(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】機能部品組立体およびそれを備えたタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20250521BHJP
【FI】
B60C19/00 B
(21)【出願番号】P 2022050180
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2024-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 太智
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-164112(JP,A)
【文献】特開2018-094968(JP,A)
【文献】特開2018-197047(JP,A)
【文献】米国特許第06899153(US,B1)
【文献】国際公開第2021/186838(WO,A1)
【文献】特開2019-093947(JP,A)
【文献】特開2009-198505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品と、前記機能部品を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体とからなる機能部品組立体であって、
前記支持体は、シート状の基部と、前記基部の一方の面から突き出した側壁からなり前記機能部品の少なくとも一部を収容する収容部とを備え、前記基部の他方の面がタイヤ内表面への取付面であり、
前記機能部品は、係止部を介して前記収容部内に固定され、
前記係止部は、前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の一方に設けられて前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の他方に向かって突き出た凸部と、前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の他方に設けられて前記凸部に接する受け部とからなる対で構成され、前記凸部が前記受け部に接することで前記機能部品を前記収容部内に固定し、
前記機能部品が前記支持体に収容されていない状態において、前記支持体側の係止部の前記側壁の下端からの高さをHとし、前記機能部品側の係止部
の底面からの高さをhとしたとき、これら高さHおよびhが1.00<h/H≦1.40の関係を満たすことを特徴とする機能部品組立体。
【請求項2】
前記機能部品を前記支持体に収容した状態において、前記支持体側の係止部の前記側壁の下端からの高さをH′とし、前記機能部品の最大厚さをTとしたとき、これらが5.0mm≦T≦30.0mm、且つ、0.30≦H′/T≦1.00の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の機能部品組立体。
【請求項3】
前記機能部品の水平方向の最大長さをLとし、前記凸部の突き出し量をLHとし、前記凸部の厚さをLVとしたとき、これらが5.0mm≦L≦35.0mm、0.04≦LH/L≦0.40、および、0.10≦LH/LV≦3.00の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の機能部品組立体。
【請求項4】
前記機能部品の外形が円柱状であり、前記収容部が前記機能部品に対応する円筒状であり、前記側壁の周上における前記係止部の投影長さの合計が前記側壁の周長の3/4倍~1倍であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項5】
前記収容部の前記側壁の高さ方向および前記機能部品の高さ方向に沿って複数の係止部が設けられたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項6】
前記機能部品がタイヤ情報を取得するセンサを含み、前記センサが圧電素子を含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項7】
前記支持体を構成するゴムの破断伸びEBが50%~900%であり、前記支持体を構成するゴムの300%伸張時のモジュラスが2MPa~16MPaであることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の機能部品組立体。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の機能部品組立体がタイヤ内表面に取付けられたことを特徴とするタイヤ。
【請求項9】
前記機能部品がタイヤ情報を取得するセンサを含み、前記センサとタイヤ内表面との最短距離が5mm以下であることを特徴とする請求項
8に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記支持体がタイヤ内表面に固定される一方で、前記機能部品は前記支持体から脱着可能であることを特徴とする請求項
8または9に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記支持体が接着層を介してタイヤ内表面に固定されていることを特徴とする請求項
8~10のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項12】
前記機能部品組立体が取り付けられたタイヤのタイヤ情報を定期的に自動で送信することを特徴とする請求項
8~11のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品とその支持体とからなる機能部品組立体と、それを備えたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内圧や温度等のタイヤ内部情報を取得するセンサを含むセンサユニット(機能部品)をタイヤ内腔に設置することが行われている。このような機能部品をタイヤ内表面に取り付けるために、機能部品の台座として機能する支持体をタイヤ内表面に接着し、その支持体の内部に機能部品を収納することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、支持体によって機能部品が十分に保持されていないと、走行時の衝撃等で機能部品が脱落したり、破損する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、機能部品の脱落を防止し、且つ耐破損性を向上することを可能にした機能部品組立体と、それを備えたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の機能部品組立体は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品と、前記機能部品を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体とからなる機能部品組立体であって、前記支持体は、シート状の基部と、前記基部の一方の面から突き出した側壁からなり前記機能部品の少なくとも一部を収容する収容部とを備え、前記基部の他方の面がタイヤ内表面への取付面であり、前記機能部品は、係止部を介して前記収容部内に固定され、前記係止部は、前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の一方に設けられて前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の他方に向かって突き出た凸部と、前記収容部の前記側壁または前記機能部品の前記側壁に接触する部位の他方に設けられて前記凸部に接する受け部とからなる対で構成され、前記凸部が前記受け部に接することで前記機能部品を前記収容部内に固定し、前記機能部品が前記支持体に収容されていない状態において、前記支持体側の係止部の前記側壁の下端からの高さをHとし、前記機能部品側の係止部の底面からの高さをhとしたとき、これら高さHおよびhが1.00<h/H≦1.40の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、凸部と受け部からなる対で構成された係止部が、収容部の側壁と機能部品において該側壁に接触する部位とに設けられて、凸部が受け部に接することで機能部品が収容部内に固定されているので、機能部品がタイヤ内表面に対して垂直方向へ移動することを抑制することができる。また、支持体側の係止部の高さHと機能部品側の係止部の高さhとが上述の関係を満たすので、凸部と受け部が接する際に、機能部品はタイヤ内表面側に向かって押し付けられることになり、機能部品の脱落を効果的に防止し、且つ、耐破損性を向上することができる。
【0007】
本発明においては、機能部品を支持体に収容した状態において、支持体側の係止部の側壁の下端からの高さをH′とし、機能部品の最大厚さをTとしたとき、これらが5.0mm≦T≦30.0mm、且つ、0.30≦H′/T≦1.00の関係を満たすことが好ましい。このような寸法にすることで、機能部品の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。特に、機能部品の最大厚さTが上述の範囲内であることで、機能部品を収容した際に収容部の側壁にかかる負荷を抑制することができる。また、比H′/Tが上述の範囲内であることで、機能部品の脱落を効果的に防止することができる。
【0008】
本発明においては、機能部品の水平方向の最大長さをLとし、凸部の突き出し量をLHとし、凸部の厚さをLVとしたとき、これらが5.0mm≦L≦35.0mm、0.04≦LH/L≦0.40、および、0.10≦LH/LV≦3.00の関係を満たすことが好ましい。このような寸法にすることで、嵌合凸部が適度な大きさになり、機能部品の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。
【0009】
本発明においては、機能部品の外形が円柱状であり、収容部が機能部品に対応する円筒状であり、側壁の周上における係止部の投影長さの合計が側壁の周長の3/4倍~1倍であることが好ましい。機能部品の外形が円柱状かつ収容部が機能部品に対応する円筒状である態様の場合、上記のように側壁の周上における係止部の長さを確保することで、機能部品の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。
【0010】
本発明においては、収容部の側壁の高さ方向および機能部品の高さ方向に沿って複数の係止部が設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、複数の係止部のそれぞれによって機能部品が収容部に固定されるので、より強固な固定が可能になり、機能部品の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。
【0011】
本発明においては、機能部品の外形が円柱状であり、収容部が前記機能部品に対応する円筒状であり、係止部が螺旋状に設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、螺旋状の係止部が実質的にネジとして機能するので、機能部品を回転させて収容部に固定することができ、より強固且つ安定的な固定が可能になる。
【0012】
本発明においては、機能部品がタイヤ情報を取得するセンサを含み、センサが圧電素子を含む仕様にすることもできる。この仕様の場合、前述のように機能部品がタイヤ内表面側に向かって押し付けられることで、振動等をより正確に検知することが可能になる。
【0013】
本発明においては、支持体を構成するゴムの破断伸びEBが50%~900%であり、支持体を構成するゴムの300%伸張時のモジュラスが2MPa~16MPaであることが好ましい。これにより、機能部品を支持体(収容部)に挿入する際の作業性および支持体の保持性と支持体の耐破断性とをバランス良く改善することができる。なお、支持体を構成するゴムの破断伸びおよび300%伸張時のモジュラスは、JIS‐K6251に準拠して測定したものである。
【0014】
本発明の機能部品組立体はタイヤ内表面に取り付けて使用される。本発明の機能部品組立体がタイヤ内表面に取付けられたタイヤ(以下、「本発明のタイヤ」という)は、本発明の機能部品組立体の上述の特徴により、機能部品の脱落が効果的に防止され、且つ、耐破損性を向上することができる。尚、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。空気入りタイヤの場合は、その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体を充填することができる。
【0015】
本発明のタイヤにおいては、機能部品がタイヤ情報を取得するセンサを含み、センサとタイヤ内表面との最短距離が5mm以下であることが好ましい。このようにセンサをタイヤ内表面に接近させることでタイヤ情報を取得しやすくなるが、上述の本発明の機能部品組立体を用いることで、センサをタイヤ内表面に接近した好適な位置に、より強固かつ安定的に固定することが可能になる。
【0016】
本発明のタイヤにおいては、支持体がタイヤ内表面に固定される一方で、機能部品は支持体から脱着可能である仕様にすることもできる。この仕様では、支持体をタイヤ内表面に残した状態で、その中に収容される機能部品だけを交換することが可能になるので、コスト低減の面で有利になる。
【0017】
本発明のタイヤにおいては、支持体が接着層を介してタイヤ内表面に固定された仕様にすることもできる。また、本発明のタイヤにおいては、機能部品組立体が取り付けられたタイヤのタイヤ情報を定期的に自動で送信する仕様にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
【
図2】
図1のタイヤに取り付けられた機能部品組立体を示す斜視断面図である。
【
図3】機能部品組立体を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図2の機能部品組立体における支持体を示す斜視断面図である。
【
図5】機能部品組立体の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図6】機能部品組立体の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図7】機能部品組立体の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図8】機能部品が支持体に収容されていない状態の機能部品組立体を模式的に示す断面図である。
【
図9】機能部品組立体(支持体)の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図10】機能部品組立体(支持体)の別の実施形態を模式的に示す上面図および斜視断面図である。
【
図11】機能部品組立体の更に別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図12】機能部品組立体(支持体)の更に別の実施形態を模式的に示す斜視断面図である。
【
図13】機能部品組立体の更に別の実施形態を模式的に示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本発明の機能部品組立体が取り付けられるタイヤ(空気入りタイヤ)は、例えば
図1に示すように、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。
図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、
図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
【0021】
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(以下、カーカスコードという)を含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。
【0022】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(以下、ベルトコードという)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定することができる。ベルト層7を構成するベルトコードとしては、例えばスチールコードが好ましく使用される。
【0023】
更に、ベルト層7の外周側には、ベルトカバー層8が設けられている。ベルトカバー層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(以下、カバーコードという)を含む。ベルトカバー層8において、カバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定することができる。ベルトカバー層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層8aや、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bをそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方が設けられている)。ベルトカバー層8を構成するカバーコードとしては、例えばナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0024】
本発明は、主として後述の機能部品組立体10に関するものであるので、機能部品組立体10が装着されるタイヤの基本的な構造は上述のものに限定されない。
【0025】
図1の例では、タイヤ内表面(トレッド部1のタイヤ幅方向中心)に、機能部品組立体10が取り付けられている。機能部品組立体10の取付位置は特に限定されないが、機能部品組立体10に含まれるセンサがタイヤトレッド情報を取得する場合は、図示のように、機能部品組立体10はトレッド部1のタイヤ幅方向中心に設けるとよい。
【0026】
図2に拡大して示すように、機能部品組立体10は、タイヤの状態を検出する機能を有する機能部品20と、機能部品20を収容してタイヤ内表面に取付けられる支持体30で構成される。
【0027】
機能部品20は、例えば
図2に示すように、筐体21と電子部品22とを含むものである。筐体21は中空構造を有し、その内部に電子部品22を収容する。電子部品22は、タイヤ情報を取得するためのセンサ23、送信機、受信機、制御回路及びバッテリー等を適宜含むように構成される。センサ23により取得されるタイヤ情報としては、空気入りタイヤの内部温度や内圧やトレッド部1の摩耗量、路面状態、タイヤ変形、接地長、接地幅、荷重、振動、車輪回転速度、加速度等を挙げることができる。例えば、内部温度や内圧の測定には温度センサや圧力センサが使用される。トレッド部1の摩耗量を検出する場合、センサ23として、タイヤ内表面に直接または間接的に当接する圧電センサ(圧電素子)を用いることができ、その圧電センサ(圧電素子)が走行時のタイヤ変形・振動・衝撃に応じた出力電圧を検出し、その出力電圧に基づいてトレッド部1の摩耗量を検出する。尚、圧電センサ(圧電素子)は、タイヤ内表面に対して筐体21や後述の支持体を介して間接的に当接していても走行時のタイヤ変形・振動・衝撃に応じた出力電圧を検出することができる。それ以外に、加速度センサや磁気センサを使用することも可能である。また、機能部品20は、センサ23により取得されたタイヤ情報をタイヤ外部に送信するよう構成されている。このタイヤ情報の送信は、定期的かつ自動的に行われるようにするとよい。尚、
図2に示す機能部品20の内部構造は機能部品の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0028】
機能部品20(筐体21)の外形は、特に限定されないが、
図2,3に示すように、タイヤ内表面に直接または間接的に当接する底面20Aと、タイヤ内腔側に面する上面20Bと、これら底面20Aと上面20Bとの間に介在して後述の支持体の側壁に当接する側面20Cとを有することが好ましい。そのような形状としては、円柱状(
図2)や直方体状(不図示)を挙げることができる。尚、いずれの場合も、厳密な円柱や直方体である必要はなく、例えば角部が面取りされていてもよい。また、図示のように側面20Cが断面において直線状である必要はなく、側面20Cが円弧状(例えば支持体30の側壁30Aに向かって凸となる湾曲形状)であってもよい。このような形状において、支持体30の側壁に当接する部位(側面20C)には後述の係止部40が設けられる。
【0029】
支持体30は、機能部品20を収容するものである。支持体30は、
図4に示すように、機能部品20が挿入される収容部31を有する。図示の例では、シート状の基部32の一方側の面に収容部31が設けられ、他方側の面がタイヤ内表面に対して取り付けられる取付面である。支持体30は、タイヤ内表面に加硫接着してもよく、加硫済みのタイヤに接着層50を介して接着してもよい。支持体30は例えばゴム製であるとよい。即ち、支持体30がゴム製であると、収容部31から機能部品20を出し入れする際に伸び縮みするので好適である。
【0030】
支持体30の材料として、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)等を例示することができ、単独または二種以上を混合したブレンド体を用いることができる。これらの材料はタイヤ内表面を構成するブチルゴムとの接着性に優れているので、支持体30が上記材料から構成された場合、支持体30とタイヤ内表面との十分な接着性を確保することができる。
【0031】
支持体30を構成するゴムの物性は特に限定されないが、機能部品20を支持体30(収容部31)に挿入する際の作業性、支持体30による機能部品20の保持性、支持体30の耐破断性等の観点から、破断伸びEBは好ましくは50%~900%、300%伸張時のモジュラスは好ましくは2MPa~16MPaであるとよい。このような物性とすることで、前述の各特性(機能部品20を支持体30に挿入する際の作業性、支持体による機能部品20の保持性、支持体30の耐破断性)をバランス良く改善することができる。
【0032】
図4の例では、支持体30の収容部31は、機能部品20の周囲を囲む側壁30Aと、機能部品を収容した際に機能部品20の底面20Aが当接する接触面30Bとを含む。収容部31は、機能部品20(筐体21)の外形に対応する形状を有するとよい。例えば、機能部品20(筐体21)の外形が円柱状の場合は、収容部30は、機能部品20(筐体21)の円柱状に対応した円筒状であるとよく、機能部品20(筐体21)の外形が直方体状の場合は、収容部30は、機能部品20(筐体21)が収まる直方体状の窪みであるとよい。このような形状において、支持体30の側壁30Aには後述の係止部40が設けられる。
【0033】
支持体30はタイヤ内表面に取り付けられるので、必ずしも上述の接触面30Bを備える必要はない。即ち、
図5に示すように、収容部31が機能部品20の周囲を囲む側壁30Aのみで構成されていてもよい。この場合、側壁30Aとタイヤ内表面とで囲まれた空間が収容部31となり、機能部品20を収容することができる。この場合、収容部31に収容された機能部品20はタイヤ内表面(図中の斜線部)に直接接触するので、タイヤ情報を取得するには有利になる。この場合も支持体30の側壁30Aには後述の係止部40が設けられる。
【0034】
支持体30の収容部31は、機能部品20の全体を収容する必要はなく、少なくとも一部を収容できればよい。例えば、
図6の例では、側壁30Aの高さが機能部品20よりも低くなっており、側壁30Aの上端に後述の係止部40が設けられている。このように機能部品20の全体が収容部31に収容されなくても、後述の係止部40によって機能部品20が収容部30内に固定されるので、機能部品20の脱落は防止される。
【0035】
機能部品20および支持体30に設けられる係止部40は、凸部41と受け部42とからなる対で構成され、凸部41を受け部42が受け止めることで機能部品20を収容部30内に固定する。例えば
図3の態様では、係止部40は、凸部41(嵌合凸部)と受け部42(嵌合凹部)とからなる対で構成され、
図3に示すように、嵌合凸部41が嵌合凹部42に嵌合することで機能部品20を収容部30内に固定する。嵌合凸部41および嵌合凹部42の一方は収容部30側(側壁30A)に設けられ、嵌合凸部41および嵌合凹部42の他方は機能部品20側(側面20C)に設けられる。つまり、支持体30側に嵌合凸部41が設けられる場合(
図3(a)の場合)は、機能部品20側に嵌合凹部42が設けられる。逆に、機能部品20側に嵌合凸部41が設けられる場合(
図3(b)の場合)は、支持体30側に嵌合凹部42が設けられる。このように係止部40が収容部30の側壁30Aと機能部品20の側面20Cとに設けられて、嵌合凸部41が嵌合凹部42に嵌合することで機能部品20が収容部30内に固定されているので、機能部品20がタイヤ内表面に対して垂直方向へ移動することを抑制することができ、機能部品20の脱落を効果的に防止することができる。
【0036】
図3のような係止部40(嵌合凸部41と嵌合凹部42との組み合わせ)の他に、例えば、
図7の態様のように、収容部30側の凸部41として側壁30Aの上端に機能部品側に向かって突き出た凸部41を設けてもよい。この態様では、凸部41に接する機能部品20の上面20Bが受け部42として機能し、機能部品20がタイヤ内表面に対して垂直方向へ移動することが抑制される。
【0037】
図8に示すように機能部品20が支持体30に収容されていない状態において、支持体30側の係止部40(図示の例では嵌合凸部41)の側壁30Aの下端からの高さをHとし、機能部品20側の係止部40(図示の例では嵌合凹部42)の底面20Aからの高さをhとしたとき、これら高さの比h/Hは1.00<h/H≦1.40、好ましくは1.01≦h/H≦1.20の関係を満たす。このような比h/Hの関係を満たすことで、嵌合凸部41が嵌合凹部42に嵌合する際に、機能部品20はタイヤ内表面側に向かって押し付けられることになり、機能部品20の脱落を効果的に防止し、且つ、耐破損性を向上することができる。比h/Hが1.00以下であると機能部品20をタイヤ内表面側に向かって押し付けることができず、機能部品20の脱落を防止する効果が十分に得られなくなる。比h/Hが1.40を超えると、機能部品20を収容した際に支持体30の側壁30Aの根元(側壁30Aと接触面30Bとの境界付近)に負荷がかかり、機能部品組立体が破損しやすくなる。
【0038】
尚、高さHは、図示のように、支持体30側の係止部40において側壁30Aの下端に最も近い点を基準に測定される。つまり、支持体30が接触面30Bを有する場合は、側壁30Aの下端は接触面30Bと一致するので、高さHは、接触面30Bから係止部40(接触面30Bに最も近い点)までの高さである。また、支持体30が接触面30Bを有さない場合は、側壁30Aの下端はタイヤ内表面と一致するので、高さHは、タイヤ内表面から係止部40(タイヤ内表面に最も近い点)までの高さである。同様に、高さhは、図示のように、機能部品20側の係止部40において底面20Aに最も近い点を基準に測定される。つまり、高さhは、いずれの場合も、底面20Aから係止部40(底面20Aに最も近い点)までの高さである。
【0039】
図3および
図5~7に示すように機能部品20を支持体30に収容した状態において、支持体30側の係止部40の側壁30Aの下端(接触面30Bまたはタイヤ内表面)からの高さをH′とし、機能部品20の最大厚さをTとしたとき、これらの比H′/Tは、好ましくは0.30≦H′/T≦1.00、より好ましくは0.60≦H′/T≦1.00の関係を満たすとよい。このとき、最大厚さTは好ましくは5.0mm≦T≦30.0mm、より好ましくは5.0mm≦T≦20.0mmに設定するとよい。このような寸法にすることで、機能部品20の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。特に、機能部品20の最大厚さTが上述の範囲内であることで、機能部品20を収容した際に収容部30の側壁30Aにかかる負荷を抑制することができる。また、比H′/Tが上述の範囲内であることで、機能部品20の脱落を効果的に防止することができる。比H′/Tが0.30未満であると、係止部40と接触面30Bとに挟まれた部分(安定的な固定に寄与する部分)が少なくなるので、機能部品20の脱落を防止する効果が低下する虞がある。比H′/Tが1.00を超えると、機能部品20をタイヤ内表面側に向かって押し付けることができず、機能部品20の脱落を防止する効果が十分に得られなくなる。また、最大厚さTが5.0mm未満であると薄いことで機能部品自体の耐破損性が低下する。また、最大厚さTが30.0mmを超えると機能部品が重くなり機能部品への衝撃が大きくなり機能部品自体の耐破損性が低下する。
【0040】
係止部40の寸法は特に限定されないが、
図8に示すように、機能部品20の水平方向の最大長さをLとし、嵌合凸部41の突き出し量をLHとし、嵌合凸部41の厚さをLVとしたとき、比LH/Lが、好ましくは0.04≦LH/L≦0.40、より好ましくは0.06≦LH/L≦0.20の関係を満たすとよい。また、比LH/LVが好ましくは0.10≦LH/LV≦3.00、より好ましくは1.00≦LH/LV≦2.00の関係を満たすことが好ましい。このとき、最大長さLは好ましくは5.0mm≦L≦35.0mm、より好ましくは10.0mm≦L≦30.0mmに設定するとよい。このような寸法にすることで、嵌合凸部41が適度な大きさになり、機能部品20の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。比LH/Lが0.04未満であると、嵌合凸部41が小さすぎるため、機能部品20の脱落を防止する効果が低減する。比LH/Lが0.40を超えると、嵌合凸部41が大きすぎるため、機能部品20の着脱が困難になる虞がある。比LH/LVが0.10未満であると、嵌合凸部41の厚さLVに対して突き出し量LHが過小になるため、タイヤへの衝撃によって機能部品20が脱落しやすくなる。比LH/LVが3.00を超えると、嵌合凸部41の厚さLVに対して突き出し量LHが過大になるため、嵌合凸部41の根元(嵌合凸部41と嵌合凸部41が設けられた側壁30Aまたは側面20Cとの境界)に負荷がかかりやすくなり耐久性が低下する。尚、図示の断面形状において、左右の側壁30A(または側面20C)の両方に嵌合凸部41が設けられる場合、これら嵌合凸部41の突き出し量LH、厚さLVは共通の寸法であることが好ましい。
【0041】
尚、係止部40(凸部41)は、機能部品20の水平方向に沿って突き出している必要はなく、
図9に示すように、凸部41の先端がタイヤ内表面側を向くように傾斜していてもよい。この態様の場合、凸部41が傾斜することで機能部品20が抜け落ちる方向への動きを抑制するには有利になる。尚、この態様では凸部41自体は傾斜しているが、上述の突き出し量LH、厚さLVは、
図9に示すように、水平方向または鉛直方向に沿って測定される。
【0042】
図10に示すように、機能部品20の外形が円柱状であり、収容部31が機能部品20に対応する円筒状である場合、係止部40(凸部41および受け部42)は側壁30Aおよび側面20Cの全周に亘って形成されている必要はない。図示の例では、複数の円弧状の係止部40(支持体30側に設けられた凸部41)が、側壁30Aに間欠的に設けられている(図示されていないが、機能部品20側にはこの凸部41に対応する受け部42が設けられる)。このような態様では、側壁30Aの周上における係止部40の投影長さαの合計は側壁30Aの周長(全周)の好ましくは75%~100%、より好ましくは90%~100%であるとよい。このように側壁30A(および側面30C)の周上に十分な量の係止部40を設けることで、機能部品20の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。尚、機能部品20を強固に固定する観点からは、係止部40は側壁30Aおよび側面20Cの全周に亘って形成されることが好ましいが、機能部品20の形状や、機能部品20を着脱する際の操作性の観点から、上述の長さの範囲内で、係止部40を間欠的に設けることも好ましい。尚、「側壁の周上における係止部の投影長さαの合計」とは、
図10に示すように収容部31を上側(機能部品20が挿入される開口側)から見たときの係止部40の長さの合計である。また、収容部30を上側から見たときに係止部40どうしが重複している場合、収容部30の上側から見えた部分の長さのみの合計を意味する。
【0043】
図11に示すように、収容部31の側壁30Aの高さ方向および機能部品20の壁面20Cの高さ方向に沿って複数の係止部40が設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、複数の係止部40のそれぞれによって機能部品20が収容部31に固定されるので、より強固な固定が可能になり、機能部品20の脱落を防止し、且つ、耐破損性を向上するには有利になる。この場合も、機能部品20が支持体30に収容されていない状態における、支持体側30の係止部40の高さHと、機能部品20側の係止部40の高さhとは、上述の関係を満たすことが好ましい。詳述すると、機能部品20が支持体30に収容されていない状態において、支持体30側の複数の係止部40の高さ(側壁30Aの下端からの高さ)を小さい順にH
1,H
2,H
3・・・と定義し、機能部品20側の複数の係止部40の高さ(底面20Aからの高さ)を小さい順にh
1,h
2,h
3・・・と定義したとき、互いに嵌合する係止部40どうしの高さの比h
1/H
1,h
2/H
2,h
3/H
3・・・は、それぞれ1.00超1.40以下、好ましくは1.01以上1.20以下の関係を満たすとよい。また、比h
1/H
1,h
2/H
2,h
3/H
3・・・は互いに同程度であることが好ましく、接触面30Bまたは面20A側からn番目の各高さをH
n,h
n(nは1以上の自然数)と表したとき、(h
n/H
n)×0.9<h
n+1/H
n+1<(h
n/H
n)×1.1の関係を満たすことが好ましい。これにより、複数の係止部40の間で係止力の偏りが抑制されるので、係止部40の損傷を抑制することができる。
【0044】
図12に示すように、機能部品20の外形が円柱状であり、収容部31が機能部品20に対応する円筒状である場合に、係止部40を螺旋状に設けることもできる。図示の例では、螺旋状の係止部40(凸部41)が設けられた支持体30のみを示しているが、機能部品20(筐体21)にもこの螺旋と対応する形状の係止部40(受け部42)が設けられる。この仕様では、螺旋状の係止部40が実質的にネジとして機能するので、機能部品20を回転させて収容部31に固定することができる。そのため、機能部品20をタイヤ内表面や支持体30の接触面30Bに対して平行に装着することが可能になる。また、機能部品20を収容部31に挿入する際の係止部への負荷を低減し、さらに、より強固且つ安定的な固定が可能になる。
【0045】
上述の説明では、いずれの場合も係止部40は、収容部31の内側に設けられていたが、機能部品20(筐体21)の形状によっては、収容部31の外側に係止部40を設けることもできる。例えば、
図13の態様では、機能部品20(筐体21)が収容部31に収まる本体部21Aと収容部31(側壁30A)に接する外側部分21Bとを含み、機能部品20(筐体21)の本体部21Aが収容部31に収容されたときに、外側部21Bが収容部31(側壁30A)の外周を覆うようになっている。この態様の場合、収容部31(側壁30A)の外側に係止部40(凸部41)を設け、機能部品20(外側部21Bの側壁30Aに接する部分)に係止部40(受け部42)を設けることができる。
図13の態様の場合も、上述の寸法や各種構造(例えば、複数の係止部40、螺旋状の係止部40など)は適宜組み合わせることができる。
【0046】
上述の機能部品組立体を使用した場合、機能部品20を強固かつ安定的に固定することが可能になる。そのため、機能部品20に含まれるセンサ23をタイヤ情報の取得に適した位置に配置しやすくなる。このことから、機能部品20に含まれるセンサ23とタイヤ内表面との最短距離を好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下に設定するとよい。このようにセンサ23をタイヤ内表面に接近させることでタイヤ情報を取得しやすくなるが、上述の本発明の機能部品組立体を用いることで、より容易かつ確実にセンサをタイヤ内表面に接近した好適な位置に配置することが可能になる。
【0047】
上述の機能部品組立体を使用した場合、係止部40は凸部41と受け部42とが組み合わされることで係止されるので、逆に、この状態を解除すると、機能部品20を支持体30から取り外すことが可能になる。係止部40が嵌合凸部41および嵌合凹部42からなる場合を例にすると、嵌合凸部41が嵌合凹部42に嵌合することで係止されるので、逆に、この嵌合状態を解除すると、機能部品20を支持体30から取り外すことが可能になる。そこで、支持体30をタイヤ内表面に固定する一方で、機能部品20は支持体30から脱着可能である仕様にしてもよい。この仕様では、支持体30をタイヤ内表面に残した状態で、その中に収容される機能部品20だけを交換することが可能になるので、環境負荷やコストを軽減する点で有利になる。
【0048】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
タイヤサイズが275/40R21であり、
図1に示す基本構造を有し、タイヤ内表面に設けられた機能部品組立体に関して、係止部の形状、機能部品が支持体に収容されていない状態における支持体側の係止部の高さHと機能部品側の係止部の高さhとの比h/H、機能部品の最大厚さT、機能部品を支持体に収容した状態における支持体側の係止部の高さH′と最大厚さTとの比H′/T、機能部品の水平方向の最大長さL、嵌合凸部の突き出し量LHと最大長さLとの比LH/L、嵌合凸部の厚さLVと突き出し量LHとの比LH/LV、側壁の周長に対する側壁の周上における係止部の投影長さαの合計の割合を表1~2のように設定した比較例1~2、実施例1~17の空気入りタイヤ(試験タイヤ)を製作した。
【0050】
表1,2の係止部の形状の欄は、対応する図面の番号を記載した。実施例3は、
図11に示されるように複数の係止部が設けられた例であるが各係止部における各種寸法は共通であり、表に示した通りの値である。実施例4は、
図12に示されるように螺旋状の係止部が設けられた例であるが、断面視における周回部分をそれぞれ係止部と見做して(つまり、断面視において複数の係止部を備えると見做して)各種寸法を提示した。
【0051】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、耐脱落性および耐破損性を評価し、その結果を表1~2に併せて示した。
【0052】
耐脱落性
各試験タイヤを、リムサイズ21×9.5Jのホイールに組み付け、ドラム径1707mmのドラム試験機に装着し、空気圧を360kPaとし、最大負荷荷重の88%を負荷した状態で、走行速度をタイヤの速度記号に応じた基準速度から10分毎に10km/h増加させ、速度毎に機能部品の脱落の有無を確認し、脱落が発生した際の速度を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数で示し、指数値が大きいほど脱落時の速度が大きく、耐脱落性に優れることを意味する。
【0053】
耐破損性
各試験タイヤを、リムサイズ21×9.5Jのホイールに組み付け、ドラム径1707mmのドラム試験機に装着し、空気圧を360kPaとし、最大負荷荷重の88%を負荷した状態で、走行速度をタイヤの速度記号に応じた基準速度から10分毎に10km/h増加させ、速度毎に機能部品組立体の破損状態を確認し、破損が発生した際の速度と機能部品の破損状態を総合して、耐破損性を評価した。評価結果は、従来例1を100とする指数で示し、指数値が大きいほど破損時の速度が大きく、また破損が小さく、耐破損性に優れることを意味する。
【0054】
【0055】
【0056】
表1~2から判るように、実施例1~17は、標準例1との対比において、耐脱落性および耐破損性を向上した。一方、比較例1は、比h/Hが1よりも小さいため機能部品をタイヤ内表面に押し付ける効果が得られず耐脱落性が悪化した。比較例2は、比h/Hが1よりも大きいため機能部品をタイヤ内表面に押し付ける効果は得られて機能部品の脱落は防止できるものの、比h/Hが大きすぎるため耐破損性が悪化した。
【符号の説明】
【0057】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 機能部品組立体
20 機能部品
30 支持体
40 係止部
41 凸部(嵌合凸部)
42 受け部(嵌合凹部)
CL タイヤ赤道