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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/22 20060101AFI20250520BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20250520BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20250520BHJP
【FI】
F16B39/22 Z
F16B9/02 B
F16B7/18 E
F16B7/18 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021205864
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091228
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2024-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 智
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0240859(US,A1)
【文献】特開2015-117756(JP,A)
【文献】米国特許第02152776(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0237601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/22
F16B 9/02
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方部材と、他方部材と、ボルト・ナットとを備え、
一方部材は、ボルトを回転不能に保持しており、
他方部材は、対向するフィンを有し、対向するフィンは、長手方向に沿って他方部材に一体に設けられており、ボルトの軸方向に弾性変形可能であり、
対向するフィンの先端間の間隔をA、ナットの外周の対向する角部間の間隔をB、ナットの外周の対向する二面間の間隔をCとしたときに、C<A<Bの関係にあり、
ナットがフィン間に架設された状態でフィンがナットの締め付け方向に押されて弾性変形すると共に、ナットの回転によりナットの対向する二面がフィンに対向する状態になる位置でフィンが弾性復帰してナットが対向するフィンの先端間に配置されるものであり、
一方部材及び他方部材にボルトの軸を挿通してナットで止めてあり、ナットが対向するフィンで回り止めされていることを特徴とする構造体。
【請求項2】
一方部材と、他方部材と、フィン部材と、2個以上のボルト・ナットとを備え、
一方部材は、ボルトを回転不能に保持しており、
他方部材は、一方部材の反対側にフィン部材を備え、
フィン部材は、対向するフィンを有し、対向するフィンは、長手方向に設けてあり、ボルトの軸方向に弾性変形可能であり、
2個以上のボルト・ナットは間隔を空けてフィン間に配置されており、
対向するフィンの先端間の間隔をA、ナットの外周の対向する角部間の間隔をB、ナットの外周の対向する二面間の間隔をCとしたときに、C<A<Bの関係にあり、
ナットがフィン間に架設された状態でフィンがナットの締め付け方向に押されて弾性変形すると共に、ナットの回転によりナットの対向する二面がフィンに対向する状態になる位置でフィンが弾性復帰してナットが対向するフィンの先端間に配置されるものであり、
一方部材、他方部材及びフィン部材にボルトの軸を挿通してナットで止めてあり、ナットが対向するフィンで回り止めされていることを特徴とする構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、一方部材と他方部材とをボルト・ナットで止めて、ナットの緩みを防止する場合、ボルトの軸に締め付けたナットを溶接等により固定しており、手間がかかるものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、ナットの緩みを簡単に防止できる構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、一方部材と、他方部材と、ボルト・ナットとを備え、
一方部材は、ボルトを回転不能に保持しており、他方部材は、対向するフィンを有し、対向するフィンは、長手方向に沿って他方部材に一体に設けられており、ボルトの軸方向に弾性変形可能であり、対向するフィンの先端間の間隔をA、ナットの外周の対向する角部間の間隔をB、ナットの外周の対向する二面間の間隔をCとしたときに、C<A<Bの関係にあり、ナットがフィン間に架設された状態でフィンがナットの締め付け方向に押されて弾性変形すると共に、ナットの回転によりナットの対向する二面がフィンに対向する状態になる位置でフィンが弾性復帰してナットが対向するフィンの先端間に配置されるものであり、一方部材及び他方部材にボルトの軸を挿通してナットで止めてあり、ナットが対向するフィンで回り止めされていることを特徴とする構造体である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、一方部材と、他方部材と、フィン部材と、2個以上のボルト・ナットとを備え、一方部材は、ボルトを回転不能に保持しており、他方部材は、一方部材の反対側にフィン部材を備え、フィン部材は、対向するフィンを有し、対向するフィンは、長手方向に設けてあり、ボルトの軸方向に弾性変形可能であり、2個以上のボルト・ナットは間隔を空けてフィン間に配置されており、対向するフィンの先端間の間隔をA、ナットの外周の対向する角部間の間隔をB、ナットの外周の対向する二面間の間隔をCとしたときに、C<A<Bの関係にあり、ナットがフィン間に架設された状態でフィンがナットの締め付け方向に押されて弾性変形すると共に、ナットの回転によりナットの対向する二面がフィンに対向する状態になる位置でフィンが弾性復帰してナットが対向するフィンの先端間に配置されるものであり、一方部材、他方部材及びフィン部材にボルトの軸を挿通してナットで止めてあり、ナットが対向するフィンで回り止めされていることを特徴とする構造体である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1及び2に記載の発明によれば、ナットは、その対向する二面をフィンの先端が対向する位置にすることで、回ろうとすると角部がフィンの先端に当接してナットの回りを止めるから、ナットの緩みを防止することができる。
フィンを弾性変形可能な部材とし、対向するフィンの先端間の間隔を、ナットに対して所定の間隔に設定することで、フィンを押し込みながらナットを締め付ける操作によりナットの緩みを防止できるから、簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)~(f)は第1実施形態に係る構造体をボルト・ナットで組み付ける工程を示す図であり、図2に示すA-A断面を模式的に示す図である。(e-1)は(e)の平面図、(f-1)は(f)の平面図、(g)は一方部材に係合したボルトの頭を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る構造体の斜視図である。
図3図2に示す構造体の分解斜視図である。
図4】第2実施形態に用いるフィン部材の図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図5】第2実施形態に係る構造体の図であり、(a-1)はフィン部材を取り付けた構造体の平面図、(a-2)はフィン部材を取り付けた構造体の側面図である。(b-1)は既設の構造体の平面図、(b-2)は既設の構造体の側面図である。
図6】第3実施形態に係る構造体の図であり、(a-1)はフィン部材を取り付けた構造体の平面図、(a-2)はフィン部材を取り付けた構造体の側面図である。(b-1)は既設の構造体の平面図、(b-2)は既設の構造体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、まず図1図3を参照して第1実施形態について説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る構造体1は、運送パレットであり、一方部材3と、他方部材5と、ボルト7と、ナット9とを備えている。
【0009】
一方部材3は束であり、本実施形態では、同種のものを、2つ間隔をあけて平行に設けて一対としてある。各一方部材3は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材である。
各一方部材3には、小口が四角形の中空を有するパイプ状に形成された本体部3aと、本体部3aの側面から連続して突設する他方部材受け3bとが一体に形成されている。
本体部3aの一側面は、他方部材5を載置する載置壁3cとしてある。
他方部材受け3bは載置壁3cに載置した他方部材5の小口を受けるものであり、本体部3aの長手方向に沿って設けてある。
一方部材3において、載置壁3cと反対側の壁3dには、ボルト7の頭7aを係合するボルト頭係合溝11が形成されている。ボルト頭係合溝11は、一方部材3の長手方向に沿って2つ平行に形成されている。各ボルト頭係合溝11は、ボルト7の頭7aの二面幅(後述する)と略同じ寸法の溝幅を有し、ボルト7を回転不能に保持する(図1(g)参照)。
図3に示すように、載置壁3c及び載置壁3cと反対側の壁3dには、それぞれボルト7の軸7bを挿通する軸挿通孔13が形成されている。
【0010】
他方部材5は、一対の一方部材3間に架設した梁であり、一方部材3間に略平行に多数、本実施例では5つ設けてある。他方部材5は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材である。
他方部材5は、長尺を成しており、図3に一点鎖線で抜き出して示すように、本体部5aと、フィン部5bとを一体に備えている。本体部5aは小口が長方形状矩形であり、一方部材3の載置壁3cに載置される被載置壁5cと、ナット9を受けるナット受け壁5dとが設けてある。
ナット受け壁5dには、受けたナット9の高さを調整するフィラープレート17が設けてある。フィラープレート17は、その厚み寸法で受けるナット9の高さを調整するものであり、他方部材5の長手方向に亘って配置されている。
被載置壁5c、ナット受け壁5d及びフィラープレート17には、それぞれボルト7の軸7bを挿通する軸挿通孔15が形成されている。
【0011】
フィン部5bは、他方部材5の本体部5aに一体に設けてあり、対向するフィン21、21と、各フィン21の立ち上げ部23とが設けてある。各フィン21は、他方部材5の長手方向に亘って帯状に形成されている。
対向するフィン21、21は、それぞれ立ち上げ部23に連続して設けてあり、先端21aが間隔を空けて対向している。
各フィン21は、ボルト7の軸方向に弾性変形可能であり、ナット受け壁5dと略平行な状態から先端21aがナット受け壁5dに近づくように弾性変形し、ナット受け壁5dと平行な状態に弾性復帰可能である(図1(e)(f)参照)。
立ち上げ部23は、フィン21の基端部に設けてあり、本体部5aのナット受け壁5dから立ち上げて設けてあり、フィン21をナット受け壁5dから所定の高さの位置で片持ち支持している。
【0012】
図2に示すように、ナット9は、六角ナットであり、外周に角部9aと、角部9a間に設けた面9bを備えている。
尚、図2では、ボルト7の軸7bは、ナット9から突出した部分を削除してある。
【0013】
ここで、対向するフィン21、21の先端21a、21a間とナット9の寸法関係について説明する。
図1の(e-1)(f-1)示すように、対向するフィン21、21の先端21a、21a間の間隔をA、ナット9の外周の対向する角部9a、9a間の間隔をB、ナット9の外周の対向する二面9b、9b間の間隔をCとしたときに、C<A<Bの関係としてある。
【0014】
次に、本実施形態に係る構造体の組み立てについて説明する。
図2及び図3に示すように、一方部材3、3間に他方部材5を架設する。他方部材5の架設は、他方部材5の小口を対応する一方部材3の他方部材受け3bに当接させて行うことで、位置決めが容易にできる。
次に、ボルト7とナット9で、各一方部材3と他方部材5を固定するが、ボルト7とナット9とは、次のように取り付ける。
【0015】
まず、図1(a)に示すように、一方部材3において、他方部材5の載置壁3cと反対側の壁3dと、載置壁3cの各軸挿通孔13(図3参照)、及び他方部材5の被載置壁5c、ナット受け壁5d及びフィラープレート17の軸挿通孔15に、ボルト7の軸7bを挿通する。そして、ボルト7の軸7bの先端は、対向するフィン21、21の間から突設させる。
図1(g)に示すように、ボルト7の頭7aは、平面視六角形を成しており、六角形の対向する二面を溝壁11a、11aに対向して配置した状態でボルト頭係合溝11に係合して、ボルト7を回転不能にしている。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、ナット9を対向するフィン21の先端21a、21aに架設する。
このとき、ナット9は、フィン21の先端21a、21aから突設したボルト7の軸7bの先端に取り付けて手で回し、フィン21の位置まで螺合することで、フィン21の先端21a、21aに架設する。
その後、図1(c)に示すように、ナット9の締め付け治具25をナット9に被せる。締め付け治具25は、例えば六角レンチであり、六角レンチのソケットをナット9に被せる。
【0017】
次に、図1(d)に矢印で示すように、締め付け治具25を回して、ナット9を回しつつ締め付け治具25で対向するフィン21の先端を他方部材5のナット受け壁5d側に押し付ける。これにより、フィン21の先端21aは、ナット受け壁5dに近づくように、弾性変形する。
そして、図1(e)(e-1)に示すように、ナット9がフィラープレート17に当接したところで、締め付け治具25をナット9から外す。
【0018】
図1(e-1)に示すように、締め付け治具25をナット9から外したときに、ナット9の角部9aが、フィン21の先端21aに位置しているときには、ナット9を約30°締め付ける方向又は緩める方向に回して、図1(f-1)に示すように、ナット9の二面9b、9bをフィン21の先端21aに対向する位置にすることで、図1(f)に示すように、フィン21が弾性復帰して、フィン21が、ナット受け壁5dと略平行になる。
一方、締め付け治具25をナット9から外したときに、図1(f)(f-1)に示すように、ナット9の二面9b、9bが、フィン21の先端21aに対向しているときには、ナット9を締め付けたり、緩める必要がない。
【0019】
第1実施形態の作用効果を説明する。
図2及び図1(f)(f-1)に示すように、ナット9が、その二面9b、9bをフィン21の先端21a、21aに対向する位置にすることで、回ろうとすると角部9aがフィン21の先端21aに当接して回りが規制されるから、ナット9の回りを止めて、ナット9の緩みを防止することができる。
特に、第1実施の形態では、従来技術のような溶接が不要であるから、ナットの回り止めが簡単にできる。
ナット9は、その締め付け時に、締め付け治具25により締め付け方向に回すことで、対向するフィン21、21を弾性変形させながら、ナット9を締め付けできるので、ナット9の締め付け操作をするだけで、同時にフィン21、21の弾性変形を同時に行うことができる。
【0020】
対向するフィン21は他方部材5に設けて、先端21a、21a間の間隔Cを、C<A<Bの関係(図1(e-1)(f-1)参照)となるように、所定の寸法に設定するだけなので、構成が簡易である。
更に、フィン21は、他方部材5に一体成型しているので、別体にする場合に比較して部品点数を増やさないで済む。
対向するフィン21、21は、弾性変形可能な材料で先端21aを対向するように設けるだけであるから、フィン21の曲げ処理等の加工が不要である。
図1(f)に示すように、他方部材5のナット受け壁5dには、フィラープレート17を設けて、締め付け後のナット9の高さを調整しているので、ナット9が対向するフィン21、21間からナット9の高さ方向にずれて配置されるのを防止できる。
また、フィン21、21を他方部材5に押し出し成形する場合には、フィン21、21とナット受け壁5dとの間の寸法が狭すぎると押し出しできない場合があるが、フィン21、21とナット受け壁5dとの間の寸法(立ち上げ部23の寸法)をナット9の高さに対して広目に設定し、フィラープレート17で高さ調整することで、他方部材5の押し出し成形が容易にできる。
【0021】
以下に、本発明の他の実施の形態について説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付して、その部分の詳細な説明を省略し、主に第1実施の形態と異なる点を説明する。
図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図5(a-1)(a-2)に示すように、第2実施形態の構造体1は、支柱29を設置する構造体であり、一方部材3と、他方部材5と、フィン部材31と、ボルト7と、ナット9とを備えている。
この第2実施形態では、一方部材3はコンクリートを打ち込んだ地面であり、ボルト7は、アンカーボルトであり、第1実施形態のような頭はないが、コンクリートに打ち込まれて回転不能に保持されていること及び、他方部材5は、一方部材3の反対側に他方部材5と別体のフィン部材31を備えていることが、第1実施形態と異なっている。
図5(b-1)に示すように、他方部材5は、平面視略正方形を成すベースプレートであり、中央に四角柱形状の支柱29が固定されている。
図5(a-1)に示すように、フィン部材31は、平面視長四角形状であり、他方部材5において、支柱29を挟む位置に2つ設けてある。フィン部材31は、支柱29の側面29aと他方部材5の長辺5eとを対向させて配置してある。
【0022】
図4に示すように、フィン部材31には、他方部材5に載置する載置部31aと、対向するフィン21、21と、載置部31aから各フィン21を立ち上げる立ち上げ部23とが設けてある。
載置部31aには、長手方向の2箇所に間隔をあけてボルト7の軸7b(図5(a-2)参照)を挿通する軸挿通孔32が形成されている。
対向するフィン21は、第1実施形態と同様に、ボルト7の軸7b(図5参照)方向に弾性変形可能である。
また、第2実施形態でもフィン21の先端21a、21a間の間隔Aと、ナット9の角部9a、9a間の間隔Bと、二面9b、9b間の間隔Cの寸法関係は、第1実施形態と同様に、C<A<Bの関係としてある(図1(e-1)(f-1)参照)。
【0023】
この第2実施形態に係る構造体1の組み立ては、例えば、図5(b-1)(b-2)に既設の構造体を示すように、支柱29を固定した他方部材5を一方部材(地面)3にボルト7及びナット9で固定してある場合には、ナット9及びワッシャ33を外す。
その後、図4に示すように、ワッシャ33をフィン部材31のナット受け壁31aで軸挿通孔32に対応する位置に置き、軸挿通孔32及びワッシャ33にボルト7の軸7bを挿通してフィン部材31を他方部材5に載置する。
次に、ナット9をボルト7の軸7bに螺合して対向するフィン21、21間に架設した後(図1(b)参照)、図1(c)(d)で示すのと同様に締め付け治具25でフィン21の先端21aを押し付けながらナット9を回してフィン21を弾性変形させて、図1(e)で示すのと同様に、ナット9を締め付ける。そして、ナット9の角部9a、9aがフィン21の先端21aに対向して位置する場合には、図1(f)で示すのと同様に、ナット9を所定角度回転して対向するフィン21、21の先端にナットの二面9bを対向させて配置させる。尚、第1実施形態と同様に、締め付け治具25をナット9から外したときに、図1(f)(f-1)に示すように、ナット9の二面9b、9bが、フィン21の先端21aに対向しているときには、ナット9を締め付けたり、緩める必要がない。
これにより、第1実施形態と同様にナット9は、対向するフィン21、21間で回り止めされる。
【0024】
この第2実施形態によれば、第1実施形態においてフィン部5bを他方部材5に一体に形成した効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を得ることができると共に、対向するフィン21、21は他方部材5と別体のフィン部材31としているので、他方部材5にフィン部材31を載置することで、他方部材5に対向するフィン21、21を設けることができる。
他方部材5にフィン21、21を一体に形成する必要がないから、他方部材5の加工が容易である。
また、一方部材3と他方部材5とをボルト7にナット9で固定した既設の構造体に、フィン部材31を設けることで、フィン21、21間でボルト7に締め付けたナット9の回り止めをすることができる。
【0025】
次に、図6を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、第2実施形態に対して、フィン部材31の形状が異なっている。即ち、図6(a-1)に示すように、フィン部材31は、平面視正方形状としてある。また、他方部材5は、横断面が四角形状の支柱29の各角部に対応する位置に、平面視略90°の角度を成すリブプレート35、35が設けてあり、リブプレート35で支柱29を支持している。
図6(b-1)に示すように、支柱29の各角部では、他方部材5の角部を形成する2辺5e、5eと、2つのリブプレート35、35で囲まれる平面視正方形の角領域37を形成している。
この第3実施形態では、他方部材5には、平面視正方形の角領域37に平面視正方形のフィン部材31を配置していると共に、各フィン部材31は一つのボルト7を挿通して一つのナット9のみで止めてある。
フィン部材31の取付け及びナット9の取り付け工程は、第2実施形態と同様である。
【0026】
この第3実施形態では、図6(a-1)に示すように、フィン部材31には、一つのボルト7を挿通してそのボルトにナット9を取り付けている為にフィン部材31が回転しようとしても、フィン部材31はその直交する2辺31b、31cをそれぞれリブプレート35、35に当接してその回転が阻止されるから、フィン部材31の回転を防止できる。
【0027】
この第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、角領域37のみにフィン部材31を配置しているので、第2実施形態よりも、フィン部材31の面積を少なくできるからフィン部材31の小型化を図ることができる。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1実施形態において、フィラープレート17は、その厚み部分を他方部材5のナット受け壁5dに肉厚として一体に形成しても良いし、無くても良い。
第1~第3実施形態において、対向するフィン21、21はアルミニウム又はアルミニウム合金製に限らず、鋼材であっても良く、材質は限定されない。
第2及び第3実施形態において、他方部材5は支柱29を固定することに限らず、モータ等の振動を発生する部材を固定するものであっても良い。
第2及び第3実施形態において、フィン部材31は、既設の構造(図5(b-1)(b-2)、図6(b-1)(b-2)に後付けすることに限らず、最初から、図5(a-1)(a-2)又は図6(b-1)(b-2)に示すように、フィン部材31を設けた構造体1としても良い。
請求項1及び2に係る構造体は、運送パレットや支柱の固定構造に限らず、台車、エクステリア製品等の、輸送振動や風圧力を受ける構造体に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 構造体
3 一方部材
5 他方部材
7 ボルト
9 ナット
9a 角部
9b 面
21 フィン
21a フィンの先端
31 フィン部材
A フィンの先端間の間隔
B ナットの角部間の間隔
C ナットの二面間の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6