(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 67/00 20060101AFI20250522BHJP
【FI】
A01D67/00 Z
(21)【出願番号】P 2023123287
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】西崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大器
(72)【発明者】
【氏名】仙波 篤志
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克朋
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-079632(JP,A)
【文献】特開2015-222501(JP,A)
【文献】特開平08-214673(JP,A)
【文献】実開平05-037032(JP,U)
【文献】特開2000-102315(JP,A)
【文献】特開2021-187172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00 - 69/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の外周部をキャビン(9)で覆い、
平面視において、前記キャビン(9)のフレーム(10)を、左側に配置される左フレーム(11)と、右側に配置される右フレーム(12)と、前記左フレーム(11)と右フレーム(12)の前部を連結する第1連結フレーム(13)と、前記左フレーム(11)と右フレーム(12)の後部を連結する第2連結フレーム(14)で形成し、
側面視において、前記左フレーム(11)を上下方向に延在する左上下フレーム(15)と前後方向に延在する左前後フレーム(16)で形成し、
前記機体フレーム(1)に設けられた第1支持部(30)と第1連結フレーム(13)を左右方向に所定の間隔を隔てた一対の第1防振部材(31)を介して連結し、前記機体フレーム(1)に設けられた第2支持部(35)と左前後フレーム(16)を第2防振部材(37)を介して連結し、前記機体フレーム(1)に設けられた第3支持部(38)と第2連結フレーム(14)を左右方向に所定の間隔を隔てた左右一対の第3防振部材(39)を介して連結し、
平面視において、前後方向では、前記第2防振部材(37)を、前記第1支持部(30)よりも後側で、且つ、第3防振部材(39)よりも前側に配置し、左右方向では、前記第2防振部材(37)を、前記第1支持部(30)と第3防振部材(39)よりも左側に配置し、
前記機体フレーム(1)にエンジン(E)の出力回転を増減速するトランスミッション(36)を設け、
前記第2支持部(35)の下部をトランスミッション(36)の上部に連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
側面視において、前記第2防振部材(37)を、前記第1防振部材(31)よりも上側で、且つ、前記第3防振部材(39)よりも下側に配置した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
側面視において、前記第2防振部材(37)を、前記第1防振部材(31)と第3防振部材(39)を結ぶ仮想線上に配置した請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第2防振部材(37)と第3防振部材(39)を、前記第1防振部材(31)よりも大きな防振部材にした請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第3防振部材(39)の左右方向の間隔を、前記第1防振部材(31)の左右方向の間隔よりも広くした請求項4記載のコンバイン。
【請求項6】
前記操縦部(5)のサイドパネル(50)の前後方向の中間部に凹部(55)を形成し、
前記凹部(55)にエンジン(E)を緊急停止するスイッチ(52)を設け、
前記スイッチ(52)の上端部をサイドパネル(50)の上端部から下側に配置した請求項1記載のコンバイン。
【請求項7】
側面視において、前記凹部(55)の前部を後下がり傾斜に形成し、前記凹部(55)の後部を後上がり傾斜に形成した請求項
6記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦部をキャビンで覆ったコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操縦部の作業環境を改善するために、操縦部をキャビンで覆ってキャビンの上側前部に圃場を照らす作業灯を設ける手段が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手段では、走行時に機体フレームに発生する振動によってキャビンに大きな揺れが発生する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、操縦部を覆うキャビンの揺れを低減したコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈を脱穀する脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の外周部をキャビン(9)で覆い、平面視において、前記キャビン(9)のフレーム(10)を、左側に配置される左フレーム(11)と、右側に配置される右フレーム(12)と、前記左フレーム(11)と右フレーム(12)の前部を連結する第1連結フレーム(13)と、前記左フレーム(11)と右フレーム(12)の後部を連結する第2連結フレーム(14)で形成し、側面視において、前記左フレーム(11)を上下方向に延在する左上下フレーム(15)と前後方向に延在する左前後フレーム(16)で形成し、前記機体フレーム(1)に設けられた第1支持部(30)と第1連結フレーム(13)を左右方向に所定の間隔を隔てた一対の第1防振部材(31)を介して連結し、前記機体フレーム(1)に設けられた第2支持部(35)と左前後フレーム(16)を第2防振部材(37)を介して連結し、前記機体フレーム(1)に設けられた第3支持部(38)と第2連結フレーム(14)を左右方向に所定の間隔を隔てた左右一対の第3防振部材(39)を介して連結し、平面視において、前後方向では、前記第2防振部材(37)を、前記第1支持部(30)よりも後側で、且つ、第3防振部材(39)よりも前側に配置し、左右方向では、前記第2防振部材(37)を、前記第1支持部(30)と第3防振部材(39)よりも左側に配置し、前記機体フレーム(1)にエンジン(E)の出力回転を増減速するトランスミッション(36)を設け、前記第2支持部(35)の下部をトランスミッション(36)の上部に連結したことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、側面視において、前記第2防振部材(37)を、前記第1防振部材(31)よりも上側で、且つ、前記第3防振部材(39)よりも下側に配置した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、側面視において、前記第2防振部材(37)を、前記第1防振部材(31)と第3防振部材(39)を結ぶ仮想線上に配置した請求項2記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記第2防振部材(37)と第3防振部材(39)を、前記第1防振部材(31)よりも大きな防振部材にした請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記第3防振部材(39)の左右方向の間隔を、前記第1防振部材(31)の左右方向の間隔よりも広くした請求項4記載のコンバインである。
【0011】
【0012】
請求項6記載の発明は、前記操縦部(5)のサイドパネル(50)の前後方向の中間部に凹部(55)を形成し、前記凹部(55)にエンジン(E)を緊急停止するスイッチ(52)を設け、前記スイッチ(52)の上端部をサイドパネル(50)の上端部から下側に配置した請求項1記載のコンバインである。
【0013】
請求項7記載の発明は、側面視において、前記凹部(55)の前部を後下がり傾斜に形成し、前記凹部(55)の後部を後上がり傾斜に形成した請求項6記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)の外周部をキャビン(9)で覆い、平面視において、キャビン(9)のフレーム(10)を、左側に配置される左フレーム(11)と、右側に配置される右フレーム(12)と、左フレーム(11)と右フレーム(12)の前部を連結する第1連結フレーム(13)と、左フレーム(11)と右フレーム(12)の後部を連結する第2連結フレーム(14)で形成し、側面視において、左フレーム(11)を上下方向に延在する左上下フレーム(15)と前後方向に延在する左前後フレーム(16)で形成し、機体フレーム(1)に設けられた第1支持部(30)と第1連結フレーム(13)を左右方向に所定の間隔を隔てた一対の第1防振部材(31)を介して連結し、機体フレーム(1)に設けられた第2支持部(35)と左前後フレーム(16)を第2防振部材(37)を介して連結し、機体フレーム(1)に設けられた第3支持部(38)と第2連結フレーム(14)を左右方向に所定の間隔を隔てた左右一対の第3防振部材(39)を介して連結し、平面視において、前後方向では、第2防振部材(37)を、第1支持部(30)よりも後側で、且つ、第3防振部材(39)よりも前側に配置し、左右方向では、第2防振部材(37)を、第1支持部(30)と第3防振部材(39)よりも左側に配置し、機体フレーム(1)にエンジン(E)の出力回転を増減速するトランスミッション(36)を設け、第2支持部(35)の下部をトランスミッション(36)の上部に連結したので、走行時に機体フレーム(1)に発生した振動が第1~3支持部(30,35,38)を介してフレーム(10)に伝わるのを抑制してキャビン(9)の揺れを抑制することができる。また、第2支持部(35)の剛性を高めて、第2支持部(35)の変形を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、側面視において、第2防振部材(37)を、第1防振部材(31)よりも上側で、且つ、第3防振部材(39)よりも下側に配置したので、キャビン(9)の揺れをより抑制することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、側面視において、第2防振部材(37)を、第1防振部材(31)と第3防振部材(39)を結ぶ仮想線上に配置したので、キャビン(9)の揺れをさらに抑制することができ、フレーム(10)に伝わった振動を速やかに減衰することもできる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、第2防振部材(37)と第3防振部材(39)を、第1防振部材(31)よりも大きな防振部材にしたので、第1連結フレーム(13)よりも振幅が大きい左前後フレーム(16)と第2連結フレーム(14)の振動を効率良く抑制することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、第3防振部材(39)の左右方向の間隔を、第1防振部材(31)の左右方向の間隔よりも広くしたので、第2連結フレーム(14)の振動をより効率良く抑制することができる。
【0019】
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)のサイドパネル(50)の前後方向の中間部に凹部(55)を形成し、凹部(55)にエンジン(E)を緊急停止するスイッチ(52)を設け、スイッチ(52)の上端部をサイドパネル(50)の上端部から下側に配置したので、作業者がスイッチ(52)を誤って押下するのを防止することができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明による効果に加えて、側面視において、凹部(55)の前部を後下がり傾斜に形成し、凹部(55)の後部を後上がり傾斜に形成したので、エンジン(E)のオーバーヒート等の緊急事態が発生した場合にはスイッチ(52)を速やかに押下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】操縦部を覆うキャビンのフレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0024】
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5は上部に照明用ライトを備えたキャビン9で覆われている。
【0025】
図3に示すように、キャビン9を形成するフレーム10は、左フレーム11と、右フレーム12と、左フレーム11と右フレーム12の前部を連結する矩形状の連結フレーム(請求項の「第1連結フレーム」)13と、左フレーム11と右フレーム12の後部を連結する左右方向に延在する複数の連結フレーム(請求項の「第2連結フレーム」)14から形成されている。
【0026】
図4に示すように、左フレーム11は、上下方向に延在する左上下フレーム15A~15Dと、前後方向に延在する左前後フレーム16A~16Eから形成されている。なお、本明細書では左上下フレーム15A~15Dを総称して左上下フレーム15といい、左前後フレーム16A~16Eを総称して左前後フレーム16という。
【0027】
左前後フレーム16Aは、左上下フレーム15Aと左上下フレーム15Dの上部に連結され、前部は左上下フレーム15Aよりも前側に延出している。左前後フレーム16Bは、左上下フレーム15Aと左上下フレーム15Aにおける上側の上部に連結されている。左前後フレーム16Cは、左上下フレーム15Aの中間部と、左上下フレーム15C及び左上下フレーム15Dの下部に連結されている。左前後フレーム16Dは、左上下フレーム15Aにおける下側の中間部と左上下フレーム15Bの中間部に連結され、左上下フレーム15Bよりも後側に延出している。左前後フレーム16Eは、左上下フレーム15Aと左上下フレーム15Bの下部に連結され、前部は左上下フレーム15Aよりも前側に延出し、後部は左上下フレーム15Bよりも後側に延出している。これにより、左フレーム11の剛性を高めて、左フレーム11の変形を抑制することができる。
【0028】
図5に示すように、右フレーム12は、上下方向に延在する右上下フレーム17A~17Cと、前後方向に延在する右前後フレーム18A,18Bと、右上下フレーム17Cの下部と右前後フレーム18Bの後部を連結する右湾曲フレーム19から形成されている。なお、本明細書では右上下フレーム17A~17Cを総称して右上下フレーム17といい、右前後フレーム18A,18Bを総称して右前後フレーム18という。
【0029】
右前後フレーム18Aは、右上下フレーム17Aと右上下フレーム17Bの上部に連結され、前部は右上下フレーム17Aよりも前側に延出している。右前後フレーム18Bは、右上下フレーム17Aと右湾曲フレーム19の下部に連結されている。また、右上下フレーム17Bは、右前後フレーム18Aと右湾曲フレーム19における後側の前部に連結されている。これにより、右フレーム12の剛性を高めて、右フレーム12の変形を抑制することができる。
【0030】
図4,5に示すように、連結フレーム13の前後方向に延在する左連結フレーム13Lは、左上下フレーム15Aと左上下フレーム15Bの下部に連結されている。連結フレーム13の前後方向に延在する右連結フレーム13Rは、右上下フレーム17Aと右湾曲フレーム19の下部に連結されている。また、連結フレーム14は、左前後フレーム16Cと右湾曲フレーム19の後部に連結されている。これにより、左フレーム11と右フレーム12を強固に連結してフレーム10の剛性を高めて、フレーム10の変形を抑制することができる。
【0031】
連結フレーム13の内周部には、上部が開放された直方体状の収納ボックス20の上部が固定されている。収納ボックス20の収納空間には、バッテリィ20Aやポンプ20B等が収納され、収納ボックス20の右壁に形成された開口部には、作業者が昇降時に利用する階段状のステップ(図示省略)が装着されている。
【0032】
フレーム10の後部には、操縦部5とエンジンルーム6を区画する区画部材21が設けられている。区画部材21の前部には、作業者が利用する操縦席を支持する支持部材22が設けられ、区画部材21の左部には、区画部材21を上方に折り曲げて左側と下側が開放された凸部23が形成されている。これにより、エンジンEから排気される排気ガス中に含まれる不純物を浄化する排気浄化装置(DPF)の前部を凸部23に侵入させて配置することができる。
【0033】
区画部材21は、連結フレーム13の後部に着脱自在に固定された下端部から上方に延在する部位21Aと、部位21Aの上端部から上方後側に延在する部位21Bと、部位21Bの上端部から緩やかに上方後側に延在する部位21Cと、部位21Cの上端部から上方に延在する部位21Dと、部位21Dの上端部から上方後側に延在する部位21Eから形成されている。なお、部位21Eの後端部は、連結フレーム14に着脱自在に固定されている。
【0034】
図6に示すように、左上下フレーム15Aは、連結フレーム13に連結された下端部から上方に延在した後に上方左側に向かって湾曲し、その後、上方に向かって湾曲した後に上方に延在している。左上下フレーム15Bも同様に、下端部から上方に延在した後に上方左側に向かって湾曲し、その後、上方に向かって湾曲した後に上方に延在している。これにより、操縦部5の操縦席の左側に大きな空間を形成することができ、作業者の狭い空間に起因するストレスを軽減することができる。また、右上下フレーム17Aは、連結フレーム13に連結された下端部から上方に延在している。
【0035】
左フレーム11には、板状の左壁25が設けられ、左壁25は、左フレーム11に沿って下方に延在する部位25Aと、部位25Aの下端部から下方右側に延在する部位25Bと、部位25Bの下端部から下方に延在する部位25Cから形成されている。
【0036】
部位25Aの上部に形成された矩形状の開口部には窓(図示省略)が設けられ、部位25Cの下端部は連結フレーム13に当接している。また、部位25Aの下部と、部位25Bと、部位25Cに対向する部位には、連結フレーム13の上面から上方左側に延在する板状のカバー部材26が設けられている
【0037】
右フレーム12には、板状の右壁27が設けられ、右壁27の上部に形成された矩形状の開口部には窓(図示省略)が設けられている。
【0038】
図7~10に示すように、連結フレーム13の前連結フレーム13Aの下側には、機体フレーム1の前部に設けられた支持部(請求項の「第1支持部」)30が設けられている。支持部30は、前連結フレーム13Aの下側に配置される左右方向に延在する左右支持部材30Aと、左右支持部材30Aの左部から機体フレーム1に延在する左上下支持部材30Lと、左右支持部材30Aの右部から機体フレーム1に延在する右上下支持部材30Rから形成されている。なお、支持部30はトランスミッション36の出力軸36Aよりも前側に設けられている。
【0039】
前連結フレーム13Aの下面と左右支持部材30Aの上面は左右方向に所定の間隔を隔てて設けられた左右一対の防振ゴムやショックアブソーバ等の防振部材(請求項の「第1防振部材」)31を介して連結されている。これにより、走行時等に機体フレーム1に発生した振動が左右支持部材30Aを介して前連結フレーム13Aに伝わるのを抑制してキャビン9の揺れを抑制することができる。
【0040】
また、左右支持部材30Aの下面における中間部にはエンジンEの出力回転を増減速する油圧式の無段変速装置32に供給されるオイル内の不純物を除去するオイルフィルタ33が装着されている。これにより、無段変速装置32とオイルフィルタ33を接続する可撓性ホースの配策を容易に行うことができる。
【0041】
左前後フレーム16Dの下側には、機体フレーム1の前部に設けられた支持部(請求項の「第2支持部」)35が設けられている。支持部35は、左前後フレーム16Dの下側に配置される前後方向に延在する前後支持部材35Aと、前後支持部材35Aの前部から機体フレーム1の前部に配置された無段変速装置32の出力回転を増減速するトランスミッション36に延在する前上下支持部材35Fと、前後支持部材35Aの後部からトランスミッション36に延在する後上下支持部材35Bから形成されている。これにより、前上下支持部材35Fと後上下支持部材35Bの長さを短くして支持部35の剛性を高めて、支持部35の変形を防止することができる。
【0042】
左前後フレーム16Dの下面と前後支持部材35Aの上面は防振ゴムやショックアブソーバ等の防振部材(請求項の「第2防振部材」)37を介して連結されている。これにより、走行時等に機体フレーム1に発生した振動が前後支持部材35Aを介して左前後フレーム16Dに伝わるのを抑制してキャビン9の揺れを抑制することができる。
【0043】
連結フレーム14の下側には、機体フレーム1における前側の後部に設けられた支持部(請求項の「第3支持部」)38が設けられている。支持部38は、連結フレーム14の下側に配置される左右方向に延在する左右支持部材38Aと、左右支持部材38Aの左部から機体フレーム1に延在する左上下支持部材38Lと、左右支持部材38Aの右部から機体フレーム1に延在する右上下支持部材38Rから形成されている。また、左上下支持部材38Lと右上下支持部材38Rにおける上側の下部は左右方向に延在する左右補強部材38Dが設けられている。これにより、支持部38の剛性を高めて、支持部38の変形を防止することができる。
【0044】
連結フレーム14の下面と左右支持部材38Aの上面は左右方向に所定の間隔を隔てて設けられた左右一対の防振ゴムやショックアブソーバ等の防振部材(請求項の「第3防振部材」)39を介して連結されている。これにより、走行時等に機体フレーム1に発生した振動が左右支持部材38Aを介して連結フレーム14に伝わるのを抑制してキャビン9の揺れを抑制することができる。
【0045】
平面視において、前側から順に防振部材31、防振部材37、防振部材39が設けられている。防振部材37は、防振部材31と防振部材39よりも左側に設けられ、トランスミッション36の左右方向の中心に位置している。防振部材39は、防振部材31よりも左側に偏移、すなわち、左側の防振部材39は左側の防振部材31よりも左側に設けられ、右側の防振部材39は右側の防振部材31よりも左側に設けられている。また、左側の防振部材39と右側の防振部材39の間隔は、左側の防振部材31と右側の防振部材31の間隔よりも広く設けられている。
【0046】
防振部材37と防振部材39は、防振部材31よりも大型の防振ゴムを使用するのが好ましい。これにより、前連結フレーム13Aよりも前後方向と左右方向の振動による振幅が大きい左前後フレーム16Dと連結フレーム14の振動を抑制することができる。
【0047】
側面視において、防振部材31はトランスミッション36よりも上側に設けられ、防振部材37は防振部材31よりも上側に設けられ、防振部材39は防振部材37よりも上側に設けられている。防振部材37は、防振部材31と防振部材39を結ぶ仮想線上に位置させて設けることが好ましい。これにより、走行時等に機体フレーム1に発生した振動が左右支持部材30Aや前後支持部材35A、左右支持部材38Aを介してフレーム10に伝わるのをより抑制してキャビン9の揺れをより抑制することができ、フレーム10に伝わった振動を速やかに減衰することもできる。
【0048】
図11に示すように、キャビン9の右壁における下側前部には、走行装置2を制動する駐車ブレーキペダル40と対向するメンテナンス作業用の矩形状の開口部41が形成されている。これにより、開口部41を介して駐車ブレーキペダル40のメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、通常時には、開口部41は矩形状のカバー42で覆われている。
【0049】
図12,13に示すように、操縦部5の操縦席の前側にはフロントパネル45が設けられ、左側にはサイドパネル50が設けられている。
【0050】
フロントパネル45には、走行装置2の走行速度やエンジンEの出力回転を表示するモニタ46が設けられている。また、モニタ46の右側には走行装置2の旋回や刈取装置3の昇降を行う操作レバー(図示省略)が設けられている。
【0051】
サイドパネル50の左部は、キャビン9の左壁を支持する左前後フレーム16Dに近接して設けられている。サイドパネル50の前部には、無段変速装置32を操作する変速レバー51が設けられ、変速レバー51の後側には、エンジンEを緊急停止する緊急停止スイッチ(請求項の「スイッチ」)52が設けられ、緊急停止スイッチ52の右側にはエンジンEの出力回転を刈取装置3に伝動する刈取クラッチと脱穀装置4に伝動する脱穀クラッチを操作する刈脱レバー53が設けられている。
【0052】
緊急停止スイッチ52は、サイドパネル50の凹部55に設けられ、緊急停止スイッチ52の上部は、サイドパネル50の上面と略同一位置に設けられている。これにより、緊急停止スイッチ52が誤って押下するのを防止することができる。
【0053】
側面視において、凹部55の前壁は前上がり傾斜に形成され、後壁は後上がり傾斜に形成されている。また、前後方向において、緊急停止スイッチ52は、前側に移動されて前側傾斜姿勢の刈脱レバー53のグリップ部よりも後側に設けられ、後側に移動されて後側傾斜姿勢の刈脱レバー53のグリップ部よりも後側に設けられている。これにより、エンジンEのオーバーヒート等が発生した場合に緊急停止スイッチ52を速やかに押下することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
9 キャビン
10 フレーム
11 左フレーム
12 右フレーム
13 連結フレーム(第1連結フレーム)
14 連結フレーム(第2連結フレーム)
15 左上下フレーム
16 左前後フレーム
30 支持部(第1支持部)
31 防振部材(第1防振部材)
35 支持部(第2支持部)
36 トランスミッション
37 防振部材(第2防振部材)
38 支持部(第3支持部)
39 防振部材(第3防振部材)
50 サイドパネル
52 緊急停止スイッチ(スイッチ)
55 凹部
E エンジン