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特許7685800本人認証システム、本人認証方法及び本人認証プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】本人認証システム、本人認証方法及び本人認証プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/16 20220101AFI20250523BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250523BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20250523BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20250523BHJP
【FI】
G06V40/16 A
G06T7/00 660B
G06T7/00 300F
G06T7/00 510Z
G06F3/048
G06F21/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024184114
(22)【出願日】2024-10-18
【審査請求日】2024-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344969
【氏名又は名称】株式会社PocketRD
(74)【代理人】
【識別番号】230112911
【弁護士】
【氏名又は名称】三和 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】籾倉 宏哉
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-114548(JP,A)
【文献】国際公開第2023/032170(WO,A1)
【文献】特開2000-322577(JP,A)
【文献】国際公開第2023/243623(WO,A1)
【文献】国際公開第2024/116369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/00 -40/70
G06F 3/048
G06F 21/32
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かを判定する本人認証システムであって、
本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成手段と、
認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成手段と、
前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理手段と、
前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理手段による認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示手段と、
を備えたことを特徴とする本人認証システム。
【請求項2】
撮影時における本人の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記本人画像の撮影日時に関する情報とを含む本人撮影条件情報と、前記本人画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である本人撮影機器情報との少なくとも一方を含む本人画像情報を生成する本人画像情報生成手段と、
撮影時における対象人物の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記対象画像の撮影日時に関する情報を含む対象撮影条件情報と、前記対象画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である対象撮影機器情報との少なくとも一方を含む対象画像情報を生成する対象画像情報生成手段と、
前記本人画像情報と前記対象画像情報を比較する画像情報比較手段と、
前記画像情報比較手段による比較結果に基づき、前記本人画像情報と前記対象画像情報の相違に応じて前記本人特徴点情報及び前記対象特徴点情報の少なくとも一方における特徴点間の位置関係を修正する特徴点情報修正手段と、
をさらに備え、
前記認証処理手段は、前記特徴点情報修正手段により修正された前記本人特徴点情報及び/又は前記対象特徴点情報に基づき認証処理を行うことを特徴とする請求項1記載の本人認証システム。
【請求項3】
本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かを判定する本人認証方法であって、
本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成ステップと、
認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成ステップと、
前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理ステップと、
前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理ステップにおける認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示ステップと、
を含むことを特徴とする本人認証方法。
【請求項4】
前記本人特徴点情報を暗号化する暗号処理ステップと、
前記アバターと対応関係にある非代替性トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記アバターと対応関係にある本人に関する本人特徴点情報を暗号化したものを含む出力情報を生成する出力情報生成ステップと、
前記情報生成ステップにて生成された出力情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップと、
前記分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報から、前記出力情報を取得する出力情報取得ステップと、
前記出力情報取得ステップにて取得した出力情報に含まれる本人特徴点情報を復号化する復号処理ステップと、
をさらに含み、前記認証処理ステップにおいて前記復号処理ステップにて復号された本人特徴点情報を認証処理に用いることを特徴とする請求項記載の本人認証方法。
【請求項5】
本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かをコンピュータに判定させる本人認証プログラムであって、
前記コンピュータに対し、
本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成機能と、
認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、
当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成機能と、
前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理機能と、
前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理機能による認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示機能と、
を実行させることを特徴とする本人認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない情報量で高精度の本人認証処理を実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ等の電子計算機における処理能力向上等に伴い、ゲーム及びSNS(Social Networking Service)等のIT系のサービスにて2次元、3次元のコンピュータグラフィックスが多数活用されている。これらのサービスにおいては、架空のキャラクターを模したアイコン、アバター等が使用されるのみならず、利用者等の実在の人物の特徴を踏まえつつある程度抽象的に表現したアバター等が用いられるケースが増えている。これにより、たとえばゲームにて利用者の特徴を表現したアバターからなる主人公が敵キャラクターと対戦することで利用者のゲーム世界への没入感が向上する効果が発生し、SNSにおいて利用者を示すアイコンとして利用者本人を抽象的に表現したアバターを使用することで、仮想空間でありながら現実の世界と同じような感覚にて利用者間の交流が促進されるといった効果が発生することが期待される。
【0003】
特許文献1、2は、いずれもヘッドマウントディスプレイを使用して仮想空間を表現するコンピュータゲームにおいて、プレイヤー自身、あるいは共同プレイヤーの実際の姿をそれぞれ模したアバターを使用する技術について開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-012509号公報
【文献】特開2019-139673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのアバターはもっぱらオンライン上で使用されるところ、特定のアバターを使用する者がアバターデザインの元である原画像にて示される本人と一致しているとは断定できず、オンライン上のサービス利用にあたっては本人確認手続が必要である。しかしながら、パスワード等による認証では情報漏洩等により第三者のなりすましが完全には防止できず、生体情報認証の場合は事前の生体情報の取得が容易ではないという課題がある。
【0006】
他方で、画像認証で本人確認することとした場合でも、参照用の本人画像をあらかじめ保存する扱いとすると、特に認証精度を向上させるために高精細画像を用いた場合にデータ保存上の負担が大きいという問題がある。また、情報漏洩等により参照用の本人画像を改竄される危険性は皆無ではなく、その観点からは画像認証での本人確認も万全ではない。さらに、画像認証で本人確認する場合、たとえば参照用の本人画像取得から実際の本人認証処理まで長期間が経過した場合や、参照用画像と全く異なる表情で本人認証された場合に認証精度が低下するという問題がある。
【0007】
また、常に(たとえば1分毎に)本人認証を行う態様とするとシステム上の負担が大きく現実的ではないが、他方で、定期的に(すなわち、一定の時間的間隔をあけて)本人認証を行う態様とした場合、少なくともアバターが使用されるオンライン上のサービス等を利用する他のユーザーにとっては、そのアバターを使用する人物について、一切の本人認証がなされていないのか、直前の時期に本人認証済であるのか、本人認証済であるが認証処理がなされてからどの程度時間が経過しているのか等を認識することが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、少ない情報量で高精度の本人認証処理を実現し、認証処理に用いる資料の偽造を効果的に防止し、認証結果を第三者が簡易に把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる本人認証システムは、本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かを判定する本人認証システムであって、本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成手段と、認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成手段と、前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理手段と、前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理手段による認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる本人認証システムは、上記の発明において、撮影時における本人の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記本人画像の撮影日時に関する情報とを含む本人撮影条件情報と、前記本人画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である本人撮影機器情報との少なくとも一方を含む本人画像情報を生成する本人画像情報生成手段と、撮影時における対象人物の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記対象画像の撮影日時に関する情報を含む対象撮影条件情報と、前記対象画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である対象撮影機器情報との少なくとも一方を含む対象画像情報を生成する対象画像情報生成手段と、前記本人画像情報と前記対象画像情報を比較する画像情報比較手段と、前記画像情報比較手段による比較結果に基づき、前記本人画像情報と前記対象画像情報の相違に応じて前記本人特徴点情報及び前記対象特徴点情報の少なくとも一方における特徴点間の位置関係を修正する特徴点情報修正手段とをさらに備え、前記認証処理手段は、前記特徴点情報修正手段により修正された前記本人特徴点情報及び/又は前記対象特徴点情報に基づき認証処理を行うことを特徴
とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる本人認証方法は、本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かを判定する本人認証方法であって、本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成ステップと、認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成ステップと、前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理ステップと、前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理ステップにおける認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる本人認証方法は、上記の発明において、前記本人特徴点情報を暗号化する暗号処理ステップと、前記アバターと対応関係にある非代替性トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記アバターと対応関係にある本人に関する本人特徴点情報を暗号化したものを含む出力情報を生成する出力情報生成ステップと、前記情報生成ステップにて生成された出力情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップと、前記分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報から、前記出力情報を取得する出力情報取得ステップと、前記出力情報取得ステップにて取得した出力情報に含まれる本人特徴点情報を復号化する復号処理ステップとをさらに含み、前記認証処理ステップにおいて前記復号処理ステップにて復号された本人特徴点情報を認証処理に用いることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる本人認証プログラムは、本人との対応関係が設定されたアバターについて、所定のサービスにて当該アバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かをコンピュータに判定させる本人認証プログラムであって、前記コンピュータに対し、本人の画像である本人画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成機能と、認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像から複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成機能と、前記本人特徴点情報に含まれる前記本人画像における複数の特徴点間の位置関係と、前記対象特徴点情報に含まれる前記対象画像における複数の特徴点間の位置関係を比較し、比較結果に基づき対象人物と本人の同一性の有無に関する認証処理を行う認証処理機能と、前記所定のサービスにおける前記アバターの表示に付随して、前記認証処理機能による認証処理の結果が対象人物と本人との間の同一性を認めるものであった場合に、本人認証済であることに対応した認証表示を行うよう指示すると共に、当該認証表示につき前記認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する認証表示指示機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ない情報量で高精度の本人認証処理を実現すると共に、認証結果を第三者が簡易に把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1にかかる本人認証システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態2にかかる本人認証システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明の実施の形態として最も適切と考えられる例について記載するものであり、当然のことながら、本発明の内容を本実施の形態にて示された具体例に限定して解すべきではない。同様の作用・効果を奏する構成であれば、実施の形態にて示す具体的構成以外のものであっても、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる本人認証システムについて説明する。図1に示すとおり、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、本人特徴点情報生成に用いる本人画像を入力するための本人画像入力部1と、本人画像から画像上の複数の特徴点を抽出して本人画像の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成部2と、本人画像に関する情報を生成する本人画像情報生成部3と、ゲーム・SNS等のサービス上で本人が使用するアバターを生成するアバター生成部5と、本人が使用するアバターと対応関係にある非代替性トークンであるアバタートークンを生成するアバタートークン生成部6と、本人特徴点情報(好ましくはこれを暗号化した情報)を含む出力情報として、アバタートークンに対応した分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成するトランザクション生成部7と、トランザクションに含まれる情報の生成・出力がアバタートークンの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する電子署名生成部8と、トランザクション及び電子署名をアバタートークンと関連付けられた分散型ネットワークに出力する出力部9と、アバタートークンに対応した分散型台帳に記録されたトランザクションを取得するトランザクション取得部10と、トランザクション取得部10によって取得したトランザクションから本人特徴点情報を抽出する本人特徴点情報抽出部11と、認証処理時に認証対象となる対象人物の画像である対象画像を入力する対象画像入力部12と、対象画像から画像上の複数の特徴点を抽出して対象画像の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成部13と、対象画像に関する情報である対象画像情報を生成する対象画像情報生成部14と、対象画像情報生成部14にて生成された対象画像情報と本人画像情報生成部3にて生成された本人画像情報を比較する画像情報比較部15と、本人画像情報比較部15による比較結果に基づき本人特徴点情報又は/及び対象特徴点情報を修正する特徴点情報修正部16と、特徴点情報修正部16によって修正された本人特徴点情報/対象特徴点情報を用いて本人認証処理を行う認証処理部17と、認証処理部17の認証結果に応じた内容からなる認証表示を表示するよう指示する認証表示指示部18と、指示に基づき具体的な認証表示を生成する認証表示生成部19と、認証表示生成部19によって生成された認証表示を、アバターが使用されるサービスに向けて出力する認証表示出力部20とを備える。
【0019】
本人画像入力部1は、本人特徴点情報生成のために使用される、認証対象となる本人の画像である本人画像を入力するためのものである。本人画像の態様としては静止画、動画のいずれでもよく、単一の画像データの場合だけでなく異なる方向から撮影した複数の画像データによって構成することとしてもよい。カラー、白黒の別を問わず、2次元画像と3次元画像のいずれであってもよい。本人画像入力部1の具体的構成としては、カメラ等の撮像機能を具備し直接的に本人画像を入力する構成としてもよいし、たとえば本人が所持する携帯型端末にて撮影された本人画像を入力する構成としてもよい。
【0020】
本人特徴点情報生成部2は、本人画像から、人体における顔面上の目、鼻、口、耳等の各部位や、顎の骨格の連結点等の特徴的な部位に対応して予め定めた特徴点を複数抽出し、抽出した複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報を生成するためのものである。本人特徴点情報生成部2によって生成される本人特徴点情報は後述する認証処理部17による本人認証処理の参照情報として使用されるものであるところ、生成される本人特徴点情報をそのまま参照情報として使用してもよいが、好ましくは、後述する特徴点情報修正部16による必要な修正処理が施された本人特徴点情報を使用することとする。
【0021】
本人特徴点情報生成部2の具体的構成としては深層学習、機械学習等によって実現した画像認識技術を利用してもよいし、複数の画像認識技術を組み合わせたものとしてもよい。また、本実施の形態1における「特徴点」は、人体における体表面ないし体内部位の位置を示すものであるところ、いかなる部位を特徴点と設定すべきかについては任意に定めてよい。たとえば、顔表面上の部位で視覚的に認識可能な部位(目、鼻、口、耳、眉毛等)や輪郭に対応した点だけに特徴点を設定する扱いとしてもよいし、顔面内部の表情筋や、内部構造である関節の位置に対応して特徴点を定めることとしてもよい。また、たとえば目について特徴点を設定した場合に、目の中心位置のみ特徴点としてもよいし、目頭、目じり、瞳及び白目部分のそれぞれについて詳細に特徴点を設定することとしてもよい。なお、本人特徴点情報生成部2によって抽出された各特徴点については、特徴点の位置(原画像における位置そのものとしてもよいが、本人認証処理時の便宜等の理由により、正規化した座標系における位置とすることが好ましい)及び当該特徴点の意義(目じりに対応した点である、顎の関節に対応した点である、等)に関する情報が含まれる特徴点情報として記録されるものとする。
【0022】
本人画像情報生成部3は、本人画像入力部1にて入力された本人画像の被写体である本人や、本人画像の撮影時期、撮影条件等に関する情報である本人画像情報を生成するためのものである。本人画像情報の具体的内容としては、撮影時における本人の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記本人画像の撮影日時に関する情報とを含む本人撮影条件情報と、前記本人画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である本人撮影機器情報との少なくとも一方を含み、さらに好ましくは、本人の年齢(あるいは生年月日)、性別等の本人属性情報を含むものとする。本人画像情報の具体的内容としては、対象人物の年齢(あるいは生年月日)、性別等の対象人物に関する本人属性情報の他、本人撮影機器情報として撮影に使用されたレンズの焦点距離、f値、受光部分(フィルム、撮像素子)の感度等の撮影機器に関する情報を、本人撮影条件情報として撮影日時、撮影時における本人の健康状態、表情等のうち少なくとも1以上の情報を含むものとする。本人画像情報生成部3による情報生成処理の具体的態様としては、これらの情報を記述した文字情報を外部から入力する構成としてもよいし、たとえば撮影時における本人の健康状態、表情や本人の年齢、性別のように本人画像に対する画像分析処理にて推定可能な情報については、画像分析によって取得する構成としてもよい。
【0023】
アバター生成部5は、ゲーム、SNS等のサービスにてユーザーが使用するアバターを生成するためのものである。具体的には、アバター生成部5は、たとえば利用者の全身写真に基づき表面上の特徴(目、眉毛、鼻、口、耳、髪型等)、内部的な特徴(関節等)及び衣服・装身具・所持品等の外部要素の位置・形状等に応じて設定される特徴点(たとえば目の重心位置、目尻、目頭の位置等)を抽出し、特徴点の位置情報に基づき利用者の身体的特徴を反映させた写実的なアバターを生成する機能を有する。アバターの構成としては骨格情報(ボーン)、表面情報(スキン)及び両者の関係性について規定するウェイト情報からなることが好ましいが、より簡易な構成としてたとえば表面情報のみからなる構成等としてもよい。
また、アバターの生成にあたって利用者の全身写真を参考資料とするのではなく、顔写真のみを用いて首から下の部分は汎用データを用いることとしてもよいし、利用者の特徴と無関係なデザインとしてもよい。アバターのデザインとしては写実的なものに限定せず絵画的・アニメーションン的なデザインとしてもよいし、髪型、衣服、眼鏡・指輪やブレスレット等の装身具、鞄や傘等の所持品のみを利用者の実像と異なる態様としてもよい。なお、アバター生成部5によるアバター生成処理は、本人画像とは別に本人の全身写真等を撮影して当該全身写真等に基づき生成する態様としてもよいが、本人画像入力部1を介して入力された本人画像又は/及び本人特徴点情報生成部2によって本人画像から抽出された特徴点に関する情報を用いて生成することとしてもよい。
【0024】
アバタートークン生成部6は、アバター生成部5によって生成したアバターと対応関係にある非代替性トークンであるアバタートークンを生成するためのものである。「非代替性トークン」とはいわゆるNFT(Non-Fungible Token)、すなわち固有のデータを備えることで他のトークンと代替不能な性質を有するトークンを意味し、たとえばEthereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行されるものである。本実施の形態1にけるアバタートークンは、ERC721またはその他の所定の規格に基づき発行されるものであり、対応するアバターの使用者に関する情報及び本人特徴点情報(後述するとおり、好ましくは本人特徴点情報を暗号化した情報)等の情報がブロックチェーン上に保存される構成となっている。
【0025】
「ブロックチェーン」とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータ間において暗号技術を活用しつつデータ同期を行う技術である。具体的には、合意された取引記録等のトークンに関する情報の集合体と、他のブロックと接続させるための情報(前のブロックの情報)により各ブロックが構成され、当該各ブロックが複数連結されることによってブロックチェーンが構成される。複数のコンピュータの一部でデータ改ざんが行われても他のコンピュータとの間で多数決によって正しいデータが選択されるため、データの破壊・改ざんが極めて難しいという特徴を有している。
【0026】
アバタートークンとアバターの対応関係としては、アバタートークンの識別子とアバターの識別情報(個々のアバターに識別情報を付してもよいし、アバターが対象とする人物に関する識別情報(氏名等)を用いてもよい。)とを1対1で紐づける形式とする。より直接的に、アバタートークンの識別子とアバターの識別情報を同一内容とすることとしてもよいし、それぞれ異なる文字列等によって構成したものについて対応関係を設定する態様でも問題ない。また、アバターを構成するデータが保存されているインターネット空間上のURL情報と紐づける形式としてもよい。
【0027】
また、本実施の形態1において、生成されたアバタートークンと対応関係にある分散型台帳を構成するブロックには、アバタートークンの保有名義の移転に関する取引記録の他、アバターと対応関係にある本人に関する本人特徴点情報(より好ましくは本人特徴点情報を暗号化されたもの)が記録されるものとする。これらの情報については、トランザクション生成部7によって、アバタートークンと対応関係にある分散型ネットワークに対し出力される情報であるトランザクションに変換される。
【0028】
なお、アバタートークンの生成については、アバタートークン生成部6が自ら行う態様でもよいし、アバタートークン生成部6と直接的または間接的に接続された外部システムに対し所定の指令を行うことによって、外部システムが生成する態様としてもよい。また、アバタートークンの具体的形式についても、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に準拠したものに限定されず、非代替性の性質を有し、取引履歴がブロックチェーン上に保存されるものであれば任意の形式のものとしてよい。
【0029】
トランザクション生成部7は、分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成する機能を有し、特許請求の範囲における出力情報生成手段の一例に相当するものである。具体的には、トランザクション生成部7は、トランザクションの内容として、アバタートークンの保有名義の変更に関する情報に加え、対応するアバターと対応関係にある本人に関する本人特徴点情報含む情報を生成するものとする。なお、トランザクション生成部7は、本人特徴点情報をそのままの状態で含む態様にてトランザクションを生成することとしてもよいが、本実施の形態1においては、本人特徴点情報を暗号化する暗号処理部21を新たに備えており、トランザクション生成部7は、暗号処理部21によって暗号化された本人特徴点情報を含むトランザクションを生成するものとする。暗号処理部21による暗号化の態様は任意のものを用いることが可能であり、たとえば後述する秘密鍵を用いて本人特徴点情報を暗号化することとしてもよい。
【0030】
電子署名生成部8は、トランザクションに含まれる情報の作成・出力がアバタートークンの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する機能を有する。具体的には、電子署名生成部8は、トランザクション生成部7によって生成されたトランザクションのハッシュ値を生成し、プロマイドトークンの保有者が保有する秘密鍵にて当該ハッシュ値を暗号化することにより電子署名を生成する機能を有する。なお、「ハッシュ値」とは元データに対し一定計算手順を施すことにより得られた固定長の値である。当該計算手順が不可逆なものであるため、ハッシュ値から元データを復元することは不可能とされている。また、「秘密鍵」とは暗号化処理に用いられる数列であって、対応関係にある「公開鍵」により復号することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態1においてはトランザクション生成部7及び電子署名生成部8は、保有名義変更情報の一態様であるトランザクション及び電子署名の作成まで自ら行う構成としているがこれに限定する必要はなく、トランザクション生成部7及び電子署名生成部8が外部の所定機器に対しトランザクション及び電子署名の作成を指示するのみの機能を有することとしてもよい。
【0031】
出力部9は、トランザクション生成部7にて生成されたトランザクション及び電子署名生成部8にて生成された電子署名を、アバタートークンと関連付けられた分散型ネットワークに対し出力するよう指示するためのものである。出力部9は出力指示手段(方法の発明における出力指示ステップ)の一態様として機能するものであり、本実施の形態では直接的にトランザクション及び電子署名を出力する構成としているが、他の構成要素(実施の形態1にかかる本人認証システム外に設けられたものを含む。)に対し出力するよう指示するのみの構成としてもよい。なお本実施の形態1において出力部9は分散型ネットワークに対し直接的または間接的に接続されており、分散型ネットワークに対し所定のデータを出力可能な態様にて構成されている。分散型ネットワークは、出力されたトランザクションのハッシュ値を生成するとともに、電子署名を公開鍵にて復号したデータ(=トランザクションのハッシュ値)と対比し、両者が異なる値となる場合は対象となる有体物の所有者によるトランザクションではないと判定して登録を拒否し、両者が一致する場合は所有者によるトランザクションと判定し、トランザクションにより構成される情報を、分散型台帳を構成するブロックに格納する。出力部9が出力するトランザクションには本人特徴点情報に関する情報が含まれており、トランザクションが分散型ネットワークに対し出力されることにより、これらの情報が分散型ネットワーク上に設けられた分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0032】
トランザクション取得部10は、分散型台帳に記録されたトランザクションを取得するためのものであり、出力情報生成手段(あるいは方法の発明における出力生成ステップ)に相当するものである。具体的には、トランザクション取得部10は、使用者に関する本人認証処理を行う対象となるアバターに対応した分散型台帳にアクセスし、本人特徴点情報(または暗号化処理部20によって本人特徴点情報を暗号化した情報)を取得する機能を有する。対応関係にあるトランザクションにアクセスするメカニズムとしては、たとえばトランザクション内に対応関係にあるアバターと共通する識別情報を含ませることとしてもよいし、トランザクションを格納する分散型台帳自体にアバターとの対応関係に関する情報を付加しておくこととしてもよい。
【0033】
本人特徴点情報抽出部11は、トランザクション取得部10によって取得されたトランザクションから、本人認証処理を行う対象となるアバターに対応した本人特徴点情報を抽出するためのものである。本人特徴点情報がそのままの状態でトランザクションに含められている場合は、トランザクションの中から該当部分を選択することで本人特徴点情報を抽出する一方、本実施の形態1では本人特徴点情報が暗号処理部21によって暗号化された上でトランザクションに含められているため、本人特徴点情報抽出部11は、新たに備える復号処理部22によって暗号化された部分に対する復号処理を行った上で本人特徴点情報の抽出を行う機能を有する。
【0034】
対象画像入力部12は、本人認証処理を行う際の認証対象となる人物である対象人物の画像である対象画像を入力するためのものである。対象画像の態様としては静止画、動画のいずれでもよく、単一の画像データの場合だけでなく異なる方向から撮影した複数の画像データによって構成することとしてもよいし、カラー、白黒の別を問わず、2次元画像と3次元画像のいずれであってもよい。もっとも、認証処理の煩雑化を回避する観点からは、対象画像の形式は、本人画像入力部1を介して入力される本人画像と同様の形式とすることが好ましい。また、対象画像入力部12の具体的構成としては、対象人物が所持する携帯型端末にて撮影された対象画像を入力する構成としてもよいが、対象画像の偽造等を防止する観点から、本実施の形態1にかかる本人認証システムにて具備した、不正防止機構を組み込んだ撮影装置(システム内に設ける場合のみならず、システム外に設ける場合も含む)にて撮影した映像のみを入力する構成とすることも好ましい。
【0035】
対象特徴点情報生成部13は、本人特徴点情報生成部2と同様に、対象画像入力部12を介して入力された対象画像から、顔面上の目、鼻、口、耳等の各部位や、顎の骨格の連結点等の特徴的な部位に対応して予め定めた複数の特徴点を抽出し、当該複数の特徴点間の位置関係に関する情報である対象特徴点情報を生成する機能を有する。対象特徴点情報生成部13の具体的構成としては、深層学習、機械学習等によって実現した画像認識技術を利用してもよいし、複数の画像認識技術を組み合わせたものとしてもよい。また、対象特徴点情報生成部13が抽出する特徴点について、いかなる部位を特徴点と設定すべきかについては任意に定めてよいものの、好ましくは本人特徴点情報生成部2にて抽出する特徴点と同一または共通する部位について、特徴点として抽出するものとする。
【0036】
対象画像情報生成部14は、対象画像入力部12にて入力された対象画像に関して、撮影時における対象人物の表情及び健康状態の少なくとも一方に関する情報と前記対象画像の撮影日時に関する情報を含む対象撮影条件情報と、前記対象画像の撮影に用いた撮影機器に関する情報である対象撮影機器情報との少なくとも一方を含み、より好ましくは対象人物の年齢(生年月日)、性別等の対象属性情報も含む対象画像情報を生成するためのものである。対象画像情報の具体的内容としては、対象人物の年齢(あるいは生年月日)、性別等の対象人物に関する対象属性情報の他、対象撮影機器情報として撮影に使用されたレンズの焦点距離、f値、受光部分(フィルム、撮像素子)の感度等の撮影機器に関する情報を、対象撮影条件情報として撮影日時、撮影時における対象人物の健康状態、表情等のうち少なくとも1以上の情報を含むものとするが、好ましくは本人画像情報と同様の項目を含むこととする。対象画像情報生成部14による情報生成処理の具体的態様としては、これらの情報を記述した文字情報を外部から入力する構成としてもよいし、たとえば本人の年齢、性別、撮影時の表情のように対象画像に対する画像分析処理にて推定可能な情報については、画像分析によって取得する構成としてもよい。
【0037】
画像情報比較部15は、本人画像情報生成部3にて生成された本人画像情報と、対象画像情報生成部14にて生成された対象画像情報を比較して、比較結果を特徴点情報修正部16に対し出力するためのものである。具体的には、画像情報比較部15は、本人画像情報と対象画像情報のそれぞれについて共通項目(たとえば撮影日)を比較し、内容に相違がある場合(あるいは、あらかじめ定めた閾値以上に相違がある場合)に相違点を抽出し比較結果として出力する機能を有する。なお、相違点の具体的な抽出態様としては、たとえば数値情報に関して単純に差分値を抽出することとしてもよいが、より好ましくは、本人画像情報及び対象画像情報のそれぞれにおける情報の内容を抽出し、たとえば撮影機器に関する情報としてのレンズの焦点距離について両者の差分値ではなく両者の値を列挙したものを、比較結果として出力する機能を有する。それぞれの項目において相違点がない又は相違点が所定の閾値未満の場合は、「相違なし」との比較結果を出力することとしてもよいし、何ら比較結果として出力しないこととしてもよい。
【0038】
特徴点情報修正部16は、画像情報比較部15による比較結果に基づき、本人画像情報と対象画像情報の相違に応じて本人特徴点情報及び対象特徴点情報の少なくとも一方における特徴点間の位置関係を修正するためのものである。具体的には、特徴点情報修正部16は、画像情報における撮影機器情報、撮影条件情報及び属性情報のうち1以上の情報のそれぞれに関する比較結果に基づき、一方の画像が仮に自己の画像情報の条件でなく他方の画像情報の条件にて撮影を行った場合の特徴点間の位置関係を推測した上で、当該画像に関する特徴点情報を修正する機能を有する。
【0039】
たとえば、特徴点情報修正部16は、本人撮影条件情報に含まれる本人画像の撮影日時と対象撮影条件情報に含まれる対象画像の撮影日時を比較し、たとえば対象画像の撮影日時が本人画像の撮影日時の10年後であった場合に、本人画像について、実際の撮影日時よりも10年後に撮影した場合に加齢等の経年変化により特徴点間の位置関係がどのように変化するかを推測し、当該推測結果に基づき本人特徴点情報の内容を修正する(なおこの場合、属性情報に基づき具体的年齢まで算出した上で経年変化を推測することも好ましい。)。また、特徴点情報修正部16は、たとえば本人撮影条件情報にて本人の表情が笑顔と記録され、対象撮影条件情報にて対象人物の表情が怒り顔と記録されている場合に、対象画像について怒り顔の表情ではなく笑顔の表情で撮影した場合に特徴点間の位置関係がどのように変化するかを推測し、当該推測結果に基づき対象特徴点情報の内容を修正する。同様に、特徴点情報修正部16は、顔面の形状等の外観が変化するほどに健康状態が相違する場合、本人画像について、本人画像撮影時の本人の健康状態ではなく対象画像における被写体の健康状態だった場合に本人画像上の特徴点間の位置関係がどのように変化するかを推測した上で、推測結果に基づき本人特徴点情報における特徴点同士の位置関係を変化させる。
【0040】
また、特徴点情報修正部16は、たとえば本人画像を撮影した撮影機器の特性に関する情報である本人撮影機器情報と、対象画像を撮影した撮影機器の特性に関する対象撮影機器情報の比較結果に基づき、本人特徴点情報に含まれる特徴点の位置関係に関する情報を、本人画像を撮影した撮影機器ではなく対象画像を撮影した撮影機器によって撮影した場合の位置関係となるよう修正する機能を有する。たとえば、本人画像に関する焦点距離が短くいわゆる広角レンズにて撮影が行われた場合、長焦点のレンズの場合と比較して、顔面の撮影画像は膨張した外観となり、これに応じて本人画像・対象画像における特徴点の位置も、長焦点レンズで撮影した場合の位置から変動する。同様に、レンズの焦点距離・f値が異なれば焦点深度が相違するため、これらの相違に応じて本人画像・対象画像における特徴点の位置が変動する。このように同一被写体であっても撮影機器の特性に応じて撮影画像から導出される特徴点の位置は変化する点に鑑みて、特徴点情報修正部16は、各撮影機器の特性の違いに基づき、たとえば本人画像を本人撮影機器情報に記録された条件下で撮影せず対象撮影機器情報に記録された条件下で撮影した場合に本人画像上の特徴点間の位置関係がどのように変化するかを推測した上で、推測結果に基づき本人特徴点情報における特徴点同士の位置関係を変化させる。
【0041】
なお、各情報の相違内容に基づき特徴点間の位置関係がどのように変化するかを推測する具体的なアルゴリズムについては、たとえば機械学習・深層学習あるいは強化学習によって生成してもよいし、具体例、たとえば撮影機器の違いによる撮影画像の変化等の具体例を多数収集して、本人特徴点情報修正の際に、参照する比較結果の内容と最も近い画像の例を収集例の中から抽出してこれに準じた修正内容を決定することとしてもよい。また、画像情報間で相違がない場合、あるいは相違があっても微差に留まる場合は、特徴点情報修正部16は、特段の修正を行うことなく各特徴点情報をそのまま認証処理部17に対し出力することとする。
【0042】
認証処理部17は、必要に応じて特徴点情報修正部16によって修正された本人特徴点情報及び対象特徴点情報を用いて、両特徴点情報を比較することを通じて対象画像における対象人物が本人画像における本人との間の同一性の有無を判定する処理である認証処理を行うためのものである。具体的には、認証処理部17は、特徴点情報修正部16によって修正された本人特徴点情報及び対象特徴点情報(修正がなされなかった場合は当初の本人特徴点情報・対象特徴点情報)のそれぞれに含まれる特徴点の位置関係に関する情報を対比し、それぞれ対応関係にある複数の特徴点間の位置関係の異同を検出することを通じて認証処理を行う。すなわち認証処理部17は、対応関係にある特徴点間の位置関係が同一である場合、あるいは同一ではないものの相違の程度があらかじめ定めた基準値よりも少なく同一性の範囲内にあると認められる場合は、対象画像の被写体である対象人物が本人画像の被写体である本人と同一人物と判定する機能を有する。また、認証処理部17は、対応関係にある特徴点間の位置関係の相違が予め定めた基準値以上であった場合は、同一性を否定する判定を行う機能を有する。なお認証処理部17の処理態様として、本人特徴点情報に含まれる全ての特徴点について対象画像の特徴点との位置関係における異同の判定を行うこととしてもよいが、あらかじめ定めた一部の重要な特徴点に関する位置関係のみ異同判定することとしてもよい。また、一部の特徴点間の位置関係の相違は基準値以上、他の特徴点間の位置関係は同一といった、特徴点ごとに判定結果が相違する場合は、相違量の総和が所定の閾値を上回るか否か、あるいは基準値以上相違する特徴点の対の割合の多寡に応じて、同一性の有無について認証処理を行うこととしてもよい。なお、認証処理部17による判定結果は、判定処理が行われた日時に関する情報とともに、認証表示指示部18に対し出力されるものとする。なお認証処理部17による認証処理の実行時期については任意の時期としてよいが、好ましくはアバターが使用されているサービスにおける他のユーザーとのやりとり(メッセージ交換、アイテムや金銭的価値を有するもの・金銭の交付等)の際に行うこととしてもよい。
【0043】
認証表示指示部18は、本人と対応関係にあるアバターがSNS、ゲーム等のサービスにて表示される際に、認証処理部17による認証結果に応じた内容からなる認証表示を、アバターに付随した状態にて表示するよう指示するためのものである。より好ましい態様として認証表示指示部18は、認証処理部17により対象人物が本人と同一であると認証された場合において、その旨の表示及び認証処理の完了時からの時間経過に応じて表示内容を変化させるよう指示する機能を有する。具体的には、認証表示指示部18は、ゲーム、SNS等のアバターが使用されるサービスにおいて、アバターが表示される際にこれに付随して表示され、「本人認証済みである」旨が他のユーザーから視認できる視覚的表示である認証表示を生成するよう指示する機能を有する。なお「アバターの表示に付随して」とは、アバターが使用されるサービス中にて表示されるアバターの近傍に表示されることを意味するが、アバターと一体的に付着した状態での表示としてもよいし、アバターそのものの一部又は全部を改変する(たとえば頭部に特別な帽子をかぶせる、全体に光沢感を持たせる、等)表示としてもよい。また、認証表示指示部18は、認証表示として単に認証処理がなされた旨の表示を行うよう指示してもよいが、より好ましくは、指示の際に認証処理が完了した日時に関する情報を通知すると共に、認証処理が完了した日時からの時間経過に応じて視覚的に変化する表示を行うよう指示するものとする。かかる変化の態様としては、時間経過に応じて認証表示の色相・彩度・明度が変化する(たとえば時間経過に応じて認証表示の色が薄くなりやがて消滅する、等)、形状が変化する例が考えられるが、他の変化態様としてもよい。
【0044】
認証表示生成部19は、認証表示指示部18の指示に基づき具体的な認証表示を生成するためのものである。認証表示生成部19は、アバターに付随して視覚的に表示される認証表示の具体的内容を定めると共に画像データを生成する。生成された画像データとしての認証表示は、認証映像出力部20を介してアバターが使用されるサービスに向けて出力される。なお、認証表示が単に認証処理がなされた旨の表示である場合、認証表示生成部19は単一の画像データを生成するにとどまる一方、認証表示が認証処理完了時からの時間経過に応じて変化する態様のものである場合は、複数の画像データを用意すると共に当該複数の画像データの表示時期(認証処理完了から1か月経過するまで、認証処理1か月経過後から認証処理完了後半年経過するまで、等)に関する情報もあわせて生成する。
【0045】
認証表示出力部20は、認証表示生成部19にて生成された認証表示に関する情報を、アバターが使用されるゲーム、SNS等の外部のサービスに向けて出力するためのものである。具体的には、認証表示出力部20は、認証表示に関する情報として生成された画像データ(複数の画像データを生成した場合は、当該複数の画像データ及び各画像データの表示時期を記載したデータ)を出力する機能を有する。出力された画像データ等は、外部のサービスにてアバターに付随して表示され、他のユーザーは、当該アバターについて本人認証がなされている、本人認証がなされているが認証処理時から一定期間経過している(=その後使用者が入れ替わっている可能性が一定程度ある)、本人認証処理がなされていない、等の情報を視覚的に把握することが可能となる。なお、変形例として認証表示生成部19を省略した上で、認証表示出力部20が認証表示指示部18にて生成された認証表示に関する表示指示を直接、外部のサービスに向けて出力する構成とし、外部のサービスにて、認証表示生成部19と同様に具体的な認証表示の画像等を生成する構成としてもよい。
【0046】
次に、本実施の形態1にかかる本人認証システムの利点について説明する。まず、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、認証時に用いる参照情報として本人画像から抽出した複数の特徴点間の位置関係に関する情報である本人特徴点情報と、対象画像から抽出された対象特徴点情報を比較することで認証処理を行う構成を採用している。かかる特徴点情報は画像データそのものと比較して極めて少ない情報量で構成されるものである一方、人物の容貌上の特徴を細かく描写したものであるから、本実施の形態1に係る本人認証システムは、少ない情報量で高精度の本人認証処理を実現できるという利点を有する。
【0047】
また、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、認証処理時に本人画像情報と対象画像情報を比較し、相違点に基づき本人特徴点情報及び/又は対象特徴点情報を適宜修正した上で本人認証処理を行う構成を採用する。かかる構成を採用することにより、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、撮影機器の相違や撮影時における表情、年齢等の相違により特徴点間の位置関係に関する情報が認証処理時における適正な内容と異なるものとなっていた場合に適正な値に修正することが可能であり、かかる構成を採用することによって、より高精度の本人認証処理を実現できるという利点を有する。
【0048】
さらに、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、認証処理時に参照情報として用いられる本人特徴点情報を、分散型台帳に格納する態様にて保存する構成を有する。ブロックチェーンを用いることで本人特徴点情報を構成するデータの破壊・改ざんが極めて困難となるため、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、認証処理に用いる資料の偽造を効果的に防止できるという利点を有する。加えて、本実施の形態1では本人特徴点情報を暗号化した上で分散型台帳に格納する構成としていることから、たとえばパブリックブロックチェーンのような不特定多数人がアクセス可能なシステムであっても第三者が事前に本人特徴点情報の内容を把握することはできず、たとえば対象人物にて予め本人特徴点情報と一致するような対象特徴点情報が生成されるよう対象画像に細工を加える等の不正を防止でき、かかる観点からも認証処理に用いる資料の偽造を効果的に防止できるという利点を有する。
【0049】
また、本実施の形態1にかかる本人認証システムは、使用されるアバターの表示に付随して認証処理の結果に応じた認証表示を行うこととしている。かかる構成を採用することで、アバター使用者以外の第三者(たとえば、同一のサービスを利用している他のアバター使用者)において、当該アバターが本人認証済であるか否か(すなわち、当該アバターは本人が使用している確証があるか否か)、本人認証がなされてからどの程度の時間を経過しているか(過去に本人が使用した確証がある一方、時間経過に応じて他者のなりすましリスクが一定程度存するか否か)を判断でき、認証結果を第三者が簡易に把握できるという利点を有する。
【0050】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる本人認証システムについて説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一名称かつ同一符号を付した構成要素に関しては、特に言及しない限り、実施の形態1における構成要素と同一の機能を発揮するものとする。
【0051】
図2は、実施の形態2にかかる本人認証システムは、過去の認証処理において使用された対象画像のうち、認証処理によって本人の画像であると判定された対象画像を記憶する対象画像記憶部24と、対象画像記憶部24に記憶された対象画像及び本人画像における共通点の位置の変動態様を検出する変動態様検出部25とを備え、特徴点情報修正部26は、変動態様検出部25により導出された変動態様に基づき、撮影条件情報に基づき撮影時期の相違による特徴点の位置関係の経年変化を推測する機能を有する。
【0052】
対象画像記憶部24は、認証処理によって本人の画像であると判定された対象画像(より正確には、本人画像の被写体である本人と対象画像の被写体である対象人物が同一人物であると判定された場合における対象画像)を記憶するためのものである。具体的には、対象画像記憶部24は、認証処理部17によって本人の画像であると判定された対象画像について、当該対象画像の撮影時期、撮影機器等に関する情報を含む対象画像情報とともに記憶する機能を有する。
【0053】
変動態様検出部25は、対象画像記憶部24に記憶された、被写体である対象人物が本人と同一であると認定された過去の対象画像を用いて、本人画像から抽出された特徴点の位置関係が時間変化によりどのように変動するかに関する情報である変動態様情報を導出するためのものである。具体的には、変動態様検出部25は、まず、それぞれの対象画像に付随する対象画像情報に基づき、対象画像について、本人画像と同一の撮影機器により撮影され、本人画像の表情と同一の表情が撮影された場合の対象画像上の特徴点同士の位置関係を導出する。次に変動態様検出部25は、同一条件・同一表情における特徴点同士の位置関係が、本人画像の撮影時期及び各対象画像の撮影時期に応じてどのように変動するかを検出し、検出結果を変動態様情報として生成する機能を有する。
【0054】
特徴点情報修正部26は、実施の形態1における特徴点情報修正部16と同様の機能を有すると共に、対象画像入力部12を介して入力された新たな対象画像との関係で、本人画像撮影時と対象画像撮影時の相違に基づき、本人画像に基づく各特徴点の位置につき、加齢等の経年変化による変動を考慮した位置に変化させる際に、変動態様検出部25にて導出された変動態様情報を使用する。当該本人に関する実際の特徴点同士の位置関係の変動態様に関する情報である変動態様情報を活用することで、特徴点情報修正部26は、新たに入力された対象画像の撮影時における本人画像の特徴点の位置関係をより正確に導出することが可能となる。
【0055】
以上、実施の形態1、2にわたり本発明の内容について説明したが、もとより本発明の技術的範囲は実施の形態に記載した具体的構成に限定して解釈されるべきではない。本発明の機能を実現できるものであれば、上記実施の形態に対する様々な変形例、応用例についても、本発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、少ない情報量で高精度の本人認証処理を実現すると共に、認証処理に用いる資料の偽造を効果的に防止し、かつ、認証結果を第三者が簡易に把握することができる技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 本人画像入力部
2 本人特徴点情報生成部
3 本人画像情報生成部
5 アバター生成部
6 アバタートークン生成部
7 トランザクション生成部
8 電子署名生成部
9 出力部
10 トランザクション取得部
11 本人特徴点情報抽出部
12 対象画像入力部
13 対象特徴点情報生成部
14 対象画像情報生成部
15 画像情報比較部
16、26 特徴点情報修正部
17 認証処理部
18 認証表示指示部
19 認証表示生成部
20 認証表示出力部
21 暗号処理部
22 復号処理部
24 対象画像記憶部
25 変動態様検出部
【要約】      (修正有)
【課題】所定のサービスにてアバターを使用する者が本人と同一人物であるか否かを判定する本人認証システムを提供する。
【解決手段】本人認証システムは、本人画像から画像上の複数の特徴点を抽出して本人画像の特徴点間の位置関係に関する本人特徴点情報を生成する本人特徴点情報生成部2と、認証処理時に認証対象となる対象人物の画像である対象画像を入力する対象画像入力部12と、対象画像から画像上の複数の特徴点を抽出して対象画像の特徴点間の位置関係に関する対象特徴点情報を生成する対象特徴点情報生成部13と、対象画像情報生成部14にて生成された対象画像情報と本人画像情報生成部3にて生成された本人画像情報を比較する画像情報比較部15と、本人特徴点情報/対象特徴点情報を用いて本人認証処理を行う認証処理部17と、認証処理部17の認証結果に応じた内容からなる認証表示を表示するよう指示する認証表示指示部18と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2