(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20250522BHJP
【FI】
H04M1/02 C
(21)【出願番号】P 2021168245
(22)【出願日】2021-10-13
【審査請求日】2024-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 聖満
(72)【発明者】
【氏名】中窪 康治
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-110642(JP,A)
【文献】特開2013-74343(JP,A)
【文献】特開2014-192560(JP,A)
【文献】特開2010-268282(JP,A)
【文献】特開2015-27057(JP,A)
【文献】特開2007-312352(JP,A)
【文献】特開2011-198083(JP,A)
【文献】特開2010-273213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
1/16-1/18
H04M1/02-1/23
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを有するカメラモジュールと、
電池と、
前記カメラモジュールが配置される第1の開口と、前記電池が配置される第2の開口とを有する金属製のプレート部材と、
係止爪を有する電池蓋と、
前記電池蓋の一方の面に設けられ、弾性体で形成された枠部材と、
防水性の第1の両面テープによって前記プレート部材の前面に接着されるフロントケースと、を備え、
前記カメラモジュールは、前記プレート部材の背面側に前記レンズの撮影方向を向けた状態で、防水性の第2の両面テープによって前記プレート部材に接着され、
前記電池蓋は、前記枠部材が前記プレート部材によって圧縮された状態で、前記プレート部材との前記係止爪による係合によって前記第2の開口の背面側に取り付けられる、
携帯端末。
【請求項2】
前記電池蓋は平面視において矩形に形成され、
前記係止爪は、前記矩形に形成された前記電池蓋の辺の夫々において複数配置される、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記電池蓋は、前記プレート部材に対して相対的に第1の方向にスライドさせることで前記第2の開口から取り外され、
前記プレート部材には、前記電池蓋の前記第1の方向へのスライドを抑制するロック部材が設けられる、
請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記カメラモジュールは、樹脂内に封入される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記プレート部材の背面側から前記フロントケースに着脱可能に設けられる外装ケースをさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末では、小型の筐体内に集積回路や電池等を収容するとともに収容した集積回路や電池等を保護したり組み立て工数を削減したりするため、様々な工夫が筐体に施されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、液晶パネル用の開口を筐体に設けた携帯端末の構造が記載されている。特許文献2では、第1の筐体に設けられた電池ポケットをスライド開閉し、パッキンが一体成型された電池蓋を備える携帯端末装置が記載されている。特許文献3では、電池蓋が爪によって筐体に装着され、弾性体によって付勢されて電池蓋のロックするロック部材を備えた電子機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-080678号公報
【文献】特開2010-268282号公報
【文献】特開2011-181347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防水性を高めた携帯端末では、防水性の両面テープによって電池蓋を筐体に接着することが多い。両面テープで電池蓋が接着されてしまうと、携帯端末のユーザーは電池の交換を行うことができなくなる。一方で、ユーザーによる電池蓋の取り外し可能となるように電池蓋を筐体に取り付けた上で携帯端末の防水性を確保しようとすると、携帯端末の構造が複雑化し、携帯端末の薄型化が困難となる。
【0006】
開示の技術の1つの側面は、防水性を確保した上でユーザーによる電池交換を可能としつつ薄型化が可能な携帯端末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の1つの側面は、次のような携帯端末によって例示される。本携帯端末は、レンズを有するカメラモジュールと、電池と、上記カメラモジュールが配置される第1の開口と、上記電池が配置される第2の開口とを有する金属製のプレート部材と、係止爪を有する電池蓋と、上記電池蓋の一方の面に設けられ、弾性体で形成された枠部材と、防水性の第1の両面テープによって上記プレート部材の前面に接着されるフロントケースと、を備える。上記カメラモジュールは、上記プレート部材の背面側に上記レンズの撮影方向を向けた状態で、防水性の第2の両面テープによって上記プレート部材に接着される。上記電池蓋は、上記枠部材が上記プレート部材によって圧縮された状態で、上記プレート部材との上記係止爪による係合によって上記第2の開口の背面側に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本携帯端末によれば、防水性能の低下を抑制しつつ電池交換可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスマートフォンの第1の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るスマートフォンの第2の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、電池蓋内に電池蓋パッキンが設けられた状態を例示する図である。
【
図5】
図5は、リアプレートに電池蓋が取り付けられた状態を例示する図である。
【
図6】
図6は、
図5のC-C線断面図のうち、上側の電池蓋用係合部付近における断面を例示する図である。
【
図7】
図7は、
図5のC-C線断面図のうち、下側の電池蓋用係合部付近における断面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。実施形態に係る携帯端末は、例えば、以下の構成を備える。本実施形態に係る携帯端末は、本携帯端末は、レンズを有するカメラモジュールと、電池と、上記カメラモジュールが配置される第1の開口と、上記電池が配置される第2の開口とを有する金属製のプレート部材と、係止爪を有する電池蓋と、上記電池蓋の一方の面に設けられ、弾性体で形成された枠部材と、防水性の第1の両面テープによって上記プレート部材の前面に接着されるフロントケースと、を備える。
【0011】
上記カメラモジュールは、上記プレート部材の背面側に上記レンズの撮影方向を向けた状態で、防水性の第2の両面テープによって上記プレート部材に接着される。上記電池蓋は、上記枠部材が上記プレート部材によって圧縮された状態で、上記プレート部材との上記係止爪による係合によって上記第2の開口の背面側に取り付けられる。
【0012】
上記携帯端末であれば、電池蓋は、プレート部材とは接着されず、係止爪によってプレート部材に取り付けられる。そのため、係止爪によるプレート部材との係合を外すだけで電池蓋を外すことができ、ひいては容易に電池交換を行うことができる。ここで、電池蓋がプレート部材に取り付けられると、枠部材が圧縮された状態となるため、電池蓋とプレート部材との間に生じ得る隙間が枠部材によって塞がれる。そのため、本携帯端末は、電池蓋とプレート部材との間から携帯端末内への水の浸入を抑制し、携帯端末の防水性能を維持することができる。また、本携帯端末は、プレート部材上にカメラモジュールと電池とを並べて配置することができるため、携帯端末の薄型化が容易である。
【0013】
以下、図面を参照して上記携帯端末をスマートフォンに適用した実施形態についてさらに説明する。
図1は、実施形態に係るスマートフォン1の外観の一例を示す図である。
図1は、スマートフォン1の一方から見た外観(前面側の外観とする)と、他方から見た外観(背面側の外観とする)を例示する。
図1では、矢印によって、スマートフォン1の前面側と背面側が入れ替えて配置され、例示される。
図1で紙面に向かって上側がスマートフォン1の上側であり、紙面に向かって下側がスマートフォン1の下側であるものと仮定する。以下、本明細書において、スマートフォン1の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体200の幅方向をX方向、X方向及びY方向と直交する筐体200の厚さ方向をZ方向とも称する。
【0014】
スマートフォン1は、薄い板状に形成された携帯型の情報処理装置である。スマートフォン1の前面には、フロントケース20上にフロントパネル22が設けられる。フロントパネル22は、例えば、液晶パネルである。スマートフォン1の背面は、外装ケース11によっておおわれる。スマートフォン1の背面にはカメラモジュール18が設けられる。
外装ケース11には、スマートフォン1の背面に設けられたカメラモジュール18用のカメラ用孔部340が設けられる。外装ケース11とフロントケース20は、スマートフォン1の筐体を形成する。なお、
図1では、スマートフォン1の筐体内に収容される電池蓋12及び電池14の位置が点線で例示される。
【0015】
図2及び
図3は、実施形態に係るスマートフォン1の分解斜視図である。
図2は、外装ケース11を上側に向けた状態におけるスマートフォン1の分解斜視図である。
図3は、外装ケース11を下に向けた状態におけるスマートフォン1の分解斜視図である。
【0016】
スマートフォン1は、外装ケース11、電池蓋12、電池蓋パッキン13、電池14、蓋ロックパーツ15、リアプレート16、カメラモジュールテープ17、カメラモジュール18、プレートテープ19、フロントケース20、フロントパネルテープ21及びフロントパネル22を備える。
【0017】
スマートフォン1では、フロントケース20及び外装ケース11が形成する筐体内に、電池蓋12、電池蓋パッキン13、電池14、蓋ロックパーツ15、リアプレート16、カメラモジュールテープ17、カメラモジュール18、プレートテープ19が収容される。
【0018】
リアプレート16は、例えば、金属を板状に形成した部材である。リアプレート16は、スマートフォン1の筐体内において電池14やカメラモジュール18等の電子部品の位置を固定する。また、スマートフォン1の筐体内を金属製のリアプレート16が支持することで、スマートフォン1の剛性を高めることができる。
【0019】
リアプレート16には、カメラ用開口部161及び電池用開口部162が設けられる。カメラ用開口部161には、リアプレート16の前面側からカメラモジュールテープ17によってカメラモジュール18が接着される。電池用開口部162には、リアプレート16の背面側から電池14が挿入される。リアプレート16は、「プレート部材」の一例である。カメラ用開口部161は、「第1の開口」の一例である。電池用開口部162は、「第2の開口」の一例である。カメラモジュールテープ17は、「第2の両面テープ」の一例である。
【0020】
図4は、電池蓋12内に電池蓋パッキン13が設けられた状態を例示する図である。
図4では、電池14側から電池蓋12を見た状態が例示される。電池蓋12は、平面視において略矩形に形成される。電池蓋パッキン13は、ゴム等の弾性部材で形成される矩形枠状の部材である。電池蓋パッキン13は、電池蓋12の内側の縁全周に渡って設けられる。電池蓋12の外縁部には、リアプレート16に係合させるリアプレート係合部121,121,121,121と、蓋ロックパーツ15に係合させるロック係合部1222が設けられる。電池蓋パッキン13が設けられた電池蓋12は、電池14が配置された電池用開口部162を背面から覆うように設けられる。電池蓋12は、ロック係合部122と蓋ロックパーツ15との係合によって容易には外れないようにロックされる。電池蓋パッキン13は、「枠部材」の一例である。蓋ロックパーツ15は、「ロック部材」の一例である。
【0021】
フロントケース20の背面には、リアプレート16がプレートテープ19によって接着される。また、フロントケース20の前面には、フロントパネルテープ21によってフロントパネル22が接着される。カメラモジュールテープ17、プレートテープ19及びフロントパネルテープ21は、例えば、防水性の両面テープである。プレートテープ19は、「第1の両面テープ」の一例である。
【0022】
外装ケース11は、例えば、係止爪等によって着脱可能にフロントケース20に取り付けられる。外装ケース11にはカメラ用孔部111が設けられる。カメラ用開口部161に配置されたカメラモジュール18のレンズは、カメラ用孔部111によって外部に露出する。
【0023】
図5は、リアプレート16に電池蓋12が取り付けられた状態を例示する図である。
図5では、外装ケース11を外した状態が例示される。
図6は、
図5のC-C線断面図のうち、上側の電池蓋用係合部163付近における断面を例示する図である。
図7は、
図5のC-C線断面図のうち、下側の電池蓋用係合部163付近における断面を例示する図である。
図6、
図7に例示するように、リアプレート係合部121がリアプレート16の電池蓋用係合部163と係合することで、電池蓋12がリアプレート16に取り付けられる。
【0024】
電池蓋12がリアプレート16に取り付けられると、電池蓋パッキン13は自然長から圧縮された状態(スマートフォン1の厚さ方向(電池蓋パッキン13の縦方向)に圧縮された状態)となる。ここで、電池蓋12に設けられるリアプレート係合部121は、電池蓋12に設けられた電池蓋パッキン13の全体が均等に圧縮されるような位置に設けられる。リアプレート係合部121は、平面視において略矩形に形成された電池蓋12の辺の夫々において複数配置されることが好ましい。
【0025】
リアプレート係合部121と電池蓋用係合部163との係合は、電池蓋12がリアプレート16に対して相対的に下方向にスライドされることで外される。また、
図5に例示するように、電池蓋12がリアプレート16に取り付けられた状態では、電池蓋12の下方において電池蓋12とリアプレート16との隙間に蓋ロックパーツ15が嵌め込まれる。蓋ロックパーツ15が嵌め込まれることで電池蓋12のリアプレート16に対する相対的な下方への移動が抑制される。すなわち、スマートフォン1が落下したとき等において電池蓋12が不意に取り外されることが抑制される。下方向にスライドは、「第1の方向にスライド」の一例である。
【0026】
図8は、
図1のA-A線断面の一例を示す図である。
図8では、
図1のA-A線断面のうち、カメラモジュール18付近の断面が例示される。カメラモジュール18とリアプレート16とは、カメラモジュールテープ17によって接着される。カメラモジュール18とリアプレート16とがカメラモジュールテープ17によって接着されることで、カメラモジュール18とリアプレート16との間からスマートフォン1内部への水の浸入が抑制される。
【0027】
図9は、
図1のB-B線断面の一例を示す図である。
図10は、
図9の領域R1を拡大した図である。
図6、
図7を参照して説明したように、電池蓋12がリアプレート16に取り付けられると、電池蓋パッキン13は圧縮された状態となる。圧縮された電池蓋パッキン13によって電池蓋12とリアプレート16との間における隙間が密閉されることで、電池蓋12とリアプレート16との間からスマートフォン1内部への水の浸入が抑制される。
【0028】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、カメラモジュール18はカメラモジュールテープ17によってリアプレート16に接着される一方で、電池蓋12はリアプレート係合部121によってリアプレート16に取り外し可能に取り付けられる。そのため、本実施形態では、ユーザーが電池14の交換を行いたい場合等に、電池蓋12を外すことができる。
【0029】
また、本実施形態では、電池蓋12とリアプレート16との間は、圧縮された電池蓋パッキン13によって密閉される。そのため、本実施形態によれば、電池蓋12が取り外し
可能に取り付けられた場合でも、電池蓋12とリアプレート16との間からスマートフォン1内部へ水が浸入することが抑制される。
【0030】
本実施形態では、電池蓋12に電池蓋パッキン13を設けるという簡易な構成で、スマートフォン1の防水性を担保しつつ電池蓋12の交換を可能とした。そのため、本実施形態によれば、スマートフォン1の内部構造の複雑化を抑制しつつ、防水性を担保することができる。また、本実施形態によれば、スマートフォン1の内部構造の複雑化を抑制できることで、スマートフォン1の耐衝撃性能の低下を抑制することができる。
【0031】
本実施形態では、電池蓋12の辺の夫々において、複数のリアプレート係合部121が配置される。このようにリアプレート係合部121が配置されることで、電池蓋12をリアプレート16に取り付けた際に、電池蓋パッキン13の全体が均等に圧縮されるようになる。電池蓋パッキン13の全体が均等に圧縮されることで、電池蓋12とリアプレート16との間の全体が均等に防水されることになる。
【0032】
本実施形態では、カメラモジュール18及び電池14の位置を固定するリアプレート16にカメラ用開口部161及び電池用開口部162が設けられる。そして、カメラモジュール18はカメラ用開口部161に挿通された状態で固定され、電池14は電池用開口部162に挿通された状態で固定される。そのため、本実施形態によれば、カメラモジュールテープ17及び電池14を並べて配置することができるため、スマートフォン1の薄型化が容易となる。
【0033】
本実施形態では、外装ケース11が交換可能に取り付けられる。そのため、スマートフォン1のユーザーは、スマートフォン1の外見を変えて楽しむためや、古くなった外装ケース11を新しい外装ケース11に交換する等のために、外装ケース11の交換を気軽に行うことができる。
【0034】
<変形例>
以上説明した実施形態では、カメラモジュール18はそのままの状態でカメラモジュールテープ17によってリアプレート16に取り付けられたが、カメラモジュール18は樹脂等に封入されて密閉された状態でリアプレート16に取り付けられてもよい。カメラモジュール18が樹脂等に封入されて密閉されることで、カメラモジュール18の防水性をより高めることができる。
【0035】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・スマートフォン
11・・外装ケース
12・・電池蓋
13・・電池蓋パッキン
14・・電池
15・・蓋ロックパーツ
16・・リアプレート
17・・カメラモジュールテープ
18・・カメラモジュール
19・・プレートテープ
20・・フロントケース
21・・フロントパネルテープ
22・・フロントパネル
111・・カメラ用孔部
121・・リアプレート係合部
122・・ロック係合部
161・・カメラ用開口部
162・・電池用開口部
163・・電池蓋用係合部