(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】推奨情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20250523BHJP
G06N 3/044 20230101ALI20250523BHJP
G06N 3/045 20230101ALI20250523BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G06N3/044
G06N3/045
(21)【出願番号】P 2022531652
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2021021195
(87)【国際公開番号】W WO2021256278
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020104492
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】若元 亮樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-052965(JP,A)
【文献】特表2018-504719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
G06N 3/044
G06N 3/045
G06F 3/01、 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
推奨情報を提供する推奨情報提供装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
ユーザが過去に順番に歌唱した複数の楽曲それぞれを特定する楽曲特定情報を、歌唱した順番を判別可能な情報として取得し、
前記複数の楽曲に関する前記楽曲特定情報
に対して複数の楽曲のそれぞれに対応した楽曲属性情報及び歌手属性情報を組み合わせた連結ベクトルを訓練データとして用いて、任意の楽曲に関する前記楽曲特定情報
に対して前記任意の楽曲に対応した楽曲属性情報及び歌手属性情報を組み合わせた連結ベクトルから、前記ユーザが前記任意の楽曲の次に歌唱する1曲先の楽曲と、前記ユーザが前記1曲先の楽曲の次に歌唱する2曲先の楽曲とを、少なくとも予測する学習モデルを構築し、
前記ユーザの歌唱対象の楽曲に関する前記
連結ベクトルを前記学習モデルに入力し、前記学習モデルによって予測された前記1曲先の楽曲を基に、前記ユーザに歌唱を推奨する楽曲に関する推奨情報を出力し、
前記学習モデルは、前記
連結ベクトルが入力され、前記1曲先の楽曲を予測するための出力値を出力する第1の全結合層と、前記2曲先の楽曲を予測するための出力値を出力する第2の全結合層とを含むマルチタスク学習の深層学習モデルであり、
前記第1の全結合層の出力は前記第2の全結合層の入力と接続されて
おり、
前記学習モデルは、構築時に、誤差逆伝搬法が用いられ、前記第2の全結合層のパラメータを調整した結果前記第2の全結合層の予測誤差が収束しない場合に、前記第1の全結合層のパラメータが調整される、
推奨情報提供装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記訓練データに含まれる前記
連結ベクトルを入力して予測される前記1曲先の楽曲及び前記2曲先の楽曲のそれぞれが、前記訓練データによって特定される、当該
連結ベクトルの示す楽曲の次の1曲目の楽曲、及び、当該1曲目の楽曲の次の2曲目の楽曲となるように、前記学習モデルを構築する、
請求項1記載の推奨情報提供装置。
【請求項3】
前記学習モデルは、入力と前記第1の全結合層及び第2の全結合層との間に、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)層を含む、
請求項1又は2記載の推奨情報提供装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
任意の楽曲に関する前記
連結ベクトルから、前記ユーザが前記2曲先の楽曲の次に歌唱する3曲先の楽曲をさらに予測する前記学習モデルを構築し、
前記学習モデルは、前記3曲先の楽曲を予測するための出力値を出力する第3の全結合層をさらに含み、
前記第2の全結合層の出力は前記第3の全結合層の入力と接続されて
おり、
前記学習モデルは、構築時に、誤差逆伝搬法が用いられ、前記第2及び第3の全結合層のパラメータを調整した結果前記第3の全結合層の予測誤差が収束しない場合に、前記第1の全結合層のパラメータが調整される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の推奨情報提供装置。
【請求項5】
前記学習モデルは、前記楽曲特定情報によって特定される楽曲の属性情報をさらに入力するマルチタスク学習の深層学習モデルである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の推奨情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、推奨情報を提供する推奨情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラオケ装置において、利用者に対して複数の楽曲の中から利用者の好みに合った楽曲を推奨する情報を提示する技術が知られている(下記特許文献1参照。)。この装置は、利用者の歌唱履歴に基づいて、利用者が好む楽曲の区分を特定し、好みの歌手が歌唱する全ての楽曲の中から特定された区分に属する楽曲を抽出し、抽出した楽曲を推奨楽曲として提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の装置によっては、利用者が好む区分を基に推奨楽曲が提示されており、利用者の歌唱する楽曲の順番の傾向は考慮されていない。そのため、歌唱する楽曲の順番の傾向を掴んだ上でその傾向にマッチした楽曲を予測することにより、利用者に有益な推奨情報を提供することが望まれている。
【0005】
そこで、上述の課題を解決するために、歌唱する楽曲の順番の傾向を掴むことで利用者に有益な推奨情報を提供することが可能な推奨情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の推奨情報提供装置は、推奨情報を提供する推奨情報提供装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサが、ユーザが過去に順番に歌唱した複数の楽曲それぞれを特定する楽曲特定情報を、歌唱した順番を判別可能な情報として取得し、複数の楽曲に関する楽曲特定情報を訓練データとして用いて、任意の楽曲に関する楽曲特定情報から、ユーザが任意の楽曲の次に歌唱する1曲先の楽曲と、ユーザが1曲先の楽曲の次に歌唱する2曲先の楽曲とを、少なくとも予測する学習モデルを構築し、ユーザの歌唱対象の楽曲に関する楽曲特定情報を学習モデルに入力し、学習モデルによって予測された1曲先の楽曲を基に、ユーザに歌唱を推奨する楽曲に関する推奨情報を出力し、学習モデルは、楽曲特定情報が入力され、1曲先の楽曲を予測するための出力値を出力する第1の全結合層と、2曲先の楽曲を予測するための出力値を出力する第2の全結合層とを含むマルチタスク学習の深層学習モデルであり、第1の全結合層の出力は第2の全結合層の入力と接続されている。
【0007】
本実施形態によれば、ユーザが過去に歌唱した複数の楽曲に関する楽曲特定情報が、歌唱した順番を判別可能な情報として取得され、その情報を訓練データとして用いて、ユーザが任意の楽曲の次に歌唱する1曲先の楽曲と、ユーザがその次に歌唱する2曲先の楽曲とを予測する学習モデルが構築される。そして、構築された学習モデルを用いて、ユーザが対象の楽曲の次に歌唱する1曲目の楽曲が予測され、予測された1曲目の楽曲を基に推奨情報が出力される。これにより、ユーザが連続して歌唱する楽曲の傾向を掴んだうえで任意の楽曲の次に歌唱する楽曲を予測し、その予測結果を基に推奨情報を出力するので、ユーザにとって有益な推奨情報を提供することができる。特に、学習モデルとして、互いに入出力が連結された2つの全結合層を含むマルチタスク学習の深層学習モデルを用いているので、学習モデルの構築時のパラメータ調整により、対象の楽曲の次に歌唱する1曲目の楽曲の予測の精度を効率的に向上することができ、ユーザにとって一層有益な情報を提供できる。なお、ここでいう「ユーザ」とは、一人のユーザには限定されず、同時期に歌唱する複数のユーザを含むグループをも意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、歌唱する楽曲の順番の傾向を掴むことで利用者に有益な推奨情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態にかかるカラオケシステム1の構成を示すシステム構成図である。
【
図2】データ管理装置4に格納された履歴情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図3】データ管理装置4に格納された楽曲情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】データ管理装置4に格納された楽曲情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】データ管理装置4に格納された歌手情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】推奨情報提供装置5によって変換される楽曲メタデータのベクトルの一例を示す図である。
【
図7】推奨情報提供装置5によって変換される歌手メタデータのベクトルの一例を示す図である。
【
図8】推奨情報提供装置5が使用する学習モデルの構成を示す図である。
【
図9】推奨情報提供装置5が生成する推奨情報のデータ構成を示す図である。
【
図10】推奨情報提供装置5による学習モデルの構築処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】推奨情報提供装置5による推奨情報の生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の一実施の形態に係るデータ管理装置4及び推奨情報提供装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態にかかるカラオケシステム1の構成を示すシステム構成図である。カラオケシステム1は、ユーザによって指定された楽曲を再生する機能と、その再生に応じたユーザによる歌唱音声を集音して、集音した音声を楽曲の再生音声と同時にスピーカー等に出力する機能とを有する装置である。このカラオケシステム1は、さらに、ユーザに対して、直前に指定された楽曲の次に歌唱を推奨する楽曲に関する推奨情報を提供する機能も有する。
【0012】
図1に示すように、カラオケシステム1は、カラオケ装置2、フロントサーバ3、データ管理装置4、及び推奨情報提供装置5を備えている。フロントサーバ3、データ管理装置4、及び推奨情報提供装置5は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及び移動体通信ネットワーク等の通信ネットワークを介して互いにデータを送受信可能なように構成されている。
【0013】
カラオケ装置2は、楽曲の再生機能と、ユーザの歌唱音声の集音機能と、スピーカー等への出力機能とを提供する。フロントサーバ3は、カラオケ装置2に電気的に接続され、カラオケ装置2に対してユーザによって指定された楽曲の再生のための再生データを提供する再生機能、ユーザの操作に応じた楽曲の検索機能、ユーザの操作に応じた再生対象の楽曲の指定機能、楽曲の再生に応じてカラオケ装置2を用いてユーザによって歌唱された楽曲の情報を受信して、歌唱した楽曲の履歴情報を記録する機能、等を有する。このフロントサーバ3は、ユーザの操作を受け付け、ユーザに対して情報を表示させるためのユーザ・インターフェースを提供し、フロントサーバ3に対して有線あるいは無線によって接続されたユーザ端末装置(図示せず)を含んでいる。
【0014】
データ管理装置4は、フロントサーバ3及び推奨情報提供装置5によって処理されるデータを格納するデータ格納装置(データベース装置)である。このデータ管理装置4は、ユーザのカラオケ装置2を用いた過去の楽曲の歌唱に関する履歴を記録した履歴情報を格納する履歴情報格納部101と、カラオケ装置2で再生可能な楽曲に関する楽曲情報、及びその楽曲の提供する歌手に関する歌手情報を格納する楽曲情報格納部102とを含む。データ管理装置4に格納される各種情報は、フロントサーバ3の処理、あるいは、外部から取得されたデータによって随時更新される。
【0015】
図2には、データ管理装置4に格納された履歴情報のデータ構成の一例を示し、
図3、
図4、及び
図5には、データ管理装置4に格納された楽曲情報及び歌手情報のデータ構成の一例を示している。
【0016】
図2に示すように、履歴情報の1つのデータレコードには、複数のユーザがカラオケ装置2を用いて一緒にグループで楽曲を歌唱したセッションを識別する「セッションフラグ」と、そのグループのユーザが使用するユーザ端末装置を識別する「端末ID」と、そのグループのユーザがカラオケ装置2を用いて歌唱した日時を示す「歌唱時間」と、歌唱した楽曲を一意に特定する「楽曲ID」(楽曲特定情報)とが、関連付けられている。このような構成の履歴情報においては、グループのユーザがカラオケ装置2を用いて楽曲を指定して歌唱する度にデータレコードが蓄積して記録され、グループのユーザが過去に1つのセッションの中で順番に歌唱した複数の楽曲の情報が、歌唱した順番を判別可能に記録されることとなる。セッションを識別する「セッションフラグ」は、フロントサーバ3によって同一のユーザ端末装置を用いて同時期に楽曲が再生されたことが判定されることによって生成される。
【0017】
図3には、楽曲情報のうちの楽曲管理情報のデータ構成の一例を示している。このように、楽曲管理情報の1つのデータレコードには、カラオケシステム1を利用して再生可能な楽曲を特定する「楽曲ID」(楽曲特定情報)と、その楽曲を提供する歌手を特定する「歌手ID」と、歌手の名前を示す「歌手名」と、楽曲の名称を示す「楽曲名」とが、関連付けられて格納されている。データ管理装置4には、フロントサーバ3によって再生可能な各楽曲に対応したデータレコードが楽曲管理情報に含めて格納されている。
【0018】
図4には、楽曲情報のうちの楽曲の属性を記録した楽曲メタデータのデータ構成の一例を示している。このように、楽曲メタデータの1つのデータレコードには、カラオケシステム1を利用して再生可能な楽曲を一意に特定する「楽曲ID」(楽曲特定情報)と、その楽曲の作詞者を示す「作詞者」と、その楽曲の作曲者を示す「作曲者」と、その楽曲がアニメに関連するものかを示す「アニメ」のフラグと、その楽曲がドラマに関連するものかを示す「ドラマ」のフラグと、その楽曲が洋楽であるかを示す「洋楽」のフラグとが、関連付けて格納されている。データ管理装置4には、フロントサーバ3によって再生可能な各楽曲に対応したデータレコードが楽曲メタデータに含めて格納されている。
【0019】
図5には、楽曲情報のうちの歌手の属性を記録した歌手メタデータのデータ構成の一例を示している。このように、歌手メタデータの1つのデータレコードには、カラオケシステム1を利用して再生可能な楽曲の歌手を一意に特定する「歌手ID」と、その歌手の年代を示す「年代」と、その歌手の性別を示す「性別」のフラグと、その歌手がグループであるかを示す「グループ」のフラグと、その歌手がリリースした楽曲数を示す「リリース数」とが、関連付けられて格納されている。データ管理装置4には、フロントサーバ3によって再生可能な楽曲の各歌手に対応したデータレコードが歌手メタデータに含めて格納されている。
【0020】
推奨情報提供装置5は、ユーザのグループに対して歌唱を推薦する楽曲に関する推奨情報を提供する装置であり、機能的な構成要素として、データ取得部201、モデル構築部202、予測部203、及び推奨情報生成部204を含んでいる。以下、各構成要素の機能について説明する。
【0021】
データ取得部201は、推薦する楽曲を予測するための学習モデルの構築処理に先立って、データ管理装置4から、履歴情報及び楽曲情報を取得する。また、データ取得部201は、推奨情報の生成処理に先立って、履歴情報及び楽曲情報を取得することも行う。データ取得部201は、取得した各情報を、モデル構築部202あるいは予測部203に引き渡す。
【0022】
すなわち、データ取得部201は、学習モデルの構築処理時には、データ管理装置4の履歴情報格納部101及び楽曲情報格納部102から読み出した情報を組み合わせて、ユーザのグループが過去に順番に歌唱した複数の楽曲に関する情報を生成する。詳細には、データ取得部201は、同一の「セッションフラグ」を有する履歴情報のデータレコードを、「歌唱時間」の示す歌唱の順番に読み出す。そして、読み出したデータレコード中の「楽曲ID」に対応する楽曲メタデータのデータレコードと、その「楽曲ID」が示す楽曲の歌手に対応する「歌手ID」を含む歌手メタデータのデータレコードとを、順番に読み出す。データ取得部201は、読み出した、楽曲メタデータのデータレコードと、歌手メタデータのデータレコードとを、モデル構築部202に順番に引き渡す。
【0023】
また、データ取得部201は、推奨情報の生成処理時には、直前にユーザのグループが歌唱した予測対象の楽曲に関する「楽曲ID」を履歴情報から読み出し、その楽曲に関する楽曲メタデータのデータレコードと、その楽曲の歌手に関する歌手メタデータのデータレコードとを取得する。データ取得部201は、取得したデータレコードを予測部203に引き渡す。
【0024】
図1に戻って、モデル構築部202は、データ取得部201によって読み出された2つのデータレコードを順番に取得し、同一の「セッションフラグ」に対応する楽曲に関するデータレコードを訓練データとして用いて、任意の楽曲に関する「楽曲ID」を基に、ユーザのグループが任意の楽曲の次に歌唱する楽曲と、ユーザのグループが任意の楽曲の後の2番目、…、N番目(Nは2以上の整数)に歌唱する楽曲を予測する機械学習の学習モデルを構築する。本実施形態では、N=3であるが、Nは2以上であれば任意の整数を選択できる。
【0025】
また、モデル構築部202は、学習モデルの構築に先立って、データ取得部201から引き渡されたデータレコードを加工して訓練データを生成する前処理を実行する。詳細には、モデル構築部202は、データレコードの各項目の情報をベクトル表現して多次元のベクトルに変換し、各項目の情報のベクトルを横に連結して訓練データ(連結ベクトル)を生成する。
図6には、モデル構築部202によって変換される楽曲メタデータのベクトルの一例を示し、
図7には、モデル構築部202によって変換される歌手メタデータのベクトルの一例を示している。
図6に示すように、例えば、楽曲メタデータのデータレコード中の「楽曲ID:AAA」が5次元のベクトル(+0.5,…,+0.8,…)に変換され他の項目の情報のベクトルと連結されて連結ベクトルが生成される。また、
図7に示すように、例えば、歌手メタデータのデータレコード中の「歌手ID:aa」が5次元のベクトル(…,+0.4,…,+0.8,…)に変換され他の項目の情報のベクトルと連結されて連結ベクトルが生成される。
【0026】
そして、モデル構築部202は、楽曲メタデータの連結ベクトルと歌手メタデータの連結ベクトルとの組み合わせを、それらに対応する履歴情報によって特定される歌唱の順番に学習モデルに入力し、その学習モデルの予測結果が、履歴情報及び楽曲情報によって特定される、1曲先~N曲先の楽曲及び1曲先~N曲先の楽曲の歌手になるように、学習モデルのパラメータを最適化する(学習モデルをトレーニングする)。この際、モデル構築部202は、学習モデルとして、深層学習の学習モデルを使用する。
【0027】
図8には、モデル構築部202が使用する学習モデルMの構成を示している。
図8に示すように、学習モデルMは、楽曲メタデータの連結ベクトル(楽曲情報)が入力されるRNN(Recurrent Neural Network:再帰型ニューラルネットワーク)層M11、歌手メタデータの連結ベクトル(歌手情報)が入力されるRNN層M12、RNN層M11,M12の出力層が結合された結合層M20、結合層M20の後段に接続され、予測値を出力する全結合層M31,M32,M33,M41,M42,M43によって構成される。全結合層の数は、入力される連結ベクトルに対応する予測対象の楽曲の何曲先まで予測するかに応じて変更されうる。本実施形態は、3曲先まで予測するために6つの全結合層を有している。
【0028】
RNN層M11,M12は、それぞれ、入力を2種類、出力を2種類持つ層である。それぞれのRNN層M11,M12は、入力層として、今回の計算ステップで連結ベクトルを入力する層と、1つ前の計算ステップで当該RNN層M11,M12によってスタックされた出力ベクトルを入力する層とを有し、出力層として、結合層20へ出力ベクトルを渡す層と、次回の計算ステップのために出力ベクトルをスタックする層とを有する。これらのRNN層M11,M12は、今回の計算で連結ベクトルから計算した層に前回の計算でスタックした層を足し合わせることで、現在及び過去を考慮した情報を結合して出力できる。
【0029】
結合層M20は、RNN層M11の出力層と、RNN層M12の出力層とを横に連結してベクトルを出力する層である。
【0030】
全結合層M31,M32,M33は、それぞれ、結合層M20の後段に接続され、入力された連結ベクトルに対応する楽曲の1曲先、2曲先、及び3曲先に、ユーザのグループによって歌唱される楽曲の予測値(出力ベクトル)を出力する。全結合層M31は、推薦する候補となる楽曲の数と同じ長さを持ち、結合層M20の長さと全結合層M31の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の楽曲分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。また、全結合層M32は、全結合層M31と同じ長さを持ち、その入力は全結合層M31の出力にも接続され、結合層M20の長さと全結合層M31の長さとを加算した数と、全結合層M32の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の楽曲分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。同様に、全結合層M33は、全結合層M31と同じ長さを持ち、その入力は全結合層M32の出力にも接続され、結合層M20の長さと全結合層M32の長さとを加算した数と、全結合層M33の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の楽曲分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。
【0031】
全結合層M41,M42,M43は、それぞれ、結合層M20の後段に接続され、入力された連結ベクトルに対応する楽曲の1曲先、2曲先、及び3曲先に、ユーザのグループによって歌唱される楽曲の歌手の予測値(出力ベクトル)を出力する。全結合層M41は、推薦する候補となる歌手の数と同じ長さを持ち、結合層M20の長さと全結合層M41の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の歌手分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。また、全結合層M42は、全結合層M41と同じ長さを持ち、その入力は全結合層M41の出力にも接続され、結合層M20の長さと全結合層M41の長さとを加算した数と、全結合層M42の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の歌手分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。同様に、全結合層M43は、全結合層M41と同じ長さを持ち、その入力は全結合層M42の出力にも接続され、結合層M20の長さと全結合層M42の長さとを加算した数と、全結合層M43の長さとを乗じた数分のパラメータ計算を行い、候補の歌手分の確率値を横に連結した出力ベクトルを出力する。
【0032】
上記のような構成の学習モデルMは、1つのモデルによって、1曲先、2曲先、及び3曲先に歌唱される楽曲、1曲先、2曲先、及び3曲先に歌唱される楽曲の歌手を予測するという複数のタスクを同時に解くマルチタスク学習の深層学習モデルである。このようなモデルによれば、主タスクである1曲先の楽曲及び1曲先の楽曲の歌手を予測するために有用である情報が特徴量から抜け落ちてしまうことを防止できる。言い換えれば、複数のタスクにおいて中間層を共有することで複数の問題に共通する特徴を学習することができる。
【0033】
モデル構築部202は、上記構成の学習モデルMを用いて、楽曲メタデータの連結ベクトルと歌手メタデータの連絡ベクトルとを同時に学習モデルMに入力し、その結果得られた出力ベクトルによって予測される1曲先、2曲先、及び3曲先の楽曲のそれぞれが、データ取得部201から順番に引き渡されるデータレコードから特定される1曲先、2曲先、及び3曲先の楽曲となるように、学習モデルMをトレーニングする。このとき、予測する楽曲は、出力ベクトルの中で確率値が最も大きい要素に対応する楽曲とされる。同時に、モデル構築部202は、学習モデルMの出力ベクトルによって予測される1曲先、2曲先、及び3曲先の楽曲の歌手のそれぞれが、データ取得部201から順番に引き渡されるデータレコードから特定される1曲先、2曲先、及び3曲先の楽曲の歌手となるように、学習モデルMをトレーニングする。このとき、予測する歌手は、出力ベクトルの中で確率値が最も大きい要素に対応する歌手とされる。トレーニングの結果、例えば、学習モデルMの各層におけるパラメータ計算で用いられる重み(w)及びバイアス(b)のパラメータが最適化される。
【0034】
本実施形態では、マルチタスク学習の深層学習モデルが用いられ、数曲先の楽曲及び歌手を一緒に予測して正解が得られるようにトレーニングすることにより、1曲先の楽曲及びその楽曲の歌手の予測精度が向上する。すなわち、深層学習のトレーニングでは、誤差逆伝搬法により、出力部に近いパラメータが優先して調整される。よって、2曲先の楽曲の予測精度を高めるためには、全結合層M32におけるパラメータ(w,b)がトレーニングを繰り返すことで予測結果の誤差を小さくするように調整され、予測精度が高められる。このとき、全結合層M32のパラメータを調整しても誤差が収束しきらない場合には、出力部から離れた箇所のパラメータが調整される。例えば、全結合層M31のパラメータが調整される。2曲先の楽曲の予測精度を向上させるための全結合層M31のパラメータの調整は、1曲先の楽曲の予測結果にも影響を与え、結果的にその調整が1曲先の予測精度の向上にも寄与する。3曲先の楽曲と2曲先の歌手と3曲先の歌手の予測精度を向上させるためのトレーニングの効果も、同様に、1曲先の楽曲及び1曲先の楽曲の歌手の予測精度の向上に寄与する。
【0035】
予測部203は、推奨情報の生成処理時に、予測対象の楽曲に関する楽曲メタデータのデータレコードと、その楽曲の歌手に関する歌手メタデータのデータレコードとを基に、モデル構築部202によって構築された学習モデルMを用いて、予測対象の楽曲の1曲先の楽曲、及び予測対象の楽曲の1曲先の楽曲の歌手に関する予測値を取得する。具体的には、予測部203は、2つのデータレコードを対象にしてモデル構築部202と同様な前処理を施し、2つの連結ベクトルを生成する。そして、予測部203は、生成した2つの連結ベクトルを学習モデルMに入力することにより得られた出力ベクトルを基に、1曲先の楽曲及び1曲先の楽曲の歌手の予測値を取得する。
【0036】
推奨情報生成部204は、予測部203から、1曲先の楽曲に関する予測値、及び1曲先の楽曲の歌手に関する予測値を取得し、これらの予測値を基に、ユーザのグループに歌唱を推奨する楽曲及び楽曲の歌手の推奨情報を生成および出力する。例えば、推奨情報生成部204は、それぞれの出力ベクトルの中で最も確率値が高い要素に対応する楽曲及び歌手と、それぞれの出力ベクトルの中で2番目に確率値が高い要素に対応する楽曲及び歌手とに関する推奨情報を生成する。
図9には、推奨情報生成部204が生成する推奨情報のデータ構成の一例を示している。例えば、推奨情報には、1番目に推奨する楽曲“ソングZ”及び歌手“シンガーZ”と、2番目に推奨する楽曲“ソングB”及び歌手“シンガーB”とが順番に並んだデータが含まれる。そして、推奨情報生成部204は、生成した推奨情報を、フロントサーバ3の端末装置等に出力する。
【0037】
次に、このように構成された推奨情報提供装置5の処理について説明する。
図10は、推奨情報提供装置5による学習モデルの構築処理の手順を示すフローチャートであり、
図11は、推奨情報提供装置5による推奨情報の生成処理の手順を示すフローチャートである。学習モデルの構築処理は、予め設定されたタイミング(例えば、定期的なタイミング)、あるいは、データ管理装置4においてある程度の情報量の履歴情報が蓄積されたタイミング等で開始される。推奨情報の生成処理は、予め設定されたタイミング、あるいは、フロントサーバ3においてユーザから楽曲の指定入力が受け付けられたタイミング等で開始される。
【0038】
図10を参照して、学習モデルの構築処理が開始されると、データ取得部201によって、データ管理装置4からユーザのグループの過去の楽曲の歌唱に関する履歴情報のデータレコードが、歌唱の順番に取得される(ステップS101)。また、データ取得部201によって、データ管理装置4から、履歴情報に記録された楽曲に対応する楽曲メタデータのデータレコードと、その楽曲に対応する歌手メタデータのデータレコードとが、順番に取得される(ステップS102)。
【0039】
次に、モデル構築部202によって前処理が実行されて、2つのデータレコードの組が、取得の順番に2つの連結ベクトルに変換される(ステップS103)。その後、モデル構築部202によって、2つの連結ベクトルを入力として用いた予測値が履歴情報及び楽曲情報の示す正解に近づくように、学習モデルMがトレーニングされることにより、学習モデルMのパラメータが最適化され(学習モデルの構築、ステップS104)、複数のデータレコードの組を利用してトレーニングされた後に学習モデルの構築処理が終了する。
【0040】
次に、
図11を参照して、推奨情報の生成処理が開始されると、データ取得部201によって、フロントサーバ3から対象の楽曲を指定する情報が取得され、それに応じて、データ管理装置4から、対象の楽曲に関する、楽曲メタデータのデータレコード及び歌手メタデータのデータレコードが取得される(ステップS201)。その後、予測部203によって前処理が実行されて、2つのデータレコードが、それぞれ、連結ベクトルに変換される(ステップS202)。
【0041】
次に、予測部203により、2つの連結ベクトルが学習モデルMに入力され、学習モデルMの出力ベクトルを基に、対象の楽曲の1曲先の楽曲に関する予測値、及び対象の楽曲の1曲先の楽曲の歌手に関する予測値が取得される(ステップS203)。その後、推奨情報生成部204により、これらの予測値を基に、ユーザのグループに歌唱を推奨する楽曲及びその楽曲の歌手に関する推奨情報が生成される(ステップS204)。最後に、推奨情報生成部204により、推奨情報が、フロントサーバ3の端末装置等に出力される(ステップS205)。
【0042】
つぎに、本実施形態の推奨情報提供装置5の作用効果について説明する。この推奨情報提供装置5によれば、ユーザが過去に歌唱した複数の楽曲に関する楽曲特定情報が、歌唱した順番を判別可能な情報として取得され、その情報を訓練データとして用いて、ユーザが任意の楽曲の次に歌唱する1曲先の楽曲と、ユーザがその次に歌唱する2曲先の楽曲とを予測する学習モデルMが構築される。そして、構築された学習モデルMを用いて、ユーザが対象の楽曲の次に歌唱する1曲目の楽曲が予測され、予測された1曲目の楽曲を基に推奨情報が出力される。これにより、ユーザの連続して歌唱する楽曲の傾向を掴んだうえで任意の楽曲の次に歌唱する楽曲を予測し、その予測結果を基に推奨情報を出力するので、ユーザに有益な推奨情報を提供することができる。特に、学習モデルMとして、互いに入出力が連結された2つの全結合層を含むマルチタスク学習の深層学習モデルを用いているので、学習モデルの構築時のパラメータ調整により、対象の楽曲の次に歌唱する1曲目の楽曲の予測の精度を効率的に向上することができ、ユーザにとって一層有益な情報を提供できる。
【0043】
また、本実施形態では、履歴情報に含まれる楽曲IDを入力して予測される1曲先の楽曲及び2曲先の楽曲のそれぞれが、履歴情報によって特定される、当該楽曲IDの示す楽曲の次の1曲目の楽曲、及び、当該1曲目の楽曲の次の2曲目の楽曲となるように、学習モデルMを構築している。このようにすれば、ユーザが連続して歌唱する3曲の楽曲の傾向を掴んだ学習モデルMを構築することができ、ユーザの対象の楽曲の次に歌唱する楽曲の予測精度を確実に向上させることができる。その結果、ユーザにとってより一層有益な情報を提供できる。
【0044】
また、本実施形態では、学習モデルMは、入力と全結合層M31,M32,M33,M41,M42,M43との間に、RNN層M11、M12を含んでいる。このような学習モデルMによれば、ユーザが連続して歌唱する2曲の楽曲の情報を基にその後にユーザが歌唱する楽曲が予測されるので、その予測精度を一層高めることができる。よって、ユーザにとって一層有益な情報を提供できる。
【0045】
また、本実施形態では、任意の楽曲に関する楽曲IDから、1曲先~3曲先の楽曲を予測する学習モデルMが採用され、学習モデルMの全結合層M32,M33においては、それぞれの入力が、全結合層M31,M32の出力と接続されている。このような構成により、ユーザが連続して歌唱する4曲の楽曲の傾向を掴んだ学習モデルMを構築することができ、ユーザの対象の楽曲の次に歌唱する楽曲の予測精度を確実に向上させることができる。その結果、ユーザにとってより一層有益な情報を提供できる。
【0046】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0047】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0048】
例えば、本開示の一実施の形態におけるデータ管理装置4及び推奨情報提供装置5は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図12は、本開示の一実施の形態に係るデータ管理装置4及び推奨情報提供装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のデータ管理装置4及び推奨情報提供装置5は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置100として構成されてもよい。
【0049】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。データ管理装置4及び推奨情報提供装置5のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0050】
データ管理装置4及び推奨情報提供装置5における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0051】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のデータ取得部201、モデル構築部202、予測部203、及び推奨情報生成部204などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0052】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、データ取得部201、モデル構築部202、予測部203、及び推奨情報生成部204は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0053】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る学習モデル構築処理及び推奨情報生成処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0054】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0055】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の情報を受信するデータ取得部201などは、通信装置1004によって実現されてもよい。このデータ取得部201は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0056】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。例えば、上述の推奨情報生成部204などは、出力装置1006によって実現されてもよい。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0057】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0058】
また、データ管理装置4及び推奨情報提供装置5は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0059】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0060】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0061】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0062】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0063】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0064】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0065】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0066】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0067】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0068】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0069】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0070】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0071】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0072】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0073】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0074】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0075】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0076】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0077】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0078】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0079】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の一形態は、推奨情報を提供する推奨情報提供装置を使用用途とし、歌唱する楽曲の順番の傾向を掴むことで利用者に有益な推奨情報を提供することを可能にするものである。
【符号の説明】
【0081】
5…推奨情報提供装置、1001…プロセッサ、201…データ取得部、202…モデル構築部、203…予測部、204…推奨情報生成部、M…学習モデル、M11,M12…RNN層、M31,M32,M33…全結合層。