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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/39 20180101AFI20250522BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20250522BHJP
   F21V 17/16 20060101ALI20250522BHJP
【FI】
F21S41/39
F21V17/00 250
F21V17/16 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021120324
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016177
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】野々内 悠人
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-275102(JP,A)
【文献】特開2006-013018(JP,A)
【文献】中国実用新案第212390156(CN,U)
【文献】実開平01-126835(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00-41/698
F21V 17/00-17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる長尺状の取付部材と、
前記取付部材が取り付けられる被取付部材と、
前記被取付部材に設けられ、前記被取付部材に対して前記取付部材を固定する固定部と、
前記被取付部材に設けられ、前記被取付部材に対して前記取付部材を所定の位置に位置決めする位置決め部と、
を備え、
前記位置決め部は、
前記取付部材を受ける受け部と、
前記受け部に形成された爪部と、
を有し、
前記取付部材は、
前記第1方向に延びる本体と、
前記本体から前記被取付部材に延びる板状部と、
前記板状部の先端に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向の一方側に突出する突出片と、
を有し、
前記取付部材の前記板状部は、前記第2方向で前記受け部に係止され、
前記取付部材の前記突出片は、前記第1方向で前記爪部に係止され、
前記位置決め部は、
前記取付部材の前記板状部の前記第2方向の他方側を向く板面を支持する支持部をさらに有し、
前記支持部は、前記板状部に対向する対向面と、前記対向面から前記板状部の前記板面側に膨出し、前記板状部の前記板面に当接可能な膨出部と、を含み、
前記膨出部は前記第1方向よりも前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に長尺に形成され、
前記膨出部の基端部は前記受け部に連結され、
前記膨出部の先端部は、前記第3方向において前記受け部側から前記受け部と前記対向面の先端との間の位置まで移動するにしたがって前記第2方向において前記対向面に近づく、
車両用灯具。
【請求項2】
前記取付部材を挟むように前記被取付部材に取付可能な第2取付部材を備え、
前記第2取付部材には、前記第2方向で前記受け部に係止している前記板状部の上方に位置する当接部が設けられている、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記膨出部は湾曲面で構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される灯具として、例えばハウジング等の被取付部材にリフレクターやインナーレンズ、アウターレンズ等の取付部材を取り付けて複数の部材同士を互いに係合させることによって組み立て可能な車両用灯具が知られている。
【0003】
特許文献1には、レンズ及びランプリム(取付部材)を車両のランプボディ(被取付部材)に対して所定の取付姿勢で取り付け可能な車両用灯具が開示されている。特許文献1に開示されている車両用灯具では、複数の締結ネジを用いてランプリムがランプボディに取り付けられているが、締結ネジを用いて締結される位置とは異なる位置において、レンズの脚部がランプボディの接着溝に係合している。接着溝には予め接着剤が装填され、レンズの脚部が接着剤を介して接着溝に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平1-126835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている車両用灯具をはじめとして従来の車両用灯具では、被取付部材に形成された溝(被取付部)内に予め接着剤を装填する工程を要し、当該工程を省略すると左右方向(又は、幅方向)でのレンズの脚部(取付部)の移動が規制されず、脚部が接着溝から脱出する。レンズの脚部が接着溝から脱出すると、レンズの下方でレンズボディに取り付けられるランプリムにレンズの重みがかかり、ランプリムのランプボディに対する取付姿勢が崩れる、或いはランプボディに対する位置ずれが生じ、結果としてランプリムが変形する虞があった。
【0006】
特に、車両用灯具を構成する取付部材及び被取付部材が一方向に長尺であると、当該一方向で少なくとも一箇所で取付部材と被取付部材とを締結することによって取付部材を被取付部材に取り付けることができる。但し、各部材の形状の制約等によって、当該一方向で被取付部材に対する取付部材を位置決めする目的、或いは取付部材の自重による被取付部材からの脱落を防ぐ目的を満たすのに十分な下部及び配置で取付部材と被取付部材との締結部を設けることが難しい場合があった。また、被取付部材に対する取付部材の係合が解除された場合、取付部材近傍に配置された部材の位置ずれや当該部材の変形を招き、車両用灯具の変形や破損につながる虞があった。
【0007】
上述のように、従来の車両用灯具では、被取付部材に対する取付構造の上下方向(第2方向)への移動を規制可能ではあるものの、左右方向(第1方向)での移動も規制するためには、取付構造の被取付部材への取付工程が煩雑で手間がかかっていた。
【0008】
本発明は、被取付部材に対する取付構造の上方への移動を規制し、左右方向での移動を規制可能であって、且つ取付工程が簡便な車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。
[1]第1方向に延びる長尺状の取付部材と、
前記取付部材が取り付けられる被取付部材と、
前記被取付部材に設けられ、前記被取付部材に対して前記取付部材を固定する固定部と、
前記被取付部材に設けられ、前記被取付部材に対して前記取付部材を所定の位置に位置決めする位置決め部と、
を備え、
前記位置決め部は、
前記取付部材を受ける受け部と、
前記受け部に形成された爪部と、

を有し、
前記取付部材は、
前記第1方向に延びる本体と、
前記本体から前記被取付部材に延びる板状部と、
前記板状部の先端に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向の一方側に突出する突出片と、
を有し、
前記取付部材の前記板状部は、前記第2方向で前記受け部に係止され、
前記取付部材の前記突出片は、前記第1方向で前記爪部に係止され、
前記位置決め部は、
前記取付部材の前記板状部の前記第2方向の他方側を向く板面を支持する支持部をさらに有し、
前記支持部は、前記板状部に対向する対向面と、前記対向面から前記板状部の前記板面側に膨出し、前記板状部の前記板面に当接可能な膨出部と、を含み、
前記膨出部は前記第1方向よりも前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に長尺に形成され、
前記膨出部の基端部は前記受け部に連結され、
前記膨出部の先端部は、前記第3方向において前記受け部側から前記受け部と前記対向面の先端との間の位置まで移動するにしたがって前記第2方向において前記対向面に近づく、
車両用灯具
[2]前記取付部材を挟むように前記被取付部材に取付可能な第2取付部材を備え、
前記第2取付部材には、前記第2方向で前記受け部に係止している前記板状部の上方に位置する当接部が設けられている、
前記[1]に記載の車両用灯具。
[3]前記膨出部は湾曲面で構成されている、
前記[1]又は前記[2]に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用灯具では、突出片が第1方向で爪部に係止し、且つ第2方向で受け部に係止することによって、板状部及びそれを備える被取付部材の第1方向及び第2方向への移動が規制される。
具体的には、突出片を第1方向で爪部に当接させ、板状部の先端を爪部の上方又は下方に配置して当該爪部に上から又は下から当接させることによって、板状部及びそれを備える被取付部材の下方又は上方への移動が規制される。また、突出片が第1方向で爪部に当たり、接着剤等を用いずに突出片及び板状部とそれを備える被取付部材の第1方向での移動が規制される。本発明に係る車両用灯具によれば、突出片を爪部の基端部近傍に配置しつつ、板状部を爪部の上方又は下方に配置することによって、被取付部材に対する取付部材の第1方向及び第2方向での移動を規制し、且つ取付工程を簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の車両用灯具の分解斜視図である。
図2図1に示す車両用灯具のハウジングの要部を拡大した斜視図である。
図3図1に示す車両用灯具のリフレクターの要部を拡大した斜視図である。
図4図1に示す車両用灯具の取り付け状態における要部を拡大した斜視図である。
図5図4に示す車両用灯具をC1-C1線で矢視した場合の断面図である。
図6図4に示す車両用灯具を図5に示すC2線を含む平面内の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の各図面では、各構成要素を見やすくするために構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
【0013】
図1から図3に示すように、本発明の一実施形態の車両用灯具10は、例えば車両の前部に搭載されている車両用前照灯に適用したものであり、一例としてヘッドランプに適用したものである。車両用灯具10は、少なくともハウジング(被取付部材)20と、光源40と、リフレクター(取付部材)50と、不図示のインナーレンズと、アウターレンズ110(第2取付部材)と、を備える。
【0014】
以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具10を正面(車両の前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を背面(車両の後方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。また、以下の説明では、左右方向をX方向(第1方向)とし、左側を+X側、右側を-X側とする。また、前後方向をY方向とし、前側を+Y側、後側を-Y側とする。また、上下方向をZ方向(第2方向)とし、上側を+Z側(第2方向の一方側)、下側を-Z側(第2方向の他方側)とする。
【0015】
車両用灯具10は、+Y側の面が開口したハウジング20と、ハウジング20の開口を覆う透明なアウターレンズ110とにより構成される灯室に、リフレクター50と、不図示のインナーレンズ及びエクステンションと、が配置された構造を有する。図1に示すように、リフレクター50は、ハウジング20よりも+Y側に配置され、ハウジング20に対して+Y側から装着されている。
【0016】
ハウジング20は、車両用灯具10の本体部材であり、車両用灯具10が備える光源40やインナーレンズやエクステンション等の部品(図1では不図示)を灯室内の所定の位置に保持可能となるように形成されている。光源40から発せられる光は、Y方向と略平行に進む。つまり、Y方向は光軸方向の一例である。
【0017】
ハウジング20は、リフレクター50が取り付けられる部材であり、互いに一体に成形された本体26と、固定部21と、位置決め部90と、を備える。固定部21は、ハウジング20に対してリフレクター50を固定するために設けられ、複数の締結固定部21A、21B及び不図示の締結固定部を有する。
【0018】
ハウジング20の本体26のZ方向の+Z側の外周部には、X方向で互いに間隔をあけて締結固定部21A、21Bが設けられている。Y方向に沿って見たときの本体26の形状は、車両用灯具10を搭載する車両の搭載箇所に合うように適宜設計されている。本体26の外周部には、締結固定部21A、21Bを含む複数の締結固定部(図示略)が周縁に沿って適宜間隔をあけて形成されている。締結固定部21A、21B及び不図示の締結固定部を含む固定部21の各々には、挿入穴29が形成されている。
【0019】
一方、リフレクター50の本体56のZ方向の前側の外周部には、X方向で互いに間隔をあけて、且つY方向に沿って見たときに締結固定部21A、21Bに締結可能な締結部51A、51Bが設けられている。本体56の外周部には、締結部51A、51Bを含む複数の締結部(図示略)が周縁に沿って適宜間隔をあけて形成されている。締結部51A、51B及び不図示の締結部を含む締結部51の各々には、貫通孔59が形成されている。Y方向に沿って見たとき、挿入穴29の各々は、貫通孔59の各々と重なっている。ネジ60を+Y側からY方向に沿って貫通孔59を貫通させて挿入穴29に挿入することによって、リフレクター50がハウジング20に固定されている。
【0020】
ハウジング20の位置決め部90は、ハウジング20に対してリフレクター50を所定の位置に位置決めする。本実施形態において、ハウジング20に対してリフレクター50が所定の位置に配置される状態とは、貫通孔59と挿入穴29とがY軸方向において重なる状態にハウジング20及びリフレクター50が配置されることをいう。
【0021】
図1及び図2に示すように、位置決め部90は、受け部22と、爪部24、25と、支持部32と、を有する。受け部22は、リフレクター50を受けるために設けられている。受け部22は、ハウジング20の本体26において外周部のX方向で締結固定部21A、21B同士の間に設けられている。受け部22は、締結固定部21A、21B同士の間の本体26の外周部から+Y側に延びている。
【0022】
図2に示すように、爪部24、25は、受け部22に形成されている。爪部24、25は、互いに対をなし、受け部22の+Y側の先端且つX方向の両側部から+Y側に突出している。爪部24、25は、受け部22に対して平坦であって互いに面一に形成されている。X方向で爪部24と爪部25との間には、開口(開口部)28が形成されている。開口28は、Z方向及びY方向で開放され、X方向では爪部24の-X側の側面24dと爪部25の+X側の側面25cに挟まれている。爪部24、25のX方向の大きさ(幅)は、+Y側に進むにしたがって縮小している。開口28のX方向の幅、すなわち爪部24、25同士の間隔(第1方向での大きさ)Pは、+Y側に進むにしたがって拡大している。
【0023】
支持部32は、ハウジング20の本体26の外周部において受け部22が連結されている位置よりも-Z側且つX方向で受け部22と重なる位置に設けられている。支持部32は、本体26の外周部から+Y側に突出している。
【0024】
支持部32は、上面(対向面)32aを含む。上面32aは、板状部52に対向する+Z側の面である。上面32aにおける受け部22と隣接する部位より、第2方向に延びるリブ(膨出部)30を形成することができる。本実施形態によれば、リブ30は、支持部32の上面32aから+Z側に膨出している。リブ30は、Z方向に沿って見たとき、開口28内に配置されている。リブ30のY方向の大きさは、リブ30のX方向の大きさよりも大きい。すなわち、リブ30は、X方向よりもY方向に長尺に形成されている。リブ30の-Y側の端部は本体26に連結されている。リブ30は、-Z側からリフレクター50を支持する際にリフレクター50を傷つけない様に、湾曲面で構成されている。ハウジング20において、本体26と、受け部22、爪部24、25、支持部32及びリブ30とは、互いに一体に成形されている。
【0025】
リフレクター50は、互いに一体に成形された本体56と、板状部52と、突出片54と、を備える。Y方向に沿って見たときの本体56の形状は、ハウジング20の本体26と同様であり、車両用灯具10を搭載する車両の搭載箇所に合うように適宜設計されている。図1に示すように、ハウジング20に対して所定の位置に配置された場合のリフレクター50の本体56において受け部22に対向する位置に、板状部52が形成されている。
【0026】
図3に示すように、板状部52のX方向の大きさ(幅)は、-Y側に進むにしたがって減少している。突出片54は、板状部52の-Y側の先端部52eから+Z側(第2方向の一方側)に突出している。リフレクター50の本体56、板状部52及び突出片54は、互いに一体に成形されている。突出片54は、板状部52の先端部52eのうちX方向の両端から中央に近い部分のみに連結している。X方向において突出片54と略重なる領域の板状部52の-Y側の部分は、開口露出部57である。以下、板状部52のうち、開口露出部57のX方向の両側に位置し、且つX方向において突出片54と重ならない領域を、左側張出部58A及び右側張出部58Bと称す。
【0027】
突出片54のX方向の幅は、Z方向において略一定であり、受け部22の開口28のX方向の最小幅よりも僅かに小さい。突出片54のX方向の幅は、開口28のX方向の最小幅よりも小さければよいが、後述するように突出片54が開口28に挿入された際にX方向(左右方向)での移動を規制されるようにするため、少なくとも開口28のX方向の最小幅の半分以上であることが好ましい。突出片54のZ方向の大きさは、少なくとも受け部22の爪部24、25のZ方向の大きさ(つまり、最大厚み)よりも大きい。
【0028】
前述の各構成を備える車両用灯具10では、リフレクター50をハウジング20に取り付ける際に、図4に示すように板状部52の突出片54が受け部22の開口28の底部に配置され、板状部52の左側張出部58A及び右側張出部58Bが受け部22の爪部24、25のZ方向の後方(下方)に配置される。このような配置によって、アウターレンズ等の部材をハウジング20へ取り付ける前にリフレクター50が所定の取付位置よりも上方へ変形すること、及びリフレクター50のX方向での位置がずれることが防止される。
【0029】
続いて、リフレクター50やアウターレンズ110等の複数の取付部材がハウジング20に取り付けられる(図1参照)。複数の取付部材がハウジング20に取り付けられた状態では、図4に示すC1-C1線で矢視した場合、図5に示すように、アウターレンズ110の対向部112は、リフレクター50の+Z側に配置されている。対向部112の-Z側の表面には、-Z側に突出する突起(当接部)114が設けられている。リフレクター50の突出片54は、ハウジング20にて開口28に面する受け部22とアウターレンズ110の突起114との間にY方向で挟まれている。
【0030】
図6に示すように、リフレクター50の突出片54は、X方向で開口28に配置され、受け部22の爪部24、25によってX方向での移動を規制され、X方向でリフレクター50の位置がずれることが防止されている。また、図4を参照するとわかるように、リフレクター50の板状部52のうち左側張出部58A及び右側張出部58Bは、Z方向の前方から受け部22の爪部24、25によってZ方向とは逆向きに抑えられている。図5に示すように、リフレクター50の開口露出部57は、ハウジング20のリブ30によってZ方向の後方からZ方向に支えられている。すなわち、支持部32は、リブ30を介してリフレクター50の板状部52の-Z側(第2方向の他方側)を向いている。
【0031】
図6に示すように、Z方向に沿って見たときに、リフレクター50の突出片54の+X側の側面54cと、ハウジング20の受け部22の爪部24の-X側の側面24dは、+Y側に進むにしたがって+X側に移動する。一方、突出片54の-X側の側面54dと、受け部22の爪部25の+X側の側面25cは、+Y側に進むにしたがって-X側に移動する。これらの面が傾斜していることによって、突出片54は、X方向で爪部24、25の間の開口28の-Y側の底部に向けて容易に案内及び配置される。すなわち、受け部22の爪部24、25の側面24d、25cは、突出片54を開口28に挿入する際のガイド面として作用する。
【0032】
ハウジング20等は、不透明部材で形成され、例えばASA(Acrylate Sthrene Acrylonitrile)樹脂で形成されている。リフレクター50は、光源40から発せられる光を反射可能に形成され、例えば白色のメタクリル酸メチルエステル(PMMA)アクリル樹脂で形成されている。アウターレンズ110の少なくとも光出射部分は、光源40から発せられる光に対して無色透明であり、例えば無色透明のPMMAアクリル樹脂で形成されている。アウターレンズ110の光出射部分以外の部分は、例えば無色透明のPMMAアクリル樹脂で光出射部分と一体に形成され、その後に不透明の着色料、着色剤等で着色されてもよく、不透明のPMMAアクリル樹脂で光出射部分と2色成形されてもよい。
【0033】
以上説明した本実施形態の車両用灯具10は、取付部材であるリフレクター50を被取付部材であるハウジング20に取り付けて固定するための固定用構造を備えた車両用灯具である。本実施形態の車両用灯具10は、X方向に延びる長尺状のリフレクター50と、リフレクター50が取り付けられるハウジング20と、ハウジング20に設けられた固定部21及び位置決め部90と、を備える。固定部21は、ハウジング20に対してリフレクター50を固定する。位置決め部90は、ハウジング20に対してリフレクター50を所定の位置に位置決めする。位置決め部90は、リフレクター50をZ方向で受ける受け部22と、受け部22に形成された爪部24、25を有する。リフレクター50は、X方向に延びる本体56と、本体56からハウジング20に延びる板状部52と、板状部52の-Y側の先端に設けられた突出片54と、を有する。突出片54は、板状部52の先端からX方向に交差するZ方向の+Z側に突出している。リフレクター50の板状部52は、Z方向で受け部22に係止される。一方、リフレクター50の突出片54は、X方向で爪部24、25の少なくとも一方に係止される。
【0034】
本実施形態の車両用灯具10では、図4に示すように、突出片54をX方向で隣り合う爪部24、25同士の間の開口28に挿入し、板状部52の先端部52eの左側張出部58A及び右側張出部58Bを開口28の爪部24、25の下方(第2方向の他方側)すなわち-Z側に配置して爪部24、25に-Z側から当接させる。このような取付工程によって、ハウジング20に対して板状部52及び板状部52を有するリフレクター50の上方(第2方向の一方側)すなわち+Z側への移動を規制することができる。また、突出片54がX方向で隣り合う爪部24、25の少なくとも一方に係止し、突出片54、板状部52、及びこれらを有するリフレクター50のX方向での移動を規制することができる。本実施形態の車両用灯具10によれば、突出片54を爪部24、25の少なくとも一方に隣接して配置しつつ、板状部52の先端部52eを爪部24、25の-Z側に配置するという簡易な取付工程を行うだけで、ハウジング20に対するリフレクター50の+Z側への移動及びX方向での移動を規制することができる。
【0035】
なお、本実施形態の車両用灯具10では、ネジ60A、60B、60を用いて固定部21及び締結部51を締結することによってリフレクター50をハウジング20に固定し、ハウジング20に対するY方向を中心軸とした周方向のリフレクター50の移動を規制する。ハウジング20に対してリフレクター50を取り付ける際には、車両用灯具10の光源40や各種レンズ等の光学部品同士の位置関係に基づいて、ハウジング20及びリフレクター50同士の外周部における1箇所を基準とする必要がある。前述のようにハウジング20及びリフレクター50はX方向に長尺な部材であるため、当該1箇所に対してX方向で互いに離れた個所や端部に相当する箇所にて、ハウジング20とリフレクター50を含め、部品同士の位置ずれのバラつきが生じる場合が考えられる。
【0036】
また、ハウジング20及びリフレクター50には、挿入穴や貫通孔を形成し難い、或いは形成できない場合がある。そのため、中間位置において、ハウジング20に対するリフレクター50の取り付けを支持する何らの構造が設けられなければ、ハウジング20とリフレクター50との取り付けの不具合やバラつき、或いはリフレクター50の自重で負荷がかかることによるハウジング20からの局部的な脱落を抑えることは難しい。本実施形態の車両用灯具10では、固定部21や締結部51を形成していない箇所でもハウジング20に受け部22及び爪部24、25が形成され、且つリフレクター50に板状部52及び突出片54が形成されていることによって、ハウジング20及びリフレクター50がX方向に長尺状に形成されていても、ハウジング20に対するリフレクター50の位置ずれを抑えることができる。その結果、リフレクター50をハウジング20に安定して取り付けることができる。
【0037】
本実施形態の車両用灯具10では、位置決め部90は、X方向に間隔Pをあけるように受け部22に形成された一対の爪部24、25を有する。リフレクター50の突出片54は、X方向で一対の爪部24、25の間に位置する。突出片54のX方向の大きさは、間隔Pよりも小さい。本実施形態の車両用灯具10によれば、突出片54のX方向での移動を爪部24、25で規制することができる。また、突出片54を爪部24、25同士の間の開口28の-Y側に配置しつつ、板状部52の先端部52eを爪部24、25の-Z側に配置するという簡易な取付工程を行うだけで、ハウジング20に対するリフレクター50の+Z側への移動及びX方向での移動を規制することができる。
【0038】
本実施形態の車両用灯具10では、X方向での間隔Pは、受け部22から離れるに従って、すなわち-Y側から+Y側に移動するに従って拡がっている。本実施形態の車両用灯具10では、開口28の+Y側から-Y側に突出片54を挿入する際に、挿入初期の+Y側で突出片54が規制されるX方向の範囲を挿入後期の-Y側で突出片54が規制されるX方向の範囲よりも拡がる。本実施形態の車両用灯具10によれば、突出片54を開口28に+Y側で広い範囲から呼び込み、-Y側で突出片54のX方向の移動を+Y側に比べて狭い範囲内で規制することができる。その結果、ハウジング20に対するリフレクター50の取り付け時に開口28や突出片54が見難い場合であっても、突出片54を開口28の-Y側に容易に挿入することができる。
【0039】
ここで、比較例として、ハウジング20の受け部22に爪部24、25が設けられておらず、且つリフレクター50の板状部52に左側張出部58A及び右側張出部58Bが設けられていない車両用灯具(図示略)について考える。
【0040】
比較例の車両用灯具において、ハウジング20に対するリフレクター50の取付工程では、ハウジング20の受け部22の+Y側の端面にリフレクター50の突出片54を+Y側から当接させ、支持部32の+Z側の上面32a(或いはリブ30の+Z側の端部)に板状部52の-Z側の下板面52bを当接させる。この場合、ハウジング20の本体26及びリフレクター50の本体56の各々の外周部同士の複数の箇所がネジ60によって締結され、リフレクター50がハウジング20に取り付けられる。その際には、ハウジング20に対する板状部52及び板状部52を有するリフレクター50のZ方向への移動とX方向での移動は、規制されていない。つまり、板状部52及びリフレクター50が位置決めされていないため、車両用灯具に振動が加わったり、或いは車両用灯具の灯室内でリフレクター50のZ方向の+Z側への移動やX方向での移動につながる力がかかった際に、板状部52が+Y側の基端部を略中心としてZ方向を接線方向とする回転方向に沿って反時計回りに回転する虞がある。このように板状部52が回転すると、板状部52の先端部52eが取り付け時の所定の位置よりも+Z側に跳ね上がる虞がある。
【0041】
板状部52の先端部52eが+Z側に跳ね上がると、リフレクター50の+Z側に取り付けられたアウターレンズ110が先端部52eに-Z側から押され、アウターレンズ110は所定の取付位置からずれる、或いはハウジング20から外れる虞がある。比較例の車両用灯具に対して、前述のように、本実施形態の車両用灯具10によれば、ハウジング20に対してZ方向の少なくとも+Z側及びX方向でリフレクター50が位置決めされるため、リフレクター50の+Z側の灯室内でハウジング20に取り付けられているアウターレンズ110を+Z側へ押し上げることもなく、所定の位置に安定させて配置することができる。
【0042】
本実施形態の車両用灯具10では、位置決め部90は、リフレクター50の板状部52のZ方向の-Z側を向く下板面(板面)52bを支持する支持部32をさらに有する。本実施形態の車両用灯具10では、図4に示すように、突出片54をX方向で隣り合う爪部24、25同士の間の開口28に挿入すれば、板状部52が支持部32の上方すなわち+Z側に配置される。このような取付工程によって、ハウジング20に対して板状部52及び板状部52を有するリフレクター50の下方すなわち-Z側への移動を規制することができる。前述のように、突出片54がX方向で隣り合う爪部24、25の間に係止され、板状部52がZ方向で隣り合う爪部24、25と支持部32との間に係止されることによって、板状部52及び突出片54を有するリフレクター50のX方向及びZ方向での移動を規制することができる。また、本実施形態の車両用灯具10によれば、突出片54を爪部24、25の間の開口28内に配置しつつ、板状部52を支持部32の+Z側に配置するという簡易な取付工程を行うだけで、ハウジング20に対するリフレクター50のZ方向の移動及びX方向での移動を強く規制することができる。
【0043】
本実施形態の車両用灯具10は、支持部32は、板状部52に対向する上面(対向面)32aと、上面32aから板状部52の下板面52b側に膨出し、板状部52の下板面52bに当接可能なリブ30と、を含んでいる。このことによって、図5に示すように、突出片54を開口28に挿入し、板状部52の左側張出部58A及び右側張出部58Bを爪部24、25の下方に配置して爪部24、25に-Z側から当接させた際に、板状部52の開口露出部57にリブ30を当接させ、板状部52を-Z側から支持することができる。リブ30は支持部32の上面32aから+Z側に膨出し、湾曲面で構成されるので、板状部52に対して過度に負荷をかけずに板状部52を支持することができる。
【0044】
本実施形態の車両用灯具10は、Z方向でリフレクター50を挟むようにハウジング20に取付可能なアウターレンズ110を備える。アウターレンズ110には、X方向で爪部24、25に係止し且つZ方向で受け部22に係止している板状部52の上方(第2方向の一方側)に配置可能な突起114が設けられている。アウターレンズ110の対向部112は、X方向で爪部24、25同士の間の板状部52の開口露出部57の+Z側に配置可能である。板状部52の開口露出部57の+Z側は、板状部52の開口露出部57が支持部32によって支持される-Z側とは反対側であり、板状部52の左側張出部58A及び右側張出部58Bが爪部24、25によって係止される+Z側と同じ側である。本実施形態の車両用灯具10によれば、少なくともハウジング20に対するリフレクター50の+Z側への移動及びX方向での移動が規制されているため、アウターレンズ110をハウジング20の受け部22の+Z側の所定の位置に容易に且つ安定させて取り付けることができる。また、本実施形態の車両用灯具10によれば、板状部52の開口露出部57が支持部32によって支持され、板状部52に対して+Z側への負荷がかかった場合でも、上述のように爪部24、25の少なくとも一方によって板状部52の+Z側への移動、所謂跳ね上がりによるアウターレンズ110の位置ずれを防ぐことができる。
【0045】
また、開口露出部57よりも+Z側、且つ突出片54の+Y側に、対向部112の-Z側の板面から-Z側に突起114が設けられていることによって、図5に示すように、突出片54がY方向でハウジング20の本体26とアウターレンズ110の突起114との間に配置されるため、突出片54及び突出片54を備えるリフレクター50をY方向でも位置決めすることができる。したがって、本実施形態の車両用灯具10によれば、リフレクター50はX方向、Y方向及びZ方向の各々で位置決めされ、ハウジング20に対してリフレクター50を固定することができる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、複数の実施形態の構成要素は適宜組み合わせ可能である。
【0047】
例えば、本実施形態の車両用灯具10では、図1に示すようにX方向で2つの締結固定部21A、21Bの間に受け部22及び爪部24、25が配置されているが、受け部22及び爪部24、25の少なくとも一方は、X方向で固定部21とは異なる位置に設けられている。例えば、+X側から-X側に向かってX方向に沿って複数の固定部21と受け部22及び爪部24、25の少なくとも一方とが順次配置されてもよく、受け部22及び爪部24、25の少なくとも一方と複数の固定部21とが順次配置されてもよい。
【0048】
例えば、本実施形態の車両用灯具10は、図5に破線で示すように、板状部52から突出片54とは反対側すなわち-Z側に突出し、リブ30に+Z側から当接可能な突出片55を備えてもよい。突出片55は、実線で示されているリブ30の+Z側の端部に当接可能であってもよく、X方向でリブ30を両側から挟むように嵌合可能に形成されていてもよい。突出片55がリブ30のX方向の両側から嵌合可能な場合、簡易な取付工程を行うことによって、ハウジング20に対するリフレクター50のX方向での移動を爪部24、25に加えて突出片55によってもさらに規制し、ハウジング20に対するリフレクター50の位置決めの精度を高めることができる。
【0049】
例えば、上述の実施形態では、爪部24、25は、ハウジング20の本体26から+Y側に突出する受け部22の+Y側の先端部に連結されているが、取り付けに差し支えなければ、本体26に連結されて本体26から+Y側に直接突出していてもよい。その場合は、爪部24、25が連結されている本体26において板状部52の先端部52e及び突出片54が係止する部分が受け部22としても機能する。
【0050】
また、上述の実施形態では、2つの爪部24、25を例示したが、ハウジング20が備える爪部の数は2以上で適宜変更されてもよい。例えば、ハウジング20は、本体26の外周部で締結固定部21Bを挟んでX方向で爪部24、25の反対側近傍において互いに間隔をあけて設けられた一対の爪部をさらに備えてもよい。さらに、2つの爪部24、25のうち一方の爪部のみで突出片54及び板状部52のX方向の移動を規制し、位置決め可能である場合は、本発明に係る車両用灯具は、1つの爪部のみを備えていてもよい。このような例としては、例えば、突出片54を挟んでX方向で1つの爪部とは反対側にハウジング20の本体26から+Y側に突出する縁部が存在する場合や、突出片54のX方向で1つの爪部と隣り合う側とは反対側に受け部22に対して直接係止される構造を有する場合が挙げられる。
【0051】
また、上述の実施形態では、車両用灯具の取付部材、第2取付部材としてリフレクター、アウターレンズを挙げ、被取付部材としてハウジングを例に挙げて説明したが、各部材の組み合わせはこれらの部材に限定されない。例えば取付部材がインナーレンズや各種の導光部材であってもよく、被取付部材がリフレクターであってもよい。つまり、本発明に係る車両用灯具の被取付部材及び取付部材としては、車両に搭載される被取付部材に対してY方向(光軸方向)に沿って+Y側又は-Y側から取り付けられる取付部材であれば、特に限定されない。
【0052】
また、上述の実施形態では、本発明に係る車両用灯具の一例としてヘッドライトを挙げたが、本発明に係る車両用灯具はデイタイム・ランニング・ライト(DRL)、ストップランプ、テールランプ等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…車両用灯具、20…ハウジング(被取付部材)、22…受け部、24、25…爪部、28…開口、30…リブ(膨出部)、32a…上面(対向面)、50…リフレクター(取付部材)、52…板状部、52b…下板面(板面)、54…突出片、110…アウターレンズ(第2取付部材)、112…対向部、114…突起(当接部)、P…間隔(第1方向での大きさ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6