(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】薬剤円筒形容器の欠陥の検出および特徴付け
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20250522BHJP
G02B 21/10 20060101ALI20250522BHJP
G02B 21/12 20060101ALI20250522BHJP
A61J 1/00 20230101ALI20250522BHJP
【FI】
G01N21/90 B
G02B21/10
G02B21/12
A61J1/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006024
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-09-19
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プフィスター
(72)【発明者】
【氏名】メルヒオール ヴェートリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン クレーガー
【審査官】大野 倫太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10337977(US,B1)
【文献】特表2020-533576(JP,A)
【文献】特開2009-229200(JP,A)
【文献】特開平04-072554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
G02B 19/00-G02B 21/00
G02B 21/06-G02B 21/36
A61J 1/00-A61J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器(1)を検査する装置であって、
前記装置は、サポートデバイスと受光ユニットと発光ユニットとを含んでおり、
前記サポートデバイスは、前記薬剤円筒形容器(1)が、その長手方向軸線(2)を中心に回転可能であるように、前記薬剤円筒形容器(1)をその側面で支持し、
前記受光ユニットは、前記薬剤円筒形容器(1)の画像を取得するためのメインカメラ(6)を含んでおり、
前記発光ユニットは、前記メインカメラ(6)に関して、明視野光源(7)と放射状暗視野光源(8)と軸方向暗視野光源(9)とを含み、
前記明視野光源(7)、前記放射状暗視野光源(8)および/または前記軸方向暗視野光源(9)は、偏光光を放射し、前記発光ユニットは、前記光源と前記薬剤円筒形容器(1)との間に配置されている少なくとも1つのデポラライザをさらに含むか、または、前記明視野光源(7)、前記放射状暗視野光源(8)および/または前記軸方向暗視野光源(9)は、無偏光光を
前記薬剤円筒形容器(1)に放射する、
装置。
【請求項2】
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線とは、水平面(3)を規定し、前記メインカメラ(6)の中心線(10)は、前記水平面(3)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な垂直軸線とは、垂直面(4)を規定し、前記メインカメラ(6)の前記中心線(10)は、前記垂直面(4)と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線と、前記長手方向軸線(2)に対して直角であり、かつ前記薬剤円筒形容器(1)の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線と、は横断面(5)を規定し、前記メインカメラ(6)の前記中心線(10)は、前記横断面(5)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線とは、水平面(3)を規定し、前記明視野光源(7)の中心線(11)は、前記水平面(3)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な垂直軸線とは、垂直面(4)を規定し、前記明視野光源(7)の前記中心線(11)は、前記垂直面(4)と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線と、前記長手方向軸線(2)に対して直角であり、かつ前記薬剤円筒形容器(1)の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線と、は横断面(5)を規定し、前記明視野光源(7)の前記中心線(11)は、前記横断面(5)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線とは、水平面(3)を規定し、前記軸方向暗視野光源(9)の中心線(13)は、前記水平面(3)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な垂直軸線とは、垂直面(4)を規定し、前記軸方向暗視野光源(9)の前記中心線(13)は、前記垂直面(4)と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線と、前記長手方向軸線(2)に対して直角であり、かつ前記薬剤円筒形容器(1)の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線と、は横断面(5)を規定し、前記軸方向暗視野光源(9)の前記中心線(13)は、前記横断面(5)と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線とは、水平面(3)を規定し、前記放射状暗視野光源(8)の中心線(12)は、前記水平面(3)と、10°以上90°以下の角度で交差し、有利には45°以上90°以下の角度で交差し、より有利には70°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)と前記長手方向軸線(2)に対して直角な垂直軸線とは、垂直面(4)を規定し、前記放射状暗視野光源(8)の前記中心線(12)は、前記垂直面(4)と、0°以上70°以下の角度で交差し、有利には0°以上45°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、かつ/または
前記薬剤円筒形容器(1)の前記長手方向軸線(2)に対して直角な水平方向軸線と、前記長手方向軸線(2)に対して直角であり、かつ前記薬剤円筒形容器(1)の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線と、は横断面(5)を規定し、前記放射状暗視野光源(8)の前記中心線(12)は、前記横断面(5)と、0°以上70°以下の角度で交差し、有利には0°以上45°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記受光ユニットは、5個~25個、有利には8個~18個、より有利には11個~14個のカメラを含んでいる、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記明視野光源(7)、前記軸方向暗視野光源(9)または前記放射状暗視野光源(8)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの発光面を含んでおり、少なくとも1つの発光面は、
i)明視野発光面は、20cm
2~2000cm
2、有利には15cm
2~1000cm
2、より有利には25cm
2~600cm
2の範囲のサイズを有している、かつ/または
ii)軸方向暗視野発光面は、0.5cm
2~1000cm
2、有利には0.8cm
2~200cm
2、より有利には1.0cm
2~64cm
2の範囲のサイズを有している、かつ/または
iii)放射状暗視野発光面は、0.5cm
2~2000cm
2、有利には0.8cm
2~1000cm
2、より有利には1cm
2~400cm
2の範囲のサイズを有している、
のうちの1つまたは複数を提示する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記明視野光源(7)、前記軸方向暗視野光源(9)または前記放射状暗視野光源(8)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの発光面を含んでおり、少なくとも1つの発光面は、
i)各前記発光面の色温度は、2000K~7000K、有利には3000K~6000K、より有利には4000K~5000Kの間である、かつ/または
ii)前記軸方向暗視野光源および前記放射状暗視野光源の各前記発光面の光束は、前記明視野光源の前記発光面の光束よりも高い、かつ/または
iii)各前記発光面と前記サポートデバイスとの間の間隔は、5cm~50cm、有利には8cm~30cm、より有利には10cm~20cmの間である、
のうちの1つまたは複数を提示する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記発光ユニットは、相互に隣接している第1の発光面と第2の発光面とを備える光源を含んでおり、前記第1の発光面と前記第2の発光面とは、10°~80°、有利には30°~60°、有利には40°~50°の範囲の角度で、より有利には約45°の角度で交差している、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記サポートデバイスは、少なくとも2つのサポートホイール(14,15)と1つのフリクションホイール(16)とを含んでおり、前記フリクションホイール(16)は、前記サポートホイール(14,15)上に配置されている前記薬剤円筒形容器(1)が、前記フリクションホイール(16)によってその長手方向軸線(2)を中心に回転可能であるように配置されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記サポートデバイス、前記発光ユニットおよび前記受光ユニットをコントロールするコントロールユニットを含んでおり、前記コントロールユニットは、
i)0.3秒~10秒、より有利には0.5秒~8秒、より有利には約1秒で、1つの薬剤円筒形容器(1)を測定するように構成されている、かつ/または
ii)前記薬剤円筒形容器(1)を、その長手方向軸線(2)を中心に360°回転させるように構成されている、かつ/または
iii)前記薬剤円筒形容器(1)を、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って回転させるように構成されている、かつ/または
iv)前記薬剤円筒形容器(1)を、画像取得と画像取得との間に回転させるように構成されている、かつ/または
v)前記フリクションホイール(16)の速度に基づいて、前記受光ユニットの各カメラ(6)および前記発光ユニットの各発光面のアクティブ化/非アクティブ化を調整するように構成されている、
請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記サポートデバイス、前記発光ユニットおよび前記受光ユニットをコントロールするコントロールユニットを含んでおり、前記コントロールユニットは、
i)前記メインカメラ(6)に関して、前記明視野光源(7)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
ii)前記メインカメラ(6)に関して、前記軸方向暗視野光源(9)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iii)前記メインカメラ(6)に関して、前記放射状暗視野光源(8)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iv)前記メインカメラ(6)に関して、前記放射状暗視野光源および前記軸方向暗視野光源(8,9)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、
ように少なくとも1つの画像を取得するために、前記発光ユニットの前記明視野光源(7)、前記軸方向暗視野光源(9)および/または前記放射状暗視野光源(8)および前記受光ユニットの前記メインカメラ(6)をアクティブ化するように構成されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、コントロールデバイスを含んでおり、前記コントロールデバイスは、200μm以上、有利には100μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを提示する、薬剤円筒形容器(1)の欠陥が検出されると、後続の処理から、薬剤円筒形容器(1)を除外するように構成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、コントロールデバイスを含んでおり、前記コントロールデバイスは、薬剤円筒形容器(1)で、以下の特性のうちの1つまたは複数を提示する欠陥、すなわち特性
i)前記欠陥は、前記薬剤円筒形容器(1)の表面上の金属欠陥である、かつ/または
ii)前記欠陥は、前記薬剤円筒形容器(1)の表面上の非金属欠陥である、かつ/または
iii)前記欠陥は、前記薬剤円筒形容器(1)の壁部内または表面上の泡である、かつ/または
iv)前記欠陥は、前記薬剤円筒形容器(1)の壁部内の金属欠陥である、かつ/または
v)前記欠陥は、前記薬剤円筒形容器(1)の壁部内の非金属欠陥である、
のうちの1つまたは複数を提示する欠陥が検出されると、後続の処理から、薬剤円筒形容器(1)を除外するように構成されており、
前記欠陥は、80μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有している、
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の装置によって、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器(1)を検査する方法であって、前記方法は、
・前記薬剤円筒形容器(1)を、その側面でもって、サポートデバイス上に配置するステップと、
・前記薬剤円筒形容器(1)をその長手方向軸線(2)を中心に、有利には増分を伴って回転させるステップと、
・前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像を取得するために発光ユニットおよび受光ユニットをアクティブ化するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項16】
前記薬剤円筒形容器(1)がその長手方向軸線(2)を中心に360°回転するように前記回転を実行させ、かつ/または、前記回転を、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って実行させる、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記発光ユニットおよび前記受光ユニットをそれぞれ、
i)明視野画像を得るために、メインカメラ(6)に関して、明視野光源(7)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
ii)軸方向暗視野画像を得るために、前記メインカメラ(6)に関して、軸方向暗視野光源(9)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iii)放射状暗視野画像を得るために、前記メインカメラ(6)に関して、放射状暗視野光源(8)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iv)組み合わされた軸方向暗視野画像および放射状暗視野画像を得るために、前記メインカメラ(6)に関して、前記放射状暗視野光源および前記軸方向暗視野光源(8,9)だけがアクティブ化されている場合に、前記薬剤円筒形容器(1)の少なくとも1つの画像が取得される、
ように少なくとも1つの画像を取得するためにアクティブ化する、
請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
前記明視野画像、前記軸方向暗視野画像、前記放射状暗視野画像および/または組み合わされた前記軸方向暗視野画像および前記放射状暗視野画像を任意のシーケンスで取得し、前記薬剤円筒形容器(1)を、その長手方向軸線(2)を中心に、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って、画像取得と画像取得との間に回転させる、
請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する装置に関し、この装置は、サポートデバイスと発光ユニットと受光ユニットとを含んでいる。
【0002】
さらに、本発明は、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
品質保証のために、完成した薬剤円筒形容器または製造プロセス中の薬剤円筒形容器の中間製品を検査することが一般的に行われている。欠陥が検出されると、この製品または中間製品を、後続の処理から除外することができる。
【0004】
独国特許出願公開第102011113670号明細書から、板ガラスの検査装置が既知である。さらに独国特許出願公開第102016114190号明細書は、透明体の光学的検査のための方法およびデバイスを開示している。
【0005】
特に、注射器、カープル、バイアル等の薬剤円筒形容器は、厳格な品質基準を満たしていなければならない。例えば、膨らみ、くぼみ、引っかき傷、付着した粒子、泡、または閉じ込められた異物等の欠陥を薬剤円筒形容器が含んでいることは回避されなければならない。薬剤円筒形容器は大量生産されるので、薬剤円筒形容器を極めて迅速に測定することができる検査システムが開発される必要がある。さらに、速度が無段変速であり、そのため、このシステムが、さまざまな製造速度に対応できるのはさらに有利であろう。それにもかかわらず、何らかの欠陥を含んでいる薬剤円筒形容器が確実に識別され、これらを後続の処理から除外することができることが保証されなければならない。
【0006】
薬剤円筒形容器を検査する既知の装置は、迅速、可変かつ確実な検査という点において上述の要件を満たしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願に記載されている発明は、迅速かつ確実な検査が行われるように、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する装置および方法を改良し、さらに発展させるという課題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態では、本発明は、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する装置を提供し、この装置は、サポートデバイスと受光ユニットと発光ユニットとを含んでいる。このサポートデバイスは、薬剤円筒形容器が、その長手方向軸線を中心に回転可能であるように、薬剤円筒形容器をその側面で支持する。受光ユニットは、薬剤円筒形容器の画像を取得するためのメインカメラを含んでおり、発光ユニットは、メインカメラに関して、明視野光源と放射状暗視野光源と軸方向暗視野光源とを含んでいる。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、有利には請求項1から14までのいずれか1項記載の装置によって、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する方法を提供し、この方法は、
・薬剤円筒形容器を、その側面でもって、サポートデバイス上に配置するステップと、
・薬剤円筒形容器をその長手方向軸線を中心に、有利には増分を伴って回転させるステップと、
・薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像を取得するために発光ユニットおよび受光ユニットをアクティブ化するステップと
を含んでいる。
【0010】
1つの利点は、製品全体にわたって、欠陥を視覚化および分類することができることである。なぜなら、薬剤円筒形容器はその側面で支持されており、その長手方向軸線を中心に回転可能であるので、異なる方向(明視野、放射状暗視野および軸方向暗視野)から薬剤円筒形容器のすべての壁部を光が通ることができるからである。この回転は、欧州特許出願19200246.7(2019年9月27日に出願)および欧州特許出願19200221.0(2019年9月27日に出願)に記載されている装置によって実行することができ、これらの文献は、参照によって本願に取り入れられている。いくつかの画像を取得することができるので、受光ユニットの欠損から、その回転時に対象物とともに移動するだろう対象物の欠陥、例えば汚れている対象物を区別することが可能である。さらに、記載された発光ユニットによって、欠陥の配向とは無関係の内部欠陥ならびに使用されている異なる光源による表面欠陥を視覚化することができる。別の利点は、対象物の回転と、発光ユニットおよび受光ユニットの起動との間の最適な同期が、容易な手段によって実現可能であるということであり、これによって、従来技術のシステムと比べて、より高いストロークおよび欠陥の改良された検出が可能になる。
【0011】
用語「薬剤円筒形容器」は、特に特許請求の範囲において、有利には明細書において、医薬製品、例えば注射液または錠剤を格納するのに使用可能な円筒形容器を指す。薬剤円筒形容器は、注射器、バイアル、アンプル、カートリッジまたはチューブ材料のあらゆる特別な物品であってよい。本発明の装置によって検査される薬剤円筒形容器の直径は、4mm~80mm、有利には6mm~50mmの範囲にあってよい。
【0012】
用語「長手方向軸線」は、特に特許請求の範囲において、有利には明細書において、薬剤円筒形容器の円筒形部分の底部から頂部へと通る線、特に回転軸線を指す。測定される薬剤円筒形容器の円筒形部分の直径は、サポートデバイスによって特定されてもよい。このサポートデバイスは、薬剤円筒形容器が装置内に存在していない場合に、薬剤円筒形容器をその側面で支持する。例えば、サポートデバイスは、薬剤円筒形容器を包囲し、支持する3つのホイールを提示し、測定される薬剤円筒形容器の円筒形部分の直径は、これら3つのホイールが検査位置に配置されている場合には、これら3つのホイールの間隔によって規定される。
【0013】
本願では「薬剤円筒形容器」は、少なくとも円筒形部分を含んでいる。「薬剤円筒形容器をその側面で支持する」とは、有利には単に、薬剤円筒形容器の円筒形部分がその側面で支持されていることを意味している。したがって、例えば非円筒形の終端部を含んでいる注射器、カープルまたはアンプル等の薬剤円筒形容器は薬剤円筒形容器である。さらに、薬剤円筒形容器の側面は、滑らかである必要はない。側面は、溝または隆起部または波形部分またはあらゆるその他の構造を含んでいてよい。さらに側面は、薬剤円筒形容器が長手方向軸線を提示し、その長手方向表面で回転可能である限り、波状の形状またはあらゆる他の形状を有していてよい。容器はガラス、例えばアルミノケイ酸塩ガラスまたはホウケイ酸ガラス、またはポリマー、例えば環状オレフィンコポリマー(COC)または環状オレフィンポリマー(COP)で製造されていてよい。有利には、容器はガラス、より有利にはホウケイ酸ガラス、またはポリマー、より有利には環状オレフィンコポリマー(COC)または環状オレフィンポリマー(COP)で製造されている。最も有利には、容器は環状オレフィンコポリマー(COC)で製造されている。この種の薬剤円筒形容器の少なくとも1つは、請求項1記載の装置の一部であってよい、かつ/または請求項15記載の方法の一部であってよい、ということに留意されるべきである。
【0014】
本願では、バンドルは、薬剤円筒形容器の流通のための取引、積み込み、または梱包の単位である。例えば、通常、同じ種類の製品は、小売店で一緒に注文される、またはロジスティクスで束にされる場合に、バンドルとして結合される。本発明では、バンドルの薬剤円筒形容器を、スペーサー、例えばプラスチックまたは紙のシートによって分けることができる、または保持デバイス、例えばネスト、桶またはトレイ内に位置付けることができ、このため、これらが、搬送中に相互に接触することはない。必ずではないが、通常、バンドルは少なくとも部分的に、プラスチック薄膜によって覆われている。有利には1つのバンドルがプラスチック薄膜に覆われ、より有利には、バンドルはプラスチック薄膜に覆われ、かつすべての薬剤円筒形容器は滅菌され、例えば蒸気滅菌またはガンマ線によって滅菌されている。経済的な理由によって、バンドル内の2つの円筒体の間の間隔は、有利には5mmを下回り、より有利には3mmを下回り、より有利には1mmを下回り、より有利には0.5mmを下回り、最も有利には、バンドルのサイズおよび重量をさらに低減するために、円筒体は相互に直接的に接触している。バンドルは通常10個以上、有利には10個~1000個、より有利には20個~500個、最も有利には40個~250個の薬剤円筒形容器を含んでいる。バンドルの例は、SCHOTT AGのiQ(商標)プラットフォームであり、すなわちSCHOTT AGのすぐに使えるプラットフォームcartriQ(商標),adaptiQ(登録商標)またはsyriQ(登録商標)である。1つまたは複数、有利には10個~50個のバンドルを、パレット上に積むことができる、または搬送のための別の箱に梱包することができる。したがって、1つの実施形態では、搬送用の箱は、1つまたは複数の、有利には5個~50個の、より有利には10個~25個の、本願に記載されているバンドルを含んでいる。
【0015】
薬剤円筒形容器の長手方向軸線と長手方向軸線に対して直角な水平方向軸線とは水平面を規定し、さらに、薬剤円筒形容器の長手方向軸線と長手方向軸線に対して直角な垂直軸線とは垂直面を規定する。さらに、薬剤円筒形容器の長手方向軸線に対して直角な水平方向軸線と、長手方向軸線に対して直角であり、かつ薬剤円筒形容器の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線とは横断面を規定する。これらの面は
図1に示されている。上述した面はそれぞれ相互に直交している。この開示では、線、例えばカメラの中心線と面、例えば水平面との間の交角は、面の垂線ベクトルと線の方向ベクトルとの間の角度の反対の角度である。交差が0°として規定される場合には、この線と面とは平行である。一般的に、各光源は発光面を含んでいてよく、例えば明視野光源は明視野発光面を含んでいてよく、暗視野光源は暗視野発光面を含んでいてよい。光源またはカメラの中心線は本願では、それぞれ光源またはカメラレンズの発光面の中心から延在する中心線である。もしくは、装置が本願において、上述した3つの面に関して説明される場合であっても、薬剤円筒形容器に関して角度が変化しない限りは、装置全体を回転させることができる。
【0016】
本願において用語「金属欠陥」は、極めて広い意味で理解されるべきである。金属介在物は特に、1つまたは複数の主に元素金属でできている粒子の介在物である。したがって、金属介在物の金属は通常、0に等しい酸化状態を有している。金属介在物は特に貴金属および高融点金属を含んでいる。
【0017】
本願において用語「非金属介在物」は、極めて広い意味で理解されるべきである。非金属介在物は、特に陽イオン(酸化レベル>0)と陰イオン(酸化レベル<0)とから成る介在物であり、塩とも称される。特に、非金属介在物は、ガラス成分からの結晶ならびに高融点金属および貴金属の1つまたは複数の塩、特にガラス成分からの結晶ならびに高融点金属および貴金属の1つまたは複数のケイ酸塩または酸化物の形態の粒子を含んでいる。
【0018】
本願における欠陥のサイズは、特に特許請求の範囲において、有利には明細書において、欠陥のあらゆる始点からあらゆる終点まで測定可能な最長距離である。
【0019】
介在物は、それらが本質的に元素金属(約100%;酸化レベル0)で構成されている場合には、通常、金属介在物としてカウントされる。それ以外の場合、介在物は非金属介在物である。金属と非金属とを、当業者によって、欠陥の光学的な検査によって区別することができる。
【0020】
高融点金属は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンの金属である。
【0021】
本願における貴金属は、半貴金属を含んでおり、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀、金、銅、テクネチウム、レニウム、アンチモン、ビスマスおよびポロニウムである。
【0022】
介在物に含めることができる金属の他の例は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、スズ(金属介在物)およびそれらの塩(非金属介在物)である。
【0023】
本願では、用語「泡」は、極めて広い意味で理解されるべきである。泡は、ガラス内のガス介在物によって形成され、それによってガスは室温(20℃)で気体であり、冷却後には凝縮可能であり、圧力が低減された泡が形成される。介在物を形成するガスには、例えば、酸素、窒素、窒素酸化物、二酸化炭素、二酸化硫黄等が含まれる。
【0024】
用語「偏光光」は、特に特許請求の範囲において、有利には明細書において、有利には1nm~100μm、より有利には10nm~10μm、最も有利には400nm~800nmの範囲の波長を有する、既知の方法および/または装置によって検出可能な直線偏光、円偏光または楕円偏光を含んでいる光線を指す。
【0025】
用語「無偏光光」は、特に特許請求の範囲において、有利には明細書において、有利には1nm~100μm、より有利には10nm~10μm、最も有利には400nm~800nmの範囲の波長を有する、既知の方法および/または装置によって検出可能な直線偏光、円偏光または楕円偏光を含んでいない光線を指す。
【0026】
サポートデバイス
本発明では、装置はサポートデバイスを含んでおり、ここでこのサポートデバイスは、薬剤円筒形容器が、その長手方向軸線を中心に回転可能であるように、薬剤円筒形容器をその側面で支持する。
【0027】
有利には、サポートデバイスは、少なくとも2つのサポートホイールと1つのフリクションホイールとを含んでおり、ここでフリクションホイールは、サポートホイール上に配置されている薬剤円筒形容器が、フリクションホイールによってその長手方向軸線を中心に回転可能であるように配置されている。有利なサポートデバイスは、欧州特許出願19200246.7(2019年9月27日に出願)および欧州特許出願19200221.0(2019年9月27日に出願)に記載されており、これらの文献は、参照によって本願に取り入れられている。本願において、薬剤円筒形容器の側面は、薬剤円筒形容器の円筒形部分の外側表面である。有利には装置は、薬剤円筒形容器の底部および頂部とまったく直接的に接触していない。検査の間、薬剤円筒形容器をその側面でもって、サポートホイール上に水平に置くことによって、光が、少なくとも、ほぼ薬剤円筒形容器全体に届くことが可能である。したがって、薬剤円筒形容器が測定の間、保持手段およびフリクションホイールによってその側面でのみ保持されている場合には、薬剤円筒形容器を、少なくとも、ほぼいかなる影も伴わずに検査することが可能である。薬剤円筒形容器が測定の間、保持手段およびフリクションホイールによってその側面でのみ保持されている場合には、薬剤円筒形容器の頂部および/または底部を検査することも可能である。
【0028】
受光ユニット
受光ユニットは、少なくとも1つのメインカメラを含んでいる。有利には、受光ユニットは、付加的なカメラを含んでいる。各カメラは、レンズを含んでいる。有利には、メインカメラの中心線は、サポートデバイス、例えばサポートデバイスのホイールと交差しない。より有利には、メインカメラの中心線は、この中心線が薬剤円筒形容器を透過する前にはいずれのものとも交差しない。有利には、メインカメラは、薬剤円筒形容器の少なくとも円筒形部分全体の画像を取得する。そうでないことが規定されていない場合には、本願ではカメラは、メインカメラである。受光ユニットのカメラの総数は、特に制限されていない。
【0029】
配置されているカメラの総数は、薬剤円筒形容器のサイズに関連する。より多くのカメラが使用されるときには、より多くの画像を、1つの時間間隔内で得ることができる。このために、受光ユニットは有利には5個以上、より有利には10個以上、より有利には15個以上、最も有利には20個以上のカメラを含んでいる。しかし、受光ユニットが含んでいるカメラが多すぎる場合には、薬剤円筒形容器に対する各カメラのこの間隔は著しく増大する。したがって、受光ユニットは有利には25個以下、より有利には20個以下、より有利には15個以下、より有利には10個以下、最も有利には5個以下のカメラを含んでいる。有利には、受光ユニットは、8個~18個のカメラを含んでいる。なぜなら、薬剤円筒形容器全体を検査することができるが、受光ユニットがそれほど多くの空間を必要としないからである。11個~14個のカメラを含んでいる受光ユニットは極めて有利である。なぜなら、受光ユニットに対して必要な空間は最小でありながら、薬剤円筒形容器全体の良好な検査が依然として可能だからである。
【0030】
メインカメラおよび2個以上の、有利には3個以上の、有利には4個以上のカメラが水平面において直線状に配置されるように、付加的なカメラを配置することができる。これは、薬剤円筒形容器の円筒形部分全体の極めて詳細な検査が実現可能になるという利点を有している。
【0031】
さらに、受光ユニットは、有利には1つのカメラを含んでおり、このカメラは、
・薬剤円筒形容器の底部の画像および/または
・薬剤円筒形容器全体の概要画像および/または
・薬剤円筒形容器のシーリング表面の画像および/または
・薬剤円筒形容器の肩部の画像および/または
・薬剤円筒形容器の開口部の内側の画像および/または
・薬剤円筒形容器の開口部の外側の画像および/または
・薬剤円筒形容器のネック部分の画像
を取得する。
【0032】
ピクセルサイズおよびセンサーサイズおよびカメラのピクセルの総数は特に制限されていない。しかし、ピクセルサイズおよびセンサーサイズおよびピクセルの数が過度に小さい場合には、画像ノイズが増大し、画像の鮮明さが低減する。センサーサイズが過度に大きい場合には、カメラに対するコストが過度に増大し、カメラのサイズの増大も、それ/それらを装置内に設置するのを困難にする。さらに、カメラが大きくなるほど、容器の周りにカメラを配置することがより困難になる。このために、少なくともメインカメラは、有利には、以下の特性を提示する。
i)ピクセルサイズは3μm*3μm以上であり、かつ15μm*15μm以下であり、有利には4μm*4μm以上であり、かつ10μm*10μm以下であり、より有利には5μm*5μm以上であり、かつ7μm*7μm以下であり、
ii)センサーサイズは3mm*5mm以上であり、かつ15mm*20mm以下であり、有利には4mm*7mm以上であり、かつ10mm*15mm以下であり、より有利には5mm*8mm以上であり、かつ9mm*12mm以下であり、かつ/または
iii)ピクセルの数は1.5メガピクセル以上であり、かつ5.0メガピクセル以下であり、有利には1.8メガピクセル以上であり、かつ3.5メガピクセル以下であり、より有利には2.0メガピクセル以上であり、かつ3.0メガピクセル以下である。
【0033】
より有利には、メインカメラは、上述した特性i,ii,iii,i+ii,i+iiiまたはii+iiiを提示し、より有利には、メインカメラは、上述した特性i+ii+iiiを提示し、より有利には受光ユニットのすべてのカメラは同じカメラであり、最も有利には受光ユニットのすべてのカメラは同じカメラであり、かつ上述した特性i+ii+iiiを提示する。
【0034】
カメラと薬剤円筒形容器との間の間隔は特に制限されていない。しかし、この間隔が過度に長い場合には、画像の質が低下し、カメラの必要性が増す。この間隔が過度に小さい場合には、多くのカメラを配置することは不可能である。したがって、有利には、メインカメラとサポートデバイスとの間の間隔は有利には50mm以上であり、かつ600mm以下であり、より有利には80mm~450mmであり、より有利には100mm~350mmである。より有利には式
x=a/b
が成り立ち、ここでaは、メインカメラのピクセルの数であり、bは、単位mmでの、メインカメラとサポートデバイスとの間の間隔であり、xは1*104[mm-1]以上であり、かつ5*105[mm-1]以下であり、有利には5*104[mm-1]以上であり、かつ3*105[mm-1]以下であり、より有利には1*105[mm-1]以上であり、かつ2*105[mm-1]以下である。xが上述の範囲にある場合には、極めて小さい欠陥も検出することができる。
【0035】
有利には、メインカメラの中心線は、垂直面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または、有利にはかつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する。メインカメラをこのように配置するのは有利である。なぜなら、薬剤円筒形容器全体の画像を取得することができるからである。
【0036】
発光ユニット
本発明では、装置は発光ユニットを含んでおり、ここでこの発光ユニットはメインカメラに関して、放射状暗視野光源、軸方向暗視野光源および明視野光源を含んでいる。
【0037】
一般的に、放射状暗視野光源、軸方向暗視野光源および明視野光源は偏光光および/または無偏光光を放射することができる。無偏光光の使用は、容器がいかなる構造的な欠陥も有していない場合、容器から反射される光が偏光されるだろうという利点を有している。したがって、反射された光の偏光を分析することによって、構造的な欠陥を検出することができる。
【0038】
有利な実施形態では、明視野光源、軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源はそれぞれ発光面を含んでおり、ここでこれらの発光面は以下のうちの1つまたは複数を提示する。
i)明視野発光面は、20cm2~2000cm2、有利には15cm2~1000cm2、より有利には25cm2~600cm2の範囲のサイズを有している、
ii)軸方向暗視野発光面は、0.5cm2~1000cm2、有利には0.8cm2~200cm2、より有利には1.0cm2~64cm2の範囲のサイズを有している、かつ
iii)放射状暗視野発光面は、0.5cm2~2000cm2、有利には0.8cm2~1000cm2、より有利には1cm2~400cm2の範囲のサイズを有している。
【0039】
有利な実施形態では、明視野光源、軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源はそれぞれ発光面を含んでおり、ここでこれらの発光面は以下のうちの1つまたは複数を提示する。
i)各発光面の色温度は2000K~7000K、有利には3000K~6000K、より有利には4000K~5000Kの間である、
ii)軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源の各発光面の光束は、明視野光源の発光面の光束よりも高い、かつ
iii)各発光面とサポートデバイスとの間の間隔は5cm~40cm、有利には8cm~30cm、より有利には10cm~20cmの間である。
【0040】
有利な実施形態では、メインカメラの中心線および明視野光源の中心線は、垂直面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、明視野光源の中心線は薬剤円筒形容器およびメインカメラのレンズと接触し、
軸方向暗視野光源の中心線は横断面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ水平面および垂直面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、軸方向暗視野光源の中心線は薬剤円筒形容器と接触し、かつメインカメラのレンズとは接触せず、
放射状暗視野光源の中心線は水平面と、10°以上90°以下の角度で交差し、有利には45°以上90°以下の角度で交差し、より有利には70°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ横断面および垂直面と、0°以上70°以下の角度で交差し、有利には0°以上45°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、軸方向暗視野光源の中心線は薬剤円筒形容器と接触し、かつメインカメラのレンズとは接触しない。
【0041】
明視野光源
本発明では、装置は、メインカメラに関して、明視野光源を含んでいる。明視野光源は、入射光源か、または透過光源であってよい。有利には明視野光源は透過光源であり、すなわち明視野光源は、明視野光源から放射する光が薬剤円筒形容器を透過し、その後、直接的に、メインカメラのレンズに当たるように配置されている。このために、薬剤円筒形容器に関して、明視野光源がメインカメラの反対側に配置されているのは有利である。
【0042】
有利には、明視野光源の中心線は、垂直面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または、有利にはかつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する。より有利には、明視野光源の中心線は、垂直面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上10°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、明視野光源の中心線は薬剤円筒形容器およびメインカメラのレンズと接触する。
【0043】
上述の明視野照明によって単独で得られた画像によって、光を吸収する、かつ/または散乱させる欠陥が視覚化される。しかし、微細な構造はぼんやりとしか視覚化されない、または視覚化されない。これは特に、その光学密度およびコントラストが極めて低い場合である。さらに、表面上の欠陥と、薬剤円筒形容器内の欠陥とを区別することはできず、かつ極めて小さい欠陥を検出することはできない。明視野照明を使用する画像において、背景は明るく見え、欠陥は暗く見える。
【0044】
有利な実施形態では、発光ユニットは、相互に隣接している第1の発光面と第2の発光面とを備える光源を含んでおり、ここで第1の発光面と第2の発光面とは、10°~80°、有利には30°~60°、有利には40°~50°の範囲の角度で、より有利には約45°の角度で交差している。これら2つの発光面の配置の利点は、薬剤円筒形容器の側面ならびに薬剤円筒形容器の底部および/または開口部が均等に照明可能であるということである。30°~60°、有利には40°~50°の範囲の角度、より有利には45°の角度は、最適な照明が得られ、他方で、光源が必要とする空間は僅かであるという利点を有している。
【0045】
暗視野光源
さらに、本発明では、装置は、メインカメラに関して、軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源を含んでいる。各暗視野光源は、暗視野発光面を含むことができる。一般的に、暗視野光源は、暗視野発光面から放射する光が薬剤円筒形容器を透過するが、直接的に、メインカメラのレンズに当たらないように配置されている。このために、有利には、暗視野光源がメインカメラの中心線から側方に配置されている。軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源は、これら2つが、メインカメラの中心線から側方に配置されているという共通点を有している。しかしこれらは、薬剤円筒形容器に関する配向においては、異なっている。
【0046】
有利には、軸方向暗視野光源の中心線は、横断面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または、有利にはかつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する。より有利には、軸方向暗視野光源の中心線は、横断面と、60°以上90°以下の角度で交差し、有利には70°以上90°以下の角度で交差し、より有利には80°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ水平面および横断面と、0°以上30°以下の角度で交差し、有利には0°以上20°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、軸方向暗視野光源の中心線は薬剤円筒形容器と接触し、かつメインカメラのレンズとは接触しない。
【0047】
有利には、放射状暗視野光源の中心線は、水平面と、10°以上90°以下の角度で交差し、有利には45°以上90°以下の角度で交差し、より有利には70°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ/または、有利にはかつ横断面および垂直面と、0°以上70°以下の角度で交差し、有利には0°以上45°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差する。より有利には、放射状暗視野光源の中心線は、水平面と、10°以上90°以下の角度で交差し、有利には45°以上90°以下の角度で交差し、より有利には70°以上90°以下の角度で交差し、最も有利には約90°の角度で交差し、かつ横断面および垂直面と、0°以上70°以下の角度で交差し、有利には0°以上45°以下の角度で交差し、より有利には0°以上20°以下の角度で交差し、最も有利には約0°の角度で交差し、軸方向暗視野光源の中心線は薬剤円筒形容器と接触し、かつメインカメラのレンズとは接触しない。
【0048】
暗視野照明によって、高密度光反射対象物を検査することが可能であり、これと並んで、それらが結果として入射光の回折である場合には、極めて小さい、低密度対象物を検査することが可能である。暗視野照明によって、極めて小さい欠陥を検出することができる。暗視野照明を使用する画像において、背景は暗く見え、欠陥は明るく見える。
【0049】
発明者は、1つの暗視野光源、例えば放射状暗視野光源だけでは、上述の暗視野光源の中心線の方向に延在する欠陥を十分に検出することができない、ということを認識している。この問題は、第2の暗視野光源、例えば軸方向暗視野光源を上述のように配置し、別の方向から欠陥を照明することによって解決された。2つの暗視野光源、すなわち軸方向暗視野光源と放射状暗視野光源とによって2つの異なる方向から欠陥を照明するだけで、薬剤円筒形容器の欠陥を十分に検出することができる。さらに、明視野光源および2つの暗視野光源による、いかなる影も生じない、薬剤円筒形容器の照明は、装置がサポートデバイスを含んでいる場合にのみ可能であり、ここでこのサポートデバイスは、薬剤円筒形容器が、その長手方向軸線を中心に回転可能であるように、薬剤円筒形容器をその側面で支持する。薬剤円筒形容器をその側面で保持し、薬剤円筒形容器をその長手方向軸線を中心に連続的に回転させるだけで、小さい欠陥および大きい欠陥の特別な検出を管理することができる。この際に、回転が進むたびに画像を明視野照明で撮影し、さらなる画像を軸方向暗視野照明および放射状暗視野照明によって撮影する。薬剤円筒形容器をその側面で保持し、薬剤円筒形容器をその長手方向軸線を中心に回転させることによって、明視野光源および軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源によって照明されている薬剤円筒形容器の円筒形部分の各位置の画像を得ることが可能である。特定のサポートデバイスと明視野光源と放射状暗視野光源と軸方向暗視野光源とを組み合わせるだけで、極めて短い時間で、薬剤円筒形容器全体の欠陥を視覚化し、欠陥のタイプを分類することができる。
【0050】
有利な実施形態では、少なくとも1つの光源、すなわち暗視野光源および/または明視野光源のうちの1つが、偏光光を放射する。偏光光を使用することによって、容器を通して伝達された光の偏光が、容器の構造的な欠陥によって影響されるだろう。したがって、容器を通して伝達された光の偏光を分析することによって、構造的な欠陥が検出可能である。
【0051】
別の有利な実施形態では、発光ユニットは、偏光光を放射する少なくとも1つの光源と、光源と薬剤円筒形容器との間に配置されている少なくとも1つのデポラライザとを含んでいる。これは、検査ビームが、デポラライザによって偏光解消されるだろう箇所に、偏光光を放射する光源を配置することができるという利点を有している。
【0052】
本発明の別の有利な実施形態は、1つまたは複数の特定の発光ユニットと受光ユニットとを含んでおり、これらはより有利には、欧州特許出願EP20153308.0(2020年1月23日に出願)および欧州特許出願EP20153330.4(2020年1月23日に出願)に記載されている特定の配置にある。これらの文献は、参照によって本願に取り入れられている。
【0053】
コントロールユニット
有利な実施形態では、装置は、サポートデバイス、特にサポートデバイスのフリクションホイール、発光ユニットおよび受光ユニットをコントロールするコントロールユニットを含んでいる。コントロールユニットを提供することによって、速いペースで、薬剤円筒形容器全体の視覚化が実現され、薬剤円筒形容器の最大の部分を、最小の時間で検査することができるように、受光ユニットおよび/または発光ユニットおよび/またはフリクションホイールのアクティブ化/非アクティブ化をコントロールすることができる。有利には、コントロールユニットは、0.3秒~10秒、より有利には0.5秒~8秒、より有利には約1秒で、1つの薬剤円筒形容器を測定するように構成されている。光源とカメラとの相互の角度の優れた調整ならびに特定のタイプの連続的な測定(以降を参照)によって、本発明の装置によってこのような短い測定時間を実現することができる。
【0054】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、薬剤円筒形容器を、その長手方向軸線を中心に360°回転させるように構成されている。したがって、受光ユニットは、薬剤円筒形容器全体の画像を取得し、欠陥を、薬剤円筒形容器の材料上または材料内のそれらの位置および/または配向とは無関係に検出することができる。
【0055】
別の実施形態では、コントロールユニットは、薬剤円筒形容器を、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って回転させるように構成されている。上述の増分を伴って薬剤円筒形容器を回転させることは有利である。なぜなら、薬剤円筒形容器の仮想3D画像を作成するのに十分な画像を取得することができ、かつカメラが、同じ位置で、異なる照明を使用して画像を撮影するのに十分な時間を有するからである。この3D画像に基づいて、薬剤円筒形容器が品質基準を満たしているか否かを特定することができる。
【0056】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、画像取得と画像取得との間に、薬剤円筒形容器を回転させるように構成されている。
【0057】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、フリクションホイールの速度に基づいて、受光ユニットの各カメラおよび発光ユニットの各発光面のアクティブ化/非アクティブ化を調整するように構成されている。このような設定によって、装置は、あらゆる速度で動作可能になり、1つの薬剤円筒形容器の測定中に速度を変えることができる。これは、変化する製造速度に合うように装置の速度を調整するために必要となり得る。
【0058】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、
i)0.3秒~10秒、より有利には0.5秒~8秒、より有利には約1秒で、1つの薬剤円筒形容器を測定するように構成されている、
ii)薬剤円筒形容器を、その長手方向軸線を中心に360°回転させるように構成されている、
iii)薬剤円筒形容器を、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って回転させるように構成されている、
iv)薬剤円筒形容器を、画像取得と画像取得との間に回転させるように構成されている、かつ/または
v)フリクションホイールの速度に基づいて、受光ユニットの各カメラおよび発光ユニットの各発光面のアクティブ化/非アクティブ化を調整するように構成されている。
【0059】
別の有利な実施形態では、コントロールユニットは、上述の特性、i,ii,iii,iv,v,i+ii,i+iii,i+iv,i+v,ii+iii,ii+iv,ii+v,iii+iv,iii+v,iv+v,i+ii+iii,i+ii+iv,i+ii+v,i+iii+iv,i+iii+v,i+iv+v,ii+iii+iv,ii+iii+v,ii+iv+v,iii+iv+v,i+ii+iii+iv,i+ii+iii+v,i+ii+iv+v,i+iii+iv+vまたはi+ii+iii+iv+vを満たすように構成されている。
【0060】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、
i)有利には、メインカメラに関して、明視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
ii)有利には、メインカメラに関して、軸方向暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iii)有利には、メインカメラに関して、放射状暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iv)有利には、メインカメラに関して、放射状暗視野光源および軸方向暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、
ように少なくとも1つの画像を取得するために、発光ユニットの明視野光源、軸方向暗視野光源および/または放射状暗視野光源および受光ユニットのメインカメラをアクティブ化するように構成されている。
【0061】
別の有利な実施形態では、コントロールユニットは、上述の特性、i,ii,iii,iv,i+ii,i+iii,i+iv,ii+iii,ii+iv,iii+iv,i+ii+iii,i+ii+iv,i+iii+iv,ii+iii+ivまたはi+ii+iii+ivを満たすように構成されている。
【0062】
1つの実施形態では、コントロールユニットは、1秒以下、有利には0.9秒以下、有利には0.8秒以下、より有利には0.6秒~0.9秒、有利には0.7秒~0.8秒で、1つの薬剤円筒形容器を検査することができるように構成されている。
【0063】
すなわち、このような時間期間内で、有利には欠陥の方向とは無関係に、200μm以上、有利には100μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有するすべての欠陥を示す、薬剤円筒形容器の3D画像を作成することができるのに十分な画像を取得することができる。
【0064】
回転している薬剤円筒形容器のすべての位置での画像を、上述したすべての種類の照明によって得た後、薬剤円筒形容器の3D画像を得るために、コンピュータがすべての画像を組み合わせることが可能である。この3D画像において、異なる種類の欠陥を区別することが可能であり、さらに欠陥の位置および配向を特定することも可能である。これは、上述したような薬剤円筒形容器の周りのカメラおよび光源の特定の配置によって可能である。装置が、上述したように複数のカメラおよび複数の光源を有している場合には、薬剤円筒形容器の非円筒形の終端部を含む、薬剤円筒形容器の完全な画像を得ることができる。したがって、欠陥の配向および位置、例えば薬剤円筒形容器の表面か、または薬剤円筒形容器の壁部の内側かに無関係に、欠陥を検出するために、装置が、上述のように、少なくとも明視野光源、軸方向暗視野光源および放射状暗視野光源を、薬剤円筒形容器およびメインカメラに関して、特定の配置で含んでいることが必要である。上述の装置によって検出可能な欠陥の最小サイズは、カメラの間隔、ピクセルの総数、センサーサイズ等に関連する。本発明のカメラ、例えば、Sony社のセンサーIMX174 CMOSを備えるBasler社のカメラacA1920-155umによって、16μm以上のサイズを有する欠陥を、この欠陥の配向および位置とは無関係に、正確に検出することができる。
【0065】
別の有利な実施形態では、コントロールユニットは、薬剤円筒形容器で、有利には欠陥の配向および位置とは無関係に、200μm以上、有利には100μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを提示する欠陥が検出されると、後続の処理から、薬剤円筒形容器を除外するように構成されている。これは、例えば、落とし戸によって実現可能である。
【0066】
より有利には、コントロールユニットは、薬剤円筒形容器で、特性
i)欠陥は、薬剤円筒形容器の表面上の金属欠陥である、
ii)欠陥は、薬剤円筒形容器の表面上の非金属欠陥である、
iii)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内または表面上の泡である、
iv)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内の金属欠陥である、かつ/または
v)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内の非金属欠陥である、
のうちの1つまたは複数を提示する欠陥が検出されると、後続の処理から、薬剤円筒形容器を除外するように構成されており、この欠陥は、有利には欠陥の配向とは無関係に、80μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有している。
【0067】
別の有利な実施形態では、コントロールユニットは、薬剤円筒形容器で、上述の特性i,ii,iii,iv,v,i+ii,i+iii,i+iv,i+v,ii+iii,ii+iv,ii+v,iii+iv,iii+v,iv+v,i+ii+iii,i+ii+iv,i+ii+v,i+iii+iv,i+iii+v,i+iv+v,ii+iii+iv,ii+iii+v,ii+iv+v,iii+iv+v,i+ii+iii+iv,i+ii+iii+v,i+ii+iv+v,i+iii+iv+vまたはi+ii+iii+iv+vを提示する欠陥が検出されると、後続の処理から、薬剤円筒形容器を除外するように構成されている。
【0068】
したがって、上述の特性i)~v)を満たす場合、最も高い品質基準を満たす薬剤円筒形容器だけに後続の処理が施されるだろう。
【0069】
別の実施形態は、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する装置を提供し、薬剤円筒形容器が、1秒以下、有利には0.9秒以下、有利には0.8秒以下、より有利には0.6秒~0.9秒、有利には0.7秒~0.8秒で検査されるようにこの装置は構成されており、かつ/または
この装置は、有利には欠陥の配向および位置とは無関係に、200μm以上、有利には100μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを含んでいる欠陥が検出可能であるように構成されており、かつ/または
この装置は、特性
i)欠陥は、薬剤円筒形容器(1)の表面上の金属欠陥である、かつ/または
ii)欠陥は、薬剤円筒形容器(1)の表面上の非金属欠陥である、かつ/または
iii)欠陥は、薬剤円筒形容器(1)の壁部内または表面上の泡である、かつ/または
iv)欠陥は、薬剤円筒形容器(1)の壁部内の金属欠陥である、かつ/または
v)欠陥は、薬剤円筒形容器(1)の壁部内の非金属欠陥である
のうちの1つまたは複数を提示する欠陥が検出可能であるように構成されており、この欠陥は、有利には欠陥の配向とは無関係に、80μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有している。
【0070】
方法
さらに、本発明は、有利には、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置によって、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器を検査する方法に関し、この方法は、
・薬剤円筒形容器を、その側面でもって、サポートデバイス上に配置するステップと、
・薬剤円筒形容器をその長手方向軸線を中心に、有利には増分を伴って回転させるステップと、
・薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像を取得するために発光ユニットおよび受光ユニットをアクティブ化するステップと
を含んでいる。
【0071】
有利には、対象物がその長手方向軸線を中心に360°回転するように回転が実行され、かつ/またはここでこの回転は、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って実行される。増分を伴って360°の回転を実行することによって、薬剤円筒形容器全体を測定することができ、薬剤円筒形容器の各位置で異なる画像を取得するために十分な時間があり、画像の質が向上する。
【0072】
有利には、発光ユニットおよび受光ユニットはそれぞれ、
i)有利には、明視野画像を得るために、メインカメラに関して、明視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
ii)有利には、軸方向暗視野画像を得るために、メインカメラに関して、軸方向暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iii)有利には、放射状暗視野画像を得るために、メインカメラに関して、放射状暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、かつ/または
iv)有利には、組み合わされた軸方向暗視野画像および放射状暗視野画像を得るために、メインカメラに関して、放射状暗視野光源および軸方向暗視野光源だけがアクティブ化されている場合に、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像が取得される、
ように少なくとも1つの画像を取得するためにアクティブ化される。
【0073】
有利には、明視野画像、軸方向暗視野画像、放射状暗視野画像および/または組み合わされた軸方向暗視野画像および放射状暗視野画像はシーケンスで取得され、ここで薬剤円筒形容器は、その長手方向軸線を中心に、0.5°~4°の間、有利には0.5°~3.5°の間、より有利には1°~3°の間、最も有利には2°の増分を伴って、画像取得と画像取得との間に回転される。したがって、品質をさらに向上させることができる。
【0074】
薬剤円筒形容器のバンドル
本発明の別の実施形態は、有利には、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置および/または請求項15から18までのいずれか1項記載の方法によって検査される、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器のバンドルを記載する。ここでこのバンドルは、10個以上、有利には10個~1000個、より有利には20個~500個、最も有利には40個~250個の薬剤円筒形容器を含んでおり、各薬剤円筒形容器は、有利には欠陥の配向および位置とは無関係に、200μm以上、有利には100μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有する欠陥を提示しない。
【0075】
本発明の別の実施形態は、有利には、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置および/または請求項15から18までのいずれか1項記載の方法によって検査される、有利には上述した実施形態に即した、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器のバンドルを記載する。ここでこのバンドルは、10個以上、有利には10個~1000個、より有利には20個~500個、最も有利には40個~250個の薬剤円筒形容器を含んでおり、各薬剤円筒形容器は、特性
i)欠陥は、薬剤円筒形容器の表面上の金属欠陥である、かつ/または
ii)欠陥は、薬剤円筒形容器の表面上の非金属欠陥である、かつ/または
iii)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内または表面上の泡である、かつ/または
iv)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内の金属欠陥である、かつ/または
v)欠陥は、薬剤円筒形容器の壁部内の非金属欠陥である
のうちの1つまたは複数を提示する欠陥を提示せず、この欠陥は、有利には欠陥の配向とは無関係に、80μm以上、より有利には50μm以上、より有利には40μm以上、より有利には20μm以上、最も有利には16μm以上のサイズを有している。
【0076】
別の有利な実施形態では、上述した実施形態のうちの任意の1つの実施形態に即したバンドルは、10個以上、有利には10個~1000個、より有利には20個~500個、最も有利には40個~250個の薬剤円筒形容器を含んでおり、各薬剤円筒形容器は、以下の特性i,ii,iii,iv,v,i+ii,i+iii,i+iv,i+v,ii+iii,ii+iv,ii+v,iii+iv,iii+v,iv+v,i+ii+iii,i+ii+iv,i+ii+v,i+iii+iv,i+iii+v,i+iv+v,ii+iii+iv,ii+iii+v,ii+iv+v,iii+iv+v,i+ii+iii+iv,i+ii+iii+v,i+ii+iv+v,i+iii+iv+vまたはi+ii+iii+iv+vのうちの1つまたは複数を提示する欠陥を提示していない。
【0077】
したがって、上述の特性i)~v)を満たす場合、最も高い品質基準を満たす薬剤円筒形容器を含んでいるバンドルが得られる。これらの特定の容器は、極めて小さい欠陥でさえ医薬組成物に影響を与え得る、高い基準の用途に使用可能である。
【0078】
本発明の教示を有利に設計し、さらに発展させるいくつかの方法がある。このために、一方では、請求項1、15および19に従属する請求項が参照されるべきであり、他方では、図示された本発明の実施形態の有利な例の以降の説明が参照されるべきである。図を用いた有利な実施形態の説明に関連して、教示の一般的に有利な実施形態およびさらなる発展形態が説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図2】装置の実施形態の概略的な上面図を示している。
【
図3】装置の実施形態の概略的な側面図を示している。
【
図4】装置の実施形態の概略的な正面図を示している。
【
図5】装置の実施形態の別の概略的な正面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、装置の実施形態を示している。この装置は図示されていないサポートデバイスを含んでおり、このサポートデバイスは、薬剤円筒形容器1が、その長手方向軸線2を中心に回転可能であるように、薬剤円筒形容器1をその側面で支持している。薬剤円筒形容器1の長手方向軸線2と長手方向軸線2に対して直角な水平方向軸線とは、水平面3を規定する。さらに、薬剤円筒形容器1の長手方向軸線2と長手方向軸線2に対して直角な垂直軸線とは、垂直面4を規定する。さらに、薬剤円筒形容器1の長手方向軸線2に対して直角な水平方向軸線と、長手方向軸線に対して直角であり、かつ薬剤円筒形容器1の円筒形部分の中心と交差する垂直軸線と、は横断面5を規定する。当業者は、
図1が、容器1の半分だけを示していることを理解するだろう。なぜなら、横断面5が容器1の他方の半分を覆っているからである。
【0081】
さらに、装置は、メインカメラ6を備える受光ユニットと、明視野光源7、放射状暗視野光源8および図示されていない軸方向暗視野光源9を備える光伝送ユニットと、を含んでいる。さらに、
図1は、メインカメラ6の中心線10と、明視野光源7の中心線11と、放射状暗視野光源8の中心線12と、図示されていない軸方向暗視野光源9の中心線13と、を示している。軸方向暗視野光源9の中心線13は、この実施形態では、容器1の長手方向軸線2に相当する。
【0082】
図2~
図4は、
図1に示された装置の異なる図を示している。特に、軸方向暗視野光源8が示されている。
図2~
図4の実施形態は、
図1の実施形態に相当するので、
図2~
図4に同様に適用される
図1の説明をここで参照されたい。
【0083】
図5は、装置の別の実施形態を示している。この実施形態では、サポートデバイスが詳細に示されている。サポートデバイスは、第1のサポートホイール14と第2のサポートホイール15とを含んでいる。第1のサポートホイール14および第2のサポートホイール15は、容器1を、その側面で支持している。さらに、容器1が、その長手方向軸線2を中心に回転可能であるように、フリクションホイール16が配置されている。さらに、この装置はメインカメラ6と明視野光源7と放射状暗視野光源8と軸方向暗視野光源9とを含んでいる。
【0084】
放射状暗視野光源8の支持および位置付けを除いて、
図5の実施形態は、
図1~
図4の実施形態に相当している。したがって、
図5に同様に適用される
図1~
図4の説明をここで参照されたい。
【0085】
図6は、この方法の実施形態のブロック図を示している。この方法は、ガラス製またはポリマー製の薬剤円筒形容器の検査に用いられる。
【0086】
第1のステップ17では、薬剤円筒形容器が、その側面でもって、サポートデバイス上に配置されている。第2のステップ18では、薬剤円筒形容器が、その長手方向軸線を中心に回転される。ここでこの回転は有利には、増分を伴って実行される。第3のステップ19では、発光ユニットおよび受光ユニットが、薬剤円筒形容器の少なくとも1つの画像を取得するためにアクティブ化される。
【0087】
上述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有する、本発明に関係する当業者は、本願に記載の本発明の多くの修正および他の実施形態を思いつくだろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本願では特定の用語が使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的ではない。
【符号の説明】
【0088】
1 容器
2 長手方向軸線(容器)
3 水平面
4 垂直面
5 横断面
6 メインカメラ
7 明視野光源
8 放射状暗視野光源
9 軸方向暗視野光源
10 メインカメラの中心線
11 明視野光源の中心線
12 放射状暗視野光源の中心線
13 軸方向暗視野光源の中心線
14 第1のサポートホイール
15 第2のサポートホイール
16 フリクションホイール
17 第1のステップ
18 第2のステップ
19 第3のステップ