(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】グルカゴン及びこれを含む組合せ物の治療学的用途
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20250521BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20250521BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20250521BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20250521BHJP
A61K 31/341 20060101ALI20250521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250521BHJP
A61K 47/56 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/58 20170101ALI20250521BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20250521BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250521BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20250521BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20250521BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250521BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250521BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250521BHJP
【FI】
A61K38/26 ZNA
A61K38/16
A61P3/00
A61K31/4985
A61K31/341
A61P43/00 121
A61K47/56
A61K47/54
A61K47/64
A61K47/68
A61K47/61
A61K47/60
A61K47/58
A61K47/65
A61P3/10
A61P3/04
A61P9/12
A61P1/16
A61P9/10 101
A61P9/00
(21)【出願番号】P 2021518795
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2019013057
(87)【国際公開番号】W WO2020071865
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0118462
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0118463
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン クク
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ イン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ サン ドン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン スク
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/004283(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271995(US,A1)
【文献】特表2014-520868(JP,A)
【文献】特表2013-540801(JP,A)
【文献】特表2012-523374(JP,A)
【文献】特表2012-517977(JP,A)
【文献】特表2018-526333(JP,A)
【文献】特表2019-524675(JP,A)
【文献】PAULIK, M., et al.,ICA6150349, a highly selective glucagon agonist, in combinationwith exenatide significantly reduces weight and glucose in obese and diabetic rats,Diabetologia,2018年08月21日,Vol.61, Suppl.1,pp.292-293,https://doi.org/10.1007/s00125-018-4693-0
【文献】JUNG, S. Y., et al.,A novel long-acting glucagon analog (HM15136) offers favorable stability, PK, and therapeutic potentials in congenital hyperinsulinism animal model,American Diabetes Association's (ADA) 77thScientific Sessions, San Diego, CA, USA,2017年06月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 38/00-38/58
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号:20
または37
のアミノ酸配列を含むペプチドまたはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用組合せ物であって、
メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質は
、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤
またはSGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤
であり、
DPP-4阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択され;
SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤は、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択される、
組合せ物。
【請求項2】
上記ペプチドは、天然型グルカゴンのpIである6.8と相違するpIを有する、または
位置
16と20
のアミノ酸が環を形成する、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
上記ペプチドのC末端がアミド化された、または
上記ペプチドのC末端は変形されていない、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項4】
上記ペプチドは配列番号:37
のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項5】
上記結合体は、上記ペプチドに生体適合性物質部が結合している形態である、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項6】
上記生体適合性物質部は、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類、ヘパリン、及びエラスチンからなる群から選択される、請求項5に記載の組合せ物。
【請求項7】
上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、または
上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、請求項6に記載の組合せ物。
【請求項8】
上記ペプチドと生体適合性物質部は、リンカーを通じて互いに連結された、請求項5に記載の組合せ物。
【請求項9】
上記リンカーは、ペプチド、脂肪酸、糖類、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、または
上記リンカーは、ポリエチレングリコールである、請求項8に記載の組合せ物。
【請求項10】
上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の組合せ物。
【請求項11】
上記免疫グロブリンFc領域は、非糖鎖化された、または
上記免疫グロブリンFc領域は、(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;(e)CHIドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせ;及び(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体で構成された群から選択される、または
上記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドは、二量体形態(dimeric form)である、または
上記免疫グロブリンFc領域は、ジスルフィド結合を形成し得る部位が除去されたり、天然型FcでN末端の一部のアミノ酸が除去されたり、天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されたり、補体結合部位が除去されたり、またはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体である、または
上記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンに由来したFc領域である、または
上記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域である、または
上記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域である、請求項7に記載の組合せ物。
【請求項12】
上記リンカーは、上記ペプチドのシステイン残基に連結される、または
上記結合体の上記リンカーは、一方の末端が生体適合性物質部のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端がグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位のアミン基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合で上記ペプチド部位と上記生体適合性物質部にそれぞれ連結されている、請求項9に記載の組合せ物。
【請求項13】
上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択された、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の組合せ物を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物。
【請求項15】
メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質と併用することを特徴とする、配列番号:20
または37
のアミノ酸配列を含むペプチドまたはその結合体を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物であって、
メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質は
、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤
またはSGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤
であり、
DPP-4阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択され;
SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤は、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択される、
薬学的組成物。
【請求項16】
(i)配列番号:20
または37
のアミノ酸配列を含むペプチドまたはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む、
メタボリックシンドロームの予防または治療のための薬学的キットであって、
メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質は
、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤
またはSGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤
であり、
GLP-1受容体アゴニストは、デュラグルチド、リラグルチド、及びセマグルチドで構成された群から選択されるいずれか一つであり、
DPP-4阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択され;
SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤は、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択される、
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン活性を有する化合物または物質;またはグルカゴン活性を有する化合物または物質とメタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物及びこの治療学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、経済的発展と食習慣などの変化により肥満、高脂血症、高血圧、動脈硬化、高インスリン血症、糖尿病または肝疾患など多様な疾患を含むメタボリックシンドローム関連疾患の発病が急増している状況である。このような疾患はそれぞれ発生することもあるが、一般には、互いに密接な関連を結んでいながら複数の症状を伴って発生する場合が大部分である。
【0003】
過体重及び肥満は、血圧とコレステロール数値を増加させて心臓疾患、糖尿、関節炎などの各種疾患の発病または悪化の原因になっている。また、過体重及び肥満は成人だけでなく、子供や青少年でも動脈硬化、高血圧、高脂血症または心臓疾患などの発病率を増加させる主要な要因になっている。
【0004】
肥満は意外に治療が容易ではないが、その理由は、肥満が食欲調節及びエネルギー代謝の作用機序が関連した複雑な疾患であるためである。従って、肥満を治療するためには、患者自身の努力だけでなく食欲調節及びエネルギー代謝と関連した非正常な作用機序を治療する方法が同時に行われなければならないため、上記非正常な作用機序を治療することができる医薬を開発しようとする努力が続いている。
【0005】
上述した努力の結果として、リモナバント(Rimonabant, Sanofi-Aventis)、シブトラミン(Sibutramin, Abbott)、コントレイブ(Contrave, Takeda)、オルリスタット(Orlistat, Roche)などの肥満治療剤が開発されたが、これらは致命的な副作用を示したり肥満治療効果が不備であるという短所があった。例えば、リモナバントは中枢神経障害の副作用を示し、シブトラミンとコントレイブは心血管の副作用を示し、オルリスタットは1年間服用時に約4kgの体重減少効力が示されるに過ぎないことが報告された。
【0006】
一方、グルカゴンは、薬物治療または疾病、ホルモンや酵素欠乏などの原因として血糖が落ち出すと膵臓で生産される。グルカゴンは肝臓でグリコーゲンを分解してグルコースを放出するように信号し、血糖水準を正常水準まで高める役割をする。それだけでなく、グルカゴンは血糖上昇の効果以外に食欲抑制及び脂肪細胞のホルモン敏感性リパーゼ(hormone-sensitive lipase)を活性化させて脂肪分解を促進して抗肥満効果を奏することが報告された。しかし、グルカゴンは、低い溶解度と中性pHでの沈殿により治療剤としてその使用が制限されてきた。
【0007】
このようなグルカゴンの誘導体中の一つであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は糖尿患者の高血糖症を減少させる治療剤として開発中の物質である。GLP-1はインスリン合成と分泌促進、グルカゴンの分泌阻害、胃空腹抑制、グルコース使用増進とともに飲食物摂取を阻害する機能を有する。
【0008】
GLP-1と略50%のアミノ酸相同性を有するトカゲ毒液(lizard venom)から作られるエキセンディン-4(exendin-4)もGLP-1受容体を活性化させて糖尿患者の高血糖症を減少させることが知られている(J Biol Chem. 1992 Apr 15 ; 267(11) : 7402-5.(非特許文献1))。しかし、上記GLP-1またはエキセンディン-4を含む肥満治療用医薬品は嘔吐と悪心の副作用を発生させるという問題を示すことが報告された。
【0009】
上記グルカゴンとメタボリックシンドロームに治療的活性を有する化合物または物質は一般に互いに反対となる作用をすることが広く知られており、互いに異なる病症に対する治療剤として用いられてきた。特に、韓国公開特許第10-2017-0023066号(特許文献1)はグルカゴン受容体を拮抗抗原タンパク質により遮断することにより、グルカゴン作用を拮抗する一方、インスリンの補充により糖尿を治療する方法を開示している。
【0010】
即ち、インスリン及びグルカゴンは体内で互いに反対となる役割をするため、これを共に投与する薬物治療法はまだ伝えられていない。一方、多様なメタボリックシンドロームに関連する治療剤は患者に投与する場合、体重増加と過多投与、低血糖のような副作用の危険が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0023066号公報
【文献】国際特許公開第WO97/34631号明細書
【文献】国際特許公開第96/32478号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】J Biol Chem. 1992 Apr 15 ; 267(11) : 7402-5.
【文献】H. Neurath, R. L. Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物に関する。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物、薬学的組成物、またはキット、具体的には、メタボリックシンドロームの予防または治療用組合せ物、薬学的組成物、またはキットを提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療方法を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体を含む組成物、具体的には、メタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体を含むキット、具体的には、メタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療用キットを提供することにある。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、またはこれを含む結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、先天性高インスリン症の予防または治療方法を提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、先天性高インスリン症の予防または治療のための薬剤の製造において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、またはこれを含む結合体、またはこれを含む組成物の用途を提供することにある。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、またはこれを含む結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、低血糖の予防または治療方法を提供することにある。
【0021】
本発明のもう一つの目的は、低血糖の予防または治療のための薬剤の製造において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、またはこれを含む結合体、またはこれを含む組成物の用途を提供することにある。
【0022】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいは分離された結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、肥満を予防または治療する方法を提供することにある。
【0023】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいは分離された結合体、あるいは上記組成物を肥満に関する予防または治療用薬剤(あるいは薬学的組成物)の製造に用いる用途を提供することにある。
【0024】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいは分離された結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームを予防または治療する方法を提供することにある。
【0025】
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいは分離された結合体、あるいは上記組成物をメタボリックシンドロームに関する予防または治療用薬剤(あるいは薬学的組成物)の製造に用いる用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明を具現する一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物である。
【0027】
一つの具体例において、本発明は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を併用する治療学的用途に関する。
【0028】
先の具体例において、本発明は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を併用する組合せ物、薬学的組成物、またはキット、具体的には、メタボリックシンドロームの予防または治療用組合せ物、薬学的組成物、またはキットに関する。
【0029】
先の具体例(ら)において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質は天然型グルカゴン、そのアゴニスト(agonist)、またはその誘導体であることを特徴とする。
【0030】
先の具体例(ら)において、上記天然型グルカゴンの誘導体は天然型グルカゴンで一つ以上のアミノ酸が変異されたものであり、上記変異は置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)及びこれらの組合わせからなる群から選択された変異であることを特徴とする。
【0031】
先の具体例(ら)において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質は下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする:
【0032】
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式1、配列番号:45)
上記式において、
X1はヒスチジン(H)、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2はアルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン(G)、Sar(N-methylglycine)、セリン(S)またはD-セリンであり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であるか、不在であり;
X18はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X19はアラニン(A)、アルギニン(R)、セリン(S)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X20はリシン(K)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはロイシン(L)であるか、不在であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、リシン(K)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X29はリシン(K)、アラニン(A)、グリシン(G)、またはトレオニン(T)であるか、不在であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である。
(ただし、上記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
【0033】
先の具体例(ら)において、上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはシステイン(C)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、またはロイシン(L)であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)またはアルギニン(R)であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0034】
先の具体例(ら)において、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はグルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0035】
先の具体例(ら)において、
上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0036】
先の具体例(ら)において、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はイソロイシン(I)またはメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0037】
先の具体例(ら)において、
上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)であり;
X10はチロシン(Y)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)であり;
X14はロイシン(L)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X18はアルギニン(R)であり;
X19はアラニン(A)であり;
X20はグルタミン(Q)、システイン(C)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、システイン(C)、バリン(V)またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はグルタミン(Q)またはロイシン(L)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30は不在であることを特徴とする。
【0038】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドは下記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0039】
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)またはセリン(S)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である。
【0040】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドは天然型グルカゴンのpIである6.8と相違するpIを有することを特徴とする。
【0041】
先の具体例(ら)において、一般式1または2のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換されたことを特徴とする。
【0042】
先の具体例(ら)において、一般式1または2のX12とX16のアミノ酸対、X16とX20のアミノ酸対、またはX17とX21のアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換されたことを特徴とする。
【0043】
先の具体例(ら)において、上記一般式1において、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対でそれぞれのアミノ酸間に環を形成することを特徴とする。
【0044】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドのC末端がアミド化したことを特徴とする。
【0045】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドのC末端は変形されていないことを特徴とする。
【0046】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドはグルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの誘導体であることを特徴とする。
【0047】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドは配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0048】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドは配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0049】
先の具体例(ら)において、上記ペプチドは配列番号:37のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0050】
先の具体例(ら)において、上記結合体はグルカゴン受容体に対する活性を有する物質に生体適合性物質部が結合している形態であることを特徴とする。
【0051】
先の具体例(ら)において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質はペプチド形態であり、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位に生体適合性物質部が結合している形態であることを特徴とする。
【0052】
先の具体例(ら)において、上記生体適合性物質部は、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類、ヘパリン、及びエラスチンからなる群から選択されることを特徴とする。
【0053】
先の具体例(ら)において、上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0054】
先の具体例(ら)において、上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであることを特徴とする。
【0055】
先の具体例(ら)において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質と生体適合性物質部はリンカーを通じて互いに連結されたことを特徴とする。
【0056】
先の具体例(ら)において、上記リンカーは、ペプチド、脂肪酸、糖類、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0057】
先の具体例(ら)において、上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0058】
先の具体例(ら)において、上記リンカーはポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0059】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域は非糖鎖化されたことを特徴とする。
【0060】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域は、(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせ;及び(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体で構成された群から選択されることを特徴とする。
【0061】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドは二量体形態(dimeric form)であることを特徴とする。
【0062】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域はジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端の一部のアミノ酸が除去されたり、天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されたり、補体結合部位が除去されたり、またはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体であることを特徴とする。
【0063】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンに由来したFc領域であることを特徴とする。
【0064】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0065】
先の具体例(ら)において、上記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であることを特徴とする。
【0066】
先の具体例(ら)において、上記リンカーは、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドのシステイン残基に連結されることを特徴とする。
【0067】
先の具体例(ら)において、上記結合体の上記リンカーは一方の末端が生体適合性物質部のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端がグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位のアミン基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合で上記ペプチド部位と上記生体適合性物質部にそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【0068】
先の具体例(ら)において、上記メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質はインスリン分泌ペプチド、GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C, G proteiN-coupled)アゴニスト、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha)アゴニスト、PPARδ(peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、キセニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insuin)、及びGIP(glucose-dependent insulinotropic peptide)、ビグアニド(biguanides)、スルホニル尿素(sulfonylureas)、メグリチニド(meglitinide)、チアゾリジンジオン(thiazolidinedione(TZD))、SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤、及びα-glucosidase抑制剤からなる群から選択されることを特徴とする。
【0069】
先の具体例(ら)において、上記メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質はGLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニストであることを特徴とする。
【0070】
先の具体例(ら)において、上記GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニストはエキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド、リラグルチド、セマグルチド、アルビグルチド、及びタスポグルチドで構成された群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0071】
先の具体例(ら)において、上記DPP-4抑制剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、トラエンタ(Trayenta)(登録商標))、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択されるいずれか一つであり;SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤は、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0072】
先の具体例(ら)において、上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択されたことを特徴とする。
【0073】
本発明を具現するもう一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質、またはこれを含む組合せ物を含むメタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物である。
【0074】
本発明を具現するもう一つの様態は、メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質と併用することを特徴とする、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物である。
【0075】
本発明を具現する更に他の一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質;これを含む組合せ物または組成物を含むメタボリックシンドローム予防または治療用薬学的キットである。
【0076】
本発明を具現する更に他の一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療方法である。
【0077】
本発明を具現する更に他の一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体を含む組成物、具体的には、メタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物である。
【0078】
一つの具体例において、上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択された一つ以上の疾病であることを特徴とする。
【0079】
先の具体例において、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドは天然型グルカゴン、そのアゴニスト(agonist)、またはその誘導体であることを特徴とする。
【0080】
先の具体例のいずれか一つによる上記天然型グルカゴンの誘導体は、天然型グルカゴンから一つ以上のアミノ酸が変異されたものであり、上記変異は置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)及びこれらの組合わせからなる群から選択された変異であることを特徴とする。
【0081】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドは下記一般式1のアミノ酸配列を含むグルカゴン誘導体ペプチドであることを特徴とする:
【0082】
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式1、配列番号:45)
上記式において、
X1はヒスチジン(H)、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2はアルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン(G)、Sar(N-methylglycine)、セリン(S)またはD-セリンであり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であるか、不在であり;
X18はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X19はアラニン(A)、アルギニン(R)、セリン(S)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X20はリシン(K)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはロイシン(L)であるか、不在であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、リシン(K)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X29はリシン(K)、アラニン(A)、グリシン(G)、またはトレオニン(T)であるか、不在であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である(ただし、上記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
【0083】
先の具体例(ら)において、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはシステイン(C)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、またはロイシン(L)であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)またはアルギニン(R)であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0084】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はグルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0085】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、
上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0086】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はイソロイシン(I)またはメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在であることを特徴とする。
【0087】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、
上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)であり;
X10はチロシン(Y)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)であり;
X14はロイシン(L)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X18はアルギニン(R)であり;
X19はアラニン(A)であり;
X20はグルタミン(Q)、システイン(C)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、システイン(C)、バリン(V)またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はグルタミン(Q)またはロイシン(L)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30は不在であることを特徴とする。
【0088】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、
上記ペプチドは下記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)またはセリン(S)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である。
【0089】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドは天然型グルカゴンのpIである6.8と相違するpI、例えば、pI6.5以下またはpI7.0以上であることを特徴とする。
【0090】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態は、上記一般式1または2のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換されたことを特徴とする。
【0091】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態は、上記一般式1または2のX12とX16のアミノ酸対、X16とX20のアミノ酸対、またはX17とX21のアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換されたことを特徴とする。
【0092】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態は、上記一般式1または2において、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対の少なくとも一つのアミノ酸対でそれぞれのアミノ酸間に環(例えば、ラクタム環)を形成することを特徴とする。
【0093】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態は、上記一般式1または2において、X16がグルタミン酸であり、X20はリシンであり、X16とX20の側鎖がラクタム環を形成していることを特徴とする。
【0094】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態は、上記ペプチドのC末端がアミド化したり、変形されていないことを特徴とする。
【0095】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドはグルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの誘導体であることを特徴とする。
【0096】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドは配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0097】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドは配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0098】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドは配列番号:37のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0099】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチドは、上記ペプチド部位、具体的には、一般式1または2のアミノ酸配列を含むペプチド部位に生体適合性物質部が結合している、持続型結合体の形態であることを特徴とする。
【0100】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記生体適合性物質部は、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類(saccharide)、ヘパリン、及びエラスチンからなる群から選択されることを特徴とする。
【0101】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0102】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであることを特徴とする。
【0103】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記ペプチド部位と生体適合性物質部はリンカーを通じて互いに連結されたことを特徴とする。
【0104】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記リンカーは、ペプチド、脂肪酸、糖類、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0105】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
【0106】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記リンカーはポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0107】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域は非糖鎖化されたことを特徴とする。
【0108】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域は
(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;
(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;
(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;
(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;
(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせ;及び
(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体
で構成された群から選択されることを特徴とする。
【0109】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドは二量体形態(dimeric form)であることを特徴とする。
【0110】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域はジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端の一部のアミノ酸が除去されたり、天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されたり、補体結合部位が除去されたり、またはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体であることを特徴とする。
【0111】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンに由来したFc領域であることを特徴とする。
【0112】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0113】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であることを特徴とする。
【0114】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、上記リンカーは、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、上記一般式1または2のアミノ酸配列を含むペプチドのシステイン残基に連結されることを特徴とする。
【0115】
先の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、本発明の一具体的形態として、上記結合体のリンカーは一方の末端が生体適合性物質部のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端が上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、一般式1または2のアミノ酸配列を含むペプチド部位のアミン基またはチオール基とそれぞれ反応して形成された共有結合で上記ペプチド部位と上記生体適合性物質部にそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【0116】
本発明を具現する更に他の様態はグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体;及び薬学的に許容される賦形剤を含む低血糖の予防または治療用薬学的組成物である。
【0117】
一つの具体例において、本発明は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド;または上記ペプチドと同一の配列であるか、またはこれを含む配列であるペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合で連結された生体適合性物質部を含む分離された結合体を含む、低血糖の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0118】
本発明を具現する更に他の様態はグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体;及び薬学的に許容される賦形剤を含む先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物である。
【0119】
一つの具体例において、本発明は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド;または上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドと同一の配列であるか、またはこれを含む配列であるペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合で連結された生体適合性物質部を含む分離された結合体を含む、先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0120】
本発明を具現する更に他の様態はグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体;及び薬学的に許容される賦形剤を含む肥満の予防または治療用薬学的組成物である。
【0121】
一つの具体例において、本発明は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド;またはグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドと同一の配列であるか、またはこれを含む配列であるペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合で連結された生体適合性物質部を含む分離された結合体を含む、肥満の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0122】
本発明を具現する更に他の様態はグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体;及び薬学的に許容される賦形剤を含むメタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物である。
【0123】
一つの具体例において、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド;または上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドと同一の配列であるか、またはこれを含む配列であるペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合で連結された生体適合性物質部を含む分離された結合体を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物に関する。
【発明の効果】
【0124】
本発明によるグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドの投与;またはグルカゴン受容体に対する活性を有する物質及びメタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質の併用投与は肥満、糖尿、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)をはじめとしたメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)、先天性高インスリン症、及び/又は低血糖の予防または治療の予防または治療に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【
図1】投与前比薬物投与4週間の体重変化量を測定した結果である。
【
図2(A)】薬物投与4週後の腸間膜脂肪量(mesenteric fat mass)の変化を示すグラフである。
【
図2(B)】薬物投与4週後のインスリン感受性改善の指標であるHOMA-IRの変化を示すグラフである。
【
図3】薬物投与4週間の血糖変化を測定した結果である。
【
図4】投与前比薬物投与4週間の体重変化量を測定した結果である。
【
図5(A)】薬物投与4週後の腸間膜脂肪量(mesenteric fat mass)の変化を示すグラフである。
【
図5(B)】薬物投与4週後のインスリン感受性改善の指標であるHOMA-IRの変化を示すグラフである。
【
図6】薬物投与4週間の血糖変化を測定した結果である。
【
図7】薬物投与による体重減少の効力を確認した結果である。
【
図8(A)】脂肪減少の数値改善を確認した結果である。
【
図8(B)】血中脂質の数値改善を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
本発明を実施するための具体的な内容を説明すると次の通りである。一方、本願で開示されるそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本願で開示された多様な要素の全ての組合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述される具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは言えない。
【0127】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本発明の特定様態に対する多数の等価物を認知したり確認することができる。また、このような等価物は本発明に含まれることが意図される。
【0128】
本明細書全般を通じて、天然的に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなくAib(α-アミノイソ酪酸)、Sar(N-methylglycine)などのような他のアミノ酸に対して一般的に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書で略語として言及されたアミノ酸はIUPAC-IUB命名法により記載された。
【0129】
アラニン A アルギニン R
アスパラギン N アスパラギン酸 D
システイン C グルタミン酸 E
グルタミン Q グリシン G
ヒスチジン H イソロイシン I
ロイシン L リシン K
メチオニン M フェニルアラニン F
プロリン P セリン S
トレオニン T トリプトファン W
チロシン Y バリン V
【0130】
本発明を具現する一つの様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を併用する治療学的用途を提供する。
【0131】
具体的には、本発明の一様態はグルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物、薬学的組成物、またはキットを提供する。一具現例として、メタボリックシンドロームの予防または治療用組合せ物、薬学的組成物、またはキットを提供する。
【0132】
本発明において用語「組合せ物(combination)」とは、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質の併用投与用途を有するもので、「併用用途(combined used)」のような意味として理解され得る。上記組合せ物は
a)(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質が混合された一つの混合物(mixture)で投与されるものであるか;または
b)(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質が分離された形態で投与されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0133】
グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質が分離された形態の場合、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質が別個の製剤に製剤化されて同時、個別、順次、または逆順で投与されるものであってもよい。
【0134】
本発明において、併用投与は、単に同時の投与を意味するだけではなく、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質が個体に共に作用して各物質が本来の機能と同等またはそれ以上の水準を行うことができる投与形態として理解されるべきである。従って、本願において、「併用」という用語が用いられる場合、これは同時、個別、順次、または逆順投与を示すことと理解されるべきである。上記投与が順次、逆順または個別の場合、投与の順序は特に制限されず、ただし2次成分投与の間隔は、上記併用の有益な効果を失わないようにしなければならない。
【0135】
本発明において用語「組合せ物を含む組成物(composition)」とは、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物そのものであるか、またはこれを含み、治療学的用途を有するものであってもよいが、これに制限されない。その例として、メタボリックシンドローム予防または治療用途を有するものであってもよいが、これに制限されない。本願において「組合せ物を含む組成物」は「組成物」と相互交換的に用いられる。
【0136】
本発明による組合せ物を含む組成物は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を併用投与するためのもので、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質が一つの製剤に製剤化されたものであるか、または個別に製剤化されたものであってもよい。具体的には、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を同時、個別、順次、または逆順で投与するものであってもよいが、これに制限されない。
【0137】
本発明において用語「キット」は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を併用投与するために、本発明による組合せ物または組成物を含むものであってもよい。具体的には、本発明によるキットには一つの製剤に製剤化されたグルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質、またはグルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質の個別製剤を含むものであってもよく、両物質の併用投与に必要な物質をさらに含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0138】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質は、グルカゴン受容体に対して有意な水準の活性を有する多様な物質、例えば、化合物またはペプチド形態の物質を含む。
【0139】
特にこれに制限されるものではないが、上記グルカゴンに対して有意な水準の活性を有する物質は天然型グルカゴンだけでなく、グルカゴン受容体に対してin vitro活性が該当受容体の天然型リガンド(天然型グルカゴン)比0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示すものであってもよい。
【0140】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質の例として、天然型グルカゴン、そのアゴニスト(agonist)、またはその誘導体があるが、特にこれに制限されるものであってもよい。
【0141】
本発明によるグルカゴン誘導体は天然型グルカゴンと比較してアミノ酸配列に一つ以上の差があるペプチド、天然型グルカゴン配列を改質(modification)を通じて変形させたペプチド、または天然型グルカゴンのようにグルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの模倣体を含む。例えば、上記天然型グルカゴンの誘導体は天然型グルカゴンから一つ以上のアミノ酸が変異されたものであり、上記変異は置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)及びこれらの組合わせからなる群から選択された変異であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0142】
このようなグルカゴン誘導体は天然型グルカゴンに対して変化したpIを有し、改善された物性を示すものであってもよい。また、上記グルカゴン誘導体はグルカゴン受容体を活性化させる活性を保有しながら溶解度が改善されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0143】
また、上記グルカゴン誘導体は天然的に存在しない(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0144】
一方、天然型グルカゴンは次のアミノ酸配列を有することができる:
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr(配列番号:1)
本発明において用語「等電点(isoelectric point)」または「pI」とは、あるポリペプチドあるいはペプチドのような分子においてその全体純荷電(net charge)がなくなる(0)pH値を意味する。多様な荷電された作用基が存在するポリペプチドの場合、pIでこれら荷電の和はゼロである。pIより高いpHでポリペプチドの全体純荷電は陰性になるはずであり、pIより低いpH値でポリペプチドの全体純荷電は陽性になるはずである。
【0145】
pIは、ポリアクリルアミド、澱粉またはアガロースで構成される固定されたpH勾配ゲル状で等電点電気泳動により、または、例えば、ExPASyサーバでpI/MWツール(http://expasy.org/tools/pi_tool.html;Gasteiger et al., 2003)を用いてアミノ酸配列からpIを推算することにより決定されてもよい。
【0146】
本発明において用語「変化したpI」とは、天然グルカゴンのアミノ酸配列で一部配列が負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基で置換されて天然グルカゴンのpIとは異なる、即ち、これより減少したり増加したpIを有することを意味する。このように変化したpIを有するペプチドはグルカゴン誘導体であり、中性pHで改善された溶解度及び/又は高い安定性を示すことができる。しかし、特に、これに制限されるものではない。
【0147】
より具体的には、上記グルカゴン誘導体は天然型グルカゴンのpI値(6.8)ではなく変化したpI値を有するものであってもよく、より具体的には、6.8未満、具体的には6.7以下、さらに具体的には6.5以下であるpI値、また、具体的には6.8超、7以上、さらに具体的には7.5以上であってもよいが、これに制限されず、天然型グルカゴンと相違するpI値を有すれば、本発明の範疇に含まれる。特に、天然型グルカゴンと相違するpI値を有することにより天然型グルカゴンに比べて中性pHで改善された溶解度を示すことにより凝集(aggregation)される程度が低ければ、本発明の範疇に特に含まれる。
【0148】
さらに具体的には、4~6.5及び/又は7~9.5、さらに具体的には7.5~9.5、より一層具体的には8.0~9.3のpI値を有するものであってもよいが、これに制限されない。この場合、天然型グルカゴンに比べて高かったり低いpIを有するため、中性pHで天然型グルカゴンに比べて改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0149】
具体的には、天然型グルカゴンの誘導体は天然型グルカゴンで一部アミノ酸が置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)及び修飾(modification)中のいずれか一つの方法またはこのような方法の組合わせを通じて変形させることができる。
【0150】
このような方法の組合わせにより製造されるグルカゴンの誘導体の例として、天然型グルカゴンとアミノ酸配列が一つ以上異なり、N末端アミノ酸残基に脱アミノ化(deamination)した、グルカゴン受容体に対する活性化機能を保有しているペプチドなどがあるが、これに制限されず、誘導体の製造のための複数の方法の組合わせにより本発明に適用される天然型グルカゴンの誘導体を製造することができる。
【0151】
また、天然型グルカゴンの誘導体の製造のためのこのような変形は、L型あるいはD型アミノ酸、及び/又は非天然型アミノ酸を用いた変形;及び/又は天然型配列を改質、例えば、側鎖作用基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、バイオティン化等のように改質することにより変形することを全て含む。また、上記変形は非天然型化合物への置換を全て含む。
【0152】
また、天然型グルカゴンのアミノ及び/又はカルボキシ末端に一つまたはそれ以上のアミノ酸が追加されたものを全て含む。
【0153】
上記置換または追加されるアミノ酸は、ヒトタンパク質から通常観察される20個のアミノ酸だけでなく非定形または非自然的発生アミノ酸を用いることができる。非定形アミノ酸の商業的出所にはSigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定形的なペプチド配列は商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、または韓国のAnygenを通じて合成及び購買可能である。
【0154】
アミノ酸誘導体も同様の方式で入手することができるが、その例を一部だけ挙げると、4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などを用いることができる。
【0155】
グルカゴンは、約7のpIを有しており、生理学的pH(pH4-8)の溶液中で不溶性であり、中性pHでは沈殿する傾向がある。pH3以下の水溶液中で、グルカゴンは初期には溶解するが、1時間以内にゲル形成により沈殿する。ゲル化したグルカゴンは、主にβ-シートフィブリルからなり、このように沈殿したグルカゴンはゲルが注射針や、静脈に投与される場合、血管を詰まらせるため、注射剤として用いるのに適しない。沈殿過程を遅延させるために、酸性(pH2-4)の剤形を用いることが通常であるが、これを通じて短時間で相対的に無凝集状態でグルカゴンを維持することができる。しかし、グルカゴンのフィブリル形成が低いpHで非常に速やかになされるため、このような酸性剤形は、調剤後に直ちに注射されなければならない。
【0156】
本発明のグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンのpIを負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基の置換により変化させて延長された作用プロファイルを有することに開発されたものを含み、このような誘導体は天然グルカゴンに比べて変化したpIを有することにより中性pHで改善された溶解度及び/又は高い安定性を示すことができることを特徴とする。
【0157】
一つの具体的な様態として、上記グルカゴン誘導体は下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよい。
【0158】
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式1、配列番号:45)
上記式において、
X1はヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファン、またはチロシンであるか、不在であり;
X2はアルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン、Sar(N-methylglycine)、セリンまたはD-セリンであり;
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X13はチロシンまたはシステインであり;
X14はロイシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、グルタミン酸またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステインであるか、不在であり;
X17はアスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、システイン、またはバリンであるか、不在であり;
X18はアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、バリン、またはシステインであるか、不在であり;
X19はアラニン、アルギニン、セリン、バリン、またはシステインであるか、不在であり;
X20はリシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン酸、アルギニン、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステインであるか、不在であり;
X21はアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリン、またはシステインであるか、不在であり;
X23はイソロイシン、バリン、またはアルギニンであるか、不在であり;
X24はバリン、アルギニン、アラニン、システイン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはロイシンであるか、不在であり;
X27はイソロイシン、バリン、アラニン、リシン、メチオニン、グルタミン、またはアルギニンであるか、不在であり;
X28はグルタミン、リシン、アスパラギン、またはアルギニンであるか、不在であり;
X29はリシン、アラニン、グリシン、またはトレオニンであるか、不在であり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい(ただし、上記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
【0159】
より具体的には、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン、トリプトファン、またはチロシンであるか、不在であり;
X2がセリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X13はチロシンまたはシステインであり;
X14はロイシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17はアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、システイン、またはバリンであり;
X18はアスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、またはシステインであり;
X19はアラニン、またはシステインであり;
X20はグルタミン、アスパラギン酸、リシン、またはシステインであり;
X21はアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリン、またはシステインであり;
X23はイソロイシン、バリンまたはアルギニンであり;
X24はバリン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、またはロイシンであり;
X27はイソロイシン、バリン、アラニン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであり;
X28はグルタミン、リシン、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29はトレオニンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい(一般式1のアミノ酸配列が配列番号1と同一の場合は除く)。
【0160】
その例として、上記ペプチドは配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0161】
また、本願において「特定配列番号で構成されるペプチド」と記載されているとしても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加または自然に発生し得る突然変異、あるいはこのサイレント突然変異(silent mutation)を除くものではなく、このような配列の追加あるいは突然変異を有する場合にも、本願の範囲内に属することが自明である。
【0162】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の様態にも適用され得るが、これに制限されるものではない。
【0163】
具体的には、
上記一般式1において、
X1がヒスチジン、トリプトファン、またはチロシンであり;
X2がセリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン、トレオニン、またはバリンであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X13はチロシンまたはシステインであり;
X14はロイシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17はグルタミン酸、リシン、アルギニン、システイン、またはバリンであり;
X18はアルギニン、またはシステインであり;
X19はアラニン、またはシステインであり;
X20はグルタミンまたはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、またはシステインであり;
X23はバリンであり;
X24はバリンまたはグルタミンであり;
X27はメチオニンであり;
X28はアスパラギンまたはアルギニンであり;
X29はトレオニンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい。
【0164】
その例として、上記ペプチドは配列番号:3、11~17、19~27、29、31、33、35~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:3、11~17、19~27、29、31、33、35~44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0165】
具体的には、
上記一般式1において、
X1がチロシンであり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン、トレオニン、またはバリンであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンであり;
X13はチロシンまたはシステインであり;
X14はロイシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17はリシン、アルギニン、システイン、またはバリンであり;
X18はアルギニン、またはシステインであり;
X19はアラニン、またはシステインであり;
X20はグルタミンまたはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、グルタミン酸、またはシステインであり;
X23はバリンであり;
X24はグルタミンであり;
X27はメチオニンであり;
X28はアスパラギンまたはアルギニンであり;
X29はトレオニンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい(一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
【0166】
その例として、上記ペプチドは配列番号:12、14、17、19~25、27、29、33、35~38、40~42、及び44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:12、14、17、19~25、27、29、33、35~38、及び40~42、44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0167】
具体的には、上記一般式1において、
X1がヒスチジン、トリプトファン、またはチロシンであるか、不在であり;
X2がセリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X13はチロシンまたはシステインであり;
X14はロイシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17はアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、システイン、またはバリンであり;
X18はアスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、またはシステインであり;
X19はアラニン、またはシステインであり;
X20はグルタミン、アスパラギン酸、またはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、またはグルタミン酸であり;
X23はバリンであり;
X24はバリンまたはグルタミンであり;
X27はイソロイシンまたはメチオニンであり;
X28はアスパラギンまたはアルギニンであり;
X29はトレオニンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい(一般式1のアミノ酸配列が配列番号1と同一の場合は除く)。
【0168】
その例として、上記ペプチドは配列番号2~13、15、17、20~24、26~30、及び32~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号2~13、15、17、20~24、26~30、及び32~44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0169】
具体的には、
上記一般式1において、
X1がチロシンであるか、;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニンであり;
X10はチロシンであり;
X12はリシンであり;
X13はチロシンであり;
X14はロイシンであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17はリシンまたはアルギニンであり;
X18はアルギニンであり;
X19はアラニンであり;
X20はグルタミン、システイン、またはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、システイン、バリンまたはグルタミン酸であり;
X23はバリンまたはアルギニンであり;
X24はグルタミンまたはロイシンであり;
X27はメチオニンであり;
X28はアスパラギンまたはアルギニンであり;
X29はトレオニンであり;
X30は不在であってもよい。
【0170】
その例として、上記ペプチドは配列番号:14、16、18、19、25、及び31からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:14、16、18、19、25、及び31からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0171】
さらに具体的には、上記ペプチドは下記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよい:
【0172】
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸またはセリンであり;
X17はリシンまたはアルギニンであり;
X20はグルタミンまたはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、またはグルタミン酸であり;
X24はバリンまたはグルタミンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよい。
【0173】
その例として、上記ペプチドは配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。より具体的には、上記ペプチドは配列番号:12、20、あるいは37のアミノ酸配列を含んだり、当該アミノ酸配列で(必須で)構成されることを特徴とする。しかし、これに制限されるものではない。
【0174】
具体的には、上記一般式2において
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンであり;
X15はアスパラギン酸であり;
X16はグルタミン酸またはセリンであり;
X17はリシンまたはアルギニンであり;
X20はグルタミンまたはリシンであり;
X21はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24はグルタミンであり;
X30はシステインであるか、不在であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0175】
その例として、上記ペプチドは配列番号:12、36~38、40~42、及び44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的には配列番号:12、36~38、40~42、及び44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0176】
ただし、上記分離されたペプチドの中で配列番号:2~11、14、16~35、49、及び50、具体的には配列番号:19、33、49、及び50に該当するペプチドは、上記請求された範疇から除外される組合わせも存在し得るが、特にこれに制限されるものではなく、請求項に別途の言及がない限り、請求項に記述されたペプチドはいずれも本発明の範疇に含まれる。
【0177】
上述したグルカゴン誘導体は、分子内架橋(intramolecular bridge)を含んでもよく(例えば、共有結合的架橋または非共有結合的架橋)、具体的には環を含む形態であってもよい。例えば、グルカゴン誘導体の16番及び20番アミノ酸間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0178】
上記環の非制限的な例としてラクタム架橋(またはラクタム環)を含んでもよい。
【0179】
また、上記グルカゴン誘導体は環を含むように、目的とする位置に環を形成することができるアミノ酸を含むように変形されたものを全て含む。
【0180】
このような環は、上記グルカゴン誘導体内のアミノ酸側鎖間に形成されてもよく、その例としてリシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖との間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0181】
例えば、上記一般式1あるいは一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドは、一般式1あるいは一般式2のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対において、各アミノ酸対のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸またはリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。上記、Xn(nは自然数)でnは提示されたアミノ酸配列のN末端からのアミノ酸位置を示す。
【0182】
また、上記一般式1あるいは一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドは、X12とX16のアミノ酸対、X16とX20のアミノ酸対、またはX17とX21のアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0183】
また、上記一般式1あるいは2において、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対で各アミノ酸対のそれぞれのアミノ酸間に環(例えば、ラクタム環)を形成したものであってもよいが、これに制限されない。
【0184】
また、上記一般式1または2において、X16がグルタミン酸であり、X20はリシンであり、X16とX20の側鎖がラクタム環を形成しているものであってもよいが、これに制限されない。
【0185】
また、本発明によるペプチドはN末端及び/又はC末端が変形されていないものであってもよいが、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、このN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾されたり有機基で保護されたり、またはペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態も本発明によるペプチドの範疇に含まれる。C末端が変形されていない場合、本発明によるペプチドの末端はカルボキシル基を有するが、特にこれに制限されるものではない。
【0186】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するためにN末端をアセチル化(acetylation)及び/又はC末端をアミド化(amidation)することができるが、特にこれに制限されない。
【0187】
本明細書において別途に指すことがなければ、本発明による「ペプチド」またはこのようなペプチドが生体適合性物質に共有結合で連結された「結合体」に関する明細書の詳細な説明や請求の範囲の技術は、当該ペプチドまたは結合体はもちろん、当該ペプチドまたは結合体の塩(例えば、上記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、またはその溶媒和物の形態を全て含む範疇にも適用される。従って明細書に「ペプチド」または「結合体」とだけ記載されていても当該記載内容はその特定塩、その特定溶媒和物、その特定塩の特定溶媒和物にも同様に適用される。このような塩形態は、例えば、薬学的に許容される任意の塩を用いた形態であってもよい。上記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0188】
上記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、またはアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0189】
本発明において用語、「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される無機酸、有機酸、または塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含んでもよい。
【0190】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」とは、本発明によるペプチド、結合体、またはこの塩が溶媒分子と複合体を形成したものをいう。
【0191】
また、本発明のグルカゴン誘導体ペプチドは、その長さに応じてこの分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0192】
具体的には、本発明のグルカゴン誘導体ペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、または任意の他の当該分野の方法により製造されてもよい。従って、本発明によるグルカゴン誘導体は、例えば、下記を含む方法を含む多数の方法で合成することができる:
(a)ペプチドを固体状または液体状方法の手段で段階的にまたは断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;または
(b)ペプチドをエンコーディングする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;または
(c)ペプチドをエンコーディングする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;または
(a)、(b)及び(c)の任意の組合わせによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0193】
より具体的な例として、遺伝子操作を通じて、融合パートナー及びグルカゴン誘導体を含む融合タンパク質をコードする融合遺伝子を製造し、これを宿主細胞に形質転換させた後、融合タンパク質形態で発現し、タンパク質分解酵素または化合物を用いて融合タンパク質からグルカゴン誘導体を切断、分離して所望のグルカゴン誘導体を生産することができる。このため、例えば、Factor Xaやエンテロキナーゼのようなタンパク質分解酵素、CNBrまたはヒドロキシルアミンのような化合物により切断され得るアミノ酸残基をコードするDNA配列を融合パートナーとグルカゴン誘導体をコードするポリヌクレオチドの間に挿入することができる。
【0194】
より具体的な様態として、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質(例えば、グルカゴン誘導体、例えば、上記一般式1あるいは2のアミノ酸配列を含むペプチド)はこの生体内半減期を増加させる生体適合性物質部に結合した、持続型結合体の形態であってもよいが、これに制限されない。上記生体適合性物質部はキャリアと混用されてもよい。
【0195】
具体的には、上記結合体においてグルカゴン受容体に対する活性を有する物質はペプチド形態であり、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位に生体適合性物質部が結合している形態であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0196】
より具体的には、上記結合体はペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合により連結された生体適合性物質部を含み、上記ペプチド部位は、上記一般式1または2のアミノ酸配列と同一の配列であってもよく、またはこれを含む配列であってもよい。
【0197】
本発明において用語、「持続型結合体」とは、生理活性物質(例、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質、インスリン分泌ペプチド等)に生体適合性物質部またはキャリアが結合した形態として、生体適合性物質部またはキャリアが結合していない生理活性物質に比べて増加した効力の持続性(例、体内半減期増加)を示す結合体を指す。上記持続型結合体において生体適合性物質部またはキャリアは生理活性物質に共有結合で連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0198】
本発明の具体的な実施形態において上記グルカゴン誘導体の結合体は効力の持続性がキャリアが結合していない天然型グルカゴンあるいはグルカゴン誘導体に比べて増加することがある。
【0199】
本発明において用語、「生体適合性物質部」とは、生理活性物質(例、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質、インスリン分泌ペプチド等)に結合して生体適合性物質部またはキャリアと結合していない生理活性物質に比べて生理活性物質の効力の持続性を増加させる物質を指す。上記生体適合性物質部は生理活性物質に共有結合により連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0200】
上記生体適合性物質部の例として、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類、ヘパリン、あるいはエラスチンを挙げることができるが、これに制限されない。
【0201】
上記高分子重合体の例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される高分子重合体を挙げることができるが、特にこれに制限されない。
【0202】
上記ポリエチレングリコールは、エチレングリコール同種重合体、PEG共重合体、またはモノメチル-置換されたPEG重合体(mPEG)の形態をいずれも包括する用語であるが、特にこれに制限されるものではない。
【0203】
また、上記生体適合性物質部は、ポリリシン、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸のようなポリアミノ酸を含むが、これに制限されるものではない。
【0204】
また、脂肪酸は、生体内アルブミンと結合力を有するものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0205】
より具体的な例として、上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的にはIgG Fc領域であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0206】
本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有する物質内の一つ以上のアミノ酸側鎖は生体内で可溶性及び/又は半減期を増加させて/させたり生体利用率を増加させるために、このような生体適合性物質部に接合されてもよい。このような変形は、また、治療学的タンパク質及びペプチドのクリアランス(clearance)を減少させることができる。
【0207】
このような生体適合性物質部は、水溶性(両親媒性または親水性)及び/又は無毒性及び/又は薬学的に許容可能なものであってもよい。
【0208】
このように変形されたグルカゴン誘導体が天然グルカゴンより優れた治療学的効果を奏するということは、当業者において周知の事実である。従って、上記のようなグルカゴン誘導体の変異体も本発明のグルカゴン誘導体の範囲に含まれる。
【0209】
上記生体適合性物質部は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質と直接的に連結されたり、またはリンカーを通じて連結されたものであってもよい。上記生体適合性物質部は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質と直接あるいはリンカーと連結される時、共有結合で連結されたものであってもよい。
【0210】
具体的には、上記リンカーは、ペプチド性リンカーまたは非ペプチド性リンカーであってもよい。
【0211】
上記リンカーがペプチド性リンカーである時、1個以上のアミノ酸を含み得、例えば、1個から1000個のアミノ酸を含み得るが、特にこれに制限されるものではない。本発明において公知となった多様なペプチドリンカーが本発明に用いられ、その例として[GS]xリンカー、[GGGS]xリンカー及び[GGGGS]xリンカーなどを含み、ここで、xは1以上の自然数であってもよい。しかし、上記例に制限されるものではない。
【0212】
本発明において「非ペプチド性リンカー」とは、繰り返し単位が2個以上結合した生体適合性重合体を含む。上記繰り返し単位はペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。上記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体の部分をなす一構成であってもよい。
【0213】
本発明において上記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性重合体と混用されてもよい。
【0214】
一つの具体的な実施形態において両末端に生体適合性物質部(具体的には、免疫グロブリンFc領域)及びペプチド薬物とそれぞれ結合され得る反応基を含む非ペプチド性リンカーを通じて上記生体適合性物質部と上記ペプチドが共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0215】
具体的には、上記非ペプチド性リンカーは、脂肪酸、糖類(saccharide)、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択されるものであってもよい。
【0216】
特にこれに制限されないが、本発明において上記高分子重合体は0超約100kDaの範囲、具体的には約1~約100kDaの範囲、より具体的には約1~約20kDaの範囲であってもよいが、これに制限されない。
【0217】
特にこれに制限されないが、上記非ペプチド性リンカーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)及びPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子;脂質重合体;キチン類;ヒアルロン酸;オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせで構成された群から選択されるものであってもよい。
【0218】
より具体的な実施形態において上記非ペプチド性重合体はポリエチレングリコールであってもよいが、これに制限されない。また、当該分野において既に知られているこれら誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造することができる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0219】
本発明で用いられる非ペプチド性リンカーは生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体であれば、制限なく用いられる。非ペプチド性重合体の分子量は0超約100kDa以下の範囲、具体的には約1~100kDaの範囲、具体的には約1~約20kDaの範囲であるが、これに制限されない。また、上記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドと結合する本発明の非ペプチド性リンカーは、一種の重合体だけでなく相違する種類の重合体の組合わせも用いられる。
【0220】
本発明において用語、「約」とは、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などを全て含む範囲であり、約という用語の後に出る数値と同等または類似の範囲の数値を全て含むが、これに制限されない。
【0221】
具体的には、上記リンカーは、一方の末端が生体適合性物質部のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端がペプチド部位、具体的には一般式1または2のアミノ酸配列のアミン基またはチオール基とそれぞれ反応して形成された共有結合により上記ペプチド部位と上記生体適合性物質部にそれぞれ連結されているものであってもよい。
【0222】
一つの具体的な実施形態において上記非ペプチド性リンカーの一方の末端が免疫グロブリンFc領域のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端がグルカゴン誘導体のアミン基またはチオール基とそれぞれ反応して形成された共有結合を形成することができる。具体的には、上記非ペプチド性重合体は両末端にそれぞれ生体適合性物質部、具体的には免疫グロブリンFc領域及びグルカゴン誘導体と結合され得る反応基、例えば、グルカゴン誘導体のN末端またはリシンに位置したアミン基、またはシステインのチオール基、あるいは生体適合性物質(例えば、具体的には、免疫グロブリンFc領域)のN末端またはリシンに位置したアミン基、またはシステインのチオール基と反応することにより上記生体適合性物質と上記グルカゴン誘導体に共有結合を形成することができる反応基を含んでもよいが、これに制限されない。
【0223】
また、生体適合性物質部、具体的には免疫グロブリンFc領域、及びグルカゴン誘導体と結合され得る、上記非ペプチド性重合体の末端反応基はアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体で構成された群から選択されてもよいが、これに制限されない。
【0224】
上記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を例として挙げることができるが、これに制限されない。
【0225】
上記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカーボネートが用いられ得るが、これに制限されない。
【0226】
また、アルデヒド結合による還元性アミン化により生成された最終産物は、アミド結合により連結されたものよりはるかに安定的である。アルデヒド反応基は低いpHでN末端に選択的に反応し、高いpH、例えば、pH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成することができる。
【0227】
また、上記両末端の反応基は互いに同一または互いに異なっていてもよく、例えば、一方の末端にはマレイミド基を、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、またはブチルアルデヒド基を有することができる。しかし、非ペプチド性リンカーの各末端に免疫グロブリンFc領域とグルカゴン誘導体が結合され得るならば、特にこれに制限されない。
【0228】
例えば、上記非ペプチド性リンカーの一方の末端には反応基としてマレイミド基を含み、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基などを含んでもよい。
【0229】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合には、公知の化学反応により上記ヒドロキシ基を上記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを用いて本発明の持続型タンパク質結合体を製造することができる。
【0230】
一つの具体的な実施形態において上記非ペプチド性重合体はグルカゴン誘導体のシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。ここで、上記非ペプチド性重合体はポリエチレングリコールであってもよいが、特にこれに制限されず、先に記述した他の種類の非ペプチド性重合体も該当されうる。
【0231】
具体的な様態として、上記結合体は、配列番号:12、20あるいは37のアミノ酸配列を含むペプチドと免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を通じて連結されたものであり、ここで、非ペプチド性重合体は配列番号:12のアミノ酸配列で30番目に位置したシステイン残基、配列番号:20のアミノ酸配列で17番に位置したシステイン残基、あるいは配列番号:37のアミノ酸配列で30番目に位置したシステイン残基に連結されたものであってもよい。しかし、これに制限されるものではない。ここで、上記非ペプチド性重合体はポリエチレングリコールであってもよいが、特にこれに制限されず、先に記述した他の種類の非ペプチド性重合体も該当されうる。
【0232】
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はグルカゴン誘導体の-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基は免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アミン化反応を通じて連結することができるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0233】
また、上記結合体において、非ペプチド性重合体の反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置した-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0234】
本発明において、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いた、重鎖不変領域2(CH2)及び/又は重鎖不変領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。上記免疫グロブリンFc領域は、本発明のタンパク質結合体の部分をなす一構成であってもよい。
【0235】
このような免疫グロブリンFc領域は、重鎖不変領域にヒンジ(hinge)部分を含んでもよいが、これに制限されるものではない。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等または向上した効果を奏する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除いて、一部または全体重鎖不変領域1(CH1)及び/又は軽鎖不変領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、CH2及び/又はCH3に該当する相当長い一部アミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
【0236】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組合わせ、6)重鎖不変領域各ドメインと軽鎖不変領域の二量体であってもよい。しかし、これに制限されるものではない。
【0237】
また、一つの具体例として、上記免疫グロブリンFc領域は二量体形態(dimeric form)であってもよく、二量体形態の一つのFc領域にグルカゴン誘導体一分子が共有結合的に連結されてもよく、この時、上記免疫グロブリンFcとグルカゴン誘導体は非ペプチド性重合体により互いに連結されてもよい。一方、二量体形態の一つのFc領域にグルカゴン誘導体の二分子が対称的に結合することも可能である。この時、上記免疫グロブリンFcとグルカゴン誘導体は非ペプチド性リンカーにより互いに連結されてもよい。しかし、上記記述された例に制限されるものではない。
【0238】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなくこの配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的または保存的置換またはこれらの組合わせにより相違する配列を有することを意味する。
【0239】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られている214~238、297~299、318~322または327~331番アミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられ得る。
【0240】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端のいくつかのアミノ酸が除去されたり、または天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加され得る等、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクタ機能をなくすために補体結合部位、例としてClq結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、国際特許公開第WO97/34631号(特許文献2)、国際特許公開第96/32478号(特許文献3)等に開示されている。
【0241】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドでのアミノ酸交換は当該分野において公知となっている(H. Neurath, R. L. Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979(非特許文献2))。最も通常生じる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されてもよい。
【0242】
上述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させたものであってもよい。
【0243】
また、このようなFc領域は、ヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラットまたはモルモットなどの動物の生体内で分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞または微生物から得られた組換え型またはその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は、全体免疫グロブリンをヒトまたは動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcに切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィ(size-exclusion chromatography)などを用いてFcまたはpF’cを分離することができる。さらに具体的な実施形態ではヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0244】
また、免疫グロブリンFc領域は天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖または糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減または除去には、化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は補体(cla)との結合力が顕著に低下し、抗体依存性細胞傷害または補体依存性細胞傷害が減少または除去されるため、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このような点で薬物のキャリアとしての本来の目的に、より符合する形態は糖鎖が除去されたり非糖鎖化された免疫グロブリンFc領域と言える。
【0245】
本発明において「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域を言い、非糖鎖化(Aglycosylation)は原核動物、さらに具体的な実施形態では大腸菌で生産して糖鎖化されないFc領域を意味する。
【0246】
一方、免疫グロブリンFC領域は、ヒトまたはウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、さらに具体的な実施形態ではヒト起源である。
【0247】
また、免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組合わせ(combination)またはこれらの混成(hybrid)によるFc領域であってもよい。さらに具体的な実施形態では、ヒト血液に最も豊富なIgGまたはIgM由来であり、より具体的な実施形態ではリガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。より一層具体的な実施形態において上記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において上記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であるが、これに制限されるものではない。
【0248】
一方、本発明免疫グロブリンFc領域は、二量体または多量体を形成する時、同一起源単鎖免疫グロブリンFc領域を暗号化するポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドと結合することによって形成することができる。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなるグループから選択された2個以上の断片から二量体または多量体の製造が可能である。
【0249】
本発明の組成物、組合せ物またはキットは、メタボリックシンドロームの予防または治療に用いられる。
【0250】
本発明において用語「予防」とは、グルカゴン活性を有する物質またはその結合体、メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質、またはこれを含む組合せ物または組成物の投与により目的とする疾患、例えば、メタボリックシンドロームの発病を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とはグルカゴン活性を有する物質またはその結合体、メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質、またはこれを含む組合せ物または組成物の投与により目的とする疾患、例えば、メタボリックシンドロームの症状が好転したり有益になる全ての行為を意味する。
【0251】
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、上記組成物の投与経路は、特にこれに制限されないが、上記組成物が生体内標的に到達することができる任意の一般的な経路を通じて投与することができ、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などであってもよい。
【0252】
上記グルカゴン誘導体あるいはこれを含む結合体は、単独でまたはメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質との併用によりメタボリックシンドロームの予防または治療に用いられる。
【0253】
また、本発明のグルカゴン活性を有する物質またはその結合体は、体重増加を予防したり、体重減少を促進したり、過体重を減少させたり、病的肥満を含む肥満(例えば、食欲、摂食、食品摂取、カロリー摂取及び/又はエネルギー消費の調節により)、それだけでなく、肥満関連の炎症、肥満関連の胆嚢疾患及び肥満誘導された睡眠時無呼吸を含むが、これに限定されない関連疾患及び健康状態を治療するための薬剤として用いられる。本発明のグルカゴン活性を有する物質またはその結合体は、また、肥満以外のメタボリックシンドローム、即ち、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中などのような関連疾患の治療に用いられる。しかし、これら病態において本発明によるペプチドの効果は、前述した体重関連の効果を通じて全体的にまたは部分的に媒介されてもよく、これとは独立的であってもよい。
【0254】
本発明において用語「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」とは、慢性的な代謝障害により生じる多様な疾患が単独または複合的に生じる症状をいい、特に、メタボリックシンドロームに該当する疾患としては、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症(dyslipidemia)、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中などがあるが、これに制限されない。
【0255】
本発明において用語「肥満」とは、体内に脂肪組織が過多な状態であり、身体肥満指数(体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値)が25以上であれば、肥満と定義される。肥満は、長い期間にわたりエネルギー消費量に比べて栄養素を過多に摂取する場合、エネルギー不均衡により誘発されることが普通である。肥満は、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発病リスクが高くなり、一部の場合、癌の発生とも連関がある。
【0256】
本発明によるグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンに比べて変化したpIを有して中性pHで改善された溶解度及び高い安定性を示すことができ、また、グルカゴン受容体に対して活性を示すことができるため、メタボリックシンドロームをはじめとした目的とする疾患の予防または治療に有用に用いられる。
【0257】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。本発明における用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができる程度の十分な量と副作用を引き起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合または同時用いられる薬物など、医学分野によく知られている要素に応じて当業者により容易に決定され得る。
【0258】
本発明のグルカゴン活性を有する物質またはその結合体を含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。上記担体は、特にこれに制限されないが、経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩解剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0259】
本発明の組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容可能な担体と混合して多様に製造され得る。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリクサー、サスペンション、シロップ、ウエハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0260】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートまたは鉱物油などが用いられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0261】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
【0262】
また、上記組成物は、薬学的分野において通常の方法により患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的には、ペプチド医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化させて当業界において通常に用いる投与方法を用いて経口、または皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内または直腸経路を含む非経口投与経路により投与され得るが、これらに限定されるものではない。
【0263】
また、上記グルカゴン活性を有する物質またはその結合体は、生理食塩水または有機溶媒のように薬剤として許容された種々のキャリア(carrier)と混合して用いられ、安定性や吸収性を増加させるために、グルコース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)またはグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質または他の安定化剤(stabilizers)などが薬剤として用いられる。
【0264】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の重症度等の種々の関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
【0265】
特にこれに制限されないが、本発明の上記薬学的組成物は、上記成分(有効成分)を0.01~99%重量対体積で含有することができる。
【0266】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与され得、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含量を異にすることができる。具体的には、本発明のグルカゴン誘導体ペプチドまたは結合体の好ましい全体用量は、1日に患者体重1kg当たり約0.0001μg~500mgであってもよい。しかし、上記ペプチドまたは結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌及び排泄率等、多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるため、このような点を考慮すると、当分野の通常の知識を有する者であれば、上記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定し得るものである。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0267】
本発明の薬学的組成物は、生体内持続性及び力価に優れ、他の薬剤に比べて低い投与回数及び頻度を示すことがあるが、特にこれに制限されるものではない。
【0268】
特に、本発明の薬学的組成物は、天然グルカゴンに比べて変化したpIを有するグルカゴン誘導体を有効成分として含むため、中性pHで改善された溶解度及び/又は高い安定性を示すため、メタボリックシンドロームをはじめとした目的とする疾患の治療のための安定したグルカゴン剤形の製造に有用に用いられる。
【0269】
上記メタボリックシンドロームの予防または治療のための薬学的組成物、またはメタボリックシンドロームの予防または治療のための療法などにおいて、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体以外にも、メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を含んでもよく、上記療法は、上記化合物または物質の追加使用を含んでもよい。
【0270】
本発明の併用投与あるいは組成物に含まれる上記メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質の例として、インスリン分泌ペプチド、GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C)アゴニスト(G proteiN-coupled agonist)、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(Peroxisome proliferator-activated receptor alpha)アゴニスト、PPARδ(Peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、キセニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insuin)、またはGIP(glucose-dependent insulinotropic peptide)、ビグアニド(biguanides)、スルホニル尿素(sulfonylureas)、メグリチニド(meglitinide)、チアゾリジンジオン(thiazolidinedione(TZD))、SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤、及び/又はα-glucosidase抑制剤を挙げることができ、より具体的には、DPP-4阻害剤、SGLT2抑制剤、またはGLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニストであってもよいが、これに制限されない。また、肥満治療に効果的な薬物と肝臓の炎症及び線維症(fibrosis)を抑制する薬物はいずれも含まれ得る。
【0271】
具体的には、本発明において用語、「GLP-1受容体アゴニスト」とは、メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する物質の一つであり、GLP-1受容体に作用し得る物質(化合物、ペプチド、アミノ酸等)を意味し、本願において「GLP-1類似体」と混用され得る。上記GLP-1受容体アゴニストはGLP-1受容体に対してin vitro活性が該当受容体の天然型リガンド(GLP-1)比0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上を示すものであってもよい。
【0272】
上記DPP-4抑制剤は、シタグリプチン(例えば、ジャヌビア(Januvia)(登録商標))、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、トラエンタ(Trayenta)(登録商標))、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択されるいずれか一つであり;
上記SGLT2抑制剤は、エンパグリフロジン(例えば、ジャディアンス(Jardiance)(登録商標))、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択されるいずれか一つであってもよいが、本発明によるグルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体と併用投与され、治療学的活性を示すことができる限り、これに制限されない。
【0273】
本発明を具現するもう一つの様態は、メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質と併用することを特徴とする、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0274】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質、これを含む結合体、これを含む組成物、メタボリックシンドローム、予防、治療、及び薬学的組成物については、先に説明した通りである。
【0275】
本発明を具現するもう一つの様態は、(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療方法を提供する。
【0276】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質、これを含む結合体、これを含む組成物、メタボリックシンドローム、予防、及び治療については、先に説明した通りである。
【0277】
本発明において上記個体は、メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)が疑われる個体であり、上記メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)が疑われる個体は、当該疾患が発病しているか、または発病し得るヒトを含むラット、家畜などを含むほ乳動物を意味するが、本発明のグルカゴン誘導体あるいはこれを含む上記組成物で治療可能な個体は制限なく含まれる。また、本発明のグルカゴン誘導体を含む薬学的組成物をメタボリックシンドロームの疑いのある個体に投与することにより、個体を効率よく治療することができる。メタボリックシンドロームについては上記で説明した通りである。
【0278】
本発明の方法は、(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む組合せ物または薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含み得る。本発明による方法は、(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を一つの製剤として投与したり、または個別製剤を同時、個別、順次または逆順で投与するものであってもよいが、これに制限されない。
【0279】
適した総1日使用量は、正しい医学的判断範囲内で処置医により決定されてもよく、1回または数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が用いられるかどうかをはじめとした具体的組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に用いられたり、同時に用いられる薬物をはじめとした多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子に応じて異なって適用することが好ましい。
【0280】
一方、特にこれに制限されないが、上記メタボリックシンドロームの予防または治療方法は一つ以上のメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を投与することをさらに含む併用療法であってもよい。
【0281】
本発明を具現する更に他の様態はグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこれを含む結合体を含む組成物、具体的にはメタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0282】
上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中から選択された一つ以上の疾病であってもよいが、これに制限されない。
【0283】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドはグルカゴン受容体に対して有意な水準の活性を有するペプチド形態の物質を含み、上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質である。
【0284】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質、これを含む結合体、これを含む組成物、メタボリックシンドローム、予防、及び治療については、先に説明した通りである。
【0285】
本発明の薬学的組成物は、メタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療に用いられる。
【0286】
本発明において用語「低血糖」とは、血中糖量が正常人より低い状態をいう。通常、血糖が50mg/dl以下である時をいうが、特にこれに制限されるものではない。低血糖症が生じる多くの原因は、経口用血糖降下剤やインスリンを用いる者が普段より飲食摂取量が少ないか、または活動量や運動量が過度な場合である。それ以外にも飲酒や一部血糖を落とす薬物の使用、重症の身体的疾患、副腎皮質ホルモンやグルカゴンなどのホルモン欠乏、インスリン生成膵臓腫瘍、インスリンに対する自己免疫疾患がある場合、胃切除術患者、遺伝性炭水化物代謝酵素異常疾患などによっても低血糖が発生し得る。
【0287】
本発明において上記低血糖は、急性低血糖及び慢性低血糖を全て含む。
【0288】
低血糖の症状は、気力が衰えて身体の震えがあり、顔面蒼白、冷や汗、めまい、興奮、不安感、動悸、空腹感、頭痛、疲労感などを含む。低血糖が長く持続すればけいれんや発作があり得、ショック状態がもたらされて意識を失うこともある。
【0289】
より具体的には、上記低血糖は遺伝的欠陥による持続性高インスリン症により誘発され得る。遺伝的欠陥による高インスリン症の原因としては、11p15.1染色体にあるSURまたはKir6.2遺伝子の突然変異、7p15-p13染色体にあるGK(glucokinase)遺伝子突然変異により、GK活性度が増加、GDH(Glutamate dehydrogenase)遺伝子突然変異により、GDHが活性化され、これによりベータ島細胞内ATPの増加などが知られている。
【0290】
一方、先天性高インスリン症は、新生児と小児で発生する深刻で持続的な低血糖を引き起こす原因疾患の一つである。低体重出生児あるいは糖尿病産婦の出生児で一時的なインスリン分泌増加、遺伝子突然変異による膵臓細胞の異常機能などにより誘発され得る。このような先天性高インスリン症の治療にグルカゴンが用いられることが知られている。
【0291】
また、本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいはこれを含む結合体は、体重増加を予防したり、体重減少を促進したり、過体重を減少させたり、病的肥満を含む肥満(例えば、食欲、摂食、食品摂取、カロリー摂取及び/又はエネルギー消費の調節により)、それだけでなく肥満関連の炎症、肥満関連の胆嚢疾患及び肥満誘導された睡眠時無呼吸を含むが、これに限定されない関連疾患及び健康状態を治療するための薬剤として用いられる。本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいはこれを含む結合体は、また肥満以外のメタボリックシンドローム、即ち、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中などのような関連疾患の治療に用いられる。しかし、これら病態において本発明によるペプチドの効果は前述した体重関連ま効果を通じて全体的にまたは部分的に媒介されてもよく、これとは独立的であってもよい。
【0292】
本発明において用語「肥満」とは、体内に脂肪組織が過多な状態で、身体肥満指数(体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値)が25以上であれば、肥満と定義される。肥満は長い期間にわたりエネルギー消費量に比べて栄養素を過多に摂取する場合、エネルギー不均衡により誘発されることが普通である。肥満は、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発病危険が高くなり、一部の場合、癌の発生とも連関がある。
【0293】
本発明によるグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド単独もメタボリックシンドローム、低血糖または先天性高インスリン症の予防または治療に有用に用いられ、また、グルカゴン誘導体の場合は、天然型グルカゴンに比べて変化したDIを有し、中性pHで改善された溶解度及び高い安定性を示すことができ、また、グルカゴン受容体に対して活性を示すことができるため、低血糖、肥満、メタボリックシンドローム及び先天性高インスリン症をはじめとした目的とする疾患の予防または治療に有用に用いられる。
【0294】
本発明を具現する他の様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、即ち、グルカゴン誘導体を提供する。
【0295】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドについては、先に説明した通りである。
【0296】
より具体的には、上記誘導体は配列番号:45で表される上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする。上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドに関する説明及び組合わせは先に記述した内容が全て適用される。
【0297】
上記誘導体は、下記一般式2のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする。
【0298】
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10はチロシンまたはシステインであり;
X12はリシンまたはシステインであり;
X15はアスパラギン酸、またはシステインであり;
X16はグルタミン酸またはセリンであり;
X17はリシンまたはアルギニンであり;
X20はグルタミンまたはリシンであり;
X21はアスパラギン酸、またはグルタミン酸であり;
X24はバリンまたはグルタミンであり;
X30はシステインであるか、不在である。
【0299】
より具体的には、上記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドは、一般式2のX16がグルタミン酸であり、X20はリシンであり、X16とX20の側鎖がラクタム環を形成しているものであってもよいが、これに制限されない。
【0300】
また、上記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドのC末端がアミド化したり、変形されていないものであってもよいが、これに制限されない。
【0301】
また、上記ペプチドはグルカゴン受容体を活性化させるグルカゴン誘導体であってもよいが、これに制限されない。
【0302】
より具体的には、上記ペプチドは配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0303】
本発明を具現する更に他の様態は、上記グルカゴン誘導体をコードする分離されたポリヌクレオチド、上記ポリヌクレオチドを含むベクター、及び上記ポリヌクレオチドあるいはベクターを含む分離された細胞を提供する。
【0304】
上記グルカゴン誘導体については、先に説明した通りである。
【0305】
具体的には、上記誘導体は、配列番号:45で表される上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであってもよい。上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドに関する説明及び組合わせは先に記述した内容が全て適用される。また、具体的には、上記誘導体は配列番号:46で表される上記一般式2のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする。上記一般式2のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドに関する説明及び組合わせは、先に記述した内容が全て適用される。
【0306】
本発明の用語「相同性」とは、野生型(wild type)アミノ酸配列及び野生型核酸配列との類似の程度を示すためのことであり、相同性の比較は肉眼や購入が容易な比較プログラムを用いて行う。市販されるコンピュータプログラムは、2個以上の配列間の相同性を百分率(%)で計算することができる。相同性(%)は、隣接した配列に対して計算され得る。
【0307】
本発明において用語「組換えベクター」とは、適した宿主内で目的ペプチド、例えば、グルカゴン誘導体を発現させるように目的ペプチド、例えば、グルカゴン誘導体が適した調節配列に作動可能に連結されたDNA製造物を意味する。
【0308】
上記調節配列は、転写を開示し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレータ配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含む。組換えベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムと関係なく複製されたり、機能することができ、ゲノムそのものに統合されることができる。
【0309】
本発明で用いられる組換えベクターは宿主細胞内で複製可能であれば、特に限定されず、当業界において知られている任意のベクターを用いて製作され得る。通常用いられるベクターの例としては、天然状態、または組み換えられた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。本発明で使用可能なベクターは特に制限されるものでなく、公知となった発現ベクターを用いることができる。
【0310】
上記組換えベクターは、本発明のグルカゴン誘導体を生産するために宿主細胞を形質転換させるのに用いられる。また、本発明の一部である、このような形質転換細胞は、本発明の核酸断片及びベクターの増殖に用いられたり、本発明のグルカゴン誘導体の組換え生産に用いられた培養された細胞または細胞株であってもよい。
【0311】
本発明において用語「形質転換」とは、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを宿主細胞内に導入して宿主細胞内で上記ポリヌクレオチドがコードするタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドが宿主細胞内で発現さえされれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置したり染色体以外に位置したりに関係なく、これらを全て含む。
【0312】
また、上記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNA及びRNAを含む。上記ポリヌクレオチドは宿主細胞内に導入されて発現され得るものであれば、如何なる形態で導入されても、問題ない。例えば、上記ポリヌクレオチドは独自に発現されるのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入されてもよい。上記発現カセットは、通常、上記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含み得る。上記発現カセットは、自体複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、上記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよいが、これに限定されない。
【0313】
また、上記において用語「作動可能に連結」されたとは、本発明で目的とするペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と上記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0314】
本発明に適した宿主は、本発明のポリヌクレオチドを発現させる限り、特に制限されない。本発明に用いられる宿主の特定の例としては、大腸菌(E. coli)のようなエシェリキア(Escherichia)属の細菌;バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス(Bacillus)属の細菌;シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)のようなシュードモナス(Pseudomonas)属の細菌;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミケス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)のような酵母;スポドプテラ・フルギペルダ(SF9)のような昆虫細胞;及びCHO、COS、BSCなどのような動物細胞がある。
【0315】
本発明を具現する更に他の様態は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドとその生体内半減期を増加させる生体適合性物質部が結合した、分離された結合体を提供する。上記結合体は持続型結合体であってもよい。
【0316】
具体的には、ペプチド部位及び上記ペプチド部位に共有結合で連結された生体適合性物質部を含む分離された結合体であり、上記ペプチド部位は、上記一般式1または2のアミノ酸配列と同一の配列であるか、またはこれを含む配列である分離された結合体を提供する。
【0317】
上記グルカゴン誘導体、一般式1または2のアミノ酸配列及び生体適合性物質部、そして結合体の構成については、先に記述したことが全て適用される。
【0318】
具体的には、上記誘導体は、配列番号:45で表される上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであってもよい。上記一般式1のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドに関する説明及び組合わせは、先に記述した内容が全て適用される。
【0319】
また、具体的には、上記誘導体は配列番号:46で表される上記一般式2のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする。上記一般式2のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドに関する説明及び組合わせは、先に記述した内容が全て適用される。
【0320】
本発明を具現する更に他の様態は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、これを含む結合体、またはこれを含む組成物を個体に投与する段階を含む、先天性高インスリン症、低血糖、肥満またはメタボリックシンドロームを予防または治療する方法を提供する。
【0321】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、これを含む結合体、これを含む組成物、先天性高インスリン症、低血糖、肥満、メタボリックシンドローム、予防、及び治療については、先に説明した通りである。
【0322】
本発明において上記個体は、先天性高インスリン症、低血糖、肥満またはメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)が疑われる個体であり、上記先天性高インスリン症、低血糖、肥満またはメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)の疑いのある個体は当該疾患が発病しているか、または発病し得るヒトを含むラット、家畜などを含むほ乳動物を意味するが、本発明のグルカゴン誘導体あるいはこれを含む上記組成物で治療可能な個体は制限なく含まれる。また、本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドを含む薬学的組成物を先天性高インスリン症、低血糖または肥満の疑いのある個体に投与することにより、個体を効率よく治療することができる。先天性高インスリン症、低血糖または肥満については、上記で説明した通りである。
【0323】
本発明の方法は、ペプチドを含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含んでもよい。適した総1日使用量は、正しい医学的判断範囲内で処置医により決定されてもよく、1回または数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が用いられるかどうかをはじめとした具体的組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に用いられたり、または同時用いられる薬物をはじめとした多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子によって異なって適用することが好ましい。
【0324】
一方、特にこれに制限されないが、上記メタボリックシンドロームの予防または治療方法は、一つ以上のメタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質を投与することをさらに含む併用療法であってもよい。
【0325】
本願において、「併用」という用語が用いられる場合、これは同時、個別または順次投与を示すことと理解されるべきである。上記投与が順次または個別の場合、2次成分投与の間隔は、上記併用の有益な効果を失わないようにしなければならない。
【0326】
本発明を具現する更に他の様態は、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドあるいは分離された結合体、あるいは上記組成物を先天性高インスリン症、低血糖、肥満あるいはメタボリックシンドロームに対する予防または治療用薬剤(あるいは薬学的組成物)の製造に用いる用途を提供する。
【0327】
上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド、分離された結合体、上記組成物、先天性高インスリン症、低血糖、肥満、及びメタボリックシンドロームについては、先に説明した通りである。
【0328】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0329】
実施例1:グルカゴンに対してcAMP反応を示す細胞株の生産
ヒトグルカゴン受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies, Inc. USA)においてORFに該当する部分を鋳型とし、EcoRI切断部位とXhoI切断部位をそれぞれ含む下記配列番号:47及び48の正方向及び逆方向プライマーを用いたPCRを行った。
【0330】
この時、PCR反応は95℃で60秒の変性、55℃で60秒のアニーリング及び68℃で30秒の伸長過程を30回繰り返して行った。これから増幅されたPCR産物を1.0%アガロースゲルで電気泳動した後、450bpサイズのバンドを溶離して得た。
【0331】
正方向プライマー(配列番号:47):
5’-CAGCGACACCGACCGTCCCCCCGTACTTAAGGCC-3’
逆方向プライマー(配列番号:48):
5’-CTAACCGACTCTCGGGGAAGACTGAGCTCGCC-3’
【0332】
上記PCR産物を公知となった動物細胞発現ベクターであるxOGC/dhfrにクローニングして組換えベクターxOGC/GCGRを製造した。
【0333】
上記製造した組換えベクターxOGC/GCGRを10%FBS含有DMEM/F12培地で培養したCHO DG44細胞にリポフェクタミンを用いて形質転換し、1mg/mL G418及び10nMメトトレキサートを含む選別培地で選別培養した。これから制限希釈法で単一クローン細胞株を選別し、このうちからグルカゴンに対して優れた濃度依存的cAMP反応を示す細胞株を最終的に選別した。
【0334】
実施例2:グルカゴン誘導体の合成
改善された物性を有するグルカゴン誘導体を開発するために、配列番号:1の天然グルカゴンのアミノ酸配列を負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基で置換して下記表1のようなグルカゴン誘導体を合成した。これに記載された相対的in vitro活性は、下記実施例4に記述された方法で測定した。
【0335】
【0336】
上記表1に記載された配列においてXと表記されたアミノ酸は非天然型アミノ酸であるアミノイソ酪酸(Aib)を、アミノ酸記号での下線は、下線を引いた当該アミノ酸対の側鎖の間でラクタム環の形成を、そして「-」は当該位置にはアミノ酸残基がないことを示す。また、環形成の有無に対する列において「-」は該当配列には環が形成されていないことを指す。
【0337】
実施例3:グルカゴン誘導体のpI測定
上記実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の改善された物性を確認するためにExPASyサーバでpI/Mwツール(http://expasy.org/tools/pi_tool. html ; Gasteiger et al., 2003)を用いてアミノ酸配列からpIを推算した。
【0338】
上記表1に示された通り、配列番号:1の天然グルカゴンが6.8のpIを有する一方、本発明による一部のグルカゴン誘導体は約4~6の範囲のpIを有した。このようなグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンに比べて低いか、または高いpIを有するため、中性pHなどで天然型グルカゴンに比べて改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。
【0339】
このような本発明によるグルカゴン誘導体はメタボリックシンドロームなど、目的とする疾患に対する治療剤として使用時に患者順応度を高めることができ、他の抗肥満治療剤または糖尿治療剤と併用投与に適合であり、肥満、糖尿、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症、冠動脈性心臓病をはじめとしたメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)治療剤として有用に用いることができる。
【0340】
実施例4:グルカゴン誘導体のcAMP活性測定
実施例1で生産されたヒトグルカゴン受容体を有する細胞株で実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の活性を測定した。具体的には、上記形質転換細胞株を1週間に3回または4回継代培養した後、384-ウェルプレートに各ウェル当たり6×103個の継代培養された細胞株を分注して24時間培養した。上記培養された細胞に0.5mM IBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)、0.1%BSA(Bovine serum albumin)、5mm HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)を含むHBSS(Hank's Balanced Salt Solution)緩衝液に天然型グルカゴンは200nMで、グルカゴン誘導体は1600nMでそれぞれ懸濁させた後、4倍ずつ10回連続的に希釈し、これをcAMPアッセイキット(LANCE cAMP 384 kit, PerkinElmer)に適用して上記細胞に添加した後、蛍光値を測定した。測定後に最高の蛍光値を100%に選定した後、これからグルカゴン誘導体のEC50値を算出した後、天然型グルカゴンと相互比較した。その結果を上記表1に示した。
【0341】
実施例5:グルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体の製造(グルカゴン誘導体-免疫グロブリンFc領域結合体)
代表的なグルカゴン誘導体として上記実施例2で製造したpI値が6-7であり、in vitro活性が200%以上であるグルカゴン誘導体を選択して結合体を製造した。具体的には、両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、即ち、マレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)をグルカゴン誘導体のシステイン残基にペギル化させるために、グルカゴン誘導体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~5、タンパク質の濃度を3~10mg/mlにして低温で1~3時間反応させた。この時、反応は、50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、上記反応液をSP sepharose HP(GE healthcare, 米国)に適用してシステインにモノペギル化されたグルカゴン誘導体を精製した。
【0342】
次に、上記精製されたモノペギル化されたグルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcをモル比が1:2~10、タンパク質の濃度を10~50mg/mlにして4~8℃で12~18時間反応させた。反応液は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に還元剤である10~50mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~20%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、上記反応液をButyl sepharose FF精製カラム(GE healthcare, 米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare, 米国)に適用し、グルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体を精製した。
【0343】
製造後に逆相クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ及びイオン交換クロマトグラフィで分析した純度は95%以上であった。
【0344】
ここで、グルカゴン誘導体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「グルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体」、「グルカゴン誘導体持続型結合体」、または「持続型グルカゴン誘導体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0345】
実験例1:高脂肪食餌誘導された肥満マウスで体重減少及びインスリン感受性改善効力
肥満動物モデルとして広く用いられている高脂肪食餌誘導肥満マウスをこの研究のために用いた。マウスの体重は投与前に約50-55gであった。研究期間の間マウスは7匹ずつ収容され、水に自由に接近するようにした。光は6PMから6AMまで消しておいた。
【0346】
高脂肪食餌給食された試験群は、群1:持続型グルカゴンが含まれていない賦形剤投与(5ml/kg、2日1回注射)-対照群(Vehicle)、群2:GLP-1類似体肥満治療剤サクセンダ(Saxenda(登録商標))50nmol/kg(1日2回注射)、群3:持続型グルカゴン誘導体1.2nmol/kg(2日1回注射)、群4:DPP-4抑制剤であるシタグリプチン49.2mg/kg(1日1回注射)がある。
【0347】
実験は28日目に終了し、実験が進められる間、2日単位で各群に該当するマウスの体重変化を測定し、投与前、そして投与後1、4、7、10、13、16、19、22、25、28日目に血糖変化を測定した。実験が終了した後、脂肪重量とHOMA-IRを測定した。
【0348】
体重変化を測定した結果、
図1で確認することができるように、持続型グルカゴン誘導体(1.2nmol/kg、2日1回投与)は投与開始前に比べて-34.5%の体重減少がそれぞれ認められることが確認され、その効果は、対照群(Vehicle)、GLP-1類似体肥満治療剤サクセンダ(Saxenda(登録商標))、そしてDPP-4抑制剤であるシタグリプチンでそれぞれ認められた-2.6%、-16.3%、そして-0.1%の体重減少より優れた効力を示した。
図2(A)、2(B)で確認することができるように、体重減少は、脂肪量の著しい減少によることと見られ、インスリン感受性も改善されたことをHOMA-IR測定結果を通じて確認した。それだけでなく
図3でのように投与期間の間血糖増加が示されないことを根拠としてグルカゴンによる高血糖リスクのない投与用量で他の肥満治療剤であるGLP-1類似体及びDPP-4抑制剤より優れた体重減少効力を示すことを確認することができた。
【0349】
統計処理は1元ANOVAを用いて賦形剤群(対照群)及び試験群間を比較した。
【0350】
上記のような結果は、本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドが多様なメタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療剤として用いられることを示唆する。
【0351】
実験例2:高脂肪食餌誘導された肥満マウスで持続型グルカゴン誘導体と経口用糖尿治療剤の併用投与による体重減少及びインスリン感受性改善効力
肥満動物モデルとして広く用いられている高脂肪食餌誘導肥満マウスをこの研究のために用いた。マウスの体重は投与前に約50-55gであった。研究期間の間マウスは7匹ずつ収容され、水に自由に接近するようにした。光は6PMから6AMまで消しておいた。
【0352】
高脂肪食餌給食された試験群は、群1:持続型グルカゴンが含まれていない賦形剤投与(5ml/kg、2日1回注射)-対照群(Vehicle)、群2:GLP-1類似体肥満治療剤サクセンダ(Saxenda(登録商標))50nmol/kg(1日2回注射)、群3:持続型グルカゴン誘導体1.2nmol/kg(2日1回注射)、群4:DPP-4抑制剤であるシタグリプチン49.2mg/kg(1日1回注射)、群5:SGLT-2抑制剤であるエンパグリフロジン12.3mg/kg(1日1回注射)、群6:シタグリプチン49.2mg/kg(1日1回注射)と持続型グルカゴン誘導体1.2nmol/kg(2日1回注射)の併用投与、群7:エンパグリフロジン12.3mg/kg(1日1回注射)と持続型グルカゴン誘導体1.2nmol/kg(2日1回注射)の併用投与がある。本実験で用いた持続型グルカゴン誘導体は実施例5による持続型誘導体である。
【0353】
実験は28日目に終了し、実験が進められる間2日単位で各群に該当するマウスの体重変化を測定し、投与前そして投与後1、4、7、10、13、16、19、22、25、28日目に血糖変化を測定した。実験が終了した後、脂肪重量とHOMA-IRを測定した。
【0354】
体重変化を測定した結果、
図4で確認することができるように、グルカゴン持続型誘導体(1.2nmol/kg、2日1回投与)とDPP-4抑制剤であるシタグリプチンあるいはSGLT-2抑制剤であるエンパグリフロジンの併用投与群はそれぞれ投与前比-46.9%、-39.5%とグルカゴン持続型誘導体の単独投与群より優れた体重減少効力を示し、その効果は対照群(Vehicle)、GLP-1類似体肥満治療剤サクセンダ(Saxenda(登録商標))、DPP-4抑制剤であるシタグリプチン、そしてSGLT-2抑制剤であるエンパグリフロジンでそれぞれ認められた-2.6%、-16.3%、-0.1%、そして-10.4%の体重減少より優れた効力を示した。
図5(A)、5(B)で確認することができるように、体重減少は、脂肪量の著しい減少によることと認められ、インスリン感受性も改善されたことをHOMA-IR測定結果を通じて確認した。それだけでなく、
図6でのように、投与期間の間血糖増加が示されないことを根拠としてグルカゴンによる高血糖リスクのない投与用量で他の肥満治療剤であるGLP-1類似体及びDPP-4抑制剤より優れた体重減少効力を示すことを確認することができた。さらに、DPP-4抑制剤であるシタグリプチン、そしてSGLT-2抑制剤であるエンパグリフロジンのような経口用糖尿治療剤と併用投薬時に、追加の体重減少を通じて強化された肥満治療効果を期待することができるだけでなく、インスリン感受性を改善させて血糖改善効果も期待し得ることを確認した。
【0355】
統計処理は1元ANOVAを用いて賦形剤群(対照群)及び試験群間を比較した。
【0356】
実験例3:高脂肪食餌誘導された肥満マウスで持続型グルカゴン誘導体と持続型GLP-1類似体の体重減少及び併用投与による追加効力確認
肥満動物モデルとして広く用いられている高脂肪食餌誘導肥満マウスをこの研究のために用いた。マウスの体重は投与前に約50-55gであった。研究期間の間マウスは7匹ずつ収容され、水に自由に接近するようにした。光は6PMから6AMまで消しておいた。
【0357】
高脂肪食餌給食された試験群は、群1:持続型グルカゴンが含まれていない賦形剤投与(5ml/kg、2日1回注射)-対照群(Vehicle)、群2:GLP-1類似体サクセンダ(Saxenda(登録商標))50nmol/kg(1日2回注射)、群3:持続型GLP-1類似体オゼンピック(Ozempic(登録商標))20.5nmol/kg(2日1回注射)、群4:持続型GLP-1類似体トルリシティ(Trulicity(登録商標))2.7nmol/kg(2日1回注射)、群5:持続型グルカゴン誘導体2.0nmol/kg(2日1回注射)、群6:GLP-1類似体サクセンダ(Saxenda(登録商標))50nmol/kg(1日2回注射)と持続型グルカゴン誘導体2.0nmol/kg(2日1回注射)併用投与、群7:持続型GLP-1類似体オゼンピック(Ozempic(登録商標))20.5nmol/kg(2日1回注射)と持続型グルカゴン誘導体2.0nmol/kg(2日1回注射)併用投与、そして群8:持続型GLP-1類似体トルリシティ(Trulicity(登録商標))2.7nmol/kg(2日1回注射)と持続型グルカゴン誘導体2.0nmol/kg(2日1回注射)併用投与がある。本実験で用いた持続型グルカゴン誘導体は実施例5による持続型誘導体である。
【0358】
実験は28日目に終了し、実験が進められる間2日単位で各群に該当するマウスの体重変化を測定し、実験が終了した後、血中脂質数値、脂肪重量及び血糖を測定した。
【0359】
体重変化を測定した結果、
図7で確認することができるように、グルカゴン持続型誘導体(2.0nmol/kg、2日1回投与)とGLP-1類似体サクセンダ(Saxenda(登録商標))、持続型GLP-1類似体オゼンピック(Ozempic(登録商標))そして持続型GLP-1類似体トルリシティ(Trulicity(登録商標))それぞれの併用投与群は投与前比それぞれ-47.54%、-45.71%、-43.68%とグルカゴン持続型誘導体の単独投与群の体重減少量である-39.88%より優れた体重減少効力を示し、その効果は対照群(Vehicle)、GLP-1類似体肥満治療剤サクセンダ(Saxenda(登録商標))持続型GLP-1類似体オゼンピック(Ozempic(登録商標))、そして持続型GLP-1類似体トルリシティ(Trulicity(登録商標))でそれぞれ認められた1.34%、-18.10%、-12.38%、そして-3.81%の体重減少量よりも優れた。
【0360】
また、
図8(A)及び(B)で確認することができるように、体重減少効力と類似に脂肪減少及び血中脂質数値改善を追加で確認した。
【0361】
それだけでなく、
図9でのように、投与期間の間血糖増加が示されないことを根拠にグルカゴンによる高血糖の危険がない投与用量で他の肥満治療剤であるGLP-1類似体より優れた体重減少効力を示すことを確認することができ、さらにGLP-1類似体と併用投薬時に、追加の体重減少を通じて強化された肥満治療効果を期待できることを確認した。
【0362】
統計処理は、1元ANOVAを用いて賦形剤群(対照群)及び試験群間を比較した。
【0363】
上記のような結果は、本発明のグルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及びメタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質の併用がメタボリックシンドロームの予防または治療剤として用いられることを示唆する。
【0364】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されることがあることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1.(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む、組合せ物。
2.上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質は天然型グルカゴン、そのアゴニスト(agonist)、またはその誘導体である、上記1に記載の組合せ物。
3.上記天然型グルカゴンの誘導体は、天然型グルカゴンで一つ以上のアミノ酸が変異されたもので、上記変異は置換(substitution)、追加(addition)、除去(deletion)、修飾(modification)及びこれらの組合わせからなる群から選択された変異である、上記2に記載の組合せ物。
4.上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質は、下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドである、上記1に記載の組合せ物:
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式1、配列番号:45)
上記式において、
X1はヒスチジン(H)、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2はアルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン(G)、Sar(N-methylglycine)、セリン(S)またはD-セリンであり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であるか、不在であり;
X18はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X19はアラニン(A)、アルギニン(R)、セリン(S)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X20はリシン(K)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはロイシン(L)であるか、不在であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、リシン(K)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X29はリシン(K)、アラニン(A)、グリシン(G)、またはトレオニン(T)であるか、不在であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である
(ただし、上記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
5.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはシステイン(C)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、またはロイシン(L)であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)またはアルギニン(R)であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、上記4に記載の組合せ物。
6.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はグルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、上記4に記載の組合せ物。
7.上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、上記4に記載の組合せ物。
8.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はイソロイシン(I)またはメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、上記4に記載の組合せ物。
9.上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)であり;
X10はチロシン(Y)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)であり;
X14はロイシン(L)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X18はアルギニン(R)であり;
X19はアラニン(A)であり;
X20はグルタミン(Q)、システイン(C)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、システイン(C)、バリン(V)またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はグルタミン(Q)またはロイシン(L)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30は不在である、上記4に記載の組合せ物。
10.上記ペプチドは下記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドである、上記4に記載の組合せ物:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)またはセリン(S)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である。
11.上記ペプチドは、天然型グルカゴンのpIである6.8と相違するpIを有する、上記4に記載の組合せ物。
12.一般式1のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換された、上記4に記載の組合せ物。
13.X12とX16のアミノ酸対、X16とX20のアミノ酸対、またはX17とX21のアミノ酸対のアミノ酸のそれぞれが環を形成するグルタミン酸またはリシンで置換された、上記12に記載の組合せ物。
14.上記一般式1において、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸対のうち少なくとも一つのアミノ酸対でそれぞれのアミノ酸間に環を形成する、上記4に記載の組合せ物。
15.上記ペプチドのC末端がアミド化された、上記4に記載の組合せ物。
16.上記ペプチドのC末端は変形されていない、上記4に記載の組合せ物。
17.上記ペプチドは、グルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの誘導体である、上記4に記載の組合せ物。
18.上記ペプチドは、配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、上記4に記載の組合せ物。
19.上記ペプチドは配列番号:12、13、15及び36~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、上記10に記載の組合せ物。
20.上記結合体は、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質に生体適合性物質部が結合している形態である、上記1に記載の組合せ物。
21.上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質はペプチド形態であって、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位に生体適合性物質部が結合している形態である、上記20に記載の組合せ物。
22.上記生体適合性物質部は、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類、ヘパリン、及びエラスチンからなる群から選択される、上記20に記載の組合せ物。
23.上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記22に記載の組合せ物。
24.上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、上記22に記載の組合せ物。
25.上記グルカゴン受容体に対する活性を有する物質と生体適合性物質部は、リンカーを通じて互いに連結された、上記18に記載の組合せ物。
26.上記リンカーは、ペプチド、脂肪酸、糖類、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記25に記載の組合せ物。
27.上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記26に記載の組合せ物。
28.上記リンカーは、ポリエチレングリコールである、上記25に記載の組合せ物。
29.上記免疫グロブリンFc領域は、非糖鎖化された、上記24に記載の組合せ物。
30.上記免疫グロブリンFc領域は、(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;(e)CHIドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせ;及び(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体で構成された群から選択される、上記24に記載の組合せ物。
31.上記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドは、二量体形態(dimeric form)である、上記24に記載の組合せ物。
32.上記免疫グロブリンFc領域は、ジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcでN末端の一部のアミノ酸が除去されたり、天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されたり、補体結合部位が除去されたり、またはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体である、上記24に記載の組合せ物。
33.上記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンに由来したFc領域である、上記24に記載の組合せ物。
34.上記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域である、上記33に記載の組合せ物。
35.上記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域である、上記24に記載の組合せ物。
36.上記リンカーは、上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドのシステイン残基に連結される、上記26に記載の組合せ物。
37.上記結合体の上記リンカーは、一方の末端が生体適合性物質部のアミン基またはチオール基と、上記リンカーの他方の末端がグルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位のアミン基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合で上記ペプチド部位と上記生体適合性物質部にそれぞれ連結されている、上記26に記載の組合せ物。
38.上記メタボリックシンドロームに対する治療的活性を有する化合物または物質はGLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、インスリン分泌ペプチド、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C, G proteiN-coupled)アゴニスト、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha)アゴニスト、PPARδ(peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、キセニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insuin)、及びGIP(glucose-dependent insulinotropic peptide)、ビグアニド(biguanides)、スルホニル尿素(sulfonylureas)、メグリチニド(meglitinide)、チアゾリジンジオン(thiazolidinedione(TZD))、SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤、及びα-glucosidase抑制剤からなる群から選択される、上記1に記載の組合せ物。
39.上記GLP-1受容体アゴニストは、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド、リラグルチド、セマグルチド、アルビグルチド、及びタスポグルチドで構成された群から選択されるいずれか一つである、上記38に記載の組合せ物。
40.上記DPP-4抑制剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンアログリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、ミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、及びデュトグリプチンで構成された群から選択されるいずれか一つであり;
SGLT2(sodium-glucose cotransporter)抑制剤は、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボン酸、セルグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、及びエルツグリフロジンで構成された群から選択されるいずれか一つである、上記38に記載の組合せ物。
41.上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択された、上記1に記載の組合せ物。
42.上記1~40のいずれか一項に記載の組合せ物を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物。
43.メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質と併用することを特徴とする、グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体を含む、メタボリックシンドローム予防または治療用薬学的組成物。
44.(i)グルカゴン受容体に対する活性を有する物質またはその結合体及び(ii)メタボリックシンドロームに対する治療学的活性を有する化合物または物質を含む、
メタボリックシンドロームの予防または治療のための薬学的キット。
45.グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドまたはこの結合体を含む、メタボリックシンドローム、低血糖、または先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物。
46.上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択されたものである、上記45に記載の薬学的組成物。
47.上記グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチドは天然型グルカゴン、そのアゴニスト(agonist)、またはその誘導体である、上記45に記載の薬学的組成物。
48.上記ペプチドは、下記一般式1のアミノ酸配列を含むペプチドである、上記45に記載の薬学的組成物:
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式1、配列番号:45)
上記式において、
X1はヒスチジン(H)、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2はアルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン(G)、Sar(N-methylglycine)、セリン(S)またはD-セリンであり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、アルファーメチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であるか、不在であり;
X18はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、バリン(V)、またはシスティン(C)であるか、不在であり;
X19はアラニン(A)、アルギニン(R)、セリン(S)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X20はリシン(K)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、アルギニン(R)、アルファ-メチル-グルタミン酸、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であるか、不在であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、アルファーメチル-グルタミン酸、またはロイシン(L)であるか、不在であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、リシン(K)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)、またはアルギニン(R)であるか、不在であり;
X29はリシン(K)、アラニン(A)、グリシン(G)、またはトレオニン(T)であるか、不在であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である
(ただし、上記一般式1のアミノ酸配列が配列番号:1と同一の場合は除く)。
49.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはシステイン(C)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はイソロイシン(I)、バリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はバリン(V)、アルギニン(R)、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、グルタミン(Q)、またはロイシン(L)であり;
X27はイソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)またはアルギニン(R)であり;
X28はグルタミン(Q)、リシン(K)、アスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、
上記48に記載の薬学的組成物。
50.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はグルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、バリン(V)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、
上記48に記載の薬学的組成物。
51.上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はシステイン(C)、トレオニン(T)、またはバリン(V)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)、アルギニン(R)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、またはシステイン(C)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はグルタミン(Q)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、
上記48に記載の薬学的組成物。
52.上記一般式1において、
X1がヒスチジン(H)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)であるか、不在であり;
X2がセリン(S)またはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X13はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X14はロイシン(L)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、セリン(S)、システイン(C)、またはバリン(V)であり;
X18はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アルギニン(R)、またはシステイン(C)であり;
X19はアラニン(A)、またはシステイン(C)であり;
X20はグルタミン(Q)、アスパラギン酸(D)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X27はイソロイシン(I)またはメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である、
上記48に記載の薬学的組成物。
53.上記一般式1において、
X1がチロシン(Y)であり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7はトレオニン(T)であり;
X10はチロシン(Y)であり;
X12はリシン(K)であり;
X13はチロシン(Y)であり;
X14はロイシン(L)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)、セリン(S)またはシステイン(C)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X18はアルギニン(R)であり;
X19はアラニン(A)であり;
X20はグルタミン(Q)、システイン(C)、またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、システイン(C)、バリン(V)またはグルタミン酸(E)であり;
X23はバリン(V)またはアルギニン(R)であり;
X24はグルタミン(Q)またはロイシン(L)であり;
X27はメチオニン(M)であり;
X28はアスパラギン(N)またはアルギニン(R)であり;
X29はトレオニン(T)であり;
X30は、不在である、
上記48に記載の薬学的組成物。
54.上記ペプチドは下記一般式2のアミノ酸配列を含むペプチドである、上記48に記載の薬学的組成物:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式2、配列番号:46)
上記一般式2において
X7はトレオニン(T)、バリン(V)またはシステイン(C)であり;
X10はチロシン(Y)またはシステイン(C)であり;
X12はリシン(K)またはシステイン(C)であり;
X15はアスパラギン酸(D)、またはシステイン(C)であり;
X16はグルタミン酸(E)またはセリン(S)であり;
X17はリシン(K)またはアルギニン(R)であり;
X20はグルタミン(Q)またはリシン(K)であり;
X21はアスパラギン酸(D)、またはグルタミン酸(E)であり;
X24はバリン(V)またはグルタミン(Q)であり;
X30はシステイン(C)であるか、不在である。
55.上記ペプチドは、天然型グルカゴンのpIである6.8と相違するpIを有する、上記45に記載の薬学的組成物。
56.上記ペプチドのC末端がアミド化された、上記45に記載の薬学的組成物。
57.上記ペプチドのC末端は変形されていない、上記45に記載の薬学的組成物。
58.上記ペプチドは、グルカゴン受容体を活性化させる天然型グルカゴンの誘導体である、上記45に記載の薬学的組成物。
59.上記ペプチドは、配列番号:2~44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、上記45に記載の薬学的組成物。
60.上記結合体は、グルカゴン受容体に対する活性を有するペプチド部位に生体適合性物質部が結合している持続型結合体の形態である、上記45~59のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
61.上記生体適合性物質部は、高分子重合体、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内結合組織あるいはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、糖類、ヘパリン、及びエラスチンからなる群から選択される、上記60に記載の薬学的組成物。
62.上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記61に記載の薬学的組成物。
63.上記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、上記61に記載の薬学的組成物。
64.上記ペプチド部位と生体適合性物質部は、リンカーを通じて互いに連結された、上記60に記載の薬学的組成物。
65.上記リンカーは、ペプチド、脂肪酸、糖類、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記61に記載の薬学的組成物。
66.上記高分子重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びこれらの組合わせからなる群から選択される、上記65に記載の薬学的組成物。
67.上記リンカーは、ポリエチレングリコールである、上記64に記載の薬学的組成物。
68.上記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域である、上記63に記載の薬学的組成物。
69.上記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域である、上記63に記載の薬学的組成物。
70.(i)上記45~59のいずれか一項に記載の分離されたペプチド組成物または上記60~69のいずれか一項に記載の分離された持続型結合体形態である薬学的組成物;及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、低血糖の予防または治療用薬学的組成物。
71.(i)上記45~59のいずれか一項に記載の分離されたペプチド組成物または上記60~69のいずれか一項に記載の分離された持続型結合体形態である薬学的組成物;及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、先天性高インスリン症の予防または治療用薬学的組成物。
72.(i)上記45~59のいずれか一項に記載の分離されたペプチド組成物または上記60~69のいずれか一項に記載の分離された持続型結合体形態である薬学的組成物;及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、肥満の予防または治療用薬学的組成物。
73.(i)上記45~59のいずれか一項に記載の分離されたペプチド組成物または上記60~69のいずれか一項に記載の分離された結合体;及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物。
74.上記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択された、上記73に記載の薬学的組成物。
【配列表】