(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】煙警報盤及び煙センサ
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20250520BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20250520BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/00 510A
G08B17/10 D
(21)【出願番号】P 2021031737
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹夫
【審査官】弘田 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-363794(JP,A)
【文献】特開2000-011281(JP,A)
【文献】特開平08-124071(JP,A)
【文献】特開2000-163672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 25/00
G08B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移報先に接続される接点を有する移報回路と、
複数の警報レベルの中からユーザにより選択された警報レベルを前記接点に割り当てる割当て部と、
煙センサにより測定された煙の濃度に応じた警報レベルを取得する取得部と、
前記接点に割り当てられた前記警報レベルが前記取得部により取得されると、前記接点の接続状態を切り替えて前記移報先に信号を出力するよう前記移報回路を制御する移報制御部と
を備え
、
前記移報回路は、互いに異なる移報先に接続される第1接点と第2接点とを有し、
前記第1接点には、前記複数の警報レベルに含まれる第1警報レベルが予め割り当てられ、
前記第2接点には、前記割当て部により前記複数の警報レベルのいずれかの警報レベルが割り当てられる
煙警報盤。
【請求項2】
前記第2接点には、前記割当て部により前記第1警報レベルが割り当てられる
請求項1に記載の煙警報盤。
【請求項3】
移報先に接続される接点を有する移報回路と、
複数の警報レベルの中からユーザにより選択された警報レベルを前記接点に割り当てる割当て部と、
周囲の煙の濃度を測定する測定部と、
前記煙の濃度に応じた警報レベルを判定する判定部と、
前記接点に割り当てられた前記警報レベルが前記判定部により判定されると、前記接点の接続状態を切り替えて前記移報先に信号を出力するよう前記移報回路を制御する移報制御部と
を備え
、
前記移報回路は、互いに異なる移報先に接続される第1接点と第2接点とを有し、
前記第1接点には、前記複数の警報レベルに含まれる第1警報レベルが予め割り当てられ、
前記第2接点には、前記割当て部により前記複数の警報レベルのいずれかの警報レベルが割り当てられる
煙センサ。
【請求項4】
前記第2接点には、前記割当て部により前記第1警報レベルが割り当てられる
請求項3に記載の煙センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙警報盤及び煙センサに関する。
【背景技術】
【0002】
火災受信機にオプションの移報接点を設け、この移報接点に移報情報を割り振る技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば接点に火災信号が割り当てられた場合には、火災信号が発生すると、移報先に警報が伝達される。しかし、煙監視システムにおいては、ユーザによって警報の伝達を希望する煙の濃度が異なる場合がある。
【0005】
本発明は、煙センサにより測定された煙の濃度がユーザの所望の警報レベルに達したことを契機に、移報先にこの情報を伝達することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移報先に接続される接点を有する移報回路と、複数の警報レベルの中からユーザにより選択された警報レベルを前記接点に割り当てる割当て部と、煙センサにより測定された煙の濃度に応じた警報レベルを取得する取得部と、前記接点に割り当てられた前記警報レベルが前記取得部により取得されると、前記接点の接続状態を切り替えて前記移報先に信号を出力するよう前記移報回路を制御する移報制御部とを備える煙警報盤を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、煙センサにより測定された煙の濃度がユーザの所望の警報レベルに達したことを契機に、移報先にこの情報を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る煙監視システム10の構成の一例を示す図である。
【
図2】従属型煙センサ100の構成の一例を示す図である。
【
図3】煙警報盤200の構成の一例を示す図である。
【
図5】移報データベース221の一例を示す図である。
【
図6】移報動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図7】変形例に係る独立型煙センサ400の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
構成
図1は、実施形態に係る煙監視システム10の構成の一例を示す図である。煙監視システム10は、サーバー室、データセンター、クリーンルーム等の防火対象物に設置される。煙監視システム10は、防火対象物の環境空気の状態を監視することにより火災の予兆を検知する。このように、火災の予兆を検知することにより、初期段階で迅速に対処することが可能となる。
【0010】
煙監視システム10は、複数の従属型煙センサ100と、煙警報盤200とを備える。煙警報盤200には、信号線300を介して複数の従属型煙センサ100が接続されている。
【0011】
従属型煙センサ100は、通信タイプの煙センサとも呼ばれ、煙警報盤200に従属する煙センサである。ここでいう「従属」とは、煙警報機能の一部を煙警報盤200が担うことをいう。従属型煙センサ100は、周囲の煙を検出し、その検出結果を煙警報盤200に送信する。
【0012】
煙警報盤200は、従属型煙センサ100から煙の検出結果を受信し、この検出結果に応じて警報を出力する装置である。
【0013】
図2は、従属型煙センサ100の構成の一例を示す図である。従属型煙センサ100は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、煙検出部104とを備える。従属型煙センサ100の各部は、バスを介して接続されている。
【0014】
制御部101は、自装置の各部の制御及び各種の処理を行うプロセッサである。制御部101には、例えばCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶部102は、自装置の機能を実現するためのプログラム及び各種のデータを記憶するメモリである。記憶部102には、例えばROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)のうち少なくとも一つが含まれる。通信部103は、自装置を信号線300に接続するための通信インターフェースである。通信部103は、信号線300を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。
【0015】
煙検出部104は、周囲の空気を吸引して煙の濃度を測定する。これにより、煙検出部104は、周囲の空気中に存在する煙を検出する。煙検出部104が測定し得る煙の濃度の範囲は、例えば0.0001%/mから20.0%/mである。煙の検出には、例えば総散乱光方式や二受光方式が用いられる。ただし、煙を検出する方法はこれらの方式に限定されず、他の方式であってもよい。
【0016】
制御部101は、判定部111と、送信部112として機能する。これらの機能は、制御部101が記憶部102に記憶されたプログラムを実行して、制御部101が演算を行い又は従属型煙センサ100の各部を制御することにより実現される。
【0017】
判定部111は、煙検出部104により測定された煙の濃度に応じて、複数の警報レベルのいずれかに該当するか否かを判定する。複数の警報レベルは、例えば「アラーム1」、「アラーム2」、「アラーム3」という三段階の警報レベルである。「アラーム1」は、最も低い警報レベルである。「アラーム2」は、二番目に低い警報レベルである。「アラーム3」は、最も高い警報レベルである。
【0018】
送信部112は、煙検出部104により測定された煙の濃度と、判定部111の判定結果とを煙警報盤200に送信する。
【0019】
図3は、煙警報盤200の構成の一例を示す図である。煙警報盤200は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、操作部204と、表示部205と、移報回路206を備える。煙警報盤200の各部は、バスを介して接続されている。
【0020】
制御部201、記憶部202、及び通信部203は、それぞれ、基本的には
図2に示される制御部101、記憶部102、及び通信部103と同様である。ただし、記憶部202には、煙警報盤200の機能を実現するためのプログラムと、移報データベース221とが記憶される。
【0021】
操作部204は、自装置の操作に用いられる。操作部204には、例えば操作ボタンが含まれる。表示部205は、各種の情報を表示する。表示部205には、例えば7セグメントディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)、及び液晶ディスプレイのうち少なくともいずれかが含まれる。
【0022】
移報回路206は、警報や異常が発生したときに移報先に移報を行う。ここでいう移報とは、移報先に警報を伝達することをいう。
【0023】
図4は、移報回路206の一例を示す図である。移報回路206には、リレー260A~260E(以下、総称して「リレー260」ともいう。)が含まれる。リレー260A~260Cは、それぞれ、コイル261A~261Cと、既定接点262A~262Cとを有する。リレー260D及び260Eは、それぞれ、コイル261D及び261Eと、任意接点262D及び262Eとを有する。なお、以下の説明では、コイル261A~261Eを総称して「コイル261」ともいう。また、既定接点262A~262C及び任意接点262D及び262Eを総称して「接点262」ともいう。
【0024】
コイル261は、電磁力により接点262の接続状態を切り替える。通常時、コイル261には電流が流れていない。
【0025】
接点262には、移報の契機となる信号又は警報レベルが割り当てられる。既定接点262A~262Cには、一般ユーザの選択によらず、予め定められた移報の契機が割り当てられる。一方、任意接点262D及び262Eについては、一般ユーザが自由に移報の契機を選択できるように、初期状態では移報の契機は割り当てられていない。
【0026】
既定接点262A~262C及び任意接点262D及び262Eには、それぞれ、第1端子263A~263E(以下、総称して「第1端子263」ともいう。)と、第2端子264A~264E(以下、総称して「第2端子264」ともいう。)とが含まれる。通常時、第1端子263は閉じ、第2端子264は開いている。一方、接点262に割り当てられた移報の契機が発生し、対になるコイル261に電流が流れると、第1端子263は開き、第2端子264は閉じる。第2端子264が閉じると、第2端子264の両端が導通し、第2端子264の接続先に接点信号が出力される。
【0027】
図5は、移報データベース221の一例を示す図である。移報データベース221は、接点262と、その接点262に割り当てられた移報の契機との対応関係を示す。移報データベース221には、接点識別子と、移報の契機とが含まれる。接点識別子は、接点262を一意に識別する情報である。移報の契機には、警報レベル又は信号が含まれる。各接点識別子には、その接点識別子により識別される接点262に割り当てられた移報の契機が関連付けられる。
【0028】
ここでは、既定接点262A~262Cに、それぞれ、「アラーム1」という警報レベル、「アラーム3」という警報レベル、及び異常信号が割り当てられているものとする。この場合、
図5に示されるように、既定接点262Aの識別子と「アラーム1」という警報レベルとが関連付けて格納される。また、既定接点262Bの識別子と「アラーム3」という警報レベルとが関連付けて格納される。さらに、既定接点262Cの識別子と異常信号とが関連付けて格納される。
【0029】
図3に戻り、制御部201は、割当て部211と、取得部212と、移報制御部213として機能する。これらの機能は、制御部201が記憶部202に記憶されたプログラムを実行して、制御部201が演算を行い又は煙警報盤200の各部を制御することにより実現される。
【0030】
割当て部211は、一般ユーザにより複数の警報レベルの中から選択された警報レベルを任意接点262D及び262Eに割り当てる。
【0031】
取得部212は、各従属型煙センサ100により測定された煙の濃度と、複数の警報レベルのいずれかに該当するか否かの判定結果とを取得する。例えば煙の濃度が複数の警報レベルのいずれかに該当する場合には、この判定結果は該当する警報レベルを示す。
【0032】
移報制御部213は、割当て部211により割り当てられた警報レベルが取得部212により取得されると、任意接点262D又は262Eの接続状態を切り替えて接点信号を出力するよう移報回路206を制御する。
【0033】
動作
初期設定
一般ユーザは、煙警報盤200が設置される前に、予め定められた移報の契機の候補の中から、任意接点262D及び262Eに割り当てる移報の契機を選択することができる。ここでは、移報の契機の候補には、「アラーム1」という警報レベル、「アラーム2」という警報レベル、「アラーム3」という警報レベル、及び異常信号が含まれるものとする。
【0034】
ここで、
図5に示されるように、「アラーム1」及び「アラーム3」という警報レベルは、それぞれ、既定接点262A及び262Bに予め割り当てられている。すなわち、移報の契機の候補には、既定接点262A及び262Bに割り当てられた警報レベルが含まれる。そのため、例えば「アラーム3」という警報レベルを任意接点262D又は262Eに割り当て、既定接点262Bと任意接点262D又は262Eとを互いに異なる移報先に接続すると、「アラーム3」という警報レベルの警報が発生したときに、複数の移報先にこの情報を伝達することができる。「アラーム1」及び「アラーム3」という警報レベルは、本発明に係る「第1警報レベル」の一例である。既定接点262Bは、本発明に係る「第1接点」の一例である。任意接点262D又は262Eは、本発明に係る「第2接点」の一例である。
【0035】
一方、「アラーム2」という警報レベルは、既定接点262A~262Cのいずれにも割り当てられていない。そのため、例えば「アラーム2」という警報レベルを任意接点262D又は262Eに割り当てると、「アラーム2」という警報レベルの警報が発生したときに、移報先にこの情報を伝達することができる。
【0036】
煙警報盤200の製造者は、任意接点262D及び262Eに対して一般ユーザにより選択された移報の契機を示す割当て情報を取得する。そして、製造者は、煙警報盤200に端末装置(図示せず)を接続し、端末装置を用いて、この割当て情報に基づいて一般ユーザにより選択された移報の契機を任意接点262D及び262Eに割り当てる操作を行う。この端末装置は、例えば汎用のコンピュータである。煙警報盤200の割当て部211は、この操作に応じた情報を記憶部202に記憶された移報データベース221に追加することにより、任意接点262D及び262Eに移報の契機を割り当てる。
【0037】
ここでは、一般ユーザにより、任意接点262Dには「アラーム2」という警報レベルが選択され、任意接点262Eには「アラーム3」という警報レベルが選択されたものとする。この場合、
図5に示されるように、任意接点262Dの識別子と「アラーム2」という警報レベルとが関連付けて移報データベース221に追加される。また、
図5に示されるように、任意接点262Eの識別子と「アラーム3」という警報レベルとが関連付けて移報データベース221に追加される。このようにして、任意接点262D及び262Eに移報の契機が割り当てられた後、煙警報盤200が防火対象物に設置される。
【0038】
また、一般ユーザは、各接点262の移報先を決定することができる。移報先には、例えば警告灯、消火設備、防災制御盤、放送設備、警備会社の設備等の外部装置や表示部205が含まれる。ここでは、一般ユーザが、既定接点262A~262C及び任意接点262Dの移報先を第1移報先に決定し、任意接点262Eの移報先を第1移報先とは異なる第2移報先に決定したものとする。この場合、
図4に示されるように、煙警報盤200の設置時に、既定接点262A~262C及び任意接点262Dは信号線310を介して第1移報先に接続される。一方、任意接点262Eは信号線310を介して第2移報先に接続される。
【0039】
移報動作
図6は、移報動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、例えば所定の時間間隔で開始される。ステップS11において、各従属型煙センサ100の煙検出部104は、周囲の煙の濃度を測定する。ステップS12において、各従属型煙センサ100の判定部111は、ステップS11において測定された煙の濃度に応じて複数の警報レベルのいずれかの警報レベルに該当するか否かを判定する。
【0040】
各従属型煙センサ100には、「アラーム1」、「アラーム2」、「アラーム3」という三段階の警報レベルを判定するために、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値が予め設定される。第1閾値、第2閾値、及び第3閾値は、予め煙警報盤200から各従属型煙センサ100に送信され、各従属型煙センサ100の記憶部102に記憶される。第1閾値、第2閾値、及び第3閾値は、例えば0.01%/mから20.0%/mの範囲内で設定される。第1閾値は、三つの閾値の中で最も小さい。第2閾値は、第1閾値より大きく、第3閾値より小さい。第3閾値は、三つの閾値の中で最も大きい。
【0041】
判定部111は、煙検出部104により測定された煙の濃度と、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値とを比較することにより、警報レベルを判定する。例えば判定部111は、煙の濃度が第1閾値以下である場合には、「アラーム1」~「アラーム3」のいずれの警報レベルにも該当しないと判定する。判定部111は、煙の濃度が第1閾値超第2閾値以下である場合には、「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定する。判定部111は、煙の濃度が第2閾値超第3閾値以下である場合には、「アラーム2」という警報レベルに該当すると判定する。判定部111は、煙の濃度が第3閾値超である場合には、「アラーム3」という警報レベルに該当すると判定する。「アラーム1」から「アラーム3」のいずれかの警報レベルに該当すると判定された場合には、該当する警報レベルの警報が発生する。
【0042】
ステップS13において、送信部112は、ステップS11において測定された煙の濃度を送信する。この煙濃度は、アナログ値である。また、送信部112は、ステップS12において「アラーム1」~「アラーム3」のいずれかの警報レベルに該当すると判定された場合には、煙の濃度とともに、該当する警報レベルを示すアラーム情報を送信する。
【0043】
ステップS14において、煙警報盤200の取得部212がこれらの情報を受信すると、移報制御部213は、記憶部202に記憶された移報データベース221を参照して、接点262に割り当てられた移報の契機が発生したか否かを判定する。
【0044】
例えば従属型煙センサ100から受信した情報にアラーム情報が含まれない場合には、複数の警報レベルのいずれにも該当しないことを意味し、接点262に割り当てられた移報の契機が発生していないため(ステップS14の判定がNO)、この処理は終了する。
【0045】
一方、例えば従属型煙センサ100から受信した情報にアラーム情報が含まれ、且つ、このアラーム情報により示される警報レベルが少なくともいずれかの接点262に割り当てられている場合には、移報の契機が発生したため(ステップS14の判定がYES)、処理はステップS15に進む。
【0046】
ステップS15において、煙警報盤200の移報制御部213は、発生した移報の契機が割り当てられた接点262を含むリレー260を作動させる。これにより、このリレー260に含まれる接点262の接続状態が切り替わる。
【0047】
ステップS16において、煙警報盤200の移報回路206は、この接点262が接続されている移報先に接点信号を出力する。移報先は、この接点信号を受信すると、所定の処理を行う。この所定の処理には、例えば音の出力、発光、動作、他の装置の制御、警報表示、又はこれらのうち少なくとも二つの組合せが含まれる。
【0048】
一の例において、ステップS13において或る従属型煙センサ100から「アラーム1」という警報レベルを示すアラーム情報が受信された場合を想定する。
図5に示される移報データベース221では、「アラーム1」という警報レベルが既定接点262Aに割り当てられている。この場合、移報制御部213は、リレー260Aを作動させる信号を移報回路206に供給する。この信号により、リレー260Aに含まれるコイル261Aに電流が流れる。コイル261Aに電流が流れると、既定接点262Aの第2端子264Aが閉じて、第2端子264Aの両端が導通する。これにより、第2端子264Aに接続されている第1移報先に第1接点信号が送信される。この第1接点信号は、「アラーム1」という警報レベルの警報が発生したことを示す。
【0049】
別の例において、ステップS13において或る従属型煙センサ100から「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報が受信された場合を想定する。
図5に示される移報データベース221では、「アラーム2」という警報レベルが任意接点262Dに割り当てられている。この場合、移報制御部213は、リレー260Dを作動させる信号を移報回路206に供給する。この信号により、リレー260Dに含まれるコイル261Dに電流が流れる。コイル261Dに電流が流れると、任意接点262Dの第2端子264Dが閉じて、第2端子264Dの両端が導通する。これにより、第2端子264Dに接続されている第1移報先に第2接点信号が送信される。この第2接点信号は、「アラーム2」という警報レベルの警報が発生したことを示す。
【0050】
さらに別の例において、ステップS13において或る従属型煙センサ100から「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報が受信された場合を想定する。
図5に示される移報データベース221では、「アラーム3」という警報レベルが既定接点262B及び任意接点262Eに割り当てられている。この場合、移報制御部213は、リレー260Bを作動させる信号及びリレー260Eを作動させる信号を移報回路206に供給する。この信号が供給されると、リレー260Bに含まれるコイル261Bとリレー260Eに含まれるコイル261Eとにそれぞれ電流が流れる。コイル261Bに電流が流れると、既定接点262Bの第2端子264Bが閉じて、第2端子264Bの両端が導通する。これにより、第2端子264Bに接続されている第1移報先に第3接点信号が送信される。また、コイル261Eに電流が流れると、任意接点262Eの第2端子264Eが閉じて、第2端子264Eの両端が導通する。これにより、第2端子264Eに接続されている第2移報先に第3接点信号が送信される。この第3接点信号は、「アラーム3」という警報レベルの警報が発生したことを示す。
【0051】
これらの接点信号は、煙の濃度が低下して対応する警報レベルに該当しなくなるか、復旧操作が行われない限り、継続して出力される。そのため、「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報が受信された場合には、第1接点信号と第2接点信号とが両方とも第1移報先に出力されることになる。また、「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報が受信された場合には、第1接点信号、第2接点信号、及び第3接点信号が全て第1移報先に出力されるとともに、第3接点信号が第2移報先に出力されることになる。
【0052】
なお、従属型煙センサ100又は煙警報盤200から異常信号が発せられた場合にも、同様に、異常信号が割り当てられた既定接点262Cを含むリレー260Cが作動され、第1移報先に接点信号が出力される。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、一般ユーザにより選択された警報レベルを任意接点262D及び262Eに割り当てることができるため、従属型煙センサ100により測定された煙の濃度がユーザの所望の警報レベルに達したことを契機に、移報先にこの情報を伝達することができる。また、移報の契機の候補には既定接点262Bに割り当てられている「アラーム3」という警報レベルが含まれるため、任意接点262Eにこの警報レベルを割り当て、既定接点262Bと任意接点262Eとを互いに異なる移報先に接続することにより、従属型煙センサ100により測定された煙の濃度がこの警報レベルに達したときに、複数の移報先にこの情報を伝達することができる。
【0054】
変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。実施形態と変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。同様に、以下の変形例は、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0055】
変形例1
上述した実施形態において、煙監視システム10は、従属型煙センサ100及び煙警報盤200に代えて、又は従属型煙センサ100及び煙警報盤200とともに、独立型煙センサ400を備えてもよい。
【0056】
図7は、この変形例に係る独立型煙センサ400の構成の一例を示す図である。独立型煙センサ400は、制御部401と、記憶部402と、通信部403と、操作部404と、表示部405と、移報回路406と、煙検出部407とを備える。独立型煙センサ400の各部は、バスを介して接続されている。
【0057】
制御部401、記憶部402、及び煙検出部407は、それぞれ、基本的には
図2に示される制御部101、記憶部102、及び煙検出部104と同様である。ただし、記憶部402には、独立型煙センサ400の機能を実現するためのプログラムと、
図5に示される移報データベース221と同様の移報データベース421とが記憶される。煙検出部104は、本発明に係る「測定部」の一例である。
【0058】
操作部404、表示部405、及び移報回路406は、それぞれ、
図3に示される操作部204、表示部205、及び移報回路206と同様である。通信部403は、自装置を信号線300とは異なる信号線に接続するための通信インターフェースである。通信部403は、この信号線を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。
【0059】
制御部401は、割当て部411と、判定部412と、移報制御部413として機能する。これらの機能は、制御部401が記憶部402に記憶されたプログラムを実行して、制御部401が演算を行い又は独立型煙センサ400の各部を制御することにより実現される。
【0060】
割当て部411は、
図3に示される割当て部211と同様に、移報の契機の候補の中から一般ユーザにより選択された移報の契機を移報回路406に含まれる任意接点に割り当てる。移報の契機の候補には、上述した実施形態と同様に、例えば「アラーム1」という警報レベル、「アラーム2」という警報レベル、「アラーム3」という警報レベル、及び異常信号が含まれる。また、移報回路406に含まれる3つの既定接点には、上述した既定接点262A~262Cと同様に、それぞれ、例えば「アラーム1」という警報レベル、「アラーム3」という警報レベル、及び異常信号が予め割り当てられている。すなわち、移報の契機の候補には、既定接点に割り当てられた警報レベルが含まれる。そのため、上述した実施形態のように、例えば「アラーム3」という警報レベルを任意接点に割り当て、「アラーム3」という警報レベルが割り当てられた既定接点及び任意接点を互いに異なる移報先に接続すると、「アラーム3」という警報レベルの警報が発生したときに、複数の移報先にこの情報を伝達することができる。
【0061】
判定部412は、
図2に示される判定部111と同様に、煙検出部407により測定された煙の濃度に応じて複数の警報レベルのいずれかに該当するか否かを判定する。従属型煙センサ100と同様に、独立型煙センサ400にも、「アラーム1」、「アラーム2」、「アラーム3」という三段階の警報レベルを判定するために、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値が予め設定され記憶部402に記憶されている。判定部412は、煙検出部407により測定された煙の濃度と、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値とを比較することにより、警報レベルを判定する。
【0062】
移報制御部413は、
図3に示される移報制御部213と同様に、移報回路406に含まれる接点に割り当てられた移報の契機が発生すると、その接点の接続状態を切り替えて、この接点が接続されている移報先に接点信号を出力するよう移報回路406を制御する。
【0063】
この変形例によれば、独立型煙センサ400により測定された煙の濃度がユーザの所望の警報レベルに達したことを契機に、独立型煙センサ400から移報先にこの情報を伝達することができる。
【0064】
変形例2
上述した実施形態において、移報回路206の構成は
図4に示される例に限定されない。例えばリレー260の接点262は、
図4に示されるc接点に限定されず、a接点又はb接点であってもよい。また、リレー260は、
図4に示される有接点リレーに限定されず、無接点リレーであってもよい。さらに、移報回路206に含まれる既定接点の数は、三つに限定されない。既定接点の数は、三つより少なくてもよいし、多くてもよい。同様に、移報回路206に含まれる任意接点の数は、二つに限定されない。任意接点の数は、二つより少なくてもよいし、多くてもよい。
【0065】
変形例3
上述した実施形態において、接点262が接続される移報先は、
図4に示される例に限定されない。例えば既定接点262A~262C及び任意接点262Dは、それぞれ異なる移報先に接続されてもよい。また、接点262と移報先とは、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0066】
変形例4
上述した実施形態において、警報レベルの段階数は三つに限定されない。警報レベルの段階数は、二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0067】
変形例5
上述した実施形態において、煙監視システム10の構成は上述した例に限定されない。煙監視システム10は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、煙監視システム10の機能を有する主体は、上述した例に限定されない。例えば従属型煙センサ100に代えて煙警報盤200が判定部111を有してもよい。この場合、従属型煙センサ100は、煙検出部104により測定された煙の濃度を煙警報盤200に送信する。煙警報盤200は、従属型煙センサ100から受信した煙の濃度に応じて複数の警報レベルのいずれかに該当するか否かを判定する。
【0068】
変形例6
上述した実施形態において、煙監視システム10の動作は上述した例に限定されない。煙監視システム10の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、煙監視システム10の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0069】
変形例7
本発明の別の形態は、煙監視システム10、従属型煙センサ100、煙警報盤200、及び独立型煙センサ400のうち少なくともいずれかにおいて行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明の更に別の形態は、従属型煙センサ100、煙警報盤200、又は独立型煙センサ400において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10:煙監視システム、100:従属型煙センサ、111:判定部、112:送信部、200:煙警報盤、206:移報回路、211:割当て部、212:取得部、213:移報制御部、260:リレー、261:コイル、262:接点、400:独立型煙センサ、406:移報回路、411:割当て部、412:判定部、413:移報制御部