意味上の情報メトリック値の大きさに従って、判定された測位データを異なる信頼区間に区分し、信頼できるデータが信頼度の高い領域に近づくようにし、また、設定された信頼レベルεは、センサ測定分散平均値
【数50】
に対応し、収集する無人船マルチセンサ測位システムの測定データが
【数51】
に入る確率を示すために用いられるため、測定情報の分散が異なり、これに応じて、無人船測位情報の信頼区間分類も変化しており、センサ測定分散の大きさに応じて調節することができ、センサ測定データのサンプリング信頼性を向上させる。
【0059】
図4に示すように、マルチセンサデータに対して一致性検査を行うことにより、マルチセンサが収集する不一致故障データに対して重み付け補償処理を行うことの前記方法は、下記ステップを含み、
(I)無人船測位システムにより得られたセンサ測定データを算術平均化し、算術平均値
【数52】
式において、x
iは、センサ測定情報であり、i=1,2,…,nであり、
(II)ステップ(I)において求められたセンサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値x
hとを減算し、
(III)システム要求誤差を設定し、センサ測定データの算術平均値と測位システムの後続サンプリング値との差分値がシステム要求誤差よりも小さい場合に、マルチセンサ測位システムが収集する無人船位置データが一致性を有し、信頼できるデータであることが示され、差分値がシステム要求誤差よりも大きい場合に、サンプリングデータに対して分散重み付け補償を行い、これにより基本粒子フィルタリングによるデータサンプルのサンプリング需要を満たす必要があり、
(IV)マルチセンサ測定データの算術平均値
【数53】
のオフセットなし推定値として、無人船マルチセンサ測位システムが同一の空間の異なる位置で無人船航行軌跡を測定する時、i番目のセンサシステムの情報測定分散
【数54】
(V)無人船マルチセンサ測位システムが無人船に対してm回の測定を行って記録したデータセットに従って、i番目のセンサのj回目の測定データをx
ijとし、x
ijでステップ(IV)におけるセンサ測定情報x
iを置き換え、これによって複数回の測定によって得られたデータセット情報分散
【数55】
式において、i=1,2,…,nであり、j=1,2,…,mであり、
(VI)ステップ(V)において計算されるマルチセンサが収集する位置情報データセット分散に基づいて、ステップ(III)における不一致故障データの融合重みk
iを定義する。前記k
iの計算は、以下の通りであり、
【数56】
(VII)求められた融合重みk
iに基づいて、不一致故障データ
【数57】
に対して分散重み付け融合を行い、これにより基本粒子フィルタリング処理要求を満たすセンサ測定データ
【数58】
【0060】
マルチセンサ測位システムが収集する無人船位置情報に対して一致性検査を行い、及び故障データに対して重み付け補償を行うことによって、データ融合アルゴリズムフォールトトレランス性能を向上させるとともに、基本粒子フィルタリングアルゴリズムによってサンプリングされる粒子セットサンプルの信頼性を確保する。
【0061】
図5に示すように、基本粒子フィルタリングアルゴリズムに基づいて、前処理及び検査、補償後のマルチセンサデータに対してそれぞれフィルタリング処理を行う前記方法は、下記ステップを採用し、
(i)無人船マルチセンサ測位システムの基本粒子フィルタリングモデルを確立し、一致性検査及び分散重み付け後の無人船位置情報をシステムモデルに代入し、センサシステムの状態及び測定モデルを次式で記述し
【数59】
式において、x
kは、センサシステムのk時刻の位置予測値であり、x
hは、センサの後続サンプリング値であり、
【数60】
は、分散重み付け後のセンサ測定値であり、z
kは、k時刻の無人船位置測定値であり、λ
kは、推定ノイズであり、v
kは、測定ノイズであり、
(ii)粒子セットサンプルの初期化を行い、事前密度p(x
0)からランダムにサンプリングして初期化粒子セット
【数61】
(iii)重要性密度関数からN個の粒子サンプルをランダムに抽出し、
(iv)サンプリング粒子の重み
【数62】
サンプリング粒子の重みであり、i=1,2,…,Nであり、
(v)重要性重みを正規化し、
(vi)基本粒子フィルタリングアルゴリズムにおける有効粒子数N
effを計算し、且つ閾値N
thと比較し、N
eff<N
thの場合に再サンプリングを行い、前記N
effを次式で計算し、
【数63】
(vii)状態を出力し、無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定情報がフィルタリングされた一部の推定
【数64】
【0062】
粒子伝播は、無人船マルチセンサ測位システム状態遷移モデル
【数65】
をサンプリングした後、新しい粒子状態X
kを生成する。ここで、X
k-1は、前の再サンプリング後の粒子状態であり、Z
kは、センサシステムの検知データである。基本粒子フィルタリングアルゴリズムを用いて無人船マルチセンサ測位システムの測定データにフィルタリング処理を行い、データオーギュメンテーションを実現し、環境ノイズによる測定データの干渉を低減し、サンプリングサンプルデータセットの処理精度を確保し、さらに無人船マルチセンサ測定データの信頼性を向上させる。
【0063】
図6、
図7に示すように、ガウス混合モデルを構築する前記方法は、下記ステップを採用し、
(a)基本粒子フィルタリングアルゴリズムで処理されたマルチセンサデータセットを抽出し、且つSigma点セット
【数66】
アンセンテッド変換後のSigma点セットであり、n
aは、Sigma点の次元であり、λは、スケールパラメータであり、
(b)得られたSigmaサンプリング点セットに最新測定情報を融合し、且つシステム状態
【数67】
式において、k
kは、カルマン利得であり、z
kは、測定情報であり、
【数68】
は、重み付けSigma点セットにより測定される共分散であり、
(c)ステップ(b)において得られたマルチセンサ測位システム状態
【数69】
を構築し、且つ構築される提案分布からサンプリングし、
(d)ガウス混合モデルに従って、時間ステップサイズがkの事後確率密度関数
【数70】
ガウス混合モデルにおけるi番目の成分であり、C(k)は、離散サンプルのコンポーネントユニット数であり、ξは、離散点コンポーネント重みであり、
(e)ステップ(c)においてサンプリングされる離散サンプリング点及びそれに対応する重み
【数71】
をステップ(d)のガウス混合成分コンポーネントユニットに融合し、且つ構築される連続的な確率密度関数
【数72】
式において、p(k)は、離散粒子フィルタリング分布の共分散であり、
【数73】
は、離散粒子フィルタリング分布の平均値であり、hは、標準化定数であり、n
Xは、粒子分布次元であり、
(f)クラスタリング分析を採用してステップ(e)の連続的な事後確率密度関数
【数74】
におけるガウス混合類似ユニットを統合処理する。
【0064】
新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムの重要性サンプリング過程において現在測定情報を粒子セット提案分布に融入し、提案分布を実際の事後確率密度により近づけ、アルゴリズム推定性能を向上させる。
図6から分かるように、構築される重み付けガウス混合分布関数は、各時刻に連続的な多峰正規分布を満たしており、類似するコンポーネントユニットからなる重み付け点セット混合ガウス分布が事後確率密度関数に近いことが示され、また、関数ピーク分布が集中し、粒子サンプルが再サンプリング後の確率分布特性を効果的に表すことが示される。
【0065】
図8、
図9に示すように、適応閾値及び信頼因子に関連する階層化サンプリング割合容量を設定し、さらに無人船航行軌跡測位データに対して融合フィルタリングを行い、無人船航行軌跡測位情報を出力することの前記方法の具体的なステップは、以下の通りであり、
a)重要度サンプリング過程を選択した後、離散粒子サンプルセットにおける重みが最大の粒子X
cをクラスタリング中心とし、且つ他の粒子iとその間のマルテンサイト距離D
iを計算し、前記D
iは、以下に示され、
【数75】
粒子iの確率密度であり、Sは、共分散行列であり、
b)クラスタリングユニットにおける有効粒子サンプル数N
eを計算し、前記N
eの計算は、以下の通りであり、
【数76】
粒子確率密度共分散であり、
c)閾値Tを構築し、前記Tは、以下に示され、
【数77】
式において、T
0は、閾値初期値であり、k
eは、割合係数であり、Rは、分類回数であり、
d)ステップb)において得られた有効粒子サンプル数N
eを閾値Tに代入し、適応閾値T
cを構築し、前記T
cは、以下に示され、
【数78】
e)D
iと適応閾値T
cとを比較し、D
iがT
cよりも小さい場合に、粒子をその確率質量に関連するコンポーネントユニットに入れ、D
iがT
cよりも大きい場合に、この粒子をスキップして、他の粒子をクラスタリングし、
f)他の粒子サンプルから重みが最大の粒子をクラスタリング中心として選択し、クラスタリングが終了するまでステップe)を繰り返し、
g)クラスタリング後のコンポーネントユニットに従って、構築される粒子セットの連続的な確率密度関数
【数79】
式において、β
iは、類似コンポーネントユニット成分iの確率質量であり、γ
iは、コンポーネントユニット成分iの平均値であり、p
iは、コンポーネントユニット成分iの共分散であり、i=1,2,…,nである。
【0066】
h)階層化理論に基づいて、それぞれの確率密度関数がp(x)の連続的な確率密度関数
【数80】
をl層に分け、且つその確率質量の大きさに従って組層を1組の重み優位層と2組の劣位層に分け、且つそれぞれl
a、l
b、l
cと定義する。
【0067】
i)それぞれla、lb、lc層の粒子数の割合容量をN/4、N/3、N/3とする。
【0068】
j)信頼因子を重み最適化組み合わせに代入して計算する。
【0069】
k)l
b、l
c層における重みが平均値
【数81】
よりも小さい粒子に対して重み最適化組み合わせを行い、最適化後の粒子の重み
【数82】
を得、且つサンプルデータに対して階層化サンプリングを行い、前記
【数83】
【0070】
l)ステップ(k)において得られたマルチセンサデータ融合サンプリング結果を取得する。
【0071】
m)ステップ(l)において取得されたデータ融合サンプリング結果を無人船に搭載されたブラインドノードからログファイルの形式で出力する。
【0072】
n)河川敷に配置されたPC側コーディネータノードが無人船ブラインドノードとネットワーキングすることで、ステップ(u)においてブラインドノードが出力する無人船位置情報をリアルタイムに取得し、それにより無人船航行軌跡の測位を実現する。
【0073】
構築される重み付け点セットの連続的な確率密度関数のサンプリングサンプルを階層化し、且つ各サンプリング層の割合容量を設定し、階層におけるサンプリング粒子数の割り当てが合理的であることを確保し、そしてl
a層組をサンプリングし、且つl
b、l
c層組における粒子の重みに対して最適化組み合わせを行い、その確率質量を増加させ、また無人船マルチセンサ測位システムが収集する測定データ信頼因子をマルチセンサデータアルゴリズムにおける階層化サンプリングに関連づけ、新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを利用して無人船マルチセンサ測定データに対してデータ融合を行う時、信頼因子の大きいセンサ測定値を優先的にサンプリング融合することで、情報サンプル全体の参照価値を増大させる。
図8から分かるように、時刻k=30の時、サンプリング点は、連続的な確率密度関数の最値のところに集中し、センサデータ信頼因子を階層化サンプリングに代入して計算することで、連続的な確率密度関数を再サンプリングする時、サンプリング点が確率密度関数値のより大きいところに集中することを確保し、情報サンプル全体の参照価値を増大させ、さらに新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムによる測定データの融合測位精度を確保する。
【0074】
本発明の新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムの最適化性能を検証するために、本明細書ではコンピュータシミュレーションテストシステムモデルに対して、平均平方根誤差RMSE、標準差Stdをめぐって30回の独立テストを行い、且つテスト結果を拡張カルマンフィルタリング(Extended Kalman Filter、EKF)[1]、アンセンテッドカルマンフィルタリング(Unscented Kalman Filter、UKF)[2]、アンセンテッド粒子フィルタリング(Unscented Particle Filter、UPF)[3]及び、基本粒子フィルタリングBPF[4]と比較し、これによりフィルタリングアルゴリズムの改良ステップの有効性を検証する。5つのアルゴリズムのシミュレーション時間ステップサイズk=50であり、タイムインターバルΔt=1であり、比較対象アルゴリズムのパラメータは対応する参考文献から取られる。
【0075】
コンピュータシミュレーションテストモデルを添付:
【数84】
参考文献を添付:
[1]賀軍義,李男男,安▲ウェイ▼▲鵬▼.改良された拡張カルマンフィルタリングアルゴリズム研究[J].予測制御技術,2018,37(12):102-106.
[2]李興佳,李建芬,朱敏ら.アンセンテッドカルマンフィルタリングに基づく測位融合及び検査アルゴリズム研究[J].自動車工事,2021,43(6):825-832.
[3]武斌,田清.改良されたアンセンテッド粒子フィルタリングの室内移動ターゲット測位アルゴリズム[J].センサ及びマイクロシステム,2021,40(3):153-156,160.
[4]高怡,毛艶慧,楊一.人工魚群粒子フィルタリングアルゴリズム[J].現代電子技術,2021,44(16):170-174.
【0076】
表1、
図10(a)、
図10(b)から分かるように、まずRMSE平均値であれ最大値であれ、明細書では、TLPFは、いずれも他の4つのアルゴリズムより小さく、本特許における新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムのフィルタリング精度が最も高いことが示される。これは主に明細書ではガウス混合において適応閾値を構築することで離散粒子をクラスタリングし、且つ劣位層における粒子に対して重み最適化組み合わせを行い、粒子サンプルの多様性を向上させたためである。Std平均値及び最大値から見ると、他の4つのアルゴリズムに比べて、TLPFの値も最小であり、TLPFのフィルタリング安定性も最も良いことが示される。これは主に重要性サンプリング過程における重要性関数の選択のおかげであり、アンセンテッド変換を通じて最新測定データを重要性関数に融合し、粒子サンプルの信頼性を向上させ、及び再サンプリング過程において劣位層における粒子に対して再階層化サンプリング計算を行い、より多くの粒子サンプルをサンプリング過程に代入し、それにより粒子サンプルセットの多様性を確保する。
【0077】
本発明のマルチセンサデータ融合アルゴリズムの最適化性能を検証するために、無人船プラットフォームに基づくマルチセンサシステムアルゴリズムの比較測位テストを展開し、それぞれ試験河道のマルチセンサシステムが収集する100組の測位データを選択し、平均平方根誤差RMSE、標準差Stdを試験テスト結果性能指標として利用し、且つテスト結果を拡張カルマンフィルタリング、アンセンテッドカルマンフィルタリング、アンセンテッド粒子フィルタリング及び基本粒子フィルタリングと比較する。
図4は、各アルゴリズムで無人船航行測位軌跡データに対してフィルタリング融合を行った結果を示す。
【0078】
表2、
図11、
図12から分かるように、無人船がテスト河道を航行する時、木が茂っていて、河道が狭くて細いため、センサ信号伝送に一定の環境摂動影響を与え、各データ融合アルゴリズムのフィルタリング測位結果はいくつかの場所で無人船が航行する実際の経路から深刻にずれ、しかも経路のカーブで測位結果は大きなジャンプが発生しやすく、無人船が航行する実際の軌跡から徐々に逸脱し、測位結果の信頼性を低下させ、時間の推移につれて、測位結果の誤差がますます大きくなっている。しかし、本発明のマルチセンサデータ融合アルゴリズムの測位精度は、いずれのアルゴリズムの融合測位精度よりも高く、これは、主に本発明ではまず一致性検査を通じて、無人船マルチセンサ測定データに対して故障検査を行い、そして不一致データに対して重み付け補償処理を行い、その信頼性を向上させ、基本粒子フィルタリングはデータサンプルに対してデータオーギュメンテーションを行う時、より多くのより信頼性のあるサンプリングサンプルを有し、データ融合アルゴリズムの処理精度とフォールトトレランス性能を向上させ、次に、信頼度検査を通じて無人船マルチセンサ測位システムが収集するデータに対して信頼性検査を行い、且つ信頼距離の大きさに応じて対応する測位データ信頼因子を割り当て、そしてそれを後続のセンサデータ融合アルゴリズムの階層化サンプリング操作ステップに関連づけ、最後に新規閾値階層化粒子フィルタリングアルゴリズムを利用し、ガウス混合の連続的な確率密度関数を構築し、及び適応閾値を設定することによってクラスタリング統合効率を向上させ、データ融合アルゴリズムの測位データ処理に対するリアルタイム性を向上させ、且つ信頼因子を階層化サンプリング重み計算に関連づけ、信頼因子の高い粒子サンプルを優先的にサンプリングし、データ融合アルゴリズムの測位精度を向上させる。本発明のマルチセンサデータ融合アルゴリズムは、他の4つのデータ融合アルゴリズムに比べて、平均測位誤差が47%減少し、無人船航行軌跡に対する測位精度を十分に確保する。
【0079】
【0080】
【0081】
以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ使用され、それに限定されるものではないが、上記の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の具体的な実施例を修正又は均等に置換することができ、本発明の精神及び範囲のいかなる修正又は均等な置換から逸脱することなく、本発明の請求項の保護範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。