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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】水処理装置及び水処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20250520BHJP
【FI】
B01D21/01 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023181286
(22)【出願日】2023-10-20
(65)【公開番号】P2024065039
(43)【公開日】2024-05-14
【審査請求日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2022173316
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 京柱
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 英二
(72)【発明者】
【氏名】山口 太秀
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】由佐 考司
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221509(JP,A)
【文献】特開2006-272257(JP,A)
【文献】実開昭55-174915(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第114524557(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00-21/34
C02F 1/52- 1/56
B01F 21/00-25/90
27/00-27/96
29/00-33/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロック形成池において液体を撹拌する水処理装置であって、
間隔を隔てて取り付けられた複数の第1撹拌羽根を支持する第1羽根フレームと、
前記第1羽根フレームを収容する収容フレームと、を有し、
前記収容フレームは、垂直方向に延びる第1ガイド部を有し、
前記第1羽根フレームは、
前記第1ガイド部に沿って垂直方向に摺動し、
前記収容フレーム内に位置する前記液体を前記複数の第1撹拌羽根によって撹拌する、水処理装置。
【請求項2】
さらに、前記第1羽根フレームの上方に設置され、圧縮空気を用いることによって前記第1羽根フレームを垂直方向において摺動させる第1摺動装置を有する、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
さらに、間隔を隔てて取り付けられた複数の第2撹拌羽根を支持する第2羽根フレームを有し、
前記収容フレームは、
前記第2羽根フレームを収容し、
垂直方向に延びる第2ガイド部を有し、
前記第2羽根フレームは、
前記第2ガイド部に沿って垂直方向に摺動し、
前記収容フレーム内の前記液体を前記複数の第2撹拌羽根によって撹拌する、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項4】
さらに、
前記第1羽根フレームと前記第2羽根フレームとを連結する第1連結索と、
前記第1羽根フレーム及び前記第2羽根フレームの上方に固定され、前記第1連結索を垂直下方向から枢動可能に支持することによって、前記第1羽根フレームと前記第2羽根フレームとを吊り下げる1以上の第1回転体と、
前記第1羽根フレーム及び前記第2羽根フレームの上方に設置され、前記第1連結索を前記1以上の第1回転体に対して枢動させることによって、前記第1羽根フレームを垂直上方向に向けて摺動させるとともに前記第2羽根フレームを垂直下方向に向けて摺動させ、また、前記第2羽根フレームを垂直上方向に向けて摺動させるとともに前記第1羽根フレームを垂直下方向に向けて摺動させる第2摺動装置を有する、請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
フロック形成池において液体を撹拌する水処理装置であって、
間隔を隔てて取り付けられた複数の第3撹拌羽根を支持する第3羽根フレームと、
前記第3羽根フレームを収容する第1収容フレームと、
間隔を隔てて取り付けられた複数の第4撹拌羽根を支持する第4羽根フレームと、
前記第4羽根フレームを収容する第2収容フレームと、を有し、
前記第1収容フレームは、垂直方向に延びる第3ガイド部を有し、
前記第3羽根フレームは、
前記第3ガイド部に沿って垂直方向に摺動し、
前記第1収容フレーム内に位置する前記液体を前記複数の第3撹拌羽根によって撹拌し、
前記第2収容フレームは、垂直方向に延びる第4ガイド部を有し、
前記第4羽根フレームは、
前記第4ガイド部に沿って垂直方向に摺動し、
前記第2収容フレーム内に位置する前記液体を前記複数の第4撹拌羽根によって撹拌する、水処理装置。
【請求項6】
さらに、前記第3羽根フレームと前記第4羽根フレームとを連結する第2連結索と、
前記第3羽根フレーム及び前記第4羽根フレームの上方に固定され、前記第2連結索を垂直下方向から枢動可能に支持することによって、前記第3羽根フレームと前記第4羽根フレームとを吊り下げる1以上の第2回転体と、
前記第3羽根フレーム及び前記第4羽根フレームの上方に設置され、前記第2連結索を前記1以上の第2回転体に対して枢動させることによって、前記第3羽根フレームを垂直上方向に向けて摺動させるとともに前記第4羽根フレームを垂直下方向に向けて摺動させ、また、前記第4羽根フレームを垂直上方向に向けて摺動させるとともに前記第3羽根フレームを垂直下方向に向けて摺動させる第3摺動装置を有する、請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水処理装置を備えた水処理システムであって、
さらに、前記液体を貯留する槽を有し、
前記槽内に貯留された前記液体を前記複数の第1撹拌羽根によって撹拌する、水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置及び水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、浄水場では、河川水や井戸水等の原水(以下、被処理液体または単に液体とも呼ぶ)に含まれる浮遊物(SS:Suspended Solids)を除去する水処理システムが用いられる。具体的に、このような水処理システムでは、例えば、凝集剤が添加された被処理液体を撹拌することにより、被処理液体に含まれる浮遊物を凝集させて沈殿除去する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-068232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような水処理システムでは、例えば、設備のメンテナンスに要する作業負担の軽減が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のようなメンテナンスに要する作業負担を軽減するため、本発明における水処理装置は、液体を撹拌する水処理装置であって、1以上の第1撹拌羽根を支持する第1羽根フレームと、前記第1羽根フレームを収容する収容フレームと、を有し、前記収容フレームは、垂直方向に延びる第1ガイド部を有し、前記第1羽根フレームは、前記第1ガイド部に沿って垂直方向に摺動し、前記収容フレーム内に位置する前記液体を前記1以上の第1撹拌羽根によって撹拌する。
【発明の効果】
【0006】
本発明における水処理装置によれば、設備のメンテナンスに要する作業負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成について説明する図である。
図2図2は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の正面図である。
図3図3は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の上面図である。
図4図4は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の側面図である。
図5図5は、第1の実施の形態における水処理装置10の構成について説明する斜視図である。
図6図6は、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動を行う構成について説明する図である。
図7図7は、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動の具体例について説明する図である。
図8図8は、第1の実施の形態における水処理装置40の構成について説明する図である。
図9図9は、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動を行う構成について説明する図である。
図10図10は、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動の具体例について説明する図である。
図11図11は、変形例における水処理装置40の構成について説明する図である。
図12図12は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態についての実験結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[第1の実施の形態における水処理システム1000]
初めに、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における水処理システム1000の構成について説明する図である。
【0010】
水処理システム1000は、例えば、浄水場に設けられる浄水処理システムである。具体的に、水処理システム1000は、図1に示すように、例えば、沈砂池100と、着水井200と、混和池300と、フロック形成池400と、沈殿池500と、濾過池600と、浄水池700と、配水池800と、貯留槽Tと、ポンプPとを有する。
【0011】
沈砂池100は、例えば、被処理液体が最初に流入する槽であり、被処理液体に含まれる土砂等を沈殿除去する槽である。
【0012】
着水井200は、例えば、沈砂池100から供給された被処理液体の供給量を調整して混和池300に供給する槽である。
【0013】
混和池300は、例えば、着水井200から供給された被処理液体に対して凝集剤を注入する槽である。
【0014】
フロック形成池400は、例えば、混和池300から供給された被処理液体を撹拌することによって、混和池300から供給された被処理液体に含まれる懸濁物質を凝集剤により凝集させてフロックを形成する槽である。
【0015】
沈殿池500は、例えば、フロック形成池400から供給された被処理液体に含まれるフロックを沈殿させて被処理液体から分離する槽である。
【0016】
濾過池600は、例えば、砂や砂利等からなる濾過体(図示せず)を用いることによって、沈殿池500から供給された被処理液体の濾過を行う槽である。
【0017】
浄水池700は、例えば、濾過池600から供給された被処理液体(例えば、濾過池600の後段において塩素消毒が行われた後の被処理液体)を一時的に貯留して配水池800に供給する槽である。
【0018】
配水池800は、例えば、浄水池700から供給された被処理液体(処理水)を一時的に貯留して家庭等(図示せず)に供給する。
【0019】
貯留槽Tは、例えば、被処理液体に対して注入する凝集剤を貯留する槽であり、ポンプPに対して凝集剤を供給する。
【0020】
ポンプPは、例えば、貯留槽Tと混和池300とを連通する配管(図示せず)に設けられるポンプである。具体的に、ポンプPは、例えば、水処理システム1000の管理者(以下、単に管理者とも呼ぶ)によって予め決定された注入率に対応する凝集剤を混和池300に供給する。なお、ポンプPは、例えば、着水井200と混和池300とを連通する配管(図示せず)に対して凝集剤を供給するものであってもよい。
【0021】
[第1の実施の形態におけるフロック形成池400]
次に、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の構成例について説明を行う。図2から図4は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の構成について説明する図である。具体的に、図2は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の正面図である。また、図3は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の上面図である。さらに、図4は、第1の実施の形態におけるフロック形成池400の側面図である。
【0022】
フロック形成池400は、図2から図4に示すように、例えば、水処理装置10と、槽20とを有する。
【0023】
槽20は、例えば、混和池300から供給された被処理液体を貯留する槽である。具体的に、槽20は、図2及び図4に示すように、例えば、垂直方向上方(Z1方向側)が開口した槽である。
【0024】
水処理装置10は、例えば、槽20の底部に固定された装置である。そして、水処理装置10は、例えば、1枚以上の撹拌羽根11(以下、第1撹拌羽根11とも呼ぶ)が取り付けられた羽根フレーム12(以下、第1羽根フレーム12とも呼ぶ)と、1枚以上の撹拌羽根13(以下、第2撹拌羽根13とも呼ぶ)が取り付けられた羽根フレーム14(以下、第2羽根フレーム14とも呼ぶ)とを収容する。
【0025】
なお、以下、4台の水処理装置10が槽20内に固定されているものとして説明を行うがこれに限られない。具体的に、槽20内には、例えば、4台以外の台数の水処理装置10が固定されるものであってもよい。すなわち、槽20内には、例えば、槽20のXY平面におけるサイズ(槽20の広さ)等に応じた台数の水処理装置10が固定されるものであってよい。また、以下、羽根フレーム12及び羽根フレーム14(2台の羽根フレーム)が各水処理装置10に収容されるものとして説明を行うがこれに限られない。具体的に、各水処理装置10には、例えば、2台以外の台数の羽根フレームが収容されるものであってもよい。さらに、以下、4枚の撹拌羽根11が各羽根フレーム12に取り付けられており、かつ、4枚の各撹拌羽根13が各羽根フレーム14に取り付けられているものとして説明を行うがこれに限られない。具体的に、各羽根フレーム12及び羽根フレーム14には、例えば、4枚以外の枚数の撹拌羽根が取り付けられるものであってもよい。すなわち、各羽根フレーム12及び羽根フレーム14には、例えば、槽20のZ軸方向におけるサイズ(槽20の深さ)等に応じた枚数の撹拌羽根が取り付けられるものであってよい。
【0026】
具体的に、槽20には、図2及び図3に示すように、例えば、水処理装置10a、水処理装置10b、水処理装置10c及び水処理装置10dがY軸方向に沿って配置される。
【0027】
また、水処理装置10aには、図3及び図4に示すように、例えば、羽根フレーム12a及び羽根フレーム14aがX軸に沿って配置され、水処理装置10bには、例えば、羽根フレーム12b及び羽根フレーム14bがX軸に沿って配置され、水処理装置10cには、例えば、羽根フレーム12c及び羽根フレーム14cがX軸に沿って配置され、水処理装置10dには、例えば、羽根フレーム12d及び羽根フレーム14dがX軸に沿って配置される。
【0028】
さらに、羽根フレーム12aには、図2に示すように、例えば、4枚の撹拌羽根11aがZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられ、羽根フレーム12bには、例えば、4枚の撹拌羽根11bがZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられ、羽根フレーム12cには、例えば、4枚の撹拌羽根11cがZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられ、羽根フレーム12dには、例えば、4枚の撹拌羽根11dがZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられる。また、羽根フレーム14a、羽根フレーム14b、羽根フレーム14c及び羽根フレーム14dのそれぞれには、羽根フレーム12a等の場合と同様に、例えば、4枚の撹拌羽根11(図示せず)がZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられる。
【0029】
そして、フロック形成池400では、後述するように、例えば、各羽根フレーム12及び羽根フレーム14をZ軸方向において上下往復運動させることによって、槽20内の被処理液体を撹拌する。具体的に、フロック形成池400では、例えば、各羽根フレーム12及び羽根フレーム14に取り付けられた各撹拌羽根を上下往復運動させることによって、槽20内の被処理液体を撹拌する。
【0030】
なお、混和池300から供給された被処理液体は、例えば、槽20のX1方向側に設けられた供給口(図示せず)から槽20内に供給されるものであってよい。また、槽20内において撹拌が行われた被処理液体は、例えば、槽20のX2方向側に設けられた排出口(図示せず)から沈殿池500に排出されるものであってよい。
【0031】
[第1の実施の形態における水処理装置10]
次に、第1の実施の形態における水処理装置10の構成について説明を行う。図5は、第1の実施の形態における水処理装置10の構成について説明する図である。具体的に、図5は、第1の実施の形態における水処理装置10の構成について説明する斜視図である。
【0032】
水処理装置10は、図5に示すように、例えば、収容フレーム15を有する。そして、収容フレーム15には、例えば、ガイド部材16(以下、第1ガイド部16とも呼ぶ)と、ガイド部材17(以下、第2ガイド部17とも呼ぶ)とが設けられる。
【0033】
収容フレーム15は、例えば、12本の棒状部材(棒状部材15a、棒状部材15b、棒状部材15c、棒状部材15d、棒状部材15e、棒状部材15f、棒状部材15g、棒状部材15h、棒状部材15i、棒状部材15j、棒状部材15k及び棒状部材15l)によって形成された直方体形状のフレームである。
【0034】
具体的に、収容フレーム15は、例えば、棒状部材15aの端部と棒状部材15bの端部と棒状部材15eの端部とが溶接等によって固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15bの端部と棒状部材15cの端部と棒状部材15fの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15cの端部と棒状部材15dの端部と棒状部材15gの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15aの端部と棒状部材15dの端部と棒状部材15hの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成する。また、収容フレーム15は、例えば、棒状部材15eの端部と棒状部材15iの端部と棒状部材15jの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15fの端部と棒状部材15jの端部と棒状部材15kの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15gの端部と棒状部材15kの端部と棒状部材15lの端部が固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成し、棒状部材15hの端部と棒状部材15iの端部と棒状部材15lの端部とが固定されることで直方体形状の頂点の1つを形成する。
【0035】
すなわち、収容フレーム15は、例えば、各側面が開口した直方体形状を有しており、槽20内に貯留された被処理液体を内部に流入させることが可能な形状を有している。
【0036】
なお、収容フレーム15は、例えば、12本の棒状部材によって立方体形状を形成するものであってもよい。また、収容フレーム15は、強度の確保等を目的として、例えば、他の棒状部材(例えば、両端部が棒状部材15bと棒状部材15dとのそれぞれに固定される他の棒状部材)をさらに有するものであってもよい。
【0037】
羽根フレーム12は、例えば、YZ平面上において延びる中空の矩形形状のフレームである。そして、羽根フレーム42の取り付けられる各撹拌羽根11は、例えば、矩形の板状部材であり、羽根フレーム12の中空空間において長手方向がY軸に沿うように取り付けられる。具体的に、各撹拌羽根11は、例えば、長手方向の一端部(Y1方向側の端部)が羽根フレーム12のY1方向側の側壁に取り付けられ、かつ、長手方向の他端部(Y2方向側の端部)が羽根フレーム12のY2方向側の側壁に取り付けられる。
【0038】
なお、図5に示す羽根フレーム12は、下端部(Z2方向側の端部)が開口しているがこれに限られない。具体的に、羽根フレーム12は、例えば、下端部が開口しない形状を有するものであってもよい。また、図5に示す例における各撹拌羽根11は、羽根フレーム12の中空空間における下部側(Z2方向側)に取り付けられているがこれに限られない。具体的に、各撹拌羽根11は、例えば、羽根フレーム12の中空空間における上部側(Z1方向側)に取り付けられるものであってもよい。
【0039】
また、図5に示す各撹拌羽根11は、羽根フレーム12の側壁(Y1方向側の側壁及びY2方向側の側壁)に取り付けられているがこれに限られない。具体的に、各撹拌羽根11は、例えば、収容フレーム15(例えば、棒状部材15i、棒状部材15j、棒状部材15k及び棒状部材15lのうちの少なくともいずれか)に取り付けられた固定部材(図示せず)によって下方側(Z2方向側)から固定(支持)されることによって、被処理液体の水流を妨げる邪魔板として機能するものであってもよい。そして、固定部材は、この場合、例えば、各撹拌羽根11における長手方向(Y軸方向)の中央付近において各撹拌羽根11を下方から固定するものであってもよい。また、各撹拌羽根11は、例えば、収容フレーム15(例えば、棒状部材15a、棒状部材15b、棒状部材15c及び棒状部材15dのうちの少なくともいずれか)に取り付けられた固定部材(図示せず)によって上方側(Z1方向側)から固定されることによって、被処理液体の水流を妨げる邪魔板として機能するものであってもよい。そして、固定部材は、この場合、例えば、各撹拌羽根11における長手方向(Y軸方向)の中央付近において各撹拌羽根11を上方から固定するものであってもよい。
【0040】
羽根フレーム14は、羽根フレーム12と同様に、例えば、中空の矩形形状のフレームである。そして、各撹拌羽根13は、各撹拌羽根11と同様に、例えば、矩形の板状部材であり、羽根フレーム14の中空空間において長手方向がY軸に沿うように取り付けられる。具体的に、各撹拌羽根13は、例えば、長手方向の一端部(Y1方向側の端部)が羽根フレーム14のY1方向側の側壁に取り付けられ、かつ、長手方向の他端部(Y2方向側の端部)が羽根フレーム14のY2方向側の側壁に取り付けられる。
【0041】
なお、図5に示す羽根フレーム14は、下端部(Z2方向側の端部)が開口しているがこれに限られない。具体的に、羽根フレーム14は、例えば、下端部が開口しない形状を有するものであってもよい。また、各撹拌羽根13は、図5に示すように、例えば、羽根フレーム14の中空空間における下部側(Z2方向側)に取り付けられるものであってもよい。
【0042】
また、図5に示す各撹拌羽根13は、羽根フレーム14の側壁(Y1方向側の側壁及びY2方向側の側壁)に取り付けられているがこれに限られない。具体的に、各撹拌羽根13は、例えば、収容フレーム15(例えば、棒状部材15i、棒状部材15j、棒状部材15k及び棒状部材15lのうちの少なくともいずれか)に取り付けられた固定部材(図示せず)によって下方側(Z2方向側)から固定(支持)されることによって、被処理液体の水流を妨げる邪魔板として機能するものであってもよい。そして、固定部材は、この場合、例えば、各撹拌羽根13における長手方向(Y軸方向)の中央付近において各撹拌羽根13を下方から固定するものであってもよい。また、各撹拌羽根13は、例えば、収容フレーム15(例えば、棒状部材15a、棒状部材15b、棒状部材15c及び棒状部材15dのうちの少なくともいずれか)に取り付けられた固定部材(図示せず)によって上方側(Z1方向側)から固定されることによって、被処理液体の水流を妨げる邪魔板として機能するものであってもよい。そして、固定部材は、この場合、例えば、各撹拌羽根13における長手方向(Y軸方向)の中央付近において各撹拌羽根13を上方から固定するものであってもよい。
【0043】
ガイド部材16は、例えば、ガイド部材16aとガイド部材16bとを含み、羽根フレーム12をZ軸方向(垂直方向)において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側(水平方向)から支持(挟持)する。
【0044】
具体的に、ガイド部材16aは、図5に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材15bに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材15jに固定される部材である。すなわち、ガイド部材16aは、例えば、収容フレーム15におけるY2方向側の側面に設けられる部材である。そして、ガイド部材16aは、例えば、両端部付近の2か所が湾曲(屈曲)することによって中央の棒状部分(以下、ガイド部材16aにおける棒状部分とも呼ぶ)がY1方向側に張り出す形状を有している。さらに、ガイド部材16aにおける棒状部分は、例えば、Z軸方向(すなわち、羽根フレーム12が摺動する方向)に沿って延びる形状を有している。
【0045】
また、ガイド部材16bは、図5に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材15dに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材15lに固定される部材である。すなわち、ガイド部材16bは、例えば、収容フレーム15におけるY1方向側の側面に設けられる部材である。そして、ガイド部材16bは、例えば、両端部付近の2か所が湾曲(屈曲)することによって中央の棒状部分(以下、ガイド部材16bにおける棒状部分とも呼ぶ)がY2方向側に張り出す形状を有している。さらに、ガイド部材16bにおける棒状部分は、ガイド部材16aにおける棒状部分と同様に、例えば、Z軸方向に沿って延びる形状を有している。
【0046】
そして、ガイド部材16aにおける棒状部材は、例えば、羽根フレーム12のY2方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。また、ガイド部材16bにおける棒状部材は、例えば、羽根フレーム12のY1方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。すなわち、ガイド部材16は、例えば、羽根フレーム12をZ軸方向において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側から挟持する。
【0047】
具体的に、羽根フレーム12は、例えば、Y2方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材16aにおける棒状部分を嵌合させ、かつ、Y1方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材16bにおける棒状部分を嵌合させた状態でZ軸方向に沿って摺動する。
【0048】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12(羽根フレーム12に設けられた各撹拌羽根11)の上下往復運動が行われる位置を安定させることが可能になる。そのため、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動に伴う被処理液体の動きを制御することが可能になり、被処理液体の撹拌を効率的に行うことが可能になる。さらに、管理者は、例えば、羽根フレーム12における撹拌羽根11の枚数や取り付け角度(撹拌羽根11の短手方向の向き)等を調整することによって、被処理液体の撹拌をより効率的に行うことが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の大きさや形状を適宜変更することが可能であるとともに、撹拌羽根11及び撹拌羽根13の取り付け枚数や取り付け間隔を適宜変更することが可能である。そのため、水処理装置10では、例えば、槽20内の深さや槽20内における被処理液体の水位に応じて、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の大きさ等(例えば、Z軸方向における長さ)や、撹拌羽根11及び撹拌羽根13の取り付け枚数等を変更することが可能になる。したがって、水処理装置10では、例えば、槽20内の深さや槽20内における被処理液体の水位によらず、槽20内の被処理液体の撹拌を十分に行うことが可能になる。
【0050】
なお、水処理装置10は、例えば、羽根フレーム12における各撹拌羽根11の取り付け角度(撹拌羽根11の短手方向の向き)や羽根フレーム14における各撹拌羽根13の取り付け角度(撹拌羽根13の短手方向の向き)を調整可能な調整装置(図示せず)をさらに有するものであってもよい。羽根フレーム12をZ軸方向において摺動させるための他の構成についての説明は後述する。
【0051】
図5に戻り、ガイド部材17は、例えば、ガイド部材17aとガイド部材17とを含み、羽根フレーム14をZ軸方向(垂直方向)において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側(水平方向)から支持(挟持)する。
【0052】
具体的に、ガイド部材17aは、図5に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材15bに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材15jに固定される部材である。すなわち、ガイド部材17aは、例えば、ガイド部材16aと同様に、収容フレーム15におけるY2方向側の側面に設けられる部材である。そして、ガイド部材17aは、例えば、両端部付近の2か所が湾曲(屈曲)することによって中央の棒状部分(以下、ガイド部材17aにおける棒状部分とも呼ぶ)がY1方向側に張り出す形状を有している。さらに、ガイド部材17aにおける棒状部分は、例えば、Z軸方向(すなわち、羽根フレーム14が摺動する方向)に沿って延びる形状を有している。
【0053】
また、ガイド部材17bは、図5に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材15dに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材15lに固定される部材である。すなわち、ガイド部材17bは、例えば、ガイド部材16bと同様に、収容フレーム15におけるY1方向側の側面に設けられる部材である。そして、ガイド部材17bは、例えば、両端部付近の2か所が湾曲(屈曲)することによって中央の棒状部分(以下、ガイド部材17bにおける棒状部分とも呼ぶ)がY2方向側に張り出す形状を有している。さらに、ガイド部材17bにおける棒状部分は、ガイド部材17aにおける棒状部分と同様に、例えば、Z軸方向に沿って延びる形状を有している。
【0054】
そして、ガイド部材17aにおける棒状部材は、例えば、羽根フレーム14のY2方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。また、ガイド部材17bにおける棒状部材は、例えば、羽根フレーム14のY1方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。すなわち、ガイド部材17は、例えば、羽根フレーム14をZ軸方向において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側から挟持する。
【0055】
具体的に、羽根フレーム14は、例えば、Y2方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材17aにおける棒状部分を嵌合させ、かつ、Y1方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材17bにおける棒状部分を嵌合させた状態でZ軸方向に沿って摺動する。
【0056】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12における場合と同様に、羽根フレーム14(羽根フレーム14に設けられた各撹拌羽根13)の上下往復運動が行われる位置を安定させることが可能になる。そのため、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム14の上下往復運動に伴う被処理液体の動きを制御することが可能なり、被処理液体の撹拌を効率的に行うことが可能になる。さらに、管理者は、例えば、羽根フレーム14における撹拌羽根13の枚数や取り付け角度(撹拌羽根13の短手方向の向き)等を調整することによって、被処理液体の撹拌をより効率的に行うことが可能になる。なお、羽根フレーム14をZ軸方向において摺動させるための他の構成についての説明は後述する。
【0057】
さらに、本実施の形態における水処理装置10では、羽根フレーム12と羽根フレーム14とをそれぞれ有することで、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動を行うタイミングと羽根フレーム14の上下往復運動を行うタイミングとを連動させることが可能になる。そのため、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動に伴う被処理液体の動きをより精度良く制御することが可能になる。
【0058】
また、本実施の形態における水処理装置10は、羽根フレーム12及び羽根フレーム14が収容されたユニット構造を有している。そのため、管理者は、例えば、工場等で組み立てが行われた水処理装置10をトラック等の輸送手段でフロック形成池400まで輸送し、輸送された水処理装置10をフロック形成池400に設置することが可能になる。
【0059】
これにより、管理者は、例えば、水処理装置10の設置場所(フロック形成池400)における設置作業に伴う負荷を抑制することが可能になり、水処理装置10の設置を効率的に行うことが可能になる。
【0060】
具体的に、管理者は、例えば、羽根フレーム12がガイド部材16に挟持され、かつ、羽根フレーム14がガイド部材17に挟持された状態の水処理装置10を工場等で製造することが可能になる。そのため、管理者は、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動が行われる位置の調整等の作業をフロック形成池400において行う必要がなくなり、水処理装置10の設置を効率的に行うことが可能になる。
【0061】
[羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動を行う構成]
次に、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動を行う構成について説明を行う。図6は、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動を行う構成について説明する図である。
【0062】
羽根フレーム12の上端部(Z1方向側の端部)には、図6に示すように、例えば、羽根フレーム12を垂直上方向側(Z1方向側)から吊り上げる索31(以下、索31aとも呼ぶ)が取り付けられる。また、羽根フレーム14の上端部(Z1方向側の端部)には、例えば、羽根フレーム14を垂直上方向側(Z1方向側)から吊り上げる索31(以下、索31bとも呼ぶ)が取り付けられる。
【0063】
そして、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の垂直方向上方(Z1方向側)には、例えば、索31a及び索31bの引き上げ(Z1方向に向けた摺動)及び引き下げ(Z2方向に向けた摺動)を行う摺動装置32が配置される。摺動装置32は、例えば、垂直方向上方(Z1方向側)から索31aの引き上げ及び引き下げを行うことにより、索31aによって吊り下げられた状態の羽根フレーム12を垂直方向(Z軸方向)において摺動させる。また、摺動装置32は、例えば、垂直方向上方(Z1方向側)から索31bの引き上げ及び引き下げを行うことにより、索31bによって吊り下げられた状態の羽根フレーム14を垂直方向(Z軸方向)において摺動させる。
【0064】
具体的に、摺動装置32は、例えば、コンプレッサ(図示せず)から供給された圧縮空気を用いて索31a及び索31bの引き上げ及び引き下げを行うエアシリンダ等の装置(以下、第1摺動装置32とも呼ぶ)であってよい。また、摺動装置32は、例えば、電力によって索31a及び索31bの引き上げ及び引き下げを行うモータ等の装置(以下、第2摺動装置32とも呼ぶ)であってもよい。なお、摺動装置32は、例えば、索31aの引き上げ及び引き下げを行う摺動装置と、索31bの引き上げ及び引き下げを行う摺動装置とのそれぞれを別個に含むものであってもよい。
【0065】
すなわち、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14を垂直方向上方(Z1方向側)から吊り下げた状態で摺動させることによって、槽20内の被処理液体を撹拌する。そのため、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動を行うための設備(摺動装置32)を槽20内における被処理液体の水位よりも高い位置に設置することが可能になる。
【0066】
この点、例えば、撹拌羽根が取り付けられた回転軸を回転させることによって被処理液体を撹拌する水処理装置(以下、比較例における水処理装置とも呼ぶ)では、回転軸を支える軸受等の設備を被処理液体の水位よりも低い位置(言い換えれば、被処理液体に浸かる位置)に設置する必要がある。そのため、比較例における水処理装置では、例えば、被処理液体の撹拌を行うために必要な設備のメンテナンスを行う際に、槽内に貯留された被処理液体を抜く必要があり、設備のメンテナンスに伴う作業負荷が増大する。
【0067】
これに対し、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、摺動装置32を槽20内における被処理液体の水位よりも高い位置に設置することが可能であるため、摺動装置32のメンテナンスを行う場合であっても、槽20内の被処理液体を抜く必要がなくなる。したがって、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、摺動装置32のメンテナンスに伴う作業負荷を抑制することが可能になる。
【0068】
なお、摺動装置32は、例えば、収容フレーム15の上端部(Z1方向側の端部)に固定されるものであってよい。具体的に、摺動装置32は、例えば、図5で説明した棒状部材15a及び棒状部材15cに掛け渡された板状部材(図示せず)や複数本の棒状部材(図示せず)に固定されるものであってよい。また、摺動装置32は、例えば、図5で説明した棒状部材15b及び棒状部材15dに掛け渡された板状部材(図示せず)や複数本の棒状部材(図示せず)に固定されるものであってもよい。
【0069】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、摺動装置32の取り付けについても工場等で行うことが可能になる。そのため、管理者は、例えば、摺動装置32の設置に伴う作業(例えば、摺動装置32の設置位置の調整等)をフロック形成池400において行う必要がなくなり、水処理装置10の設置をより効率的に行うことが可能になる。
【0070】
[羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動の具体例]
次に、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動の具体例について説明を行う。図7は、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動の具体例について説明する図である。以下、摺動装置32がエアシリンダ32aである場合について説明を行う。
【0071】
図7(A)に示す例において、索31は、例えば、羽根フレーム12の上端部(Z1方向側の端部)と羽根フレーム14の上端部(Z1方向側の端部)とを連結する連結索である。以下、索31を連結索31または第1連結索31とも呼ぶ。そして、索31は、例えば、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の垂直方向上方(Z1方向側)に固定された回転体33a及び回転体33bに掛け渡されることによって、羽根フレーム12と羽根フレーム14とを吊り上げた状態で維持する。すなわち、回転体33a及び回転体33bのそれぞれは、例えば、索31を垂直下方向側(Z2方向側)から枢動可能に支持する。以下、回転体33aと回転体33bとを総称して単に回転体33または第1回転体33とも呼ぶ。
【0072】
具体的に、回転体33a及び回転体33bのそれぞれは、例えば、図5で説明した棒状部材15a及び棒状部材15cに掛け渡された複数本の棒状部材に固定されるものであってよい。また、回転体33a及び回転体33bのそれぞれは、例えば、図5で説明した棒状部材15b及び棒状部材15dに掛け渡された複数本の棒状部材に固定されるものであってもよい。
【0073】
また、エアシリンダ32aは、例えば、エアシリンダ本体32a1と、ロッド部材32a2とを有する。そして、ロッド部材32a2には、図7に示すように、例えば、エアシリンダ本体32a1側の端部(X1方向側の端部)において、エアシリンダ本体32a1の内部を摺動可能なピストン部材32a3が取り付けられている。以下、エアシリンダ本体32a1の内部空間のうち、ピストン部材32a3よりもX1方向側の空間を第1空間とも呼ぶ。また、以下、エアシリンダ本体32a1の内部の空間のうち、ピストン部材32a3よりもX2方向側の空間を第2空間とも呼ぶ。
【0074】
そして、エアシリンダ32aでは、例えば、コンプレッサ(図示せず)から第1空間に対する圧縮空気の供給(第2空間からの圧縮空気の排出)に伴って、ピストン部材32a3がX2方向側に摺動し、ロッド部材32a2がX2方向側に移動する。また、エアシリンダ32aでは、例えば、コンプレッサから第2空間に対する圧縮空気の供給(第1空間からの圧縮空気の排出)に伴って、ピストン部材32a3がX1方向側に摺動し、ロッド部材32a2がX1方向側に移動する。
【0075】
ここで、図7(A)に示す例において、ロッド部材32a2は、例えば、固定部材34を介して索31の所定箇所に固定される。言い換えれば、固定部材34は、例えば、ロッド部材32a2と索31の所定箇所とのそれぞれに対して固定される。なお、固定部材34は、例えば、索31の所定箇所を咬持することによって索31の所定箇所に固定されるものであってよい。また、ここでの所定箇所は、例えば、索31が回転体33aに巻回する位置と回転体33bに巻回する位置との間の箇所であってよい。
【0076】
そして、ロッド部材32a2は、コンプレッサから第1空間に対して圧縮空気が供給された場合、図7(B)に示すように、例えば、X2方向側に移動するとともに固定部材34をX2方向側に移動させ、さらに、索31をX2方向側に向けて移動させる。
【0077】
これにより、エアシリンダ32aは、図7(B)に示すように、例えば、索31のX1方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム12を引き上げるとともに、索31のX2方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム14を引き下げることが可能になる。具体的に、エアシリンダ32aは、例えば、X2方向側に向けて索31を移動させた長さだけ、羽根フレーム12を引き上げるとともに羽根フレーム14を引き下げることが可能になる。
【0078】
また、ロッド部材32a2は、コンプレッサから第2空間に対した圧縮空気が供給された場合、図7(C)に示すように、例えば、X1方向側に移動するとともに固定部材34をX1方向側に移動させ、さらに、索31をX1方向側に向けて移動させる。
【0079】
これにより、エアシリンダ32aは、図7(C)に示すように、例えば、索31のX1方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム12を引き下げるとともに、索31のX2方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム14を引き上げることが可能になる。具体的に、エアシリンダ32aは、例えば、X1方向側に向けて索31を移動させた長さだけ、羽根フレーム12を引き下げるとともに羽根フレーム14を引き上げることが可能になる。
【0080】
すなわち、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12と羽根フレーム14とを連結した索31によって羽根フレーム12及び羽根フレーム14を吊り下げることで、索31のX軸方向における移動を行うことによって羽根フレーム12の上下往復運動と羽根フレーム14の上下往復運動とを併せて行うことが可能になる。そのため、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動と羽根フレーム14の上下往復運動とを個別に行う場合と比較して、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動に要するエネルギーを抑制することが可能になる。言い換えれば、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動を行うエアシリンダと羽根フレーム14の上下往復運動を行うエアシリンダとをそれぞれ用意し、かつ、これらのエアシリンダの加圧(減圧)を別個に行う場合と比較して、単一のエアシリンダ32aの加圧(減圧)によって羽根フレーム12の上下往復運動及び羽根フレーム14の上下往復運動を併せて行うことが可能になるため、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動に要するエネルギーを抑制することが可能になる。
【0081】
また、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の引き上げを行うタイミングにおいて羽根フレーム14の引き下げを行い、かつ、羽根フレーム12の引き下げを行うタイミングにおいて羽根フレーム14の引き上げを行うことで、槽20内において被処理液体の旋回流(XZ平面上における旋回流)を発生させることが可能になる。さらに、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の引き上げ(羽根フレーム14の引き下げ)と、羽根フレーム12の引き下げ(羽根フレーム14の引き上げ)とを交互に行うことで、槽20内において方向の異なる旋回流を交互に発生させることが可能になる。
【0082】
そのため、水処理装置10では、例えば、槽20内において被処理液体の旋回流を発生させることが可能になるだけでなく、発生させた旋回流を崩すことが可能になり、被処理液体の撹拌を十分に行うことが可能になる。また、水処理装置10では、例えば、比較例における水処理装置を用いた場合等と異なり、被処理液体の旋回流の方向が一定にならないため、各撹拌羽根と被処理液体との共回りの発生を抑制することが可能になる。
【0083】
このように、本実施の形態における水処理装置10は、例えば、1以上の第1撹拌羽根11を支持する第1羽根フレーム12と、第1羽根フレーム12を収容する収容フレーム15と、を有し、収容フレーム15は、垂直方向に延びる第1ガイド部16を有し、第1羽根フレーム12は、第1ガイド部16に沿って垂直方向に摺動し、収容フレーム15内に位置する被処理液体を1以上の第1撹拌羽根11によって撹拌する。
【0084】
具体的に、本実施の形態における水処理システム1000は、例えば、さらに、被処理液体を貯留する槽20を有し、第1羽根フレーム12は、槽20内に貯留された被処理液体を1以上の第1撹拌羽根11によって撹拌する。
【0085】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動が行われる位置を安定させることが可能になる。そのため、水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動に伴う被処理液体の動きを制御することが可能になり、被処理液体の撹拌を効率的に行うことが可能になる。
【0086】
また、本実施の形態における水処理装置10は、例えば、圧縮空気を用いることによって第1羽根フレーム12を垂直方向において摺動させる第1摺動装置32を有する。そして、第1摺動装置32は、例えば、第1羽根フレーム12の上方に設置される。
【0087】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、摺動装置32のメンテナンス作業を行う場合においても、槽20内に貯留された被処理液体を抜く必要がなくなる。そのため、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、摺動装置32のメンテナンスに伴う作業負荷を抑制することが可能になる。
【0088】
また、本実施の形態における水処理装置10は、例えば、1以上の第2撹拌羽根13を支持する第2羽根フレーム14を有し、収容フレーム15は、第2羽根フレーム14を収容し、垂直方向に延びる第2ガイド部17を有し、第2羽根フレーム14は、第2ガイド部17に沿って垂直方向に摺動し、収容フレーム15内の被処理液体を1以上の第2撹拌羽根13によって撹拌する。
【0089】
そして、本実施の形態における水処理装置10は、例えば、第1羽根フレーム12と第2羽根フレーム14とを連結する第1連結索31と、第1羽根フレーム12及び第2羽根フレーム14の上方に固定され、第1連結索31を垂直下方向から枢動可能に支持することによって、第1羽根フレーム12と第2羽根フレーム14とを吊り下げる1以上の第1回転体33と、第1羽根フレーム12及び第2羽根フレーム14の上方に設置され、第1連結索31を1以上の第1回転体33に対して枢動させることによって、第1羽根フレーム12を垂直上方向に向けて摺動させるとともに第2羽根フレーム14を垂直下方向に向けて摺動させ、また、第2羽根フレーム14を垂直上方向に向けて摺動させるとともに第1羽根フレーム12を垂直下方向に向けて摺動させる第2摺動装置32と、を有する。
【0090】
これにより、本実施の形態における水処理装置10では、例えば、羽根フレーム12の上下往復運動と羽根フレーム14の上下往復運動とを個別に行う場合と比較して、羽根フレーム12及び羽根フレーム14の上下往復運動に要するエネルギーを抑制することが可能になる。
【0091】
[第2の実施の形態における水処理装置40]
次に、第2の実施の形態における水処理装置40の構成について説明を行う。図8は、第1の実施の形態における水処理装置40の構成について説明する図である。具体的に、図8は、第1の実施の形態における水処理装置40の構成について説明する斜視図である。以下、第1の実施の形態における水処理装置10と異なる点について説明を行う。
【0092】
水処理装置40は、例えば、図2等で説明した槽20の底部に固定される装置である。すなわち、水処理装置40は、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10に代えて用いられる装置である。
【0093】
そして、水処理装置40は、図8に示すように、例えば、1枚以上の撹拌羽根41(以下、第3撹拌羽根41とも呼ぶ)がZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられた1つの羽根フレーム42(以下、第3羽根フレーム42とも呼ぶ)を収容する。すなわち、本実施の形態における水処理装置40は、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10と異なり、1つの羽根フレーム42のみを有する。
【0094】
なお、以下、3枚の撹拌羽根41が羽根フレーム42に取り付けられているものとして説明を行うがこれに限られない。具体的に、羽根フレーム42には、例えば、3枚以外の枚数の撹拌羽根41が取り付けられるものであってもよい。すなわち、羽根フレーム42には、例えば、槽20のZ軸方向におけるサイズ(槽20の深さ)等に応じた枚数の撹拌羽根が取り付けられるものであってよい。
【0095】
さらに、水処理装置40は、図8に示すように、例えば、収容フレーム45を有する。そして、収容フレーム45(以下、第1収容フレーム45とも呼ぶ)には、例えば、ガイド部材47(以下、第3ガイド部47とも呼ぶ)が設けられる。
【0096】
具体的に、収容フレーム45は、例えば、第1の実施の形態における収容フレーム15の場合と同様に、12本の棒状部材(棒状部材45a、棒状部材45b、棒状部材45c、棒状部材45d、棒状部材45e、棒状部材45f、棒状部材45g、棒状部材45h、棒状部材45i、棒状部材45j、棒状部材45k及び棒状部材45l)によって形成された直方体形状のフレームである。
【0097】
羽根フレーム42は、例えば、YZ平面上において延びる中空の矩形形状のフレームである。そして、羽根フレーム42の取り付けられる各撹拌羽根41は、例えば、XY平面上において延びる中空の矩形形状の部材であり、矩形形状におけるX1方向側の一辺とX2方向側の一辺とのそれぞれが所定の幅を有する板状部材41a及び板状部材41b(図8のハッチ部分)を形成する。また、各撹拌羽根41は、例えば、矩形形状におけるY2方向側の一辺のうちの一部が羽根フレーム42におけるY2方向側の側壁(内壁)に取り付けられ、矩形形状におけるY1方向側の一辺のうちの一部が羽根フレーム42におけるY1方向側の側壁(内壁)に取り付けられる。
【0098】
すなわち、各撹拌羽根41は、例えば、矩形形状におけるX1方向側の一辺とX2方向側の一辺とのそれぞれを形成する板状部材41a及び板状部材41bにおいて被処理液体の撹拌を行う。
【0099】
なお、図8に示す羽根フレーム42は、下端部(Z2方向側の端部)が開口しているがこれに限られない。具体的に、羽根フレーム42は、例えば、下端部が開口しない形状を有するものであってもよい。また、図8に示す例における各撹拌羽根41は、羽根フレーム42の中空空間における下部側(Z2方向側)に取り付けられているがこれに限られない。具体的に、各撹拌羽根41は、例えば、羽根フレーム42の中空空間における上部側(Z1方向側)に取り付けられるものであってもよい。
【0100】
ガイド部材47は、例えば、ガイド部材47aとガイド部材47bとを含み、羽根フレーム42をZ軸方向(垂直方向)において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側(水平方向)から支持(挟持)する。
【0101】
具体的に、ガイド部材47aは、図8に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材45bに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材45jに固定される棒状部材である。すなわち、ガイド部材47aは、例えば、収容フレーム45におけるY2方向側の側面に設けられる部材である。
【0102】
また、ガイド部材47bは、図8に示すように、例えば、一端部(Z1方向側の端部)が棒状部材45dに固定されるとともに他端部(Z2方向側の端部)が棒状部材45lに固定される棒状部材である。すなわち、ガイド部材47bは、例えば、収容フレーム45におけるY1方向側の側面に設けられる部材である。
【0103】
そして、ガイド部材47aは、例えば、羽根フレーム42のY2方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。また、ガイド部材47bは、例えば、羽根フレーム42のY1方向側の側壁をZ軸方向において摺動可能な状態で支持する。すなわち、ガイド部材47は、例えば、羽根フレーム42をZ軸方向において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側から挟持する。
【0104】
具体的に、羽根フレーム42は、例えば、Y2方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材47aを嵌合させ、かつ、Y1方向側の側壁(外壁)に設けられた溝部(図示せず)に対してガイド部材47bを嵌合させた状態でZ軸方向に沿って摺動する。
【0105】
これにより、本実施の形態における水処理装置40では、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10の場合と同様に、羽根フレーム42(羽根フレーム42に設けられた各撹拌羽根41)の上下往復運動が行われる位置を安定させることが可能になる。そのため、水処理装置40では、例えば、羽根フレーム42の上下往復運動に伴う被処理液体の動きを制御することが可能になり、被処理液体の撹拌を効率的に行うことが可能になる。さらに、管理者は、例えば、羽根フレーム42における撹拌羽根41の枚数や取り付け角度等を調整することによって、被処理液体の撹拌をより効率的に行うことが可能になる。
【0106】
また、本実施の形態における水処理装置40では、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10の場合と同様に、羽根フレーム42の大きさや形状を適宜変更することが可能であるとともに、撹拌羽根41の取り付け枚数や取り付け間隔を適宜変更することが可能である。そのため、水処理装置40では、例えば、槽20内の深さや槽20内における被処理液体の水位に応じて、羽根フレーム42の大きさ等(例えば、Z軸方向における長さ)や、撹拌羽根41の取り付け枚数等を変更することが可能になる。したがって、水処理装置40では、例えば、槽20内の深さや槽20内における被処理液体の水位によらず、槽20内の被処理液体の撹拌を十分に行うことが可能になる。
【0107】
また、本実施の形態における水処理装置40は、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10の場合と同様に、羽根フレーム42が収容されたユニット構造を有している。そのため、管理者は、例えば、工場等で組み立てが行われた水処理装置40をトラック等の輸送手段でフロック形成池400まで輸送し、輸送された水処理装置40をフロック形成池400に設置することが可能になる。したがって、管理者は、例えば、水処理装置40の設置場所(フロック形成池400)における設置作業に伴う負荷を抑制することが可能になり、水処理装置40の設置を効率的に行うことが可能になる。
【0108】
[羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動を行う構成]
次に、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動を行う構成について説明を行う。図9は、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動を行う構成について説明する図である。以下、図8で説明した水処理装置40を水処理装置40aと呼び、図8で説明した水処理装置40のY1方向側に配置された他の水処理装置40を水処理装置40bとも呼ぶ。
【0109】
水処理装置40bは、図9に示すように、例えば、水処理装置40aと同様に、収容フレーム46(以下、第2収容フレーム46とも呼ぶ)を有する。そして、収容フレーム46は、例えば、1枚以上の撹拌羽根43(以下、第4撹拌羽根43とも呼ぶ)がZ軸方向に沿って間隔を隔てて取り付けられた1つの羽根フレーム44(以下、第4羽根フレーム44とも呼ぶ)を収容する。すなわち、水処理装置40bは、例えば、水処理装置40aと同様に、1つの羽根フレーム44のみを有する。さらに、収容フレーム46には、例えば、水処理装置40aと同様に、ガイド部材48(以下、第4ガイド部48とも呼ぶ)が設けられる。
【0110】
また、水処理装置40aに収容された羽根フレーム42の上端部(Z1方向側の端部)には、図9に示すように、例えば、羽根フレーム42を垂直上方向側(Z1方向側)から吊り上げる索51(以下、索51aとも呼ぶ)が取り付けられる。同様に、水処理装置40bに収容された羽根フレーム44の上端部(Z1方向側の端部)には、例えば、羽根フレーム44を垂直上方向側(Z1方向側)から吊り上げる索51(以下、索51bとも呼ぶ)が取り付けられる。
【0111】
さらに、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の垂直方向上方(Z1方向側)には、例えば、索51a及び索51bの引き上げ(Z1方向に向けた摺動)及び引き下げ(Z2方向に向けた摺動)を行う摺動装置52(以下、第3摺動装置52とも呼ぶ)が配置される。摺動装置52は、例えば、垂直方向上方(Z1方向側)から索51aの引き上げ及び引き下げを行うことにより、索51aによって吊り下げられた状態の羽根フレーム42を垂直方向(Z軸方向)において摺動させる。また、摺動装置52は、例えば、垂直方向上方(Z1方向側)から索51bの引き上げ及び引き下げを行うことにより、索51bによって吊り下げられた状態の羽根フレーム44を垂直方向(Z軸方向)において摺動させる。
【0112】
[羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動の具体例]
次に、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動の具体例について説明を行う。図10は、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動の具体例について説明する図である。以下、摺動装置52がエアシリンダ52aである場合について説明を行う。
【0113】
図10に示す例において、索51は、例えば、羽根フレーム42の上端部(Z1方向側の端部)と羽根フレーム44の上端部(Z1方向側の端部)とを連結する連結索である。以下、索51を連結索51または第2連結索51とも呼ぶ。そして、索51は、例えば、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の垂直方向上方(Z1方向側)に固定された回転体53a及び回転体53bに掛け渡されることによって、羽根フレーム42と羽根フレーム44とを吊り上げた状態で維持する。すなわち、回転体53a及び回転体53bのそれぞれは、例えば、索51を垂直下方向側(Z2方向側)から枢動可能に支持する。以下、回転体53aと回転体53bとを総称して単に回転体53または第2回転体53とも呼ぶ。
【0114】
ここで、図10に示す例において、エアシリンダ52aは、例えば、第1の実施の形態におけるエアシリンダ32aの場合と同様に、固定部材54を介して索51の所定箇所に固定される。
【0115】
そして、エアシリンダ52aは、例えば、第1の実施の形態におけるエアシリンダ32aの場合と同様に、固定部材54をY2方向側に移動させ、さらに、索51をY2方向側に向けて移動させる。
【0116】
これにより、エアシリンダ52aは、例えば、索51のY1方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム44を引き上げるとともに、索51のY2方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム42を引き下げることが可能になる。
【0117】
また、エアシリンダ52aは、例えば、第1の実施の形態におけるエアシリンダ32aの場合と同様に、固定部材54をY1方向側に移動させ、さらに、索51をY1方向側に向けて移動させる。
【0118】
これにより、エアシリンダ52aは、例えば、索51のY1方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム44を引き下げるとともに、索51のY2方向側の端部に取り付けられた羽根フレーム42を引き上げることが可能になる。
【0119】
このように、本実施の形態における水処理装置40は、例えば、1以上の第3撹拌羽根41を支持する第3羽根フレーム42と、第3羽根フレーム42を収容する第1収容フレーム45と、1以上の第4撹拌羽根43を支持する第4羽根フレーム44と、第4羽根フレーム44を収容する第2収容フレーム46と、を有する。そして、第1収容フレーム45は、例えば、垂直方向に延びる第3ガイド部47を有し、第3羽根フレーム42は、第3ガイド部47に沿って垂直方向に摺動し、第1収容フレーム45内に位置する被処理液体を1以上の第3撹拌羽根41によって撹拌する。さらに、第2収容フレーム46は、例えば、垂直方向に延びる第4ガイド部48を有し、第4羽根フレーム44は、第4ガイド部48に沿って垂直方向に摺動し、第2収容フレーム46内に位置する被処理液体を1以上の第4撹拌羽根43によって撹拌する。
【0120】
そして、本実施の形態における水処理装置40は、例えば、第3羽根フレーム42と第4羽根フレーム44とを連結する第2連結索51と、第3羽根フレーム42及び第4羽根フレーム44の上方に固定され、第2連結索51を垂直下方向から枢動可能に支持することによって、第3羽根フレーム42と第4羽根フレーム44とを吊り下げる1以上の第2回転体53と、第3羽根フレーム42及び第4羽根フレーム44の上方に設置され、第2連結索51を1以上の第2回転体53に対して枢動させることによって、第3羽根フレーム42を垂直上方向に向けて摺動させるとともに第4羽根フレーム44を垂直下方向に向けて摺動させ、また、第4羽根フレーム44を垂直上方向に向けて摺動させるとともに第3羽根フレーム42を垂直下方向に向けて摺動させる第3摺動装置52とを有する。
【0121】
すなわち、本実施の形態における水処理装置40では、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10の場合と同様に、羽根フレーム42と羽根フレーム44とを連結した索51によって羽根フレーム42及び羽根フレーム44を吊り下げることで、索51のY軸方向における移動を行うことによって羽根フレーム42の上下往復運動と羽根フレーム44の上下往復運動とを併せて行うことが可能になる。
【0122】
これにより、本実施の形態における水処理装置40では、例えば、第1の実施の形態における水処理装置10の場合と同様に、羽根フレーム42の上下往復運動と羽根フレーム44の上下往復運動とを個別に行う場合と比較して、羽根フレーム42及び羽根フレーム44の上下往復運動に要するエネルギーを抑制することが可能になる。
【0123】
また、本実施の形態における水処理装置40では、例えば、被処理液体の撹拌を行うための部品点数を減少させることが可能になる。そのため、水処理装置40では、例えば、設備のメンテナンスに伴う作業負荷をより抑制することが可能になる。
【0124】
[変形例における水処理装置40]
次に、第2の実施の形態における水処理装置40の変形例(以下、単に変形例とも呼ぶ)の構成について説明を行う。図11は、変形例における水処理装置40の構成について説明する図である。具体的に、図11は、変形例における水処理装置40の構成について説明する斜視図である。
【0125】
図9で説明した水処理装置40a及び水処理装置40bは、図11に示すように、例えば、互いに連結することによって1つの水処理装置40(以下、水処理装置40cとも呼ぶ)を形成するものであってよい。
【0126】
そして、水処理装置40cは、この場合、例えば、収容フレーム45のY2方向側に設けられたガイド部材47と、収容フレーム46のY1方向側に設けられたガイド部材48と、収容フレーム45及び収容フレーム46の連結部分(収容フレーム45のY1方向側であって収容フレーム46のY2方向側)に設けられたガイド部材49とを有するものであってよい。
【0127】
具体的に、図11に示すガイド部材47及びガイド部材49は、例えば、羽根フレーム42をZ軸方向(垂直方向)において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側(水平方向)から支持(挟持)するものであってよい。
【0128】
また、図11に示すガイド部材47及びガイド部材48は、例えば、羽根フレーム44をZ軸方向(垂直方向)において摺動可能な状態でY1方向側及びY2方向側(水平方向)から支持(挟持)するものであってよい。
【0129】
すなわち、図11に示すガイド部材49は、例えば、羽根フレーム42の摺動に用いられるガイド部材の一部として機能するだけでなく、羽根フレーム44の摺動に用いられるガイド部材の一部としても機能するものであってよい。
【0130】
これにより、本変形例における水処理装置40cは、例えば、被処理液体の撹拌を行うための部品点数をより減少させることが可能になる。そのため、水処理装置40では、例えば、設備のメンテナンスに伴う作業負荷をより抑制することが可能になる。
【0131】
[第1の実施の形態及び第2の実施の形態についての実験結果]
次に、第1の実施の形態及び第2の実施の形態についての実験結果を説明する。図12は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態についての実験結果を説明する図である。図12に示すグラフにおける横軸は、各羽根フレームのZ軸方向における移動速度(撹拌速度)に対応する。また、図12に示すグラフにおける縦軸は、各水処理装置において処理が行われた後の被処理液体の濁度(以下、処理水濁度とも呼ぶ)に対応する。なお、図12に示すグラフにおいて、丸印は、図示しない従来の水処理装置(パドル式の水処理装置)を用いた場合における実験結果に対応し、四角印は、第1の実施の形態における水処理装置10を用いた場合における実験結果に対応し、三角印は、第2の実施の形態における水処理装置40を用いた場合における実験結果に対応する。
【0132】
具体的に、図12に示すグラフは、例えば、処理水濁度を特定の値にするために必要な水処理装置10における撹拌速度(四角印に対応する撹拌速度)が、従来の水処理装置における撹拌速度(丸印に対応する撹拌速度)よりも低いことを示している。同様に、図12に示すグラフは、例えば、処理水濁度を特定の値にするために必要な水処理装置40における撹拌速度(三角印に対応する撹拌速度)が、従来の水処理装置における撹拌速度(丸印に対応する撹拌速度)よりも低いことを示している。言い換えれば、図12に示すグラフは、例えば、水処理装置10における撹拌速度(羽根フレーム12及び羽根フレーム14の移動速度)や水処理装置40における撹拌速度(羽根フレーム42及び羽根フレーム44の移動速度)を、従来の水処理装置における場合よりも遅くすることが可能であることを示している。
【0133】
このように、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40は、例えば、各羽根フレームの移動速度を従来の水処理装置における場合よりも抑えることが可能になる。そのため、水処理装置10及び水処理装置40では、例えば、被処理液体の撹拌に必要な部品(例えば、摺動装置や回転体)の摩耗を抑えることが可能になる。また、水処理装置10及び水処理装置40では、例えば、被処理液体の過度な撹拌によるフロックの破壊を抑制することが可能になる。
【0134】
また、従来の水処理装置(パドル式の水処理装置)では、例えば、撹拌羽根の回転方向によって、撹拌羽根の回転方向(移動方向)と被処理液体の流れ方向とが一致する場合があり、フロックのショートパスの発生頻度が大きくなる場合がある。
【0135】
これに対し、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40では、例えば、各羽根フレームの移動方向が垂直方向(Z軸方向)であり、被処理液体の流れ方向(X軸方向)と異なる。そのため、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40では、例えば、従来の水処理装置を用いる場合よりも、フロックのショートパスの発生を抑制することが可能になる。
【0136】
また、従来の水処理装置(パドル式の水処理装置)では、例えば、撹拌羽根の回転軸(図示せず)とフロック形成池の外側に設置されたモータ(図示せず)とを連結させる必要性から、フロック形成池の側壁に貫通孔(図示せず)が設けられる。そのため、従来の水処理装置では、例えば、フロック形成池内に貯留された被処理液体が貫通孔からフロック形成池の外側に漏れ出す可能性がある。
【0137】
これに対し、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40では、例えば、フロック形成池400の側壁に貫通孔を設ける必要がない。そのため、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40では、例えば、フロック形成池400の外側への水漏れの発生を防止することが可能になる。また、第1の実施の形態における水処理装置10及び第2の実施の形態における水処理装置40では、例えば、フロック形成池400の側壁に貫通孔を設ける必要がなくなることで、フロック形成池400内における設置工事に要する時間を短縮することが可能になる。
【符号の説明】
【0138】
10:水処理装置 11:撹拌羽根
12:羽根フレーム 13:撹拌羽根
14:羽根フレーム 15:収容フレーム
16:ガイド部 17:ガイド部
20:槽 31:索
32:摺動装置 32a:エアシリンダ
33:回転体 40:水処理装置
41:撹拌羽根 42:羽根フレーム
43:撹拌羽根 44:羽根フレーム
45:収容フレーム 46:収容フレーム
47:ガイド部材 48:ガイド部材
49:ガイド部材 51:索
52:摺動装置 52a:エアシリンダ
53:回転体 100:沈砂池
200:着水井 300:混和池
400:フロック形成池 500:沈殿池
600:濾過池 700:浄水池
800:配水池 1000:水処理システム
P:ポンプ T:貯留槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12