(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-21
(45)【発行日】2025-05-29
(54)【発明の名称】フィルタ取付け構造および減圧装置
(51)【国際特許分類】
F26B 5/04 20060101AFI20250522BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20250522BHJP
【FI】
F26B5/04
B01D46/00 C
(21)【出願番号】P 2024095494
(22)【出願日】2024-06-12
【審査請求日】2025-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100183586
【氏名又は名称】岡野 眞人
(72)【発明者】
【氏名】小川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】岸 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】川口 晋也
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-148349(JP,A)
【文献】特開2018-038997(JP,A)
【文献】米国特許第6468322(US,B1)
【文献】中国実用新案第207881359(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 5/04
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する収容空間と前記収容空間を外部に開放するための容器開口部とを有する容器と、前記収容空間の気体を前記容器開口部で構成された開口から吸引して前記収容空間を減圧させるための吸引管と、前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部を前記容器開口部に気密的に接続する接続部とを備える減圧装置に、前記気体を通過させるとともに前記被処理物に含まれる固形物を捕捉するフィルタ本体と、前記フィルタ本体の気体出口の外周部に設けられたフィルタフランジ部とを有するフィルタを取り付けるためのフィルタ取付け構造であって、
前記収容空間において前記フィルタを支持するフィルタ支持部と、
前記気体の流れを確保しながら前記フィルタフランジ部を前記フィルタ支持部に押さえ付けて固定するフィルタ押さえ部とを備え、
前記フィルタ支持部は、前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されたフィルタ取付け孔を有する板状のフィルタ取付け板部と、前記フィルタ取付け板部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛け部とを有し、
前記フィルタ本体が前記フィルタ取付け孔に前記収容空間の外側から挿し込まれた状態において、前記フィルタ取付け板部と前記吸引管との間に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記容器開口部の内周部と前記接続部とで前記引掛け部が挟まれる、フィルタ取付け構造。
【請求項2】
前記フィルタ取付け板部は、複数の前記フィルタのそれぞれの前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成された複数のフィルタ取付け孔を有し、
前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部またはその上流側には、前記複数のフィルタを通過した前記気体を合流させて前記吸引管に導くための合流空間が構成される、請求項1に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項3】
前記接続部は、前記合流空間を構成する合流空間構成部を有する、請求項2に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項4】
前記フィルタ押さえ部は、前記合流空間を構成する合流空間構成部を有する、請求項2に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項5】
前記フィルタ押さえ部は、前記接続部と一体的に形成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項6】
前記フィルタ押さえ部における前記フィルタ取付け板部に対向する領域の全体には、複数の通気孔がムラなく分布して形成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項7】
前記引掛け部は、一方の開口が前記フィルタ取付け板部で閉塞され、他方の開口が開放された筒状の周壁部と、前記周壁部の開口端部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛けフランジ部とを有し、
前記周壁部の内側に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記フィルタ押さえ部が前記接続部で押さえられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項8】
前記気体の流れを確保しながら前記フィルタ押さえ部と前記接続部との間に配置されるスペーサを備え、
前記スペーサが前記接続部で押さえられることによって、前記フィルタ押さえ部が前記接続部で間接的に押さえられる、請求項7に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項9】
前記容器開口部の円筒状の内面を第1面とし、前記第1面を除く前記容器の内面を第2面とし、前記第1面と前記第2面との境界線を含む仮想面を想定したとき、前記フィルタ取付け板部における前記収容空間の内側を向いた面は、前記仮想面と重なる位置に配置される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ取付け構造。
【請求項10】
被処理物を収容する収容空間と前記収容空間を外部に開放するための容器開口部とを有する容器と、
前記収容空間の気体を前記容器開口部で構成された開口から吸引して前記収容空間を減圧させるための吸引管と、
前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部を前記容器開口部に気密的に接続する接続部と、
前記気体を通過させるとともに前記被処理物に含まれる固形物を捕捉する筒状のフィルタ本体と、前記フィルタ本体の気体出口の外周部に設けられたフィルタフランジ部とを有するフィルタと、
前記収容空間において前記フィルタを支持するフィルタ支持部と、
前記気体の流れを確保しながら前記フィルタフランジ部を前記フィルタ支持部に押さえ付けて固定するフィルタ押さえ部とを備え、
前記フィルタ支持部は、前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されたフィルタ取付け孔を有する板状のフィルタ取付け板部と、前記フィルタ取付け板部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛け部とを有し、
前記フィルタ本体が前記フィルタ取付け孔に前記収容空間の外側から挿し込まれた状態において、前記フィルタ取付け板部と前記吸引管との間に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記容器開口部の内周部と前記接続部とで前記引掛け部が挟まれる、減圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を収容する収容空間を減圧させる減圧装置および減圧装置に用いられるフィルタ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された減圧乾燥装置は、従来の減圧装置の一種であり、容器と、容器の内部の気体を吸引するための真空配管と、容器の内部の被処理物が真空配管に吸引されないようにするためのフィルタとを備えている。
【0003】
フィルタは、フランジ部を有する有底筒状のフィルタ部と、フランジ部を有する有底筒状の支持枠とを有しており、支持枠の外側にフィルタ部が被せられるとともに、支持枠のフランジ部とフィルタ部のフランジ部とが互いに重ね合わされている。そして、容器の接続端部(容器開口部)に構成された開口にフィルタが挿し込まれるとともに、フィルタの各フランジ部が接続端部(容器開口部)と蓋(接続部)との間に挟み込まれている。
【0004】
特許文献1に記載された減圧乾燥装置では、フィルタの各フランジ部が接続端部(容器開口部)および蓋(接続部)の形状や大きさに合わせて設計されているため、専用のフィルタを準備する必要があった。このような事情から、汎用品のフィルタを適宜選択して使用できるフィルタ取付け構造の出現が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明は、汎用品のフィルタを適宜選択して使用できるフィルタ取付け構造および減圧装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るフィルタ取付け構造の特徴は、被処理物を収容する収容空間と前記収容空間を外部に開放するための容器開口部とを有する容器と、前記収容空間の気体を前記容器開口部で構成された開口から吸引して前記収容空間を減圧させるための吸引管と、前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部を前記容器開口部に気密的に接続する接続部とを備える減圧装置に、前記気体を通過させるとともに前記被処理物に含まれる固形物を捕捉するフィルタ本体と、前記フィルタ本体の気体出口の外周部に設けられたフィルタフランジ部とを有するフィルタを取り付けるためのフィルタ取付け構造であって、前記収容空間において前記フィルタを支持するフィルタ支持部と、前記気体の流れを確保しながら前記フィルタフランジ部を前記フィルタ支持部に押さえ付けて固定するフィルタ押さえ部とを備え、前記フィルタ支持部は、前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されたフィルタ取付け孔を有する板状のフィルタ取付け板部と、前記フィルタ取付け板部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛け部とを有し、前記フィルタ本体が前記フィルタ取付け孔に前記収容空間の外側から挿し込まれた状態において、前記フィルタ取付け板部と前記吸引管との間に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記容器開口部の内周部と前記接続部とで前記引掛け部が挟まれることにある。
【0008】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ支持部のフィルタ取付け孔がフィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されるので、形状および大きさが異なる様々なフィルタをフィルタ取付け板部に取り付けることができる。したがって、設計の自由度が高く、汎用性のある安価なフィルタを適宜選択して使用することが可能であり、製造コストを低減できる。
【0009】
また、フィルタ取付け板部と吸引管との間にフィルタフランジ部およびフィルタ押さえ部が配置されるとともに、容器開口部の内周部と接続部とで引掛け部が挟まれた簡単な構造でフィルタの支持状態を保持できるので、製造コストを低減できる。さらに、フィルタ取付け板部におけるフィルタ取付け孔の位置を変更するだけで、フィルタ取付け板部におけるフィルタの位置を簡単に変更できる。
【0010】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記フィルタ取付け板部は、複数の前記フィルタのそれぞれの前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成された複数のフィルタ取付け孔を有し、前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部またはその上流側には、前記複数のフィルタを通過した前記気体を合流させて前記吸引管に導くための合流空間が構成されることにある。
【0011】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ取付け板部に複数のフィルタを取り付けることができるので、フィルタ全体の面積を広くすることが可能であり、気体の吸引効率を高めることができる。したがって、凍結乾燥装置のように収容空間で気体(昇華蒸気など)が発生する減圧装置においても、高真空を容易に達成することができる。
【0012】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記接続部は、前記合流空間を構成する合流空間構成部を有することにある。
【0013】
このフィルタ取付け構造では、接続部が合流空間構成部を有するので、吸引管の端部が合流空間構成部を有する場合と比べて、合流空間を広く確保し易い。
【0014】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記フィルタ押さえ部は、前記合流空間を構成する合流空間構成部を有することにある。
【0015】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ押さえ部が合流空間構成部を有するので、吸引管の端部が合流空間構成部を有する場合と比べて、合流空間を広く確保し易い。
【0016】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記フィルタ押さえ部は、前記接続部と一体的に形成されることにある。
【0017】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ押さえ部が接続部と一体的に形成されるので、部品点数を減らすことができ、製造コストを低減できるとともに、組立作業性を向上できる。
【0018】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記フィルタ押さえ部における前記フィルタ取付け板部に対向する領域の全体には、複数の通気孔がムラなく分布して形成されることにある。
【0019】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ取付け板部に取り付けられたフィルタの位置、大きさ、数にかかわらず、フィルタフランジ部をフィルタ押さえ部で確実に押さえ付けることができる。
【0020】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記引掛け部は、一方の開口が前記フィルタ取付け板部で閉塞され、他方の開口が開放された筒状の周壁部と、前記周壁部の開口端部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛けフランジ部とを有し、前記周壁部の内側に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記フィルタ押さえ部が前記接続部で押さえられることにある。
【0021】
このフィルタ取付け構造では、周壁部の軸方向における周壁部の長さおよびフィルタ押さえ部の長さの少なくとも一方を変更することによって、フィルタフランジ部が配置される空間の長さをフィルタフランジ部の厚さに応じて適切に定めることができる。
【0022】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記気体の流れを確保しながら前記フィルタ押さえ部と前記接続部との間に配置されるスペーサを備え、前記スペーサが前記接続部で押さえられることによって、前記フィルタ押さえ部が前記接続部で間接的に押さえられることにある。
【0023】
このフィルタ取付け構造では、容器開口部の軸方向におけるスペーサの長さを変更することによって、フィルタフランジ部が配置される空間の長さをフィルタフランジ部の厚さに応じて適切に定めることができる。
【0024】
本発明に係るフィルタ取付け構造の他の特徴は、前記容器開口部の円筒状の内面を第1面とし、前記第1面を除く前記容器の内面を第2面とし、前記第1面と前記第2面との境界線を含む仮想面を想定したとき、前記フィルタ取付け板部における前記収容空間の内側を向いた面は、前記仮想面と重なる位置に配置されることにある。
【0025】
このフィルタ取付け構造では、フィルタ取付け板部における収容空間の内側を向いた面と容器の内面との間に凹部が生じないので、収容空間において異物が溜まり易い領域が生じることを防止でき、ひいては異物混入(コンタミネーション)を防止できる。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明に係る減圧装置の特徴は、被処理物を収容する収容空間と前記収容空間を外部に開放するための容器開口部とを有する容器と、前記収容空間の気体を前記容器開口部で構成された開口から吸引して前記収容空間を減圧させるための吸引管と、前記吸引管における前記気体の流れの上流側の端部を前記容器開口部に気密的に接続する接続部と、前記気体を通過させるとともに前記被処理物に含まれる固形物を捕捉するフィルタ本体と、前記フィルタ本体の気体出口の外周部に設けられたフィルタフランジ部とを有するフィルタと、前記収容空間において前記フィルタを支持するフィルタ支持部と、前記気体の流れを確保しながら前記フィルタフランジ部を前記フィルタ支持部に押さえ付けて固定するフィルタ押さえ部とを備え、前記フィルタ支持部は、前記フィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されたフィルタ取付け孔を有する板状のフィルタ取付け板部と、前記フィルタ取付け板部の外周部に設けられ、前記容器開口部の内周部における前記収容空間の外側を向いた引掛け面に引掛けられる引掛け部とを有し、前記フィルタ本体が前記フィルタ取付け孔に前記収容空間の外側から挿し込まれた状態において、前記フィルタ取付け板部と前記吸引管との間に前記フィルタフランジ部および前記フィルタ押さえ部が配置されるとともに、前記容器開口部の内周部と前記接続部とで前記引掛け部が挟まれることにある。
【0027】
この減圧装置では、フィルタ支持部のフィルタ取付け孔がフィルタ本体の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されるので、形状および大きさが異なる様々なフィルタをフィルタ取付け板部に取り付けることができる。したがって、設計の自由度が高く、汎用性のある安価なフィルタを適宜選択して使用することが可能であり、製造コストを低減できる。
【0028】
また、フィルタ取付け板部と吸引管との間にフィルタフランジ部およびフィルタ押さえ部が配置されるとともに、容器開口部の内周部と接続部とで引掛け部が挟まれた簡単な構造でフィルタの支持状態を保持できるので、製造コストを低減できる。さらに、フィルタ取付け板部におけるフィルタ取付け孔の位置を変更するだけで、フィルタ取付け板部におけるフィルタの位置を簡単に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る減圧装置の構成を示す図であり、(A)はフィルタが上に位置している状態を示す正面図、(B)は主要部の構成を示す部分拡大正面図である。
【
図2】第1実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す図であり、(A)は断面図、(B)は(A)におけるIIB部分拡大図である。
【
図3】第1実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す分解斜視図である。
【
図4】(A)は第2実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す断面図、(B)は第3実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す断面図である。
【
図5】第4実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す図であり、(A)は断面図、(B)はフィルタ押さえ部の構成を示す平面図である。
【
図6】(A)は第5実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す断面図、(B)は(A)に示したフィルタ押さえ部の第1変形例を示す分解断面図である。
【
図7】
図6(A)に示したフィルタ押さえ部の変形例を示す図であり、(A)は第2変形例を示す分解断面図、(B)は第3変形例を示す分解断面図である。
【
図8】第6実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す分解断面図である。
【
図9】第7実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す図であり、(A)は分解断面図、(B)は部分拡大断面図である。
【
図10】第8実施形態に係るフィルタ取付け構造を示す図であり、(A)は分解断面図、(B)は部分拡大断面図である。
【0030】
以下、本発明の実施形態に係るフィルタ取付け構造および減圧装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、紙面の上側を「上」とし、紙面の下側を「下」とする。
【0031】
(実施形態に係る減圧装置)
図1は、実施形態に係る減圧装置10の構成を示す図であり、
図1(A)はフィルタ22が上に位置している状態を示す正面図、
図1(B)は主要部の構成を示す部分拡大正面図である。
図2は、第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24を示す図であり、
図2(A)は断面図、
図2(B)は
図2(A)におけるIIB部分拡大図である。
図3は、第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24を示す分解斜視図である。
【0032】
図1(A)に示す減圧装置10は、凍結した被処理物を減圧状態で乾燥させる凍結乾燥装置として構成されたものであり、被処理物を収容する収容空間Sを有する容器12と、吸引管14と、吸引管14を容器12に接続するための接続部16と、回転駆動部18と、制御部20とを備えている。また、
図2(A)に示すように、減圧装置10は、2つのフィルタ22,22と、フィルタ取付け構造24とを備えている。
【0033】
図1(B)に示すように、容器12は、収容空間Sを構成する容器本体26と、収容空間Sを外部に開放する第1容器開口部(容器開口部)28と、収容空間Sの被処理物を外部に排出するための第2容器開口部30と、ジャケット32とを有している。
【0034】
容器本体26は、上下方向に延びる筒状の第1周壁部34aと、第1周壁部34aの上端部から上方へ向けて先細りとなるように形成された第2周壁部34bと、第1周壁部34aの下端部から下方へ向けて先細りとなるように形成された第3周壁部34cとを有している。第2周壁部34bの上端部には、第1容器開口部28を取り付けるための取付け孔36aが形成されており、第3周壁部34cの下端部には、第2容器開口部30を取り付けるための取付け孔36bが形成されている。
【0035】
図2(A)に示すように、第1容器開口部28は、収容空間Sの内側空間と外側空間とを連通させる開口38を構成する部分である。本実施形態の第1容器開口部28は、容器12の中心軸Lを中心とする内周面40および外周面42を有する円筒状に形成されている。第1容器開口部28の内周面40は、円筒状の内面である第1面40aと、第1面40aを除く内面である第2面40bとを有しており、第2面40bは、下方へ向かうにつれて内径が徐々に大きくなって容器本体26の内面の一部となっている。
【0036】
第1容器開口部28の下端部28aは、第2周壁部34bに形成された取付け孔36aの内周部に接合されており、第1容器開口部28の上端部28bは、容器本体26の外表面から上方へ突出されている。
【0037】
図2(B)に示すように、第1容器開口部28の内周部28cには、上方へ向かって内径が大きくなるように段差部44が形成されている。
図3に示すように、段差部44における収容空間Sの外側を向いた面、すなわち内周部28cにおける収容空間Sの外側を向いた面(以下、「引掛け面」という。)46は、容器12の中心軸Lに対して直交する平坦面に形成されている。
【0038】
図1(B)に示す第2容器開口部30は、収容空間Sの被処理物を外部へ排出するための開口48を構成する円筒状の部分であり、第2容器開口部30の上端部は、第3周壁部34cに形成された取付け孔36bの内周部に接合されている。第2容器開口部30の下端部には、蓋体50が着脱自在に取り付けられている。
【0039】
図2(A)に示すジャケット32は、収容空間Sの被処理物を冷却または加熱するための手段であり、容器本体26の外面に沿うように形成されたジャケット本体52を有している。容器本体26とジャケット本体52との間には、熱媒が流れる熱媒流路54が構成されている。熱媒流路54に熱媒が供給されると、容器本体26の全体が熱媒の温度に応じて冷却または加熱され、収容空間Sの被処理物が冷却または加熱される。なお、熱媒の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、シリコンオイルが使用されている。
【0040】
図1(B)に示すように、ジャケット本体52において、容器本体26の第1周壁部34a、第2周壁部34bおよび第3周壁部34cに対向する部分を第1周壁対向部56a、第2周壁対向部56bおよび第3周壁対向部56cとしたとき、第2周壁対向部56bの上端部は、第1容器開口部28の外周部に接合されており、第3周壁対向部56cの下端部は、第2容器開口部30の外周部に接合されている。
【0041】
つまり、
図2(A)に示すように、容器12の上部では、容器本体26とジャケット本体52との隙間が第1容器開口部28によって密閉されている。図示していないが、容器12の下部では、容器本体26とジャケット本体52との隙間が第2容器開口部30によって密閉されている。言い換えると、容器12の上部では、容器本体26とジャケット本体52とによって第1容器開口部28が十分な強度で支持されており、容器12の下部では、容器本体26とジャケット本体52とによって第2容器開口部30が十分な強度で支持されている。
【0042】
図1(A)に示す吸引管14は、収容空間Sの気体を第1容器開口部28から吸引して収容空間Sを減圧させるための部材であり、複数の管14a~14dをU字状に連結することによって構成されている。U字状の真中に位置する管14bは、可撓性または屈曲性を有しており、これによって、使用者は、吸引管14を容器12に接続する作業を容易に行うことができる。
【0043】
図1(A)に示す接続部16は、吸引管14における気体の流れの上流側の端部58を第1容器開口部28に気密的に接続する部材である。
図3に示すように、本実施形態の接続部16は、直管状の管体60と、円板状の蓋部62とを有している。管体60の上端部には、受口60aが形成されており、蓋部62の中央部には、円形の貫通孔62aが形成されている。そして、管体60の下端部が貫通孔62aに嵌め込まれて蓋部62に接合されている。
【0044】
図2(A)に示すように、接続部16の蓋部62は、第1容器開口部28の上面に載置されるとともに、クランプ64(
図1(B))を用いて第1容器開口部28に固定されている。接続部16を構成する管体60の受口60aには、
図1(A)に示す吸引管14の端部58が挿し込まれて接合されている。なお、蓋部62を第1容器開口部28に固定する固定手段は、クランプ64に限定されるものではなく、ボルトおよびナットなどの他の固定手段が採用されてもよい。
【0045】
図1(A)に示す回転駆動部18は、容器12および吸引管14などを回転させるための装置であり、容器12の互いに反対側を向いた側面に固定された円筒状の第1回転軸66aおよび第2回転軸66bと、第1回転軸66aおよび第2回転軸66bを回転可能に支持する第1軸受け部68aおよび第2軸受け部68bとを有している。第1回転軸66aおよび第2回転軸66bの回転中心は、容器12の中心軸L(
図2(A))に対して直交するように配置されている。
【0046】
また、回転駆動部18は、第1回転軸66aに回転力を付与するための駆動モータ70を有している。駆動モータ70には、制御部20が電気的に接続されており、制御部20から与えられた制御信号に応じて駆動モータ70が回転または停止される。
【0047】
第1回転軸66aの内部には、ジャケット32の熱媒流路54(
図2(A))に熱媒としてのシリコンオイルを供給するための熱媒供給管72aと、ジャケット32の熱媒流路54から熱媒としてのシリコンオイルを排出するための熱媒排出管72bとが配置されている。熱媒供給管72aの上流側端部は、ポンプ74の吐出口に接続されており、ポンプ74の吸込口は、接続管76を介して熱媒源78の出口に接続されている。熱媒排出管72bの下流側端部は、熱媒源78の入口に接続されている。ポンプ74および熱媒源78には、制御部20が電気的に接続されており、制御部20から与えられた制御信号に応じてポンプ74が駆動または停止される。また、制御部20から与えられた制御信号に応じて熱媒源78がシリコンオイルの温度を調節する。
【0048】
第2回転軸66bの壁部には、吸引管14の下流側の端部が接続されており、第2回転軸66bの第2軸受け部68bで支持された側の端部には、排気管82を介して蒸気回収装置85の入口が接続されており、蒸気回収装置85の出口には、真空ポンプ84の吸込口が接続されている。つまり、容器12の収容空間Sと真空ポンプ84の吸込口とが、密閉された気体流路86で連通されている。本実施形態の蒸気回収装置85はコールドトラップであり、気体流路86を流れる蒸気(水分)は氷として回収される。真空ポンプ84および蒸気回収装置85には、制御部20が電気的に接続されており、制御部20から与えられた制御信号に応じて真空ポンプ84および蒸気回収装置85が駆動または停止される。
【0049】
図3に示すように、フィルタ22は、気体を通過させるとともに被処理物に含まれる固形物を捕捉するフィルタ本体90と、フィルタフランジ部92とを有している。フィルタ本体90は、枠体90aと、枠体90aに被せられた袋状の濾布90bとを有しており、フィルタ本体90の全体は、内部に空間を有する有底筒状に形成されている。フィルタ本体90の開口端部は、濾布90bを通ってフィルタ本体90の内部に流入した気体の出口(以下、「気体出口」という。)94となっており、気体出口94の外周部に鍔状のフィルタフランジ部92が形成されている。
【0050】
気体出口94が向けられた方向(上方)からフィルタ22を見たとき、フィルタフランジ部92に外接する外接円の直径は、フィルタ本体90に外接する外接円の直径よりも大きく定められている。本実施形態では、フィルタフランジ部92が円環状に形成されており、フィルタ本体90が有底円筒状に形成されているため、フィルタフランジ部92の外径は、フィルタ本体90の外径よりも大きく定められている。つまり、フィルタフランジ部92は、フィルタ本体90から外側へ出っ張って形成されている。
【0051】
図1(A)に示す制御部20は、減圧装置10を作動させるための各電気機器を制御する装置であり、CPU、ROM、RAMおよびタイマ等からなるマイクロコンピュータ(図示省略)によって構成されている。ROMには、各電気機器の動作プログラムが記憶されている。
【0052】
(第1実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図2(A),(B)に示すフィルタ取付け構造24は、容器12と吸引管14と接続部16とを備える減圧装置にフィルタ22を取り付けるための構造であり、収容空間Sにおいてフィルタ22を支持するフィルタ支持部96と、フィルタ支持部96で支持されたフィルタ22を上方から押さえるフィルタ押さえ部98とを有している。
【0053】
図3に示すように、フィルタ支持部96は、2つのフィルタ取付け孔100を有する板状のフィルタ取付け板部102と、フィルタ取付け板部102の外周部に設けられ、第1容器開口部28の引掛け面46に引掛けられる引掛け部104とを有している。
【0054】
フィルタ取付け板部102は、第1容器開口部28の開口38に挿入可能な大きさで、開口38の横断面形状に応じた形状、すなわち円形に形成されている。各フィルタ取付け孔100は、フィルタ22におけるフィルタ本体90の大きさに応じた大きさで、フィルタ本体90の横断面形状に応じた形状、すなわち円形に形成されている。
【0055】
図3に示すように、引掛け部104は、一方(下側)の開口がフィルタ取付け板部102で閉塞され、他方(上側)の開口が開放された筒状の周壁部106と、周壁部106の開口端部106aの外周部に設けられ、上記引掛け面46に引掛けられる引掛けフランジ部108とを有している。
【0056】
図2(B)に示すように、フィルタ22のフィルタ本体90は、ガスケット110を介してフィルタ取付け板部102のフィルタ取付け孔100に収容空間Sの外側(上側)から挿し込まれており、フィルタフランジ部92は、ガスケット110を介してフィルタ取付け孔100の内周部に引掛けられている。したがって、フィルタ22とフィルタ取付け板部102との隙間は、ガスケット110によって封止されている。この状態において、フィルタ取付け板部102と吸引管14(
図1(A))との間には、フィルタフランジ部92およびフィルタ押さえ部98が配置されている。また、第1容器開口部28の内周部28cと接続部16とで引掛け部104の引掛けフランジ部108が挟まれている。なお、ガスケット110に替えて、フィルタフランジ部92の下面およびフィルタ取付け板部102の上面の少なくとも一方にOリング用の溝を設けて当該溝にOリングを取り付ける構成が採用されてもよい。
【0057】
図2(B)に示すように、フィルタ押さえ部98は、フィルタ22を通って吸引管14(
図1(A))に向かう気体の流れを確保しながらフィルタフランジ部92をフィルタ支持部96のフィルタ取付け板部102に押さえ付けて固定する部材である。なお、
図2(A)では、気体の流れを破線矢印で示している。
【0058】
図3に示すように、フィルタ押さえ部98は、フィルタ支持部96の周壁部106の内側に配置可能な大きさで、フィルタ取付け板部102の形状に応じた形状、すなわち円形に形成された板状のフィルタ押さえ本体112と、フィルタ押さえ本体112の上端部の外周部に形成された鍔状のフィルタ押さえフランジ部114とを有している。フィルタ押さえ本体112は、全体が一定の厚さで形成されており、フィルタ押さえ本体112には、フィルタ22の気体出口94に対応する2つの貫通孔116が形成されている。
図2(B)に示すように、フィルタ押さえ本体112の厚さは、接続部16の蓋部62でフィルタ押さえ部98が押さえられたときに、その押圧力がフィルタフランジ部92に伝わるように定められている。
【0059】
図2(A)に示すように、本実施形態では、吸引管14(
図1(A))における気体の流れの上流側の端部58の上流側、すなわち接続部16を構成する管体60の内部に、2つのフィルタ22を通過した気体を合流させて吸引管14の気体流路86に導くための合流空間Qが構成されている。つまり、接続部16が合流空間Qを構成する合流空間構成部118を有している。
【0060】
言い換えると、接続部16を構成する管体60の内部空間は、管体60の軸方向において、2つのフィルタ22のそれぞれの気体出口94と位置的に重なるように配置されており、その結果、管体60の内部空間が合流空間Qとなっている。
【0061】
図3に示すように、減圧装置10にフィルタ22を取り付ける際には、まず、使用者は、第1容器開口部28の引掛け面46にガスケット120を介してフィルタ支持部96の引掛けフランジ部108を引掛ける。すると、
図2(B)に示すように、フィルタ支持部96のフィルタ取付け板部102は、第1容器開口部28の開口端から収容空間S側へ入り込んだ位置に配置される。なお、ガスケット120に替えて、引掛けフランジ部108の下面および引掛け面46の少なくとも一方にOリング用の溝を設けて当該溝にOリングを取り付ける構成が採用されてもよい。
【0062】
続いて、使用者は、フィルタ支持部96の各フィルタ取付け孔100にガスケット110を介してフィルタ22のフィルタ本体90を挿し込み、かつ、フィルタフランジ部92の上面にフィルタ押さえ部98を載置する。すると、
図2(B)に示すように、引掛け面46においては、ガスケット120と、引掛けフランジ部108と、フィルタ押さえフランジ部114とがこの順に重ね合わされる。
【0063】
その後、使用者は、フィルタ押さえフランジ部114の上面にガスケット122を介して接続部16の蓋部62を載置し、クランプ64(
図1(A))を用いて蓋部62を第1容器開口部28に固定する。すると、
図2(B)に示すように、蓋部62でフィルタ押さえ部98が押さえられ、その押圧力でフィルタフランジ部92が押さえられる。なお、ガスケット122に替えて、蓋部62の下面およびフィルタ押さえフランジ部114の上面の少なくとも一方にOリング用の溝を設けて当該溝にOリングを取り付ける構成が採用されてもよい。
【0064】
(減圧装置の動作)
図1(A)に示す減圧装置10を用いて被処理物を凍結乾燥させる際には、使用者は、まず、凍結した被処理物を第2容器開口部30から容器12の収容空間Sに投入する。続いて、使用者は、減圧装置10の駆動スイッチをオンにする。すると、制御部20は、蒸気回収装置85を作動させ、収容空間Sを減圧するように真空ポンプ84を駆動させるとともに、容器12を連続して回転させるように駆動モータを駆動させる。さらに、制御部20は、ジャケット32にシリコンオイルを供給するようにポンプ74を駆動させるとともに、シリコンオイルの温度を適宜調節するように熱媒源78を制御する。これらの動作によって、被処理物に含まれる固体(氷)が気体(水蒸気)へ状態変化(昇華)され、被処理物が乾燥される。なお、制御部20は、被処理物の状態に応じて、駆動モータを間欠的に駆動させてもよいし、正回転と逆回転とを繰り返すように駆動させてもよい。
【0065】
(実施形態の効果)
本実施形態の減圧装置10およびフィルタ取付け構造24によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、
図3に示すフィルタ支持部96のフィルタ取付け孔100がフィルタ本体90の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されるので、形状および大きさが異なる様々なフィルタ22をフィルタ取付け板部102に取り付けることができる。したがって、設計の自由度が高く、汎用性のある安価なフィルタ22を適宜選択して使用することが可能であり、製造コストを低減できる。
【0066】
図2(B)に示すように、フィルタ取付け板部102と吸引管14(
図1(A))との間にフィルタフランジ部92およびフィルタ押さえ部98が配置されるとともに、第1容器開口部28の内周部28cと接続部16とで引掛け部104が挟まれた簡単な構造でフィルタ22の支持状態を保持できるので、製造コストを低減できる。さらに、フィルタ取付け板部102におけるフィルタ取付け孔100の位置を変更するだけで、フィルタ取付け板部102におけるフィルタ22の位置を簡単に変更できる。
【0067】
図2(A)に示すように、フィルタ支持部96のフィルタ取付け板部102に2つ(複数)のフィルタ22を取り付けることができるので、フィルタ22全体の面積を広くすることが可能であり、気体の吸引効率を高めることができる。したがって、収容空間Sで気体(昇華蒸気など)が発生した場合でも、高真空を容易に達成することができる。
【0068】
図2(B)に示すように、フィルタ支持部96を構成する周壁部106の内側にフィルタフランジ部92およびフィルタ押さえ部98が配置されるとともに、フィルタ押さえ部98が接続部16で押さえられるので、周壁部106の軸方向における周壁部106の長さおよびフィルタ押さえ部98の長さの少なくとも一方を変更することによって、フィルタフランジ部92が配置される空間の長さをフィルタフランジ部92の厚さに応じて適切に定めることができる。
【0069】
接続部16が合流空間構成部118を有するので、吸引管14の端部58が合流空間構成部を有する場合と比べて、合流空間Qを広く確保し易い。つまり、
図8、
図9、
図10に示すように、接続部16に設けられた合流空間構成部については、合流空間Qを広く確保するための設計変更を容易に行うことができる。
【0070】
(変形例)
本発明の実施にあたっては、上記実施形態の減圧装置10に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。すなわち、上記実施形態では、フィルタ本体90が有底円筒状に形成されており、フィルタフランジ部92が円環状に形成されているが、フィルタフランジ部92がフィルタ本体90から外側へ出っ張って形成されている、という条件を満たす限り、これらの形状、構造、大きさおよび材質は、適宜変更されてもよい。例えば、フィルタ本体90は、保形性に優れた濾布だけで形成されてもよい。
【0071】
上記実施形態では、接続部16が管体60を有しているが、管体60は省略されてもよい。この場合には、吸引管14における気体の流れの上流側の端部58が接続部16の蓋部62に接続されてもよい。また、当該端部58に合流空間Qが構成されてもよい。つまり、吸引管14における気体の流れの上流側の端部58が合流空間Qを構成する合流空間構成部(図示省略)を有していてもよい。
【0072】
上記実施形態では、本発明の減圧装置が、凍結した被処理物を減圧状態で乾燥させる凍結乾燥装置として構成されているが、本発明の減圧装置は、凍結していない被処理物を減圧状態で乾燥させる減圧乾燥装置として構成されてもよいし、減圧することだけを目的とした減圧装置として構成されてもよい。
【0073】
(第2実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図4(A)は第2実施形態に係るフィルタ取付け構造124を示す断面図である。
【0074】
第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24では、2つのフィルタ22を支持できるように構成されているが、支持できるフィルタ22の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
図4(A)に示すフィルタ取付け構造124は、1つのフィルタ22を支持できるように構成されたものであり、フィルタ支持部96のフィルタ取付け板部102には、1つのフィルタ取付け孔100が形成されており、フィルタ押さえ部98のフィルタ押さえ本体112には、1つの貫通孔116が形成されている。
【0075】
この構成においても、フィルタ取付け孔100の形状および大きさを適宜選択することによって、形状および大きさが異なる様々なフィルタ22をフィルタ取付け板部102に取り付けることができる。
【0076】
(第3実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図4(B)は第3実施形態に係るフィルタ取付け構造126を示す断面図である。
【0077】
第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24では、フィルタ押さえフランジ部114を有するフィルタ押さえ部98が使用されているが、
図4(B)に示すフィルタ取付け構造126のように、フィルタ押さえフランジ部114を有していないフィルタ押さえ部98が使用されてもよい。
【0078】
この構成では、フィルタ押さえフランジ部114の厚さ分だけ引掛け面46を第1容器開口部28の上面に近づけることができるので、第1容器開口部28の上下方向長さが短い場合でも、引掛け面46を確保し易い。
【0079】
(第4実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図5は、第4実施形態に係るフィルタ取付け構造128を示す図であり、
図5(A)は断面図、
図5(B)はフィルタ押さえ部130の構成を示す平面図である。
【0080】
第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24では、フィルタ押さえ部98の貫通孔116がフィルタ22の気体出口に対して1対1で対応するように形成されているが、
図5(A)に示すフィルタ取付け構造128のように、フィルタ押さえ部130におけるフィルタ取付け板部102に対向する領域の全体に、複数の通気孔132がムラなく分布して形成されてもよい。
【0081】
この構成では、フィルタ取付け板部102に取り付けられたフィルタ22の位置、大きさ、数にかかわらず、全てのフィルタ22のフィルタフランジ部92を気体の流れを確保しながらフィルタ取付け板部102に押さえ付けて固定することができる。
【0082】
(第5実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図6(A)は第5実施形態に係るフィルタ取付け構造134を示す断面図である。
【0083】
第1実施形態に係るフィルタ取付け構造24では、接続部16が合流空間Qを構成する合流空間構成部118を有しているが、
図6(A)に示すフィルタ取付け構造134のように、接続部16およびフィルタ押さえ部136の両方が合流空間構成部118,138を有していてもよいし、フィルタ押さえ部136だけが合流空間構成部138を有していてもよい(図示省略)。
図6(A)に示すフィルタ押さえ部136は、複数の貫通孔140が形成された板状のフィルタ押さえ本体142と、フィルタ押さえ本体142の外周部から上方に突出して筒状に形成された合流空間構成部138とを有している。
【0084】
この構成では、第1容器開口部28の内側の広い領域で合流空間Qを確保できるので、吸引管14の端部58が合流空間構成部を有する場合と比べて、合流空間Qを広く確保し易い。
【0085】
図6(B)は
図6(A)に示したフィルタ押さえ部136の第1変形例を示す分解断面図である。
【0086】
図6(A)に示すフィルタ押さえ部136では、フィルタ押さえ本体142と合流空間構成部138とが一体的に形成されているが、
図6(B)に示す第1変形例のように、フィルタ押さえ本体142と合流空間構成部138とは、互いに独立して形成されてもよい。この構成では、合流空間構成部138が接続部16で押さえられることによって、フィルタ押さえ本体142が接続部16で間接的に押さえられる。つまり、合流空間構成部138は、気体の流れを確保しながらフィルタ押さえ本体(フィルタ押さえ部)142と接続部16との間に配置される「スペーサ」として機能する。
【0087】
この構成では、第1容器開口部28の軸方向における合流空間構成部(スペーサ)138の長さを変更することによって、フィルタフランジ部92が配置される空間の長さをフィルタフランジ部92の厚さに応じて適切に定めることができる。
【0088】
図7(A)はフィルタ押さえ部136の第2変形例を示す分解断面図であり、
図7(B)はフィルタ押さえ部136の第3変形例を示す分解断面図である。
【0089】
図6(B)に示す第1変形例では、合流空間構成部138にフィルタ押さえフランジ部144が形成されているが、
図7(A)に示す第2変形例のように、フィルタ押さえフランジ部144は省略されてもよい。この構成では、フィルタ押さえフランジ部144の厚さ分だけ引掛け面46を第1容器開口部28の上面に近づけることができるので、第1容器開口部28の上下方向長さが短い場合でも、引掛け面46を確保し易い。
【0090】
また、
図7(B)に示す第3変形例のように、「スペーサ」として機能する複数(第3変形例では2つ)の合流空間構成部138が重ねて使用されてもよい。この構成では、合流空間構成部138の数を変更することによって、フィルタフランジ部92の厚さが異なる複数のフィルタ22に対応できる。
【0091】
(第6実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図8は、第6実施形態に係るフィルタ取付け構造146を示す分解断面図である。
【0092】
図5(A)に示す第4実施形態に係るフィルタ取付け構造128では、フィルタ押さえ部130におけるフィルタ取付け板部102に対向する領域の全体に、複数の通気孔132がムラなく分布して形成されているが、一部の通気孔132が接続部16を構成する蓋部62で塞がれているため、気体の吸引効率を改善する余地がある。
【0093】
図8に示すフィルタ取付け構造146では、蓋部62の外周部を除いた部分が上方に膨らむように形成されることによって、合流空間構成部148が構成されている。つまり、接続部16が、全ての通気孔132に連通する合流空間Qを構成する合流空間構成部148を有している。したがって、全ての通気孔132を無駄なく使用することが可能であり、気体の吸引効率を高めることができる。
【0094】
(第7実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図9は、第7実施形態に係るフィルタ取付け構造150を示す図であり、(A)は分解断面図、(B)は部分拡大断面図である。
【0095】
図8に示す第6実施形態に係るフィルタ取付け構造146では、フィルタ押さえ部130が第1容器開口部28の内側に設けられているが、
図9(A),(B)に示すフィルタ取付け構造150のように、フィルタ押さえ部152は、接続部16の内部空間に設けられてもよい。
【0096】
図9(A)に示すフィルタ取付け構造150では、接続部16に設けられた合流空間構成部148の内面にフィルタ押さえ部152を収容して位置決めするための収容部154が形成されている。そして、
図9(B)に示すように、収容部154の内側にフィルタ押さえ部152が収容されている。
【0097】
この構成では、第1容器開口部28の内側に配置されるフィルタ支持部96を小型化することが可能であり、フィルタ支持部96を第1容器開口部28の内周部28cに設置する際の作業性を向上できる。
【0098】
図9(B)に示すように、フィルタ取付け構造150において、第1容器開口部28の内周面40は、円筒状の内面である第1面40aと、第1面40aを除く内面である第2面40bとを有しており、第2面40bは、容器本体26の内面の一部となっている。第1面40aと第2面40bとの境界線を含む仮想面Xを想定したとき、フィルタ取付け板部102における収容空間Sの内側を向いた面102aは、仮想面Xと重なる位置に配置されている。
【0099】
この構成では、フィルタ取付け板部102における収容空間Sの内側を向いた面102aと第2面40bすなわち容器12の内面との間に凹部が生じないので、収容空間Sにおいて異物が溜まり易い領域が生じることを防止でき、ひいては異物混入(コンタミネーション)を防止できる。
【0100】
なお、
図9(A)に示すフィルタ取付け構造150では、フィルタ押さえ部152と接続部16とが互いに独立して形成されているが、フィルタ押さえ部152は、接続部16と一体的に形成されてもよい。この場合には、部品点数を減らすことができ、製造コストを低減できるとともに、組立作業性を向上できる。
【0101】
(第8実施形態に係るフィルタ取付け構造)
図10は、第8実施形態に係るフィルタ取付け構造156を示す図であり、(A)は分解断面図、(B)は部分拡大断面図である。
【0102】
上記の各実施形態では、フィルタ支持部96の引掛け部104が引掛けられる引掛け面46が第1容器開口部28の上面よりも下方に設けられているが、
図10(A)に示すフィルタ取付け構造156のように、引掛け面46は、第1容器開口部28の上面に設けられてもよい。そして、フィルタ支持部96の全体が平坦な板状に形成されてもよい。この場合には、板状のフィルタ支持部96の外周部が引掛け面46に引掛けられる引掛け部104となり、外周部を除いた部分がフィルタ取付け板部102となる。したがって、フィルタ支持部96で支持されたフィルタ22のフィルタフランジ部92は、第1容器開口部28の上面から上方へ突出する。
【0103】
図10(A)に示すフィルタ取付け構造156では、接続部16に設けられた合流空間構成部148の内面に、フィルタ押さえ部152、フィルタフランジ部92、ガスケット110,120,122、引掛け部104を収容して位置決めするための収容部158が形成されている。そして、
図10(B)に示すように、収容部158の内側に上記の各部分が収容されている。
【0104】
この構成では、第1容器開口部28の内側に配置される部分が少ないため、フィルタ取付け構造を組み立てる際の作業性を向上できる。また、第1容器開口部28の上下方向長さが短い場合でも、引掛け面46を確保し易い。
【符号の説明】
【0105】
L…中心軸、Q…合流空間、S…収容空間、X…仮想面、10…減圧装置、12…容器、14…吸引管、14a~14d…管、16…接続部、18…回転駆動部、20…制御部、22…フィルタ、24…フィルタ取付け構造、26…容器本体、28…第1容器開口部(容器開口部)、28a…下端部、28b…上端部、28c…内周部、30…第2容器開口部、32…ジャケット、34a…第1周壁部、34b…第2周壁部、34c…第3周壁部、36a,36b…取付け孔、38…開口、40…内周面、40a…第1面、40b…第2面、42…外周面、44…段差部、46…引掛け面、48…開口、50…蓋体、52…ジャケット本体、54…熱媒流路、56a…第1周壁対向部、56b…第2周壁対向部、56c…第3周壁対向部、58…端部、60a…受口、60…管体、62…蓋部、62a…貫通孔、64…クランプ、66a…第1回転軸、66b…第2回転軸、68a…第1軸受け部、68b…第2軸受け部、70…駆動モータ、72a…熱媒供給管、72b…熱媒排出管、74…ポンプ、76…接続管、78…熱媒源、82…排気管、84…真空ポンプ、85…蒸気回収装置、86…気体流路、90…フィルタ本体、90a…枠体、90b…濾布、92…フィルタフランジ部、94…気体出口、96…フィルタ支持部、98…フィルタ押さえ部、100…フィルタ取付け孔、102…フィルタ取付け板部、102a…収容空間Sの内側を向いた面、104…引掛け部、106…周壁部、106a…開口端部、108…引掛けフランジ部、110…ガスケット、112…フィルタ押さえ本体、114…フィルタ押さえフランジ部、116…貫通孔、118…合流空間構成部、120,122…ガスケット、124,126,128,134,146,150,156…フィルタ取付け構造、130,136…フィルタ押さえ部、132…通気孔、138…合流空間構成部、140…貫通孔、142…フィルタ押さえ本体、144…フィルタ押さえフランジ部、148…合流空間構成部、152…フィルタ押さえ部、154,158…収容部。
【要約】
【課題】汎用品のフィルタを適宜選択して使用できるフィルタ取付け構造および減圧装置を提供する。
【解決手段】減圧装置10の一部であるフィルタ取付け構造24は、フィルタ支持部96と、フィルタ押さえ部98とを備えている。フィルタ支持部96は、フィルタ本体90の形状および大きさに応じた形状および大きさに形成されたフィルタ取付け孔100を有するフィルタ取付け板部102と、容器開口部28の内周部28cにおける収容空間Sの外側を向いた引掛け面46に引掛けられる引掛け部104とを有している。フィルタ本体90がフィルタ取付け孔100に挿し込まれた状態において、フィルタ取付け板部102と接続部16の管体60に接続された吸引管との間にフィルタフランジ部92およびフィルタ押さえ部98が配置されるとともに、容器開口部28の内周部28cと接続部16とで引掛け部104が挟まれる。
【選択図】
図2