(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】トポロジー絶縁体表面発光レーザシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 5/42 20060101AFI20250521BHJP
H01S 5/11 20210101ALI20250521BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20250521BHJP
【FI】
H01S5/42
H01S5/11
H01S5/183
(21)【出願番号】P 2022564536
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 IL2021050489
(87)【国際公開番号】W WO2021220276
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-03-11
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522413157
【氏名又は名称】テクニオン リサーチ アンド ディベロップメント ファウンデイション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Technion Research and Development Foundation Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】522413168
【氏名又は名称】ユリウス-マクシミリアン-ウニヴェルズィテート ヴュルツブルク
【氏名又は名称原語表記】Julius-Maximilians-Universitat Wurzburg
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】セゲヴ,モルデチャイ
(72)【発明者】
【氏名】ホフリング,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】クレムト,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ディコポルツェフ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー,トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】ルースティグ,エラン
(72)【発明者】
【氏名】ルメール,ヤーコフ
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110932091(CN,A)
【文献】特開2019-029522(JP,A)
【文献】特表平05-508971(JP,A)
【文献】特開平06-252504(JP,A)
【文献】特開2008-311625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面内に
位置する複数のユニットセルに配置された複数のレーザ発振ユニットを備え、トポロジー構造を形成するように構成され
た、レーザ源であって、各ユニットセルは、それらの間で光学的に結合された前記複数のレーザ発振ユニットを含み、各レーザ発振ユニットは、上部反射体と下部反射体との間に垂直光キャビディを有し、前記平面に対して実質的に垂直な放射成分を放出する
ことができ、
前記複数のユニットセルは、第1の領域とは異なるタイプの第2の領域と界面する第1の領域に位置する前記ユニットセルの少なくとも第1のサブアレイを含み、これにより、隣接する前記第1の領域と前記第2の領域との間の界面領域に沿って
前記ユニットセルの前記光学的に結合されたレーザ発振ユニットの配列を規定し、
前記界面領域に沿った前記レーザ発信ユニット間の面内結合が、前記界面領域内の
1つ以上のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態
にトポロジー保護を与え、前記界面領域に沿って結合されたレーザ発信ユニットは、協調発光を提供し、発光面に対して実質的に垂直に向けられたコヒーレントビームを形成することを特徴とするレーザ源。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ源において、
前記ユニットセルの前記レーザ発振ユニットは、それらの間で部分的に物理的に結合されていることを特徴とするレーザ源。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のレーザ源において、
複数の前記レーザ発振ユニットは、前記ユニットセルの少なくとも1つの周期的サブアレイを含むことを特徴とするレーザ源。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記界面領域は、前記第2の領域において空気に晒されることを特徴とするレーザ源。
【請求項5】
請求項1
~4のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記ユニットセルが、異なる構成の少なくとも2つのレーザ発振ユニットを備えることを特徴とするレーザ源。
【請求項6】
請求項1
~3のいずれか一項に記載のレーザ源において、前記複数のレーザ発振ユニットは、前記第1のサブアレイとは異なる構成の第2のサブアレイであって、前記第2の領域に位置する、前記ユニットセルの少なくとも1つの第2のサブアレイを含み、
前記第1および第2のサブアレイは、前記第1および第2の領域間の前記界面領域に沿って光学的に結合されたレーザ発振ユニットの配置を規定する前記隣接する第1の領域と第2の領域との間の界面領域に配置され、前記界面内の
1つ以上の前記トポロジー経路に沿って
トポロジー保護を備えた前記少なくとも1つのトポロジー状態を形成することを特徴とするレーザ源。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザ源において、
隣接する異なる前記サブアレイの前記ユニットセルが、前記ユニットセルの前記レーザ発振ユニット間の異なるレベルの物理的結合で形成されることを特徴とするレーザ源。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のレーザ源において、前記レーザ発振ユニットは、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)ユニットとして構成されることを特徴とするレーザ源。
【請求項9】
請求項8に記載のレーザ源において、
前記レーザ発振ユニットがフォトニック結晶VCSELであることを特徴とすることを特徴とするレーザ源。
【請求項10】
請求項8または9に記載のレーザ源において、
前記複数のVCSEL
ユニットは、基板の平坦な表面から延在し、それらの間で少なくとも部分的に重なり合うピラーとして形成され、これにより、前記部分的な物理的結合を提供することを特徴とするレーザ源。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記ユニットセルの前記レーザ発振ユニットは、ハニカム構成で配置されることを特徴とするレーザ源。
【請求項12】
請求項6~11のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記ユニットセルが特定の幾何学的形状を有し、異なる構成の前記ユニットセルが、前記幾何学的
形状の伸長および圧縮構成をそれぞれ有することを特徴とするレーザ源。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記
1つ以上のトポロジー経路
の各々は、直線、曲線、閉ループ経路の少なくとも1つの構成を有することを特徴とするレーザ源。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記1つ
以上のトポロジー経路の少なくとも一部に配置された前記レーザ発振ユニットにポンピングエネルギを提供するように構成されたポンピングユニットをさらに備えることを特徴とするレーザ源。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記レーザ発振ユニットが、2つ以上の異なるレーザ発振周波数を有する2つ以上のレーザ発振モードに関連付けられ、
前記少なくとも1つのトポロジー状態は、前記
1つ以上のトポロジー経路の前記レーザ発振ユニット間の光結合によって強化される選択されたレーザ発振モードに関連付けられることを特徴とするレーザ源。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のレーザ源において、
前記
1つ以上のトポロジー経路に位置する前記レーザ発振ユニットの少なくともいくつかから放出される光の出力経路に位置する位相マスクをさらに備え、前記位相マスクは、単一のコヒーレント高強度出力ビームを提供するように選択された位相パターンを有することを特徴とするレーザ源。
【請求項17】
平面内に配置されてトポロジー構造を形成するように構成された複数のレーザ発振ユニットを備えるレーザ源であって、
前記レーザ発振ユニットの各々は、前記平面に対して実質的に垂直な放射成分を放出するように構成され、前記レーザ発振ユニットは複数のユニットセルに配置され、それぞれ
のユニットセルが、選択された数の物理的に結合されたレーザ発振ユニットを含み、前記複数のユニットセルは、少なくとも2つの隣接する領域にそれぞれ配置された、少なくとも2つの異なる構成の前記レーザ発振ユニットの少なくとも2つのサブアレイを含み、これにより、前記少なくとも2つの隣接する領域間の界面領域に沿って隣接するレーザ発振ユニットの配置を規定し、
前記界面領域に沿った隣接する前記レーザ発信ユニット間の面内結合が、前記界面領域内の
1つ以上のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態
にトポロジー保護を与え、前記界面領域に沿って結合されたレーザ発振ユニットは、協調発光を提供し、発光面に対して実質的に垂直に向けられたコヒーレントビームを形成することを特徴とするレーザ源。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の
構成の少なくとも1つのレーザ源を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザシステムの分野に属し、面発光を提供する利得要素のアレイを含むレーザシステムに関連する。本発明は、特に、選択されたレーザ発振モードのためにフォトニックトポロジー状態を利用するレーザシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオードレーザ(半導体レーザともいう)は、最も一般的に使用されているレーザシステムであり、光通信からコンパクトディスクなどに至るまで、さまざまな用途に使用されている。半導体レーザの利得は(単位長さあたりの利得で)高いが、単一の半導体レーザから放出される出力は制限されており、一般に数ワットを超えることはない。狭いスペクトルと、ポンピングパワーの変動、製造上の欠陥、および障害に対して堅牢な安定した放出フィールドとを維持しながら、単一素子の電力制限と重大な損傷制限を克服することを目的として、隣接するエミッタが互いに結合された半導体レーザのアレイを開発するために広範な研究が行われてきた。原則として、レーザアレイ構造は高いレーザ出力を提供できる。しかしながら、このようなレーザアレイ構造は、多くの空間(縦)モードとスペクトル(横)モードを同時に放出する傾向があり、レーザアレイシステムのモード構造(近接場とスペクトル)はポンピング強度によって変化し、これにより、レーザのコヒーレンス特性と、ポンピングおよび環境条件の変動に対する安定性が大幅に低下する。同様に、レーザ素子の数が増えると、エミッタ間のコヒーレンスが大幅に低下する。レーザダイオードアレイの発光パターンを制御するために提案された多くの方法にもかかわらず、現在の技術では、単一の高出力コヒーレントレーザ光源として動作するレーザアレイシステムを製造することはいまだできていない。したがって、レーザアレイシステムの最も一般的な用途は、固体レーザのポンプモジュール(閃光管の代わり)である。
【0003】
トポロジー絶縁体は、局所的な変動に対して安定でロバストな空間構成/パスを持つトポロジー状態(通常はエッジ状態)によって特徴付けられる物質の相である。過去10年間、トポロジー絶縁体の原理は、フォトニクスやマイクロ波から音響学、力学、低温原子に至るまで、さまざまな物理システムで実証されてきた。具体的には、電磁波では、導波管や共振器などの結合要素のシステムでトポロジー絶縁体が実証されている。一般に、科学的理解では、システム内のトポロジー状態をサポートするには、システムはエルミートシステム、すなわち、ゲインを含まないパッシブシステムとして表すことができる必要があると考えられている。(すべてのシステムで)トポロジー絶縁体にゲインを追加すると、システムが(ゲイン媒体の性質により)非エルミートおよび非線形になり、これは、トポロジー特性を壊す、特にシステム内の輸送のトポロジー保護を壊し、システムを欠陥や不完全さの影響を受けやすくすると考えられていた。
【0004】
垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)は、垂直レーザビーム放射を提供するように構成された半導体レーザダイオードである。このようなVCSELレーザユニットは、通常、反射層間に利得層を形成し、VCSELの上面または下面からレーザ光を放出するように構成された層の選択された配列によって形成される。
【0005】
国際公開公報WO2018/185,749は、トポロジーレーザシステムについて説明している。レーザシステムは、アレイ状に配置され、アレイが1つまたは複数のトポロジーモードをサポートするように構成されるようにそれらの間に結合された光学素子のアレイを備える。複数の光学要素は、ポンピングエネルギに応答して光放射を放出するように構成された利得材料を担持する光学要素を備える。レーザシステムは、前記位相モードに対応する空間領域の少なくとも一部内でアレイの光学要素のグループのポンピングを提供するように構成されたポンピングユニットと、前記位相モードに関連する光学要素の1つまたは複数に光学的に結合された少なくとも1つの出力ポートとをさらに備える。少なくとも1つの出力ポートは、前記レーザシステムから光強度の一部を抽出するように構成される。
【発明の概要】
【0006】
一般に、高出力/強度のコヒーレントレーザビームを放出/生成するコンパクトサイズのデバイスとして構築できる高出力半導体レーザが必要とされている。現在存在する従来の高出力レーザシステムは主にかさばり、複雑であるが、コンパクトな高出力レーザシステムが依然として必要とされている。レーザアレイシステムは、高強度のレーザ放射を生成するためにしばしば使用される。典型的には、レーザアレイからの結合された放射はコヒーレンスが低く、無秩序、製造上の欠陥、および環境の変化による変動を受ける可能性がある。レーザユニット間のトポロジー結合を使用することで、さまざまな欠陥に対して安定したロバストな結合が可能になり、コヒーレンスの高い協調発光が得られる。現在知られているトポロジー結合構成は、結合面内に向けられた発光を提供する。そのような構成では、高強度放射は、レーザユニットの光面内導波路および/または出力カプラファイバを通過する光場の非線形相互作用を引き起こし得る。さらに、このような高強度を維持するには、ゲインを増加させる必要があり、これは、電気ポンピングの場合、導波路とレーザユニットに不可逆的な損傷を引き起こす可能性がある。
【0007】
一般に、単一のレーザ発振ユニットの最大出力パワーは、一般に物理的な制約によって制限される可能性があり、数ワットに達する。レーザ発振ユニットのアレイを構築する際の問題の1つは、アレイ内のレーザ発振ユニットが独立してレーザ/発光することであり、このため、協調的な放射によってコヒーレントビームが得られないか、同じ中心周波数にさえならない可能性がある。異なる周波数でのレーザ発振を克服するために、アレイ内のレーザ発振ユニットを均一なスキームでそれらの間で結合し、それらがすべてのエミッタに対して単一モードでレーザ発振することを期待することができる。しかしながら、アレイのサイズが大きくなると、主に障害や欠陥が原因で、多くの局在モードの一貫性のないレーザ発振が常に発生する。このため、このような非コヒーレントアレイは、単一の強力なコヒーレントビームではなく、強力な「フラッシュライト」として動作する。したがって、そのようなインコヒーレント光は、シングルモードファイバなどの光学媒体に効率的に結合できず、コヒーレントビームを必要とする適用には有用ではない。
【0008】
現在の技術は、レーザユニット間のトポロジー結合を利用して、発光のコヒーレンスと安定性を高め、したがって強度を高めると同時に、光面内導波路を通過する高強度発光の非線形相互作用に関連する問題を克服する。この目的のために、本技法は、複数の発光ユニット(レーザ発振ユニット)において、それらの間の適切な結合により、発光ユニットのトポロジーアレイ/トポロジーエッジを生成する。より具体的には、複数の発光ユニットは発光表面(発光面)を画定し、発光ユニットは(ポンピングエネルギに応答して)発光面に対して実質的に垂直な方向に電磁放射成分を放出するように構成される。以下の説明では、このような発光面に対して略垂直な方向への出射を「垂直放射」という。
【0009】
このような垂直放射は、前記アレイと異なる媒体との界面において、レーザ発振ユニット間の適切な結合を提供する。異なる媒体は、自由空間(例えば、空気)によって、または異なるタイプ(例えば、異なる構成を有する)のレーザ発振ユニットの別の隣接するアレイによって構成される。
【0010】
前記複数の垂直放射レーザ発振ユニット内の隣接するレーザ発振ユニットは、それらの間で物理的に結合され、異なるタイプの媒体との界面(トポロジー経路)に沿って、例えば、少なくとも2つのそれぞれ隣接する領域に配置された、少なくとも2つの異なるタイプのレーザ発振ユニットの少なくとも2つのサブアレイ間の界面において、隣接するレーザ発振ユニットのトポロジーエッジの形成を提供する。
【0011】
レーザ発振ユニットのトポロジーエッジは、界面領域に沿った隣接するレーザ発振ユニットの協調発光がコヒーレントに構築されるように、前記アレイのレーザ発振ユニット間の光学的結合を提供するトポロジー状態(エッジ状態)によって特徴付けられ、出力カプラを必要とせずに、発光面に実質的に垂直に向けられた単一/均一なコヒーレントビームを形成する。
【0012】
多くの光共振器(共振器のアレイ)を一緒に結合すると、アレイ全体のスーパーモードが誘導され、すなわち、共振器は個別の特性とモードを持たなくなり、それぞれが複数のレーザを含むスーパーモードを持つより大きなシステムに属する。周期構造では、これらは波数の関数としてのスペクトルであるバンド図を形成する。これらのバンド図は、バンドとギャップに分けられる。バンドは、システムの拡張モードに属する周波数の範囲である。これらのモードは、その範囲により、アレイ全体にエネルギを伝達できる。ギャップにある周波数の場合、アレイの大部分に沿ったエネルギ伝達は不可能であり、すなわち、これらの周波数範囲では、アレイは絶縁体として機能する。
【0013】
共振器間のフォトニック結合を制御して、トポロジーエッジモードでトポロジー的に重要な周波数ギャップを形成できる。これらのエッジモードは、アレイのエッジ(または2つの異なるアレイ間のインタフェイス)にのみ存在し、アレイバルクを介してエネルギを伝達することはできない。しかしながら、これらには2つの固有の特性があり、アレイに鋭い角(欠陥)を含む無秩序が含まれていても、常にアレイのエッジ/境界面全体に広がるという特性、また、これらのモードの群速度はゼロではなく、エッジに沿ってエネルギを伝達できる、という特性がある。これらの特性を組み合わせることで、これらのモードを介してエッジ/界面に沿った堅牢なエネルギ伝達が可能になる。
【0014】
2Dトポロジーレーザアレイは、トポロジーモードを形成するためにトポロジー結合方式で配置されたトポロジー共振器アレイを含み、これらのモードのエッジ/界面をポンピングする。トポロジーレーザアレイは共振器アレイの特性を継承するため、エッジ上のレーザ間のエネルギ移動は無秩序や欠陥の影響を受けなくなり、エッジ/界面全体でレーザ間のコヒーレンスが維持される。さもなければ、アレイ内の乱れが局在モードにつながる可能性があり、したがって、局在化されたレーザのグループでレーザ発振する(これは直接、より広いスペクトルと、異なる局在化されたグループのレーザ間のコヒーレンスの損失につながる)。
【0015】
本発明は、レーザアレイのトポロジー構造の新規な構成を利用し、トポロジーレーザアレイの各レーザ発振ユニット(共振器)が光を垂直に閉じ込め、これにより、2Dアレイ平面に対して垂直に光を放射するが、光が面外に放出され得る一方で、(界面/エッジにおける)選択されたレーザ発振ユニット間の面内結合は、2Dアレイ平面でトポロジー保護を誘導する。
【0016】
一般に、トポロジー構造は、結晶、強結合、磁場ベース、Hafezi、Floquetトポロジー絶縁体、双異方性といった、既知の適切なトポロジーエルミートモデルを使用して構成することができる。しかしながら、本発明によれば、適切なモデルのいずれも、垂直放射レーザ発振ユニットを使用して実施される。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、異なる構成の2つの界面サブアレイを有する結晶モデルを利用する。
【0018】
好ましくは、複数のレーザ発振ユニットは、選択された数の物理的に結合されたレーザ発振ユニットをそれぞれが含む複数のユニットセルの形態で配置される。
【0019】
ユニットセルは、バンド構造内にバンドギャップによって分離された少なくとも2つのバンドを有する、少なくとも2つの異なる垂直放射レーザ発振ユニットを含むことができる。アレイは、追加の自由度(通常は位相)が2つの別々のバンド間のトポロジーの違いを引き起こすように設計されており、すなわち、2つの別個の帯域のモード間に根本的な違いが生じ、帯域の1つのモードが他の帯域のモードと結合しなくなる。バンド内のモードの位相に渦がある場合がある。2つの帯域は、特定の対称性要件の下で互いに連続的に変形することができない2つの位相的に異なるオブジェクトに分類できる。レーザアレイの場合、レーザ発振ユニットと異なる媒体(空気など)との間の界面は、バンドモード間にこのトポロジーの違いがなくても、ギャップを閉じるが、界面(トポロジー経路)のみにおいてである。これにより、1つの帯域から別の帯域に交差するエッジモードが発生する。
【0020】
異なるタイプの2つ以上の隣接する(界面する)サブアレイの実施形態では、同じユニットセルのレーザ発振ユニットは、同一であってもなくてもよいが、異なるサブアレイのユニットセルは、界面領域(トポロジー経路)に沿って延びる隣接する異なるユニットセルを定義するように、異なって構成されている。
【0021】
アレイのユニットセルは、特定の周期性で配置されてもよい(周期サブアレイ)。
【0022】
発光ユニットは、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)技術に基づいて、垂直共振器ユニットとして構成され得る。以下の説明では、発光ユニットは時々VCSELと呼ばれるが、本発明の原理はこの特定の構成に限定されないことに留意されたい。したがって、本発明の技術の原理は、上記のように広く解釈されるべきである。
【0023】
レーザ発振ユニット(VCSELユニット)は、放射面内でそれらの間の結合を提供するように配置される。この構成では、ほとんどのエネルギはVCSELユニットによって放射面の外側に放射されるが、エネルギの一部は面内を流れ、VCSELユニット間の光結合を提供する。界面領域内のVCSELユニットは、この結合エネルギを交換してそれらをロックし、安定した光源を生成する。これは、ほとんどの電磁エネルギがレーザユニットと導波路の間を前方に流れ、高出力の放射にさらされると破損する可能性がある出力ポート/カプラに到達するまで蓄積される、前述の面内トポロジー構成とは対照的である。
【0024】
したがって、VCSELユニットを使用すると、それらの間の光結合(VCSELユニットをロックする結合)が発生する面の外側に向けられた光放射が提供され、これにより、放射された照明は、光ファイバ又は望ましくない非線形の動作/効果を引き起こす可能性がある任意の材料と相互作用する必要がない。アレイの各VCSELユニット(レーザ発振ユニット)は、指定された許容強度の光を放出し、アレイの信頼性を悪化させることなく、協調的な強度がVCSELユニットの外側に向けられる。
【0025】
一般に、VCSELユニットは比較的安価で、製造が容易であり、最も重要なことは、垂直発光(水平発光面を仮定)、すなわち、アレイの配置によって画定される面に対して実質的に垂直な発光を直接提供することである。このようなVCSELユニットは、上部反射層と下部反射層との間に配置された利得媒体を含む層構造によって形成される。利得媒体は、量子井戸または量子ドット層によって形成され得る。VCSELの層構造は、典型的には、基板から成長するか、基板からエッチングされるピラーの形態で、基板上に配置され/基板上で成長する。VCSELユニットの層構成は、層によって画定される平面に垂直な方向に発光を提供し、それによってVCSELの表面発光を提供する。
【0026】
本技法は、(例えば、表面タッチまたは隣接するVCSELユニットの表面領域の部分的な物理的重なりにより)すべての隣接するレーザ発振ユニットがそれらの間で物理的に結合されるように配置された(好ましくは複数のユニットセルに配置された)複数のVCSELユニットを利用する。
【0027】
これらのVCSELユニット(ユニットセル)は、2つの異なる構成を有するVCSELの2つの界面グループ/サブアレイを含み、これらは、異なるタイプ/構成の隣接するVCSEL(ユニットセル)のトポロジーアレイの界面領域を画定する2つの隣接する領域に配置される。これにより、トポロジーアレイ内のVCSEL(ユニットセル)間の適切な光結合が提供され、その結果、界面に沿った隣接する異なるVCSELからの協調的な高度にコヒーレントな放射がもたらされ、そして、放出のコヒーレンスが維持されるように、システム全体(アレイ全体)のトポロジー特性を誘導する。界面領域に沿った隣接するVCSELのこのようなトポロジー特性(1つまたは複数のトポロジー状態)は、サブアレイの異なるジオメトリおよび/または結合特性、例えば、サブアレイ内のVCSELのユニットセルの異なるサイズの結果である。
【0028】
上記のように、場合によっては、特定の結合特性を備えた単一のアレイは、コヒーレントレーザ発振のトポロジーエッジ状態を作成するのに十分である。
【0029】
VCSELユニットは通常、基板上に配置される(基板上で成長又は基板にエッチングされる)。複数のVCSELユニットは、基板の表面から伸びる複数のピラーとして見ることができる。それらの間の結合を提供するために、VCSELユニットは、隣接するVCSELユニットに接触するか、ユニット表面の一部(例えば、その円周)に沿って部分的な重なりを形成するように構成される。通常、VCSELユニットのゲイン層と、場合によっては上部と下部の反射層が、隣接するVCSELユニットの層に接触する。これにより、VCSELユニット間で光結合が発生する。VCSELユニット間の結合によって、アレイ内の協調モード(スーパーモード)が決まる。レーザアレイの発光パターンは、アレイの協調モードによって決まる。
【0030】
一般に、VCSELユニットのアレイは、1つ以上のトポロジー状態/エッジ状態をサポートするジオメトリを選択している。より具体的には、アレイのVCSEL間の部分的なオーバーラップにより、光結合、つまり、光フィールドのモード間の結合が生成された。これにより、アレイ内の複数のVCSEL間で広がる空間光学モードが形成される。アレイのジオメトリは、アレイの他のモードから分離された1つまたは複数のトポロジー状態をサポートするように選択される。したがって、空間配置および結合パラメータは、特定の空間パスを有するトポロジー的に安定した1つまたは複数の状態を提供する。
【0031】
上述のように、レーザ発振ユニット(例えば、VCSELユニット)は、複数のユニットセルを形成するように配置され、各ユニットセルは、いくつかの隣接するレーザ発振ユニットを含んでいる。好ましくは、ユニットセルの配列は結晶型格子を規定する。異なる媒体との界面におけるアレイの隣接するユニットセル間の光結合、例えば界面領域(トポロジー経路)の2つの異なるタイプの隣接するサブアレイ間の光結合は、光学モードをサポートし、(フォトニック結晶のように)特定のバンド構造を規定する結晶のような挙動を引き起こす。レーザ発振ユニット(ユニットセル)の空間配置と特性が与えられると、システムのバンド構造と様々なフォトニック状態の波動関数が決定され、さまざまな既知の技法を使用して計算することができる。
【0032】
いくつかの構成では、本技法によるVCSELユニットのアレイは、2つ以上のタイプのユニットセルから形成され、各ユニットセルは、選択された数のVCSELユニットの配列によって形成される。2つ以上のタイプのユニットセルは、ユニットセルを形成するレーザ発振ユニットの幾何学的配置および/または光学的結合の少なくとも1つにおいて互いに異なる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のタイプのVCSELユニット(第1のタイプのユニットセル)によって形成されるVCSELアレイの第1の領域は、第2のタイプのVCSELユニット(第2のタイプのユニットセル)によって形成される第2の領域によって実質的に囲まれる。
【0034】
第1および第2のタイプのレーザ発振ユニット(ユニットセル)を含む第1および第2の隣接界面領域は、レーザ発振ユニット/ユニットセルのそれぞれの結晶形状/配列によって特徴付けることができる。システムのトポロジー特性は、アレイの異なる部分/領域間の界面の反対側にあるレーザ発振ユニットの異なる形状/配置により達成される。より具体的には、このようなレーザ発振ユニットの配置により、バンド構造内の対応するディラックポイントを除去できるため、領域ごとに異なるトポロジー不変量で対応するバンドギャップを生成/開けることができる。第1および第2の領域の形状/配置により、それぞれのバンドギャップが互いに整列し(実質的に同じバンドギャップを有する)、領域間の界面に沿って単一/均一なトポロジーギャップを形成する。これにより、トポロジーギャップの動作波長で、界面に沿った1つまたは複数のパスでのレーザ発振ユニットのコヒーレントな放出/レーザ発振が可能になる。したがって、この構成は、一般に、アレイの第1領域と第2領域との間の界面に沿って、例えば界面の閉じた経路に沿って。延びる1つまたは複数のトポロジーエッジ状態をサポートすることができる。これらのトポロジーエッジ状態は、レーザ発振ユニット間でトポロジー的に保護された光の輸送を提供し、すなわち、光は実質的に散乱されず、アレイの構造における起こり得る欠陥、無秩序および/または製造上の欠陥のために実質的に反射されない。トポロジー的に保護された輸送はアレイの平面内で発生し、隣接するレーザ発振ユニットを一緒にロック(光学的に結合)することを可能にし、これにより、界面領域内のすべてのレーザユニットが単一のコヒーレントな高出力源として一緒にレーザ発振(協調発光)する。
【0035】
本明細書に記載のレーザシステムは、光学的および/または電気的ポンピングと関連付けることができる。電気ポンピングの場合、いくつかの実施形態では、VCSELの上にある接点の部分は透明導体である。このような透明な導体/コンタクトは、システムの電子特性にのみ影響を与えるため、協調レーザ発振の特性を変更しない。したがって、一般に1つまたは複数のトポロジー経路(界面領域)またはその一部に沿って向けられたポンピングエネルギを提供する場合、トポロジー状態領域の経路に沿ったVCSELユニットは、トポロジー経路に沿った時間的および空間的コヒーレンスを維持しながら光を放出する。場合によっては、発光は、トポロジー状態の経路に沿って特定の位相プロファイルを有する。このような位相プロファイルは、通常、トポロジー経路領域に沿ったVCSELユニット間の位相変動に関連付けられ、各トポロジー状態に固有でである。このような構成では、選択されたパターンの位相マスクを使用して、位相プロファイルを補正し、発光に所望の位相プロファイル、好ましくは平坦な位相プロファイルを提供することができる。
【0036】
コヒーレント光は個々のVCSELから出射され、高強度ビームの効果を提供するように光を1つのビームに集めることができるため、レーザシステムは、各VCSELユニットのビームの位相とウエストを制御できるレンズ構成(たとえば、マイクロレンズアレイ)と共に使用できる。
【0037】
本明細書で説明するレーザ光源システムは、標準ピラーVCSEL構成に基づいて製造することができる。より具体的には、下部反射層、量子井戸または量子ドット利得層、および上部反射層によって形成された基板担持層構造を提供する。選択されたジオメトリに従って、層構造内に部分的に重なり合う複数のピラーをエッチングする。ジオメトリは、アレイに沿って1つまたは複数のトポロジー状態をサポートするように選択される。VCSELユニットを発光させるために、1つまたは複数の選択されたトポロジー状態に沿ってVCSELユニットをポンピングするためのポンピング構成(例えば、ポンピング電極)を提供する。VCSELユニット間の結合は、トポロジー状態のパラメータに従って協調発光を引き起こす。いくつかの他の実施形態では、VCSELユニットのアレイは、例えば1つまたは複数の堆積方法によって基板上で層ごとに成長する。
【0038】
さらに、VCSELアレイは、ポンピングエネルギに応答して1つ以上の選択された波長範囲の光の放出を可能にする選択された利得材料を含む。アレイの1つ以上のトポロジー状態を占める光強度は、トポロジー状態への誘導放出を引き起こす。システムのジオメトリにより、多くの場合、トポロジーバンド内のモードのみが、異なるユニットセルを持つ領域タイプ間にエッジ状態を有し、エッジのポンピングと最大のオーバーラップを有する。したがって、レーザ発振モードはスペクトル的にシステムの最低のバンドギャップに位置する。VCSELは光を垂直に放射し、レーザモードへの結合はアレイの上部または下部を通して発生する。いくつかの実施形態では、出力を単一の安定したコヒーレントビームに結合するために、位相マスクが追加される。
【0039】
本明細書に記載のトポロジー絶縁体レージングシステムのトポロジー状態は、典型的には、アレイの周縁に沿って時計回りおよび/または反時計回りの方向に伝播する光場によって特徴付けられるエッジ状態である。一般に、このようなトポロジー状態は、界面領域でのレーザ発振ユニット、例えば界面領域の両側に存在するサブアレイ内のレーザ発振ユニットの放射強度に対応する特定の幅を有する。したがって、トポロジー状態に関連する界面領域は、アレイの大部分へのトポロジー状態の光強度のエバネッセント減衰に対応する特定の幅(ここではトポロジー状態の幅と呼ぶ)を有する。このような幅は、数レーザ発振ユニットの範囲内である。いくつかの構成では、ポンピングのために選択された領域は、トポロジー状態の幅に対応する。
【0040】
本発明のトポロジー絶縁体レーザシステムは、任意のタイプのシステム/デバイス、物質片、織物、および/または有機/生体組織にさえ統合できるほど小さい寸法を有し得る高出力コヒーレント光源を提供する。したがって、本発明のトポロジー絶縁体レーザシステムは、異なる産業において様々な用途を有し得る。
【0041】
本発明のレーザ光源システムは、ファイバでの信号伝送におけるより高い信号完全性のために利用できるが、例えば衛星との長距離高速ファイバレス通信におけるような自由空間通信にも利用できる。トポロジーVCSELアレイは、この業界の光源に取って代わり、チップ上でより高い出力パワーを有する。さらに、高出力光源として動作可能な本発明のレーザシステムは、ポンピング、プラスチック溶接、はんだ付けなどにも使用できる。さらに、自動車産業は、単一の半導体レーザよりもはるかに強力な高出力源を必要とするレーダに重点を置いている。コヒーレントアレイは、価格、出力、コンパクトさの点で最適な解決策である。
【0042】
医療用途におけるレーザの主な用途は、組織の治療または除去である。このようなデバイスは、組織の構造を変えるために数mW以上のレーザを必要とする。安価な半導体高出力レーザである本発明のレーザシステムは、この産業にとって最適な解決策となり得る。内側からレーザで切断する錠剤など、非侵襲的な手術に使用できる。また、アレイは、フェーズドアレイ技術で切断ビームを操縦することにより、正確な組織スライスに使用できる。本発明は、美容処置にも使用することができる。
【0043】
したがって、本発明の1つの広範な態様によれば、レーザ源が提供され、当該レーザ源は、平面内に配置され、トポロジー構造を形成するように構成された、選択された数の部分的に物理的に結合されたレーザ発振ユニットの複数のユニットセルを備え、各レーザ発振ユニットが、前記平面に対して実質的に垂直な放射成分を放出するように構成されたレーザ源であって、前記複数のユニットセルは、第1の領域とは異なるタイプの第2の領域と界面する第1の領域に位置する前記ユニットセルの少なくとも第1のサブアレイを含み、これにより、隣接する前記第1の領域と前記第2の領域との間の界面領域に沿って光学的に結合されたレーザ発振ユニットの配列を規定し、前記界面領域内のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態を形成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記界面領域は、前記第2の領域において空気(例えば、レーザ光源の外の空気環境)に晒される。
【0045】
ユニットセルのレーザ発振ユニットは、少なくとも2つの異なるレーザ発振ユニットを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記複数のユニットセルは、前記第2の領域に位置するユニットセルの少なくとも1つの第2のサブアレイを含み、第1および第2のサブアレイは、それぞれ第1および第2の異なる構成のユニットセルを有し、第1および第2の領域間の界面に沿って隣接するレージングユニットの配置を規定する第1および第2の隣接領域に配置され、前記界面内のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態を形成する。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、レーザ源は、アレイの選択された領域にポンピングエネルギを提供するように構成されたポンピングユニットをさらに備え、前記選択された領域は、1つまたは複数のトポロジー状態によって定義される前記閉じた経路と少なくとも部分的に一致する。いくつかの実施形態によれば、ユニットセルのアレイ/サブアレイは、アレイ/サブアレイのユニットセルが選択された数のレーザ発振ユニットによって形成されるように、周期的なアレイとして構成され、ユニットセルの第1および場合によっては第2のタイプのユニットセルは、ユニットセルのレーザ発振ユニット間の第1および第2の異なるレベルの物理的結合(例えば重なり)で形成される。
【0048】
本発明のレーザ源は、VCSELユニットのアレイによって規定される前記平面から延びる方向に光を放出するように構成される。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のトポロジー状態に関連付けられたVCSELユニットは、特定のVCSEL位置におけるモードの振幅に対して垂直に光を放射し、これにより、前記1つまたは複数のトポロジーモードに関連付けられたVCSELユニットは、出力ビームの形成に寄与する。
【0049】
好ましくは、レーザ発振ユニットはVCSELとして構成される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、前記1つまたは複数のトポロジー状態に関連するVCSELユニットは、VCSELユニット間の結合が発生する表面に対して垂直に光を放射し、これにより、前記1つまたは複数のトポロジーモードに関連するVCSELユニットは、単一の出力ビームの形成に寄与する。いくつかの実施形態によれば、複数のVCSELは、基板の表面から延在し、それらの間で少なくとも部分的に重なり合うピラーとして形成される。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、ユニットセルのレーザ発振ユニット(例えば、VCSEL)は、ハニカム構成で配置される。
【0052】
一般に、ユニットセルは、特定の幾何学的形状(例えば、六角形)であってよく、第1および第2のタイプのユニットセルは、前記幾何学的形状の比較的大きい(伸長した)および小さい(圧縮された)構成を有する。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発振ユニットは、量子井戸または量子ドット利得層ベースの構造として構成される。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、複数のレーザ発振ユニットは三角格子状に配置され、好ましくはそれぞれ6つのレーザ発振ユニットからなるユニットセルに配置される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、レーザ源は、トポロジーアレイのレーザ発振ユニットから放射された光の出力経路に配置された位相マスクをさらに備え、位相マスクは、単一のコヒーレントな高強度出力ビームを提供するように選択された位相パターンを有する。
【0056】
レーザ源は、前記レーザ源から光強度の一部を抽出するように構成された、トポロジー経路内のレーザ発振ユニットの少なくとも1つ、より多くの場合すべてに結合された「垂直」集光器と関連付けられる。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、前記垂直集光器は、出力を所望の出力位相に補正する位相マスクを備える。出力を所望の出力位相に補正するための位相マスクを備える垂直集光器は、光を収集し、所望の位置および/または方向に向けるための光導波路を含む。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発振ユニットの利得媒体は、2つのIII-V族半導体材料のうちの少なくとも1つを含む。ゲイン層は、ガリウム化合物、ヒ化物化合物、インジウム化合物のうちの少なくとも1つを含む。レーザ発振ユニットのVCSEL構成を考慮すると、ブラッグミラーは、ガリウムおよびヒ素化合物の少なくとも1つを含む。
【0059】
本発明の別つの広範な態様によれば、平面内に配置されてトポロジー構造を形成するように構成された複数のレーザ発振ユニットを備えるレーザ源が提供され、レーザ発振ユニットの各々は、前記平面に対して実質的に垂直な放射成分を放出するように構成され、前記レーザ発振ユニットは複数のユニットセルに配置され、それぞれが、選択された数の物理的に結合されたレーザ発振ユニットを含み、前記複数のユニットセルは、少なくとも2つの隣接する領域にそれぞれ配置された、少なくとも2つの異なる構成の前記レーザ発振ユニットの少なくとも2つのサブアレイを含み、これにより、前記少なくとも2つの隣接する領域間の界面領域に沿って隣接するレーザ発振ユニットの配置を規定し、前記界面領域内のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態を説明する。
【0061】
【
図1A】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態によるレーザ源の構成および動作を概略的に示しており、レーザ発振ユニットの少なくとも選択されたサブアレイと異なるタイプの媒体との間の界面領域でトポロジー状態を規定するように構成された複数の垂直放射レーザユニット(例えば、VCSEL)を利用している。
【
図1B】
図1Bは、本発明のレーザ源で使用するのに適したVCSELの構成をより具体的に示す。
【
図2】
図2は、第1および第2の異なるサブアレイに配置された複数の垂直放射レーザ発振ユニットを利用する本発明のいくつかの実施形態による本発明のレーザ源の構成および動作を概略的に示し、第1および第2のサブアレイ間の界面領域でトポロジー状態を形成する。
【
図3】
図3は、第1および第2の異なるサブアレイに配置された複数のユニットセルを利用する、本発明のいくつかの実施形態によるレーザ源アレイを例示する。
【
図4】
図4A~4Dは、レーザ光源のアレイの形状(
図4A)、少なくとも1つのタイプ(この場合は2つのタイプ)のバルクモード間のアレイのレーザ発振モードのバリエーション(
図4Bおよび4D)、これらのモード間のトポロジーエッジ(
図4C)を例示する。
【
図5】
図5A~5Dは、
図4Aに示すアレイのレーザ放出を例示し、
図5Aは、放出の空間パターンを示し、
図5Bは、トポロジーモードの放出スペクトルを示し、
図5Cは、レーザ発振の閾値未満の光学モードのルミネセンスを示し、
図5Dは、ポンプがレーザ発振の閾値に達しない場合のモードの空間放出パターンを示す
【
図6】
図6A~6Dは、トポロジー界面における位置の関数としてスペクトルを示すレーザ発振パターンおよびスペクトルの測定を例示し、
図6Aは、ポンピングがレーザ発振の閾値未満であるときの励起フォトニック状態のスペクトルを示し、
図6Bは、レーザ発振の閾値を超える光ポンピング下のトポロジー状態のレーザ発振スペクトルを示し、
図6Cは、システムの光出力を示し、
図6Dは、トポロジーアレイの総レーザ発振スペクトルを示す。
【
図7】
図7A~7Dは、VCSELアレイ内の様々な位置にあるVCSELユニット間の干渉特性を示す。
【
図8】
図8A~8Cは、それぞれ4Kおよび200Kの周囲温度におけるVSCELアレイのトポロジーモードの発光の空間分布およびスペクトル分布を示す。
【
図9】
図9A~9Cは、それぞれ4Kおよび200Kの周囲温度におけるVSCELアレイのトポロジーモードの発光の空間分布およびスペクトル分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
上述のように、本技法は、レーザ源、および結合されたレーザユニットのアレイによって形成されるそのようなレーザ源を利用するシステムを提供し、このアレイは、1つまたは複数のトポロジー状態をサポートするように構成される。アレイのそのような構成は、1つまたは複数のトポロジー状態に関連するレーザユニットのポンピングを可能にし、選択されたトポロジー状態に関連する協調発光を生成する。この構成は、安定した放射を提供し、ノイズや製造上の欠陥に対して堅牢である。
【0063】
本技術のレーザ源は、平面内に配置され、前記平面に対して実質的に垂直な方向にレーザ成分を生成するレーザユニット、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)ユニットを利用する。このような垂直レーザユニットの光学キャビティは、上部反射層と下部反射層との間で、基板に対して垂直に配置される。この構成は、VCSELユニットが配置される基板によって規定される表面を出る(略垂直な)方向に延在する発光を提供する。以下の説明では、平面内に配置され、前記平面に実質的に垂直な放射線を放射するこのようなレーザユニットは、VCSELユニットとして例示される。従来知られているトポロジーレーザシステムとは異なり、本技術は、基板上にアレイ状に配置されたレーザユニットを利用し、アレイの平面に対して実質的に垂直な方向に発光を提供する。したがって、本技法は、光ファイバまたは導波管を通る高強度放射の通過を排除するか、または少なくとも大幅に低減し、例えば、突き合わせ結合された出力カプラでレーザ共振器を形成する。これにより、物質を通過する高強度の光に関連する非線形効果が減少し、安定したコヒーレントで高出力の発光が可能となる。
【0064】
図1を参照すると、一般に50で示される複数の発光ユニットから形成され、平面60(平面基板上)に配置され、基板面に対して実質的に垂直な放射を放出するように構成され、例えば垂直キャビティタイプのユニットとして構成されるレーザ源100が示されている。垂直発光ユニット50は、選択されたアレイ形状で基板60上に配置/配置され、それらの間で結合される。通常、前記複数の発光ユニット内の発光ユニット50は、隣接するレーザ発振ユニット50間で物理的に結合して配置される(例えば、隣接する発光ユニット50の構造の特定の部分重なる)。発光ユニット50の配列は、発光面LE(発光ユニット50の平面)を規定し、レーザ光源システム100は、発光面LE(発光ユニット50によって規定される平面)に対して概ね/実質的に垂直な方向に出力光OLを放出するように構成されることにより、既知の面内レーザアレイシステムで使用される出力カプラまたは光ファイバなどの材料との放射光の非線形相互作用を排除するか、少なくとも大幅に低減する。
【0065】
図1には具体的に示されていないが、レーザユニット50は、選択された数(一般に、少なくとも2つ)の物理的に結合されたレーザユニットをそれぞれが含む複数(アレイ)のユニットセルに配置されることに留意されたい。ユニットセルのレーザユニットは異なっていてもよく(異なるバンドを持っていてもよい)、異なるタイプの領域/媒体R2(例えば空気)と界面する領域R1に配置された隣接するレーザユニット50の適切な光結合を備えたユニットセル配置のトポロジー構造を規定する。例えば、領域R1に位置し、領域R1の縁部に沿って延在するレーザユニット50の一部(サブアレイ)は、第2領域R2の空気に露出(接触)し、または、以下でさらに例示されるように、第2の媒体領域は、レーザユニットの異なるサブアレイによって構成される。これにより、これらの領域間の界面の少なくとも一部内にトポロジーエッジ/状態が形成される。トポロジー状態の界面領域TPは、以下ではトポロジー経路と呼ばれることがある。
【0066】
本例では、発光ユニット50はVCSELユニットである。VCSELユニット50は通常、基板60から延在する(成長する)ピラーとして形成される。
図1Aに示される例は、最初の基板ピラー58(n型半導体である)、下部反射体56、利得層54(通常、量子井戸または量子ドット層で形成される)および上部反射体52から形成されるVCSELユニットを示す。
【0067】
VCSELユニット50は、ポンピングエネルギPEにさらされるように構成される。例えば、いくつかの構成では、VCSELユニット50は、電気ポンピングエネルギPEを提供する電気コネクタ(特に図示せず)を含む。
【0068】
典型的には、トポロジー状態の発光を提供するために、ポンピングエネルギPEは、トポロジー経路の少なくとも一部に向けられる。このポンピングエネルギは、アレイ10内の1つまたは複数のトポロジー経路に沿ってレーザユニット50からの発光を励起する。レーザユニット50間の結合は、1つまたは複数のトポロジー経路に沿ってレーザユニット50から放射される光の空間的および時間的コヒーレンスを提供する。
【0069】
図1Bは、隣接する結合されたVCSELのアレイおよび個々のVCSELの動作をより具体的に示す。個別のVCSELの構成スキームおよび動作は、一般に知られており、本発明の一部を形成しないので、具体的に説明する必要はない。
【0070】
隣接するVCSELは、部分的に互いに物理的に結合されているか、部分的に物理的に重なり合っている。VCSELユニット間のこのような物理的結合を提供するために、それらは、それらの外面の接触を可能にするか、またはユニット表面の一部(例えば、その円周)に沿って部分的な重なりを形成するように構成される。典型的には、VCSELユニットの少なくとも利得層、および場合によっては上部および下部の反射層が、隣接するVCSELユニットのものに接触する。
【0071】
レーザユニットの構成とそれらの結合により、フォトニックバンド構造を持つ協調レーザモードが発生する。このバンド構造は、フォトニック状態のバンド間のギャップに1つ以上のフォトニック状態を含む。これにより、界面(トポロジー経路)に沿った隣接するレーザユニット間の光結合が容易になる。トポロジーギャップ内の1つまたは複数のフォトニック状態は、トポロジー絶縁体に典型的なアレイ内の少なくとも1つのトポロジー状態に対応する。
【0072】
いくつかの構成では、レーザ光源システム100はまた、異なるVCSELユニット50から放射された光路に配置された空間位相マスク70を含む。空間位相マスク70は、位相経路に沿った位相変動を補正して、出力光OLの所望の(一般に平坦な)位相を提供するように構成される。上述のように、1つまたは複数の位相経路に沿ったコヒーレンスは、典型的には予め決定されており、既知であるが、発光の平坦な位相で具体的に発光する必要はない。この目的のために、空間位相マスク70を使用して、位相経路に沿った位相変動を補正する。
【0073】
VCSELユニットは、2つ以上の異なるレーザ発振周波数を有する2つ以上のレーザ発振モードに関連付けることができ、少なくとも1つのトポロジー状態は、VCSELユニット間の結合によって誘導される選択されたレーザ発振モードに関連付けられる。選択されたレーザ発振モードは、VCSELユニットのレーザ発振モードに対して、より低いエネルギまたはより高いエネルギのものである。例えば、各VCSELユニットは、それ自体、異なるレーザ発振周波数を有するいくつかのレーザ発振モードを有する。しかしながら、主に下位モード(より低いレーザ周波数)でのみ、隣接するVCSELユニット間の結合によってトポロジーモードが作成される。より高いVCSELイントラモードで構成されるすべてのインタモードは、エッジだけに存在するわけではないため、ポンプとの弱いオーバーラップにより、レーザは発生しない。
【0074】
ここで、本発明のいくつかの他の実施形態に係るレーザ発振システム100を例示する
図2を参照する。理解を容易にするために、参照番号は、本発明のすべての実施例において機能的に類似の構成要素を示すために使用される。
【0075】
本発明のこれらの実施形態によれば、複数のレーザ発振ユニット50は、少なくとも2つの隣接する領域R1およびR2であって、これらの領域間の界面領域TPに沿って隣接するレーザ発振ユニットの配置を規定する領域R1およびR2に配置された異なるタイプ(構成)のユニットセルの少なくとも2つのサブアレイ50Aおよび50Bを含む複数のユニットセル(それぞれ、選択された数の物理的に結合されたレーザ発振ユニットによって形成される)に配置される。界面内のトポロジー経路に沿って少なくとも1つのトポロジー状態を形成する。いくつかの実施形態では、界面領域は閉じた経路を規定し、すなわち、これらの領域の一方が他方の領域を囲む。トポロジー状態の界面領域TPは、以下ではトポロジー経路と呼ばれることがある。
【0076】
サブアレイ50Aおよび50Bは、ユニットセルを形成する発光ユニットの選択された異なる内部形状を有する少なくとも第1および第2のタイプのユニットセルを含む。第1および第2のタイプのユニットセルは、アレイの格子ベクトルに関連するユニットセルパラメータがほぼ同様であり、ユニットセル内の発光ユニットの配置がわずかに異なる。第1および第2のタイプのユニットセルは、第1の領域が第1のタイプのユニットセルで形成され、第2の領域が第2のタイプのユニットセルで形成されるように、アレイの第1および第2の領域に配置される。アレイのそのような構成は、アレイの第1領域と第2領域との間の界面に沿って延びるトポロジー状態をサポートする。いくつかの好ましい構成では、アレイの第1および第2の領域の間の界面は、アレイの少なくとも1つの領域(第1または第2の領域である)を囲む閉じた経路を形成する。
【0077】
第1タイプと第2タイプのサブアレイの間の界面領域は、直線、曲線(ジグザグ線)、閉じた経路(例えば、閉じた六角形の曲線)など、どのような形状であってもよいため、トポロジー状態は対応する構成を有する。
【0078】
ユニットセルのVCSELは、部分的に互いに物理的に結合されているか、部分的に物理的に重なっている。VCSELユニット間のそのような物理的結合を提供するために、それらは、それらの外面の接触を可能にするか、またはユニット表面(例えば、その円周)の一部に沿って部分的な重なりを形成するように構成される。典型的には、VCSELユニットの少なくとも利得層、および場合によっては上部および下部の反射層が、隣接するVCSELユニットのものに接触する。
【0079】
レーザユニットの構成とそれらの結合により、フォトニックバンド構造を持つ協調レーザモードが発生する。このバンド構造は、フォトニック状態のバンド間のギャップに1つ以上のフォトニック状態を含む。これにより、界面(トポロジー経路)に沿った隣接するレーザユニット間の光結合が容易になる。トポロジーギャップ内の1つまたは複数のフォトニック状態は、トポロジー絶縁体に典型的なアレイ内の少なくとも1つのトポロジー状態に対応する。
【0080】
具体的には示されていないが、
図1Aの例と同様に、
図2のレーザ光源システム100は、異なるVCSELユニット50から放射された光路に配置された空間位相マスクも含むことができることに留意されたい。空間位相マスクは、トポロジー経路に沿った位相変動を補正して、出力光の所望の(通常は平坦な)位相を提供するように構成されている。空間位相マスクを使用して、位相パスに沿った位相変動を補正することができる。
【0081】
上述のように、ユニットセルは周期的なアレイに配置される。第1および第2の隣接する界面領域内のレーザ発振ユニットの第1および第2のサブアレイを考慮すると、第1および第2のサブアレイのユニットセルは、第1の領域と第2の領域との間の界面領域に沿って隣接する光学的に結合されたレーザ発振ユニットによって形成されるトポロジー状態を規定するように異なって構成される。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態によるレーザシステム100の構成の特定の非限定的な例を例示する
図3を参照する。この構成では、VCSEL50は、六角形のセクステットに配置される(VCSELユニットはハニカム構成で配置される)。このアレイは、第1のタイプ110および第2のタイプ120の六角形のユニットセルを有する略三角形のアレイとして形成される。第1および第2のタイプのユニットセルは、VCSELユニット50の内部配置においてそれらの間で異なるが、概して同様の寸法を有する。
図3に示すように、サブアレイ50Bのユニットセル120は、サブアレイ50Aのユニットセル110を形成するものよりも大きなVCSELユニット50から形成され、VCSELユニット50の円周に沿ってより大きなオーバーラップを有する。アレイのこの構成は、第1のタイプ110のユニットセルの領域と第2のタイプ120のユニットセルの領域との界面によって画定される経路に沿ってトポロジーモードTPを生成した。レーザシステム100は、ポンピング構成、例えばVCSELユニット50の少なくともいくつかと接触する電気電極を含む(関連付けられる)。通常、ポンピング構成は、トポロジーモードTPの少なくとも一部を実質的に含む領域130(
図3で影を付けた)に沿ってポンピングエネルギを提供するように構成される。
【0083】
図3の例示的な構成は、VCSELユニット50の六角形セクステットに配置された366個のVCSELピラー(「VCSELピラー」を参照)を含む。これらの六角形は、三角格子において2つのタイプの順序で配置される。第1のタイプ110では、外側の配列(濃い灰色)は、辺の長さa1が三角格子aの格子定数の3分の1(1/3)より大きい六角形からなる(a1>a/3)。第2のタイプのユニットセル120では、内側の配置(明るい灰色)は、辺の長さa2が定数aの3分の1(1/3)より小さい六角形からなる(a2<a/3)。このシステムのフォトニック固有モードは、アレイ全体に広がっている。しかしながら、VCSELピラーの特定の配置により、2種類の配置(コーナーを含む)間の境界面に存在するモードは、トポロジーモードTP(黒い矢印でマークする)である。これらのモードの連続性(欠陥、例えばコーナーを克服すること)は、これらのVCSELユニット50のすべてを一緒にロックする光束を約束する。トポロジーエッジモードの領域130に沿ってポンピングエネルギを受けると、これらのモードはレーザ発振し、アレイの不完全性に対してロバストな垂直コヒーレントビームを提供する。ポンピングエネルギは、VCSELユニット50の特定の配置に従って、電気的ポンピングおよび/または光ポンピングとして提供できることに留意されたい。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、6つのVCSELを含む六角形のユニットセル内の6つの光学固有モードは、単極、双極、四重極、および六重極モードに分割することができる。したがって、レーザ発振中のシステム内のモードは、同じ方法で分割できる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも第1および第2のサブアレイタイプの間の界面において、1つのタイプの双極子(四重極)モードは、第2のタイプの双極子(四重極)モードと一致する。しかしながら、これらはバンドギャップの異なる端に配置されており、例えば、第1のタイプではギャップの上部に1つの双極子があり、第2のタイプではギャップの下部にもう1つの双極子がある。したがって、第1および第2のサブアレイタイプの間の界面では、バンドギャップの中央に、これら2つの双極子モードに関連する少なくとも1つのエッジモードが存在する。1つのサブアレイの上部バンドのモードは、2番目のサブアレイの下部バンドのモードと非常に似ており、近接すると「結合」してギャップにトポロジーモードを形成する。
【0086】
本技法によるレーザシステムの製造および製造は、標準ピラーVCSEL製造に基づく。本技法によれば、VCSELユニットは、アレイ構造で形成され/刻み込まれ/製造される。VCSELユニット間の結合は、隣接するVCSELユニットを部分的に重ねることによって実現され、これは、通常、レイアウト製造プロセスで既に実装されている。トポロジー特性を達成するために、アレイは通常、アレイタイプ間の界面に限定されたフォトニックトポロジーモードをサポートするために、少なくとも2つの異なるタイプのアレイ構造で構成される。いくつかの実施形態では、アレイ形状は六角形のユニットセルを有する三角格子であり、VCSELユニットは六角形の頂点に位置する。2つのアレイタイプの違いは、六角形の辺の長さが異なることに起因する。この構造では、トポロジー的に保護されたモードがこれら2つの構造間の境界面に存在する。この正確なモードがポンピングされると、このモードに属するVCSELユニットは、アレイに深刻な数の不完全性がある場合でも、コヒーレントなレーザビームを放出する。
【0087】
レーザシステムとレーザシステムから生じるトポロジー放出とを示す
図4A~4D及び
図4A~4Dを参照する。
図4Aは、トポロジー絶縁体VCSELアレイの配置を含むレーザシステムアレイの構造を示す。この例では、VCSELのアレイは、異なる第1および第2のタイプのユニットセル構成の第1および第2のサブアレイを含む。第1および第2のタイプのユニットセルは、他方に対して相対的に大きい(伸ばされた)六角形および小さい(圧縮された)六角形を有する。図に示すように、アレイには、ピラー型VCSELのサイズをdとすると、r
1<aの圧縮された格子(ハニカム格子)のタイプ1領域と、r
2>aの伸ばされた変形格子ハニカムのタイプ2領域が含まれる。トポロジーエッジ状態領域は、光学的にポンピングされる。
【0088】
図4B~4Dは、それぞれ、圧縮バルクのフォトニック構造(r1)、アレイ領域間の界面に沿ったトポロジーエッジ、および伸長バルクのフォトニック構造(r2)のハイパースペクトル画像を示す。
図4Bおよび4Dに示すように、バルクモードは、フォトニックモードが異なるバンドに分離されるフォトニックバンドギャップを示す。
図4Cは、フォトニックバンドギャップ内に位置するエッジモードを示しており、トポロジーモードの存在を示す。トポロジーフォトニック状態は、バルクスペクトルのバンドギャップ内の1.3039eVに存在する。トポロジー状態は、アレイ領域間の界面に沿って空間的に配置される。伸長アレイタイプのトポロジーギャップは、圧縮アレイタイプのトポロジーギャップと整列し、553μeV幅のトポロジーギャップを一緒に形成することがわかる。
【0089】
図5A~5Dは、トポロジーモード(
図5Aおよび5B)およびバルクアレイ(
図5Cおよび5D)の放出の空間分布およびスペクトル分布を示す。
図5Aは、異なるユニットセル構成を有するサブアレイ領域間の界面に沿ってトポロジー状態が形成されることを示す、
図4Aに示されるアレイ内に形成されるトポロジー状態の近接場放出パターンを示す。変動は、一般に、アレイのユニットセルを形成するVCSELユニットの結合に関連している。
図5Bは、光ポンピング下のトポロジー状態のレーザ発振スペクトルを示している。ポンピングは、トポロジー状態の空間領域に向けられ、すなわち、異なるサブアレイタイプ間の界面に向けられる。
図5Cは、ハイパースペクトル画像を使用して測定されたバルクアレイの励起フォトニックモードのスペクトルを示す。示すように、トポロジー状態のスペクトルは、バルクモードのスペクトルのギャップ内にある。
図5Dは、自明なバルクモードでのレーザ発振の近接場パターンを示す。
【0090】
トポロジーエッジ状態のレーザ発振を開始するために、2種類のサブアレイ構造(2種類のユニットセルによって特徴付けられる)間の界面は、例えば、パルス化された六角形のビームで非共鳴ポンピングすることができる。発振パターンとスペクトルの測定結果を
図6A~6Dに示し、これらは、位相界面における位置の関数としてスペクトルを示す。
【0091】
図6Aは、ハイパースペクトル画像を使用して、ポンピングがレーザ発振閾値を下回ったときの励起フォトニック状態のスペクトルを示す。特に、アレイは、レーザ発振閾値未満でポンピングされると光(レーザ)を放出せず、スペクトルは複数の励起フォトニック状態を示す。
【0092】
図6Bは、レーザ発振閾値を超える光ポンピング下のトポロジー状態のレーザ発振スペクトルを示す。見てわかるように、ポンピングがレーザ発振の閾値を超えると、トポロジー状態の波長で正確にシングルモードのレーザ発振が観察される。レーザ発振のトポロジー状態は、1.301eVの安定したエネルギで249μeVの線幅で狭い発光スペクトルを維持するが、これは、システムのトポロジーバンドギャップの幅(553μeV)の半分未満である。さらに、システムのアレイ内の単一の個々のVCSEL のレーザ発振線幅は、約170μeVである。これは、30エミッタVCSELアレイが、アレイ内の1つのVCSELユニットの線幅とほぼ同じ幅でレーザ発振することを意味する。
【0093】
図6Cは、システムの光出力を示す。示すように、レーザ発振はアレイのトポロジー界面で正確に発生する。VCSEL(1)は角に位置しており、VCSEL(2)と(3)はアレイの遠く離れた領域に位置しており、それらの間の光路に3つの角がある。それにもかかわらず、レーザ発振は位相エッジに沿って比較的均一である。
【0094】
図6Dは、トポロジーアレイの総レーザ発振スペクトルを示す。アレイがレーザ発振閾値より下および上でポンピングされるときの単一のVCSELの出力スペクトルは、それぞれ曲線71および曲線72によって表される。トポロジー状態の全体的なレーザ発振スペクトル(曲線73)は狭く、トポロジーギャップに位置している。
【0095】
特にVCSELアレイなどのマルチエミッタレーザシステムでコヒーレンスを証明する重要な要素は、互いに遠く離れたVCSELユニット間の干渉を示すことである。
図7A~7Dは、VCSELアレイ内の様々な位置にあるVCSELユニット間の干渉特性を示す。
【0096】
図7Aは、x=0の対称軸Sに関して対称に配置されたVCSELユニット間のコヒーレンスを測定する、x=0における対称軸Sの周りのレイジングフィールドとその鏡像との間の干渉を示す。より具体的には、ポイント1の干渉縞は、
図6CのVCSELユニット(1)とそれ自体のコヒーレンスを測定し(それ自体と重ね合わせて)、ポイント2の干渉縞は、
図6Cの2つの異なるVCSELユニット(2)と(3)の間のコヒーレンス(VCSELユニット(2)はVCSELユニット(3)と重ね合わされている)は、互いに13エミッタ離れて配置されていることを示す。
図7Aに見られるように、すべてのVCSELユニットは視認性の高い干渉を示している。
【0097】
図7Bは、レーザ発振の(バンドパスフィルタ後の)コヒーレント部分を示す。図からわかるように、トポロジーエッジ状態の30個のVCSELユニットすべてが相互にコヒーレントである。VCSELアレイは、それらの間のパス上の3つのコーナーによって分離された2つのレーザに対してもコヒーレンスを示し、例えば、干渉コントラストは、自己相関のポイント(1)と、最も離れたサイト(2)および(3)で同様に高くなる。したがって、VCSELアレイは高い干渉特性を示し、単一のコヒーレントレーザ源として機能する。
【0098】
図7Cは、比較を容易にするために、VCSELアレイ内の空間的に分離された領域のレーザ発振スペクトルを上下に重ねて示している。
図7Cに示すように、すべてのVCSELユニットのスペクトルは非常に似ており、トポロジーバンドギャップのスペクトル領域内に位置している。
【0099】
図7Dは、入力ポンプパワーに対する光出力パワー(曲線74)およびスペクトル幅(曲線75)を示す。曲線は、閾値を超えるレーザ発振を示す。線幅は閾値で大幅に減少するが、これは、コヒーレンスの構築とレーザの主な特性の1つに関連している。
【0100】
図8A~8Cおよび
図9A~9Cを参照すると、これらは、それぞれ4Kおよび200Kの周囲温度におけるVSCELアレイの位相モードの発光の空間分布およびスペクトル分布を示す。
図8Aおよび9Aは、レーザ発振閾値を超える励起出力におけるトポロジー界面状態のエネルギの実空間断層撮影画像を示す。
図8Bおよび9Bは、VCSELアレイの入出力特性ならびにトポロジーレーザ発振状態の線幅を示す。
図8Cおよび9Cは、レーザ発振閾値を下回るおよび上回る単一のVCSELユニットのスペクトル比較、ならびに30個のVCSELユニットの完全な界面の統合スペクトルを示す。特に、
図8Cにおいて、曲線81および82は、ポンピングがレーザ発振閾値を超えているときの、30個のVCSELユニットおよび単一のVCSELユニットの合計出力スペクトルをそれぞれ表す。曲線83および84は、ポンピングがレーザ発振閾値を下回るときの、30個のVCSELユニットおよび単一のVCSELユニットの合計出力スペクトルをそれぞれ表す。
図9Cにおいて、曲線91は、ポンピングがレーザ発振閾値を超えているときの30個のVCSELユニットの総出力スペクトルを表す。曲線92および93は、ポンピングがそれぞれレーザ発振閾値より上および下にあるときの単一のVCSELユニットの出力スペクトルを表す。
【0101】
本願発明者は、システムが周囲温度の変動に対してロバストであることを示している。特に、VCSELアレイは、このような大きな温度変化が常に屈折率を変化させ、したがってレーザ発振波長に影響を与えるという事実にもかかわらず、広範囲の周囲温度で同様の狭い線幅のレーザ発振動作を示す。特に、トポロジーVCSELアレイの線幅は、4Kから200Kの広い温度範囲で狭いまま(249μeV)であることが示された。これは、VCSELアレイのトポロジー特性が波長の変化に敏感ではないことを意味する。これは、トポロジーVCSELアレイスキームが、アレイの平面(DBRとマイクロキャビティが動作波長を決定する)に実質的に垂直な放出方向と、トポロジー絶縁体レーザの他のすべてのスキームでは、強く結合されている面内トポロジー結合とを分離するために発生する。
【0102】
これらの結果は、さまざまな温度でVCSELユニットのコレクションからの安定したコヒーレントで堅牢な発光を提供するトポロジーモードの発光を示す。トポロジーモードの発光は、アレイの発光スペクトルのギャップ内にスペクトル的に位置し、アレイの変動や欠陥の影響を受けない安定したモードになる。
【0103】
本発明は、コンパクトな形状(例えば、数ミリメートル)を維持しながら、高出力を有するレーザシステムを提供することを可能にする。これは、高出力に達することができるが、避けられない大きな空洞サイズのためにセンチメートルのスケールである標準的なガスレーザと比較される。さらに、発光は、VCSELユニットが配置されている表面から出るように向けられるため、発光した光と任意の材料との限られた相互作用しかなく、高出力出力発光の非線形相互作用が排除されるか、少なくとも大幅に減少する。