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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】粉末状皮膚洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20250523BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20250523BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20250523BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20250523BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20250523BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250523BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/36
A61Q19/10
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/46
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020063521
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161059
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】大岡 雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 正利
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081880(JP,A)
【文献】特開平10-219290(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01982693(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有し、
(A)アシル基の炭素数が6~22であるアシルアミノ酸塩、
(B)カチオン性高分子、
(C)非イオン性界面活性剤 、
(D)炭素数が6~22である高級脂肪酸塩、かつ、
前記成分(A)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、5~50質量%であり、
前記成分(B)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、0.001~5質量%であり、
前記成分(C)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して0.1~5質量%であり、
前記成分(D)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、0.5~30.0質量%であり、
さらに、賦形剤を粉末状皮膚洗浄料全体に対して、20~70質量%含有し、
前記成分(C)非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン20モルソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン20モルソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン20モルソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンピログルタミン酸ヤシ油、PCAイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸グリセレス-25、ポリグリセリル-10モノ脂肪酸エステル、ジステアリン酸PEG-150から選ばれる1種又は2種以上である
ことを特徴とする粉末状皮膚洗浄料。
【請求項2】
アシルアミノ酸塩は、アミノ酸がグルタミン酸、グリシン、及び、アスパラギン酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の粉末状皮膚洗浄料。
【請求項3】
カチオン性高分子は、ポリクオタニウム-7及び/又はポリクオタニウム-39である請求項1又は2記載の粉末状皮膚洗浄料。
【請求項4】
造粒して顆粒状としたものである請求項1、2、又は3記載の粉末状皮膚洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状皮膚洗浄料に関する。さらに詳しくは、少ない洗浄剤の配合でも泡立ちがよく、泡にコシがあり、リッチな使用感を有し、更にはすすぎ時のきしみ感が改善された粉末状皮膚洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粉末状皮膚洗浄料として、洗顔パウダー等が多く発売され、市場での認知度も高まり、広く支持も得られてきている。粉末状皮膚洗浄料は、クリーム乳液状洗浄料に比較して嵩密度が低く、質量が軽いので携帯性に優れる。また、実質的に水分は含有しないので、クリーム乳液状皮膚洗浄料でしばしば見受けられる高温下での離漿、低温下での固化といった品質不良のリスクを回避できる。加えて、プロテアーゼ、パパイン等の酵素を含めて、各種の有効成分を失活させず、経日安定的に配合できるという利点も有している。
【0003】
しかしながら、粉末状皮膚洗浄料は、その剤型故に経日で固まってしまい、容器から出てこなくなってしまう等の懸念があるため、吸湿性の高い洗浄剤を多量に配合することが難しい。そのため、泡立ちが十分でなく、弾力のある泡が作り難いため、洗浄時に直接皮膚に指先が当り、刺激を与えてしまう等の問題があった。
【0004】
特許文献1には、結晶セルロースとポリクオタニウム-7、高級脂肪酸、多価アルコールを含有させ、気泡性や洗い上がりのつっぱり感を改善した皮膚洗浄料が開示されている。また特許文献2には、脂肪酸塩とN-アシルアミノ酸系界面活性剤と、特定粒径の糖類、粘土鉱物の賦形剤と特定粒径の微粉体を特定割合で含有させ、良好な泡質、及び洗浄後の良好な肌感を有し、使用性を高めた粉末状身体洗浄用組成物が開示されている。
どちらも、多価アルコールや糖類を含有させることで、洗い上がりの保湿感や泡性能を向上させているものの、経日安定性の観点では、吸湿性が増し、包装用容器中で固化し、最後まで使いきれないなどの問題が懸念される。
【0005】
特許文献3には、界面活性剤を含む粉体成分に、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド誘導体を含む結合剤液を添加して造粒することで、水への溶解性がよく、泡立ちが早く、泡質がクリーミィで、洗い上がりのしっとり感に優れる顆粒状皮膚洗浄料が開示されている。しかしながら、結合剤としてカチオン性高分子化合物のみを使用しているため、粒子間の結合力が弱く、造粒後の乾燥工程において、顆粒が崩壊し易く、細かい粒子が出来易いため飛散性が高いという問題がある。
【0006】
【文献】特許第6125896号公報
【文献】特許第4834456号公報
【文献】特許第5087245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、洗浄剤が少ない配合量で、泡立ちがよく、泡にコシがあり、リッチな使用感を有し、更にはすすぎ時のきしみ感が改善された粉末状皮膚洗浄料を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究をおこなった結果、
次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有することを特徴とする粉末状皮膚洗浄料が、上記課題を解決し得ることを見出し、これに基づき本発明の完成に至った。
(A)アシルアミノ酸塩
(B)カチオン性高分子
(C)非イオン性界面活性剤
(D)高級脂肪酸塩
【0009】
本発明は、次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有し、
(A)アシル基の炭素数が6~22であるアシルアミノ酸塩、
(B)カチオン性高分子、
(C)非イオン性界面活性剤 、
(D)炭素数が6~22である高級脂肪酸塩、かつ、
上記成分(A)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、5~50質量%であり、
上記成分(B)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、0.001~5質量%であり、
上記成分(C)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して0.1~5質量%であり、
上記成分(D)の含有量は、粉末状皮膚洗浄料全体に対して、0.5~30.0質量%であり、
さらに、賦形剤を粉末状皮膚洗浄料全体に対して、20~70質量%含有し、
上記成分(C)非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン20モルソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン20モルソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン20モルソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンピログルタミン酸ヤシ油、PCAイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸グリセレス-25、ポリグリセリル-10モノ脂肪酸エステル、ジステアリン酸PEG-150から選ばれる1種又は2種以上である
ことを特徴とする粉末状皮膚洗浄料に関する。
【0010】
上記アシルアミノ酸塩は、アミノ酸がグルタミン酸、グリシン、及び、アスパラギン酸から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0011】
上記カチオン性高分子は、ポリクオタニウム-7及び/又はポリクオタニウム-39であることが好ましい。
【0013】
上記粉末状皮膚洗浄料は、造粒して顆粒状としたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、洗浄剤を多量に配合することが難しい粉末状皮膚洗浄料であるにも関わらず、泡立ちがよく、泡にコシがあり、リッチな使用感を有し、更にはすすぎ時のきしみ感が改善された粉末状皮膚洗浄料を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において使用される(A)アシルアミノ酸塩は、アシル基の炭素数が、6~22であり、アミノ酸が、グルタミン酸、グリシン、及び、アスパラギン酸から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
ココイルグルタミン酸Na、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンNa、N-ラウロイルアスパラギン酸Na、ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa等が市販されていて、好適に用いられる。各々単独で用いても併用してもよく、好ましくは併用することで泡立ちのよい粉末状皮膚洗浄料が得られやすい。
【0016】
(A)アシルアミノ酸塩の含有量は、粉末状皮膚洗浄料の質量に対して、5~50質量%が好ましく、さらに好ましくは10~40質量%である。5質量%未満だと泡立ち、洗浄力が悪くなり、50質量%を超えるとすすぎ時のきしみ感が出やすくなってしまう。また50質量%を超えると吸湿性が高くなり、経時安定性が悪くなってしまうという懸念がある。
【0017】
本発明において使用される(B)カチオン性高分子は、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53等が市販されていて好適に用いられ、1種又は2種以上を用いてもよい。その中でも、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-39を用いることがより好ましく、泡立ち、泡のコシを向上させ、リッチな使用感を得ることができる。
【0018】
(B)カチオン性高分子の含有量は、粉末状皮膚洗浄料の質量に対して、0.001~5質量%であり、好ましくは0.01~3質量%である。0.001質量%未満だと十分な泡立ちや泡のコシが得られず、5質量%を超えると洗い上がりのべたつき感が生じやすくなってしまう。
【0019】
本発明において使用される(C)非イオン性界面活性剤は、酸化エチレンの平均付加モル数が20~200の非イオン界面活性剤が好適に用いられる。具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンピログルタミン酸ヤシ油、PCAイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸グリセレス-25、ポリグリセリル-10モノ脂肪酸エステル、ジステアリン酸PEG-150等が市販されていて好適に用いられ、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0020】
上記(C)非イオン性界面活性剤は、粉末状皮膚洗浄料の質量に対して0.1~5質量%の割合で配合する。上記配合量とすることで、泡立ちや泡質(泡のコシ)、水への溶解性が向上し、きめ細かい泡を得られる。0.1質量%未満では、十分な泡立ちや洗浄力が得られず、5質量%を超えると造粒が困難になってしまう。
【0021】
本発明において使用される(D)高級脂肪酸塩は、炭素数が6~22の高級脂肪酸が好ましく、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のカリウム塩及びナトリウム塩が市販されていて好適に用いられ、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0022】
上記(D)高級脂肪酸塩は、粉末状皮膚洗浄料の質量に対して1~25質量%の割合で配合することが好ましい。上記配合量とすることで、洗い上がりのつっぱり感がなく、十分な洗浄効果を得ることが出来る。1質量%未満では、十分な洗浄力が得られず、25質量%を超えると洗い上がりのつっぱり感が強くなってしまう。
【0023】
本発明の粒状皮膚洗浄料は、上述の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含む混合物を造粒して、顆粒状としたものであることが好ましい。
本発明の粒状皮膚洗浄料の製造方法は、上述した(A)、(B)、(C)及び(D)を含む混合物に対して、水を含む多糖類含有分散液を噴霧する流動層造粒法であっても、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法などの他の造粒方法であっても構わないが、多孔質で柔らかい均質な球状粒子が得られやすい点で、流動層造粒法が特に好ましい。
【0024】
流動層造粒法は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧して造粒する方法である。原理的に多孔質で柔らかい均質な球状粒子が得られやすく、乾燥効率も格段によいので、本発明において好適に用いることができる。その操作は定法により行えばよく、特に限定されないが、仕込量、仕込処方に応じて、給気温度、給気風量、噴霧液速度、噴霧空気圧、乾燥温度及び乾燥時間等の条件について、適宜調整する必要がある。
【0025】
上記多糖類含有分散液に含まれる多糖類としては、特に限定されず、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。上記多糖類をバインダーとして使用することで、粒子間の結合剤として働き、噴霧後に水分を蒸発させることで、多孔質で柔らかい造粒物が得られるという点で好ましいものである。
【0026】
なお、上記特許文献3においては、カチオン性高分子を結合剤として使用することが記載されている。結合剤液として配合した場合、カチオン性高分子の結合力が強くないため、乾燥過程で造粒粒子が崩壊し易くなってしまう。また、他の結合剤と併用して噴霧液を作製すると、噴霧液の粘度が高くなってしまい、送液ポンプによる送液速度の制御が困難になり生産性が低下してしまう。粘度を下げるために更に水を添加することも考えられるが、噴霧液の量が増えてしまい、結果的にはこちらも生産性が低下してしまうという問題がある。このため、本発明においては、カチオン性高分子を結合剤として使用するのではなく、原料粒子として使用することが好ましい。
【0027】
上記流動層造粒法で得られた造粒物は、必要に応じて20メッシュ(目開き840μm)の篩等で篩過して粒度を整えてもよい。本発明の粉末状皮膚洗浄料は、好ましくは、粒径が200メッシュ(目開き74μm)の篩を通過する大きさの粉末割合が全量の20%質量以下であり、より好ましくは10%質量以下である。粒度を整えた粒状皮膚洗浄料組成物は、使用時の水溶解性を向上させ、滑らかで、泡立ちがよくなり好適である。また、粉末の飛散性も少なくなり、計量、充填、仕上げといった作業効率も向上するので、必要であれば1回分の使用量に応じて分包を施すことも可能となる。
【0028】
本発明の粉末状皮膚洗浄料には、上記含有成分のほかに、通常化粧料で汎用されている成分を、本発明の所期の効果を損なわない限度内で、含有させることができる。例えば、上記の必須成分の界面活性剤以外の界面活性剤、賦形剤、結合剤、増粘剤、保湿剤、金属封鎖剤、防腐剤、香料、着色剤、収斂剤、抗炎症剤、酵素、ビタミン類等を、含有し、本発明の粉末状皮膚洗浄料を製造することができる。これらの成分は、それらの性質に応じて粉体成分として使用してもよいし、分散液中に溶解・分散等して使用してもよい。
【0029】
上記の必須成分の界面活性剤以外の界面活性剤では、例えば、アルキルベタイン、アシル化イセチオン酸塩等の1種又は2種以上を含有させることで泡質を含めた官能特性の評価が向上する場合がある。
【0030】
賦形剤としては、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、ベントナイト、硫酸バリウム、無水ケイ酸等の無機粉末、デンプン、デキストリン、結晶セルロース等の有機粉末が好適に用いられる。賦形剤の含有量は、特に限定されないが、一般的には20~70質量%が好適である。20質量%未満では賦形剤としての効果が得られにくく、70質量%を超えると泡立ちが阻害される傾向が生じる。
【0031】
本発明の粒状皮膚洗浄料において、上述のタルクの含有量は、粉末状皮膚洗浄料の質量に対して50質量%以下であることが好ましい。タルクの含有量が50質量%を超えると、泡立ちが阻害される傾向が生じ、十分な泡立ちが得られなくなってしまうため好ましくない。
【0032】
本発明の粉末状皮膚洗浄料は、実質的に水を含有しない。すなわち、噴霧液中の水は、造粒工程において蒸散・消失するものであることから、最終製品となる粒状皮膚洗浄料組成物は、水を含有しないものとなる。このため、加水分解しやすい成分等を安定的に配合できる利点がある。
【実施例
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、この実施例における含有量は粉末状皮膚洗浄料中の質量%である。
【0034】
〔製造方法〕
実施例1~16、比較例1~6
(1)表1、表2の成分1~22の各々所定割合を約150gスケールで計量し、攪拌混合機を用いて均一に混合した後、流動層造粒装置(フロイント産業社FL-MINI)内に投入し、給気風量0.1~0.4m/min.で流動混合させながら、排気温度が約40℃になるまで予熱・予備混合した。
(2)予め、表1、表2の成分23~27の各々所定割合を計量し、攪拌混合機を用いて均一に分散、膨潤させた。
(3)(1)を給気温度65~90℃、給気風量0.1~0.4m/min.で流動混合させながら、(2)を液速度1~5mL/min.で噴霧して造粒した後、排気温度が32~42℃になるまで乾燥させて、造粒物を得た。
(4)(3)を取り出して20メッシュ(目開き840μm)の篩で篩過し、試料とした。
【0035】
〔評価方法〕
<泡立ち>
男性、女性の被験者計10名により、実施例、比較例各々の試料0.5gで洗顔してもらい、官能評価(総合評価)を下記評価基準にて評価した。
◎:10名中8名以上が、泡立ちがよいと回答
○:10名中6~7名が、泡立ちがよいと回答
△:10名中3~5名が、泡立ちがよいと回答
×:10名中2名以下が、泡立ちがよいと回答
【0036】
<泡質(泡のコシ)>
男性、女性の被験者計10名により、実施例、比較例各々の試料0.5gで洗顔してもらい、官能評価(総合評価)を下記評価基準にて評価した。
◎:10名中8名以上が、泡にコシがあると回答
○:10名中6~7名が、泡にコシがあると回答
△:10名中3~5名が、泡にコシがあると回答
×:10名中2名以下が、泡にコシがあると回答
【0037】
<洗浄効果>
男性、女性の被験者計10名により、実施例、比較例各々の試料0.5gで洗顔してもらい、官能評価(総合評価)を下記評価基準にて評価した。
◎:10名中8名以上が、良好な洗浄効果があると回答
○:10名中6~7名が、良好な洗浄効果があると回答
△:10名中3~5名が、良好な洗浄効果があると回答
×:10名中2名以下が、良好な洗浄効果があると回答
【0038】
<すすぎ時のきしみ感>
男性、女性の被験者計10名により、実施例、比較例各々の試料0.5gで洗顔してもらい、官能評価(総合評価)を下記評価基準にて評価した。
◎:10名中8名以上が、すすぎ時のきしみ感を感じないと回答
○:10名中6~7名が、すすぎ時のきしみ感を感じないと回答
△:10名中3~5名が、すすぎ時のきしみ感を感じないと回答
×:10名中2名以下が、すすぎ時のきしみ感を感じないと回答
【0039】
<洗い上がりのしっとり感>
男性、女性の被験者計10名により、実施例、比較例各々の試料0.5gで洗顔してもらい、官能評価(総合評価)を下記評価基準にて評価した。
◎:10名中8名以上が、十分にしっとり感が得られたと回答
○:10名中6~7名が、十分にしっとり感が得られたと回答
△:10名中3~5名が、十分にしっとり感が得られたと回答
×:10名中2名以下が、十分にしっとり感が得られたと回答
【0040】
<安定性>
実施例、比較例各々の試料約30gを、40℃・75%RHで6ヶ月間放置した後の試料の
状態を4段階にて評価した。
◎:塊がなく、さらさらとした流動性が高い状態
○:小さな塊はあるが、流動性はある状態
△:塊はあるが、振とうにより塊がほぐれ、流動性がある状態
×:塊になってしまい、流動性がない状態
【0041】
下記の表1、表2(実施例1~16、比較例1~6)に示す処方の粉末状皮膚洗浄料を作製し、上記評価基準に従い使用性の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
(実施例17)
下記表3の処方で、実施例1~16、比較例1~6の製造方法に従って、粒状皮膚洗浄料組成物を調製した。
【0045】
【表3】
【0046】
表中の成分番号の商品名は下記の通りである。
#1:アミライトGCS-11(味の素社)
#2:アミライトGCK-11(味の素社)
#3:アミノフォーマーFLMS-P1(旭化成社)
#4:ダイヤポンK-SFパウダー(日油社)
#5:NIKKOL-LMT(日光ケミカル社)
#6:アミソフトCS-11(味の素社)
#7:MerquatTM 100 Polymer(日本ルーブリゾール社)
#8:MerquatTM 2200 Polymer(日本ルーブリゾール社)
#9:MerquatTM 280SD Polymer(日本ルーブリゾール社)
#10:MerquatTM 3330Dry Polymer(日本ルーブリゾール社)
#11:PYROTER CPI-30(日本エマルジョン社)
#12:PYROTER CPI-40(日本エマルジョン社)
#13:PYROTER GPI-25(日本エマルジョン社)
#14:ノンサールMK-1(日油社)
#15:タルクJA-80R(浅田製粉社)
#16:アミコールC(日澱化学社)
#17:局方デキストリン(日澱化学社)
#18:セオラスPH-102(旭化成社)
#19:酸化チタンCR-50(石原産業社)
#20:精製パパイン(三菱化学フーズ社)
#21:グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬社)
#22:トレハロース(林原社)
#23:メトローズ60SH50(信越化学工業社)
#24:HPC-L(日本曹達社)
#25:キミカアルギニンI-1(キミカ社)
#26:ジグリセリン801(阪本薬品工業社)
#28:ダイヤポンCI(日油社)
#29:タルクJA-46R(浅田製粉社)
#30:タルクリアLH(日本光研社)
#31:コクラーゼ・P顆粒(三菱化学フーズ社)
#32:AA2G(林原社)
なお、成分27の精製水は、造粒及び乾燥工程で蒸散し、消失する。
【0047】
表1~2から明らかなように、本発明による粉末状皮膚洗浄料は、泡立ちがよく、泡にコシがあり、洗浄力も十分で、すすぎ時のきしみ感がなく、洗い上がりがしっとりとした粉末状皮膚洗浄料であった。また、経日安定性に優れることも示された。
一方、比較例の粉末状皮膚洗浄料は、これらの評価項目において良好な結果が得られていない。よって、本発明の粉末状皮膚洗浄料が優れた効果を有するものであることは明らかである。
【0048】
実施例1~16、比較例1~6の製造方法に準拠して得た試料を、ブリスターパック自動充填包装機にて0.5g×300個充填包装して、密封包装された粉末状皮膚洗浄料を得た。こうして得られた包装物は、質量のバラツキが少なく、また、シール部分に微粉が残ることによる密封不良(噛み込みのシール不良)の問題も生じなかった。これも、本発明の方法により得られる組成物の高い造粒性に起因する効果であると考察される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の粉末状皮膚洗浄料は、皮膚洗浄料分野において好適に利用することができる。