(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】タイヤ交換システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250521BHJP
B60S 5/00 20060101ALI20250521BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60S5/00
(21)【出願番号】P 2024221256
(22)【出願日】2024-12-18
【審査請求日】2024-12-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [内覧会による展示公開] 共栄タイヤサービス株式会社 一宮店 内覧会開催日:2024年10月1日 [店舗設置による展示公開] 共栄タイヤサービス株式会社 一宮店 設置日:2024年10月11日から現在に至るまで継続して設置している。 [ウェブサイトによる公開] (ウェブサイト1) ウェブサイト名:共栄タイヤサービス株式会社の自社ウェブサイト 掲載アドレス:https://www.k-one1966.com/post/%E4%B8%80%E5%AE%AE%E5%BA%97%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%9D%90%E8%A8%98%E4%BA%8B 掲載アドレス:https://www.k-one1966.com/%E5%BA%97%E8%88%97%E7%B4%B9%E4%BB%8B 掲載年月日:2024年10月4日 (ウェブサイト2) ウェブサイト名:愛知トヨタ「一宮開明店スタッフブログ」 掲載アドレス:https://www.aichi-toyota.jp/blog/store/detail/414409 掲載年月日:2024年7月9日 (ウェブサイト3) ウェブサイト名:愛知トヨタ「稲沢天池店スタッフブログ」 掲載アドレス:https://www.aichi-toyota.jp/blog/store/detail/425211 掲載年月日:2024年10月4日 (ウェブサイト4) ウェブサイト名:ドライバーWeb 掲載アドレス:https://driver-web.jp/articles/detail/41112 掲載年月日2024年10月4日 (ウェブサイト5) ウェブサイト名:マイナビニュース 掲載アドレス:https://news.mynavi.jp/article/20241004-3038609/ 掲載年月日:2024年10月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (ウェブサイト6) ウェブサイト名:exciteニュース 掲載アドレス:https://www.excite.co.jp/news/artice/Driver_00041112/ 掲載年月日:2024年10月4日 (ウェブサイト7) ウェブサイト名:carview 掲載アドレス:https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/ceb362f885e641c6080f4c769541c6080f4c7695fd59cc7a269402/掲載年月日:2024年10月4日 (ウェブサイト8) ウェブサイト名:株式会社エアロのYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=Dv5XXOqgq-w 掲載年月日:2024年10月31日 (ウェブサイト9) ウェブサイト名:Webくれよん 一宮・稲沢版2024年10月号 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/ichinomiya.html 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/backnumber/index.html#ichinomiya 掲載年月日:2024年9月20日 (ウェブサイト10) ウェブサイト名:Webくれよん 一宮・稲沢版2024年11月号 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/ichinomiya.html 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/backnumber/index.html#ichinomiya 掲載年月日:2024年10月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (ウェブサイト11) ウェブサイト名:Webくれよん 一宮・稲沢版2024年12月号 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/ichinomiya.html 掲載アドレス:http://www.kureyon.com/backnumber/index.html#ichinomiya 掲載年月日:2024年11月20日 [刊行物による公開] (刊行物1) 発行者名:株式会ケイ・クリエイト クロスメディア事業部 刊行物名:地域みっちゃく生活情報誌「くれよん一宮・稲沢版2024年10月号」 発行年月日:2024年9月20日 (刊行物2) 発行者名:株式会ケイ・クリエイト クロスメディア事業部 刊行物名:地域みっちゃく生活情報誌「くれよん一宮・稲沢版2024年11月号」 発行年月日:2024年10月20日 (刊行物3) 発行者名:株式会ケイ・クリエイト クロスメディア事業部 刊行物名:地域みっちゃく生活情報誌「くれよん一宮・稲沢版2024年12月号」 発行年月日:2024年11月20日 [TV放送による公開] 放送番組名:テレビ愛知 マーケティングバラエティ黒ちゃんねる 放送日 :2024年12月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512059475
【氏名又は名称】共栄タイヤサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】小菅 英久
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0108659(US,A1)
【文献】特開2002-342467(JP,A)
【文献】国際公開第2023/250113(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ管理手段と空間配置とから構成され、自動車の走行タイヤと保管タイヤとの交換に適用されるタイヤ交換システムであって、
前記タイヤ管理手段が、タイヤの状態情報と交換情報との管理により、タイヤの劣化管理をすると共にタイヤ交換時を決定させ、
前記空間配置が、タイヤ交換エリアと、自動車待機エリアと、タイヤ保管エリアとを隣接させて含み、
前記タイヤ交換エリアが、交差しない一方通行とされた平坦な複数の走行路を備え、
前記自動車待機エリアが、前記走行路と同じ数の待機車庫を備え、
各々の前記走行路が、電動リフトを床下に備え、各々の前記電動リフトは、隣の走行路に備えられた電動リフトの真横の位置にならないように千鳥の位置に配置され、
前記タイヤ保管エリアが、自動車毎の固有のタイヤ保管区画を積層配置させ、
前記タイヤ交換時に、前記待機車庫から、前記走行路に備えられた前記電動リフトの位置まで、ユーザが前記自動車を自走させ、
作業員により、前記電動リフトが操作されて前記自動車が昇降され、予め前記タイヤ保管区画に保管されていた前記固有の保管タイヤが、前記走行タイヤと交換され、タイヤ交換後に前記ユーザが前記自動車を自走退出させ、前記ユーザが乗車したままでタイヤ交換がされる、
ことを特徴とするタイヤ交換システム。
【請求項2】
前記タイヤ保管区画が、前記固有の保管タイヤを4本1セットにして取出し可能に保管させる区画とされ、
各々の前記固有の保管タイヤに、自動車の登録情報を含む管理情報が表示されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ交換システム。
【請求項3】
前記タイヤ管理手段が、通信手段と、記憶手段と、制御手段とを含み、
前記通信手段が、前記タイヤ管理手段と前記ユーザとを通信させ、
前記状態情報が、タイヤの製造時期と残溝高と、夫々の適合基準値情報とを含み、
前記記憶手段が、前記状態情報を記憶させる状態情報記憶手段として機能され、
前記制御手段が、適合判定手段として機能され、
前記適合判定手段が、前記記憶手段から呼び出した前記状態情報の各々を夫々の適合基準値情報と照合させ、
前記状態情報のいずれもが適合基準値情報に適合していると判定したときには、前記保管タイヤに適合表示をさせて、前記自動車の固有のタイヤ保管区画に保管させ、
前記状態情報のいずれかが適合基準値情報に不適合と判定したときには、前記通信手段に、不適合であることを前記ユーザに通知させると共に、前記保管タイヤを基準不適合タイヤとして管理させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ管理システム。
【請求項4】
前記基準不適合タイヤが、各々の前記自動車の固有のタイヤ保管区画とは別の場所で管理される、
ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ管理システム。
【請求項5】
前記タイヤ管理手段が、通信手段と記憶手段と制御手段とを含み、
前記通信手段が、前記タイヤ管理手段とユーザとを通信させ、
前記記憶手段が、自動車毎のタイヤ交換時の交換履歴情報と、降雪履歴情報と降雪予報情報とを記憶させ、
前記制御手段が、前記交換履歴情報と前記降雪履歴情報と前記降雪予報情報とを前記記憶手段から呼び出し、
夏タイヤから冬タイヤへのタイヤ交換については、前記交換履歴情報における過去のタイヤ交換日の中間時期を第1交換時期として演算し、前年のタイヤ交換時と前年の降雪記録情報との先後関係を、前記降雪予報情報に適用して第2交換時期を演算し、第1交換時期と第2交換時期との早い時期を、タイヤ交換推奨時として設定し、
冬タイヤから夏タイヤへのタイヤ交換については、前記中間時期を、タイヤ交換推奨時として設定し、
前記通信手段により、前記タイヤ交換推奨時が前記ユーザに提案されて、前記タイヤ交換時が決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが自動車から降車しないで、保管タイヤの交換サービスを受けることができるタイヤ交換システムに関する。
【0002】
具体的には、ユーザは、予め決定された時間に、一方通行の走行路に設置された電動リフトの上に、自ら自動車を停車させ、タイヤ交換事業者(以下、事業者という。)の固有のタイヤ保管区画に保管されていた保管タイヤと走行タイヤとを、自動車に乗ったままで交換させ、タイヤ交換後には自走退出する。そして、事業者は、次のタイヤ交換の時期まで、外した夏用又は冬用タイヤを良好な状態として、保管タイヤの元の区画において保管させるタイヤ交換システムに関する。
【0003】
また、複数の走行路の各々で、効率的に短時間にタイヤ交換させ、タイヤ交換待ちの複数のユーザを滞留させず、タイヤ交換待ちの停車エリアも限定させ、無駄なスペースを省き、事業者の敷地空間を有効に利用できるタイヤ交換システムに関する。これにより、時間・設備・空間が有効に利用できるだけでなく、ユーザには衛生的な環境を確保し、事業者には平準化されたタイヤ交換サービスを実現させることができる。
【背景技術】
【0004】
自動車のタイヤは、スノーシーズンの始まり、終わりの時期に集中して、季節に適した夏タイヤ又は冬タイヤに交換されている。ユーザの敷地内に、使わないタイヤの保管場所が確保できない場合には、事業者によりタイヤの保管サービスがされるようになっている。
【0005】
感染症が流行し、その流行を抑制させるため様々な方策が打ち出され、人と人との不要な接触を抑えることが必要となっている。従来、ユーザは、事業者の待合室において、他のユーザとの会話を避けるようにして、待機場所でタイヤ交換作業が終了するのを待っていた。その場合でも、事業者との会話等が必要であり、人との接触なく、タイヤ交換作業を待つことは困難であった。
【0006】
また、タイヤ交換時には、事業者がタイヤの経年劣化状態をユーザにアドバイスして、良好なタイヤが装着されることにより、自動車の安全運行が図られている。しかし、感染症対策の一環として事業者とユーザとの会話を減らすと、事業者からユーザへのアドバイスも提供しにくくなるという課題が新たに発生する。
【0007】
特許文献1には、わずらわしい手続が必要でないタイヤ受注システムを提供することを課題とした技術が開示されている。この技術は、ユーザ情報とタイヤ注文情報とタイヤ交換業者情報等を登録させるデータベースと、注文情報チェック手段と注文実行可否判断手段とデータベース更新手段とを備え、データベース更新手段が、入力情報を仮更新させてから、所定の判定を経て、本登録するシステムとされている。
【0008】
特許文献1に記載のシステムによれば、タイヤ交換時期とタイヤ交換作業状態とがデータベースに登録され、対応可能なタイヤ交換業者が、ユーザの指定した場所に出向きタイヤ交換をするとされている。また、予め登録したユーザリストの中から抽出したユーザに、雪シーズンにメールを自動送信してタイヤ交換の受注を促進するともされている。
【0009】
しかし、この技術によれば、対応可能なタイヤ交換業者が、ユーザの交換希望時期に応じて、その都度替わることになるため、交換タイヤを準備・運搬する手間がかかり、タイヤ交換サービスが集中する時期の交換効率が悪く、集中する多くのユーザのタイヤ交換ニーズに、効率的に対応できなかった。また、ユーザ毎に決まったタイヤ交換業者が対応していないため、タイヤ交換促進メールの営業効果も低いという課題があった。
【0010】
特許文献2には、シーズンタイヤの交換及び保管サービスの支援システムの技術が開示されている。この技術によれば、シーズンタイヤを交換・保管するディーラに関連して設けられたウェブサイトと、ユーザと保管タイヤの情報を記憶するデータベースとを備え、ウェブサイトは、ユーザの求めに応じてデータベースを検索し、保管タイヤ情報に係るページを作成し、ユーザに送信するとされている。
【0011】
これにより、ユーザは保管タイヤの情報を常に参照でき、保管タイヤの管理が容易となり、ユーザの指定する場所での出張タイヤ交換サービスや交換後のタイヤ保管サービスを容易に実現できるとされている。またディーラの間で情報が共有され、タイヤ保管設備の共有化が図れ、タイヤ交換サービスを融通できるとされている。更に、交換すべき時期にタイヤ交換を促し、新製品タイヤを宣伝するメールを送るとされている。
【0012】
しかし、この技術によっても、タイヤを交換するディーラが一定していないため、ユーザはシーズンタイヤの管理状況を自らする必要があると共に、異なったタイヤ保管場所に出向くことが必要になる場合もあり、速やかに適切にタイヤ交換を進めるためには、ユーザ自らが保管タイヤの情報に係るページを参照する手間をかける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
特許文献1:特開2002-342619号公報
特許文献2:特開2002-342467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、時間・設備・空間が有効に利用できるだけでなく、ユーザには衛生的な環境を確保し、事業者には平準化されたタイヤ交換サービスを実現させるタイヤ交換システムを提供することである。また、冬タイヤの場合には雪道でスタックしにくく、夏タイヤの場合には高速道路でパンク等のトラブルを発生させにくい良好な状態にタイヤが保管されているタイヤ交換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のタイヤ交換システムは、特徴的な空間配置と、予めタイヤ交換時を決定させるタイヤ管理手段とにより構成させている。空間配置は、ユーザが走行路上のタイヤ交換場所まで自走して、自動車に乗車したままで、走行してきたタイヤを固有のタイヤ保管区画で良好な状態に管理させていた保管タイヤに交換させてから、自走して退出できる空間配置とされている。
【0016】
本発明の第1の発明は、タイヤ管理手段と空間配置とから構成され、自動車の走行タイヤと保管タイヤとの交換に適用されるタイヤ交換システムであって、前記タイヤ管理手段が、タイヤの状態情報と交換情報との管理により、タイヤの劣化管理をすると共にタイヤ交換時を決定させ、前記空間配置が、タイヤ交換エリアと、自動車待機エリアと、タイヤ保管エリアとを隣接させて含み、前記タイヤ交換エリアが、交差しない一方通行とされた平坦な複数の走行路を備え、前記自動車待機エリアが、前記走行路と同じ数の待機車庫を備え、各々の前記走行路が、電動リフトを床下に備え、各々の前記電動リフトは、隣の走行路に備えられた電動リフトの真横の位置にならないように千鳥の位置に配置され、前記タイヤ保管エリアが、自動車毎の固有のタイヤ保管区画を積層配置させ、前記タイヤ交換時に、前記待機車庫から、前記走行路に備えられた前記電動リフトの位置まで、ユーザが前記自動車を自走させ、作業員により、前記電動リフトが操作されて前記自動車が昇降され、予め前記タイヤ保管区画に保管されていた前記固有の保管タイヤが、前記走行タイヤと交換され、タイヤ交換後に前記ユーザが前記自動車を自走退出させ、前記ユーザが乗車したままでタイヤ交換がされることを特徴としている。
【0017】
本発明の第1の発明では、床下に電動リフトを備えた、交差しない複数の走行路の夫々においてタイヤ交換作業がされ、時間あたり多くの自動車のタイヤ交換作業を提供できる。ユーザは、電動リフトが降下し、平坦な状態の走行路をタイヤ交換場所まで自ら走行させ、タイヤ交換後には電動リフトが降下した走行路を自走して退出すればよい。ユーザは、自ら自動車を安全に走行させて、他の者との接触がない、自己の自動車内でタイヤ交換の完了を待つことができる。
【0018】
事業者の敷地エリアには、空間を無駄にしないように不要な待機場所を設けることなく、タイヤ交換用の走行路と同数の待機車庫が設けてあるため、敷地空間が有効に活用できると共にタイヤ交換作業が円滑かつ無駄なく実行される。また、タイヤ保管エリアには、自動車毎に固有のタイヤ保管区画を積層配置させているため、敷地面積あたり多くの自動車用のタイヤが保管でき、敷地を有効に利用することができる。
【0019】
タイヤ管理手段により、タイヤに係る情報が管理される。タイヤに係る情報は、夏用又は冬用にかかわらず、タイヤの製造時期及び残溝高を含むタイヤの状態情報と、装着される自動車の車名、登録番号、過去のタイヤ交換時を含む交換情報とを含むと好適である。
【0020】
状態情報には、タイヤ側面の傷、釘・ネジ等の埋没等の不具合情報が含まれていてもよい、交換情報にはユーザ名、ユーザ住所、ユーザのメールアドレス・電話番号等の個人情報等が含まれていてもよい。ユーザと事業者とはインターネット通信環境により情報共有されると好適であるが、郵便等による情報共有も排除されない。
【0021】
状態情報と交換情報とが参照されて、適切に交換される交換時が決定される。例えば、タイヤのいずれかに損耗があり、シーズンの早い時期にタイヤ交換をする習慣があるユーザの場合には、良好なタイヤが準備できる以降の時期、且つ、シーズンの早い時期で、交換作業が可能な時をタイヤ交換時と決定すればよい。
【0022】
決定されたタイヤ交換時に、その自動車用の固有の保管区画に保管されていた保管タイヤが、隣接したタイヤ交換エリアにおいて走行タイヤに交換されればよく、保管タイヤを短時間で準備でき、ユーザが降車して待たなくてもよい短時間で、自動車に乗車したままでタイヤ交換され、交換サービスが効率的に提供される。
【0023】
第1の発明によれば、ユーザが自己の自動車内で、良好な状態の保管タイヤへの交換の完了を待つことを実現させ、事業者には平準化されたタイヤ交換サービスを実現させ、時間・設備・空間を有効に活用させるという従来にはない有利な効果を奏する。
【0024】
本発明の第2の発明は、第1の発明のタイヤ交換システムであって、前記タイヤ保管区画が、前記固有の保管タイヤを4本1セットにして取出し可能に保管させる区画とされ、各々の前記固有の保管タイヤに、自動車の登録情報を含む管理情報が表示されていることを特徴としている。
【0025】
第2の発明では、4本1セットにして取出し可能に、固有の保管タイヤがタイヤ保管区画に保管され、タイヤ交換時に他のタイヤを移動させなくてもよい。また、タイヤの各々には、自動車の登録情報が表示されており、隣の走行路の自動車が仮に同じ車種であっても、タイヤの取り違いを発生しない。これにより、タイヤの取り違いを発生させないで、タイヤ交換サービスを効率的に提供できるという効果を奏する。
【0026】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明のタイヤ交換システムにおいて、前記タイヤ管理手段が、通信手段と、記憶手段と、制御手段とを含み、前記通信手段が、前記タイヤ管理手段と前記ユーザとを通信させ、前記状態情報が、タイヤの製造時期と残溝高と、夫々の適合基準値情報とを含み、前記記憶手段が、前記状態情報を記憶させる状態情報記憶手段として機能され、前記制御手段が、適合判定手段として機能され、前記適合判定手段が、前記記憶手段から呼び出した前記状態情報の各々を夫々の適合基準値情報と照合させ、前記状態情報のいずれもが適合基準値情報に適合していると判定したときには、前記保管タイヤに適合表示をさせて、前記自動車の固有のタイヤ保管区画に保管させ、前記状態情報のいずれかが適合基準値情報に不適合と判定したときには、前記通信手段に、不適合であることを前記ユーザに通知させると共に、前記保管タイヤを基準不適合タイヤとして管理させることを特徴としている。
【0027】
第3の発明では、タイヤ管理手段が、コンピュータにより機能され、製造時期と残溝高と、夫々の適合基準値情報とを含む状態情報を、記憶手段に記憶させておき、制御手段によりそれらを呼出し、基準適合を判定させている。状態情報に、タイヤの傷、ゴムのひび割れ、硬度等を含んでもよいことは勿論であるが、特にタイヤの走行性能に大きく影響する製造時期と残溝高は管理の対象としている。
【0028】
状態情報のいずれもが適合であるときには、次の交換の時期に交換させるように、その自動車の固有のタイヤ保管区画に保管させ、いずれかが不適合である場合には、ユーザに通知したうえで基準不適合タイヤとして仮保管させる。ユーザの希望で良品タイヤに交換する場合には、良品タイヤに交換してからタイヤ保管区画に保管すればよく、ユーザが交換を留保する場合には、適合表示をしないで、いずれかの場所に仮保管しておけばよい。
【0029】
第3の発明によれば、事業者とユーザの情報共有が容易であり、適合タイヤだけに適合表示がされて、固有のタイヤ保管区画に保管され、基準適合タイヤが保管タイヤとして交換され、基準不適合タイヤは、その旨ユーザに通知され、適合タイヤへの更新が促進され、自動車の安全運行が促進されるという効果を奏する。
【0030】
第4の発明は、第3の発明のタイヤ管理システムであって、前記基準不適合タイヤが、各々の前記自動車の固有のタイヤ保管区画とは別の場所で管理されることを特徴としている。第4の発明では、基準不適合タイヤが、その自動車の固有のタイヤ保管区画には保管されないことにより、基準不適合タイヤが誤って交換されることがないという効果を奏する。
【0031】
第5の発明は、第1の発明のタイヤ管理システムであって、前記タイヤ管理手段が、通信手段と記憶手段と制御手段とを含み、前記通信手段が、前記タイヤ管理手段とユーザとを通信させ、前記記憶手段が、自動車毎のタイヤ交換時の交換履歴情報と、降雪履歴情報と降雪予報情報とを記憶させ、前記制御手段が、前記交換履歴情報と前記降雪履歴情報と前記降雪予報情報とを前記記憶手段から呼び出し、夏タイヤから冬タイヤへのタイヤ交換については、前記交換履歴情報における過去のタイヤ交換日の中間時期を第1交換時期として演算し、前年のタイヤ交換時と前年の降雪記録情報との先後関係を、前記降雪予報情報に適用して第2交換時期を演算し、第1交換時期と第2交換時期との早い時期を、タイヤ交換推奨時として設定し、冬タイヤから夏タイヤへのタイヤ交換については、前記中間時期を、タイヤ交換推奨時として設定し、前記通信手段により、前記タイヤ交換推奨時が前記ユーザに提案されて、前記タイヤ交換時が決定されることを特徴としている。
【0032】
積雪する地域に行く機会が多い者は冬用タイヤ着用期間が長く、雪の少ない地域のみで活動する者は、冬用タイヤの着用期間が短い。また法人所有の自動車は、営業上支障がないように降雪情報に応じてタイヤ交換時期が決定される。
【0033】
第5の発明によれば、冬タイヤへの交換にあたっては、自動車のユーザの意向を反映させた過去の交換履歴情報を使って演算した第1交換時期と、前年のタイヤ交換時と前年の降雪記録情報との先後関係を降雪予報情報に適用して演算した第2交換時期との早い時期が、予めユーザにタイヤ交換推奨時として提案される。
【0034】
また、夏タイヤへの交換にあたっては、ユーザの過去の交換履歴をもとに、タイヤ交換推奨時が提案される。いずれの時期にも、ユーザにタイヤ交換推奨時が提案されて、順にタイヤ交換サービスの時間枠が割り付けられてタイヤ交換時が決定されるため、夏用タイヤ又は冬用タイヤのいずれのタイヤ交換時期においてもタイヤ交換サービスが集中しないようにされる。
【0035】
これにより、ユーザのタイヤ交換に係る意向を反映させたうえで、事業者のタイヤ交換サービスが集中しないようにでき、平準化されたタイヤ交換サービスができるという従来にはない有利な効果を奏する。
【発明の効果】
【0036】
・第1の発明によれば、ユーザが自己の自動車内で、良好な状態の保管タイヤへの交換の完了を待つことを実現させ、事業者には平準化されたタイヤ交換サービスを実現させ、時間・設備・空間を有効に活用させるという従来にはない有利な効果を奏する。
・第2の発明によれば、タイヤの取り違いを発生させないで、タイヤ交換サービスを効率的に提供できるという効果を奏する。
【0037】
・第3の発明によれば、事業者とユーザの情報共有が容易であり、基準適合タイヤが保管タイヤとして交換され、基準不適合タイヤは、その旨ユーザに通知され、適合タイヤへの更新が促進され、自動車の安全運行が促進されるという効果を奏する。
・第4の発明によれば、基準不適合タイヤが誤って交換されることがないという効果を奏する。
・第5の発明によれば、ユーザのタイヤ交換に係る意向を反映させたうえで、事業者のタイヤ交換サービスが集中しないようにでき、平準化されたタイヤ交換サービスができるという従来にはない有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図4】タイヤの管理サービスのフロー(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ユーザが自動車に乗ったままでタイヤ交換サービスを受けられるように、床下に電動リフトを設置させた一方通行の走行路をタイヤ交換場所として、良好な状態の保管タイヤに交換できるタイヤ交換システムとした。また、降雪予報情報を反映させたタイヤ交換推奨時をユーザに提案し、事業者のタイヤ交換可能な時間枠の中でタイヤ交換時を決定させ、タイヤ交換サービスを平準化できるタイヤ交換システムとした。
【実施例1】
【0040】
実施例1では、タイヤ交換システム1を、
図1から
図10を参照して説明する。
図1は、タイヤ交換事業場の空間の配置図を示し、
図2は空間の断面図を示している。
図3はタイヤ交換サービスのフローを示し、
図4はタイヤの管理サービスのフローを示し、
図5はタイヤ管理表示の例を示し、
図6はタイヤ管理手段の説明図を示し、
図7はタイヤ管理手段のブロック図を示している。
図8はタイヤ交換時の決定フローを示し、
図9はタイヤ交換推奨時の設定の例を示している。
【0041】
タイヤ交換事業者の事業場100は、自動車の販売・管理全般を行い、執務エリア110、屋外展示・イベント空間120、車検・点検場等130も併設されている。事業場の敷地空間は道路に接し、幹線道路から敷地に入場可能に自動車出入口140が設けられている。
【0042】
まず
図1、
図2を参照して事業場のタイヤ交換サービスに係る空間構成について説明する。タイヤ交換エリア10には、2つの走行路11が、識別可能な表示、例えば色分け線等により、一方通行に設けられている(
図1参照)。夫々の走行路の中間位置に電動リフト12が設置され、タイヤ交換場所とされている。走行路に隣接した位置に、自動車待機エリア20が配置され、夫々の走行路11に対応する待機車庫21が設けられている。
【0043】
各走行路11は、待機車庫21からタイヤ交換エリア10まで、自動車が交差しないで走行可能とされている。各走行路11においては、電動リフト12が、隣の走行路に設けられる電動リフト12の真横の位置にならないように千鳥の位置に配置され、隣の走行路の作業員の交換サービスに影響がないようにされている。各走行路の脇には、保管タイヤ又は走行タイヤの仮置きスペース13が設けられている(
図1参照)。
【0044】
タイヤ交換エリア10に隣接してタイヤ保管エリア30が設けられる(
図1参照)。タイヤ保管エリア30は、鋼管パイプを縦・横に組み立てて、4層・4列並びのタイヤ積層空間31としている(
図2参照)。タイヤ積層空間31の一枠分の枠32の大きさは、横積みした4本のタイヤが3列隙間をあけて並ぶ大きさとしている。
【0045】
この枠32の中の1列分が、自動車の4本セットの固有のタイヤ保管区画33とされる。タイヤ積層空間31は背中合わせに配置され、前面空間(
図1参照)がタイヤの取出し空間34とされ、取出し空間において、作業リフト35を使って保管タイヤだけが取り出し又は収納可能とされる。
【0046】
ここで、理解を容易にするために、
図3、
図4を参照して、タイヤ交換サービスのフローとタイヤの管理サービスのフローを説明する。タイヤ交換サービスを受けるユーザは、タイヤ交換時の5分前に事業者の案内に従って、指定された待機車庫にて待機する(S100)。そしてタイヤ交換時に、指定走行路に自走進入し(S120)、タイヤ交換エリアの電動リフト位置に停車する(S130)。タイヤ交換中は自車内でタイヤ交換完了を待つ(S151)。
【0047】
事業者は、ユーザを指定走行路に案内する前に自動車の車種、登録番号等を確認して交換用のユーザの固有の保管タイヤを準備しておく(S110)。ユーザを電動リフト位置に停車させてから、電動リフトを操作し、ユーザを乗車させた自動車を上昇させ(S140)、準備しておいた保管タイヤと、自動車に装着されていた走行タイヤとを交換し(S150)、走行タイヤを走行路の脇の仮置きスペースに運び、電動リフトを操作し、自動車を下降させ走行可能にさせる(S160)。
【0048】
電動リフトが下降してから、ユーザはタイヤ交換された自動車で場外に自走退出する(S170)。走行タイヤには、ユーザが退出してから、走行タイヤとユーザを紐づける管理情報40が貼付され、固有のタイヤ保管区画33に仮保管される(S200)(
図5参照)。タイヤ交換サービスの所要時間は、走行路への進入から退出まで約15分とされる。
【0049】
管理情報40には、ユーザ名、自動車の車種名・登録番号、タイヤの装着位置が表示される。仮保管されたタイヤは、タイヤ交換の繁忙期が過ぎてから、例えば1月になってから、全ての走行タイヤについて点検され、走行タイヤ情報取得がされる(S200)。
【0050】
走行タイヤの情報として、状態情報と交換情報が取得される(
図4参照)。走行タイヤの点検により、タイヤ型番、製造時期、残溝高、タイヤ傷、釘・ネジ埋没、ゴムの硬度等の外、ホイール傷等が状態情報として取得される。また、タイヤ交換日、ユーザ氏名、車名、登録番号、装着位置等の情報が交換情報として取得される。
【0051】
取得された状態情報、交換情報は、テキスト情報として記憶されると共に、二次元コード化されて記憶手段に記憶されて(S210)、固有のタイヤ保管区画に戻される。そして、仮保管された走行タイヤについて、走行基準に適合しているかどうかの適合判定がされる。
【0052】
適合判定の前に、記憶手段に記憶されている走行タイヤの型番に係る推奨走行年数、残溝高や事業者が推奨しているゴム硬度等の項目の適合基準が呼び出され(S220)、それらの項目について取得した状態情報と照合され、全ての項目について基準値に適合しているか否かの適合判定がされる(S230)。
【0053】
全ての走行タイヤが全ての項目について適合しており、安全走行に問題がない場合(Yes)には、基準に適合していることが記憶手段に記憶され、出力手段により適合表示を示す帳票が出力され(S240)、個々の走行タイヤの管理情報に適合表示を示す帳票が貼付された状態で、固有のタイヤ保管区画に保管され、次のタイヤ交換時期まで、直射日光を受けない状態で保管される(S250)。
【0054】
適合判定したいずれかのタイヤが不適合の場合(No)、例えば4本のタイヤの全てが残溝高・走行年数については適合しているが、1本のタイヤについてのみタイヤのサイドウォールに傷がある場合には、1本を不適合として、不適合通知をユーザに通知して(S260)、タイヤの固有のタイヤ保管区画において仮保管を継続する(S270)。
【0055】
ユーザと事業者との協議により基準不適合タイヤを傷のない適合タイヤに交換(S280)することになった場合には(Yes)、不適合タイヤを廃棄して交換適合タイヤを他の3本の適合表示がされたタイヤと共に、固有のタイヤ保管区画に保管させればよい(S250)。ユーザの意向により基準不適合タイヤのままとなった場合には(No)、保管タイヤ対象外として。廃棄又は管理すればよい(S290)。
【0056】
タイヤ交換の繁忙期が過ぎてから、全ての走行タイヤの適合判定がされて、基準適合であった走行タイヤを、適合表示がされた保管タイヤとして固有のタイヤ保管区画には保管させればよく、タイヤ点検業務の平準化も図ることができる。また基準不適合タイヤは固有のタイヤ保管区画から除外しておけば、基準不適合のタイヤを誤って装着することが防止できる。その後、タイヤ交換推奨時設定(S330)を参考に、事業者とユーザとでタイヤ交換時決定(S340)がされる(
図8参照)。
【0057】
タイヤ交換エリアとタイヤ保管エリアの境界近くには、タイヤ管理システムをなす端末機14が設置され、タイヤの管理情報が取得可能とされている(
図2参照)。固有のタイヤ保管区画において、各タイヤは上面と下面とに養生材41を添付して保管される(
図5(A)図参照)。上面と下面の養生材41にはバンド42が掛けられ、バンドには管理情報を表示した帳票43が貼付される(
図5(A)図、
図5(B)図参照)。
【0058】
各帳票には、タイヤ預り番号、ユーザ氏名、車名、登録番号と、装着位置と預り本数等の管理情報40と共に、二次元コード44が表示される(
図5(B)図参照)。二次元コードには、それらの情報と共に、走行距離、タイヤ種別、ホイール種別、仲介した自動車販売店、担当者の情報、交換時等の情報が記録される。
【0059】
二次元コード44をQRコード(登録商標)としておけば、多くの情報が記憶可能であるため、事業者固有のユーザと、タイヤ交換を仲介した自動車販売店固有のユーザとを区別可能に管理できる。情報端末に接続された二次元コードリーダで二次元コードを読取って、走行タイヤに交換する直前にも保管タイヤの情報を確認することができる。
【0060】
ここで
図6を参照して、タイヤ管理手段の概要を説明する。ユーザと事業者とは、インターネットの通信手段50等を介して、タイヤの状態情報、交換情報等も情報交換可能とされる。執務エリア110(
図1参照)に設置された情報端末とタイヤ交換場所に設置された現場の情報端末も通信可能とされている。なお、インターネットを使っていないユーザの場合には、事業者と郵便又は有線電話51により事業者と連絡をしてもよい。
【0061】
執務エリア110には、タイヤ管理手段60をなす情報端末が設置されている。タイヤ管理手段60は、中央演算処理手段がなす制御手段61と、ROM、RAM、HDD、SSD等がなす記憶手段62とを含み、プリンター等がなす出力手段63、キーボード等がなす入力手段64、モニター等がなす表示手段65に接続されている。情報端末は、タブレット、パーソナルコンピュータ等であればよいが、クラウドコンピュータであってもよく限定されない。
【0062】
図7は、タイヤ管理手段のブロック図を示している。制御手段61は、適合判定手段とタイヤ交換推奨時設定手段として機能する。適合判定手段では、タイヤの製造時が適正な時期であるか否かを判定する製造時期判定と、タイヤの残溝高が適正に確保されているか否かを判定する残溝高判定とが実行される。タイヤ交換推奨時設定手段では、第1交換時期演算、第2交換時期演算がされ、タイヤ交換推奨時の設定が実行される。
【0063】
記憶手段62は、状態情報記憶手段と、交換情報記憶手段として機能する。状態情報記憶手段は、タイヤの製造時期、例えば製造年と製造週、残溝高例えば5mm、製造時期適合基準値、例えば夏タイヤでは5年以内、冬タイヤでは3年以内、残山高適合基準値、例えば夏タイヤでは4mm、冬タイヤでは5mmが適合値として記憶されている。また、タイヤの型番、ゴムの硬度等走行に係る情報が記憶されている。
【0064】
交換情報記憶手段は、タイヤの交換履歴情報、例えば過去の年毎のタイヤ交換日、事業所地域の降雪履歴情報、例えば過去の年毎の最初の降雪日・最後の降雪日等、降雪予報情報、例えば当年の天気予報による最初の積雪予報日等が記憶される。出力手段は、管理情報出力手段として機能される。管理情報出力手段は、保管タイヤに貼付する帳票のほか、ユーザに状態情報、交換情報を伝達するための帳票等を出力する。
【0065】
入力手段64では、タイヤの状態情報、交換情報が入力され、表示手段65では、入力された情報が表示される。通信手段50は有線通信に限定されず、無線通信であってもよく、事業所内でBluetooth通信(登録商標)、WiFi通信により、執務エリアの情報端末とタイヤ交換エリアの情報端末とが通信可能とされ、タイヤ交換の現場においても、タイヤの状態情報、交換情報の入力、表示、出力が可能であることは勿論のことである。
【0066】
ここで、
図8を参照して、タイヤ交換時の決定フローを説明する。タイヤ交換時は、タイヤ交換推奨時を設定して(S330)、それをユーザに提案してからタイヤ交換時が決定される(S340)。タイヤ交換推奨時は、第1交換時期と第2交換時期のうち早い時期が設定される。
【0067】
タイヤ交換時決定にあたっては、まず、タイヤ交換推奨時設定手段が、記憶手段に記憶されているユーザの交換履歴情報を取得する(S300)。例えば、ユーザの過去3年分のタイヤ交換日の情報を取得すればよい。次に、外部の気象情報サイトから、降雪履歴情報と当年の降雪予報情報を取得する(S310)。一例として、過去3年分最初の降雪日の情報と、当年の最初の降雪予報日の情報を取得すればよい。
【0068】
そして、過去3年間のタイヤ交換日の中間日を第1交換時期として演算し、前年のタイヤ交換日と前年の積雪の先後関係を当年の降雪予報にあてはめた日を第2交換時期として演算させる(S320)。第1交換時期と第2交換時期の早い時期を、タイヤ交換推奨時として設定させる(S330)。
【0069】
ここでタイヤ交換推奨時設定が、理解が容易となるように、
図9を参照して、具体的な日をあげて、第1交換時期、第2交換時期、タイヤ交換推奨時を説明する。交換履歴情報として記憶されたユーザの過去3年間の冬用のタイヤ交換履歴が、12月5日、同月10日、同月15日である場合には、その中間時期である12月10日が第1交換時期として演算される。この演算は、データベース等の時間関数を使って平均値を演算処理させてもよく、3つの日の中日を抽出するように演算してもよい。
【0070】
また前年の最初の降雪記録が12月20日であり、冬タイヤへの交換日が最初の降雪日より5日前の12月15日であり、当年の最初の降雪予報が12月10日であるとすると、12月10日よりも5日前の12月5日が第2交換時期と演算される。この演算は、データベース等の時間関数を使って演算処理させればよい。
【0071】
第1交換時期70が12月10日であり、第2交換時期71が12月5日であるため、その早い時期の第2交換時期である12月5日がタイヤ交換推奨時72として設定される(S330)。事業者はタイヤ交換推奨時72の前後において、交換作業可能な複数の時間枠をユーザに通知して、ユーザと事業者とで合意してタイヤ交換時を決定すればよい(S340)(
図8、
図9参照)。
(その他)
【0072】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
・タイヤの適合基準は、タイヤの安全走行の一つの目安であり、個々のタイヤの状態に応じて事業者とユーザとで基準適合について合意が図られればよい。
・実施例1では、夏タイヤから冬タイヤへの交換を想定して降雪予報情報をタイヤ交換推奨時の設定の一要素としているが、冬タイヤから夏タイヤへの交換は、主としてユーザの交換履歴情報のうち第1交換時期によればよい。
・また第1交換時期等の決定にあたっては、最初の降雪予報日ではなく、最初の積雪予報、大雪情報等を適宜採用すればよい。
【符号の説明】
【0073】
1…タイヤ交換システム、
100…事業場、110…執務エリア、120…屋外展示・イベント空間、
130…車検・点検場等、140…自動車出入口、
10…タイヤ交換エリア、11…走行路、12…電動リフト、
13…仮置きスペース、14…端末機、
20…自動車待機エリア、21…待機車庫、
30…タイヤ保管エリア、31…タイヤ積層空間、32…枠、
33…タイヤ保管区画、34…取出し空間、35…作業リフト、
40…管理情報、41…養生材、42…バンド、43…帳票、44…二次元コード、
50…通信手段、51…有線電話、60…タイヤ管理手段、61…制御手段、
62…記憶手段、63…出力手段、64…入力手段、65…表示手段
70…第1交換時期、71…第2交換時期、72…タイヤ交換推奨時
【要約】 (修正有)
【課題】時間・設備・空間が有効に利用できるだけでなく、ユーザには衛生的な環境を確保し、事業者には平準化されたタイヤ交換サービスを実現させるタイヤ交換システム及びタイヤ管理システムを提供する。
【解決手段】タイヤ交換システム1は、交差しない一方通行とされた複数の走行路11を備え、各々の走行路が、電動リフト13を床下に備え、走行路と同じ数の待機車庫21を備え、自動車毎の固有のタイヤ保管区画33を積層配置させた空間構成を備え、タイヤ管理手段が、タイヤの状態情報と交換情報との管理により、タイヤの劣化管理をすると共にタイヤ交換時を決定させ、タイヤ交換時に、待機車庫から走行路に自動車が乗り入れさせ、電動リフトが自動車を昇降させ、予めタイヤ保管区画30に保管されていた固有の保管タイヤを走行タイヤと交換し、タイヤ交換後に自動車を自走退出させ、ユーザが降車しないでタイヤを交換するようにした。
【選択図】
図1