(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】電力変換装置を制御するための方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20250521BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021002631
(22)【出願日】2021-01-12
【審査請求日】2023-12-25
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505462622
【氏名又は名称】ダンフォス アクチ-セルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】タルキアイネン,アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】スンマネン,アンッティ
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/008413(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109980682(CN,A)
【文献】A_Modified_Droop_Control_for_Grid-Connected_Inverters_With_Improved_Stability_in_the_Fluctuation_of_Grid_Frequency_and_Voltage_Magnitude,IEEE,2019年04月26日
【文献】Analysis of Voltage-Frequency (VF) Droop Control Method for AC Microgrid Application,ijarse,2018年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置を制御するための制御装置(101)であって、前記制御装置はデータ処理システム(102)を備え、前記データ処理システム(102)は、
-前記電力変換装置の電力(p
act)を表すデータ(U
DC、I
DC)に基づいて周波数ドループ値(Δf
droop)を形成し、
-周波数制御値(f
c)を前記周波数ドループ値だけ変化させ、電力潮流方向が前記電力変換装置の交流電圧端子から外側に向かうとき、前記周波数ドループ値は前記周波数制御値を減少させるように構成され、
前記データ処理システムは、
-前記電力の目標値(p
ref)を表すデータに基づいて電力制御値(Δf
pc)を形成し、
-前記周波数制御値を前記電力制御値だけ変化させ、前記電力の前記目標値が、前記電力変換装置の前記交流電圧端子から外側に向かう前記電力潮流方向に対応するとき、前記電力制御値は前記周波数制御値を増加させ、
-前記周波数制御値を前記電力変換装置に伝達し、それによって前記電力変換装置の交流電圧周波数を制御するように構成され
、
前記データ処理システムは、前記電力制御値(Δf
pc
)の変化率を最大でも前記変化率の規定の上限に制限するように構成される、
ことを特徴とする、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは以下の数式による前記周波数制御値を形成するように構成され、
f
c=f
0-Δf
droop+Δf
pc
Δf
droop=αp
act
Δf
pc=αp
ref
式中、f
cは前記周波数制御値であり、f
0は前記周波数制御値の基準値であり、p
actは前記電力変換装置の前記電力であり、Δf
droopは前記周波数ドループ値であり、p
refは前記電力の前記目標値であり、Δf
pcは前記電力制御値であり、αは前記電力に従って前記周波数制御値を変更するためのドループ係数である、制御装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは、前記電力の前記目標値と前記電力との間の差異(p
ref-p
act)に比例するエラー値の時間積分を計算するように構成され、前記周波数制御値を、前記エラー値の前記時間積分に依存する補正値(Δf
corr)で修正するように構成される、制御装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは、以下の数式によって前記周波数制御値を形成するように構成され、
f
c=f
0-Δf
droop+Δf
pc+Δf
corr
Δf
droop=αp
act
Δf
pc=αp
ref
Δf
corr=β
I∫(p
ref-p
act)dt
式中、f
cは前記周波数制御値であり、f
0は前記周波数制御値の基準値であり、p
actは前記電力変換装置の前記電力であり、Δf
droopは前記周波数ドループ値であり、p
refは前記電力の前記目標値であり、Δf
pcは前記電力制御値であり、Δf
corrは前記補正値であり、αは前記電力に従って、前記周波数制御値を変更するためのドループ係数であり、
およびβ
Iは制御パラメータである、装置。
【請求項5】
請求項
3または
4に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは、比例および統合コントローラからなるように構成され、前記エラー値は前記比例および統合コントローラの入力値であり、前記補正値は前記比例および統合コントローラの出力値である、制御装置。
【請求項6】
請求項
3から請求項
5のいずれか一項に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは前記補正値を、少なくとも前記補正値の規定の下限および多くても前記補正値の規定の上限に制限するように構成される、制御装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは、前記補正値が前記補正値の前記規定の上限または前記補正値の前記規定の下限に到達するような状況に応じて、前記時間積分の絶対値が増加することを防ぐように構成される、制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の制御装置であって、前記データ処理システムは、前記電力変換装置の無効電力(Q)を表すデータに基づいて電圧ドループ値(Δu
droop)形成するように構成され、前記電圧ドループ値は、前記
無効電力(Q)が正であるときに、前記電力変換装置の電圧の振幅を減少させる、制御装置。
【請求項9】
電力変換装置(109)であって、
-1または複数の交流電圧を形成するように構成される変換器ステージ(104)と、
-前記1または複数の交流電圧の周波数を表す周波数制御値(f
c)に従って、前記変換器ステージを制御して、1または複数の交流電圧を形成するように構成されるドライバステージ(103)と、
-請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載され、前記周波数制御値を決定するように構成される制御装置(101)と、
を備える、電力変換装置(109)。
【請求項10】
請求項
9に記載の電力変換装置であって、前記ドライバステージは、前記周波数制御値(f
c)および電圧制御値(U
c)に従って、前記変換器ステージを制御して1または複数の交流電圧を形成するように構成され、前記制御装置は請求項
8に記載の制御装置であり、前記電圧制御値を決定するように構成される、電力変換装置。
【請求項11】
電力変換装置を制御するための方法であって、前記方法は、
-前記電力変換装置の電力(p
act)を表すデータに基づいて周波数ドループ値(Δf
droop)を形成すること(201)と、
-周波数制御値(f
c)を前記周波数ドループ値だけ変化させること(202)であって、前記周波数ドループ値は、電力潮流方向が前記電力変換装置の交流電圧端子から外向きの場合に、前記周波数制御値を減少させることと、
を備え、
前記方法はさらに、
-前記電力の目標値(p
ref)を表すデータに基づいて、電力制御値(Δf
pc)を形成すること(203)と、
-前記周波数制御値を前記電力制御値だけ変化させること(204)であって、前記電力の前記目標値が、前記電力変換装置の前記交流電圧端子から外向きである前記電力潮流方向に対応する場合に、前記電力制御値は、前記周波数制御値を増加させることと、
-前記電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、前記周波数制御値を前記電力変換装置に伝達すること(205)と、
-
前記電力制御値(Δf
pc
)の変化率を最大でも前記変化率の規定の上限に制限すること
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項1
1に記載の方法であって、前記方法は、前記電力の前記目標値と前記電力との間の差異(p
ref-p
act)に比例するエラー値の時間積分を計算することと、前記周波数制御値を、前記エラー値の前記時間積分に依存する補正値(Δf
corr)で修正することを備える、方法。
【請求項13】
電力変換装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムはコンピュータ実行可能命令を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、プログラム可能処理システムを制御して、
-前記電力変換装置の電力(p
act)を表すデータに基づいて、周波数ドループ値(Δf
droop)を形成し、
-周波数制御値(f
c)を前記周波数ドループ値だけ変化させ、前記周波数ドループ値は、電力潮流方向が前記電力変換装置の交流電圧端子から外向きの場合に、前記周波数制御値を減少させ、
前記コンピュータプログラムはコンピュータ実行可能命令を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、プログラム可能処理システムを制御して、
-前記電力の目標値(p
ref)を表すデータに基づいて、電力制御値(Δf
pc)を形成し、
-前記周波数制御値を前記電力制御値だけ変更し、前記電力の前記目標値が、前記電力変換装置の前記交流電圧端子から外向きである前記電力潮流方向に対応するとき、前記電力制御値は前記周波数制御値を増加させ、
-前記電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、前記周波数制御値を前記電力変換装置に伝達
し、
-前記電力制御値(Δf
pc
)の変化率を最大でも前記変化率の規定の上限に制限する、
ことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項1
3に記載のコンピュータプログラムで符号化された不揮発性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、交流系の一部、たとえばマイクログリッドを構成する電力変換装置の制御に関する。より具体的には、本開示は、電力変換装置を制御するための制御装置および方法に関する。さらに、本開示は、電力変換装置を制御するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの事例では、たとえばマイクログリッドなどの交流「AC」系は、たとえば三相交流電圧などの1または複数の交流電圧に直流電圧を変換するための電力変換装置を備える。前述した種類のAC系は、別のAC系と並列に接続可能である。別のAC系とは、たとえば、1または複数の電力変換装置および/または1または複数の発電機セットを備える電力系統またはAC系であってもよく、それぞれ燃焼機関、風力タービン、ハイドロタービン、または別の原動機によって駆動される発電機を用いる。
【0003】
たとえば、マイクログリッドなどのAC系を別のAC系と並行して稼働するときの一般的な目的は、AC系間の負荷を共有することである。たとえば、マイクログリッドが電力系統に同期され、接続する場合、望ましい操作は、電力系統が消費されたすべての電力を供給し、マイクログリッドがゼロ出力で並行して動作するものの、電力系統が接続を切られる場合は、負荷を担う用意があることである。別の例では、バッテリをマイクログリッドの電力変換装置の直流電圧側に接続してもよく、マイクログリッドが電力系統に接続するとき、バッテリは充電される。バッテリを充電するために、電力変換装置は電力系統から電力を引き出し、バッテリに供給する。前述の両方の事例では、マイクログリッドの電力変換装置の電力を制御する必要がある。
【0004】
伝統的な解決法は、アクティブフロントエンド「AFE」制御を用いることである。AFE制御とは、フィードバック制御を用いて電力変換装置の相電流を制御するということである。電力制御は、電流制御によって実現可能である。ただし、相電流が制御されるとき、相電圧は制御されないが、相電圧は相電流を目標値にするために必要な値を推測する。これは、制御された正弦波電圧を生成し、負荷に電流を決定させるというマイクログリッド制御の目的とは反対である。このように、電力系統手段と並行して稼働するマイクログリッドでAFE制御を用いるということは、電力系統が接続されているときにAFE制御を用いる必要があるということを意味し、電力系統が接続を切られていて、マイクログリッドの電力変換装置が望ましい正弦波電圧を生成する必要があるとき、電圧制御に切り替える必要があるということを意味する。ただし、AFE制御と電圧制御の両方を実装すると複雑になり、費用もかさむ。さらに、切り替え中に電圧が滑らかに連続するようにAFE制御と電圧制御の切り替えを実施することは、困難である。たとえば、切り替えには、マイクログリッドの電力変換装置の変調を停止することが必要になることもある。変調が停止しているときに電力系統が接続していないと、マイクログリッドは停電という状況になる。変調が停止しないという要件は、切り替えプロセスがたとえば、約100マイクロ秒という短時間で実行されるべきということを意味する。必要に応じて切り替えられる制御モードは、従前の制御モードから切り替わるときに、電圧が滑らかに継続するように開始されなければならない。この要件によって、複雑さが増加し、計算資源に相当な要件が課される。さらに、正確な時刻に切り替えを行うために、電力系統の切断または接続を感知しなければならない。マイクログリッドと電力系統を接続および切断する接触器を第三者が操作している場合に、これは困難となることもある。さらに、切断が意図的でないこともありえるため、停電状況を回避するために即時のマイクログリッド操作が必要となる。前述のような事例では、正確な切り替え時間の判断が、決定的因子となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、様々な本発明の実施形態の態様を基本的に理解できるように、簡略化した概要を提示する。本概要は本発明の広範な概要ではない。本概要は、本発明の重要または決定的な要素を特定することを目的とするものではなく、また、本発明の範囲を説明するものでもない。以下の概要は単に、本発明の実施形態の例示を詳細に説明する前段階として、本発明の概要の一部を簡略化した形で提示するものである。
【0006】
本発明によれば、電力変換装置を制御するための新規の制御装置が提供される。電力変換装置は、たとえば、交流「AC」マイクログリッドの一部を構成する電力変換装置であってもよい、
【0007】
本発明による制御装置は、データ処理システムを備える。データ処理システムは、
-電力変換装置の電力を表すデータに基づいて周波数ドループ値を形成し、
-周波数制御値を周波数ドループ値だけ変化させ、電力潮流方向が電力変換装置の交流電圧端子から外側に向かうとき、周波数ドループ値は周波数制御値を減少させるように構成され、
-電力の目標値を表すデータに基づいて電力制御値を形成し、
-周波数制御値を電力制御値だけ変化させ、電力の目標値が、電力変換装置の交流電圧端子から外側に向かう電力潮流方向に対応するとき、電力制御値は周波数制御値を増加させ、
-周波数制御値を電力変換装置に伝達し、それによって電力変換装置の交流電圧周波数を制御するように構成される。
【0008】
周波数制御値が周波数ドループ値に依存することは、電力変換装置の電力から電力変換装置の交流電圧周波数へのドループフィードバックを構成する。電力変換装置の交流電圧周波数がAC系の動作周波数より大きいとき、この周波数差異によって電力変換装置とAC系との間の電力角度が増加するため、電力変換装置から交流「AC」系に供給される電力は増加する。交流「AC」系とは、たとえば、ACマイクログリッドとAC電力系統の並列接続である。本例示的な事例では、前述のドループフィードバックによって、電力変換装置の交流電圧周波数が減少し、次に電力が減少する。それに応じて、電力変換装置の交流電圧周波数がAC系の動作周波数より小さいとき、この周波数差異によって前述の電力角度が減少するため、電力変換装置からAC系に供給される電力は減少する。本事例では、前述のドループフィードバックによって、電力変換装置の交流電圧周波数が増加し、電力が増加する。
【0009】
前述のドループフィードバックの当然の結果として、電力は、ドループフィードバックと前述の電力制御値を組み合わせた効果によって、電力変換装置の交流電圧周波数がAC系の動作周波数と同じになる値まで駆動される。したがって、電力は、電力をその目標値まで駆動するために、電力制御値を変更することによって制御可能である。たとえば、電力制御値が段階的に増加する場合、電力変換装置の交流電圧周波数はAC系の動作周波数、したがって、電力角度より大きくなり、それによってAC系に供給される電力も増加を始める。電力が増加すると当然の結果として、電力変換装置の交流電圧周波数がAC系の動作周波数と等しくなり、それによって電力角度が増加を停止するまで、ドループフィードバックによって電力変換装置の交流電圧周波数は減少し始める。電力角度の終値は、電力制御値の段階的増加の時刻における値より大きい。したがって、前述の例示的な事例では、電力は、電力制御値の段階的増加に対応する値だけ増加する。さらに、ドループフィードバックによって、電力変換装置はAC系の動作周波数の変動に適応可能となる。
【0010】
本明細書において、「電力」という用語は、つまり、無効電力でも皮相電力でもなく、AC系と連動して有効電力を意味する。「電力」という用語を用いるのは、AC系および直流「DC」系の両方と関連して使用可能なためである。
【0011】
本発明によれば、以下を備える新規の電力変換装置が提供される。
-1または複数の交流電圧を形成するように構成される変換器ステージと、
-1または複数の交流電圧の周波数を表す周波数制御値に従って、変換器ステージを制御して、1または複数の交流電圧を形成するように構成されるドライバステージと、
-周波数制御値を決定するように構成される、本発明による制御装置。
【0012】
本発明によれば、また、電力変換装置を制御するための新規の方法が提供される。本発明による方法は以下を含む。
-電力変換装置の電力を表すデータに基づいて周波数ドループ値を形成することと、
-周波数制御値を周波数ドループ値だけ変化させることであって、周波数ドループ値は、電力潮流方向が電力変換装置の交流電圧端子から外向きの場合に、周波数制御値を減少させることと、
-電力の目標値を表すデータに基づいて、電力制御値を形成することと、
-周波数制御値を電力制御値だけ変化させることであって、電力の目標値が、電力変換装置の交流電圧端子から外向きである電力潮流方向に対応する場合に、電力制御値は、周波数制御値を増加させることと、
-電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、周波数制御値を電力変換装置に伝達すること。
【0013】
本発明によれば、また、電力変換装置を制御するための新規のコンピュータプログラムが提供される。本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令を備える。コンピュータ実行可能命令はプログラム可能処理システムを制御して、以下を実行する。
-電力変換装置の電力を表すデータに基づいて、周波数ドループ値を形成し、
-周波数制御値を周波数ドループ値だけ変化させ、周波数ドループ値は、電力潮流方向が電力変換装置の交流電圧端子から外向きの場合に、周波数制御値を減少させ、
-電力の目標値を表すデータに基づいて、電力制御値を形成し、
-周波数制御値を電力制御値だけ変更し、電力の目標値が、電力変換装置の交流電圧端子から外向きである電力潮流方向に対応するとき、電力制御値は周波数制御値を増加させ、
-電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、周波数制御値を電力変換装置に伝達すること。
【0014】
本発明によれば、また、新規のコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は不揮発性コンピュータ可読媒体、たとえば本発明によるコンピュータプログラムで符号化されたコンパクトディスク「CD」を備える。
【0015】
様々な例示的および非制限的実施形態は添付請求項において記載される。
【0016】
構造および操作方法の双方に対する様々な例示的および非制限的実施形態は、追加の目的および有利点と合わせ、添付図とともに読むことによって、以下の具体的な例示的および非制限的実施形態から最善に理解されるであろう。
【0017】
「備える」および「含む」という動詞は、本明細書において、開かれた制限として用いられ、記載されていない特徴の存在を除外するものでも、必要とするものでもない。従属請求項に記載される特徴は、別段明示のない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。さらに、「1つ」という単数の使用は、本明細書すべてにわたって複数を除外するものではないことを理解されたい。
【0018】
非限定的な例示した実施形態およびその有利点を、実施例として、添付図を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】例示的および非制限的な一実施形態による電力変換装置を例示する。
【
図1B】例示的および非制限的な一実施形態による制御装置を例示する。
【
図1C】例示的および非制限的な別の実施形態による制御装置を例示する。
【
図2】例示的および非制限的な一実施形態による、電力変換装置を制御するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の本明細書に記載する特定の実施例は、添付請求項の範囲および/または適用性を限定するものと解釈されてはならない。本明細書に記載する前述の実施例の一覧および群は、別段明示のない限り、包括的なものではない。
【0021】
図1Aは、例示的および非制限的な一実形態による電力変換装置109のハイレベルブロック図を示す。
図1に示す例示的な事例では、電力変換装置109は、電流「DC」系105と交流「AC」系114との間で、ラインフィルタ106を介して電力を転送するように構成される。ラインフィルタ106は、たとえば、インダクタ-キャパシタ-インダクタ「LCL」フィルタであってもよい。本例示的な事例では、AC系114は、ACマイクログリッド107と、別のACグリッド108とを備え、これらは、たとえばAC電力系統であってもよい。ACマイクログリッド107およびACグリッド108は回路遮断器115に並列に接続する。DC系105は、たとえば、DC系105が電力変換装置109に電力を供給してもよく、つまり、U
DC×I
DC>0であるように構成されてもよいが、時にはDC系105は電力を電力変換装置109から受け取るように、つまり、U
DC×I
DC<0であるようにしてもよい。また、時には、DC系105と電力変換装置109との間に電力転送がないように、つまり、U
DC×I
DC=0であるように構成されてもよい。DC系105は、たとえば、燃料電池および/または太陽電池パネルおよび/またはバッテリ系および/またはキャパシタ系を備えていてもよく、バッテリおよび/またはキャパシタ系は、充電されることもあれば、放電されることもある。
【0022】
電力変換装置109は、変換器ステージ104を備える。変換器ステージ104は、直流電圧UDCを交流電圧に変換するように構成される。本例示的な事例では、電力変換装置109は、直流電圧UDCを三相交流電圧に変換するように構成される。ただし、相の数が3未満または3より大きいことも可能である。変換器ステージ104は、たとえば、インバータブリッジであってもよい。インバータブリッジは、たとえば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ「IGBT」またはゲートタウンオフ「GTO」サイリスタなどの制御可能な半導体コンポーネントを用いて実装され、制御可能な半導体コンポーネントと逆平行なダイオードを用いて実装されることもある。電力変換装置109は、変換器ステージ104を制御して、三相交流電圧の周波数を表す周波数制御値fcに従って、三相交流電圧を形成するように構成されるドライバステージ103を備える。本例示的電力変換装置109において、ドライバステージ103は、三相交流電圧の振幅を表す電圧制御値Ucに従って、同様に変換器ステージ104を制御するように構成される。たとえば、相電圧基準を形成し、相電圧基準に従ってパルス幅変調「PWM」を実行することによって、三相交流電圧は生成されてもよい。PWMは、結果として、三相交流電圧を構成する相電圧をもたらす。たとえば、空間ベクトル変調などのPWMを用いる三相交流電圧を形成する別の技術もある。
【0023】
電力変換装置109は、前述の周波数制御値f
cを決定するために、例示的および非制限的な一実施形態による制御装置101を備える。本例示的な事例では、制御装置101は、前述の電圧制御値U
cも決定するように構成される。制御装置101の信号図を
図1Bに示す。制御装置101は、電力変換装置109の実際の電力p
actを示すデータに基づいて、周波数ドループ値Δf
droopを形成するように構成されるデータ処理システム102を備える。データ処理システム102は、周波数制御値f
cを周波数ドループ値Δf
droopによって変更するように構成される。それによって、電力潮流方向が電力変換装置109の交流電圧端子113から外側に向かうとき、つまり、電力潮流方向が電力変換装置109からAC系114に向かうとき、周波数ドループ値は周波数制御値f
cを減少させる。それに応じて、電力潮流方向がAC系114から電力変換装置109に向かうとき、周波数ドループ値Δf
droopは、周波数制御値f
cを増加させる。周波数制御値f
cが周波数ドループ値Δf
droopに依存することは、電力変換装置109の電力p
actから電力変換装置109の交流電圧周波数へのドループフィードバックから構成される。電力変換装置109の交流電圧周波数がAC系114の動作周波数より大きいとき、電力p
actは増加する。これは、この周波数差異は電力変換装置109とAC系114との間の電力角度を増加させるからである。本例示的状況では、前述のドループフィードバックは、電力変換装置109の交流電圧周波数を減少させ、次に電力p
actが減少する。それに応じて、電力変換装置の交流電圧周波数はAC系114の動作周波数より低いとき、電力p
actは減少する。これは、この周波数差異が前述の電力角度を減少させるためである。本例示的状況では、前述のドループフィードバックは、電力変換装置109の交流電圧周波数を上昇させ、次に、電力p
actが増加する。
【0024】
データ処理システム102は、電力変換装置109の電力の目標値prefを示すデータに基づいて、電力制御値Δfpcを形成するように構成される。データ処理システム102は、周波数制御値fcを電力制御値Δfpcだけ変更するように構成される。それによって、目標値prefが、電力変換装置の交流電圧端子113から外側に向かう電力潮流方向、つまり、電力変換装置109からAC系114に向かう電力潮流方向に対応するとき、電力制御値が周波数制御値を増加させる。それに応じて、電力制御値Δfpcは、目標値prefがAC系114から電力変換装置109に向かう電力潮流方向に対応するとき、周波数制御値fcを減少させる。データ処理システム102は、電力変換装置109の交流電圧周波数を制御するように、周波数制御値fcをドライバステージ103に伝達するように構成される。
【0025】
前述のドループフィードバックによる当然の結果として、電力pactは、ドループフィードバックと前述の電力制御値Δfpcを組み合わせた効果によって、電力変換装置109の交流電圧周波数がAC系114の動作周波数と同じになる値まで駆動される。したがって、電力pactは、電力pactをその目標値prefまで駆動するために、電力制御値Δfpcを変更することによって制御可能である。たとえば、電力制御値ΔfpcがdΔfpcだけ段階的に増加する場合、電力変換装置109の交流電圧周波数はAC系114の動作周波数より大きくなり、したがって電力角度と、それによって電力pactも増加を始める。電力pactが増加すると当然の結果として、電力変換装置109の交流電圧周波数がAC系114の動作周波数と等しくなり、それによって電力角度が増加を停止するまで、ドループフィードバックによって電力変換装置109の交流電圧周波数は減少し始める。電力角度の終値は、電力制御値の段階的増加の時刻における値より大きい。したがって、前述の例示的な事例では、電力pactは、電力制御値の段階的増加dΔfpcに対応する値だけ増加する。
【0026】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置では、データ処理システム102は、周波数制御値fcを以下の数式によって形成するように構成される。
fc=f0-Δfdroop+Δfpc (式1)
Δfdroop=αpact (式2)
Δfpc=αpref (式3)
式中、f0は周波数制御値の基準値であり、αは周波数制御値fcを電力pactに従って変更するためのドループ係数である。基準値f0は、たとえば、AC系114の動作周波数にできるだけ近く設定することができる。ドループ係数αは、例えば以下の数式であってもよい。
α=kdroop fnom/pnom (式4)
式中、kdroopはドループ度の係数であり、fnomはAC系114の公称動作周波数であり、pnomは電力変換装置109の公称電力である。ドループ度の係数kdroopは、たとえば、0.01から0.1の範囲内にあり、たとえば0.04である。
【0027】
前述の数式1~3は、基準値f0がAC系114の動作周波数である場合、安定した状態では、実際の電力pactは目標値prefと等しいことを表す。これは、安定した状態では、電力変換装置109の交流電圧周波数はAC系114の動作周波数と等しくなるはずであり、つまり、fcはf0と等しくなくてはならないためである。したがって、数式1に基づいて、ΔfdroopはΔfpcと等しくなくてはならず、pact=prefとなる。
【0028】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置では、データ処理システム102は電力制御値Δf
pcの変化率、つまり、dΔf
pc/dtを、最大限でも規定の上限に制限するように構成される。
図1Bでは、変化率の制限は傾斜ブロック110で描かれている。変化率の制限は、たとえば、ACマイクログリッド107が停電状況から開始されるとき、有利であることもある。
【0029】
一般原則に制限を設けることなく、回路遮断器115が閉じている例示的状況を考慮することができる。つまり、ACマイクログリッド107およびACグリッド108が並列に接続し、電力変換装置109の電力pactは、たとえばゼロであり、ACグリッド108からACマイクログリッド107に提供される電力は電力変換装置109の公称電力pnomである。目標値prefはゼロと想定される。次に、ACグリッド108の動作周波数はΔfだけ変化すると想定する。Δfの変化によって、電力変換装置109とAC系114との間に周波数差異が生じるため、電力変換装置109の電力pactの変化が生じる。新平衡点では、電力変換装置109の交流電圧周波数は、Δfだけ変化しており、電力pactは-Δf/αである。電力pactは、目標値prefをΔf/αになるように調整することによってゼロに戻ることもある。したがって、ACグリッド108の動作周波数が変化するとき、前述の電力制御を用いて、電力変換装置109の電力pactを望ましい値に維持することができる。
【0030】
別の例では、ACグリッド108の動作周波数が公称動作周波数fnomであり、ACグリッド108が電力ploadをACマイクログリッド107に提供し、電力変換装置109の電力pactがゼロであり、目標値prefがゼロであるとき、回路遮断器115が突然開くことを想定する。前述の例示的状況では、ACマイクログリッド107は電力を電力変換装置109から引き始める。つまり、電力変換装置109の動作は、無停電電源装置「UPS」の動作に似ている。ドループフィードバックによって、電力変換装置109の交流電圧周波数は、αploadだけ降下する。ドループ度の係数kdroopが、たとえば0.04である場合、電力変換装置109の交流電圧周波数は、4%xpload/pnomだけ降下する。電力変換装置109の交流電圧周波数は、prefをploadに調整することによってfnomに戻ることもある。
【0031】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置では、データ処理システム102は、電力変換装置109の無効電力Qを示すデータに基づき、電圧ドループ値Δudroopを形成するように構成される。データ処理システム102は、電圧制御値Ucを変更するように構成される。それによって、電圧ドループ値は、電力変換装置109が誘導無効電力を生成する状況、つまり、容量性無効電力を消費する状況に応じて、電力変換装置109の三相電圧の振幅を減少させる。それに応じて、電圧ドループ値は、電力変換装置109が誘導無効電力を消費する状況に対応して、三相電圧の振幅を増加させる。前述の電圧ドループによって、無効電力の制御が促進される。たとえば、2つの電力変換装置が同一のACグリッドに接続する事例では、電圧ドループは、これらの電力変換装置間の無効電力を共有するためのツールである。
【0032】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置では、データ処理システム102は、以下の数式によって電圧制御値Ucを形成するように構成される。
Uc=U0-Δudroop (式5)
Δudroop=γQ (式6)
式中、U0は、電圧制御値Ucを無効電力Qに従って変化させるための電圧制御値の基準値であり、γは電圧ドループ係数である。電力変換装置109が誘導無効電力を生成するとき、無効電力Qは正である。基準値U0は、たとえば、AC系114の公称電圧に設定されてもよい。
【0033】
図1Aおよび1Bに例示する例示的な事例では、実際の電力p
actを表すデータは、直流電圧U
DCおよび直流I
DCの測定値または推定値を備える。実際の電力p
actは、変換器ステージ104内の損失がごくわずかであると想定される場合、U
DC×I
DCとして推定することができる。直流電圧U
DCが実質的に一定に維持される例示的な事例では、電力を示すデータは、直流I
DCの測定値または推定値のみを備えていれば十分なこともある。電力を示すデータが、電力変換装置109の交流電圧端子113で有効電流の測定値または推定値を備え、電力変換装置109によって生成される三相交流電圧の測定振幅または推定振幅を備えることも可能である。三相交流電圧の振幅が実質的に一定に維持される例示的な事例では、電力を示すデータが有効電流の測定値または推定値のみを備えていれば十分なこともある。したがって、電力の実際の値p
actおよび目標値p
refの代わりに、有効電流の実際の値および目標値を用いることも可能である。
【0034】
前述の数式1~3に例示するように、基準値f0がAC系114の動作周波数と等しい場合、電力変換装置109の実際の電力pactは、安定した状態で目標値prefと等しい。実際には、AC系114の動作周波数は、様々であってもよく、したがって、基準値f0はAC系114の動作周波数とは異なっていてもよい。本事例では、実際の電力pactは、実際の電力pactと目標値prefとの間の差異が、基準値f0と実際のAC系114の動作周波数との間の差異を補償するような値まで駆動される。たとえば、実際の電力pactが所望する値に到達するように目標値prefを調整することによって、本状況は対処可能である。また、実際の電力pactが目標値prefと異なるという必要性がないように、補正値を形成することも可能である。補正値は、周波数制御値fcに追加され、基準値f0とAC系114の実際の動作周波数との間の差異を補償する。
【0035】
図1Cは、前述の周波数制御値f
cを決定するための、例示的および非制限的な一実施形態による制御装置の信号図を示す。本例示的な事例では、制御装置のデータ処理システムは、電力の目標値p
refと実際の電力p
actとの間の差異に比例するエラー値eの時間積分を計算するように構成される。データ処理システムは、周波数制御値をエラー値の時間積分に依存する補正値Δf
corrで修正するように構成される。時間積分は実際の電力p
actが目標値p
refと違う限り、変化し続ける。したがって、時間積分が実質的に変化しない安定した状態では、実際の電力p
actは目標値p
refと実質的にと等しく、補正値Δf
corrは基準値f
0と実際のAC系114の動作周波数との間の差異を補償する。
【0036】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置において、データ処理システムは、以下の数式による周波数制御値f
cを形成するように構成される。
f
c=f
0-Δf
droop+Δf
pc+Δf
corr (式7)
Δf
droop=αp
act (式8)
Δf
pc=αp
ref (式9)
Δf
corr=β
I∫(p
ref-p
act)dt+β
P(p
ref-p
act) (式10)
式中、β
Iおよびβ
Pは制御パラメータである。前述の数式10は比例および統合「PI」コントローラを表す。制御パラメータβ
Iおよびβ
Pは、以下の数式で表されてもよい。
β
P=αg
β
I=α/T
I
式中、gは利得係数であり、T
Iは積分時間である。数式4で表してように、ドループ係数αは、たとえばk
droop f
nom/p
nomであってもよい。
図1Cでは、PIコントローラはコントローラブロック111を備えて描かれる。また、gがゼロであり、それによってコントローラブロック111が単に統合コントローラであることも可能である。
【0037】
例示的および非制限的な一実施形態による制御装置において、データ処理システムは補正値Δf
corrを少なくとも規定の下限Δf
corr,minおよび最大でも規定の上限Δf
corr,maxに制限するように構成される。
図1Cでは、補正値Δf
corrの制限はリミッタブロック112で描かれる。データ処理システムは、有利には、アンチワインドアップ機能を実装するように構成される。アンチワインドアップ機能は、補正値Δf
corrが前述の上限Δf
corr,maxまたは前述の下限Δf
corr,minに到達する状況に応じて、前述の時間積分の絶対値が増加することを防ぐ。
【0038】
前述の補正値Δf
corrの制限は、
図1Aに示すACグリッド108が切断され、電力変換装置109のみがACマイクログリッド107に電力を供給する状況で有効になってもよい。ACマイクログリッド107は、切断後にアイランドグリッドになる。たとえば、DC系105のバッテリを充電する電力変換装置109が負の電力の目標値p
refで動作しているとき、ACグリッド108を切断すると、ドループフィードバックは電力変換装置109の交流電圧周波数を減少させる。なぜなら、電力p
actはもはや負ではありえず、電力変換装置109は電力をAC系114から受容できず、したがって、符号ありの数量として、電力は切断後増加する。ただし、交流電圧周波数の減少によって、ACグリッド108がもう接続していないため、負の目標値を満たすために電力p
actは駆動されることができない。したがって、差異p
ref-p
actは負のままであり、補正値Δf
corrは下限Δf
corr,minになるまで減少する。その後、交流電圧周波数はf
0+Δf
corr,min+αp
ref-αp
actとなり、電力変換装置109はACマイクログリッド107に接続する負荷に電力を供給する。
【0039】
図1Aに示すデータ処理システム102は、1または複数のアナログ回路、1または複数のデジタル処理回路、またはその組み合わせに基づいて実装されてもよい。各デジタル処理回路は、適切なソフトウェア、たとえば特定用途向け集積回路「ASIC」などの専用ハードウェアプロセッサ、または、たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」などの設定可能なハードウェアプロセッサを備えるプログラム可能プロセッサ回路であってもよい。さらに、データ処理システム102は、1または複数のメモリ回路を備えていてもよく、各メモリ回路はたとえばランダムアクセスメモリ「RAM」回路であってもよい。
【0040】
図2は、電力変換装置を制御するための例示的および非制限的な一実施形態による方法のフローチャートを示す。本方法は、以下のアクションを備える。
-アクション201:電力変換装置の電力を表すデータに基づいて周波数ドループ値を形成することと、
-アクション202:周波数制御値を周波数ドループ値だけ変化させ、電力潮流方向が電力変換装置の交流電圧端子から外向きのとき、周波数ドループ値は周波数制御値を減少させることと、
-アクション203:電力の目標値を表すデータに基づいて電力制御値を形成することと、
-アクション204:周波数制御値を電力制御値だけ変化させることであって、電力の目標値が、電力変換装置の交流電圧端子から外向きである電力潮流方向に対応する場合に、電力制御値は、周波数制御値を増加させることと、
-アクション205:電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、周波数制御値を電力変換装置に伝達すること。
【0041】
例示的および非制限的な一実施形態による方法では、周波数制御値は以下の数式によって形成される。
fc=f0-Δfdroop+Δfpc
Δfdroop=αpact
Δfpc=αpref
式中、fcは周波数制御値であり、f0は周波数制御値の基準値であり、pactは電力変換装置の電力であり、Δfdroopは周波数ドループ値であり、prefは電力の目標値であり、Δfpcは電力制御値であり、αは電力に従って周波数制御値を変更するためのドループ係数である。
【0042】
例示的および非制限的な一実施形態による方法は、電力制御値の変化率を最大でも変化率の規定の上限に制限することを含む。
【0043】
例示的および非制限的な一実施形態による方法は、電力の目標値と電力との間の差異に比例するエラー値の時間積分を計算することと、周波数制御値を、エラー値の時間積分に依存する補正値で修正することを含む。
【0044】
例示的および非制限的な一実施形態による方法では、周波数制御値は以下の数式によって形成される。
fc=f0-Δfdroop+Δfpc+Δfcorr
Δfdroop=αpact
Δfpc=αpref
Δfcorr=βI∫(pref-pact)dt
式中、Δfcorrは補正値であり、βIは制御パラメータである。
【0045】
例示的および非制限的な一実施形態による方法では、エラー値、たとえばpref-pactは比例および統合コントローラの入力値であり、補正値は比例および統合コントローラの出力値である。
【0046】
例示的および非制限的な一実施形態による方法は、補正値を少なくとも補正値の規定の下限および最大でも補正値の規定の上限に制限することを含む。
【0047】
例示的および非制限的な一実施形態による方法は、前述の時間積分の絶対値が、補正値が補正値の規定の上限または補正値の規定の下限に到達する状況に応じて増加することを防ぐことを含む。
【0048】
例示的および非制限的な一実施形態による方法は、電力変換装置の無効電力を表すデータに基づいて電圧ドループ値を形成することを含む。電圧ドループ値は、電力変換装置が誘導無効電力を生成する状況に応じて、電力変換装置の電圧の振幅を減少させる。それに応じて、電圧ドループ値は、電力変換装置が誘導無効電力を消費する状況に応じて、電力変換装置の電圧の振幅を増加させる。
【0049】
例示的および非制限的な一実施形態によるコンピュータプログラムは、プログラム可能処理システムを制御して、前述の例示的および非制限的実施形態のいずれかによる方法に関連するアクションを実行するコンピュータ実行可能命令を備える。
【0050】
例示的および非制限的な一実施形態によるコンピュータプログラムは、電力変換装置を制御するためのソフトウェアモジュールを備える。ソフトウェアモジュールは、プログラム可能処理システムを制御して以下を実行するコンピュータ実行可能命令を備える。
-電力変換装置の電力を表すデータに基づいて、周波数ドループ値を形成し、
-周波数制御値を周波数ドループ値だけ変化させ、周波数ドループ値は、電力潮流方向が電力変換装置の交流電圧端子から外向きの場合に、周波数制御値を減少させ、
-電力の目標値を表すデータに基づいて、電力制御値を形成し、
-周波数制御値を電力制御値だけ変更し、電力の目標値が、電力変換装置の交流電圧端子から外向きである電力潮流方向に対応するとき、電力制御値は周波数制御値を増加させ、
-電力変換装置の交流電圧周波数を制御するために、周波数制御値を電力変換装置に伝達すること。
【0051】
ソフトウェアモジュールは、プログラム可能処理システムに適切なプログラミングツールを実装するサブルーチンまたは機能であってもよい。
【0052】
例示的および非制限的な一実施形態によるコンピュータプログラム製品は、本発明の例示的実施形態によるコンピュータプログラムで符号化されたたとえばコンパクトディスク「CD」などのコンピュータ可読媒体を備える。
【0053】
例示的および非制限的な一実施形態による信号は、本発明の例示的実施形態によるコンピュータプログラムを規定する情報を有するように符号化される。
【0054】
本明細書に記載する特定の実施例は、添付請求項の範囲および/または適用性を限定するものと解釈されてはならない。本明細書に記載する前述の実施例の一覧および群は、別段明示のない限り、包括的なものではない。
【符号の説明】
【0055】
101 :制御装置
102 :データ処理システム
103 :ドライバステージ
104 :変換器ステージ
105 :DC系
106 :ラインフィルタ
107 :ACマイクログリッド
108 :ACグリッド
109 :電力変換装置
110 :傾斜ブロック
111 :コントローラブロック
112 :リミッタブロック
113 :交流電圧端子
114 :AC系
115 :回路遮断器
201 :アクション
202 :アクション
203 :アクション
204 :アクション
205 :アクション
Q :無効電力
α :ドループ係数
βI :制御パラメータ