(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】浮遊物観測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/0227 20240101AFI20250522BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20250522BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20250522BHJP
【FI】
G01N15/0227 100
B01D21/00 G
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2024027964
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2020207182の分割
【原出願日】2020-12-15
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 公一
(72)【発明者】
【氏名】権 大維
(72)【発明者】
【氏名】兼品 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸和
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-281100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0077178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/0227
G01N 21/17
B01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中の浮遊物を観測する浮遊物観測装置であって、
横方向へ拡がるシートレーザ光を液面に照射するレーザ光源と、液面から入射したシートレーザ光で照射された浮遊物を撮像する撮像装置とが液面の上方に設けられ、
シートレーザ光が液面の上方から液面に入射する箇所を液面入射箇所とし、
シートレーザ光が浮遊物に当たって反射した反射光のうちの撮像装置に入射する反射光が液面を通過する箇所を液面通過箇所とすると、
液面入射箇所と液面通過箇所とを液面の上下に亘って取り囲んで液面の波を遮る波除け部材が設けられ、
シートレーザ光で照射される浮遊物を撮像装置で撮像する撮像範囲が液面下に設定され、
シートレーザ光の進行経路と反射光の進行経路とが撮像範囲において直交するように、レーザ光源と撮像装置とが配置されていることを特徴とする浮遊物観測装置。
【請求項2】
レーザ光源から照射され液面で反射したシートレーザ光が撮像装置に入射するのを防止する遮光部材が、レーザ光源と撮像装置との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浮遊物観測装置。
【請求項3】
レーザ光源と撮像装置とを収容する不透明なケースが波除け部材を兼用し、
液面入射箇所と液面通過箇所とがケース内にあり、
ケースの下端部に、液面下において開口する下端開口部が形成され、
シートレーザ光はケース内から下端開口部を通って撮像範囲に達し、
反射光は撮像範囲から下端開口部を通ってケース内に進入することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浮遊物観測装置。
【請求項4】
浮遊物は、液体に凝集剤を添加することによって生成されたフロックであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の浮遊物観測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液体中のフロック等の浮遊物を撮像する浮遊物観測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浮遊物観測装置としては、例えば
図14に示すように、原水101を貯留する攪拌槽102の外側方からシートレーザ光103を照射し、攪拌槽102内の原水101におけるシートレーザ光103で照射された照射領域を攪拌槽102の外部から撮影するように構成されているものがある。
【0003】
ここで、攪拌槽102は、シートレーザ光103が入射する入射領域と撮影が行われる視野領域とがそれぞれ透明なガラス窓(図示省略)で構成されている。また、シートレーザ光103は攪拌槽102の外部に設けられた照射部104から扇状に拡がって照射される。また、攪拌槽102の外部には、シートレーザ光103にて照射された攪拌槽102内の照射領域を撮影して撮影画像を生成する撮影部105が設けられている。
【0004】
これによると、撮影部105で攪拌槽102内の照射領域を撮影することにより、シートレーザ光103で照射された照射領域内の原水101中のフロックが撮影された撮影画像を得ることができる。この撮影画像を2値化処理することにより、フロックの形状、大きさ、個数等を測定することができる。
【0005】
尚、上記のような浮遊物観測装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、シートレーザ光103を攪拌槽102の外部から内部へ入射可能にするための入射用ガラス窓および攪拌槽102の外部から内部の撮影を可能にするための撮影用ガラス窓を攪拌槽102に設ける必要があり、このようなガラス窓が汚れた場合、撮影画像の精度が低下する虞があるので、ガラス窓を頻繁に清掃しなければならず、メンテナンスに手間を要するといった問題がある。
【0008】
本発明は、メンテナンスの手間を軽減することが可能で、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる浮遊物観測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、液体中の浮遊物を観測する浮遊物観測装置であって、
横方向へ拡がるシートレーザ光を液面に照射するレーザ光源と、液面から入射したシートレーザ光で照射された浮遊物を撮像する撮像装置とが液面の上方に設けられ、
シートレーザ光が液面の上方から液面に入射する箇所を液面入射箇所とし、
シートレーザ光が浮遊物に当たって反射した反射光のうちの撮像装置に入射する反射光が液面を通過する箇所を液面通過箇所とすると、
液面入射箇所と液面通過箇所とを液面の上下に亘って取り囲んで液面の波を遮る波除け部材が設けられ、
シートレーザ光で照射される浮遊物を撮像装置で撮像する撮像範囲が液面下に設定され、
シートレーザ光の進行経路と反射光の進行経路とが撮像範囲において直交するように、レーザ光源と撮像装置とが配置されているものである。
【0010】
これによると、レーザ光源と撮像装置とを液面の上方に設けているため、入射用ガラス窓や撮影用ガラス窓を槽に設ける必要は無く、メンテナンスを容易に行うことができ、メンテナンスの手間を軽減することが可能である。
【0011】
また、波除け部材が液面入射箇所と液面通過箇所とを液面の上下に亘って取り囲んで液面の波を遮っているため、シートレーザ光や反射光が液面の波の影響を受けて液体中で不規則に揺動するのを防止することができる。これにより、撮像した画像が乱れるのを防止することができ、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる。
【0012】
また、撮像範囲における焦点(ピント)のずれを減らすことができ、焦点の合った鮮明な浮遊物の画像を得ることができる。
【0013】
本第2発明における浮遊物観測装置は、レーザ光源から照射され液面で反射したシートレーザ光が撮像装置に入射するのを防止する遮光部材が、レーザ光源と撮像装置との間に設けられているものである。
【0014】
これによると、遮光部材がレーザ光源から照射され液面で反射したシートレーザ光を遮ることにより、上記液面で反射したシートレーザ光が撮像装置に入射するのを防止することができるため、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる。
【0015】
本第3発明における浮遊物観測装置は、レーザ光源と撮像装置とを収容する不透明なケースが波除け部材を兼用し、
液面入射箇所と液面通過箇所とがケース内にあり、
ケースの下端部に、液面下において開口する下端開口部が形成され、
シートレーザ光はケース内から下端開口部を通って撮像範囲に達し、
反射光は撮像範囲から下端開口部を通ってケース内に進入するものである。
【0016】
これによると、ケースが液面入射箇所と液面通過箇所とを取り囲んで液面の波を遮っているため、シートレーザ光や反射光が液面の波の影響を受けて液体中で不規則に揺動するのを防止することができる。
【0017】
また、浮遊物観測装置を屋外に設置した場合、太陽光はケースで遮られるため、太陽光が撮像装置に入射するのを防止することができ、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる。
【0018】
本第4発明における浮遊物観測装置は、浮遊物は、液体に凝集剤を添加することによって生成されたフロックである。
【0019】
これによると、鮮明なフロックの画像を得ることができ、フロックの観測精度が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によると、メンテナンスの手間を軽減することが可能であり、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる。また、浮遊物の観測精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【
図3】同、浮遊物観測装置の主要構成を立体的に示した基本概念図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【
図7】同、浮遊物観測装置の一部切欠き底面図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【
図9】同、浮遊物観測装置の一部切欠き底面図である。
【
図10】本発明の第5の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【
図11】同、浮遊物観測装置の一部切欠き底面図である。
【
図12】本発明の第6の実施の形態における浮遊物観測装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1は例えば浄水場に設置されているフロック形成槽である。フロック形成槽1内には原水2(液体の一例)が貯留され、原水2に凝集剤を添加することにより、原水2中に多数のフロック3(浮遊物の一例)が生成されている。
【0024】
図1~
図3に示すように、フロック形成槽1には、原水2中のフロック3を観測する浮遊物観測装置10が設けられている。浮遊物観測装置10は、シートレーザ光11を水面4(液面)に照射するレーザ光源12と、水面4から入射したシートレーザ光11で照射されたフロック3を撮像するカメラ14(撮像装置の一例)とを有している。
【0025】
尚、シートレーザ光11は、
図2に示すように平面視においてレーザ光源12から横方向へ扇状に拡がっているとともに、
図1に示すように側面視においてほぼ線状になっている。
【0026】
これらレーザ光源12とカメラ14とは、水面4の上方に設けられ、フロック形成槽1の槽壁1aに固定された固定フレーム(図示せず)等で支持されている。
【0027】
尚、シートレーザ光11が水面4の上方から水面4に入射する箇所を水面入射箇所16(液面入射箇所)とする。また、シートレーザ光11がフロック3に当たって反射した反射光のうちのカメラ14のレンズ15に入射する反射光17が水面4を下から上に通過する箇所を水面通過箇所18(液面通過箇所)とする。
【0028】
水面入射箇所16と水面通過箇所18とを取り囲んで水面4の波を遮る波除け部材20が設けられている。波除け部材20は、フロック形成槽1の槽壁1a又は底部に固定された固定フレーム(図示せず)等で支持されている円筒状の部材であり、下端部が水面4の下方に没しており、上端部が水面4の上方に突出している。
【0029】
シートレーザ光11で照射されるフロック3をカメラ14で撮像する撮像範囲21が水面4下において波除け部材20の下端よりも下方の領域に設定されている。尚、シートレーザ光11の進行経路23と反射光17の進行経路24とが撮像範囲21において直交する位置に、レーザ光源12とカメラ14とが配置されている。このように配置した場合、シートレーザ光11の入射角A1は54°となり、屈折角A2は37°となる。また、反射光17の入射角B1は37°となり、屈折角B2は54°となる。尚、上記入射角A1,B1および屈折角A2,B2の数値は、一例であり、原水2の性状(例えば比重等)によって異なる。
【0030】
また、
図1では、便宜上、フロック形成槽1のサイズを浮遊物観測装置10よりも一回り程度大きく描いているが、実際には、フロック形成槽1のサイズは浮遊物観測装置10と比べて大幅に大きなものである。
【0031】
上記構成における作用を以下に説明する。
シートレーザ光11をレーザ光源12から照射し、カメラ14で撮像範囲21内のフロック3を撮像する。この際、波除け部材20が水面入射箇所16と水面通過箇所18とを水面4の上下に亘って取り囲んで水面4の波を遮っているため、シートレーザ光11や反射光17が水面4の波の影響を受けて原水2中で不規則に揺動するのを防止することができる。これにより、撮像した画像が乱れるのを防止することができ、フロック3の鮮明な画像を得ることができる。
【0032】
また、撮像範囲21は波除け部材20の下端よりも下方の領域に設定されているため、フロック3が波除け部材20の内側に流入し難い場合であっても、波除け部材20の下方の領域におけるフロック3をカメラ14で確実に撮像することができ、フロック3の観測精度が向上する。
【0033】
また、シートレーザ光11の進行経路23と反射光17の進行経路24とが撮像範囲21において直交するため、撮像範囲21における焦点(ピント)のずれを減らすことができ、焦点の合った鮮明なフロック3の画像を得ることができる。このようにして得られた画像を2値化処理することにより、フロック3の形状、大きさ、個数等を精度良く測定することができ、フロック3の観測精度が向上する。
【0034】
また、レーザ光源12とカメラ14とを水面4の上方に設けているため、入射用ガラス窓や撮影用ガラス窓をフロック形成槽1に設ける必要は無く、メンテナンスを容易に行うことができ、メンテナンスの手間を軽減することが可能である。
【0035】
また、レーザ光源12やカメラ14が原水2に接触しないので、レーザ光源12やカメラ14を水中に設置する場合に比べて、レーザ光源12およびカメラ14の汚れや故障を防止することができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図4,
図5に示すように、レーザ光源12から照射されたシートレーザ光11の一部11aが水面4で反射することがある。このように水面4で反射した一部のシートレーザ光11aがカメラ14に入射するのを防止する遮光部材30が、レーザ光源12とカメラ14との間における水面4に設けられている。遮光部材30は、平板状の不透明な部材であり、波除け部材20に取り付けられている。
【0037】
これによると、遮光部材30が水面4で反射したシートレーザ光11aを遮ることにより、上記水面4で反射したシートレーザ光11aがカメラ14に入射するのを防止することができる。このため、フロック3の鮮明な画像を得ることができる。
【0038】
上記第1および第2の実施の形態では、
図1,
図4に示すように、撮像範囲21を波除け部材20の下端よりも下方の領域に設定しているが、撮像範囲21の上部が波除け部材20の下端よりも多少上方にあってもよい。
【0039】
上記第1および第2の実施の形態では、
図2,
図5に示すように、波除け部材20を円筒状に形成しているが、角筒状に形成してもよい。
【0040】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、
図6,
図7に示すように、レーザ光源12とカメラ14とが不透明なケース35内に収容されている。ケース35は、波除け部材20としての機能を兼ね備えており、側面視においてV形状に接続された一方のケース体35aと他方のケース体35bとを有している。尚、ケース35の下部は水面4下に没しているとともに、ケース35の上部は水面4上に突出している。
【0041】
両ケース体35a,35bはそれぞれ、上端部が閉じられた四角形状の筒であり、上板60と下板61と一対の側板62と上端蓋板63とを有している。両ケース体35a,35bの下端部同士が接続されている。また、ケース35の下端部には、水面4下において開口する下端開口部36が形成されている。
【0042】
レーザ光源12が一方のケース体35a内に設けられ、カメラ14が他方のケース体35b内に設けられ、下端開口部36は両ケース体35a,35b内に連通している。また、水面入射箇所16は一方のケース体35a内にあり、水面通過箇所18は他方のケース体35b内にある。さらに、撮像範囲21は下端開口部36の下方の領域に設定されている。
【0043】
尚、このときのレーザ光源12とカメラ14との水平方向における間隔をC1とし、水面4から撮像範囲21までの撮像深さをD1とする。
【0044】
上記構成における作用を以下に説明する。
レーザ光源12から照射されたシートレーザ光11は、一方のケース体35a内を通り、下端開口部36から撮像範囲21に達する。また、反射光17は、撮像範囲21から下端開口部36を通り、他方のケース体35b内に進入してカメラ14に入射する。
【0045】
この際、一方のケース体35aが水面入射箇所16を取り囲んで水面4の波を遮るとともに、他方のケース体35bが水面通過箇所18を取り囲んで水面4の波を遮っているため、シートレーザ光11や反射光17が水面4の波の影響を受けて原水2中で不規則に揺動するのを防止することができる。
【0046】
また、浮遊物観測装置10を屋外に設置した場合、太陽光はケース35で遮られるため、太陽光がカメラ14に入射するのを防止することができ、フロック3の鮮明な画像を得ることができる。
【0047】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、
図8,
図9に示すように、ケース35を側面視においてU形状に形成することにより、レーザ光源12とカメラ14との水平方向における間隔C2を上記第3の実施の形態で示した間隔C1(
図6参照)よりも拡大して、撮像深さD2を上記第3の実施の形態で示した撮像深さD1(
図6参照)よりも増加させている。
【0048】
ケース35は、一方のケース体35aと、他方のケース体35bと、一方のケース体35aの下部と他方のケース体35bの下部との間に接続された中間ケース体35cとを有している。
【0049】
中間ケース体35cは中間上板66と一対の中間側板67とを有している。中間上板66は、両ケース体35a,35bの上板60の下端部間に設けられている。また、中間側板67は、両ケース体35a,35bの側板62の下端部間に設けられている。
【0050】
中間ケース体35cは水面4下に没している。また、下端開口部36は、中間ケース体35c内に連通しており、中間上板66の下方で且つ一対の中間側板67の下端部間に形成されている。中間ケース体35c内の一端部と一方のケース体35a内の下端部とが連通しているとともに、中間ケース体35c内の他端部と他方のケース体35b内の下端部とが連通している。
【0051】
これによると、
図6および
図8に示すように、レーザ光源12とカメラ14との水平方向における間隔C1,C2を拡大縮小することにより、容易に、撮像深さを最適な撮像深さD1,D2に変更することができる。
【0052】
また、長さの異なる複数種類の中間ケース体35cを準備しておき、これらの中間ケース体35cを交換することで、撮像深さを最適な撮像深さに変更することができる。
【0053】
(第5の実施の形態)
先述した第4の実施の形態では
図8に示すように、中間ケース体35cは水面4下に没しているが、以下に説明する第5の実施の形態では、
図10,
図11に示すように、中間ケース体35cの下部が水面4下に没しており、中間ケース体35cの上部が水面4上に突出している。
【0054】
中間ケース体35cの内部には、水面4と、水面4上に形成されて両ケース体35a,35bの内部空間38,39に連通する空間40とが存在する。
これによると、先述した第4の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0055】
上記第3~第5の実施の形態では、両ケース体35a,35bをそれぞれ角筒状に形成しているが、円筒状に形成してもよい。
【0056】
(第6の実施の形態)
先述した第3~第5の実施の形態では側面視においてV形状又はU形状に形成されたケース35を示したが、以下に説明する第6の実施の形態では、
図12,
図13に示すように、四角箱状のケース45内にレーザ光源12とカメラ14とが収容されている。
【0057】
ケース45は、波除け部材20としての機能を兼ね備えており、長方形の角筒状の胴壁部46と、胴壁部46の上端に設けられた天井部47とを有している。尚、ケース45の下部は水面4下に没しているとともに、ケース45の上部は水面4上に突出している。また、ケース45の下端部には、水面4下において開口する下端開口部36が形成されている。また、水面入射箇所16と水面通過箇所18とはケース45内にある。さらに、撮像範囲21は下端開口部36の下方の領域に設定されている。
【0058】
これによると、レーザ光源12から照射されたシートレーザ光11は、ケース45内から下端開口部36を通って撮像範囲21に達する。また、反射光17は、撮像範囲21から下端開口部36を通ってケース45内に進入し、カメラ14に入射する。
【0059】
この際、ケース45の胴壁部46が水面入射箇所16と水面通過箇所18とを取り囲んで水面4の波を遮っているため、シートレーザ光11や反射光17が水面4の波の影響を受けて原水2中で不規則に揺動するのを防止することができる。
【0060】
また、浮遊物観測装置10を屋外に設置した場合、太陽光はケース45で遮られるため、太陽光がカメラ14に入射するのを防止することができ、フロック3の鮮明な画像を得ることができる。
【0061】
さらに、
図12および
図13の各仮想線で示すように、ケース45の内部に、上記第1の実施の形態で示した波除け部材20を設けてもよい。これにより、水面4の波がケース45と波除け部材20とで二段階にわたり遮られるため、シートレーザ光11や反射光17が水面4の波の影響を受けて原水2中で不規則に揺動するのを、より一層確実に防止することができる。
【0062】
上記第6の実施の形態では、ケース45の胴壁部46を角筒状に形成しているが、円筒状に形成してもよい。
【0063】
上記各実施の形態では、撮像範囲21を、ケース35,45の下端すなわち下端開口部36よりも下方の領域に設定しているが、撮像範囲21の上部が下端開口部36よりも多少上方に入り込んでいてもよい。
【0064】
上記各実施の形態では、浮遊物観測装置10をフロック形成槽1に設けているが、フロック形成槽1以外の槽、例えば沈殿槽等に設けてもよい。また、浮遊物の一例であるフロック3を浮遊物観測装置10で観測しているが、フロック3以外の粒子を観測してもよい。
【符号の説明】
【0065】
2 原水(液体)
3 フロック(浮遊物)
4 水面(液面)
10 浮遊物観測装置
11 シートレーザ光
12 レーザ光源
14 カメラ(撮像装置)
16 水面入射箇所(液面入射箇所)
17 反射光
18 水面通過箇所(液面通過箇所)
20 波除け部材
21 撮像範囲
23,24 進行経路
30 遮光部材
35 ケース
36 下端開口部
45 ケース