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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20250522BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20250522BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20250522BHJP
【FI】
H04M1/02 C
H05K5/02 C
A45C11/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021161898
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023051316
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 洋
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3215393(JP,U)
【文献】中国実用新案第210490945(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0331155(US,A1)
【文献】中国実用新案第210490978(CN,U)
【文献】中国実用新案第210431497(CN,U)
【文献】特許第6402233(JP,B1)
【文献】特表2016-516366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02- 1/23
A45C 1/00-15/08
A45F 3/00
3/02
3/04
3/12
G06F 1/00
1/16- 1/18
H05K 5/00- 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四辺形の板状に形成された筐体と、
前記筐体を収容する外装ケースと、を備え、
前記外装ケースのうち前記筐体の第1の辺を形成する第1の壁部に対応する内側面に設けられる第1の係合部と、
前記第1の壁部の外側面において前記第1の係合部に対応する位置に設けられ、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、
前記筐体のうち前記第1の辺に対する対辺の両端の角部の夫々に設けられ、前記対辺と前記対辺に接続される被接続辺のいずれに対しても斜めになる方向に前記角部から前記外装ケースに与圧をかける与圧部と、を有する、
携帯端末。
【請求項2】
前記与圧部は、弾性部材で形成された基部と、前記基部から前記外装ケースに向けて突出する突出部と、を含む、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記突出部は、前記対辺と前記被接続辺とがなす角の二等分線上において、前記筐体から前記外装ケースに向けて突出する、
請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記筐体には、前記筐体の背面から突出するカメラが設けられ、
前記外装ケースの前記カメラに対応する位置には、平面視において前記カメラよりも大きく形成された貫通孔が設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の落下時等に生じる衝撃から携帯端末を保護する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、捩りバネによって変位可能とした緩衝外筐を筐体のコーナー領域に設ける技術が提案されている。特許文献2では、弾性緩衝シートを有する保護カバーが提案されている。特許文献3では、シャーシ側面の切り込み部にカバーの凸部を係合させる電子機器の構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-181975号公報
【文献】実用新案登録第3200061号公報
【文献】特開2006-186157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末の外装ケースを交換可能にした場合、落下時等の衝撃によって携帯端末の筐体から外装ケースが容易に外れてしまう虞がある。外装ケースの筐体への取り付けを強固なものとしてしまうと、外装ケースの交換が容易ではなくなる。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、容易に交換可能で筐体を衝撃から保護可能な外装ケースを備えた携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のような携帯端末によって例示される。本携帯端末は、四辺形の板状に形成された筐体と、上記筐体を収容する外装ケースと、を備える。上記外装ケースは、上記筐体の四辺のうちの第1の辺を形成する第1の壁部に対応する内側面に設けられる第1の係合部を有する。上記筐体は、上記第1の壁部において上記第1の係合部に対応する外側面に設けられ、上記第1の係合部と係合する第2の係合部と、上記筐体のうち上記第1の辺に対する対辺の両端の角部の夫々に設けられ、上記対辺と上記対辺に接続される被接続辺のいずれに対しても斜めになる方向に上記角部から上記外装ケースに与圧をかける与圧部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、容易に交換可能で筐体を衝撃から保護可能な外装ケースを備えた携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観の一例を示す図である。
図2図2は、トップ領域に配置されるトップ側嵌合爪の一例を示す図である。
図3図3は、ボトム領域に配置されるボトム側嵌合爪の一例を示す図である。
図4図4は、サイド領域に配置されるサイド側嵌合部の一例を示す図である。
図5図5は、カメラ用孔部付近を抜粋した図である。
図6図6は、コーナー領域に配置される与圧部の一例を示す図である。
図7図7は、外装ケースが筐体に嵌められた状態における与圧部材による与圧方向を例示する図である。
図8図8は、外装ケースの取り外し手順の一例を示す図である。
図9図9は、外装ケースの取付手順の一例を示す図である。
図10図10は、スマートフォンが床に落下したときに働く力の方向と外装ケースを外す際に加えられる力の方向とを比較する図である。
図11図11は、弾性部材に加えられる荷重と弾性部材の変位量の関係を例示する図である。
図12図12は、落下したときにおける外装ケースの振動の様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。本実施形態に係る携帯端末は、四辺形の板状に形成された筐体と、上記筐体を収容する外装ケースと、を備える。
【0011】
そして、上記外装ケースは、上記筐体の四辺のうちの第1の辺を形成する第1の壁部に対応する内側面に設けられる第1の係合部を有する。上記筐体は、上記第1の壁部において上記第1の係合部に対応する外側面に設けられ、上記第1の係合部と係合する第2の係合部と、上記筐体のうち上記第1の辺に対する対辺の両端の角部の夫々に設けられ、上記対辺と上記対辺に接続される被接続辺のいずれに対しても斜めになる方向に上記角部から上記外装ケースに与圧をかける与圧部と、を有する。
【0012】
上記携帯端末では、上記対辺と上記対辺に接続される被接続辺のいずれに対しても斜めになる方向に上記角部から外装ケースに与圧をかける与圧部が設けられる。このような位置及び方向に与圧がかけられることで、第1の係合部と第2の係合部との係合がより強固なものとなる。
【0013】
また、上記携帯端末が落下するときは、複数の角部が同時に床や地面等に衝突するのではなく、いずれかひとつの角部が最初に床や地面等に衝突することが多いと考えられる。そのため、落下時の衝撃による力が上記角部の夫々に設けられた与圧部の双方に対して同時に働くことは考えにくい。いずれか一方の与圧部に対して落下時の衝撃による力が働いたとしても、他方の与圧部による与圧は継続されていることから、落下時においても外装ケースが筐体から外れることが抑制される。また、外装ケースを筐体から外す場合には外装ケースを相対的に筐体に対して上記第1の辺の方向にずらすことになるが、上記対辺における上記両端の間を指等で押すことで与圧部夫々に力を加えることは容易なため、携帯端末のユーザーが筐体から外装ケースを外すことは容易である。
【0014】
以下、図面を参照して上記携帯端末をスマートフォンに適用した実施形態についてさらに説明する。図1は、実施形態に係るスマートフォン100の外観の一例を示す図である。図1は、スマートフォン100の一方から見た外観(前面側の外観とする)と、他方から見た外観(背面側の外観とする)の外観を例示する。図1では、矢印によって、スマートフォン100の前面側と背面側が入れ替えて配置され、例示される。スマートフォン100は、板状の筐体200を有する。したがって、図1には描かれていないが、筐体200の前面と背面との間の距離(厚み)は、前面または背面の外形寸法と比較して短い。図1で紙面に向かって上側が筐体200の上側であり、紙面に向かって下側が筐体200の下側であるものと仮定する。以下、本明細書において、筐体200の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体200の幅方向をX方向、X方向及びY方向と直交する筐体200の厚さ方向をZ方向とも称する。
【0015】
スマートフォン100は、可搬型の情報処理装置である。筐体200の前面にはスピーカー111、マイクロフォン112、ディスプレイ113及びインカメラ114が設けられる。筐体200の背面にはアウトカメラ121が設けられる。アウトカメラ121は、画角の異なる複数のレンズを有し、筐体200の背面から突出する。インカメラ114は、例えば、スマートフォン100を操作するユーザーの動画像を撮影する。アウトカメラ121は、例えば、ユーザーがアウトカメラ121を向けた被写体の動画像を撮影する。スマートフォン100は、さらに、筐体200の背面を覆うとともに側面を囲む外装ケース300を備える。
【0016】
筐体200は、例えば、平面視において長方形状に形成される。筐体200は、第1側壁210及び第2側壁220によってその側面が囲まれる。第1側壁210は、筐体200の上下方向の端部夫々に配置され、幅方向に延びる側壁である。第2側壁220は、筐体200の左右方向の端部夫々に配置され、上下方向に延びる側壁である。
【0017】
外装ケース300は、スマートフォン100の背面を覆うように配置される外装ケース底部330と、スマートフォン100の側面を囲むように配置される外装ケース第1側壁310及び外装ケース第2側壁320を含む。
【0018】
外装ケース第1側壁310は、外装ケース300の上下方向の端部夫々に配置され、幅方向に延びる側壁である。外装ケース第2側壁320は、外装ケース300の左右方向の端部夫々に配置され、上下方向に延びる側壁である。外装ケース底部330には、スマートフォン100の背面に設けられたアウトカメラ121用のカメラ用孔部340が設けられる。外装ケース第1側壁310,外装ケース第2側壁320及び外装ケース底部330によって囲まれた領域内に筐体200は収容される。
【0019】
外装ケース300は、嵌合爪、嵌合部、与圧部によって筐体200から落下時の衝撃があっても容易には外れないように装着される。嵌合爪は、図1のトップ領域P1及びボトム領域P2の位置に配置される。嵌合部は、図1のサイド領域P3の位置に配置される。与圧部は、図1のコーナー領域P4の位置に配置される。
【0020】
図2は、トップ領域P1に配置されるトップ側嵌合爪10の一例を示す図である。図2では、トップ側嵌合爪10を側面から見た断面が例示される。トップ側嵌合爪10は、トップ側嵌合突起11とトップ側嵌合凹部12とを含む。
【0021】
トップ側嵌合突起11は、例えば、外装ケース300の上側の外装ケース第1側壁310の内側面において筐体200に向けて突出する略直方体形状の突起である。トップ側嵌合凹部12は、例えば、筐体200の上側の筐体第1側壁210の外側面のトップ側嵌合突起11に対応する位置に形成される略直方体形状の凹部である。外装ケース300が筐体200に装着された状態では、トップ側嵌合突起11がトップ側嵌合凹部12に挿入される。スマートフォン100では、図1を参照すると理解できるように、2つのトップ側嵌合突起11が所定間隔で設けられ、2つのトップ側嵌合凹部12も所定間隔で設けられる。トップ側嵌合突起11は、「第1の係合部」の一例である。トップ側嵌合凹部12は、「第2の係合部」の一例である。
【0022】
図3は、ボトム領域P2に配置されるボトム側嵌合爪20の一例を示す図である。図3では、ボトム側嵌合爪20を側面から見た断面が例示される。ボトム側嵌合爪20は、ボトム側端部21及びボトム側受け部22を含む。
【0023】
ボトム側端部21は、外装ケース300の下側の外装ケース第1側壁310の上端部で
ある。ボトム側端部21は、例えば、平坦に形成される。ボトム側受け部22は、筐体200の下側の筐体第1側壁210の上端側から下方向に突出する突起である。ボトム側受け部22の下側の面22aは平坦に形成される。外装ケース300が筐体200に装着された状態では、ボトム側端部21がボトム側受け部22の下側の面22aに押し当てられた状態となる。
【0024】
図4は、サイド領域P3に配置されるサイド側嵌合部30の一例を示す図である。図4では、サイド側嵌合部30を上方向から見た断面が例示される。なお、図4では、右側(-X側)のサイド領域P3が例示される。左側(+X側)のサイド領域P3は、図4と左右対称となる。サイド側嵌合部30は、サイド側嵌合凹部31とサイド側嵌合凸部32とを含む。
【0025】
サイド側嵌合凸部32は、例えば、筐体200の左右夫々の筐体第1側壁210において外装ケース300に向けて突出する略半球状の突起である。サイド側嵌合凹部31は、例えば、外装ケース300の左右夫々の外装ケース第1側壁310の内側面のサイド側嵌合凸部32に対応する位置に形成される略半球状の凹部である。外装ケース300が筐体200に装着された状態では、サイド側嵌合凸部32がサイド側嵌合凹部31に挿入される。
【0026】
図5は、カメラ用孔部340付近を抜粋した図である。図5では、カメラ用孔部340付近を側方から見た断面図が例示される。カメラ用孔部340は、アウトカメラ121よりも平面視(Z方向視)において若干大きめに形成される。そのため、カメラ用孔部340の端部とアウトカメラ121との間には、隙間340aが形成される。カメラ用孔部340は、「貫通孔」の一例である。
【0027】
図6は、コーナー領域P4に配置される与圧部40の一例を示す図である。図6では、与圧部40をZ方向から見た断面が例示される。なお、図6では、右側(-X側)のコーナー領域P4が例示される。左側(+X側)のコーナー領域P4は、図6と左右対称となる。与圧部40は、被与圧部41と与圧部材42とを含む。被与圧部41は、外装ケース300の下側の角部の内側面である。与圧部材42は、弾性部材42aと与圧突起42bとを含む。
【0028】
弾性部材42aは、筐体200内において筐体200の角部付近に配置される。弾性部材42aとしては、例えば、ポロン、板バネ、コイルバネ、シリコンラバーゴムを採用することができる。与圧突起42bは、一方の端部が被与圧部41aによって支持されており、他方の端部は筐体200の角部から筐体200外に突出する。与圧突起42bとしては、例えば、ポリアセタール(POM)に例示されるエンジニアリングプラスチックを採用することができる。弾性部材42aは、「基部」の一例である。与圧突起42bは、「突出部」の一例である。
【0029】
与圧突起42bが突出する突出方向D1は、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220のいずれに対しても斜めになる。すなわち、突出方向D1は、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220のいずれに対しても、平行にならず、直交もしない。突出方向D1は、例えば、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220がなす角の二等分線上であり、かつ、筐体200から外装ケース300に向かう方向である。
【0030】
そして、外装ケース300にスマートフォン100が収容された状態では、与圧突起42bが被与圧部41に当接されることで、弾性部材42aが圧縮される。すなわち、圧縮された弾性部材42aの弾性力によって、与圧突起42bは、被与圧部41に押し当てられることになる。
【0031】
図7は、外装ケース300が筐体200に嵌められた状態における与圧部材42による与圧方向を例示する図である。与圧部材42は、被与圧部41が突出する突出方向D1の方向に外装ケース300に与圧をかける。そのため、与圧部材42による与圧方向D2は、突出方向D1と一致する。すなわち、与圧方向D2は、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220のいずれに対しても斜めになる。すなわち、与圧方向D2は、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220のいずれに対しても、平行にならず、直交もしない。与圧方向D2は、例えば、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220がなす角の二等分線上であり、かつ、筐体200から外装ケース300に向かう方向である。例えば、2つの与圧部材42による与圧方向D2は、スマートフォン100の平面視において末広がりの形(八の字形)を形成する。
【0032】
このような与圧がかけられることで、筐体200に対して相対的に-Y方向となる力が外装ケース300に働く。その結果、トップ側嵌合突起11はより強固にトップ側嵌合凹部12に嵌め込まれることになり、外装ケース300が筐体200から外れることが抑制される。
【0033】
図8は、外装ケース300の取り外し手順の一例を示す図である。以下、図8を参照して、外装ケース300の取り外し手順の一例について説明する。
【0034】
図8(a)では、指Fで外装ケース300の背面の中央付近を+Z方向に押さえた状態で、外装ケース300の下端部を筐体200の上方向(+Y方向)に押す。外装ケース300の下端部が上方向に押されることで、スマートフォン100の下側夫々に配置された2つの弾性部材42aが弾性変形して、外装ケース300が筐体200に対して相対的に上方向にずれる。その結果、トップ側嵌合突起11がトップ側嵌合凹部12から外れる。図8(b)では、指Fによって外装ケース300の背面の中央付近を+Z方向に押した状態で、外装ケース300の上端部を-Z方向に持ち上げる。外装ケース300の上端部が-Z方向に持ちあげられることで、サイド側嵌合凹部31の弾性変形によりサイド側嵌合凸部32がサイド側嵌合凹部31から外れる。図8(c)では、外装ケース300がスマートフォン100から取り外される。
【0035】
図9は、外装ケース300の取付手順の一例を示す図である。以下、図9を参照して、外装ケース300の取付手順の一例について説明する。
【0036】
図9(a)では、外装ケース300の外装ケース第1側壁310がボトム側受け部22に嵌合(例えば、外装ケース第1側壁310がボトム側受け部22aに当接)される。図9(b)では、外装ケース300を筐体200に対して相対的に上方向(+Y方向)に押しながら、外装ケース300を筐体200に嵌めていく。図9(c)では、外装ケース300のトップ側嵌合突起11が筐体200のトップ側嵌合凹部12に嵌合される。図9(c)の段階では、外装ケース300の31に筐体200のサイド側嵌合凸部32も嵌合される。
【0037】
図10は、スマートフォン100が床に落下したときに働く力の方向と外装ケース300を外す際に加えられる力の方向とを比較する図である。図10(a)では、スマートフォン100が床に落下したときに床からスマートフォン100に対して働く力の方向が例示される。図10(b)では、外装ケース300を外す際に加えられる力の方向が例示される。なお、図10(a)と図10(b)との力の方向の対比を容易にするため、図10(a)において床G1を斜めにすることで、図10(a)及び図10(b)のスマートフォン100の上下方向を一致させている。
【0038】
図10(a)に例示されるように、床G1に対して斜めにスマートフォン100が落下すると、床G1からスマートフォン100に対して、矢印F1の方向(斜め方向、+X方向と+Y方向の間の方向)の力が働く(図10(a))。一方で、図8(a)を参照して説明したように、外装ケース300を外す際に外装ケース300に加えられる力の方向は、矢印F2の方向(+Y方向)となる(図10(b))。すなわち、スマートフォン100を床G1に落下させたときと筐体200から外装ケース300を外すときとでは力の方向が異なるため、図10(a)のようにスマートフォン100を床G1に落としても、外装ケース300が筐体200から外れることが抑制される。
【0039】
図11は、弾性部材42aに加えられる荷重と弾性部材42aの変位量の関係を例示する図である。図11において、縦軸は弾性部材42aに加えられる荷重(N)を例示し、横軸は弾性部材42aの変位量(mm)を例示する。図11の例では、変位量が「0」の場合が、弾性部材42aが自然長の状態に対応する。そして、図11の横軸に例示される変位量が大きくなるほど、弾性部材42aが圧縮された状態となる。なお、図11に例示される弾性部材42aの変位量は、筐体200の長手方向(Y方向)に換算した変位量が例示される。
【0040】
図11のS1は、外装ケース300が筐体200に装着されているときの弾性部材42aの変位量を例示する。また、図11のS2は、外装ケース300が筐体200から取り外される際に生じる弾性部材42aの変位量を例示する。また、図11のS3によって示される矢印は、スマートフォン100が床G1に落下した場合における荷重の変化を例示する。
【0041】
外装ケース300が筐体200に装着されている間は、弾性部材42aは自然長から圧縮された状態となる。そのため、外装ケース300が筐体200に装着されている状態では、弾性部材42aの弾性力によって与圧突起42bが外装ケース300の被与圧部41に押し付けられることが理解できる。また、スマートフォン100が床G1に落下した場合でも、弾性部材42aの弾性力によって与圧突起42bが被与圧部41に押し付けられる状態は維持されることが理解できる。そのため、スマートフォン100が床G1に落下した場合でも左右夫々に設けられる与圧部40による与圧は継続されるため、トップ側嵌合突起11がトップ側嵌合凹部12から外れることが抑制される。すなわち、落下時の荷重のかかり方から見ても、外装ケース300が筐体200から外れることが抑制される。
【0042】
また、図10(a)のようにスマートフォン100を床G1に落下させた場合、弾性部材42aが弾性変形してその衝撃を吸収する。さらに、弾性部材42aの弾性変形に伴い、外装ケース300が様々な方向に振動することで、落下時の衝撃が一か所に集中することが抑制される。
【0043】
図12は、落下したときにおける外装ケース300の振動の様子を模式的に示す図である。図12の矢印A1に例示されるように、弾性部材42aの弾性変形によって外装ケース300は様々な方向に振動する。ここで、カメラ用孔部340とアウトカメラ121との間には隙間340aが設けられていることから、外装ケース300が振動してもカメラ用孔部340の縁がアウトカメラ121に接触することが抑制される。隙間340aの大きさは、例えば、弾性部材42aの伸縮範囲に基づいて決定されればよい。隙間340aの大きさは、例えば、弾性部材42aを最大限圧縮されたり、最大限伸長されたりした場合でも、カメラ用孔部340がアウトカメラ121に接触しないように決定されればよい。なお、図12では、Y方向の振動とZ方向の振動が矢印A1によって例示されているが、外装ケース300は他の方向にも振動してもよい。
【0044】
<実施形態の作用効果>
本実施形態によれば、筐体200に装着された外装ケース300は、与圧部材42によって与圧がかけられる。与圧の方向は、図7の与圧方向D2に例示されるように、筐体第1側壁210及び筐体第2側壁220のいずれに対しても斜めになる。このような与圧がかけられることで、筐体200に対して相対的に-Y方向となる力が外装ケース300に働く。その結果、トップ側嵌合突起11はより強固にトップ側嵌合凹部12に嵌め込まれることになり、外装ケース300が筐体200から外れることが抑制される。
【0045】
本実施形態では、スマートフォン100の下側の左右夫々に与圧部材42が設けられる。外装ケース300を筐体200から外すには、図8(a)に例示するように、2つの弾性部材42aが圧縮されるように、力を加えることになる。ここで、スマートフォン100が床G1に落下した場合、いずれか一方の角が先に床G1に衝突すると考えられる。すなわち、2つの弾性部材42aの双方に対して落下時の力が同時に加わることは想定しにくい。そのため、本実施形態によれば、スマートフォン100の落下時においても、外装ケース300が筐体200から外れることが抑制される。
【0046】
本実施形態では、弾性部材42aの弾性変形に伴い、図12を参照して説明したように外装ケース300が振動する。外装ケース300が振動することで落下時の衝撃が吸収され、スマートフォン100が保護される。そして、カメラ用孔部340とアウトカメラ121との間には隙間340aが設けられていることから、外装ケース300が振動してもカメラ用孔部340の縁がアウトカメラ121に接触することが抑制され、ひいては、アウトカメラ121の破損が抑制される。
【0047】
本実施形態では、図8を参照して説明したように、外装ケース300の取り外しは容易である。そのため、スマートフォン100のユーザーは、スマートフォン100の外見を変えて楽しむためや、古くなった外装ケース300を新しい外装ケース300に交換する等のために、外装ケース300の交換を気軽に行うことができる。
【0048】
<変形例>
実施形態では、スマートフォン100の上側にトップ側嵌合爪10が設けられ、スマートフォン100の下側に与圧部40が設けられたが、スマートフォン100の上側に与圧部40が設けられ、スマートフォン100の下側にトップ側嵌合爪10が設けられてもよい。
【0049】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0050】
10・・トップ側嵌合爪
11・・トップ側嵌合突起
12・・トップ側嵌合凹部
20・・ボトム側嵌合爪
21・・ボトム側端部
22・・ボトム側受け部
30・・サイド側嵌合部
31・・サイド側嵌合凹部
32・・サイド側嵌合凸部
40・・与圧部
41・・被与圧部
42・・与圧部材
100・・スマートフォン
111・・スピーカー
112・・マイクロフォン
113・・ディスプレイ
114・・インカメラ
121・・アウトカメラ
200・・筐体
210・・筐体第1側壁
220・・筐体第2側壁
300・・外装ケース
310・・外装ケース第1側壁
320・・外装ケース第2側壁
330・・外装ケース底部
340・・カメラ用孔部
340a・・隙間
A1・・矢印
D1・・突出方向
D2・・与圧方向
F1・・矢印
F2・・矢印
G1・・床
P1・・トップ領域
P2・・ボトム領域
P3・・サイド領域
P4・・コーナー領域
42a・・弾性部材
42b・・与圧突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12