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  • 特許-通信機器及びデータ通信方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-20
(45)【発行日】2025-05-28
(54)【発明の名称】通信機器及びデータ通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/234 20110101AFI20250521BHJP
   H04N 21/44 20110101ALI20250521BHJP
   H04N 19/85 20140101ALI20250521BHJP
   H04N 19/46 20140101ALI20250521BHJP
【FI】
H04N21/234
H04N21/44
H04N19/85
H04N19/46
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023549215
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2021034777
(87)【国際公開番号】W WO2023047485
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 海斗
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/150083(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/069224(WO,A1)
【文献】特開2009-194687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの圧縮通信を行う送信側の通信機器において、
送信対象のデータの一部をマスクパターンに従ってマスクする機能と、
前記マスクされたデータのマスク領域を修復する機能と、
前記修復されたマスク領域の復元度が所定の基準を満たすか否かを判定する機能と、
前記マスクされたデータ又はマスクする前の前記送信対象のデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮する機能と、
前記可逆圧縮又は前記不可逆圧縮されたデータを受信側の通信機器へ送信する機能とを有し、
前記復元度が前記基準を満たさないと判定された場合に、別のマスクパターンに従って、前記送信対象のデータにマスクしてそのマスク領域を修復する処理を再実行し、
前記復元度が前記基準を満たすと判定された場合に、そのマスクパターンでマスクされたデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮して前記受信側の通信機器へ送信し、
前記再実行を所定回数繰り返しても前記復元度が前記基準を満たすと判定されなかった場合に、マスクする前の前記送信対象のデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮して前記受信側の通信機器へ送信することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
請求項1に記載の通信機器において、
マスク領域の位置及び大きさを規定した所定のマスクパターンに従って、前記送信対象のデータに対してマスクを施すことを特徴とする通信機器。
【請求項3】
請求項1に記載の通信機器において、
マスク領域の位置及び大きさをランダムに定めたマスクパターンに従って、前記送信対象のデータに対してマスクを施すことを特徴とする通信機器。
【請求項4】
送信側の通信機器と受信側の通信機器との間でデータの圧縮通信を行うデータ通信方法において、
前記送信側の通信機器が、
送信対象のデータの一部をマスクパターンに従ってマスクし、
前記マスクされたデータのマスク領域を修復し、
前記修復されたマスク領域の復元度が所定の基準を満たすか否かを判定し、
前記復元度が前記基準を満たさないと判定された場合に、別のマスクパターンに従って、前記送信対象のデータにマスクしてそのマスク領域を修復する処理を再実行し、
前記復元度が前記基準を満たすと判定された場合に、そのマスクパターンでマスクされたデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮し、
前記再実行を所定回数繰り返しても前記復元度が前記基準を満たすと判定されなかった場合に、マスクする前の前記送信対象のデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮し、
前記可逆圧縮又は前記不可逆圧縮されたデータを受信側の通信機器へ送信し、
前記受信側の通信機器が、
前記送信側の通信機器から送信されたデータを受信し、
前記受信データが前記可逆圧縮されている場合には、前記受信データを逆圧縮し、前記逆圧縮されたデータのマスク領域を修復し、
前記受信データが前記不可逆圧縮されている場合には、前記受信データを逆圧縮せず、前記受信データのマスク領域を修復することを特徴とするデータ通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを圧縮して送受信する通信機器及びデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網やインターネットの普及によって、日常的に膨大なデータの送受信が行われている。データを効率よく伝送するために、送信対象となるデータは圧縮されることが一般的である。例えば、画像であればBMP形式からJPEG形式への圧縮、動画像であればRGB形式からYUV形式への色空間での圧縮や、H.264やH.265などのフレーム間での圧縮など、データの種類によって様々な圧縮が適用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Guilin Liu,外5名,“Image Inpainting for Irregular Holes Using Partial Convolutions”,[online],2018年12月,インターネット<URL: https://arxiv.org/pdf/1804.07723.pdf>
【文献】Norihiko Kawai,外2名,“Image inpainting considering brightness change and spatial locality of textures”,[online],2008年1月,インターネット<URL: http://yokoya.naist.jp/paper/datas/1029/visapp_cameraready.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、様々な事象をデータ化するIoT(Internet of Things)の時代が進み、通信するデータ量が増加傾向にある。そこで、通信データ量を減らすために、少しでも効率よくデータを圧縮することが求められている。
【0005】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、データの圧縮効率を改善し、通信負荷の小さいデータ通信を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様である送信側の通信機器は、以下のように構成される。すなわち、データの圧縮通信を行う送信側の通信機器において、送信対象のデータの一部をマスクする機能と、マスクされたデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮する機能と、可逆圧縮又は不可逆圧縮されたデータを受信側の通信機器へ送信する機能とを有することを特徴とする。
【0007】
ここで、送信側の通信機器は、マスク領域の位置及び大きさを規定した所定のマスクパターンに従って、送信対象のデータに対してマスクを施すように構成され得る。
【0008】
また、送信側の通信機器は、マスク領域の位置及び大きさをランダムに定めたマスクパターンに従って、送信対象のデータに対してマスクを施すように構成され得る。
【0009】
また、送信側の通信機器は、マスクされたデータのマスク領域を修復する機能を有し、修復されたマスク領域の復元度が所定の基準を満たさない場合に、別のマスクパターンに従って、送信対象のデータに対してマスクを施し直すように構成され得る。
【0010】
本発明の別の態様である受信側の通信機器は、以下のように構成される。すなわち、データの圧縮通信を行う受信側の通信機器において、送信対象のデータの一部をマスクして可逆圧縮又は不可逆圧縮したデータを送信する送信側の通信機器から、送信されたデータを受信する機能と、可逆圧縮されている受信データを逆圧縮する機能と、逆圧縮されたデータのマスク領域又は不可逆圧縮されている受信データのマスク領域を修復する機能とを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、受信側の通信機器は、修復対象のデータのうち、所定値が格納されたデータ部分をマスク領域と判定するように構成され得る。
【0012】
また、受信側の通信機器は、受信したデータに付随して送信される、マスクパターンを示す情報に基づいて、修復対象のデータにおけるマスク領域を特定するように構成され得る。
【0013】
本発明の更に別の態様であるデータ通信方法は、以下のように構成される。すなわち、送信側の通信機器と受信側の通信機器との間でデータの圧縮通信を行うデータ通信方法において、送信側の通信機器が、送信対象のデータの一部をマスクし、マスクされたデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮し、可逆圧縮又は不可逆圧縮されたデータを受信側の通信機器へ送信し、受信側の通信機器が、送信側の通信機器から送信されたデータを受信し、受信データが可逆圧縮されている場合には、受信データを逆圧縮し、逆圧縮されたデータのマスク領域を修復し、受信データが不可逆圧縮されている場合には、受信データのマスク領域を修復することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、データの圧縮効率を改善することができ、通信負荷の小さいデータ通信を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る通信機器を用いたデータ通信システムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る通信機器の構成例を示す図である。
図3図2の通信機器におけるデータ送受信部の構成例を示す図である。
図4図3のデータ送受信部における判定部の構成例を示す図である。
図5】本提案に係る圧縮方式による圧縮効率の向上について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る通信機器を用いたデータ通信システムの概要を示してある。同図のデータ通信システムでは、複数の通信機器101がネットワークNを介して接続されている。各通信機器101は、互いにデータの送受信を行うことが可能である。通信機器101は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータであり、本発明に係る各機能に関するプログラムをプロセッサが実行するように構成される。通信機器101の形態としては、例えば、パソコン、タブレット、スマートフォン、無線機器、解析サーバ、IPカメラ、IoTセンサなどが挙げられる。通信機器101が互いに送受信するデータとしては、例えば、動画、画像、音声、文章、センサから得られる数値などのデータが挙げられる。
【0017】
図2には、通信機器101の構成例を示してある。同図の通信機器101は、他の通信機器101との間でデータの送受信を行うデータ送受信部201と、通信機器101内でデータの解析や処理を行う解析/処理部202と、データ送受信部201や解析/処理部202の入出力データが格納される記憶装置203とを備えている。ここで、解析/処理部202により実現される機能としては、特に制限はなく、演算機能、映像取得機能、映像表示機能、発報機能、レーザ照射機能などの種々の機能が想定される。
【0018】
図3には、データ送受信部201の構成例を示してある。データ送受信部201は、受信側の通信機器へデータを送信する送信機能と、送信側の通信機器からデータを受信する受信機能とを有している。送信機能は、読込部301と、マスク部302と、判定部303と、圧縮部304と、送信部305と、修復モデル310とを用いて実現される。受信機能は、受信部306と、逆圧縮部307と、修復部308と、書込部309と、修復モデル310とを用いて実現される。
【0019】
まず、通信機器101のデータ送受信部201が有する送信機能について説明する。
送信対象のデータは記憶装置203に記憶されている。読込部301は、記憶装置203から送信対象のデータを読み込み、マスク部302へ出力する。マスク部302は、読込部301から入力されたデータ(送信対象のデータ)に対してマスキングを施すマスク処理を行う。マスク処理では、入力データの一部の値を所定値(例えば、0)に置き換えることで、入力データの一部を欠損させる。入力データにおけるマスク領域は、1箇所に限定されず、複数の箇所であってもよい。
【0020】
本例では、マスク部302は、マスク領域の位置及び大きさが規定された所定のマスクパターンに従って、入力データに対してマスクを施す。マスクパターンは、データ形式に応じて他の要素も規定され得る。例えば、画像データについてのマスクパターンには、マスク領域の形状も規定され得る。マスク部302は、予め用意された複数のマスクパターンの中から1つを選択し、入力データに対するマスキングに使用する。また、使用したマスクパターンが適切でない場合には、マスク部302は、別のマスクパターンを使用して、入力データに対してマスクを施し直すことが可能である。なお、マスクパターンを予め用意せずに、マスク処理の際に、マスク領域の位置及び大きさをランダムに定めたマスクパターンを生成するようにしてもよい。
【0021】
判定部303は、マスク部302によりマスクされたデータから、マスクする前の元データを、実用上有効な程度に復元できるか否かを判定する。図4には、判定部303の構成例を示してある。本例の判定部303は、修復部401と、比較部402とを有している。修復部401は、後述する修復部308と同じ方法で(つまり、受信側と同じ修復モデル310を用いて)、マスクされたデータに対してマスク領域の修復を施す修復処理を行う。
【0022】
比較部402は、修復されたデータと元データとを比較し、比較結果を示す指標値、例えば、マスク領域のみのSN比もしくは類似度を算出する。SN比や類似度は、0に近づくほど比較対象が互いに類似していることを表し、0から離れるほど比較対象が互いに非類似であることを表す。
【0023】
画像データの場合には、SN比としては、SNR(Signal to Noise Ratio)やPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)などの指標を用いることができる。また、類似度としては、SAD(Sum of Abusolute Difference)やSSD(Sum of Squared Difference)、NCC(Normalized Cross-Correlation)、ZNCC(Zero-means Normalized Cross-Correlation)、SSIM(Structual Similarity)などの指標を用いることができる。
【0024】
比較部402は、修復されたデータと元データとの比較結果を示す指標値を算出した後、予め設定された閾値と比較する。閾値は、例えば、送信対象のデータに要求される信頼性に応じて事前に設定される。閾値には、データ形式に応じて異なる値が設定されてもよい。比較部402は、指標値が閾値以下の場合に、元データを復元できると判定し、その旨を圧縮部304へ通知する。また、比較部402は、算出した指標値が閾値を超えている場合には、比較部402は元データを復元できないと判定する。この場合、比較部402は、別のマスクパターンを使用して入力データにマスクを施し直させるために、マスク再実行指示をマスク部302に出力する。そして、マスク再実行を所定回数実行しても元データを復元できると判定されなかった場合には、元データを復元できない旨を圧縮部304へ通知する。
【0025】
圧縮部304は、マスク部302によりマスクされたデータ、又は、マスクする前の元データを、所定の圧縮方式(例えば、ハフマン符号化やランレングス圧縮など)で圧縮する。マスクされたデータ又はマスクする前の元データのどちらを圧縮するかは、比較部402による判定結果に基づいて決定される。すなわち、マスクされたデータから元データを復元できると判定された場合には、圧縮部304は、マスクされたデータの圧縮を行う。一方、マスクされたデータから元データを復元できないと判定された場合には、圧縮部304は、マスクする前の元データの圧縮を行う。圧縮方式としては、データ形式に応じたものが選択される。例えば、BMP形式の画像データの場合には、BMP形式からJPEG形式やPNG形式への圧縮方式が選択される。圧縮方式は、可逆圧縮方式でもよく、不可逆圧縮方式でもよい。
【0026】
送信部305は、圧縮部304により圧縮されたデータを、受信側の通信機器へ送信する。以上のように、マスクされたデータから元データを実質的に復元できることが判定できた場合のみ、マスクされたデータを送受信するように構成することで、データの信頼性を確保することが可能となる。送信部305は、必要に応じて、マスクの位置及び大きさを示すマスク情報(マスクせずに元データを送信する場合は、「マスク領域なし」を示すマスク情報)を付随的に送信してもよい。このようなマスク情報を送信することで、受信側の通信機器は、受信データにおけるマスク部分を容易に特定することが可能となる。
【0027】
次に、通信機器101のデータ送受信部201が有する受信機能について説明する。
受信部306は、送信側の通信機器から送信されたデータ(及びマスク情報)を受信する。逆圧縮部307は、受信部306による受信データが可逆圧縮されている場合に、受信データを逆圧縮する。修復部308には、逆圧縮部307により逆圧縮されたデータ、又は、不可逆圧縮されている受信データが入力される。修復部308は、入力データに対してマスク領域の修復を施す修復処理を行う。すなわち、受信部306による受信データが可逆圧縮されている場合には、受信データを逆圧縮して得られたデータのマスク領域が修復される。一方、受信部306による受信データが不可逆圧縮されている場合には、受信データのマスク領域が修復される。書込部309は、修復部308により修復されたデータを記憶装置203に書き込む。
【0028】
ここで、修復部308による修復処理は、データ形式に応じた任意の修復技術を使用して実行することができる。例えば、画像データを修復する場合には、Inpainting手法を使用することができる。代表的なInpainting手法として、非特許文献1のような修復モデルを用いる機械学習による手法があるが、非特許文献2のように機械学習ベースでない手法を用いてもよい。本例の修復部308は、予め用意されている修復モデル310を用いて、入力データに対してマスク領域の修復を施すものとする。
【0029】
入力データにおけるマスク領域の位置及び大きさは、受信データにマスク情報が付随されている場合には、このマスク情報に基づいて特定することができる。なお、受信データにマスク情報が付随されていない場合には、受信データの内の所定値(例えば、0)が格納されたデータ部分を、マスク領域と判定するようにしてもよい。
【0030】
次に、本提案に係る圧縮方式による圧縮効率の向上について、図5を参照して説明する。従来の圧縮方式では、BMP形式の画像データ501を、マスキングせずにJPEG形式やPNG形式の画像データ502に変換(圧縮)している。一方、本提案に係る圧縮方式では、BMP形式の画像データ501に対してマスキングを施し、マスクされた画像データ503をJPEG形式やPNG形式の画像データ504に変換(圧縮)している。
【0031】
元の画像データ501及びマスクされた画像データ503のデータ容量は、いずれも768KBである。従来の圧縮方式による圧縮後の画像データ502のデータ容量は、JPEG形式の場合は100KBであり、PNG形式の場合は674KBである。本提案に係る圧縮方式による圧縮後の画像データ504のデータ容量は、JPEG形式の場合は91.7KBであり、PNG形式の場合は611KBである。このように、本提案によれば、従来に比べてデータ容量が小さくなり、圧縮効率が向上していることが分かる。これは、同じパターンが多く出現するデータほど圧縮効率が向上することに着目して、データの一部を同じ値(例えば、0)でマスキングすることで、マスク領域すべてを同じパターンとして圧縮処理できるためである。
【0032】
以上のように、本例のデータ通信システムでは、送信側の通信機器が、送信対象のデータの一部をマスクするマスク部302と、マスクされたデータを可逆圧縮又は不可逆圧縮する圧縮部304と、可逆圧縮又は不可逆圧縮されたデータを受信側の通信機器へ送信する送信部305とを有しており、受信側の通信機器が、送信側の通信機器から送信されたデータを受信する受信部306と、可逆圧縮されている受信データを逆圧縮する逆圧縮部307と、逆圧縮されたデータのマスク領域又は不可逆圧縮されている受信データのマスク領域を修復する修復部308とを有している。このような構成によれば、送信対象のデータの一部をマスクして圧縮することで、通信データの圧縮効率を向上させることができるため、通信負荷の小さいデータ通信を実現することが可能となる。
【0033】
また、本例のデータ通信システムでは、送信側の通信機器が、マスクされたデータのマスク領域を修復する修復部401を有しており、修復されたマスク領域の復元度が所定の基準を満たさない場合に、別のマスクパターンに従って、送信対象のデータに対してマスクを施し直すように構成されている。このように、マスクされたデータから元データを実質的に復元できることが判定できた場合のみ、マスクされたデータを送受信するように構成することで、データの信頼性を確保することが可能となる。
【0034】
ここで、上記の説明では、画像データを例にして説明したが、他の形式のデータ、例えば、動画、音声、文章、センサから得られる数値などのデータの送受信にも、本発明を適用することが可能である。また、上記の説明では、通信機器101が、本発明に係る送信側の通信機器としての機能と、本発明に係る受信側の通信機器としての機能を備えているが、これらは別々の機器として構成されてもよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0036】
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、データを圧縮して送受信する通信機器に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
101:通信機器、 201:データ送受信部、 202:解析/処理部、 203:記憶装置、 301:読込部、 302:マスク部、 303:判定部、 304:圧縮部、 305:送信部、 306:受信部、 307:逆圧縮部、 308:修復部、 309:書込部、 310:修復モデル、 401:修復部、 402:比較部

図1
図2
図3
図4
図5