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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20250523BHJP
【FI】
H05K1/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021109071
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2022145404
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2021045035
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 健治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】代田 雄人
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168272(JP,A)
【文献】特開2010-263178(JP,A)
【文献】特表昭58-501843(JP,A)
【文献】特開2013-058553(JP,A)
【文献】特開2002-171031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 3/46
H01L 25/065 - 25/07
H01L 25/18
B29C 53/00 - 53/84
B29C 57/00 - 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り返し部分を有する配線板本体部と、
前記配線板本体部に一体に接続され、かつ前記折り返し部分によって前記配線板本体部が重なり合った部分を保持するための保持部と、
を備え、
前記配線板本体部は電気配線用の回路を有しており、前記保持部は電気配線用の回路を有しておらず、
前記折り返し部分によって前記配線板本体部が重なり合った部分のうちの少なくとも一部が、前記配線板本体部のうち前記保持部に隣接する隣接部分と、折り返されて粘着剤により接着され、かつ平板状態のままの前記保持部とによって挟み込まれた状態となっていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記配線板本体部のうち前記折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサが配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記折り返し部分は第1折り返し部分と第2折り返し部分とを有しており、
前記配線板本体部のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサが配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
前記折り返し部分は第1折り返し部分と第2折り返し部分とを有しており、
前記配線板本体部のうち第1折り返し部分の両側の部分の間には、第1スペーサが配され、
前記配線板本体部のうち第2折り返し部分の両側の部分の間には、第2スペーサが配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位は、前記配線板本体部における折り曲げ部位よりも曲げ強度の低い低強度構造をなしていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って設けられる少なくとも一つの貫通孔により構成されることを特徴とする請求項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って設けられる少なくとも一つのスリットにより構成されることを特徴とする請求項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項8】
前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って少なくとも一か所に設けられ、前記配線板本体部及び前記保持部よりも厚みの薄い薄肉部分により構成されることを特徴とする請求項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
前記保持部を折り曲げる折り曲げ線を含む直線が、前記保持部の接着部分を挟んで、前記配線板本体部における他の折り曲げ線を含む直線と反対側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載のフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り返し部分を有する状態で用いられるフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)は、フィルムと、フィルム上にエッチングにより形成された配線(銅箔などの導体)などにより構成されるシート状の材料(中間製品)を切断することにより得られる。ここで、FPCを長尺化する目的や、シート状の材料から切断により複数のFPCを取り出した後の残った廃棄物の量を減らす目的など、各種目的のために、FPCの一部を折り返した状態で、FPCが用いられることがある。
【0003】
この場合、折り返しにより重なった部分においては、スプリングバックにより、FPCが元の状態に戻ろうとする力が作用するため、粘着剤により接着することで、折り返し部分の状態を維持させている。
【0004】
しかしながら、輸送時や使用時等において、振動が作用したり、衝撃を受けたり、経時的変化や環境変化による粘着力の低下によって、粘着剤により接着していた部分が剥がれてしまうおそれがある。特に、折り返した部分のうち、角の部分辺りから一部が剥がれてしまい、徐々に剥がれが拡がってしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-257389号公報
【文献】特許第6197925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、折り返し部分の状態を安定的に維持させることのできるフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のフレキシブルプリント配線板は、
折り返し部分を有する配線板本体部と、
前記配線板本体部に一体に接続され、かつ前記折り返し部分によって前記配線板本体部が重なり合った部分を保持するための保持部と、
を備え、
前記配線板本体部は電気配線用の回路を有しており、前記保持部は電気配線用の回路を有しておらず、
前記折り返し部分によって前記配線板本体部が重なり合った部分のうちの少なくとも一部が、前記配線板本体部のうち前記保持部に隣接する隣接部分と、折り返されて粘着剤により接着され、かつ平板状態のままの前記保持部とによって挟み込まれた状態となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、上記のように構成される保持部が設けられていることで、折り返し部分が剥がれてしまうことを抑制することができる。なお、「粘着剤」とは、常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質をいう。
【0011】
配線板本体部においては、一般的に銅箔などの導体により構成される電気配線用の回路が設けられているため、折り曲げ部分においては剛性が高くなり折り曲げにくくなる。これに対して、保持部には回路を設ける必要がないため、設計自由度が高く、配線板本体部と保持部とが接続される接続部分においては、導体を設ける必要がない。従って、この接
続部分においては、剛性を低くして折り曲げ易くすることができる
【0012】
前記配線板本体部のうち前記折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサが配されているとよい。
【0013】
また、前記折り返し部分は第1折り返し部分と第2折り返し部分とを有しており、前記配線板本体部のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサが配されていることも好適である。
【0014】
更に、前記折り返し部分は第1折り返し部分と第2折り返し部分とを有しており、前記配線板本体部のうち第1折り返し部分の両側の部分の間には、第1スペーサが配され、前記配線板本体部のうち第2折り返し部分の両側の部分の間には、第2スペーサが配されていることも好適である。
【0015】
これらのように、スペーサを配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径をスペーサを設けた分だけ大きくすることができる。
【0016】
前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位は、前記配線板本体部における折り曲げ部位よりも曲げ強度の低い低強度構造をなしているとよい。
【0017】
これにより、保持部を折り曲げ易くすることができ、また、折り曲げた際のスプリングバックの力を抑制することができる。
【0018】
前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って設けられる少なくとも一つの貫通孔により構成されるとよい。
【0019】
また、前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って設けられる少なくとも一つのスリットにより構成されることも好適である。
【0020】
更に、前記低強度構造は、前記配線板本体部と前記保持部との間の折り曲げ部位に沿って少なくとも一か所に設けられ、前記配線板本体部及び前記保持部よりも厚みの薄い薄肉部分により構成されることも好適である。
【0021】
また、前記保持部を折り曲げる折り曲げ線を含む直線が、前記保持部の接着部分を挟んで、前記配線板本体部における他の折り曲げ線を含む直線と反対側に位置するように構成されていることも好適である。
【0022】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、折り返し部分の状態を安定的に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の折り返し前の状態を示す平面図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
図3図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の模式的断面図である。
図4図4は本発明の実施例に係る低強度構造の一例を示す図である。
図5図5は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の折り返し前の状態を示す平面図である。
図6図6は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
図7図7は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の模式的断面図である。
図8図8は本発明の実施例4に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
図9図9は本発明の実施例5に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
図10図10は本発明の実施例6に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
図11図11は本発明の実施例6に係るフレキシブルプリント配線板の折り曲げ手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下、折り曲げ線において、図中、折り曲げ線の部位が、図面の手前側に向かうように折り曲げられる線を「山折り線」と称し、図面の奥行側に向かうように折り曲げられる線を「谷折り線」と称する。なお、本実施例に係るフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)は、例えば、自動車に搭載される電池セルの電圧監視用FPCバスバモジュールに好適に利用可能である。また、以下の説明において、「粘着剤」とは、常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質を意味し、具体的な一例として、感圧型接着剤を挙げることができる。
【0026】
(実施例1)
図1図3を参照して、本発明の実施例1に係るFPC100について説明する。図1は本発明の実施例1に係るFPC100の折り返し前の状態を示す平面図である。図2は本発明の実施例1に係るFPC100の折り曲げ手順の説明図であり、手順毎のFPC100の状態をそれぞれ平面図にて示している。図3は本発明の実施例1に係るFPC100の模式的断面図であり、図3(a)は図2(c)中のAA断面図であり、図3(b)は図2(c)中のBB断面図である。
【0027】
<FPCの構成>
FPCの基本的構造については、公知技術であるので、その詳細な説明は省略するが、一般的に、ベースフィルムと、ベースフィルム上に設けられ、銅箔などの導体がエッチングされることで形成される配線と、配線を覆うカバーフィルム等により構成される。本実施例に係るFPC100においては、内部に設けられる配線(回路110a)を点線にて簡略的に示している。
【0028】
本実施例に係るFPC100は、折り返し部分150を有する配線板本体部111と、この配線板本体部111に一体に接続され、かつ折り返し部分150によって配線板本体部111が重なり合った部分を保持するための保持部112とを備えている。そして、配線板本体部111は電気配線用の回路110aを有している。また、保持部112は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部112においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。
【0029】
本実施例に係るFPC100においては、3か所の折り曲げ部位にて折り返される。すなわち、図1中、第1の谷折り線L1と、第2の谷折り線L2と、第3の谷折り線L3にて折り曲げられる。便宜上、配線板本体部111のうち、2か所の折り曲げ線(第1の谷折り線L1及び第2の谷折り線L2)にて分けられる部位を、それぞれ第1本体部111A、第2本体部111B、第3本体部111Cと称する。
【0030】
第2本体部111Bには、フォーム材料からなるスペーサ120が設けられている。このスペーサ120の両面には粘着剤が塗布されている。また、第3本体部111Cには、粘着剤131が設けられている。これにより、折り曲げ工程後に、加圧工程を経ることで、折り返し部分を接着することが可能となる。更に、保持部112にも、同様に、粘着剤132が設けられている。なお、本実施例においては、フォーム材料からなるスペーサ120を用いる場合を示したが、スペーサ120の材料については特に限定されるものではない。
【0031】
<FPCの折り返し手順>
まず、第1の谷折り線L1に沿って、第1本体部111Aと第2本体部111Bとの間が折り曲げられる(図2(a)参照)。次に、第2の谷折り線L2に沿って、第2本体部111Bと第3本体部111Cとの間が折り曲げられる(図2(b)参照)。最後に、第3の谷折り線L3に沿って、第3本体部111Cと保持部112との間が折り曲げられる(図2(c)参照)。その後、常温下で加圧する(加圧工程)ことで、折り返し部分150において、各部が接着される。
【0032】
<本実施例に係るFPCの優れた点>
本実施例に係るFPC100によれば、折り返し部分150によって配線板本体部111が重なり合った部分のうちの第1本体部111Aと第2本体部111Bの一部が、配線板本体部111のうち保持部112に隣接する隣接部分(第3本体部111C)と、折り返されて接着された保持部112とによって挟み込まれた状態となる(図3参照)。
【0033】
これにより、折り返し部分150が剥がれてしまうことを抑制することができる。従って、折り返し部分150の状態を安定的に維持させることが可能となる。ここで、保持部112には回路を設ける必要がなく、配線板本体部111と保持部112とが接続される接続部分においては、銅箔などの導体を設ける必要がない。従って、この接続部分においては、導体を設けない構成を採用すれば、保持部112を折り曲げ易くすることができる。ただし、必ずしも、上記の接続部分において、導体が設けられることが排除される訳ではない。
【0034】
また、本実施例に係るFPC100においては、配線板本体部111のうち折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサ120が配されている。より具体的には、本実施例に係るFPC100においては、第1折り返し部分(第1の谷折り線L1を折り曲げた部分)と第2折り返し部分(第2の谷折り線L2を折り曲げた部分)とを有している。そして、配線板本体部111のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサ120が配されている(図3参照)。このように、
スペーサ120を配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径をスペーサ120を設けた分だけ大きくすることができる。これにより、折り返し部分に作用するスプリングバックの力を緩和させることができる。また、電気配線用の回路110aの断線を抑制することもできる。
【0035】
なお、本実施例においては、折り曲げる部分の位置が分かり易くなるように、各折り曲げ線の両側に半円形状の切り欠きを設けている(図1及び図2参照)。しかしながら、折り曲げる部分の目印としては、その他の構成を採用することもできる。例えば、FPC100においては、カバーフィルムから銅箔などが透けて見えるため、銅箔の形状を工夫することで、目印を設けることもできる。
【0036】
<低強度構造>
配線板本体部111と保持部112との間の折り曲げ部位は、折り曲げ易くし、またスプリングバックの力を低くするために、配線板本体部111における折り曲げ部位よりも曲げ強度の低い低強度構造をなすようにするのが望ましい。以下、図4を参照して、低強度構造の一例を説明する。図4は本発明の実施例に係る低強度構造の一例を示す図である。
【0037】
図4(a)に示す低強度構造は、配線板本体部111(第3本体部111C)と保持部112との間の折り曲げ部位に沿って設けられる複数の貫通孔115により構成される。なお、図示の例では、複数の貫通孔115が設けられているが、図中、点線で示すように一つの貫通孔115aのみとする構成を採用することもできる。
【0038】
図4(b)に示す低強度構造は、配線板本体部111(第3本体部111C)と保持部112との間の折り曲げ部位に沿って設けられる少なくとも一つのスリット(切れ込み)116により構成される。なお、この実施例においては、スリット116の両側にそれぞれ貫通孔116aが設けられることで、スリット116の両端から裂けが拡がってしまうことを抑制している。また、この実施例では、一か所にのみスリット116を設けているが、スリットを複数設ける構成を採用することもできる。
【0039】
図4(c)に示す低強度構造は、配線板本体部111(第3本体部111C)と保持部112との間の折り曲げ部位に沿って少なくとも一か所に設けられ、配線板本体部111及び保持部112よりも厚みの薄い薄肉部分117により構成される。なお、図4(c)においては、左側に平面図を示し、右側に側面図(左側の平面図において矢印方向に見た図)を示している。この実施例においては、一か所にのみ薄肉部分117を設けているが、薄肉部分を複数設ける構成を採用することもできる。
【0040】
なお、図4(a)と図4(c)に示す低強度構造、及び図4(b)と図4(c)に示す低強度構造を組み合わせて採用することもできる。また、上記に示す各種低強度構造に対して、更に、上記のように、接続部分において導体を設けない構成を採用することもできる。以上のように、低強度構造を採用することで、折り返し部分150が剥がれてしまうことを、より一層抑制することができる。この点について、特に、図3(b)を参照して、詳細に説明する。図3(b)中、4か所の太線は粘着剤を示している。第2の谷折り線L2によるスプリングバック力は、第2本体部111Bをスペーサ120から剥がす方向R1に作用する。これにより、第2本体部111Bと保持部112との間の粘着剤に作用する力(図中矢印S方向に作用する力)はせん断応力となり、第2本体部111Bと保持部112とを剥がす方向には作用しない。また、第3の谷折り線L3によるスプリングバック力は、保持部112を第2本体部111Bから剥がす方向R2に作用するものの、上記の通り、低強度構造を採用することで、剥がす方向R2に作用する力を低くすることができる。従って、折り返し部分150が剥がれてしまうことを、より確実に抑制すること
ができる。以上のことから、保持部112を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L3)を含む直線が、保持部112の接着部分(本実施例では保持部112と第2本体部111Bとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第2の谷折り線L2)を含む直線と反対側に位置するようにするとよいことが分かる。
【0041】
(実施例2)
図5には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、上記実施例1の構成において、保持部を設ける位置が異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0042】
本実施例に係るFPC100Xにおいても、折り返し部分を有する配線板本体部111と、この配線板本体部111に一体に接続され、かつ折り返し部分によって配線板本体部111が重なり合った部分を保持するための保持部112とを備えている。そして、配線板本体部111は電気配線用の回路110aを有している。また、保持部112は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部112においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。上記実施例1においては、保持部112が第3本体部111Cに接続されているのに対して、本実施例では、保持部112が第2本体部111Bに接続されている点で異なっている。
【0043】
本実施例においては、まず、第1の谷折り線L4に沿って、第1本体部111Aと第2本体部111Bとの間が折り曲げられる。次に、第2の谷折り線L5に沿って、第2本体部111Bと第3本体部111Cとの間が折り曲げられる。最後に、第3の谷折り線L6に沿って、第2本体部111Bと保持部112との間が折り曲げられる。その後、加圧工程を経ることで、折り返し部分において、各部が接着される。
【0044】
以上のような構成により、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例においても、上記実施例1で示したように、配線板本体部111と保持部112とが接続される接続部分において、各種低強度構造を採用することができる。また、本実施例においても、保持部112を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L6)を含む直線が、保持部112の接着部分(本実施例では保持部112と第3本体部111Cとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第2の谷折り線L5)を含む直線と反対側に位置するように構成されている。
【0045】
(実施例3)
図6には、本発明の実施例3が示されている。図6は本発明の実施例3に係るFPC200の折り曲げ手順の説明図であり、手順毎のFPC200の状態をそれぞれ平面図にて示している。図7は本発明の実施例3に係るFPC200の模式的断面図であり、図6(d)中のCC断面図である。
【0046】
<FPCの構成>
FPCの基本的構造については、上記実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC200は、折り返し部分250を有する配線板本体部211と、この配線板本体部211に一体に接続され、かつ折り返し部分250によって配線板本体部211が重なり合った部分を保持するための保持部212とを備えている。そして、配線板本体部211は電気配線用の回路210aを有している。また、保持部212は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部212においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。本実施例においては、2か所に保持部212が設けられている。
【0047】
本実施例に係るFPC200においては、4か所の折り曲げ部位にて折り返される。す
なわち、図6(a)中、第1の谷折り線L7と、第2の山折り線L8と、2か所の第3の谷折り線L9にて折り曲げられる。便宜上、配線板本体部211のうち、2か所の折り曲げ線(第1の谷折り線L7及び第2の山折り線L8)にて分けられる部位を、それぞれ第1本体部211A、第2本体部211B、第3本体部211Cと称する。
【0048】
本体部211には、フォーム材料からなる第1スペーサ221が設けられ、本体部211には、フォーム材料からなる第2スペーサ222が設けられている図6(a)においては、裏側の面に設けられている)。これらのスペーサの両面には粘着剤が塗布されている。また、2か所の保持部212には、それぞれ粘着剤231が設けられている。これにより、折り曲げ工程後に、加圧工程を経ることで、折り返し部分を接着することが可能となる。なお、本実施例においては、フォーム材料からなる第1スペーサ221及び第2スペーサ222を用いる場合を示したが、スペーサの材料については特に限定されるものではない。
【0049】
<FPCの折り返し手順>
まず、第1の谷折り線L7に沿って、第2本体部211Bと第3本体部211Cとの間が折り曲げられる(図6(b)参照)。次に、第2の山折り線L8(図6(b)では谷折り線となる)に沿って、第1本体部211Aと第2本体部211Bとの間が折り曲げられる(図6(c)参照)。最後に、第3の谷折り線L9に沿って、第3本体部211Cと2か所の保持部212との間がそれぞれ折り曲げられる(図6(d)参照)。その後、加圧工程を経ることで、折り返し部分250において、各部が接着される。
【0050】
<本実施例に係るFPCの優れた点>
本実施例に係るFPC200によれば、折り返し部分250によって配線板本体部211が重なり合った部分のうちの第本体部211の一部が、配線板本体部11のうち保持部212に隣接する隣接部分(第3本体部211C)と、折り返されて接着された保持部212とによって挟み込まれた状態となる。
【0051】
また、本実施例に係るFPC200においては、配線板本体部211のうち折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサが配されている。より具体的には、本実施例に係るFPC200においては、第1折り返し部分(第1の谷折り線L7を折り曲げた部分)と第2折り返し部分(第2の谷折り線L8を折り曲げた部分)とを有している。そして、配線板本体部211のうち第1折り返し部分の両側の部分の間には、第1スペーサ221が配され、第2折り返し部分の両側の部分の間には、第2スペーサ222が配されている。このように、スペーサを配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径をスペーサを設けた分だけ大きくすることができる。これにより、折り返し部分に作用するスプリングバックの力を緩和させることができる。また、電気配線用の回路210aの断線を抑制することもできる。
【0052】
以上のような構成により、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例においても、上記実施例1で示したように、配線板本体部211と保持部212とが接続される接続部分において、各種低強度構造を採用することができる。なお、本実施例では、保持部212を2か所に設ける場合の構成を示したが、保持部212は1か所にのみ設ける構成を採用することもできる。また、本実施例においても、図6(a)中の下側の保持部212を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L9)を含む直線が、保持部212の接着部分(本実施例では保持部212と第1本体部211Aとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第1の谷折り線L7)を含む直線と反対側に位置するように構成されている。
【0053】
(実施例4)
図8には、本発明の実施例4が示されている。図8は本発明の実施例4に係るFPC300の折り曲げ手順の説明図であり、手順毎のFPC300の状態をそれぞれ平面図にて示している。なお、本実施例では、上記各実施例に比べて、より一層、FPCを簡略的に示しており、配線や、折り曲げる目印となる半円形状の切り欠きなどについては省略して示している。
【0054】
<FPCの構成>
FPCの基本的構造については、上記実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC300は、折り返し部分350を有する配線板本体部311と、この配線板本体部311に一体に接続され、かつ折り返し部分350によって配線板本体部311が重なり合った部分を保持するための保持部312とを備えている。そして、配線板本体部311は電気配線用の回路(不図示)を有している。また、保持部312は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部312においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。本実施例においては、2か所に保持部312が設けられている。
【0055】
本実施例に係るFPC300においては、4か所の折り曲げ部位にて折り返される。すなわち、図8(a)中、第1の谷折り線L10と、第2の谷折り線L11と、2か所の第3の谷折り線L12にて折り曲げられる。便宜上、配線板本体部311のうち、2か所の折り曲げ線(第1の谷折り線L10及び第2の谷折り線L11)にて分けられる部位を、それぞれ第1本体部311A、第2本体部311B、第3本体部311Cと称する。
【0056】
第2本体部311Bには、フォーム材料からなるスペーサ320が設けられている。このスペーサ320の両面には粘着剤が塗布されている。また、第3本体部311Cには、粘着剤331が設けられている。これにより、折り曲げ工程後に、加圧工程を経ることで、折り返し部分を接着することが可能となる。更に、2か所の保持部312にも、同様に、それぞれ粘着剤332が設けられている。なお、本実施例においては、フォーム材料からなるスペーサ320を用いる場合を示したが、スペーサ320の材料については特に限定されるものではない。
【0057】
<FPCの折り返し手順>
まず、第1の谷折り線L10に沿って、第1本体部311Aと第2本体部311Bとの間が折り曲げられる(図8(b)参照)。次に、第2の谷折り線L11に沿って、第2本体部311Bと第3本体部311Cとの間が折り曲げられる(図8(c)参照)。最後に、第3の谷折り線L12(図8(c)では山折り線となる)に沿って、第2本体部311Bと2か所の保持部312との間がそれぞれ折り曲げられる(図8(d)参照)。その後、加圧工程を経ることで、折り返し部分350において、各部が接着される。
【0058】
<本実施例に係るFPCの優れた点>
本実施例に係るFPC300によれば、折り返し部分350によって配線板本体部311が重なり合った部分のうちの第1本体部311Aと第3本体部311Cの一部が、配線板本体部311のうち保持部312に隣接する隣接部分(第2本体部311B)と、折り返されて接着された保持部312とによって挟み込まれた状態となる。
【0059】
また、本実施例に係るFPC300においては、配線板本体部311のうち折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサ320が配されている。より具体的には、本実施例に係るFPC300においては、第1折り返し部分(第1の谷折り線L10を折り曲げた部分)と第2折り返し部分(第2の谷折り線L11を折り曲げた部分)とを有している。そして、配線板本体部311のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサ320が配されている。このように、スペーサ320を配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径を
スペーサ320を設けた分だけ大きくすることができる。また、電気配線用の回路の断線を抑制することもできる。
【0060】
以上のような構成により、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例においても、上記実施例1で示したように、配線板本体部311と保持部312とが接続される接続部分において、各種低強度構造を採用することができる。また、本実施例では、保持部312を2か所に設ける場合の構成を示したが、保持部312は1か所にのみ設ける構成を採用することもできる。また、本実施例においても、図8(a)中の上側の保持部312を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L12)を含む直線が、保持部312の接着部分(本実施例では保持部312と第3本体部311Cとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第2の谷折り線L11)を含む直線と反対側に位置するように構成されている。
【0061】
(実施例5)
図9には、本発明の実施例5が示されている。図9は本発明の実施例5に係るFPC400の折り曲げ手順の説明図であり、手順毎のFPC400の状態をそれぞれ平面図にて示している。なお、本実施例では、上記実施例1~3に比べて、より一層、FPCを簡略的に示しており、配線や、折り曲げる目印となる半円形状の切り欠きなどについては省略して示している。
【0062】
<FPCの構成>
FPCの基本的構造については、上記実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC400は、折り返し部分450を有する配線板本体部411と、この配線板本体部411に一体に接続され、かつ折り返し部分450によって配線板本体部411が重なり合った部分を保持するための保持部412とを備えている。そして、配線板本体部411は電気配線用の回路(不図示)を有している。また、保持部412は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部412においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。
【0063】
本実施例に係るFPC400においては、3か所の折り曲げ部位にて折り返される。すなわち、図9(a)中、第1の谷折り線L13と、第2の谷折り線L14と、第3の谷折り線L15にて折り曲げられる。便宜上、配線板本体部411のうち、2か所の折り曲げ線(第1の谷折り線L13及び第2の谷折り線L14)にて分けられる部位を、それぞれ第1本体部411A、第2本体部411B、第3本体部411Cと称する。
【0064】
上記各実施例においては、第1本体部と第2本体部が連続して直線状に設けられ、第3本体部が、これら第1本体部と第2本体部に対して平行かつ直線状に設けられる構成を示した。これに対し、本実施例においては、第1本体部411Aと第2本体部411Bが連続して直線状に設けられ、第3本体部411Cが、これら第1本体部411A及び第2本体部411Bに対して垂直かつ直線状に設けられる構成となっている。
【0065】
そして、第2本体部411Bには、フォーム材料からなるスペーサ420が設けられている。このスペーサ420の両面には粘着剤が塗布されている。また、第3本体部411Cには、粘着剤431が設けられている。これにより、折り曲げ工程後に、加圧工程を経ることで、折り返し部分を接着することが可能となる。更に、保持部412にも、同様に粘着剤432が設けられている。なお、本実施例においては、フォーム材料からなるスペーサ420を用いる場合を示したが、スペーサ420の材料については特に限定されるものではない。
【0066】
<FPCの折り返し手順>
まず、第1の谷折り線L13に沿って、第1本体部411Aと第2本体部411Bとの間が折り曲げられる(図9(b)参照)。なお、上記各実施例では、いずれも折り曲げ線は、各本体部が伸びる方向に垂直であったのに対して、この第1の谷折り線L13(折り曲げ線)は、第1本体部411Aと第2本体部411Bが伸びる方向に対して、45°傾いている。次に、第2の谷折り線L14に沿って、第2本体部411Bと第3本体部411Cとの間が折り曲げられる(図9(c)参照)。最後に、第3の谷折り線L15に沿って、第3本体部411Cと保持部412との間が折り曲げられる(図9(d)参照)。その後、加圧工程を経ることで、折り返し部分450において、各部が接着される。
【0067】
<本実施例に係るFPCの優れた点>
本実施例に係るFPC400によれば、折り返し部分450によって配線板本体部411が重なり合った部分のうちの第1本体部411Aと第2本体部411Bの一部が、配線板本体部411のうち保持部412に隣接する隣接部分(第3本体部411C)と、折り返されて接着された保持部412とによって挟み込まれた状態となる。
【0068】
また、本実施例に係るFPC400においては、配線板本体部411のうち折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサ420が配されている。より具体的には、本実施例に係るFPC400においては、第1折り返し部分(第1の谷折り線L13を折り曲げた部分)と第2折り返し部分(第2の谷折り線L14を折り曲げた部分)とを有している。そして、配線板本体部411のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサ420が配されている。このように、スペーサ420を配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径をスペーサ420を設けた分だけ大きくすることができる。また、電気配線用の回路の断線を抑制することもできる。
【0069】
以上のような構成により、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例においても、上記実施例1で示したように、配線板本体部411と保持部412とが接続される接続部分において、各種低強度構造を採用することができる。また、本実施例においても、図9(a)中の保持部412を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L15)を含む直線が、保持部412の接着部分(本実施例では保持部412と第2本体部411B及び第3本体部411Cとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第2の谷折り線L14)を含む直線と反対側に位置するように構成されている。
【0070】
(実施例6)
図10,11には、本発明の実施例6が示されている。図10,11は本発明の実施例6に係るFPC500の折り曲げ手順の説明図であり、手順毎のFPC500の状態をそれぞれ平面図にて示している。なお、本実施例では、上記実施例1~3に比べて、より一層、FPCを簡略的に示しており、配線や、折り曲げる目印となる半円形状の切り欠きなどについては省略して示している。
【0071】
<FPCの構成>
FPCの基本的構造については、上記実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC500は、折り返し部分550を有する配線板本体部511と、この配線板本体部511に一体に接続され、かつ折り返し部分550によって配線板本体部511が重なり合った部分を保持するための保持部512とを備えている。そして、配線板本体部511は電気配線用の回路(不図示)を有している。また、保持部512は電気配線用の回路を有していない。ただし、保持部512においては、必ずしも回路を有しないように構成する必要はない。本実施例においては、4か所に保持部512が設けられている。
【0072】
本実施例に係るFPC500においては、12か所の折り曲げ部位にて折り返される。すなわち、図10(a)中、4か所の第1の谷折り線L16と、4か所の第2の谷折り線L17と、4か所の第3の谷折り線L18にて折り曲げられる。便宜上、配線板本体部511のうち、4か所の第1の谷折り線L1と4か所の第2の谷折り線L1にて分けられる部位を、それぞれ第1本体部511A(1か所)、第2本体部511B(4か所)、第3本体部511C(4か所)と称する。
【0073】
4か所の第2本体部511Bには、それぞれフォーム材料からなるスペーサ520が設けられている。このスペーサ520の両面には粘着剤が塗布されている。また、第1本体部511Aにおいて、4か所の第2本体部511Bと隣接する付近には、それぞれ粘着剤531が設けられている。更に、4か所の保持部512にも、それぞれ粘着材532が設けられている。なお、本実施例においては、フォーム材料からなるスペーサ520を用いる場合を示したが、スペーサ520の材料については特に限定されるものではない。
【0074】
<FPCの折り返し手順>
まず、4か所の第1の谷折り線L16に沿って、それぞれ第3本体部511Cと第2本体部511Bとの間が折り曲げられる(図10(b)参照)。次に、4か所の第2の谷折り線L17に沿って、それぞれ第2本体部511Bと第1本体部11Aとの間が折り曲げられる(図11(a)参照)。最後に、4か所の第3の谷折り線L18(図11(a)では山折り線となる)に沿って、それぞれ第2本体部511Bと保持部512との間がそれぞれ折り曲げられる(図11(b)参照)。その後、加圧工程を経ることで、4か所の折り返し部分50において、各部が接着される。
【0075】
<本実施例に係るFPCの優れた点>
本実施例に係るFPC500によれば、折り返し部分550によって配線板本体部511が重なり合った部分のうちの第1本体部511Aと第3本体部511Cの一部が、配線板本体部511のうち保持部512に隣接する隣接部分(第2本体部511B)と、折り返されて接着された保持部512とによって挟み込まれた状態となる。
【0076】
また、本実施例に係るFPC500においては、配線板本体部511のうち折り返し部分の両側の部分の間には、スペーサ520が配されている。より具体的には、本実施例に係るFPC500においては、第1折り返し部分(第1の谷折り線L16を折り曲げた部分)と第2折り返し部分(第2の谷折り線L17を折り曲げた部分)とを有している。そして、配線板本体部511のうち第1折り返し部分の両側の部分の間と第2折り返し部分の両側の部分との間には、単一のスペーサ520が配されている。このように、スペーサ520を配する構成を採用することで、折り返し部分における折り曲げ部分の曲率半径をスペーサ520を設けた分だけ大きくすることができる。また、電気配線用の回路の断線を抑制することもできる。
【0077】
以上のような構成により、本実施例においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施例においても、上記実施例1で示したように、配線板本体部511と保持部512とが接続される接続部分において、各種低強度構造を採用することができる。また、本実施例においても、保持部512を折り曲げる折り曲げ線(本実施例では、第3の谷折り線L18)を含む直線が、保持部512の接着部分(本実施例では保持部512と第1本体部511Aとの接着部分)を挟んで、他の折り曲げ線(本実施例では第2の谷折り線L17)を含む直線と反対側に位置するように構成されている。
【符号の説明】
【0078】
100,100X,200,300,400,500 FPC
110a,210a 回路
111,211,311,411,511 配線板本体部
111A,211A,311A,411A,511A 第1本体部
111B,211B,311B,411B,511B 第2本体部
111C,211C,311C,411C,511C 第3本体部
112,212,312,412,512 保持部
115 貫通孔
116 スリット
116a 貫通孔
117 薄肉部分
120,320,420,520 スペーサ
221 第1スペーサ
222 第2スペーサ
131,132,231,331,332,431,432,531,532 粘着剤
150,250,350,450,550 折り返し部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11