(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】ゆで麺機
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20250521BHJP
【FI】
A47J27/14 F
(21)【出願番号】P 2022147153
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】522367562
【氏名又は名称】阿桑 文雄
(73)【特許権者】
【識別番号】522367573
【氏名又は名称】磯田 光大海
(73)【特許権者】
【識別番号】513064254
【氏名又は名称】磯田 将博
(73)【特許権者】
【識別番号】522367584
【氏名又は名称】石川 政敏
(73)【特許権者】
【識別番号】522366738
【氏名又は名称】田中 米一
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】磯田 将博
(72)【発明者】
【氏名】磯田 光大海
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-195416(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0273323(EP,A2)
【文献】実開昭57-112718(JP,U)
【文献】実開昭57-196409(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14~27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される水或いは湯を加熱することにより沸騰状態となった熱湯を貯湯槽内に噴出する
ボイラーを設け、該
ボイラーから噴出する沸騰状態の熱湯により、麺類をゆで上げるゆで麺機にあって、
前記貯湯槽内に、ゆで鍋を配置し、このゆで鍋は、その底面の内側に突出する噴出孔を形成し、その噴出孔に嵌め合うボイラーからの供給孔を貯湯槽に設けて、この噴出孔がボイラーからの供給孔と繋がって、ゆで鍋内にゆでカゴと麺とを共に入れて、ゆで鍋内で麺をゆでるようにしたことを特徴とするゆで麺機。
【請求項2】
水或いは湯を加熱する沸騰手段として、ガスバーナを用いたことを特徴とする請求項1記載のゆで麺機。
【請求項3】
水或いは湯を加熱する沸騰手段として電気ヒータを用いたことを特徴とする請求項1記載のゆで麺機。
【請求項4】
前記ゆで鍋は、上方開口縁にフックを設けて,前記貯湯槽に固定すると共に、その上方開口縁に排出口を形成し、この排出口より排水溝へぬめりや塩分を排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のゆで麺機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、そばやうどん、ラーメン、スパゲッティ等の麺をゆでるゆで麺機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゆで麺機は、レストランや食堂の厨房に設置されている。ゆで麺機には、複数の麺カゴを浸すことができる貯湯槽や、この貯湯槽内の湯を沸騰させるガスバーナや電気ヒータ等の熱源等が備えられている。麺カゴ内に入れられた麺は、貯湯槽内の沸騰状態の湯によって短時間にゆで上げられる。
【0003】
ゆで麺機は、特開平11-89529号公報(特許文献1)に示す構造のものが開発されてきており、湯槽(3)内に3~6個の麺カゴ支持枠(22)が配され、同時に複数食の麺をゆでることを可能としている。そのため、常に貯湯槽の全体を沸騰させ、客を待たせない方式であり、客がいてもいなくとも沸騰させているので、無駄な燃料を使っていた。現在のガス代または電気代の高騰で、中小の麺店が困窮しているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-89529号公報
【文献】特開2010-240179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、この発明は、この加熱する熱源となるガス代、電気代の削減を図るために創作されたもので、省エネとなるように設計を変更したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、外部から供給される水或いは湯を加熱することにより沸騰状態となった熱湯を貯湯槽内に噴出する給湯噴出手段を設け、該給湯噴出手段から噴出する沸騰状態の熱湯により、麺類をゆで上げるゆで麺機にあって、前記貯湯槽内に、ゆで鍋を配置し、このゆで鍋は、その下方に前記熱湯が供給される噴出孔を作り、この噴出孔がボイラーからの供給孔と繋がって、ゆで鍋内にゆでカゴと麺とを共に入れて麺をゆでるようにしたことにある(請求項1)。
【0007】
これにより、麺の個別的にゆで上げることを可能とする。即ち、1食分であれば1つのゆで鍋に1つの麺束を入れ、下方の給湯噴出手段から噴出する沸騰湯をボイラーの供給孔をへて、ゆで鍋の噴出孔から1つの鍋に供給される。これによって、ゆで鍋内の麺がゆで上げられる。特定の鍋のみの(沸騰)加熱であるため、ボイラーなどの加熱エネルギーは、必要最小限に抑えられる。
【0008】
この発明の水或いは湯を加熱する沸騰手段として、ガスバーナが用いられる(請求項2)。これ以外、電気ヒータが用いられる(請求項3)。この沸騰手段は、使用するもののみが用いられ、光熱費が削減される。
【0009】
前記ゆで鍋は、その底面の内側に突出する噴出孔を形成し、その噴出孔に嵌め合うボイラーからの供給孔を貯湯槽に設けたことにある(請求項1)。このため、沸騰湯は、嵌め入れられた噴出孔からゆで鍋内に流入される。流入されるゆで鍋は、最小限度の体積のため、内部の温度の上昇が可能となり、省エネルギー化に寄与する。
【0010】
前記ゆで鍋は、上方開口縁にフックを設けて、貯湯槽に引っ掛けて固定する手段を設けている(請求項4)。これにより、ゆで鍋は、貯湯槽に引っ掛けて固定され、しかも、ゆで鍋の底面でも噴出孔が沸騰湯の供給孔に嵌合しているから、その供給孔からも支えられている。
【0011】
前記ゆで鍋は、その上方開口縁に排出口を形成し、この排出口より、排水溝へぬめりや塩分湯を排出するようにしたことにある(請求項4)。このため、噴出孔よりゆで鍋に沸騰湯が噴出されるが、新しい湯が供給されるので、ゆでる際に生じた塩分や麺のぬめり湯がゆで湯と共に、鍋内を上昇し、排出口より排出される。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成のように、麺をゆでるのに、必要とされる麺の数だけゆで上げることができる。即ち、特定のゆで鍋のみ沸騰湯を供給する加熱であるため、ボイラーなどの加熱エネルギーは、必要最小限度に抑えられる。それから、ゆで鍋の上方開口縁の排出口からは、沸騰湯がオーバーフローして、塩分やぬめり湯を自動的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、この発明の実施例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、同上のゆでカゴとゆで鍋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例1】
【0015】
図1において、ゆで麺機1が示され、調理装置に適する防錆金属材などにより形成され、筺体に収納され、その内部に麺をゆでる貯湯槽2が配置されている。この貯湯槽2の下方は、この貯湯槽2内に沸騰湯を供給する給湯噴出手段5が設けられる。
【0016】
先ず貯湯槽2は、熱湯が供給されて満たされており、
図2に示す所用数のゆでカゴ6とゆで鍋7が配されるようになっている。
図1には、2つの部材(ゆでカゴ6と、ゆで鍋7)が対峙した状態が示されている。この貯湯槽2は、その底面9に、供給孔10が設けられている。この供給孔10は、給湯噴射手段5となるボイラー11に連通され、そのボイラー11で加熱された熱湯が供給される。
【0017】
前記ボイラー11は、ガス式の場合、
図12の左側に図示のコイル状のパイプ12と、それを加熱するガスバーナ13と、ボイラータンク(14)とより成り、パイプ12通る水または湯がガスバーナ13により加熱され、熱湯がボイラータンク14に貯められ、供給孔10より、前記貯湯槽2内に噴出供給される。16は、パイプ12に設けられた電磁弁で、水の供給をコントロールしている。17は、定流弁である。19は前記ガスバーナ13へのガスをコントロールしているガス弁である。これらの電磁弁16及びガス弁19は、中央制御装置20からの指令により開閉動作が行われる。
【0018】
前記記述したゆでカゴ6は、麺類をゆで上げる公知の構造のもので、金属製のカゴより製造されている。把手22を持っている。それから、ゆで鍋7は、円筒状の金属製の容器で、前記ゆでカゴ6を収納するもので、上方の上方開口縁23は、前記ゆでカゴ6が入り込み易い径となっている。このゆで鍋7は、底面に内部に突出する噴出孔24を有している。この噴出孔24の径は、前記ボイラータンク14からの供給孔10が挿入されるに適する径となっている。この噴出孔24を介して沸騰湯がゆで鍋7内に供給される。30はフードである。
【0019】
さらに、ゆで鍋7は、前記貯湯槽2内に入り、その貯湯槽2の側壁面に引っかかるフック25を有している。そのフック25にて、ゆで鍋7は貯湯槽2内に固定される。さらに、このゆで鍋7の上方開口縁23に、排出口26を有している。その排出口26は、ゆで鍋7の上方開口縁23より下方へ切り出した位置にあり、言い換えれば、上方の水位面より下がった位置にあって、熱湯は、徐々にオーバーフローして塩分やぬめりを共に排出口28に排出される。尚、この実施例では、前記フック25と前記排出口26とが同一構成となっている。
【0020】
上述の構成にあって、麺をゆでる時は、
図1の左側に示すように、1人用の場合には、麺束をゆでカゴ6内に入れ、そしてそのゆでカゴ6を、ゆで鍋7にセットする。そして、ガスバーナ13を点火し、熱湯を作り、供給孔10により、ゆで鍋7内に供給する。熱湯は、供給孔10から噴出孔24に至ってゆで鍋7内に噴出される。この噴出された沸騰湯は麺をほぐしながら、ゆでることができる。このゆで麺機は、所望する個数のみ稼働させるため、湯量をゆで鍋7内のみゆで状態の100℃以上の沸騰湯のみで良く、加熱するガス量の削減がはかれるものである。
【0021】
尚、加熱手段となるガスバーナ13を用いているが、これに代えて
図1に共通して右側に図示の電気ヒータ29を用いた電気式とすることもできる。この実施例の場合、ボイラータンク14及び電気ヒータ29は、1つのボイラー11内に在り、そのボイラー11に水が供給される。そして、水の供給をコントロールする電磁弁16と定流弁17を備えている。32は、電気ヒータ29に電気をコントロールする電気制御器である。電気式の場合でも、電気ヒータ29にて加熱し、ボイラー11から熱湯が供給孔10から噴射孔24に至ってゆで鍋7内に噴出される。この噴出された沸騰湯は、麺をほぐしながらゆでることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ゆで麺機
2 貯湯槽
5 給湯噴出手段
6 ゆでカゴ
7 ゆで鍋
10 供給孔
11 ボイラー
14 ボイラータンク
20 中央制御装置
24 噴出孔
25 フック
26 排出口
28 排出溝
29 電気ヒータ
30 フード
31 供給電源
32 電気制御器