(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】リークおよび平面領域を低減させるための相補型プレーナMOSFET構造
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20250522BHJP
H10D 84/83 20250101ALI20250522BHJP
H10D 30/60 20250101ALI20250522BHJP
【FI】
H10B12/00 671Z
H10D84/83 H
H10D84/83 B
H10D30/60 S
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091727
(22)【出願日】2023-06-02
【審査請求日】2023-09-25
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508059915
【氏名又は名称】エトロン テクノロジー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Etron Technology,Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】522295047
【氏名又は名称】發明與合作實驗室有限公司
【氏名又は名称原語表記】Invention And Collaboration Laboratory Pte. Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 立平
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-028055(JP,A)
【文献】特開2006-165480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0224287(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0043515(US,A1)
【文献】特開2006-339476(JP,A)
【文献】特開2003-092399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0017904(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0131657(US,A1)
【文献】国際公開第2011/160477(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0273388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H10D 84/83
H10D 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体表面を備えた半導体基板、
センスアンプ回路と、前記センスアンプ回路に電気的に結合された複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および
前記アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路
を備えるDRAM回路であって、
前記センスアンプ回路または前記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、前記相補型MOSFET構造は、
第1の導電領域を備えたプレーナP型MOSFET、
第2の導電領域を備えたプレーナN型MOSFET、
前記プレーナP型MOSFETと前記プレーナN型MOSFETとの間の交差形状の局所的アイソレーション領域を備え、
前記交差形状の局所的アイソレーション領域が、前記半導体表面の下にある、水平方向に延在しているアイソレーション領域を含んでおり、
前記水平方向に延在しているアイソレーション領域が、前記第1の導電領域の底部側および前記第2の導電領域の底部側に接触して
おり、
前記プレーナP型MOSFETは、さらに別の第1の導電領域を含み、前記プレーナN型MOSFETは、さらに別の第2の導電領域を含み、前記第1の導電領域、前記別の第1の導電領域、前記第2の導電領域、および前記別の第2の導電領域の各々は、シャロートレンチアイソレーション領域に囲まれた高濃度にドーピングされた半導体領域を含み、前記シャロートレンチアイソレーション領域は、前記高濃度にドーピングされた半導体領域の上部表面よりも高い上部表面を有している、
DRAM回路。
【請求項2】
前記相補型MOSFET構造は前記半導体表面の下に形成された第1の凹部をさらに備えており、前記第1の凹部は前記第1の導電領域を収容している、請求項1に記載のDRAM回路。
【請求項3】
前記第1の導電領域は、ドーピングされていない半導体領域および/または低濃度にドーピングされた半導体領域を備えており、前記第1の導電領域は前記半導体基板から独立している、請求項2に記載のDRAM回路。
【請求項4】
前記ドーピングされていない半導体領域または前記低濃度にドーピングされた半導体領域は、前記プレーナP型MOSFETのチャネル領域に当接している、請求項3に記載のDRAM回路。
【請求項5】
前記第1の導電領域は高濃度にドーピングされた半導体領域をさらに備えており、前記高濃度にドーピングされた半導体領域は前記第1の凹部内に位置しており、前記低濃度にドーピングされた半導体領域および前記高濃度にドーピングされた半導体領域は同じ格子構造で形成されている、請求項3に記載のDRAM回路。
【請求項6】
前記第1の導電領域は金属領域をさらに備えており、前記金属領域は前記第1の凹部内に位置していて、前記高濃度にドーピングされた半導体領域に当接している、請求項5に記載のDRAM回路。
【請求項7】
前記相補型MOSFET構造は前記半導体表面の下に形成された第1の凹部をさらに備えており、前記第1の凹部は、前記水平方向に延在しているアイソレーション領域の第1の部分を収容している、請求項1に記載のDRAM回路。
【請求項8】
前記プレーナP型MOSFETは前記半導体表面の上にあるゲート領域をさらに備えており、前記ゲート領域のエッジは、前記第1の導電領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っている、請求項7に記載のDRAM回路。
【請求項9】
前記プレーナP型MOSFETはゲート領域をさらに備えており、前記水平方向に延在しているアイソレーション領域の前記第1の部分すべてが、前記ゲート
領域の直下にはない、請求項7に記載のDRAM回路。
【請求項10】
前記プレーナP型MOSFETはゲート領域をさらに備えており、前記水平方向に延在しているアイソレーション領域の前記第1の部分の5%未満が、前記ゲート
領域の直下にある、請求項7に記載のDRAM回路。
【請求項11】
前記水平方向に延在しているアイソレーション領域は複合アイソレーション領域である、請求項1に記載のDRAM回路。
【請求項12】
前記複合アイソレーション領域は、酸化物層と、前記酸化物層の上にある窒化物層とを含んでいる、請求項11に記載のDRAM回路。
【請求項13】
前記水平方向に延在しているアイソレーション領域は、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域と、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域とを含んでおり、前記第1の導電領域の前記底部側は、前記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域により前記半導体基板から遮蔽されており、前記第2の導電領域の前記底部側は、前記水平方向に延在している第2のアイソレーション領域により前記半導体基板から遮蔽されている、請求項1に記載のDRAM回路。
【請求項14】
半導体表面を備えた半導体基板、
センスアンプ回路と、前記センスアンプ回路に結合された複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および
前記アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路
を備えるDRAM回路であって、
前記センスアンプ回路または前記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、前記相補型MOSFET構造は、
第1のソース領域、第1のドレイン領域、および第1のゲート領域を前記半導体表面の上に備えているプレーナP型MOSFET、
第2のソース領域、第2のドレイン領域、および第2のゲート領域を前記半導体表面の上に備えているプレーナN型MOSFET、
を備えており、
前記第1のソース領域、前記第1のドレイン領域、前記第2のソース領域、および前記第2のドレイン領域の各々は、シャロートレンチアイソレーション領域に横方向に当接する高濃度にドーピングされた半導体領域を含み、前記シャロートレンチアイソレーション領域は、前記高濃度にドーピングされた半導体領域の上部表面よりも高い上部表面を有しており、
前記第1のソース領域または前記第1のドレイン領域が、低濃度にドーピングされた半導体領域
を含んでおり、
前記第1のソース領域または前記第1のドレイン領域の前記高濃度にドーピングされた半導体領域
は、前記低濃度にドーピングされた半導体領域に横方向に当接しており、
1つのDRAMセルはアクセストランジスタおよびストレージキャパシタを含んでおり、前記アクセストランジスタは第3のソース領域、第3のドレイン領域、および第3のゲート領域を備えており、前記第3のソース領域または前記第3のドレイン領域は、低濃度にドーピングされた半導体領域と、前記低濃度にドーピングされた半導体領域に縦方向に当接している高濃度にドーピングされた半導体領域と、を含んでいる、
DRAM回路。
【請求項15】
前記DRAM回路はテクノロジノードλにより形成され、前記第1のゲート領域のゲート長さは1.5λ~3λであり、λは12nm~30nmである、請求項14に記載のDRAM回路。
【請求項16】
前記第1のゲート領域の1つのエッジは前記第1のソース領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っており、前記第1のゲート領域の別のエッジは前記第1のドレイン領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っている、請求項14に記載のDRAM回路。
【請求項17】
前記相補型MOSFET構造は、局所的アイソレーション領域を前記プレーナP型MOSFETと前記プレーナN型MOSFETとの間にさらに備えており、前記第1のソース領域または前記第1のドレイン領域内の高濃度にドーピングされたP+領域は、前記局所的アイソレーション領域により前記半導体基板から遮蔽されている、請求項14に記載のDRAM回路。
【請求項18】
前記局所的アイソレーション領域は、縦方向に延在しているアイソレーション領域と、水平方向に延在しているアイソレーション領域とを含んでおり、前記プレーナP型MOSFETと前記プレーナN型MOSFETとの間のラッチアップパスは、少なくとも、前記水平方向に延在しているアイソレーション領域の底部の長さに依存している、請求項17に記載のDRAM回路。
【請求項19】
半導体表面を備えた半導体基板、
センスアンプ回路と、前記センスアンプ回路に電気的に結合されていて各DRAMセルがアクセストランジスタおよびストレージキャパシタを含んでいる複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および、
前記アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路
を備えるDRAM回路であって、
前記センスアンプ回路または前記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、前記相補型MOSFET構造は、
第1の選択的成長のソース領域、第1の選択的成長のドレイン領域、および第1のゲート領域を前記半導体表面の上に備えたプレーナP型MOSFET、および、
第2の選択的成長のソース領域、第2の選択的成長のドレイン領域、および第2のゲート領域を前記半導体表面の上に備えたプレーナN型MOSFET、
を備えており、
前記アクセストランジスタは、第3のソース領域、第3のドレイン領域、および第3のゲート領域を備えており、前記第3のゲート領域の少なくとも一部分は前記半導体表面の下にあり、
前記第1の選択的成長のソース領域または前記第1の選択的成長のドレイン領域は、前記第1のゲート領域の底部表面よりも低い底部表面を含んでおり、前記第3のソース領域または前記第3のドレイン領域は、前記第3のゲート領域の底部表面よりも高い底部表面を含んでおり、
前記第3のソース領域または前記第3のドレイン領域は、前記第3のゲート領域の上部表面と揃っている、または実質的に揃っている前記底部表面を含んでいる
、DRAM回路。
【請求項20】
半導体表面を備えた半導体基板、
センスアンプ回路と、前記センスアンプ回路に電気的に結合されていて各DRAMセルがアクセストランジスタおよびストレージキャパシタを含んでいる複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および、
前記アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路
を備えるDRAM回路であって、
前記センスアンプ回路または前記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、前記相補型MOSFET構造は、
第1の選択的成長のソース領域、第1の選択的成長のドレイン領域、および第1のゲート領域を前記半導体表面の上に備えたプレーナP型MOSFET、および、
第2の選択的成長のソース領域、第2の選択的成長のドレイン領域、および第2のゲート領域を前記半導体表面の上に備えたプレーナN型MOSFET、
を備えており、
前記アクセストランジスタは、第3のソース領域、第3のドレイン領域、および第3のゲート領域を備えており、前記第3のゲート領域の少なくとも一部分は前記半導体表面の下にあり、
前記第1の選択的成長のソース領域または前記第1の選択的成長のドレイン領域は、前記第1のゲート領域の底部表面よりも低い底部表面を含んでおり、前記第3のソース領域または前記第3のドレイン領域は、前記第3のゲート領域の底部表面よりも高い底部表面を含んでおり、
前記半導体基板はシリコン基板であり、前記第1の選択的成長のソース領域および前記第1の選択的成長のドレイン領域は、前記シリコン基板の(110)配向面から選択的に成長して横方向に延在しており、前記第3のソース領域および前記第3のドレイン領域は、前記シリコン基板の(100)配向面から選択的に成長して縦方向に延在している
、DRAM回路。
【請求項21】
初期表面を備えた半導体基板、
第1のゲート領域および第1の導電領域を備えていて前記第1の導電領域の少なくとも一部分が前記半導体基板内に配置されているプレーナP型MOSFET、
第2のゲート領域および第2の導電領域を備えていて前記第2の導電領域の少なくとも一部分が前記半導体基板内に配置されているプレーナN型MOSFET、
前記プレーナP型MOSFETを前記プレーナN型MOSFETから隔てるシャロートレンチアイソレーション領域、ならびに
前記第1の導電領域の下で水平方向に延在している第1のアイソレーション領域、および前記第2の導電領域の下で水平方向に延在している第2のアイソレーション領域、
を備える相補型MOSFET構造であって、
前記第1の導電領域は第1の接触領域のみを介して前記半導体基板に接触しており、前記第1の接触領域は、前記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域および前記シャロートレンチアイソレーション領域により画定されて
おり、
前記第1の導電領域および前記第2の導電領域の各々は、低濃度にドーピングされた半導体領域および高濃度にドーピングされた半導体領域を含み、前記高濃度にドーピングされた半導体領域は前記低濃度にドーピングされた半導体領域の横方向の側壁から延在し、前記横方向の側壁は対応する前記第1のゲート領域または前記第2のゲート領域の側面から最も離れている、
相補型MOSFET構造。
【請求項22】
前記第1の導電領域の3つの側壁は、前記シャロートレンチアイソレーション領域により前記半導体基板から分離されており、前記第1の導電領域の底壁は、前記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域により前記半導体基板から分離されている、請求項
21に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項23】
前記プレーナN型MOSFETは、選択的に成長した第1のチャネル領域をさらに備える、請求項
21に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項24】
前記第1のチャネル領域は
湾曲した形状である、請求項
23に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項25】
前記プレーナN型MOSFETは、前記第1のチャネル領域と前記第1の導電領域との間の縦方向のP型半導体層をさらに備える、請求項
23に記載の相補型MOSFET構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たなプレーナトランジスタ、および相補型プレーナMOSFET(CMOS)構造に、特には、電流リークを低減させ、短チャネル効果を低減させ、およびラッチアップを防止し得る、DRAMの周辺回路またはセンスアンプ内に利用されるプレーナトランジスタ、および/または相補型プレーナMOSFET(CMOS)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
(人工知能AI、CPU、GPU等などの)高性能コンピューティングアプリケーションにおいては、(3~7nmなどの)高度テクノロジノードが使用されることが多いが、電力管理IC、MCU、またはDRAMチップなどの多くのICアプリケーションにおいては、(20~30nmなどの)成熟したテクノロジノードがなお一般的である。DRAMを一例として使用すれば、今日では、カスタマイズされたDRAMの大半はなお、(12~30nmなどの)成熟したテクノロジノードにより、製造されており、(データ/アドレスI/O回路、アドレスデコーダ、コマンドロジック、リフレッシュ回路等を少なくとも含む)周辺回路171内のもの、および、(ストレージメモリアレイ、センスアンプ等を含む)アレイコア回路172内のものを含む、(
図1Aに示されるような)DRAMチップ17内のすべてのトランジスタはなお、プレーナトランジスタである。
【0003】
図1Bは、DRAMチップの周辺回路内で、および、DRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内で最も広範囲に使用されている、最先端のプレーナ相補型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(CMOSFET)10の断面図を示す。CMOSFET10はプレーナNMOSトランジスタ11およびプレーナPMOSトランジスタ12を含んでおり、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域13がNMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12との間に位置している。(酸化物、酸化物/窒化物、もしくは特定の高誘電率(high-k)誘電体等などの)絶縁体の上の、(金属、ポリシリコン、またはポリサイド等のような)特定の導電材料を使用したNMOSトランジスタ11またはPMOSトランジスタ12のゲート構造14は、絶縁材料(たとえば、酸化物もしくは酸化物/窒化物、または他の誘電体)を使用することにより、他のトランジスタのものから側壁が分離されたCMOSの最上部上に形成される。プレーナNMOSトランジスタ11の場合、n型ドーパントをp型基板(またはp-ウェル)内に注入し、それが、よって、離間している2つのn+/p接合領域をもたらすためのイオン注入および熱アニーリング手法により形成されたソースおよびドレイン領域が存在している。プレーナPMOSトランジスタ12の場合、ソースおよびドレイン領域はいずれも、p型ドーパントをn-ウェル内にイオン注入し、それが、よって、2つのp+/n接合領域をもたらすことにより、形成される。さらに、高濃度にドーピングされたn+/pまたはp+/n接合前のインパクトイオン化およびホットキャリア注入を減らすために、低濃度にドーピングされたドレイン(LDD)領域15をゲート構造の下に形成することが一般的である。
【0004】
一方で、前述された熱アニーリングプロセス中に、CMOSFET10内の、注入されたn型またはp型ドーパントは、不可避的に、異なる方向に拡散し、ソースおよびドレイン領域の面積を拡大する。さらに、別の熱アニーリングプロセスがDRAMチップのアレイコア回路内のアクセストランジスタの上のキャパシタの形成中に起きて、キャパシタとアクセストランジスタとの間の接続抵抗を低減させる。そうした第2の熱アニーリングプロセスはこの場合もまた、n型またはp型ドーパントの拡散をもたらし、ソースおよびドレイン領域の面積を増加させる。熱アニーリングプロセスにより、ソースおよびドレイン領域の面積が大きくなるほど、ソースおよびドレイン領域間の有効チャネル長(
図1Bに示されるLeff)は短くなり、そうした低減させられた有効チャネル長Leffは、短チャネル効果(SCE)を招く。したがって、SCEの影響を低減させるために、熱アニーリングによる、n型またはp型ドーパントの拡散を収容するために、より長いゲート長を確保することが一般的である。一例として25nmのテクノロジノード(λ)を使用すれば、確保されるゲート長は、テクノロジノードλの約4倍である約100nmになる。
【0005】
他方で、NMOSトランジスタ11およびPMOSトランジスタ12はそれぞれ、近傍において互いに隣接して形成されているp-基板およびn-ウェルの一部の隣接領域内に位置しているので、n+/p/n/p+(
図1B中、破線が付されたパスはn+/p/n/p+ラッチアップパスと呼ばれる)寄生バイポーラデバイスと呼ばれる寄生接合構造は、NMOSトランジスタ11のn+領域から始まって、p-ウェルへの、近傍のn-ウェルへの、そしてさらにPMOSトランジスタ12のp+領域までのその輪郭で形成される。
【0006】
大きなノイズがn+/p接合またはp+/n接合上に一旦、発生すると、非常に大きな電流がこのn+/p/n/p+接合を異常に流れる場合があり、それは、場合によっては、CMOS回路の一部の動作を停止させ、チップ全体の誤動作を引き起こし得る。ラッチアップと呼ばれるそうした異常現象は、CMOS動作にとって有害であり、避けられなければならない。確かにCMOSの弱点である、ラッチアップに対する耐性を向上させる1つのやり方は、(
図1B中、ラッチアップ距離と付された、)n+領域からp+領域までの距離を増加させることであり、n+およびp+領域いずれも、通常、STI(シャロートレンチアイソレーション)領域13であるアイソレーション領域としての特定の縦に向けられた酸化物(または他の好適な絶縁体材料)により、分離されるように設計されなければならない。一例として25nmのテクノロジノード(λ)を使用すれば、確保されるラッチアップ距離は、テクノロジノードλの約20倍である約500nmになる。ラッチアップを回避するための、より真剣な取り組みでは、n+領域およびp+領域間の距離をさらに増加させるガードバンド構造を設計しなければならず、および/または、ノイズ源からの異常電荷を収集するために余分なn+領域またはp+領域を追加しなければならない。これらのアイソレーション手法は常に、CMOS回路のダイサイズを犠牲にして、余分な平面領域を増加させる。
【0007】
プレーナトランジスタまたはCMOSFETを備えた現行のDRAM設計においては、他の問題がもたらされ、または悪化している:
【0008】
(1)基板/ウェル領域内へのLDD(低濃度にドーピングされたドレイン)構造、p-基板内へのn+ソース/ドレイン構造、およびn-ウェル内へのp+ソース/ドレイン構造の形成などの接合形成プロセスにより生じる接合リークはすべて、制御することが、より難しくなっているが、それは、イオン注入により生じた格子欠陥のために、正孔および電子の空トラップなどの余分な損傷を修復することがより困難な周辺および底部領域いずれをも介してリーク電流が発生するからである。
【0009】
(2)さらに、LDD構造(またはn+/p接合もしくはp+/n接合)を形成するためのイオン注入が、シリコン表面の最上部から基板へ下方にまっすぐイオンを挿入するためにボンバードメントのような働きをするので、ソースおよびドレイン領域からチャネルおよび基板-ボディ領域への、欠陥がより少ない一様な材料界面を形成することは困難である。というのは、ドーパント濃度は、ドーピング濃度がより高い最上面から下方にドーピング濃度がより低い接合領域まで縦方向に非一様に分布しているからである。
【0010】
(3)ゲート、スペーサ、およびイオン注入の形成を使用する従来のセルフアラインメント方法を使用することのみにより、完璧な位置においてトランジスタのゲート構造のエッジにLDD接合のエッジを揃えることが、より困難になっている。さらに、イオン注入による損傷を除去するための熱アニーリングプロセスは、種々のエネルギ源または他の熱プロセスを使用することによる、高速熱アニーリング方法などの高温処理手法に頼らなければならない。よって生じている1つの問題は、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流である。(A. SenおよびJ. Das,「MOSFET GIDL Current Variation with Impurity Doping Concentration - A Novel Theoretical Approach」 IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL. 38, NO. 5, MAY 2017から引用された)
図1Cに示されるように、ゲートおよびドレイン/ソース領域に近い、薄い酸化物を備えたMOSFET構造には、寄生メタルゲートダイオードが存在しており、問題のGIDLは、ゲートツーソース/ドレイン領域内に形成された寄生メタルゲートダイオードにより誘起され、リーク電流を低減させるために最小にされるべきであることにかかわらず制御することが困難である。生じているもう1つの問題は、有効チャネル長を制御することが困難であり、よってSCEを最小にすることが困難であるということである。
【0011】
(4)STI構造の縦方向の長さは、より深くすることがより困難である一方、デバイスアイソレーションの平面幅は小さくされなければならない(さもなければ、エッチング、充填、および平坦化を行う統合プロセスのために、より悪い深さ対開口アスペクト比がもたらされる)ので、縮小されるλに対する、ラッチアップを防止するために確保される近傍トランジスタのn+およびp+領域間の平面分離距離の比例する比率は、低減され得ることなく、CMOSデバイスを小さくする場合にダイ面積低減を損なうように増加され得る。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、特に、DRAMチップの周辺回路内に、およびDRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内に使用される新たなプレーナトランジスタおよびプレーナCMOSFET構造を実現するいくつかの新たな概念を開示しており、それは、電流リークを最小にすること、チャネル伝導性能および制御を向上させること、金属相互接続に対するそれらのコンダクタンス、およびチャネル領域に対するそれらの最も密接な物理的接触をシームレスな規則正しい結晶格子整合で向上させることのようなソースおよびドレイン領域の機能を最適化すること、ラッチアップに対するCMOS回路のより高い耐性を増加させること、ならびに、ラッチアップを回避するためにNMOSおよびPMOS間のレイアウトアイソレーションに使用される平面領域を最小にすることなどの、上述されたような問題の大半を大幅に改善し、または解決さえする。
【0013】
本発明の一対象物によれば、DRAMチップまたは回路は、半導体表面を備えた半導体基板、センスアンプ回路と当該センスアンプ回路に電気的に結合された複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および当該アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路を備えている。上記センスアンプ回路または上記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、上記相補型MOSFET構造が、第1の導電領域を備えたプレーナP型MOSFET、第2の導電領域を備えたプレーナN型MOSFET、上記プレーナP型MOSFETと上記プレーナN型MOSFETとの間の交差形状の局所的アイソレーション領域を備えている。上記交差形状の局所的アイソレーション領域は、上記半導体表面の下にある、水平方向に延在しているアイソレーション領域を含んでおり、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域は、上記第1の導電領域の底部側および上記第2の導電領域の底部側に接触している。
【0014】
本発明の一態様によれば、上記相補型MOSFET構造は上記半導体表面の下に形成された第1の凹部をさらに備えており、上記第1の凹部は上記第1の導電領域を収容する。
【0015】
本発明の一態様によれば、上記第1の導電領域は、ドーピングされていない半導体領域および/または低濃度にドーピングされた半導体領域を備えており、上記半導体基板から独立している。
【0016】
本発明の一態様によれば、上記ドーピングされていない半導体領域または上記低濃度にドーピングされた半導体領域は、上記プレーナP型MOSFETのチャネル領域に当接している。
【0017】
本発明の一態様によれば、上記第1の導電領域は高濃度にドーピングされた半導体領域をさらに備えており、上記高濃度にドーピングされた半導体領域は第1のトレンチ内に位置しており、上記低濃度にドーピングされた半導体領域および上記高濃度にドーピングされた半導体領域は同じ格子構造で形成されている。
【0018】
本発明の一態様によれば、上記第1の導電領域は金属領域をさらに備えており、上記金属領域は上記第1の凹部内に位置していて、上記高濃度にドーピングされた半導体領域に当接している。
【0019】
本発明の一態様によれば、上記相補型MOSFET構造は上記半導体表面の下に形成された第1の凹部をさらに備えており、上記第1の凹部は、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域の第1の部分を収容している。
【0020】
本発明の一態様によれば、上記プレーナP型MOSFETは上記半導体表面の上にあるゲート領域をさらに備えており、上記ゲート領域のエッジは、上記第1の導電領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っている。
【0021】
本発明の一態様によれば、上記プレーナP型MOSFETはゲート領域をさらに備えており、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域の上記第1の部分すべてが、上記ゲート構造の直下にはない。
【0022】
本発明の一態様によれば、上記プレーナP型MOSFETはゲート領域をさらに備えており、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域の上記第1の部分の5%未満が、上記ゲート構造の直下にある。
【0023】
本発明の一態様によれば、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域は複合アイソレーション領域である。
【0024】
本発明の一態様によれば、上記複合アイソレーション領域は、酸化物層と、上記酸化物層の上にある窒化物層とを含んでいる。
【0025】
本発明の一態様によれば、上記酸化物層の縦方向の深さは、上記窒化物層のものよりも小さい。
【0026】
本発明の一態様によれば、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域は、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域と、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域とを含んでおり、上記第1の導電領域の上記底部側は、上記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域により、上記半導体基板から遮蔽されており、上記第2の導電領域の上記底部側は、上記水平方向に延在している第2のアイソレーション領域により、上記半導体基板から遮蔽されている。
【0027】
本発明の一態様によれば、上記交差形状の局所的アイソレーション領域は、上記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域と、上記水平方向に延在している第2のアイソレーション領域との間に、縦方向に延在しているアイソレーション領域を含んでおり、上記縦方向に延在しているアイソレーション領域の縦方向の深さは、上記水平方向に延在している第1のアイソレーション領域の縦方向の深さと、上記第1の導電領域の縦方向の深さとの和よりも高い。
【0028】
本発明の別の対象物によれば、本発明によるテクノロジノードλにより形成されたDRAM回路は、半導体表面を備えた半導体基板、センスアンプ回路と当該センスアンプ回路に結合された複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および当該アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路を備えている。上記センスアンプ回路または上記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、上記相補型MOSFET構造は、第1のソース領域、第1のドレイン領域、および第1のゲート領域を上記半導体表面の上に備えているプレーナP型MOSFET、ならびに第2のソース領域、第2のドレイン領域、および第2のゲート領域を上記半導体表面の上に備えているプレーナN型MOSFETを備えている。上記第1のソース領域または上記第1のドレイン領域が、低濃度にドーピングされた半導体領域と、上記低濃度にドーピングされた半導体領域に横方向に当接している高濃度にドーピングされた半導体領域とを含んでおり、1つのDRAMセルはアクセストランジスタおよびストレージキャパシタを含んでおり、上記アクセストランジスタは第3のソース領域、第3のドレイン領域、および第3のゲート領域を備えており、上記第3のソース領域または上記第3のドレイン領域は、低濃度にドーピングされた半導体領域と、上記低濃度にドーピングされた半導体領域に縦方向に当接している高濃度にドーピングされた半導体領域と、を含んでいる。
【0029】
本発明の一態様によれば、上記第1のゲート領域の1つのエッジは上記第1のソース領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っており、上記第1のゲート領域の別のエッジは上記第1のドレイン領域のエッジと揃っている、または実質的に揃っている。
【0030】
本発明の一目的によれば、上記相補型MOSFET構造は、局所的アイソレーション領域を上記プレーナP型MOSFETと上記プレーナN型MOSFETとの間にさらに備えており、上記第1のソース領域または上記第1のドレイン領域内の、高濃度にドーピングされたP+領域は、上記局所的アイソレーション領域により、上記半導体基板から遮蔽されている。
【0031】
本発明の一態様によれば、上記局所的アイソレーション領域は、縦方向に延在しているアイソレーション領域と、水平方向に延在しているアイソレーション領域とを含んでおり、上記プレーナP型MOSFETと上記プレーナN型MOSFETとの間のラッチアップパスは、少なくとも、上記水平方向に延在しているアイソレーション領域の底部の長さに依存している。
【0032】
本発明の別の対象物によれば、本発明によるDRAM回路は、半導体表面を備えた半導体基板、センスアンプ回路と、上記センスアンプ回路に電気的に結合された複数のDRAMセルとを備えたアレイコア回路、および上記アレイコア回路に電気的に結合された周辺回路を備えている。各DRAMセルはアクセストランジスタとストレージキャパシタとを含んでいる。上記センスアンプ回路または上記周辺回路は相補型MOSFET構造を有しており、上記相補型MOSFET構造が、第1のソース領域、第1のドレイン領域、および第1のゲート領域を上記半導体表面の上に備えたプレーナP型MOSFET、ならびに、第2のソース領域、第2のドレイン領域、および第2のゲート領域を上記半導体表面の上に備えたプレーナN型MOSFET、を備えている。上記アクセストランジスタは第3のソース領域、第3のドレイン領域、および第3のゲート領域を備えており、上記第3のゲート領域の少なくとも一部分は上記半導体表面の下にあり、上記第1のソース領域、および上記第1のドレイン領域は第1の格子構造を有しており、上記第3のソース領域、および上記第3のドレイン領域は第2の格子構造を有しており、上記第1の格子構造は上記第2の格子構造と異なる。さらに、上記第1のソース領域または上記第1のドレイン領域は上記第1のゲート領域の底部表面よりも低い底部表面を含んでおり、上記第3のソース領域または上記第3のドレイン領域は上記第3のゲート領域の底部表面よりも高い底部表面を含んでいる。
【0033】
本発明の一態様によれば、上記第3のソース領域または上記第3のドレイン領域は、上記第3のゲート領域の上部表面と揃っている、または実質的に揃っている上記底部表面を含んでいる。
【0034】
本発明の一態様によれば、上記第1のソース領域および上記第1のドレイン領域は上記半導体基板から独立しており、上記第3のソース領域および上記第3のドレイン領域は上記半導体基板から独立している。
【0035】
本発明の一態様によれば、上記半導体基板はシリコン基板であり、上記第1のソース領域および上記第1のドレイン領域は、上記シリコン基板の(110)配向面から選択的に成長して横方向に延在しており、上記第3のソース領域および上記第3のドレイン領域は、上記シリコン基板の(100)配向面から選択的に成長して縦方向に延在している。
【0036】
本発明のこれらおよび他の目的は無論、種々の図および図面に示された好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1B】従来のCMOS構造の断面を示す図である。
【
図1C】MOSFETのゲートツーソース/ドレイン領域内に形成される寄生メタルゲートダイオード、およびMOSFET内のGIDL問題を示す図である。
【
図2A】パッド窒化物層が堆積させられ、およびSTIが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図2B】パッド窒化物層が堆積させられ、およびSTIが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図3A】ゲート長が画定された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図3B】ゲート長が画定された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図3-1A】チャネル領域のシャロートレンチが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-1B】チャネル領域のシャロートレンチが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-2A】チャネル領域が選択的に形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-2B】チャネル領域が選択的に形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-3A】チャネル領域の、丸い形状のシャロートレンチが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-3B】チャネル領域の、丸い形状のシャロートレンチが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-4A】丸い形状のシャロートレンチ内にチャネル領域が選択的に形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図3-4B】丸い形状のシャロートレンチ内にチャネル領域が選択的に形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図4A】ゲート導電領域が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図4B】ゲート導電領域が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図5A】ゲートキャップ領域が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図5B】ゲートキャップ領域が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図6A】ゲート領域外側のパッド窒化物およびパッド酸化物が除去された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図6B】ゲート領域外側のパッド窒化物およびパッド酸化物が除去された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図7A】ゲート領域の側壁の上のスペーサが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図7B】ゲート領域の側壁の上のスペーサが形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図8A】ゲート領域外側の凹部が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図8B】ゲート領域外側の凹部が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図9A】凹部内の局所的絶縁層が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図9B】凹部内の局所的絶縁層が形成された後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図10A】凹部内の、露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図10B】凹部内の、露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図10C】凹部内の、露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す別の実施形態の図である。
【
図10-1A】別の実施形態による、凹部内の、露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図10-1B】別の実施形態による、凹部内の、露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
【
図11A】本発明による、DRAMチップの周辺回路/センスアンプ内のプレーナCMOS構造の一実施形態における、上面図と、縦方向の破線の切断線に沿った断面図とを示す図である。
【
図11B】本発明による、DRAMチップの周辺回路/センスアンプ内のプレーナCMOS構造の一実施形態における、上面図と、縦方向の破線の切断線に沿った断面図とを示す図である。
【
図12】絶縁体により、完全には分離されていないn+およびp+領域を備えた従来のCMOS構造を示す図である。
【
図13A】本発明による、DRAMチップの周辺回路/センスアンプ内のプレーナCMOS構造の別の実施形態における、上面図と、水平方向の破線の切断線に沿った断面図とを示す図である。
【
図13B】本発明による、DRAMチップの周辺回路/センスアンプ内のプレーナCMOS構造の別の実施形態における、上面図と、水平方向の破線の切断線に沿った断面図とを示す図である。
【
図14】従来のCMOS構造のn+/p接合からp-ウェル/n-ウェル接合を介してn/p+接合構造への考えられるラッチアップパスを示す図である。
【
図15A】本発明による、DRAMチップのアレイコア回路内の提案されているアクセストランジスタの断面図である。
【
図15B】ソース/ドレイン領域を収容するための凹部が形成された後の、DRAMチップのアレイコア回路内の提案されているアクセストランジスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、特に、DRAMチップの周辺回路内で、およびDRAMチップのアレイコア回路のセンスアンプ内で使用されるプレーナトランジスタおよびプレーナCMOSFET構造を開示している。提案されたプレーナNMOSおよびPMOSトランジスタの製造方法は以下のように例示的に示される。
工程10: 開始する。
工程20: 半導体基板に基づいて、NMOSおよびPMOSトランジスタの活性領域を画定し、および、深いシャロートレンチアイソレーション(STI)構造を形成する。
工程30: 半導体基板の初期半導体表面の上にゲート構造を形成する。
工程40: ゲート構造を覆うスペーサを形成し、半導体基板内に凹部を形成する。
工程50: 複数の局所的絶縁層を凹部内に形成する。
工程60: 凹部内のシリコンの側壁を露出させ、凹部内の露出するシリコン側壁から横方向に半導体領域を成長させてプレーナNMOSおよびPMOSトランジスタのソース領域およびドレイン領域を形成する。
【0039】
図2Aおよび
図2Bを参照されたく、工程20は以下を含み得る。
工程202: パッド酸化物層22が形成され、およびパッド窒化物層23が堆積させられる。
工程204: パターン化されたフォトレジスタンス(PR)を使用してプレーナNMOSおよびプレーナPMOSトランジスタの活性領域を画定し、ならびに、それらの活性領域パターン外側の半導体基板内のシリコン材料の一部を除去して、一時的なトレンチを作り出す。
工程206: 作り出された一時的なトレンチ内に酸化物層を堆積させ、次いで、酸化物層をエッチバックし、および平坦化して、シャロートレンチアイソレーション(STI)21を形成し、
図2A中のx軸切断線に沿った断面図である
図2Bに示されるように、STI21の上面が、パッド窒化物層23の上面と揃えられる。
【0040】
図3~5を参照されたく、ゲート構造を形成する工程30は以下を含み得る。
工程302:
図3A、および
図3A中のx軸切断線に沿った断面図である
図3Bに示されるように、パターン化された別のフォトレジスタンス(PR)を使用してプレーナNMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域のゲート長(Lgate)を画定し、次いで、PRにより覆われていないパッド酸化物層302およびパッド窒化物層304の部分が除去されて、ゲート収容トレンチ32を形成する。
工程304:
図4A、および
図4A中のx軸切断線に沿った断面図である
図4Bに示されるように、その後、ゲート収容トレンチ32内に、(熱酸化物または高誘電率(Hi-K)材料などの)ゲート誘電体層331、高濃度にドーピングされたポリシリコン332(MOS用N+ポリシリコンおよびMOS用P+ポリシリコン)、Ti/TiN層333、ならびにタングステン層334を形成する。
工程306:
図5A、および
図5A中のX軸切断線に沿った断面図である
図5Bに示されるように、タングステン層334の上に窒化物キャップ層335および酸化物キャップ336を形成して、NMOSおよびPMOSトランジスタのゲート領域またはゲート構造を完成させる。
【0041】
次いで、
図6~8を参照されたく、工程40は以下を含み得る。
工程402:
図6A、および
図6A中のx軸切断線に沿った断面図である
図6Bに示されるように、STI層21と上記ゲート領域との間のパッド酸化物層22およびパッド窒化物層23を除去して、基板のOSSを露わにする。
工程404:
図7A、および
図7A中のx軸切断線に沿った断面図である
図7Bに示されるように、上記ゲート領域の両側にスペーサ層を形成し、スペーサ層は、基板のOSS上で熱成長させられた薄い酸化物サブ層343、薄い酸化物サブ層343の上にある薄い窒化物サブ層341および薄い酸化物サブ層342を含み得る。
工程406:
図8A、および
図8A中のx軸切断線に沿った断面図である
図8Bに示されるように、半導体基板の一部分をエッチングして、半導体基板内に複数の凹部を形成する。各凹部は、半導体基板がシリコン基板である場合に、工程404中のスペーサ層の直下の(100)配向を備えた、露出する縦方向の側面36を含んでいる。
【0042】
図9Aおよび
図9Bを参照されたく、工程50は以下を含み得る。工程406中の、前述の凹部の側壁を覆う縦方向の酸化物-3V層411と、前述の凹部の底部を覆う水平方向の酸化物-3B層412とを含む酸化物-3層41を熱成長させることを含み得る。その後、
図9A、および
図9A中のx軸切断線に沿った断面図である
図9Bに示されるように、前述の凹部を完全に埋めるのに十分な厚さで窒化物-3材料を堆積させ、次いで、エッチバックプロセスを使用して窒化物-3材料の不必要な部分を除去して、前述の凹部内側に、好適な窒化物-3層42のみを残す。なお、窒化物-3層42は、任意の好適な絶縁材料により、置き換えられ得る。
【0043】
なお、
図9Bおよび後続の図中に描かれた酸化物-3V層411および酸化物-3B層412の厚さは例証目的のみで示されているが、酸化物-3V層411の厚さが、正確に制御された熱酸化温度、タイミングおよび成長速度いずれもの下で非常に正確に制御されるようにこの熱成長させられる酸化物-3層41を設計することが、非常に重要である。明確に画定されたシリコン表面上の熱酸化により、酸化物-3V層411の厚さの40%が、前述の露出する(110)縦方向側面36からシリコン基板の一部分を取り去り、および、酸化物-3V層411の厚さの残りの60%が、前述の露出する(110)縦方向側面36外側の追加とみなされる(そうした、酸化物-3V層411の40%および60%の分布は、
図9B中に特に明確に描かれている)ことになるはずである。酸化物-3V層411の厚さは熱酸化プロセスに基づいて非常に正確に制御されるので、酸化物-3V層411のエッジは、ゲート領域のエッジと揃えられ得る。当然、エッチング条件、および熱酸化物の成長の条件に応じて、別の実施形態では、(5~10%未満などの)酸化物-3V層411の一部はゲート構造の下にあり得る。
【0044】
図10Aおよび
図10Bを参照されたく、工程60は以下を含み得る。
工程602: 窒化物-3層42の上にある、酸化物-3V層411の一部分が除去されて、別の縦方向の半導体側壁501および502を露出させ、この場合もまた、それらの縦方向の半導体側壁501および502は、半導体基板がシリコン基板である場合、(110)結晶配向を有している。残りの酸化物-3層41および窒化物-3層42は、シリコン基板内への局所的アイソレーション(「LISS」)という名で呼ばれ得る。
工程604: 第1の半導体領域430を、露出された縦方向の半導体側壁501および502それぞれから横方向に成長させる。第1の半導体領域430それぞれは、低濃度にドーピングされた領域(または低濃度にドーピングされたドレイン、「LDD」)を含み、または、ドーピングされていない領域および低濃度にドーピングされた領域を含み得る。第1の半導体領域430は、選択エピタキシャル成長(SEG)手法または原子層堆積(ALD)法などの、選択的に成長させられる方法により、形成され得る。
工程606: 第2の半導体領域を、それらの第1の半導体領域430から横方向に成長させる。第2の半導体領域それぞれは、選択的に成長させられる方法によっても形成され得る、高濃度にドーピングされた領域を含む。よって、プレーナNMOSトランジスタのドレイン領域は、N-LDD領域、およびN+ドーピングされた領域431を含んでおり、プレーナNMOSトランジスタのソース領域は、別のN-LDD領域、およびN+ドーピングされた領域432を含んでいる。同様に、プレーナPMOSトランジスタのドレイン領域は、P-LDD領域、およびP+ドーピングされた領域441を含んでおり、PMOSトランジスタのソース領域は、別のP-LDD領域、およびP+ドーピングされた領域442を含んでいる。
【0045】
なお、露出された縦方向の半導体側壁501および502それぞれは、
図10Bに示されるように、ゲート領域のエッジと揃えられた(または実質的に揃えられた)、その縦方向の境界を有している。すなわち、プレーナトランジスタ内のソースまたはドレイン領域のエッジはゲート領域のエッジと揃えられており(または実質的に揃えられており)、本発明は、深遠なSAPC(ゲートツーソース/ドレインからのアライメント、およびソース/ドレインを形成するために正確に作り出される結晶構造)手法を提供する。従って、ソース/ドレインのエッジからゲート領域のエッジへのアライメントは、よって、熱酸化および結晶構造を使用することにより正確に定められ、または制御されることが可能で、GIDL効果は、LDD注入を使用してゲート-エッジのLDDへのアライメントとしての役目を務める従来のやり方に対して低減させられるはずである。
【0046】
さらに、新たなソース/ドレイン領域は、全(110)結晶シリコンにより形成される。説明されたように、2つの異なるシーディング領域からソース/ドレイン領域を成長させる従来のやり方を改善すると、シリコン基板内に、(100)配向および(110)配向の格子混合物が生じる。よって、本発明は、より良好なソース/ドレインツーチャネル伝導機構を作り出すことができ、サブしきい値リークも低減させることができる。さらに、ソース領域とドレイン領域との間の有効チャネル長(Leff)は、イオン注入および熱アニーリングが必要でないので、プレーナトランジスタの形成中にはゲート長(
図10B中に示される「Lgate」)にほぼ等しくなり得る。LDD領域またはソース/ドレイン領域を形成するためにイオン注入を使用する必要はないので、熱アニーリングプロセスを使用して欠陥を低減させる必要はない。したがって、誘起され、および、アニーリングプロセスによっても完全に除去することが困難な余分な欠陥は一度も引き起こされないので、予期せぬリーク電流源は大幅に、最小にされるはずである。
【0047】
さらに、キャパシタとアクセストランジスタとの間の接続抵抗を低減させるための別の熱アニーリングプロセスが存在していても、本発明の第1の半導体領域430は、ドーピングされていない領域、および低濃度にドーピングされた領域を含み得るので、別の熱アニーリングプロセスによるドーパントの再分布は、有効チャネル長(Leff)を大幅に低減させず、したがって、本発明による、ゲート領域の確保されるゲート長(「Lgate」)の設計ルールは、従来のCMOS構造のものと比較して低減される。一例としてプレーナトランジスタについてテクノロジノード(ラムダまたはλ)20~30nmを使用すれば、本発明において確保されるゲート長は、1.5λ~3λの間、たとえば2λまたは2.5λになる。
【0048】
一方、本発明によるプレーナトランジスタのソースおよびドレイン領域それぞれは、底部構造上の絶縁材料(窒化物-3層42、および残りの酸化物-3層41)により分離されており、3つの側壁に沿ってSTI層21により分離されており、接合リークの可能性は、第1の半導体領域430における、(プレーナトランジスタのゲート領域直下の)チャネル領域への非常に小さな領域にのみ生じ、よって大幅に低減されることがある。
【0049】
前述の実施形態では、チャネル領域は、ゲート構造の形成前にイオン注入(図示せず)によって、初期シリコン表面(OSS)の下に、および近くに形成され得る。しかし、イオン注入により形成されるチャネル領域に加えて、本発明によるチャネル領域は選択成長により形成されてもよい。たとえば、
図4B中のゲート誘電体層331を形成する前に、
図3-1Aおよび
図3-1Bに示されるように、露呈されているシリコン表面が、1.5nm~3nmの深さを有するシャロートレンチを形成するようにエッチングされてもよい。次いで、
図3-2Aおよび
図3-2Bに示されるように、チャネル領域24がシャロートレンチ内に、選択的に成長させられる。その後、
図4/
図4B~
図10A/
図10B中に示されるゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を形成するためのプロセスが同様に適用されて、
図10Cに示される別のプレーナトランジスタ構造が形成され得る。
【0050】
なお別の実施形態では、
図4B中のゲート誘電体層331を形成する前に、露呈されているシリコン表面は、
図3-3Aおよび
図3-3Bに示されるように、丸いまたは湾曲した形状を有するシャロートレンチを形成するようにエッチングされてもよい。次いで、半導体チャネル領域24は、
図3-4Aおよび
図3-4Bに示されるように、シャロートレンチの側壁に沿って選択的に成長させられる。半導体チャネル領域24が、湾曲した、または丸い形状であるシャロートレンチの側壁に沿って選択的に成長させられるので、本実施形態におけるチャネル長はより長くなり得る。その後、
図4A/
図4B~
図10A/
図10B中に示されるゲート領域、ソース領域、およびドレイン領域を形成するためのプロセスが同様に適用されて別のプレーナトランジスタが形成され得る。
【0051】
図10-1Aおよび
図10-1Bは、別の実施形態による、凹部内の、露出されたシリコン側壁から横方向に半導体領域が成長させられた後の、上面図と、切断線(X軸)に沿った断面図とを示す図である。
図10-1A/
図10-1Bと、
図10Cとの違いは、NMOS用LDD領域4302の成長前に、縦方向のP型層4301がまず、選択成長により形成され、次いで、LDD領域4302、および高濃度にドーピングされた領域431/432が、選択成長により、順次形成されるという点である。そうした縦方向のP型層4301は、NMOSトランジスタのOFF状態におけるリーク電流を低減させ得る。
【0052】
別の実施形態では、ソース(またはドレイン)領域は、凹部内にあり、選択的に成長させられたソース(またはドレイン)領域の高濃度にドーピングされた領域に接触している、いくらかのタングステンまたは他の好適な金属材料(図示せず)をさらに備え得る。よって、ソース(またはドレイン)領域は複合ソース(またはドレイン)領域である。よって、外部の金属コンタクトは複合ソース(またはドレイン)領域の金属領域に接続され、そうした金属間コンタクトは、従来のシリコンと金属との間のコンタクトよりもはるかに低い抵抗を有する。
【0053】
さらに、
図11A~11Bに示されるように、
図11Aは本発明による新たなプレーナCMOS構造の上面図であり、
図11Bは、
図11A中の切断線(Y軸)に沿った、新たなプレーナCMOS構造の断面を示す図である。
図11A~11B中のプレーナPMOSおよびプレーナNMOSトランジスタは、縦方向に並んで位置している。
図11Aでは、新たなプレーナCMOS構造の4つの側はSTI21により取り囲まれている。さらに、
図11Bに示されるように、(酸化物-3層412および窒化物-3層42を含む)局所的複合アイソレーションがPMOSのP+ソース領域442(またはP+ドレイン領域441)とn型N-ウェルとの間に存在しており、(酸化物-3B層412および窒化物-3層42を含む)別の局所的複合アイソレーションもNMOSのN+ソース領域432(またはN+ドレイン領域431)とp型P-ウェルまたは基板との間に存在している。すなわち、新たなプレーナCMOS構造のドレイン領域およびソース領域それぞれは、3つの側壁上のSTI21により、および、底壁上の、局所的複合アイソレーションにより、取り囲まれている。よって、PMOSのP+領域の底部からNMOSのN+領域の底部への、考えられるラッチアップパスが、局所的アイソレーションにより、完全にブロックされる。したがって、(プレーナ表面上で測定される)ラッチアップ距離Xp+Xnを、重大なラッチアップ問題を引き起こすことなく、できる限り小さくすることができる。他方で、従来のCMOS構造では、n+およびp+領域は、
図1Bまたは
図12に示されるように絶縁体により完全に分離されず、n+/p接合からp-ウェル/n-ウェル接合を通ってn/p+接合まで存在している、考えられるラッチアップパスは、長さa、長さb、および長さcを含んでいる。
【0054】
さらに、本発明の別の実施形態による
図13A~13Bを参照されたい。
図13AはプレーナNMOSトランジスタおよびプレーナPMOSトランジスタを備えた新たなプレーナCMOS構造の上面図であり、
図13Bは、
図13A中の水平方向の破線の切断線に沿った新たなCMOS構造の断面を示す図である。
図13A~13B中のプレーナPMOSおよびプレーナNMOSトランジスタは、横方向に並んで位置している。
図13Bに示されるように、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの間に交差形状のLISS70が存在していると単純化することができる。交差形状のLISS70は、縦方向に延在しているアイソレーション領域71(たとえば、STI21、
図13Bに示されるように、OSSの下の縦方向の深さは、約150~300nm、たとえば200nmになる)、縦方向に延在しているアイソレーション領域71の右側にある、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72(縦方向の深さは、約50~120nm、たとえば100nmになる)、および縦方向に延在しているアイソレーション領域71の左側にある、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73(縦方向の深さは、約50~120nm、たとえば100nmになる)を含んでいる。水平方向に延在しているアイソレーション領域それぞれは、酸化物-3層41および窒化物-3層42を含み得る。PMOS/NMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の縦方向の深さは約30~50nm、たとえば40nmである。PMOS/NMOSトランジスタのゲート領域の縦方向の深さは約40~60nm、たとえば、
図13Bに示される50nmである。
【0055】
本実施形態では、水平方向に延在している第1および第2のアイソレーション領域72/73は、トランジスタのゲート構造またはチャネルの直下にはない。水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72(縦方向に延在しているアイソレーション領域71の右側)はPMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の底部側に接触しており、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73(縦方向に延在しているアイソレーション領域71の左側)はNMOSトランジスタのソース/ドレイン領域の底部側に接触している。したがって、PMOSおよびNMOSトランジスタ内のソース/ドレイン領域の底部側は、半導体基板から遮蔽されている。さらに、水平方向に延在している第1または第2のアイソレーション領域72/73は、異なる2つ以上の絶縁材料(たとえば、酸化物-3 41および窒化物-3 42)を含む、または、同じ2つ以上の絶縁材料であるが別個のプロセスにより形成される絶縁材料を含む複合アイソレーションであり得る。
【0056】
本文および
図1B中で前述されたように、純NMOS技術と対照的に、従来のCMOS構成/技術の欠点は、n+/p-サブ/n-ウェル/p+接合などの寄生バイポーラ構造が一度存在し、残念ながら、一部の劣悪な設計は、ノイズによる大電流サージに耐えることができず、ラッチアップを引き起こして、チップ動作全体の停止、または、チップ機能への恒久的な損傷をもたらすということである。従来のCMOSのレイアウトおよびプロセスルールは、ラッチアップ距離(
図1B)と呼ばれる、PMOSのp+ソース/ドレイン領域からNMOSのn+ソース/ドレイン領域を隔てるための非常に大きなスペースを常に必要としており、これはラッチアップのいかなる可能性をも防ぐために多くのプレーナ表面を使い尽くす。さらに、ソース/ドレインn+/pおよびp+/n半導体接合領域が大きすぎる場合、順方向バイアス事故が一旦誘発されると、大きなサージ電流が誘起されてラッチアップを発生させる場合がある。
【0057】
【0058】
他方で、従来のCMOS構造では、n+/p接合からp-ウェル/n-ウェル接合を介してn/p+接合への、考えられるラッチアップパスは、(
図14に示されるように)長さd、長さe、長さf、および長さgを含んでいるに過ぎない。
図13Bのそうした考えられるラッチアップパスは
図14中のものよりも長い。したがって、デバイスレイアウトの観点からは、本発明による、
図13B中のNMOSおよびCMOS間の確保されたエッジ距離(X
n+X
p)は、
図14中のものよりも小さい場合がある。さらに、
図13Bでは、潜在的なラッチアップパスは、
図14中のn+/p接合からn/p+接合へでなく、n/LDD-p接合へと、LDD-n/p接合から始まる。
図13B中のLDD-nまたはLDD-p領域内のドーピング濃度は、
図14のn+またはp+領域内のドーピング濃度よりも低いので、
図13B中のLDD-nまたはLDD-p領域から放出される電子または正孔の量は、
図14中のn+またはp+領域から放出されるものよりもはるかに低くなる。そうした、キャリアのより低い放出は、誘起されるラッチアップ現象の可能性を効果的に減少させるだけでなく、さらに、ラッチアップ現象が誘起された場合にも、電流を劇的に低減させる。n+/pおよびp+/n接合領域はいずれも、大幅に低減されるので、これらの接合の、ある急激な順方向バイアスさえ、異常電流の大きさを低減させることができ、
図13Bにおいてラッチアップを形成する機会を減らし得る。
【0059】
再び
図13Bを参照すれば、本発明によれば、プレーナPMOSのソースまたはドレイン領域は、水平方向に延在している第1のアイソレーション領域72および縦方向に延在しているアイソレーション領域71により取り囲まれており、プレーナPMOSのソースまたはドレイン領域のLDD領域(縦方向の長さは、約10~50nmになる)のみが、半導体基板に接触して、p+/n接合でなく、LDD-p/n接合を形成する。同様に、プレーナNMOSのソースまたはドレイン領域は、水平方向に延在している第2のアイソレーション領域73および縦方向に延在しているアイソレーション領域71により、取り囲まれており、プレーナNMOSのソースまたはドレイン領域のLDD領域(縦方向の長さは、約40nmになる)のみが、基板に接触して、p+/n接合でなく、LDD-n/p接合を形成する。したがって、プレーナNMOSのn+領域およびプレーナPMOSのp+領域は基板またはウェル領域から遮蔽される。さらに、水平方向に延在している第1または第2のアイソレーション領域72/73は、複合アイソレーションであり、且つ十分厚いので、ソース(またはドレイン)領域とシリコン基板との間に誘起される寄生メタルゲートダイオードは最小にされ得る。さらに、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)効果も改善され得る。隣接するNMOSおよびPMOSトランジスタに確保された平面ラッチアップ距離が、新たなプレーナCMOSの平面面積を大幅に低減させ得るように大幅に短縮されることが期待される。
【0060】
さらに、半導体基板の特定の結晶面から直接、成長させられたそうしたソース/ドレイン領域は、DRAMチップのアレイコア回路内の、各DRAMセルがアクセストランジスタおよびストレージキャパシタを含む、複数のDRAMセルのアクセストランジスタに適用され得る。
図15Aに示されるように、アクセストランジスタQ1は、ストレージキャパシタ(C1)に接続されたソース領域213Aと、DRAMチップのビットラインに接続されたドレイン領域213Bと、ゲート誘電体層209(たとえば、酸化物)と、(金属またはポリシリコンを含む)ゲート導電領域210Aと、誘電体ゲートキャップ214A(たとえば、酸化物/窒化物)と、ゲート導電領域210Aを取り囲むU字状のチャネル領域208Aとを含んでいる。別のアクセストランジスタQ2は、ストレージキャパシタ(C2)に接続されたソース領域213Cと、DRAMチップのビットラインに接続されたドレイン領域213Bと、ゲート誘電体層209(たとえば、酸化物)と、(金属またはポリシリコンを含む)ゲート導電領域210Bと、誘電体ゲートキャップ214B(たとえば、酸化物/窒化物)と、ゲート導電領域210Bを取り囲むU字状のチャネル領域208Bとを含んでいる。アクセストランジスタQ1およびアクセストランジスタQ2は、U溝トランジスタまたは埋め込みゲートトランジスタであり、基板201のウェル領域204内に形成され、そしてSTI領域202により囲まれ得る。
【0061】
なお、ソース領域213A、ドレイン領域213B、およびソース領域213Cは、
図15Bに示されるように、第1のリセス216A、第2のリセス216B、および第3のリセス216C内に(100)配向を備えた、露呈されたシリコン表面から選択的に成長させられ、且つ縦方向に成長させられ得る。
図15Aに示されるように、ソース領域213AはLDD領域217A、および高濃度にドーピングされた領域218Aを含んでいる場合があり、ドレイン領域213BはLDD領域217B、および高濃度にドーピングされた領域218Bを含んでいる場合があり、ソース領域213CはLDD領域217C、および高濃度にドーピングされた領域218Cを含んでいる場合がある。本発明のDRAMセル内のアクセストランジスタのソース/ドレイン領域は、(たとえば、選択エピタキシャル成長法または原子層堆積法により)縦方向に、(100)結晶面から直接成長させられ、それらの界面はチャネル領域とシームレスに形成される。さらに、ソース/ドレイン領域の形成中にイオン注入プロセスは存在せず、接合境界が画定および制御されるのを困難にし得る熱アニーリングプロセスは存在しない。
【0062】
要約すれば、DRAMチップの周辺回路/センスアンプ内のCMOS構造のプレーナトランジスタのソース/ドレイン領域は、横方向に、(110)結晶面から直接、成長させられるので、それらの界面は、ゲート長(Lgate)が正確に制御されるようにチャネル領域とシームレスに形成される。さらに、LDD(低濃度にドーピングされたドレイン)の面は、選択成長中のインサイチュドーピング手法(in-situ doping technique)により、トランジスタチャネルおよび基板本体いずれからも水平方向に成長させられ、上部シリコンから下方にソース/ドレイン領域内へのみ形成され得るイオン注入プロセス、ならびに、接合境界が画定および制御されるのを困難にし得る熱アニーリングプロセスは存在しない。イオン注入プロセスにより形成される従来のドーピングされた領域と違って、そうした選択的に成長させられる半導体領域(たとえば、ドーピングされていない領域、LDD領域、および高濃度にドーピングされた領域)は、半導体基板から独立している。
【0063】
本発明は、ゲート領域のエッジに対する、ソース/ドレインの境界エッジをより正確に画定することができ、および有効チャネル長(Leff)は、SCE、GIDL、および接合リーク電流を最小にするために良好に制御され得る。
【0064】
さらに、n+およびp+領域は、この新たに発明されたプレーナCMOS構造内の絶縁体により完全に分離されており、提案されたLISSは、NMOSおよびPMOSトランジスタ内の接合を隔てるためにシリコン基板内への絶縁距離を増加させ、接合間の表面距離が減少され得る。
【0065】
さらに、本発明では、ゲルマニウムまたは炭素原子などの種々の非シリコンドーパントをも含む高濃度にドーピングされた領域へのLDDのSEG形成は、応力を増加させてチャネル移動性を向上させる。ドーピング濃度プロファイルは、本発明による、ソース/ドレイン領域のSEG/ALD形成において制御可能であり、または調整可能である。
【0066】
装置および方法の数多くの修正および改変を、本発明の教示を維持しながら行い得ることを当業者は容易に気付くであろう。よって、上記開示は、添付された請求項の境界によってのみ限定されるものと解されるべきである。