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特許7685413セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0228 20160101AFI20250522BHJP
   H01M 8/021 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/0215 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/0217 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/24 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20250522BHJP
   H01M 8/04 20160101ALN20250522BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20250522BHJP
【FI】
H01M8/0228
H01M8/021
H01M8/0215
H01M8/0217
H01M8/24
H01M8/2465
H01M8/2475
H01M8/2484
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
H01M8/12 102C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021166852
(22)【出願日】2021-10-11
(62)【分割の表示】P 2021504484の分割
【原出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022000870
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2019216805
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晃治
(72)【発明者】
【氏名】古内 史人
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-149618(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105578(WO,A1)
【文献】特開2008-186666(JP,A)
【文献】特開2000-182645(JP,A)
【文献】特開2017-152096(JP,A)
【文献】特開2001-196077(JP,A)
【文献】特表平11-501764(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069033(WO,A1)
【文献】特表2018-508955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/04
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のセルが配列されるセルスタックと、
前記複数個のセルの配列方向における前記セルスタックの端部に位置する端部集電部材と、
を備え、
前記端部集電部材において酸化雰囲気に露出する第1面が、マンガンを含む被覆材で覆われ、
前記第1面が、前記セルスタックの最も外側の前記セルに接続され、
前記端部集電部材において500~1000℃程度の還元雰囲気に露出する第2面が、前記被覆材とは異なる材質であり、かつ500~1000℃程度の還元雰囲気下においてマンガンより還元反応に対する耐久性が高い元素の酸化物を材料とする膜で覆われる
セルスタック装置。
【請求項2】
前記セルおよび前記端部集電部材を固定する固定材をさらに備え、
前記端部集電部材において前記固定材と接する第3面が、前記膜で覆われる
請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項3】
前記セルおよび前記端部集電部材を固定する固定材をさらに備え、
前記端部集電部材において前記固定材と接する第3面には、前記被覆材および前記膜が位置する
請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項4】
前記端部集電部材において前記第3面に位置する前記膜の表面粗さは、前記端部集電部材において前記第3面に位置する前記被覆材の表面粗さよりも大きい
請求項3に記載のセルスタック装置。
【請求項5】
前記端部集電部材において前記第3面に位置する前記膜の面積は、前記端部集電部材において前記第3面に位置する前記被覆材の面積よりも小さい
請求項3または4に記載のセルスタック装置。
【請求項6】
前記膜は、還元防止膜である
請求項1~5のいずれか一つに記載のセルスタック装置。
【請求項7】
複数個のセルが配列されるセルスタックと、
前記複数個のセルの配列方向における前記セルスタックの端部に位置する端部集電部材と、
前記セルおよび前記端部集電部材を固定する固定材と、
を備え、
前記端部集電部材において酸化雰囲気に露出する第1面が、マンガンを含む被覆材で覆われ、
前記第1面が、前記セルスタックの最も外側の前記セルに接続され、
前記端部集電部材において前記固定材と接するとともに、酸化雰囲気に露出しない第3面が、前記被覆材とは異なる材質であり、かつ500~1000℃程度の還元雰囲気下においてマンガンより還元反応に対する耐久性が高い元素の酸化物を材料とする膜で覆われる
セルスタック装置。
【請求項8】
前記膜は、還元防止膜である
請求項7に記載のセルスタック装置。
【請求項9】
収納容器内に請求項1~8のいずれか一つに記載のセルスタック装置を収納して構成される、モジュール。
【請求項10】
外装ケース内に、請求項9に記載のモジュールと、該モジュールの運転を行うための補機とを収容して構成される、モジュール収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、水素含有ガスなどの燃料ガスと空気などの酸素含有ガスとを用いて電力を得ることができるセルの1種である燃料電池セルが複数配列されて構成される燃料電池セルスタック装置が種々提案されている。
【0003】
かかる燃料電池セルスタック装置では、たとえば、複数個の燃料電池セルの配列方向におけるセルスタックの端部に、金属材料で構成される端部集電部材が位置している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-162357号公報
【発明の概要】
【0005】
実施形態の一態様に係るセルスタック装置は、セルスタックと、端部集電部材とを備える。セルスタックは、複数個のセルが配列される。端部集電部材は、前記複数個のセルの配列方向における前記セルスタックの端部に位置する。そして、前記端部集電部材において酸化雰囲気に露出する第1面が、マンガンを含む被覆材で覆われ、前記端部集電部材において還元雰囲気に露出する第2面が、前記第2面から前記端部集電部材の構成元素が離脱することを抑制する膜で覆われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、実施形態に係るセルの一例を示す横断面図である。
図1B図1Bは、実施形態に係るセルの一例を空気極側からみた側面図である。
図1C図1Cは、実施形態に係るセルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。
図2A図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aに示すX-X線の断面図である。
図2C図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す上面図である。
図3図3は、実施形態に係る端部集電部材を示す断面図である。
図4図4は、実施形態の変形例1に係る端部集電部材を示す断面図である。
図5図5は、実施形態の変形例2に係る端部集電部材を示す断面図である。
図6図6は、実施形態の変形例3に係る端部集電部材を示す断面図である。
図7図7は、実施形態の変形例4に係る端部集電部材を示す拡大断面図である。
図8図8は、実施形態の変形例5に係る端部集電部材を示す拡大断面図である。
図9図9は、実施形態の変形例6に係る端部集電部材を示す拡大断面図である。
図10図10は、実施形態の変形例7に係る端部集電部材を示す断面図である。
図11図11は、実施形態の変形例8に係る端部集電部材を示す断面図である。
図12図12は、実施形態の変形例9に係る端部集電部材を示す断面図である。
図13図13は、実施形態に係るモジュールの一例を示す外観斜視図である。
図14図14は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を概略的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するセルスタック装置、モジュール、モジュール収容装置および金属部材の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの開示が限定されるものではない。
【0008】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係、比率などが異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
近年、次世代エネルギーとして、水素含有ガスなどの燃料ガスと空気などの酸素含有ガスとを用いて電力を得ることができるセルの1種である燃料電池セルが複数配列されて構成される燃料電池セルスタック装置が種々提案されている。
【0010】
かかる燃料電池セルスタック装置では、たとえば、複数個の燃料電池セルの配列方向におけるセルスタックの端部に、金属材料で構成される端部集電部材が位置している。
【0011】
しかしながら、上述の端部集電部材は、異なる部位で空気などの酸化雰囲気および水素含有ガスなどの還元雰囲気の両方に曝されることから、表面が一方の雰囲気に対する耐久性を備えていたとしても、他方の雰囲気に対しての耐久性に劣る場合があった。
【0012】
そこで、上述の点を克服し、燃料電池セルスタック装置の耐久性を向上させることができる技術の実現が期待されている。
【0013】
<セルの構成>
まず、図1A図1Cを参照しながら、実施形態に係るセルスタック装置を構成するセルとして、固体酸化物形の燃料電池セルの例を用いて説明する。
【0014】
図1Aは、実施形態に係るセル1の一例を示す横断面図であり、図1Bは、実施形態に係るセル1の一例を空気極5側からみた側面図であり、図1Cは、実施形態に係るセル1の一例をインターコネクタ6側からみた側面図である。なお、図1A図1Cは、セル1の各構成の一部を拡大して示している。
【0015】
図1A図1Cに示す例において、セル1は中空平板型で、細長い板状である。図1Bに示すように、セル1の全体を側面から見た形状は、たとえば、長さ方向Lの辺の長さが5cm~50cmで、この長さ方向Lに直交する幅方向Wの長さが1cm~10cmの長方形である。このセル1の全体の厚さ(厚み方向T)は1mm~5mmである。
【0016】
図1Aに示すように、セル1は、導電性の支持基板2と、素子部と、インターコネクタ6とを備えている。支持基板2は、一対の対向する第1平坦面n1、第2平坦面n2、およびかかる第1平坦面n1と第2平坦面n2とを接続する一対の円弧状の側面mを有する柱状である。
【0017】
素子部は、支持基板2の第1平坦面n1上に位置している。かかる素子部は、燃料極3と、固体電解質層4と、空気極5とを有している。また、図1Aに示す例では、セル1の第2平坦面n2上にインターコネクタ6が位置している。
【0018】
また、図1Bに示すように、空気極5はセル1の下端まで延びていない。セル1の下端部では、固体電解質層4のみが第1平坦面n1の表面に露出している。また、図1Cに示すように、インターコネクタ6がセル1の下端まで延びていてもよい。セル1の下端部では、インターコネクタ6および固体電解質層4が表面に露出している。なお、図1Aに示すように、セル1の一対の円弧状の側面mにおける表面では、固体電解質層4が露出している。インターコネクタ6は、セル1の下端まで延びていなくてもよい。
【0019】
以下、セル1を構成する各構成部材について説明する。
【0020】
支持基板2は、ガスが流れるガス流路2aを内部に有している。図1Aにおいては、長さ方向に沿って延びる6つのガス流路2aを有する例を示している。支持基板2は、ガス透過性を有し、燃料ガスを燃料極3まで透過させる。図1Aに示す支持基板2は、導電性を有する。支持基板2は、素子部で発生した電気を、インターコネクタ6を介して集電する。
【0021】
支持基板2の材料は、たとえば、鉄族金属成分および無機酸化物を含む。支持基板2の材料のうち鉄族金属成分は、たとえば、Niおよび/またはNiOであってもよい。支持基板2の材料のうち無機酸化物は、たとえば、特定の希土類元素酸化物であってもよい。
【0022】
燃料極3の材料には、一般的に公知のものを使用することができる。燃料極3の材料には、多孔質の導電性セラミックス、たとえば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOとNiおよび/またはNiOとを含むセラミックスなどを用いてもよい。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Yなどが用いられる。
【0023】
以下、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOを安定化ジルコニアと称する。本開示において、安定化ジルコニアは、部分安定化ジルコニアも含む。
【0024】
固体電解質層4は、電解質であり、燃料極3と空気極5との間のイオンの橋渡しをする。同時に、固体電解質層4は、ガス遮断性を有し、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを生じ難くする。
【0025】
固体電解質層4の材料は、たとえば、3~15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrOである。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Yなどが用いられる。なお、上記特性を有する限りにおいては、固体電解質層4の材料に他の材料などを用いてもよい。
【0026】
空気極5の材料は、一般的に空気極に用いられるものであれば特に制限はない。空気極5の材料は、たとえば、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物などの導電性セラミックスでもよい。
【0027】
空気極5の材料は、たとえば、AサイトにSrとLaが共存する複合酸化物であってもよい。このような複合酸化物の例としては、LaSr1-xCoFe1-y、LaSr1-xMnO、LaSr1-xFeO、LaSr1-xCoOなどが挙げられる。なお、xは0<x<1、yは0<y<1である。
【0028】
また、空気極5は、ガス透過性を有している。空気極5の開気孔率は20%以上、特に30%~50%の範囲であってもよい。
【0029】
インターコネクタ6の材料には、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO系酸化物)などを用いてもよい。これらの材料は、導電性を有し、かつ水素含有ガスなどの燃料ガスおよび空気などの酸素含有ガスと接触しても還元も酸化もされない。
【0030】
また、インターコネクタ6は、緻密質であり、支持基板2の内部に位置するガス流路2aを流通する燃料ガス、および支持基板2の外側を流通する酸素含有ガスのリークを生じ難くする。インターコネクタ6は、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していてもよい。
【0031】
<セルスタック装置の構成>
次に、上述したセル1を用いた本実施形態に係るセルスタック装置10について、図2A図2Cを参照しながら説明する。図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す斜視図であり、図2Bは、図2Aに示すA-A線の断面図であり、図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す上面図である。
【0032】
図2Aに示すように、セルスタック装置10は、セル1の厚み方向T(図1A参照)に配列(積層)された複数個のセル1を有するセルスタック11と、固定部材12とを備える。
【0033】
固定部材12は、固定材13と、支持部材14とを有する。支持部材14は、セル1を支持する。固定材13は、セル1を支持部材14に固定する。また、支持部材14は、支持体15と、ガスタンク16とを有する。支持部材14である支持体15およびガスタンク16は、金属製であり導電性を有している。
【0034】
図2Bに示すように、支持体15は、複数個のセル1の下端部が挿入される挿入孔15aを有している。複数個のセル1の下端部と挿入孔15aの内壁とは、固定材13で接合されている。
【0035】
ガスタンク16は、挿入孔15aを通じて複数個のセル1に反応ガスを供給する開口部と、かかる開口部の周囲に位置する凹溝16aとを有する。支持体15の外周の端部は、ガスタンク16の凹溝16aに充填された接合材21によって、ガスタンク16と接合されている。
【0036】
図2Aに示す例では、支持部材14である支持体15とガスタンク16とで形成される内部空間22(図2B参照)に燃料ガスが貯留される。ガスタンク16にはガス流通管20が接続されている。燃料ガスは、このガス流通管20を通じてガスタンク16に供給され、ガスタンク16からセル1の内部のガス流路2a(図1A参照)に供給される。ガスタンク16に供給される燃料ガスは、後述する改質器82(図13参照)で生成される。
【0037】
水素リッチな燃料ガスは、原燃料を水蒸気改質などすることによって生成することができる。水蒸気改質により燃料ガスを生成する場合には、燃料ガスが水蒸気を含む。
【0038】
図2Aに示す例は、2列のセルスタック11、2つの支持体15、およびガスタンク16を備えている。2列のセルスタック11は、それぞれ複数個のセル1を有する。各セルスタック11は、各支持体15に固定されている。ガスタンク16は上面に2つの貫通孔を有している。各貫通孔には、各支持体15が配置されている。内部空間22は、1つのガスタンク16と、2つの支持体15とで形成される。
【0039】
挿入孔15aの形状は、たとえば、上面視で長円形状である。挿入孔15aは、たとえば、セル1の配列方向すなわち厚み方向Tの長さが、セルスタック11の両端に位置する2つの端部集電部材17の間の距離よりも大きい。挿入孔15aの幅は、たとえば、セル1の幅方向W(図1A参照)の長さよりも大きい。
【0040】
図2Bに示すように、挿入孔15aの内壁とセル1の下端部との接合部には、固定材13が充填され、固化されている。これにより、挿入孔15aの内壁と複数個のセル1の下端部とがそれぞれ接合・固定され、また、セル1の下端部同士が接合・固定されている。各セル1のガス流路2aは、下端部で支持部材14の内部空間22と連通している。
【0041】
固定材13および接合材21は、導電性が低いものを用いることができる。固定材13および接合材21の具体的な材料としては、非晶質ガラスなどを用いてもよく、特に結晶化ガラスなどを用いてもよい。
【0042】
結晶化ガラスとしては、たとえば、SiO-CaO系、MgO-B系、La-B-MgO系、La-B-ZnO系、SiO-CaO-ZnO系などの材料のいずれかを用いてもよく、特にSiO-MgO系の材料を用いてもよい。
【0043】
また、図2Bに示すように、隣接するセル1の間には、隣接するセル1の間(より詳細には、一方のセル1の燃料極3と他方のセル1の空気極5)を電気的に直列に接続する導電部材18が介在している。隣接するセル1の間とは、より詳細には、隣接する一方のセル1の燃料極3ともう一方のセル1の空気極5との間である。
【0044】
また、図2Bに示すように、複数個のセル1の配列方向における最も外側に位置するセル1に、端部集電部材17が接続されている。端部集電部材17は、セルスタック11の外側に突出する導電部19に接続されている。導電部19は、セル1の発電により生じた電気を集電して外部に引き出す機能を有する。なお、図2Aでは、端部集電部材17、導電部材18および導電部19の図示を省略している。
【0045】
また、図2Cに示すように、セルスタック装置10は、2つのセルスタック11A、11Bが直列に接続され、一つの電池として機能する。そのため、セルスタック装置10の導電部19は、正極端子19Aと、負極端子19Bと、接続端子19Cとに区別される。
【0046】
正極端子19Aは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合に正極として機能し、セルスタック11Aにおける正極側の端部集電部材17に電気的に接続される。負極端子19Bは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合に負極として機能し、セルスタック11Bにおける負極側の端部集電部材17に電気的に接続される。
【0047】
接続端子19Cは、セルスタック11Aにおける負極側の端部集電部材17と、セルスタック11Bにおける正極側の端部集電部材17とを電気的に接続する。
【0048】
<端部集電部材の詳細>
つづいて、実施形態に係る端部集電部材17の詳細について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る端部集電部材17を示す断面図である。端部集電部材17は、金属部材の一例である。
【0049】
図3に示すように、端部集電部材17の一端(図では下端部)は、複数個のセル1(図2B参照)とともに挿入孔15aに挿入されており、かかる挿入孔15aにおいて固定材13で固定されている。すなわち、端部集電部材17の一端(下端部)における側面は、固定材13と接している。
【0050】
また、端部集電部材17の一端(下端部)における一部の面(たとえば、底面)は、支持部材14(図2B参照)で形成される内部空間22に露出している。かかる内部空間22は、上述のようにセル1の燃料極3が支持基板2を通じて接する空間であり、水素含有ガスなどの燃料ガスで満たされる。すなわち、内部空間22は、還元雰囲気である。
【0051】
一方で、端部集電部材17の一端(下端部)以外の面は、外部空間23に露出している。かかる外部空間23は、セル1の空気極5が露出する空間であり、空気などの酸素含有ガスで満たされる。すなわち、外部空間23は、酸化雰囲気である。
【0052】
このような環境下で用いられる端部集電部材17は、図3に示すように、酸化雰囲気(外部空間23)に露出する面が被覆材17bで覆われているとよい。かかる被覆材17bの材料は、たとえば、マンガン(Mn)を含有する導電性酸化物(たとえば、ZnMnCoO)である。被覆材17bは、たとえば、電着塗装などによって母材17aの表面に形成される。なお、実施形態において、端部集電部材17の母材17aの材料は、たとえば、ステンレスである。
【0053】
そして、かかる被覆材17bで端部集電部材17の表面を覆うことにより、高温動作時に母材17aに含まれるクロム(Cr)が酸化雰囲気(外部空間23)に脱離することを抑制することができることから、端部集電部材17の耐久性を高めることができる。
【0054】
一方で、被覆材17bが還元雰囲気(たとえば、内部空間22)に曝された場合、被覆材17bの構成元素であるマンガンが還元して被覆材17bから脱離することから、端部集電部材17の耐久性が低下する恐れがあった。
【0055】
そこで、実施形態では、端部集電部材17において還元雰囲気(内部空間22)に曝される面(図では底面)を、被覆材17bとは異なる膜で覆うこととした。たとえば、実施形態では、還元雰囲気に曝される面が母材17aの自然酸化膜17a1で覆われている。
【0056】
かかる自然酸化膜17a1の材料は、たとえば、酸化クロム(Cr)である。自然酸化膜17a1の構成元素は、還元雰囲気下でも還元反応を起こすことはほとんどない。
【0057】
これにより、還元雰囲気(内部空間22)に露出する面から構成元素が脱離することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0058】
かかる自然酸化膜17a1は、たとえば、母材17aの表面全体に被覆材17bを形成した後、所定の箇所(ここでは、底面)を硫酸などでエッチングし、露出した母材17aの表面を酸化雰囲気中で高温処理することによって形成することができる。
【0059】
そして、実施形態では、簡便に形成可能な自然酸化膜17a1で還元雰囲気に露出する面を覆うことにより、端部集電部材17を低コストで製造することができる。
【0060】
<各種変形例>
つづいて、実施形態の各種変形例に係る端部集電部材17について、図4図12を参照しながら説明する。図4は、実施形態の変形例1に係る端部集電部材17を示す断面図である。
【0061】
上述の実施形態では、端部集電部材17において還元雰囲気(内部空間22)に露出する面が自然酸化膜17a1で覆われた例について示したが、還元雰囲気に露出する面を覆う膜は自然酸化膜17a1に限られない。
【0062】
たとえば、図4に示すように、還元雰囲気(内部空間22)に露出する面が還元防止膜17cで覆われてもよい。かかる還元防止膜17cの材料は、還元雰囲気下でも構成元素が還元反応を起こすことがほとんどない材料であり、たとえば、フォルステライト、アルミナ(Al)などである。
【0063】
かかる還元防止膜17cで底面を覆うことにより、還元雰囲気(内部空間22)に露出する面から構成元素が脱離することを抑制することができる。したがって、変形例1によれば、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0064】
また、変形例1では、ステンレス以外の材料を端部集電部材17の母材17aに用いることができることから、端部集電部材17の高性能化(たとえば、電気伝導率の向上)を実現することができる。
【0065】
図5は、実施形態の変形例2に係る端部集電部材17を示す断面図である。図5に示すように、変形例2に係る端部集電部材17は、還元雰囲気(内部空間22)に露出する面に加えて、固定材13と接する面も被覆材17bとは異なる膜で覆われている。
【0066】
たとえば、図5の例では、還元雰囲気に露出する面および固定材13と接する面が、母材17aの自然酸化膜17a1で覆われている。
【0067】
このように、被覆材17bとは異なる膜で固定材13と接する面を覆うことにより、高温動作時に被覆材17bの構成元素であるマンガンがガラス材料である固定材13に拡散して、被覆材17bにクラックなどが生じることを抑制することができる。
【0068】
したがって、変形例2によれば、端部集電部材17の耐久性をさらに高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0069】
また、変形例2では、簡便に形成可能な自然酸化膜17a1で還元雰囲気に露出する面および固定材13と接する面を覆うことができることから、端部集電部材17を低コストで製造することができる。
【0070】
図6は、実施形態の変形例3に係る端部集電部材17を示す断面図である。上述の図5の例では、還元雰囲気に露出する面および固定材13と接する面が自然酸化膜17a1で覆われた例について示したが、これらの面を覆う膜は自然酸化膜17a1に限られない。
【0071】
たとえば、図6に示すように、還元雰囲気に露出する面および固定材13と接する面が還元防止膜17cで覆われてもよい。これにより、還元雰囲気に露出する面および固定材13と接する面から構成元素が脱離することを抑制することができる。
【0072】
したがって、変形例3によれば、端部集電部材17の耐久性をさらに高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0073】
なお、図5および図6の例では、端部集電部材17の固定材13と接する面のすべてに自然酸化膜17a1または還元防止膜17cが位置した例を示した。一方で、本開示では、固定材13と接する面のうち還元雰囲気に近接する部位だけに自然酸化膜17a1または還元防止膜17cが位置し、空気に近接する部位には被覆材17bが位置してもよい。
【0074】
たとえば、図7に示すように、端部集電部材17の固定材13と接する面のうち、内部空間22側の面に自然酸化膜17a1が位置し、外部空間23側の面に被覆材17bが位置してもよい。図7は、実施形態の変形例4に係る端部集電部材17を示す拡大断面図である。
【0075】
また、図7に示す変形例4では、自然酸化膜17a1の固定材13に接する面17a2の表面粗さRaが、被覆材17bの固定材13に接する面17b1の表面粗さRaよりも大きくてもよい。
【0076】
このように、自然酸化膜17a1の固定材13に接する面17a2の表面粗さRaを大きくすることにより、剥離が生じやすい還元雰囲気側(すなわち、内部空間22側)において、端部集電部材17と固定材13との密着力を向上させることができる。
【0077】
また、被覆材17bの固定材13に接する面17b1の表面粗さRaを小さくすることにより、Crの拡散が生じやすい酸化雰囲気側(すなわち、外部空間23側)における母材17aから固定材13へのCrの拡散を抑制することができる。
【0078】
したがって、変形例4によれば、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0079】
また、変形例4では、自然酸化膜17a1の固定材13に接する面17a2の面積S1が、被覆材17bの固定材13に接する面17b1の面積S2よりも小さくてもよい。
【0080】
これにより、高温動作時に母材17aに含まれるCrが被覆材17bを通じて酸化雰囲気(外部空間23)に脱離することを抑制しつつ、固定材13から端部集電部材17が剥離して燃料ガスのリークが生じることを抑制することができる。
【0081】
したがって、変形例4によれば、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0082】
図8は、実施形態の変形例5に係る端部集電部材17を示す拡大断面図である。図8に示すように、変形例5では、被覆材17bが、かかる被覆材17bの一端(下端部)17b2側に位置し、自然酸化膜17a1の面17a2と被覆材17bの面17b1とを接続する面17b3を有してもよい。かかる面17b3は、たとえば、被覆材17bの面17b1に対して傾斜するテーパ面である。
【0083】
このように、被覆材17bが面17b3を有することにより、被覆材17bと固定材13との接触面積が増大する。これにより、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0084】
図9は、実施形態の変形例6に係る端部集電部材17を示す拡大断面図である。図9に示すように、変形例6では、被覆材17bが、かかる被覆材17bの一端(下端部)17b2側に位置し、端部集電部材17から離れる方向に突出し、固定材13に面する突出部17b4を有してもよい。
【0085】
このように、被覆材17bが突出部17b4を有することにより、被覆材17bと固定材13との接触面積が増大する。これにより、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0086】
なお、図8および図9では、被覆材17bが面17b3または突出部17b4を有するとして図示したが、被覆材17bが面17b3および突出部17b4を有してもよい。
【0087】
図10は、実施形態の変形例7に係る端部集電部材17を示す断面図である。ここまで説明した実施形態および変形例1~6では、端部集電部材17の一部が内部空間22に露出する場合について示したが、必ずしも端部集電部材17が内部空間22に露出しなくともよい。
【0088】
図10では、端部集電部材17の全面が被覆材17bで覆われるとともに、端部集電部材17の一端(図では下端部)が固定材13の内部に留まり、固定材13から内部空間22に突出していない場合について示している。
【0089】
このように、端部集電部材17を還元雰囲気(内部空間22)に露出させないことにより、被覆材17bの構成元素であるマンガンが還元して被覆材17bから脱離することを抑制することができる。したがって、変形例7によれば、端部集電部材17の耐久性を高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0090】
また、変形例7では、母材17aの表面全体に被覆材17bを形成した後、エッチング処理などを実施する必要がないことから、端部集電部材17を低コストで製造することができる。
【0091】
図11は、実施形態の変形例8に係る端部集電部材17を示す断面図である。図11に示すように、変形例8に係る端部集電部材17は、固定材13と接する面が被覆材17bとは異なる膜で覆われている。たとえば、図11の例では、固定材13と接する面が母材17aの自然酸化膜17a1で覆われている。
【0092】
このように、被覆材17bとは異なる膜で固定材13と接する面を覆うことにより、高温動作時に被覆材17bの構成元素であるマンガンがガラス材料である固定材13に拡散して、被覆材17bにクラックなどが生じることを抑制することができる。
【0093】
したがって、変形例8によれば、端部集電部材17の耐久性をさらに高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0094】
図12は、実施形態の変形例9に係る端部集電部材17を示す断面図である。上述の図11の例では、固定材13と接する面が自然酸化膜17a1で覆われた例について示したが、固定材13と接する面を覆う膜は自然酸化膜17a1に限られない。
【0095】
たとえば、図12に示すように、固定材13と接する面が還元防止膜17cで覆われてもよい。これにより、高温動作時に被覆材17bの構成元素であるマンガンがガラス材料である固定材13に拡散して、被覆材17bにクラックなどが生じることを抑制することができる。
【0096】
したがって、変形例9によれば、端部集電部材17の耐久性をさらに高めることができることから、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0097】
<モジュール>
次に、上述したセルスタック装置10を用いた本開示の実施形態に係るモジュール80について、図13を用いて説明する。図13は、実施形態に係るモジュール80を示す外観斜視図であり、収納容器81の一部である前面および後面を取り外し、内部に収納される燃料電池のセルスタック装置10を後方に取り出した状態を示している。
【0098】
図13に示すように、モジュール80は、収納容器81、および収納容器81内に収納されたセルスタック装置10を備えている。セルスタック装置10の上方には、改質器82が配置されている。
【0099】
かかる改質器82は、天然ガス、灯油などの原燃料を改質して燃料ガスを生成し、セル1に供給する。原燃料は、原燃料供給管83を通じて改質器82に供給される。なお、改質器82は、水を気化させる気化部82aと、改質部82bとを備えていてもよい。
【0100】
改質部82bは、図示しない改質触媒を備えており、原燃料を燃料ガスに改質する。このような改質器82は、効率の高い改質反応である水蒸気改質を行うことができる。
【0101】
そして、改質器82で生成された燃料ガスは、ガス流通管20、ガスタンク16、および固定部材12を通じて、セル1のガス流路2a(図1A参照)に供給される。
【0102】
また、上述の構成のモジュール80では、ガスの燃焼およびセル1の発電に伴い、通常発電時におけるモジュール80内の温度が500~1000℃程度となる。
【0103】
このようなモジュール80においては、上述したように、耐久性の高いセルスタック装置10を収納して構成されることにより、耐久性が高いモジュール80とすることができる。
【0104】
<モジュール収容装置>
図14は、実施形態に係るモジュール収容装置90の一例を示す分解斜視図である。実施形態に係るモジュール収容装置90は、外装ケース91と、図13で示したモジュール80と、図示しない補機と、を備えている。補器は、モジュール80の運転を行う。モジュール80および補器は、外装ケース91内に収容されている。なお、図14においては一部構成を省略して示している。
【0105】
図14に示すモジュール収容装置90の外装ケース91は、支柱92と外装板93とを有する。仕切板94は、外装ケース91内を上下に区画している。外装ケース91内の仕切板94より上側の空間は、モジュール80を収容するモジュール収容室95であり、外装ケース91内の仕切板94より下側の空間は、モジュール80を運転する補機を収容する補機収容室96である。なお、図14では、補機収容室96に収容する補機を省略して示している。
【0106】
また、仕切板94は、補機収容室96の空気をモジュール収容室95側に流すための空気流通口97を有している。モジュール収容室95を構成する外装板93は、モジュール収容室95内の空気を排気するための排気口98を有している。
【0107】
このようなモジュール収容装置90においては、上述したように、耐久性が高いモジュール80をモジュール収容室95に備えていることにより、耐久性が高いモジュール収容装置90とすることができる。
【0108】
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0109】
本実施形態では、支持基板の表面に燃料極、固体電解質層および空気極から成る発電素子部が1つのみ設けられた所謂「縦縞型」のセルを配列した縦縞型セルスタック装置を例示した。本開示は、支持基板の表面の互いに離れた複数個所にて発電素子部がそれぞれ設けられ、隣り合う発電素子部の間が電気的に接続された所謂「横縞型」のセルを配列した横縞型セルスタック装置に適用することができる。
【0110】
また、本実施形態では、中空平板型の支持基板を用いた場合を例示した。本開示は、円筒型の支持基板を用いたセルスタック装置に適用することもできる。また、本開示は、所謂「平板型」のセルを厚み方向に配列した平板型セルスタック装置に適用することもできる。
【0111】
また、上記実施形態では、支持基板上に燃料極が設けられ、空気極がセルの表面に配置された例を示した。本開示は、これとは逆の配置、すなわち支持基板上に空気極が設けられ、燃料極がセルの表面に配置されたセルスタック装置に適用することもできる。
【0112】
また、上記実施形態では、「セル」、「セルスタック装置」、「モジュール」および「モジュール収容装置」の一例として燃料電池セル、燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置を示したが、他の例としてはそれぞれ、電解セル、電解セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置であってもよい。
【0113】
以上のように、実施形態に係るセルスタック装置10は、セルスタック11と、端部集電部材17とを備える。セルスタック11は、複数個のセル1が配列される。端部集電部材17は、複数個のセル1の配列方向におけるセルスタック11の端部に位置する。そして、端部集電部材17において酸化雰囲気(外部空間23)に露出する面が、マンガンを含む被覆材17bで覆われ、端部集電部材17において還元雰囲気(内部空間22)に露出する面が、被覆材17bとは異なる膜で覆われる。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0114】
また、実施形態に係るセルスタック装置10は、セル1および端部集電部材17を固定する固定材13をさらに備える。そして、端部集電部材17において固定材13と接する面が、被覆材17bとは異なる膜で覆われる。これにより、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0115】
また、実施形態に係るセルスタック装置10は、セル1および端部集電部材17を固定する固定材13をさらに備える。そして、端部集電部材17において固定材13と接する面には、被覆材17bおよび被覆材とは異なる膜が位置する。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0116】
また、実施形態に係るセルスタック装置10において、端部集電部材17において固定材13と接する面に位置する被覆材17bとは異なる膜の表面粗さは、端部集電部材17において固定材13と接する面に位置する被覆材17bの表面粗さよりも大きい。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0117】
また、実施形態に係るセルスタック装置10において、端部集電部材17において固定材13と接する面に位置する被覆材17bとは異なる膜の面積S1は、端部集電部材17において固定材13と接する面に位置する被覆材17bの面積S2よりも小さい。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0118】
また、実施形態に係るセルスタック装置10において、端部集電部材17は、ステンレスで構成され、被覆材17bとは異なる膜は、ステンレスの表面に位置する自然酸化膜17a1である。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができるとともに、端部集電部材17を低コストで製造することができる。
【0119】
また、実施形態に係るセルスタック装置10において、被覆材17bとは異なる膜は、還元防止膜17cである。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができるとともに、端部集電部材17を高性能化することができる。
【0120】
また、実施形態に係るセルスタック装置10は、セルスタック11と、端部集電部材17とを備える。セルスタック11は、複数個のセル1が配列される。端部集電部材17は、複数個のセル1の配列方向におけるセルスタック11の端部に位置する。そして、端部集電部材17は、還元雰囲気(内部空間22)に露出していない。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0121】
また、実施形態に係るセルスタック装置10において、端部集電部材17は、全面がマンガンを含む被覆材17bで覆われる。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができるとともに、端部集電部材17を低コストで製造することができる。
【0122】
また、実施形態に係るセルスタック装置10は、セル1および端部集電部材17を固定する固定材13をさらに備える。そして、端部集電部材17において酸化雰囲気(外部空間23)に露出する面が、マンガンを含む被覆材17bで覆われ、端部集電部材17において固定材13と接する面が、被覆材17bとは異なる膜で覆われる。これにより、セルスタック装置10の耐久性をさらに高めることができる。
【0123】
また、実施形態に係るモジュール80は、収納容器81内に上記に記載のセルスタック装置10を収納して構成される。これにより、耐久性が高いモジュール80とすることができる。
【0124】
また、実施形態に係るモジュール収容装置90は、外装ケース91内に、上記に記載のモジュール80と、かかるモジュール80の運転を行うための補機とを収容して構成される。これにより。耐久性が高いモジュール収容装置90とすることができる。
【0125】
また、実施形態に係る金属部材(端部集電部材17)は、酸化雰囲気(外部空間23)に露出する面と還元雰囲気(内部空間22)に露出する面とを有する。そして、酸化雰囲気(外部空間23)に露出する面が、マンガンを含む被覆材17bで覆われ、還元雰囲気(内部空間22)に露出する面が、被覆材17bとは異なる膜で覆われる。これにより、端部集電部材17の耐久性を高めることができる。
【0126】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 セル
10 セルスタック装置
11 セルスタック
12 固定部材
13 固定材
14 支持部材
15 支持体
16 ガスタンク
17 端部集電部材
17a 母材
17a1 自然酸化膜
17b 被覆材
17c 還元防止膜
80 モジュール
90 モジュール収容装置
91 外装ケース
S1、S2 面積
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14