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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-19
(45)【発行日】2025-05-27
(54)【発明の名称】動力電池の加熱方法と加熱システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/637 20140101AFI20250520BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20250520BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20250520BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20250520BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250520BHJP
【FI】
H01M10/637
H01M10/615
H01M10/633
H01M10/667
H01M10/625
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024501899
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2021127572
(87)【国際公開番号】W WO2023070553
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】13/F., LKF29, 29 Wyndham Street, Central, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 新▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】但 志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 成勇
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲顕▼
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112731984(CN,A)
【文献】特開2004-063397(JP,A)
【文献】特開2013-187040(JP,A)
【文献】特開2021-002992(JP,A)
【文献】特開2015-037013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/637
H01M 10/615
H01M 10/633
H01M 10/667
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の加熱方法であって、前記動力電池は、モータのスイッチ回路と繋がり、前記スイッチ回路を介して前記モータに電源を提供するために用いられ、前記スイッチ回路は、前記動力電池と並列接続される複数のブリッジアームを含み、前記方法は、
前記動力電池の電池管理システムによって送信された加熱信号を受信することと、
前記加熱信号に基づいて、前記複数のブリッジアームのうちの少なくとも1つのブリッジアームを制御して前記動力電池の短絡回路を形成することであって、前記短絡回路は、
前記動力電池を放電させ、且つ放電中に前記動力電池を加熱するために用いられる、ことと
前記動力電池の内部抵抗を取得することと、
前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路のオン周波数を決定することであって、前記動力電池の内部抵抗が小さいほど、前記オン周波数が高くなる、ことと、
前記オン周波数に基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することと
を含む、ことを特徴とする加熱方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧を取得することと、
前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧に基づいて、前記短絡回路のオンデューティを決定することと、
前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路における電流が前記動力電池の許容放電電流を超えないか、及び/又は前記動力電池の電圧が前記動力電池の最小放電電圧を下回らないように、前記短絡回路をオンにするように制御することと
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱方法。
【請求項3】
前記短絡回路における電流を取得することは、
前記短絡回路に設置された電流センサにより、前記短絡回路における電流を検出すること、及び/又は、
前記動力電池の電圧と前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路における電流を決定すること
を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の加熱方法。
【請求項4】
前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することは、
前記オンデューティに基づいて、前記少なくとも1つのブリッジアームをオンにするように制御すること
を含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の加熱方法。
【請求項5】
前記動力電池と前記少なくとも1つのブリッジアームとの間には、第2のスイッチが設置されており、
前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することは、
前記オンデューティに基づいて、前記第2のスイッチをオンにするように制御すること
を含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の加熱方法。
【請求項6】
前記動力電池には、直列接続された容量と第1のスイッチとを含む容量分岐路がさらに並列接続されており、
前記方法は、
前記短絡回路をオンにするように制御する前に、前記第1のスイッチをオフにするように制御すること
をさらに含む、ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームは、直列接続された第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとを含み、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとの間の接続点は、前記モータの少なくとも1つの巻線と一対一に繋がる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記電池管理システムによって送信された加熱停止信号を受信することと、
前記加熱停止信号に基づいて、前記動力電池の加熱を停止するように、前記短絡回路をオフにするように制御することと
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項9】
前記動力電池は、固体電池であり、及び/又は、前記動力電池の内部抵抗は、予め設定される値よりも大きい、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の加熱方法。
【請求項10】
動力電池の加熱システムであって、
動力電池と、
前記動力電池とモータとの間に設置され、前記動力電池が前記モータに電源を提供するためのスイッチ回路であって、前記スイッチ回路は、前記動力電池と並列接続される複数のブリッジアームを含む、スイッチ回路と、
前記動力電池の電池管理システムによって送信された加熱信号を受信し、且つ前記加熱信号に基づいて、前記複数のブリッジアームのうちの少なくとも1つのブリッジアームを制御して前記動力電池の短絡回路を形成するための制御回路であって、前記短絡回路は、
前記動力電池を放電させ、且つ放電中に前記動力電池を加熱するために用いられる、制御回路と
含み、
前記制御回路は、さらに、
前記動力電池の内部抵抗を取得することと、
前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路のオン周波数を決定することであって、前記動力電池の内部抵抗が小さいほど、前記オン周波数が高くなる、ことと、
前記オン周波数に基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することと
に用いられる、ことを特徴とする加熱システム。
【請求項11】
前記制御回路は、さらに、
前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧を取得することと、
前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧に基づいて、前記短絡回路のオンデューティを決定することと、
前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路における電流が前記動力電池の許容放電電流を超えないか、及び/又は前記動力電池の電圧が前記動力電池の最小放電電圧を下回らないように、前記短絡回路をオンにするように制御することと
に用いられる、ことを特徴とする請求項10に記載の加熱システム。
【請求項12】
前記制御回路は、具体的に、
前記短絡回路に設置された電流センサにより、前記短絡回路における電流を検出すること、及び/又は、
前記動力電池の電圧と前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路における電流を決定すること
に用いられる、ことを特徴とする請求項11に記載の加熱システム。
【請求項13】
前記制御回路は、具体的に、
前記オンデューティに基づいて、前記少なくとも1つのブリッジアームをオンにするように制御すること
に用いられる、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の加熱システム。
【請求項14】
前記動力電池と前記少なくとも1つのブリッジアームとの間には、第2のスイッチが設置されており、
前記制御回路は、具体的に、
前記オンデューティに基づいて、前記第2のスイッチをオンにするように制御すること に用いられる、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の加熱システム。
【請求項15】
前記動力電池には、直列接続された容量と第1のスイッチとを含む容量分岐路がさらに並列接続されており、
前記制御回路は、さらに、
前記短絡回路をオンにするように制御する前に、前記第1のスイッチをオフにするように制御すること
に用いられる、ことを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームは、直列接続された第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとを含み、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとの間の接続点は、前記モータの少なくとも1つの巻線と一対一に繋がる、ことを特徴とする請求項10から15のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項17】
前記制御回路は、さらに、
前記電池管理システムによって送信された加熱停止信号を受信することと、
前記加熱停止信号に基づいて、前記動力電池の加熱を停止するように、前記短絡回路をオフにするように制御することと
に用いられる、ことを特徴とする請求項10から16のいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項18】
前記動力電池は、固体電池であり、及び/又は、前記動力電池の内部抵抗は、予め設定される値よりも大きい、ことを特徴とする請求項10から17のいずれか一項に記載の加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に動力電池の加熱方法と加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー密度が高く、循環充電が可能で、安全で環境に優しいなどの利点があるため、動力電池は、新エネルギー自動車、コンシューマー電子、エネルギー貯蔵システムなどの分野で広く応用されている。
【0003】
しかしながら、低温環境で動力電池の使用は、一定の制限を受けることがある。具体的には、動力電池は、低温環境での放電容量が著しく低下し、及び動力電池は、低温環境で充電することができない。そのため、動力電池を正常に使用できることを確保するために、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。動力電池をどのように効果的に加熱するかは、早急な解決が待たれる問題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の実施例は、動力電池を効果的に加熱できる動力電池の加熱方法と加熱システムを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、動力電池の加熱方法を提供し、前記動力電池は、モータのスイッチ回路と繋がり、前記スイッチ回路を介して前記モータに電源を提供するために用いられ、前記スイッチ回路は、前記動力電池と並列接続される複数のブリッジアームを含み、前記方法は、前記動力電池の電池管理システムによって送信された加熱信号を受信することと、前記加熱信号に基づいて、前記複数のブリッジアームのうちの少なくとも1つのブリッジアームを制御して前記動力電池の短絡回路を形成することであって、前記短絡回路は、前記動力電池を放電させ、且つ放電中に前記動力電池を加熱するために用いられる、こととを含む。
【0006】
この実施例では、動力電池の短絡回路を形成し、この短絡回路を介して動力電池を放電させることによって、動力電池の放電中に動力電池の加熱を実現する。モータのスイッチ回路を利用してこの短絡回路を形成しているため、余分な加熱装置を追加することなく、低コストで動力電池の加熱を完了することができる。
【0007】
1つの可能な実現形態では、前記方法は、前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧を取得することと、前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧に基づいて、前記短絡回路のオンデューティを決定することと、前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路における電流が前記動力電池の許容放電電流を超えないか、及び/又は前記動力電池の電圧が前記動力電池の最小放電電圧を下回らないように、前記短絡回路をオンにするように制御することとをさらに含む。
【0008】
この実施例では、短絡回路のオンデューティを制御することにより、短絡回路における電流及び/又は電圧を安全な閾値内に制御することによって、加熱中に、動力電池の電流がその許容放電電流を超えることを防止し、及び/又は動力電池の電圧がその最小放電電圧を超えることを防止し、加熱中に動力電池が損傷することを防止し、加熱中の安全性を確保した。
【0009】
1つの可能な実現形態では、前記短絡回路における電流を取得することは、前記短絡回路に設置された電流センサにより、前記短絡回路における電流を検出すること、及び/又は、前記動力電池の電圧と前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路における電流を決定することを含む。
【0010】
この実施例では、短絡回路における電流を監視するために、この電流をより直感的かつ正確に検出するように電流センサを短絡回路に設置してもよく、又は、動力電池の電圧と動力電池の内部抵抗に基づいて、短絡回路における電流を決定してもよく、それによって短絡回路におけるデバイスを減少してコストと複雑度を低減させ、ここで、動力電池の内部抵抗は、動力電池の現在の温度での内部抵抗であり、それは、内部抵抗と温度との関係曲線から計算することができる。
【0011】
1つの可能な実現形態では、前記の、前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することは、前記オンデューティに基づいて、前記少なくとも1つのブリッジアームをオンにするように制御することを含む。
【0012】
この実施例では、オンデューティに基づいて、モータのスイッチ回路における各ブリッジアームのオンを制御してもよく、それによって短絡回路を形成し、且つ他の余分なデバイスを追加することなく、余分なコストの発生を回避する。
【0013】
1つの可能な実現形態では、前記動力電池と前記少なくとも1つのブリッジアームとの間には、第2のスイッチが設置されており、前記の、前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することは、前記オンデューティに基づいて、前記第2のスイッチをオンにするように制御することを含む。
【0014】
この実施例では、オンデューティに基づいて、余分な第2のスイッチオンを制御してもよく、それによって短絡回路を形成し、制御プロセスの複雑性を低減させた。
【0015】
1つの可能な実現形態では、前記方法は、前記動力電池の内部抵抗を取得することと、前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路のオン周波数を決定することであって、前記動力電池の内部抵抗が小さいほど、前記オン周波数が高くなる、ことと、前記オン周波数に基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することとをさらに含む。
【0016】
この実施例では、動力電池の内部抵抗が小さいほど、短絡回路における電流の増加が速くなるため、この電流の増加を制御するためにより高いオン周波数が必要であり、それによって加熱中の安全性を確保し、加熱中に動力電池が損傷することを防止した。
【0017】
1つの可能な実現形態では、前記動力電池には、直列接続された容量と第1のスイッチとを含む容量分岐路がさらに並列接続されており、前記方法は、前記短絡回路をオンにするように制御する前に、前記第1のスイッチをオフにするように制御することをさらに含む。
【0018】
この実施例では、動力電池と並列接続された定電圧容量の位置する分岐路に第1のスイッチを設置し、且つ加熱中に第1のスイッチをオフにするように制御することにより、動力電池の定電圧容量による動力電池の加熱過程への影響を防止し、加熱効率を向上させることができる。
【0019】
1つの可能な実現形態では、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームは、直列接続された第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとを含み、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとの間の接続点は、前記モータの少なくとも1つの巻線と一対一に繋がる。
【0020】
1つの可能な実現形態では、前記方法は、前記電池管理システムによって送信された加熱停止信号を受信することと、前記加熱停止信号に基づいて、前記動力電池の加熱を停止するように、前記短絡回路をオフにするように制御することとをさらに含む。
【0021】
1つの可能な実現形態では、前記動力電池は、固体電池であり、及び/又は、前記動力電池の内部抵抗は、予め設定される値よりも大きい。
【0022】
この実施例では、動力電池の内部抵抗が小さいほど、短絡回路における電流の増加が速くなるため、この電流の増加を制御するためにより高いオン周波数が必要であり、これは、スイッチデバイスに対して非常に高い要求を求め、そのため、短絡回路を利用して動力電池を加熱する方式は、固体電池又は内部抵抗の大きい動力電池により適用することによって、スイッチデバイスへの要求を低減させる。
【0023】
第2の態様によれば、動力電池の加熱システムを提供し、この加熱システムは、動力電池と、前記動力電池とモータとの間に設置され、前記動力電池が前記モータに電源を提供するためのスイッチ回路であって、前記スイッチ回路は、前記動力電池と並列接続される複数のブリッジアームを含む、スイッチ回路と、前記動力電池の電池管理システムによって送信された加熱信号を受信し、且つ前記加熱信号に基づいて、前記複数のブリッジアームのうちの少なくとも1つのブリッジアームを制御して前記動力電池の短絡回路を形成するための制御回路であって、前記短絡回路は、前記動力電池を放電させ、且つ放電中に前記動力電池を加熱するために用いられる、制御回路とを含む。
【0024】
1つの可能な実現形態では、前記制御回路は、さらに、前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧を取得することと、前記動力電池を通過する電流及び/又は前記動力電池の電圧に基づいて、前記短絡回路のオンデューティを決定することと、前記オンデューティに基づいて、前記短絡回路における電流が前記動力電池の許容放電電流を超えないか、及び/又は前記動力電池の電圧が前記動力電池の最小放電電圧を下回らないように、前記短絡回路をオンにするように制御することとに用いられる。
【0025】
1つの可能な実現形態では、前記制御回路は、具体的に、前記短絡回路に設置された電流センサにより、前記短絡回路における電流を検出すること、及び/又は、前記動力電池の電圧と前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路における電流を決定することに用いられる。
【0026】
1つの可能な実現形態では、前記制御回路は、具体的に、前記オンデューティに基づいて、前記少なくとも1つのブリッジアームをオンにするように制御するために用いられる。
【0027】
1つの可能な実現形態では、前記動力電池と前記少なくとも1つのブリッジアームとの間には、第2のスイッチが設置されており、前記制御回路は、具体的に、前記オンデューティに基づいて、前記第2のスイッチをオンにするように制御するために用いられる。
【0028】
1つの可能な実現形態では、前記制御回路は、さらに、前記動力電池の内部抵抗を取得することと、
前記動力電池の内部抵抗に基づいて、前記短絡回路のオン周波数を決定することであって、前記動力電池の内部抵抗が小さいほど、前記オン周波数が高くなる、ことと、前記オン周波数に基づいて、前記短絡回路をオンにするように制御することとに用いられる。
【0029】
1つの可能な実現形態では、前記スイッチ回路は、動力電池と並列接続された容量分岐路をさらに含み、前記容量分岐路は、直列接続された容量と第1のスイッチとを含み、前記制御回路は、さらに、前記短絡回路をオンにするように制御する前に、前記第1のスイッチをオフにするように制御するために用いられる。
【0030】
1つの可能な実現形態では、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームは、直列接続された第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとを含み、前記少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとの間の接続点は、前記モータの少なくとも1つの巻線と一対一に繋がる。
【0031】
1つの可能な実現形態では、前記制御回路は、さらに、前記電池管理システムによって送信された加熱停止信号を受信することと、前記加熱停止信号に基づいて、前記動力電池の加熱を停止するように、前記短絡回路をオフにするように制御することとに用いられる。
【0032】
1つの可能な実現形態では、前記動力電池は、固体電池であり、及び/又は、前記動力電池の内部抵抗は、予め設定される値よりも大きい。
【0033】
上記技術案に基づいて、モータのスイッチ回路を利用して動力電池の短絡回路を形成することにより、この短絡回路を介して動力電池を放電させ、それによって、動力電池の放電中に動力電池の加熱を実現する。余分な加熱装置を追加する必要がないため、低コストで動力電池の加熱を完了することができる。
【0034】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本出願の一実施例に開示された電池加熱システムの概略ブロック図である。
図2図1に示す電池加熱システムの回路構造の概略図である。
図3】本出願の一実施例に開示された電池加熱方法の概略フローチャートである。
図4】短絡回路のオンデューティの概略図である。
図5図3に示す方法で形成される短絡回路の概略図である。
図6図3に示す方法で形成される短絡回路の概略図である。
図7図3に示す方法で形成される短絡回路の概略図である。
図8図3に示す方法で形成される短絡回路の概略図である。
図9図1に示す電池加熱システムの回路構造の概略図である。
図10図1に示す電池加熱システムの回路構造の概略図である。
図11】本出願の一実施例に開示されたスイッチ回路における容量分岐路の概略図である。
図12図1に示す電池加熱システムの別の回路構造の概略図である。
図13図3に示す方法に基づく可能な具体的な実現形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、図面と実施例を結び付けながら、本出願の実施の形態をさらに詳細に記述する。以下では、実施例の詳細な記述と図面は、例示的に本出願の原理を説明するためのものであるが、本出願の範囲を制限するためのものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0037】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「複数の」の意味は、2つ以上であり、用語である「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより指示される方位又は位置関係は、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。なお、用語である「第1」、「第2」、「第3」などは、記述の目的のみで用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解すべきではない。「垂直」は、厳密な垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」は、厳密な平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0038】
下記の記述に出現された方位語は、いずれも図に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0039】
時代の発展に伴い、新エネルギー自動車は、その環境保護性、低騒音、低使用コストなどの利点により、巨大な市場の将来性を持ち且つ省エネと汚染物質の排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に有利である。
【0040】
動力電池の電気化学的特性により、低温環境で、動力電池の充放電能力が大幅に制限され、顧客の冬の車利用体験に深刻な影響を与える。そのため、動力電池を正常に使用できるように、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。
【0041】
そのため、本出願は、動力電池の短絡回路を形成して動力電池の内部抵抗を発熱させることによって、動力電池を急速に昇温させる加熱方案を提案する。モータのスイッチ回路を利用してこの短絡回路を形成するため、余分な加熱装置を追加することなく、低コストで動力電池の加熱を完了することができる。
【0042】
本出願の実施例における動力電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池などであってもよく、ここで限定しない。規模から見ると、本出願の実施例における動力電池は、セル単体であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよく、ここで限定しない。応用シナリオから見ると、この動力電池は、自動車、汽船などの動力装置内に応用されてもよい。例えば、電気自動車の動力源として自動車のモータに給電するために、自動車に用いられてもよい。この動力電池はさらに、電気自動車における他の電力消費デバイスに給電し、例えば車内空調、車載プレーヤーなどに給電してもよい。
【0043】
記述を容易にするために、以下では、動力電池を新エネルギー自動車(即ち自動車、又は電気自動車と呼ばれる)に用いることを例に、本出願の方案を説明する。
【0044】
図1は、本出願の実施例の電池加熱システム100の概略図である。図1に示すように、電池加熱システム100は、動力電池110と、スイッチ回路120と、制御回路130とを含む。制御回路130は、スイッチ回路120と接続され、スイッチ回路120の接続状態を制御することができる。そして、制御回路130は、動力電池110との間で情報インタラクションを行い、具体的には、動力電池110の電池管理システム(Battery Management System、BMS)との間で情報インタラクションを行うことができる。ここで、スイッチ回路120は、モータ140のスイッチ回路であり、又はモータ140のインバータである。スイッチ回路120は、動力電池110とモータ140との間に設置され、例えば図1に示すように、スイッチ回路120は、動力電池110とモータ140との間に接続され、動力電池110は、スイッチ回路120を介してモータ140に電源を提供して、車両の走行を駆動する。
【0045】
スイッチ回路120は、動力電池110と並列接続された複数のブリッジアームを含んでもよい。例えば、図2に示すように、スイッチ回路120は、ブリッジアーム121と、ブリッジアーム122と、ブリッジアーム123とを含み、ブリッジアーム121と、ブリッジアーム122と、ブリッジアーム123とは、いずれも動力電池110と並列接続される。
【0046】
一実施形態では、短絡回路を形成するための少なくとも1つのブリッジアームにおいて、各ブリッジアームは、直列接続された第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとを含み、且つ少なくとも1つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1のスイッチデバイスと第2のスイッチデバイスとの間の接続点は、モータ140の少なくとも1つの巻線と一対一に繋がる。
【0047】
スイッチ回路120におけるブリッジアームの数は、モータ140の巻線の数と同じであってもよい。モータ140が3つの巻線を含むとすると、このスイッチ回路120は、3つのブリッジアーム、即ちブリッジアーム121と、ブリッジアーム122と、ブリッジアーム123とを含む。ここで、3つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームは、上ブリッジアームと下ブリッジアームとを含み、上ブリッジアームと下ブリッジアームには、それぞれIGBTスイッチが設置されている。
【0048】
図2に示すように、モータ140は、具体的にブリッジアーム121と繋がる巻線L1と、ブリッジアーム122と繋がる巻線L2と、ブリッジアーム123と繋がる巻線L3とを含んでもよい。ここで、巻線L1の一端は、ブリッジアーム121の上ブリッジアーム1211と下ブリッジアーム1212との間の接続点と繋がり、巻線L2の一端は、ブリッジアーム122の上ブリッジアーム1221と下ブリッジアーム1222との間の接続点と繋がり、巻線L3の一端は、ブリッジアーム123の上ブリッジアーム1231と下ブリッジアーム1232との間の接続点と繋がる。巻線L1の他端と、巻線L2の他端と、巻線L3の他端とは繋がる。
【0049】
なお、モータ140は、3つの巻線を含むが、それらに限らず、6つの巻線などをさらに含んでもよく、これに対応して、スイッチ回路120は、6つのブリッジアームを含んでもよい。
【0050】
スイッチ回路120における各ブリッジアームは、様々なタイプのスイッチによって実現されてもよい。例として、各ブリッジアームは、絶縁ゲートバイポーラ型パワー管(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)スイッチ、例えば後続の図5から図10に基づいて実現される。
【0051】
一実施形態では、制御回路130は、図3に示す方法200を実行するために用いられる。図3に示すように、方法200は、以下のステップにおける一部又はすべてを含む。
【0052】
ステップ210:動力電池110のBMSによって送信された加熱信号を受信し、
ステップ220:この加熱信号に基づいて、複数のブリッジアームのうちの少なくとも1つのブリッジアームを制御して動力電池110の短絡回路を形成し、この短絡回路は、動力電池110を放電させ、且つ放電中に動力電池110を加熱するために用いられる。
【0053】
これで分かるように、動力電池110の短絡回路を形成し、この短絡回路を介して動力電池110を放電させることにより、動力電池110の放電中に動力電池110の加熱を実現することができる。モータ140のスイッチ回路120を利用してこの短絡回路を形成しているため、余分な加熱装置を追加することなく、低コストで動力電池110の加熱を完了することができる。
【0054】
BMSは、動力電池110の状態パラメータ、例えばSOC、電圧U、温度Tなどの情報に基づいて、制御回路130に加熱信号を送信するかどうかを決定することができる。制御回路130は、モータ140の運転を制御して車両などを駆動するために用いられるとともに、動力電池110の加熱プロセスを制御するためのモータ140のコントローラであってもよく、又は、制御回路130は、動力電池110の加熱プロセスを制御するためにモータ140のコントローラと相対的に独立して設置される制御回路であってもよい。
【0055】
動力電池110の短絡回路は、動力電池110の放電回路を指す。この時、動力電池110の正負極の間が短絡される。動力電池110は、放電回路によって、その内部抵抗を発熱させることによって、その自体を加熱する。
【0056】
一実施形態では、方法200は、以下のステップにおける一部又はすべてを含んでもよい。
【0057】
ステップ230:動力電池110を通過する電流I及び/又は動力電池110の電圧Uを取得し、
ステップ240:動力電池110を通過する電流I及び/又は動力電池110の電圧Uに基づいて、短絡回路のオンデューティを決定し、
ステップ250:このオンデューティに基づいて、この短絡回路における電流Iが動力電池110の許容放電電流Iを超えないか、及び/又は動力電池110の電圧Uが前記動力電池の最小放電電圧Uを下回らないように、この短絡回路をオンにするように制御する。
【0058】
制御回路130がステップ230からステップ250を実行する時、短絡回路が一定のオンデューティでオンされて、短絡回路における電流Iと電圧Uを安全な閾値内に制御することによって、加熱中に、動力電池110がその許容放電電流を超えることを防止し、及び/又は動力電池110の電圧がその最小放電電圧を超えることを防止し、動力電池110が加熱中に損傷することを防止し、加熱中の安全性を確保した。
【0059】
具体的には、動力電池110の短絡回路を形成する時、短絡回路における電流I、即ち動力電池の放電電流Iは、急速に増大し、動力電池110の許容放電電流Iを超えると、動力電池110が破損することによって、安全上の問題が発生する可能性がある。そのため、短絡回路における電流Iが動力電池110の許容放電電流Iを超えないように制御する必要がある。一定のデューティで短絡回路をオンにするように制御する時、短絡回路における電流Iが許容放電電流Iに達する前に短絡回路をオフにし、例えば電流Iが第1の閾値を超えた時に短絡回路をオフにするとともに、電流Iがある程度低下した時にこの短絡回路を再びオンにすることによって、動力電池110が所定の温度に加熱されるまで、電池加熱中の電流Iが常に動力電池110の許容放電電流Iを超えないように制御することができる。
【0060】
この第1の閾値は、例えば動力電池110の許容放電電流I以下であり、以下では、この第1の閾値が許容放電電流Iに等しいことを例に説明する。
【0061】
例えば図4に示すように、1つの加熱周期Tにおいて、T1時間帯に、動力電池110を加熱するために、短絡回路をオンにする必要があり、T2時間帯に、短絡回路における電流Iが動力電池110の許容放電電流Iを超えることを防止するように、短絡回路をオフにする必要がある。ここで、デューティD=T1/T2である。選択的に、デューティDは、動力電池110の許容放電電流I、動力電池110の電圧U、動力電池110の内部抵抗Rなどに基づいて決定されてもよい。例えば、初期のデューティDmaxは、Dmax=I/(U/R)に設定されてもよい。デューティDmaxは、一定の値であり、即ち加熱中に変わらないように維持されてもよく、リアルタイムで調整してもよい。
【0062】
動力電池110の許容放電電流Iは、動力電池の特性に関連し、動力電池110の許容放電電流Iが比較的大きい場合、初期のデューティDmaxは、比較的大きく設定されてもよく、逆に、動力電池110の許容放電電流Iが比較的小さい場合、初期のデューティDmaxは、比較的小さく設定されてもよい。
【0063】
動力電池110を加熱する過程において、動力電池110が放電しているため、動力電池110の電圧Uは、変化し、一般的には、電圧Uは、動力電池110の最小放電電圧Uよりも小さくなってはならない。そのため、電圧Uが動力電池110の最小放電電圧Uよりも低くなりそうな時、例えば電圧が第2の閾値よりも小さい時、デューティDを適切に減少して、電流Iの実効値を減少してもよく、それによって電圧Uを最小放電電圧Uよりも高くように安定させる。
【0064】
この第2の閾値は、例えば動力電池110の最小放電電圧U以上であり、以下では、この第2の閾値が最小放電電圧Uに等しいことを例に説明する。
【0065】
一実施形態では、制御回路130によって実行されるステップ230は、短絡回路に設置された電流センサによって、短絡回路における電流Iを検出すること、及び/又は、動力電池110の電圧Uと動力電池110の内部抵抗Rに基づいて、短絡回路における電流Iを決定することをさらに含んでもよい。
【0066】
短絡回路における電流を監視するために、より直感的かつ正確的にこの電流Iを検出するように短絡回路に電流センサを設置してもよい。例えば、電池とスイッチ回路120との間に1つの電流センサを直列接続してもよい。
【0067】
又は、動力電池110の電圧Uと動力電池の内部抵抗Rに基づいて、短絡回路における電流をI決定してもよく、それによって短絡回路におけるデバイスを減少して、コストと複雑度を低減させる。制御回路130は、例えば動力電池110のBMSから動力電池110の電圧U、内部抵抗R、温度Tなどの情報を取得してもよい。
【0068】
ここで、動力電池110の内部抵抗Rは、動力電池110の現在の温度Tでの内部抵抗Rであり、内部抵抗Rは、内部抵抗Rと温度Tとの関係曲線から決定されることができる。加熱中に、動力電池110の温度が変化すると、動力電池110の内部抵抗Rがそれに応じて変化する。一般的には、動力電池110の温度Tの上昇に伴い、動力電池110の内部抵抗Rが減少して、電流Iが増加し、温度Tと内部抵抗Rとの間に一定の関係曲線が存在する。温度センサによって動力電池110の温度Tを検出することができ、温度Tと内部抵抗Rとの間の規則に基づいて、現在の温度Tに対応する内部抵抗Rを決定することができ、そしてI=U/Rに基づいて現在の短絡回路における電流Iを得られる。
【0069】
一実施形態では、制御回路130によって実行されるステップ250は、オンデューティに基づいて、スイッチ回路120のうちの少なくとも1つのブリッジアームをオンにするように制御することをさらに含んでもよい。
【0070】
例を挙げると、図5に示すように、制御回路130は、スイッチ回路120におけるブリッジアーム121をオンにするように制御し、即ち、ブリッジアーム121上のスイッチV11とスイッチV12とを閉じるように制御することができ、それによって動力電池110と、スイッチV11と、スイッチV12とを含む短絡回路を形成する。
【0071】
また例えば、図6に示すように、制御回路130は、スイッチ回路120におけるブリッジアーム122をオンにするように制御し、即ち、ブリッジアーム122上のスイッチV21とスイッチV22とを閉じるように制御することができ、それによって動力電池110と、スイッチV21と、スイッチV22とを含む短絡回路を形成する。
【0072】
また例えば、図7に示すように、制御回路130は、スイッチ回路120におけるブリッジアーム123をオンにするように制御し、即ち、ブリッジアーム123上のスイッチV31とスイッチV32とを閉じるように制御することができ、それによって動力電池110と、スイッチV31と、スイッチV32とを含む短絡回路を形成する。
【0073】
また例えば、図8に示すように、制御回路130は、スイッチ回路120におけるブリッジアーム121と、ブリッジアーム122と、ブリッジアーム123とを同時にオンにするように制御し、即ち、スイッチV11と、スイッチV12と、スイッチV21と、スイッチV22と、スイッチV31と、スイッチV32とを閉じるように制御することができ、それによって3つの短絡回路を形成し、それぞれ動力電池110と、スイッチV11と、スイッチV12とからなる短絡回路、動力電池110と、スイッチV21と、スイッチV22とからなる短絡回路、及び動力電池110と、スイッチV31と、スイッチV32とからなる短絡回路である。
【0074】
一実施形態では、短絡回路がモータ140の一部のブリッジアームを含むかそれともすべてのブリッジアームを含むか、及び短絡回路に含まれるブリッジアームの数について、動力電池110の加熱需要に応じて決定され、例えば増加する必要のある温度、加熱の速度などの需要に応じて決定されてもよい。例えば、現在の動力電池110の温度がそれほど低くなく、正常に運転するためにわずかに昇温する必要がある場合、動力電池110が加熱のために出力する電力量を減少するために、一部のブリッジアームのみを制御して短絡回路を形成してもよく、現在の電池の温度が非常に低い場合、動力電池110をできるだけ早く昇温させるために、すべてのブリッジアームを制御して短絡回路を形成し、加熱効率を向上させる必要がある。
【0075】
これで分かるように、スイッチ回路120における各ブリッジアームのオンオフを制御することにより、短絡回路のオンオフをより容易に実現し、他の余分なデバイスを追加することなく、余分なコストの発生を回避することができる。
【0076】
別の実現形態では、動力電池110とスイッチ回路120のうちの少なくとも1つのブリッジアームとの間には、第2のスイッチ125が設置されており、この時、制御回路130によって実行されるステップ250は、オンデューティに基づいて、第2のスイッチ125をオンにするように制御することをさらに含んでもよい。第2のスイッチ125は、例えば、動力電池110の正極の一端又は負極の一端に接続された、完成車システムにおけるメイン正スイッチ又はメイン負スイッチであってもよい。
【0077】
例えば、図9に示すように、第2のスイッチ125は、完成車システムにおけるメイン正スイッチ又はメイン負スイッチであり、それは、動力電池110とスイッチ回路120との間に位置し、動力電池110を加熱するために3つの短絡回路を形成する必要があるとすると、制御回路130は、第2のスイッチ125のみを閉じるように制御すればよく、同様に、3つの短絡回路をオフにする必要がある場合、制御回路130は、第2のスイッチ125のみをオフにするように制御すればよい。そのため、各ブリッジアームにおけるスイッチV11と、スイッチV12と、スイッチV21と、スイッチV22と、スイッチV31と、スイッチV32を同時に開閉操作する必要がない。余分な第2のスイッチ125を追加するが、制御回路130は、第2のスイッチ125のオンオフを制御することだけで、スイッチ回路120における各ブリッジアームを制御することなく短絡回路のオンオフを実現することができ、制御回路130の複雑性を低減させた。
【0078】
一実施形態では、制御回路130によって実行される上記方法200は、動力電池110の内部抵抗Rを取得することと、動力電池110の内部抵抗Rに基づいて、短絡回路のオン周波数fを決定することと、オン周波数fに基づいて、短絡回路をオンにするように制御することとをさらに含んでもよい。
【0079】
ここで、動力電池110の内部抵抗Rが小さいほど、オン周波数fが高くなる。図4に示すように、f=1/Tである。
【0080】
低周波では、動力電池110の電流Iと動力電池110の電圧Uとの間の関係は、
【数1】
とする。
【0081】
高周波では、動力電池110の電流Iと動力電池110の電圧Uとの間の関係は、
【数2】
とし、
ここで、Dは、デューティであり、fは、短絡回路のオン周波数である。
【0082】
I=0の場合、上の式は、
【数3】
に解くことができる。
【0083】
fが大きくなり、変数tが0に近づくと、上の式は、
【数4】
と等価であり得、
ここで、Lは、スイッチの寄生容量を表す。
【0084】
このように、1つの加熱周期内に、電流Iの実効値は、
【数5】
程度になり得、
ここで、2fL/Dは、高周波加熱時の等価外部抵抗、即ち動力電池110の高周波加熱時のモデルの境界条件と定義されてもよい。
【0085】
周波数fを大きくすることにより、短絡回路における電流Iを減少させることができることが分かる。
【0086】
一実施形態では、図10に示すように、動力電池110には、容量分岐路126がさらに並列接続されており、容量分岐路126は、直列接続された容量Cと第1のスイッチ124とを含み、この方法は、短絡回路をオンにするように制御する前に、第1のスイッチ124をオフにするように制御することをさらに含む。
【0087】
容量Cは、一般的に、動力電池110の両端の電圧を安定化するための定電圧作用を果たすため、定電圧容量とも呼ばれる。短絡回路を形成する時、容量Cが一部の電流Iを分割するため、加熱効率を低減させる。一方、容量Cが存在する分岐路に第1のスイッチ124を設置し、且つ加熱中に第1のスイッチ124をオフにするように制御することにより、容量Cによる動力電池110の加熱プロセスへの影響を防止し、加熱効率を向上させることができる。
【0088】
図10における容量Cと第1のスイッチ124との間は、直列接続されており、実際の応用において、複数の定電圧容量が存在する場合、複数の容量と第1のスイッチ124との間は、他の接続関係によって接続されてもよく、例えば図11Aから図11Bに示す容量C1と容量C2とを直列接続する場合及び並列接続する場合の第1のスイッチ124の位置であってもよい。
【0089】
理解すべきこととして、動力電池110の内部抵抗Rが小さいほど、短絡回路における電流Iは、速く増加し、例えば液体電池について、短絡回路における電流Iは、0.5 ms以内に7000A以上に急速に上昇することができ、大電流による動力電池110への損傷を回避するために、スイッチデバイスをより高い周波数で切り替える必要があり、それによって短絡回路のオンとオフの時間を制御し、動力電池110が加熱中に損傷することを防止し、加熱プロセスの安全性を確保する。
【0090】
本出願の実施例は、動力電池110のタイプに対して限定しないが、内部抵抗Rが小さすぎると、短絡回路における電流Iが急速に比較的大きい値になり、スイッチデバイスの耐性がより高く要求される。そのため、いくつかの実現形態では、動力電池110は、固体電池であり、又は内部抵抗が予め設定される値よりも大きい動力電池であってもよい。この予め設定される値は、スイッチデバイスの耐性程度に応じて決定されてもよく、それによってスイッチデバイスの切り替え周波数がその許容範囲内にあることを確保し、且つ短絡回路における電流Iが比較的大きくて安全上の問題を発生させないようにする。
【0091】
本出願の実施例は、加熱方式をさらに提供し、即ち、動力電池110の両端に第3のスイッチ127を並列接続し、図12に示すように、動力電池110を加熱する時、スイッチ127を閉じてもよく、それによって動力電池110と第3のスイッチ127とからなる短絡回路を形成する。
【0092】
一実施形態では、制御回路130によって実行される方法200には、動力電池110のBMSによって送信された加熱停止信号を受信することと、この加熱停止信号に基づいて、動力電池110の加熱を停止するように、短絡回路をオフにするように制御することとがさらに含まれてもよい。
【0093】
図13は、上記方法200の可能な具体的な実現形態を示し、図13に示すように、具体的に以下のステップにおける一部又はすべてを含む。
【0094】
ステップ301:BMSによって送信された加熱信号を受信し、
ステップ302:加熱信号に基づいて、少なくとも1つのブリッジアームを制御して動力電池110の短絡回路を形成し、
ステップ303:短絡回路における電流Iが動力電池110の許容放電電流Iを超えるかどうか、及び/又は、電圧Uが最小放電電圧Uを下回るかどうかを判断し、
ここで、I≧I及び/又はU≦Uである場合、ステップ304を実行し、I<I及び/又はU>Uである場合、ステップ305を実行し、
ステップ304:オンデューティに基づいて、短絡回路のオンオフを制御し、
ステップ305:短絡回路をオンに維持し、
ステップ306:BMSによって送信された加熱停止信号を受信し、且つ加熱停止信号に基づいて短絡回路をオフにする。
【0095】
理解すべきこととして、ステップ303は、周期的に実行される必要があり、つまり、加熱プロセスの安全性を確保するために、電流Iと流Iの関係、及び/又は電圧Uと電圧の関係を周期的に決定する必要がある。
【0096】
好ましい実施例を参照して本出願を記述したが、本出願の範囲を逸脱することなく、それに様々な改良を加えることができ、且つそのうちの部材を等価物と置き換えることができる。特に、構造的衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わされてもよい。本出願は、本文に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0097】
100 電池加熱システム
110 動力電池
120 スイッチ回路
121,122,123 ブリッジアーム
1211,1221,1231 上ブリッジアーム
1212,1222,1232 下ブリッジアーム
124 第1のスイッチ
125 第2のスイッチ
126 容量分岐回路
127 第3のスイッチ
130 制御回路
140 モータ
C,C1,C2 容量
L1,L2,L3 巻線
V11,V12,V21,V22,V31,V32 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13