(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】指感知を有するディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20250523BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20250523BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250523BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20250523BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20250523BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20250523BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20250523BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/042 470
G02B5/30
G02B5/26
G02B5/28
G02B5/02 B
G02B5/08 A
(21)【出願番号】P 2022567479
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(86)【国際出願番号】 IB2021053751
(87)【国際公開番号】W WO2021224798
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2024-04-30
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】アチャリャ,バラット アール.
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アタード,ジョーゼフ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フォーサイス,ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ユスト,デイヴィッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ソウサ,マシュー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ペタジャ,ジェイソン エス.
(72)【発明者】
【氏名】レンストローム,アンソニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】コルブ,ウィリアム ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】コール,マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ステイ,マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マシュー アール.ディー.
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,ジェレミー オー.
(72)【発明者】
【氏名】ファム,トリ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,クンイ
(72)【発明者】
【氏名】デニコラ,リサ エー.
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード,クイン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ストバー,カール エー.
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0391307(US,A1)
【文献】国際公開第2019/123141(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0220212(US,A1)
【文献】国際公開第2019/069214(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/127734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
G02B 5/00-5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムであって、
前記ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接配置された前記ユーザの前記指を感知するためのセンサと、
前記ユーザの前記指に向けて、第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源であって、前記センサが、前記指によって反射された前記第1の光の少なくとも一部を受光し検出するように構成されている、感知光源と、
前記ディスプレイパネルと前記センサとの間に配置された反射偏光子であって、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、
遮断偏光状態における前記反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含む、反射偏光子と、を備え、
前記バンドエッジにおいて前記光透過率が約10%から約70%まで増加する波長範囲に少なくともわたり、前記光透過率を前記波長に相関させる、前記バンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、
短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)において、L1が、前記バンドエッジに沿って約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、前記光透過率が約75%超の平均を有
し、
実質的な垂直入射光及び所定の波長範囲に対して、前記反射偏光子が、第1の偏光状態において少なくとも40%の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態において少なくとも70%の平均光反射率を有する、
ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記第1の偏光状態及び前記所定の波長範囲において、前記反射偏光子が、より小さい入射角で入射する光に対してより大きい平均光透過率を有し、より大きい入射角で入射する光に対してより小さい平均光透過率を有する、請求項
1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記所定の波長範囲が、少なくとも約450nm~約650nmにわたる、請求項
1に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムであって、
前記ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接配置された前記ユーザの前記指を感知するためのセンサと、
前記ユーザの前記指に向けて、第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源であって、前記センサが、前記指によって反射された前記第1の光の少なくとも一部を受光し検出するように構成されている、感知光源と、
前記ディスプレイパネルと前記センサとの間に配置された反射偏光子であって、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、遮断偏光状態における前記反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含む、反射偏光子と、を備え、
前記バンドエッジにおいて前記光透過率が約10%から約70%まで増加する波長範囲に少なくともわたり、前記光透過率を前記波長に相関させる、前記バンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、
短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)において、L1が、前記バンドエッジに沿って約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、前記光透過率が約75%超の平均を有し、
前記複数のポリマー層が、前記反射偏光子の厚さの少なくとも一部に沿って配置され、1~Nまで順次番号付けられ、Nが約150超の整数である複数の第1のポリマー層を含み、前記複数の第1のポリマー層が、その両端にポリマー末端層を含み、前記ポリマー末端層とそれらの間の各層が、約350nm未満の平均厚さを有し、前記複数の第1のポリマー層の層番号に対する平均層厚さのプロットが、より高い層番号を有する少なくともQ2個の順次配列されたポリマー層を含む右領域から、より低い層番号を有する少なくともQ1個の順次配列されたポリマー層を含む左領域を分離する、急な折れ曲がり領域を含み、Q1が約100より大きい整数であり、Q2が少なくとも10の整数であり、前記左領域における前記少なくともQ1個の順次配列された第1のポリマー層への線形フィットが、約0.8より大きいr二乗値で、層番号当たり約0.04nmより大きい大きさの正の線形勾配を有し、前記右領域における前記少なくともQ2個の順次配列された第1のポリマー層への線形フィットが、約0.8より大きいr二乗値で、層番号当たり約0.1nmより大きい大きさの負の線形勾配を有する
、ディスプレイシステム。
【請求項5】
前記複数のポリマー層が、1つ以上の中間層によって前記複数の第1のポリマー層から前記反射偏光子の厚さ方向に沿って離隔された複数の第2のポリマー層を更に含み、前記複数の第1及び第2のポリマー層の各々が、合計で少なくとも200であり、前記複数の第1及び第2のポリマー層の各々が、約300nm未満の平均厚さを有し、前記1つ以上の中間層の各々が、約500nm超の平均厚さを有する、請求項
4に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムであって、
前記ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接配置された前記ユーザの前記指を感知するためのセンサと、
前記ユーザの前記指に向けて、第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源であって、前記センサが、前記指によって反射された前記第1の光の少なくとも一部を受光し検出するように構成されている、感知光源と、
前記ディスプレイパネルと前記センサとの間に配置された反射偏光子であって、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、遮断偏光状態における前記反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含む、反射偏光子と、を備え、
前記バンドエッジにおいて前記光透過率が約10%から約70%まで増加する波長範囲に少なくともわたり、前記光透過率を前記波長に相関させる、前記バンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、
短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)において、L1が、前記バンドエッジに沿って約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、前記光透過率が約75%超の平均を有し、
前記バンドエッジと約1300nmとの間の少なくとも200nm幅の波長範囲にわたる前記光透過率への二次多項式フィットが、約0.6より大きいr二乗値及び約80%未満の最小光透過率を有する
、ディスプレイシステム。
【請求項7】
前記二次多項式フィットが、正の二次係数及び負の一次係数を有する、請求項
6に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムであって、
前記ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接配置された前記ユーザの前記指を感知するためのセンサと、
前記ユーザの前記指に向けて、第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源であって、前記センサが、前記指によって反射された前記第1の光の少なくとも一部を受光し検出するように構成されている、感知光源と、
前記ディスプレイパネルと前記センサとの間に配置された反射偏光子であって、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、遮断偏光状態における前記反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含む、反射偏光子と、を備え、
前記バンドエッジにおいて前記光透過率が約10%から約70%まで増加する波長範囲に少なくともわたり、前記光透過率を前記波長に相関させる、前記バンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、
短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)において、L1が、前記バンドエッジに沿って約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、前記光透過率が約75%超の平均を有し、
前記反射偏光子が、
前記複数のポリマー層と共押出しされた第1の外層と、
約7~約9ミクロンの平均粒径を有し、前記第1の外層の第1の主面から部分的に突出して第1の構造化主面を形成する複数の第1の粒子と、
前記第1の構造化主面に適合するように配置された第1の光学拡散層であって、前記第1の光学拡散層の対向する第1及び第2の主面が、前記第1の構造化主面に実質的に適合し、前記第1の光学拡散層が、内部に分散された複数のナノ粒子を含み、前記ナノ粒子がそれらの間に複数のボイドを画定する、第1の光学拡散層と、
を更に含む
、ディスプレイシステム。
【請求項9】
前記反射偏光子が、
前記第1の外層の反対側の第2の外層であって、前記複数のポリマー層及び前記第1の外層と共押出しされた、第2の外層と、
前記第2の外層の第2の主面から部分的に突出して第2の構造化主面を形成する複数の第2の粒子と、
を更に含む、請求項
8に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記反射偏光子と前記センサとの間に配置された光学拡散フィルムを更に備え、前記光学拡散フィルムが、
光学基材層と、
前記光学基材層上に配置され、前記反射偏光子に面し、内部に分散された複数のナノ粒子を含む第2の光学拡散層であって、実質的な垂直入射光、並びに約450nm~約650nmの可視波長範囲及び約930nm~約970nmの赤外波長範囲に対して、前記第2の光学拡散層が、前記可視波長範囲における平均正透過率Vs及び前記赤外波長範囲における平均正透過率Isを有し、Is/Vs≧2.5である、第2の光学拡散層と、
前記光学基材層上に配置され、前記反射偏光子と反対側に面し、前記光学基材層と反対側に面する構造化主面を含む構造化光学層であって、同じ第1の方向に沿って伸長し、前記構造化光学層の前記構造化主面にわたって実質的に均一な密度で配置された複数の離隔した細長構造体を含む、構造化光学層と、
を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記ディスプレイパネルに照明を提供するための光導波路を更に備え、前記光導波路が、前記反射偏光子と前記センサとの間に配置されている、請求項
10に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記光導波路と前記センサとの間に配置された構造化ミラーを更に備え、前記構造化ミラーは、光学ミラーと、前記光学ミラー上に形成され、前記光導波路に面する個別の離隔した光学隆起のアレイと、を備え、実質的な垂直入射光に対して、前記光学ミラーが、少なくとも第1の偏光状態において可視波長範囲内で約30%超の平均光反射率を有し、前記第1の偏光状態及び直交する第2の偏光状態の各々において赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して約20%超の正透過率を有する、請求項
11に記載のディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液晶ディスプレイ(LCD)は、LCDパネルと光導波路との間に反射偏光子を含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、概して、ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するように構成されたディスプレイシステムに関する。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接配置されたユーザの指を感知するためのセンサと、ユーザの指に向けて第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源と、ディスプレイパネルとセンサとの間に配置された反射偏光子と、を含む。センサは、指によって反射された第1の光の少なくとも一部を受光及び検出するように構成されている。反射偏光子が、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、第1の偏光状態における反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含み、光透過率がバンドエッジにおいて約10%から少なくとも約70%まで増加する波長範囲にわたり、光透過率を波長に相関させるバンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)に対して、L1が、バンドエッジにおいて約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、光透過率が約75%超の平均を有する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接配置されたユーザの指を感知するためのセンサと、感知光源と、ディスプレイパネルとセンサとの間に配置された反射偏光子と、を含む。反射偏光子は、複数のポリマー層を含み、複数のポリマー層と共押出しされた第1の外層を更に含むことができ、反射偏光子は、約7~約9マイクロメートルの平均粒径を有し、第1の外層の第1の主面から部分的に突出して第1の構造化主面を形成する複数の第1の粒子と、第1の構造化主面上に適合するように配置された第1の光拡散層と、を含み、第1の光拡散層の対向する第1及び第2の主面が、第1の構造化主面に実質的に適合する。第1の光学拡散層は、内部に分散された複数のナノ粒子を含み、ナノ粒子は、それらの間に複数のボイド(void)を画定し得る。反射偏光子は、第1の外層の反対側の第2の外層を更に含み得、第2の外層は、複数のポリマー層及び第1の外層と共押出しされる。反射偏光子は、第2の外層の第2の主面から部分的に突出して第2の構造化主面を形成する複数の第2の粒子を含むことができる。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに近接配置されたユーザの指を感知するためのセンサと、感知光源と、ディスプレイパネルとセンサとの間に配置された反射偏光子と、ディスプレイパネルに照明を提供し、反射偏光子とセンサとの間に配置された光導波路と、光導波路とセンサとの間に配置され、光学ミラーと、光学ミラー上に形成された個別の離間した光学隆起のアレイとを含み、光導波路を向く構造化ミラーと、を含む。
【0006】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3A】主面から部分的に突出する粒子を含む外層を有する例示的な反射偏光子の概略断面図である。
【
図3B】例示的な反射偏光子の一部の断面の画像であり、各画像は、反射偏光子の外層から部分的に突出する粒子を示す。
【
図3C】例示的な反射偏光子の一部の断面の画像であり、各画像は、反射偏光子の外層から部分的に突出する粒子を示す。
【
図4B】例示的な光学拡散層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5A】例示的な光学拡散フィルムの概略断面図である。
【
図6A】実質的な垂直入射光、並びに分散及び正透過光を示す層又はフィルムの概略断面図である。
【
図6B】実質的な垂直入射光、並びに分散及び正透過光を示す層又はフィルムの概略断面図である。
【
図7A】例示的な構造化ミラーの概略断面図である。
【
図7B】例示的な構造化ミラーの概略断面図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、複数のポリマー層の層番号に対する平均層厚さの例示的なプロットである。
【
図15】例示的な反射偏光子の光透過率対波長のプロットである。
【
図19】例示的な反射偏光子についての実質的な垂直入射非偏光の透過率対波長の図である。
【
図20】例示的な光学拡散フィルムについての実質的な垂直入射光の透過率対波長のプロットである。
【
図21】例示的なディスプレイシステムの概略展開断面図である。
【
図22】例示的なディスプレイシステムの概略展開断面図である。
【
図23】例示的なディスプレイシステムの概略展開断面図である。
【
図24】様々な例示的な反射偏光子についての層番号に対する平均層厚さのプロットである。
【
図25】様々な反射偏光子の実質的な垂直入射光についての遮断状態透過スペクトルである。
【
図26】様々な反射偏光子の実質的な垂直入射光についての遮断状態透過スペクトルである。
【
図27】様々な反射偏光子の実質的な垂直入射光についての遮断状態透過スペクトルである。
【
図28】2つの反射偏光子についての層番号に対する平均層厚さのプロットである。
【
図29】
図28の反射偏光子の実質的な垂直入射光についての遮断状態透過スペクトルを示す。
【
図30A】s偏光及びp偏光に関する例示的な反射偏光子の透過率対波長の図である。
【
図31】s偏光及びp偏光についての例示的な反射偏光子の透過率対波長のプロットである。
【
図32】s偏光及びp偏光についての例示的な反射偏光子の透過率対波長のプロットである。
【
図33】s偏光及びp偏光についての例示的な反射偏光子の透過率対波長のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも縮尺どおりではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムは、反射偏光子と、ユーザの指に向けて第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源(例えば、指感知に使用される赤外線光源)と、を含む。反射偏光子は、実質的な垂直入射光に対して、第1の波長が、バンドエッジ波長を超えるが、それに近くなる(例えば、約70nm以内、又は約50nm以内、又は約40nm以内)ように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態における反射偏光子の光透過率対波長はバンドエッジを含み、短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)に対して、L1が、バンドエッジにおいて約50%の光透過率に対応する波長L3よりも長く、L3から約20nm以内である場合、光透過率が約75%より大きい平均を有する。いくつかの実施形態では、光透過率は、波長L2の約60nm以内の極大値を有し、第1の波長W1は、局所極大値の約30nm以内又は約20nm以内である。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、第1の勾配で概ね増加する層厚プロファイルを有する第1の部分と、第1の部分に隣接し、第1の勾配よりも実質的に大きい大きさを有する第2の勾配で概ね減少する層厚プロファイルを有する第2の部分と、を含むポリマー層のパケットを含む。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイシステムは、少なくとも1つの光学拡散層を含む。例えば、反射偏光子は、構造化外面を有することができ、構造化外面上に配置され、それに適合する第1の光学拡散層を含む。ディスプレイシステムは、任意選択的に、第2の光学拡散層を含む光学拡散フィルムを更に含むことができる。光学拡散層(例えば、第1及び第2の光学拡散層のうちの少なくとも一方)は、間にボイド(空隙)を有する粒子の凝集体を形成するように分散された粒子を含むことができる。いくつかの実施形態では、光学拡散層は、可視範囲よりも赤外範囲において実質的に高い程度の正透過率を提供する。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態によれば、光学拡散層は、赤外範囲よりも可視範囲において実質的により高い程度の拡散透過率を提供することができる。いくつかの実施形態では、粒子はナノ粒子であり、凝集体は約1ミクロン未満の平均粒径を有する。他の実施形態では、凝集体は、より大きくてもよい(例えば、最大約10ミクロン、又は約1ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約10ミクロン)。
【0011】
実施形態によれば、複数の離隔した細長構造体は、光学層上(例えば、反射偏光子の反対側の光学拡散フィルムの側)に配置され、摩擦係数を低下させ、隣接するフィルムへの損傷を排除又は低減する表面粗さを付与することができ、隣接するフィルム間の光学的欠陥(例えば、ウェットアウト、モアレパターン、ニュートンリング、及び同様の影響)を防止することができる。場合によっては、これらの細長構造体は、光学フィルム上に印刷されてもよく、又は別のプロセス(例えば、高精細化(microreplication))によって作製されて配置されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、光学ミラーの表面上に不連続コーティングを含む構造化ミラーを更に含む。不連続コーティングは、摩擦係数を低下させ、隣接するフィルムへの損傷を排除又は低減する表面粗さを付与することができる。いくつかの実施形態では、不連続コーティングは、近赤外波長に対して実質的に透過性であってもよく、LCDパネルの背後の赤外センサ機能を可能にする。いくつかの実施形態では、不連続コーティングは、丸みを帯びた隆起などの個別の隆起特徴部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、個別の特徴部は、フレキソ印刷(又は同様の印刷プロセス)などの技法を使用して、光学ミラーに追加されてもよい。いくつかの実施形態では、他の技法又はプロセスが、個別の特徴部を光学ミラーに追加するために使用されてもよい。
【0013】
図1~
図2は、いくつかの実施形態による、反射偏光子100及び100’それぞれの概略断面図である。反射偏光子100、100’は、反射偏光子の厚さの少なくとも一部に沿って(例示されたx-y-z座標系を参照してz方向に沿って)配置された複数のポリマー層10、11を含む。ポリマー層10、11の各々は、約350nm未満又は約300nm未満であり得る平均厚さtを有する。
【0014】
反射偏光子100又は100’内のポリマー層10、11の数は、
図1~
図2に概略的に示されるよりも実質的に大きくすることができる。例えば、複数のポリマー層10、11は、合計で50~1000層又は100~800層を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11は、約100超の層、又は約150超の層、又は約200超の層を含む。
【0015】
反射偏光子100、100’は、それぞれ、厚さta及びtbを有する最外層146及び147を含む。各厚さta、tbは、例えば、約500nm超、又は約1マイクロメートル超、又は約2マイクロメートル超、又は約3マイクロメートル超、又は約5マイクロメートル超であり得る。外層146及び147の厚さは、他の層から反射された光との光学干渉を受け得る層146及び147の表面から反射された光に起因する、反射偏光子の透過スペクトルに影響を及ぼし得る。反射偏光子100’の場合、複数のポリマー層10、11は、第1の複数のポリマー層(141)及び第2の複数のポリマー層(142)を含み、第1及び第2の複数のポリマー層は、少なくとも1つの中間層143a、143bによって反射偏光子の厚さに沿って互いに分離され、各中間層143a、143bは、例えば、約500nm超、又は約1マイクロメートル超、又は約2マイクロメートル超、又は約3マイクロメートル超、又は約5マイクロメートル超の平均厚さtcを有する。少なくとも1つの中間層143a、143bは、例えば、2つの保護境界層、又は2つの保護境界層から形成された単一層であり得る。当該技術分野で知られているように、保護境界層は、加工中に干渉層を損傷から保護するために、交互干渉層のパケットに隣接して含まれることが多い。最外層146及び/又は147は、例えば、保護境界層又は保護境界層と追加の外側スキン層との組み合わせであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11は、反射偏光子100、100’の厚さの少なくとも一部に沿って配置され、1~Nまで順次番号付けされた複数の第1のポリマー層(例えば、反射偏光子100’の第1の複数の層141の層10、11又は反射偏光子100の層10、11の各々)を含み、Nは約150超の整数である。複数の第1のポリマー層は、その両端にポリマー末端層665、667を含む。ポリマー末端層とそれらの間の各層は、約350nm未満又は約300nm未満の平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11は、1つ以上の中間層143a、143bによって複数の第1のポリマー層から反射偏光子100’の厚さ方向に沿って離間された複数の第2のポリマー層(例えば、反射偏光子100’の第2の複数の層142の層10、11)を更に含み、複数の第1及び第2のポリマー層の各々は、約350nm未満又は約300nm未満の平均厚さを有し、1つ以上の中間層の各々は、約500nm超の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、複数の第1及び第2のポリマー層の各々の層番号は、合計で少なくとも150、又は合計で少なくとも200である。
【0017】
複数のポリマー層10、11は、干渉層と称され得る交互の第1及び第2のポリマー層10及び11を含むことができる。干渉層は、干渉層の反射率及び透過率が光干渉によって合理的に説明することができるか、又は光干渉の結果として合理的に正確にモデル化することができる場合、主に光干渉によって光を反射及び透過すると説明されてもよい。当該技術分野において既知であるように、交互配置されたポリマー層を含む多層光学フィルム(例えば、反射偏光子フィルム)を使用して、層厚を好適に選択することによって、所望の波長範囲で所望の反射率及び透過率をもたらすことができる。多層光学フィルム及び多層光学フィルムを作製する方法は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されている。いくつかの実施形態では、光学フィルタは、鋭いバンドエッジを有する。鋭いバンドエッジを有する光学フィルムは、当該技術分野において知られており、例えば、米国特許第6,967,778号(Wheatleyら)に記載されている。
【0018】
本明細書の他の場所で更に説明するように、反射偏光子100、100’の透過率及び反射率は、実質的に垂直に入射する(例えば、名目上垂直に入射する、又は30度、若しくは20度以内、若しくは10度以内に入射する)光40及び/又は入射角θを有する光170に対して指定され得、並びに第1及び/又は第2の偏光状態(例えば、第1及び第2の偏光状態171及び172)に対して指定され得る。電界は、図示の実施形態では、第1の偏光状態171においてy軸に沿って分極され、第2の偏光状態172においてx軸に沿って分極される。反射偏光子の通過(それぞれの遮断)偏光状態は、反射偏光子の通過(それぞれの遮断)軸に平行である反射偏光子の平面(x-y平面)上への電界の投射を伴うp偏光状態(p偏光)又はs偏光状態(s-pol)であり得る。いくつかの実施形態では、入射平面に関係なく、第1の偏光状態171は、反射偏光子の遮断状態であり、第2の偏光状態172は、反射偏光子の通過状態である。入射光40、170の一部(例えば、光270)は典型的には反射され、一部(例えば、光470)は、典型的には透過される。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態172(及び/又は通過偏光状態)並びに第1の波長範囲に対して、反射偏光子は、より小さい入射角(例えば、光40)で入射する光に対してより大きい平均光透過率、及びより大きい入射角(例えば、光170)で入射する光に対してより小さい平均光透過率を有する。そのような反射偏光子は、反射偏光子がリサイクルバックライトに含まれている場合、傾斜角度で入射する通過偏光状態の光の一部が反射偏光子によって反射され、次いでリサイクルされ、最終的にはより小さな入射角で反射偏光子に入射するときに透過されるため、コリメート反射偏光子と称され得る。コリメート反射偏光子は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第9,441,809号(Nevittら)及び同第9,551,818号(Weberら)に記載されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、反射偏光子100又は100’は、赤外線透過反射偏光子である。例えば、反射偏光子は、直交する第1及び第2の偏光状態171及び172の各々に対して、約950nm~約1200nm又は約950nm~約1300nmの波長範囲内の実質的な垂直入射光40の約60%超(又は約70%超、又は約75%超、又は約80%超)を透過し得る。
【0020】
光40(又は170)は、反射偏光子100、100’のいずれかの側面に(例えば、
図1に概略的に示されるように-z方向に沿って、又は
図3Aに概略的に示されるように+z方向に沿って)入射することができる。同様に、他の図に示された入射光も、図示される光学素子のいずれかの側から入射することができる。
【0021】
図3Aは、いくつかの実施形態による反射偏光子200の概略断面図である。反射偏光子は、複数の層14を含む(個々の層は
図3Aの概略図には示されていない。例えば、
図1~2を参照)。反射偏光子200は、概して、反射偏光子200が、粒子23及び53をそれぞれ含む第1及び第2の外層20及び50を含み、そうでなければ層146及び147に対応し得ることを除いて、反射偏光子100又は100’に対応し得る。いくつかの実施形態では、反射偏光子200は、第1の外層20の第1の主面21’から部分的に突出して第1の構造化主面21を形成する複数の第1の粒子23を含む。複数のポリマー層14は、第1の外層20と共押出しすることができる。いくつかの実施形態では、第2の外層50は、複数のポリマー層14及び第1の外層20と共押出しされる。いくつかの実施形態では、反射偏光子200は、第2の外層50の第2の主面51’から部分的に突出して第2の構造化主面51を形成する複数の第2の粒子53を含む。いくつかの実施形態では、第1の粒子23は、約7~約9ミクロンの平均粒径を有する。反射又は部分反射フィルム(例えば、別の反射偏光子)が構造化表面を有する反射偏光子上に配置されるときに、望ましくない光学的影響が生じ得ることが分かった。第1の粒子の平均粒径を約7~約9ミクロンの範囲に選択すると、これらの望ましくない光学的影響が実質的に低減又は排除されることが分かった。いくつかの実施形態では、第2の粒子はまた、約7~9ミクロンの平均粒径を有し得る。他の実施形態では、第2の構造化表面51は、典型的には、例えば、より反射率の高いフィルムではなく拡散体に面するように配置されるので(例えば、
図21~23を参照)、第2の粒子53と第1の粒子23の平均粒径は異なる範囲内にある。いくつかの実施形態では、第2の粒子53は、第1の粒子23の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、第2の粒子53は、約6ミクロン未満の平均粒径を有する、又は平均粒径は、例えば、約1ミクロン若しくは約2ミクロン~約6ミクロンの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、第2の粒子53は、第1の粒子23の平均粒径とほぼ同じ(例えば、10%以内又は5%以内)平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、第2の粒子53は、第1の粒子23の平均粒径よりも大きい平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、第2の粒子53は、約3ミクロン超、又は約5ミクロン超、又は約10ミクロン超、又は約15ミクロン超の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、第2の粒子は、例えば、約3ミクロン~約20ミクロンの範囲の平均粒径を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2の外層50は、内部に部分的に沈み込んで第2の構造化主面51を形成する複数の粒子53を含む。いくつかの実施形態では、第1の外層20は、内部に部分的に沈み込んで第1の構造化主面21を形成する複数の粒子23を含む。構造化された外側主面を有する関連する反射偏光子は、2020年5月8日に出願された「REFLECTIVE POLARIZER WITH IMPROVED OPTICAL CHARACTERISTICS」と題する米国仮同時係属出願第63/021765号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
粒子をキャストウェブの最外主面にコーティングで塗布し、コーティングを乾燥し、キャストウェブを伸長して(例えば、一軸又は二軸でフィルムを延伸させる)、光学フィルムを形成することができる。これにより、粒子がフィルムの外層内に部分的に沈み込む結果、粒子が表面上に固定されて、外層の主面から部分的に突出し得る。コーティングは、任意選択的に、順次伸長プロセスでの順次延伸の間に塗布されて、最外層の弾性率/厚さを変化させることができ、これは、最外層に部分的に沈み込む粒子に影響を及ぼし得る。
図3Bは、反射偏光子の外層50の主面から部分的に突出して構造化主面を形成する粒子53を示す、多層光学フィルム反射偏光子の一部の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3Cは、反射偏光子の外層20の主面から部分的に突出して構造化主面を形成する粒子23を示す、多層光学フィルム反射偏光子の一部の断面のSEM画像である。反射偏光子は、構造化主面に実質的に適合する光学拡散層30を含む。外層の連続部分(例えば、連続ポリマー相)が複数のポリマー層と共押出しされる場合、粒子又は他の成分(例えば、粒子コーティングからのポリマー)がその後(共押出後)外層に添加される場合であっても、層は共押出層の特性を呈する(例えば、接着剤なしで隣接層に結合する)ため、フィルムの外層は、フィルムの複数のポリマー層と共押出しされると説明することができる。例えば、ポリマー層11、12と共押出しされる外層は、外層に部分的に沈み込んだ粒子を含むものとして説明されてもよく、外層がポリマー層11、12との共押出によって最初に形成された後に粒子が層に部分的に沈み込んだとしても、ポリマー層11、12と共押出されたものとして説明されてもよい。粒子は、粒子上の表面コーティングが、粒子を外層上にコーティングするために使用される混合物からのポリマーから形成される、表面コーティングされた粒子であり得る。いくつかの実施形態では、粒子を含有する混合物はポリエステルを含み(例えば、混合物は水溶性ポリエステルを含有する水性混合物であり得る)、いくつかの実施形態では、共押出しされた外層はポリエステルを含む。いくつかのそのような実施形態では、これにより、コーティングのポリエステルと共押出機層との間の緊密な屈折率の一致が提供され、コーティングされたポリエステルは、共押出ウェブと同様の条件下で伸長させることができる。また、コーティングされたポリエステルは、コーティングされた光学拡散層と相溶性であり得る。
【0024】
代替的に、共押出後に添加される粒子を含むものとして共押出外層を説明する代わりに、反射偏光子は、共押出層の主面から部分的に突出する粒子を含むものとして説明することができる。
【0025】
他の実施形態では、粒子は、第1及び第2の外層の一方に含まれるが、他方には含まれず、それぞれの主面を形成する。例えば、構造化表面は、エンボス加工、キャスティング及び硬化、又は構造体のために粒子を利用しない他の技術によって形成することができる。
【0026】
第1の構造化主面21は、複数のポリマー層14と反対側に面している。光学拡散層30は、外層20の第1の構造化主面21上に適合するように配置され、それにより、光学拡散層30の対向する第1及び第2の主面31及び32が、第1の構造化主面21に実質的に適合する。例えば、第1及び第2の主面31及び32が、第1の構造化主面21に適合することができる、又は第1の構造化主面21に名目上適合することができる、又は構造化主面21の構造体の高さに対するわずかな変動(例えば、構造体の高さ又は粒子23の平均粒径の約30%未満、又は約20%未満、又は約10%未満)内で第1の構造化主面21に適合することができる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の主面31及び32は、それらの間に約200~約5000nmの平均間隔Sを画定する。いくつかの実施形態では、平均間隔Sは、約200nm~約2000nm、又は約200nm~約1500nm、又は約300nm~約1200nmである。反射偏光子100の反射及び透過特性は、他の箇所で更に説明されるように、実質的な垂直入射光40(例えば、名目上垂直に、又は光学構造物がx-y平面内に延び、z方向に厚さを有するとき、x-y平面に対する法線(z方向)から30度以内、若しくは20度以内、若しくは10度以内で入射する光)について説明することができる。
【0027】
図4Aは、いくつかの実施形態による光学拡散層30の概略断面図である。
図4Aに概略的に示される光学拡散層30は、例えば、
図3Aに概略的に示される光学拡散層30の一部であり得る。
図4Bは、例示的な光学拡散層30の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。光学拡散層30は、光学拡散層30の第1の主面31と第2の主面32との間にわたって分散された複数のナノ粒子33を含む。ナノ粒子は、約10nm~約150nm又は約20nm~約150nmの平均粒径を有することができ、それらの間に複数のボイド34を画定する。いくつかの実施形態では、光学拡散層30中のナノ粒子33は凝集して、約100nm~約10ミクロン又は約100nm~約1000nmの平均粒径を有する複数のナノ粒子凝集体35を形成する。他の実施形態では、凝集体は、より大きくてもよい(例えば、最大約10ミクロン、又は約1ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約10ミクロン)。いくつかの実施形態では、ポリマー材料36は、ナノ粒子33を互いに結合して、それらの間にボイド34を画定し得る複数のナノ粒子凝集体35を形成する。いくつかの実施形態では、光学拡散層30の厚さ方向(例えば、z方向)における光学拡散層30の断面の平面(例えば、x-z平面)において、ボイド34は、断面の平面の面積の約5%~約50%を占める。いくつかの実施形態では、ボイド34は、断面の平面の面積の約5%~約45%又は約40%を占める。いくつかの実施形態では、ボイド34は、断面の平面の面積の約10%又は約15%~約50%、又は約45%、又は約40%を占める。
【0028】
いくつかの実施形態では、光学拡散層30は、粒子、モノマー及び溶媒の混合物をコーティングし、次いで混合物を硬化及び乾燥させることによって形成される。モノマーは硬化してポリマーバインダー(ポリマー材料36)となり、粒子の凝集体を互いに結合し、溶媒は蒸発して凝集体間にボイドを形成する。溶媒は、硬化中に少なくとも部分的に蒸発することができる、及び/又は後続の乾燥工程を使用して溶媒の蒸発を完了することができる。いくつかの実施形態では、硬化及び乾燥は、前硬化工程、次いで乾燥工程、次いで後硬化工程を含む。いくつかの実施形態では、モノマーは、紫外線(UV)硬化性であり、光開始剤が混合物に含まれる。凝集体のサイズは、モノマーを硬化させるために使用されるUV出力を変化させることによって調節することができ、出力が高いほど、概して、小さい凝集体サイズをもたらす。比較的高いUV出力を有する比較的少量の光開始剤は、小さい凝集体サイズ及び非脆弱な層をもたらすが、比較的多量の光開始剤は、脆弱な層をもたらし得ることが分かった。ボイド率は、混合物中で使用される溶媒の量を変化させることによって調整することができ、溶媒の装填量が高いほど、概して、より高いボイド率をもたらす。いくつかの実施形態では、混合物は、約20~約60重量%の固体を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料36は、放射線硬化(例えば、UV硬化)ポリマーである、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー材料36は、アクリレートである、又はアクリレートを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー材料36は、ペンタエリスリトールトリアクリレートである、又はペンタエリスリトールトリアクリレートを含む。
【0030】
ナノ粒子33又は本明細書に記載される他の粒子の平均粒径は、平均又はメジアンサイズであり得る。例えば、平均粒径は、Dv50サイズ(体積分布におけるメジアンサイズ、又は同等に、粒子の総体積の50パーセントがDv50サイズ以下のサイズを有する粒子によって提供される粒径)であり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子33は、約20nm~約150nm、又は約30nm~約120nm、又は約30nm~約100nm、又は約50nm~約90nm、又は約60nm~約90nmの範囲の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子33は、シリカである、又はシリカを含む。
【0031】
ボイド34によって占められる断面の面積のパーセントは、画像解析技術を用いて求めることができる。例えば、光学拡散層は、ミクロトームによって切断することができ、次いで、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮影し、次いで、画像解析ソフトウェアを使用して画像を解析し、ボイドの占める面積パーセントを求めることができる。凝集体の平均粒径は、画像の分析から求めることもできる。断面における凝集体の粒径は、凝集体の等価円直径(すなわち、断面において凝集体と同じ面積を有する円の直径)であり得る。
【0032】
粒子23は、粒子凝集体35の平均粒径の少なくとも約2、3、5、10、20、又は50倍の平均粒径(例えば、直径)を有することができる。
【0033】
関連する光学拡散層は、2020年5月8日に出願された「OPTICAL FILMS AND STACKS INCLUDING OPTICALLY DIFFUSIVE LAYER」と題する米国仮同時係属出願第63/021751号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。関連する光学拡散層を含む反射偏光子は、2020年5月8日に出願された「OPTICAL CONSTRUCTION AND DISPLAY SYSTEM INCLUDING SAME」と題する米国仮同時係属出願第62/704399号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、反射偏光子と、ディスプレイパネルに近接配置されたユーザの指を感知するためのセンサと、を含み、任意選択的に、反射偏光子とセンサとの間に配置された光学拡散フィルムを更に含み得る。
【0035】
図5Aは、いくつかの実施形態による光学拡散フィルム300の概略断面図である。
図5Bは、いくつかの実施形態による光学拡散フィルム300の主面131の概略平面図である。光学拡散フィルム300は、第1の主面111及び第2の主面112を有する光学基材層110と、光学基材層110の第2の主面112上に配置された光学層130と、を含む。いくつかの実施形態では、接着層133は、光学層130と光学基材層110との間に配置されてもよい。代替的に、光学層130は、光学基材層110上に直接形成されてもよく、接着層133は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、光学層130は、構造化主面131及び未構造化主面132を含む。いくつかの実施形態では、構造化主面131は、光学基材層110と反対側に面し、複数の離間した細長構造体140を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、細長構造体140は、同じ第1の方向(例えば、
図5Aに示すようにx方向)に沿って伸長し、構造化主面131にわたって実質的に均一な密度で(例えば、
図5Bに示すように)配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光学拡散フィルム300は、光学基材層110の第1の主面111上に配置された光学拡散層120を更に含む。いくつかの実施形態では、接着層133’が、光学拡散層120と光学基材層110との間に配置される。代替的に、光学拡散層120は、光学基材層110上に直接形成されてもよく、接着層133’は省略されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、光学拡散層120は、内部に分散された複数のナノ粒子121を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子121は、約10nm~約300nmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子121はシリカを含み(例えば、ナノ粒子121はシリカナノ粒子であり得る)、光の少なくともいくつかの波長に拡散(散乱効果)を提供することができる。光学拡散層120は、光学拡散層30について説明したものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、光学拡散層120は、光学拡散層120のナノ粒子を互いに結合して、それらの間に複数のボイド(例えば、ボイド34に対応する)を画定する複数のナノ粒子凝集体(例えば、凝集体35に対応する)を形成するポリマー材料(例えば、ポリマー材料36に対応する)を含む。いくつかの実施形態では、光学拡散層120の厚さ方向における光学拡散層120の断面の平面において、光学拡散層120のナノ粒子121は、約20nm~約150nmの平均粒径を有し、ナノ粒子凝集体の平均粒径は、約100nm~約10ミクロンの範囲内であり、ボイドは、断面の平面の面積の約5%~約50%若しくは約15%~約45%、又は他の箇所に記載される任意の範囲を占める。
【0038】
細長構造体140は、不規則なランダムパターンで、又は任意選択的に規則的な配列若しくはパターンで配置されてもよい。いくつかの実施形態では、細長構造体140は、
図5A~
図5Bに示されるx軸などの第1の方向に沿って伸長し(すなわち、最長寸法を有し)、
図5A~
図5Bに示されるy軸などの直交する第2の方向に沿って配置される。
図5A~
図5Bに示される座標/基準系(すなわち、x方向、y方向、及びz方向)の割当ては、説明目的のための例に過ぎず、他の基準系及び構成も、本開示と一致しつつ使用されてもよい。いくつかの実施形態では、細長構造体140は、第1の方向に沿った平均長(例えば、La)と、直交する第2の方向(例えば、y方向)に沿った平均幅(例えば、Lb)とを有し、平均長は、平均幅の少なくとも約2倍又は少なくとも約2.5倍である。第2は、第1の方向に直交し、厚さ方向(z方向)に直交する。いくつかの実施形態では、細長構造体140は、約2ミクロン~約7ミクロン又は約3ミクロン~約6.5ミクロンの平均ピーク高Hを有する。細長構造体140は、例えば、高精細化プロセス(当該技術分野で知られている鋳造及び硬化プロセスなどの微細構造を生成するために使用されるプロセス)を使用して形成することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、光学構造物は、光学拡散フィルム300上に配置された反射偏光子100、100’、又は200を含む。光学構造物は、他の場所で更に説明されるように、ディスプレイシステムに使用することができる。
【0040】
図6A~6Bは、それぞれ、層又はフィルム150及び層又はフィルム150’の概略断面図であり、光40a及び40bが層又はフィルムに実質的に垂直入射する。層又はフィルム150は、例えば、本明細書に記載される光学拡散層又は光学拡散フィルム又は反射偏光子又は光学構造物のいずれかに対応し得る。層又はフィルム150’は、例えば、本明細書に記載される基材層又は光学層のいずれかに対応することができる。光40aはλ1~λ2の範囲の波長を有し、光40bはλ3~λ4の範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、λ1~λ2の範囲は可視範囲であり、λ3~λ4の範囲は赤外範囲である。例えば、いくつかの実施形態において、λ1は約450nmであり、λ2は約650nmであり、λ3は約930nmであり、λ4は約970nmである。波長範囲λ1~λ2の光40aに対して、層又はフィルム150は、平均正透過率Vs、平均拡散透過率Vd、及び平均全透過率Vt(Vt=Vs+Vd)を有する。波長範囲λ3~λ4の光40bに対して、層又はフィルム150は、平均正透過率Is、平均拡散透過率Id、及び平均全透過率It(It=Is+Id)を有する。高い拡散透過率(例えば、高いVd)は、高い光学ヘイズに対応する。
【0041】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光(40、40a、40b)、並びに約450nm~約650nmの可視波長範囲及び約930nm~約970nmの赤外波長範囲に対して、光学拡散層(例えば、30又は120又は150)は、可視波長範囲における平均正透過率Vs及び赤外波長範囲における平均正透過率Isを有し、Is/Vs≧2.5である。いくつかの実施形態では、Is/Vs≧3である。いくつかの実施形態では、光学拡散層は、赤外波長範囲における平均全透過率Itを有し、Is/It≧0.6又はIs/It≧0.7である。いくつかの実施形態では、光学拡散層は、可視波長範囲における平均全透過率Vtを有し、It/Vt>1、又はIt/Vt>2、又はIt/Vt>3である。
【0042】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光(40、40a、40b)に対して、互いに直交する第1及び第2の偏光状態(171、172)の各々において、光学基材層(例えば、110又は150’)は、可視及び赤外波長範囲の各々において約70%超の平均正透過率(Vs、Is)を有する。いくつかの実施形態では、光学基材層(例えば、110又は150’)は、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート[PET]フィルム)である、又はそれを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、反射偏光子を含み、構造化ミラーを更に含む。構造化ミラーは、光学ミラー上に光学隆起を含むことができる。光学隆起は、例えば、印刷又は高精細化(例えば、キャスティング及び硬化)によって形成することができる。
【0044】
図7A及び
図7Bは、本説明による、離隔した光学隆起を有する構造化ミラー700の代替的な実施形態を提供する。
図7Aは、光学ミラー710と、個別の離隔した光学隆起720のアレイを含む不連続層721と、を含む構造化ミラー700を示す。
図7Aの実施形態では、光学隆起720は、規則的(例えば、長方形、正方形、又は六角形)又は不規則的(例えば、ランダム又は擬似ランダム)配列であってもよい配列で離隔され、光学ミラー710の表面上に直接配置される。いくつかの実施形態では、光学隆起720は、光学ミラー710の表面積のある割合を覆い、近赤外光の少なくともいくつかの波長に対して実質的に透過性を維持しながら、耐ウェットアウト性能(並びにニュートンリングなどの他の望ましくない光学的影響の低減)に寄与し得る丸みを帯びた隆起である。いくつかの実施形態では、光学ミラー710の表面の面積被覆率は、約10%~約40%であってもよい。
【0045】
図7Bは、構造化ミラー700’の代替実施形態を示し、これは、光学ミラー710と、実質的に平面状のランド部722によって分離された光学隆起720’を特徴とする連続層721’と、を含む。
図7Bの実施形態は、主に、(
図7Aのように)光学ミラー710上に直接配置された光学隆起720を有するのではなく、連続層721’及び光学隆起720’が、光学ミラー710上に配置される単一の構成要素として形成されるという点で、
図7Aの実施形態と異なる。
図7Aの実施形態と同様に、
図7Bの実施形態は、いくつかの実施形態において、光学ミラー710(連続層721’のランド部722を含む)上の光学隆起720’の面積被覆率が約10%~約40%であってもよい。
【0046】
光学隆起720、720’に好適な材料としては、例えば、OP1028 Premium Gloss HS Overprint Varnish、OP2018 Imprintable Matte UV Varnish、及び9308 UV Flexo Ink(全てNazdar Ink Technologies(Shawnee,KS)によって製造される)が挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光に対して、光学ミラー710は、少なくとも第1の偏光状態について可視波長範囲内で約30%超(又は本明細書の他の場所に記載される範囲内)の平均光反射率と、第1の偏光状態及び直交する第2の偏光状態の各々について赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長で約20%超(又は本明細書の他の場所に記載される範囲内)の正透過率と、を有する。いくつかの実施形態では、光学隆起720、720’は、第1及び第2の偏光状態の各々における可視及び赤外波長範囲の各々に対して、約50%超、又は約60%超、又は約70%超の平均光透過率を有する。
【0048】
関連する光学隆起は、2020年5月8日に出願された「OPTICAL FILM WITH DISCONTINUOUS COATING」と題する米国仮同時係属出願第63/021773号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
光学ミラー710は、複数の交互の第1及び第2のポリマー層11及び12を含むことができ(例えば、100、100’が交互に光学ミラーを含む
図1~2を参照)、第1及び第2のポリマー層の各々は、約500nm未満の厚さ、又は約350nm未満の厚さ、又は約300nm未満の厚さである。光学ミラーは、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、単一パケット又はより厚い中間層によって分離された複数パケットを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学ミラー710は、交互の第1及び第2の誘電体層を含み、第1及び第2の層のうちの少なくとも一方は無機層である。例えば、光学ミラー710は、誘電反射体とすることができる。いくつかの実施形態では、光学ミラー710は、金属層である、又は金属層を含む。
【0050】
図8~
図9は、いくつかの実施形態による、それぞれ、第1の偏光状態(
図8の透過率136)及び直交する第2の偏光状態(
図9の透過率134)における実質的な垂直入射光40に対する、反射偏光子、又は反射偏光子を含む光学構造物、又は別の光学素子についての透過率対波長の概略プロットである。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光40及び所定の波長範囲(例えば、λ1~λ2及び/又は少なくとも450nm~650nmに及ぶ範囲)に対して、反射偏光子100、100、又は200は、第1の偏光状態171において少なくとも約40%の平均光透過率Tpと、直交する第2の偏光状態172において少なくとも約70%の平均光反射率Rと、を有する。いくつかの実施形態では、平均光透過率Tpは、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、平均光反射率Rは、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%である。ある入射角θで入射する光170に対する透過率135対波長も、
図8に概略的に示されている。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態及び所定の波長範囲(例えば、約450nm~約650nmの可視範囲、約930nm~約970nmの赤外範囲、又は約400nm~約800nmの範囲)において、反射偏光子又は光学構造物は、小さい入射角で入射する光に対しては大きい平均光透過率(例えば、透過率136)を有し、大きい入射角で入射する光に対しては小さい平均光透過率(例えば、透過率135)を有する。小さい入射角は、0度から約20度の範囲内とすることができる、又は例えば、約0度とすることができる。大きい入射角は、約30度~約50度の範囲内とすることができる、又は例えば、約45度とすることができる。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲に対して、反射偏光子又は光学構造物は、任意の入射面に対する第1の(通過)偏光状態において、実質的な垂直入射光に対して大きい平均光透過率を有し、約45度の入射角で入射する光に対して小さい平均光透過率を有する。いくつかの実施形態では、大きい平均光透過率と小さい平均光透過率との間の差は、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%である。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の偏光状態における実質的な垂直入射光に対する透過率は、所定の波長範囲内の短い波長に対しては高くなり、所定の波長範囲内のより長い第2の波長に対しては低くなる。そのような傾斜した遮断状態透過率は、例えば、視野角に伴う色ずれを低減することができる。
【0052】
平均透過率(それぞれの反射率)は、所定の波長範囲にわたる透過率(それぞれの反射率)の平均である。吸収が無視できるほど小さい反射偏光子又は光学構造物の場合、反射率Rは約100%から透過率を引いたものである。透過率136は、反射偏光子又は光学構造物の通過状態透過率であり、透過率134は、反射偏光子又は光学構造物の遮断状態透過率である。代替的に、透過率134は、例えば、任意の偏光状態又は非偏光に対する光学ミラーの全透過率又は正透過率を表すことができる。透過率及び反射率は、別段の指示がない限り、それぞれ全透過率及び全反射率であると理解することができる。波長範囲λ1~λ2の実質的な垂直入射光40に対する、第1の(通過)偏光状態における平均透過率Tpと、第2の(遮断)偏光状態(又は光学ミラーのいずれかの偏光状態)における平均透過率Tblとが、
図8~
図9に示されている。Rの示された値は、ほぼ、λ1~λ2の波長範囲内の実質的な垂直入射光40に対する平均光反射率である。
【0053】
いくつかの実施形態では、例えば、λ1は約400nm又は約450nmであってもよく、λ2は約650nm、約700nm又は約800nmであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、λ3は約930nm又は約950nmであってもよく、λ4は約1100nm又は約970nmであってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、透過率134は、光学ミラー(例えば、光学ミラー710)の透過率を表す。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光40に対して、光学ミラーは、少なくとも第1の偏光状態(例えば、偏光状態171、172の一方又は両方)において約450nm~約650nmの可視波長範囲で約30%超の平均光反射率Rを有する。いくつかの実施形態では、平均光反射率Rは、第1及び第2の偏光状態の各々において、可視波長範囲で約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超である。いくつかの実施形態では、透過率134は、光学ミラーの正透過率を表す。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光40に対して、光学ミラーは、第1の偏光状態及び直交する第2の偏光状態の各々において、約930nm~約970nmの赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長(例えば、λ3又はλ4又はそれらの間の波長)に対して約20%超の正透過率を有する。いくつかの実施形態では、正透過率は、第1及び第2の偏光状態の各々において、赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、約40%超、又は約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超である。
【0055】
図10は、実質的な垂直入射光40に対する第1の(遮断)偏光状態における反射偏光子(例えば、反射偏光子100、100’、又は200)の光透過率630対波長の概略プロットである。光透過率630はバンドエッジ631を有する。いくつかの実施形態では、バンドエッジにおいて光透過率が約10%から少なくとも約70%まで(例えば、約10%から約70%まで、又は約10%から約80%まで)増加する波長範囲に少なくともわたり、光透過率を波長に相関させる、バンドエッジ631への最良の線形フィットは、約2.5%/nmより大きい、約3%/nmより大きい、又は約3.5%/nmより大きい、又は約4%/nmより大きい、又は約4.5%/nmより大きい、又は約5%/nmより大きい勾配を有する。いくつかの実施形態では、短い波長L1から長い波長L2に及ぶ第1の波長範囲R1に対して、30nm≦L2-L1≦50nmであり、L1は、バンドエッジ631において約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内である場合、光透過率630は、約75%超、又は約80%超、又は約85%超の平均T1を有する。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、指紋検出のために第1の波長W1を有する光を放射するように構成された感知光源(例えば、指感知に使用される赤外光源)を有するディスプレイシステムに使用される。いくつかの実施形態では、第1の波長W1は第1の波長範囲R1内にある。W1は、例えば、約850nm又は約940nmとすることができる。いくつかの実施形態では、波長L3は、約800nm~約1100nm、又は約810nm~約840nm、又は約900nm~約930nmの範囲内にある。例えば、いくつかの実施形態では、波長L3は約810nm~約840nmの範囲内にあり、かつ波長W1は約850nmである、又は波長L3は約900nm~約930nmの範囲内にあり、かつ波長W1は約940nmである。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の波長範囲R1における高い透過率は、少なくとも部分的に、鋭いバンドエッジに起因して達成される。例えば、バンドエッジ631は、他の箇所で説明される範囲内の勾配を有することができる。鋭いバンドエッジを有する光学フィルムは、当該技術分野において知られており、例えば、米国特許第6,967,778号(Wheatleyら)に記載されている。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲R1における高透過率は、少なくとも部分的に、より厚い交互のポリマー層を含む反射偏光子の側面近傍の層厚プロファイルに起因して達成される。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、第1の勾配で概ね増加する層厚プロファイルを有する第1の部分と、第1の部分に隣接し、第1の勾配よりも実質的に大きい大きさを有する第2の勾配で概ね減少する層厚プロファイルを有する第2の部分と、を含むポリマー層のパケットを含む。外層20及び50の厚さはまた、他の層から反射された光との光学干渉を受け得る外層の表面から反射された光に起因して、第1の波長範囲R1における反射偏光子の透過スペクトルに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、外層20及び50の各々は、例えば、約1ミクロン~約5ミクロンの範囲の平均厚さを有する。
【0057】
図11は、いくつかの実施形態による、複数のポリマー層10、11の層番号に対する平均層厚さのプロット210である。厚プロファイルは、反射偏光子全体又は反射偏光子のパケット(例えば、141又は142)内の複数のポリマー層10、11についてのものであり得る。
図12~14は、
図11のプロットの一部である。
【0058】
層厚プロファイルは、適切なフィードブロック設計及び処理を通じて選択することができる。例えば、米国特許第6,783,349号(Neavinら)に記載されている多層フィードブロック内の軸方向ロッドヒータ電力レベルを使用して、層厚プロファイルを制御することができる。
【0059】
平均層厚プロファイルは、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定することができる。測定の誤差を低減するために、層の平均厚さを移動平均として決定することができる。層は、最も薄い層から最も厚い層まで番号付けすることができ、移動平均は、より小さい層番号の10層、特定の層、及びより高い番号の9層を含む20層にわたって平均化することができる。プロファイルの端部近傍では、特定の層の前又は後のより少ない数しか利用できないため、より少ない層が移動平均に使用される。例えば、325層を有するフィルム又はパケットの場合、層1の平均厚さは、層1~10の平均厚さであり、層2の平均厚さは、層1~11の平均厚さであり、層101の平均厚さは、層91~110の平均厚さであり、層325の平均厚さは、層315~325の平均厚さであり、層324の平均厚さは、層314~325の平均厚さである。
【0060】
いくつかの実施形態では、複数のポリマー層11、12の層番号に対する平均層厚さtのプロット210は、より高い層番号を有する少なくともQ2個の順次配列されたポリマー層を含む右領域213から、より低い層番号を有する少なくともQ1個の順次配列されたポリマー層を含む左領域212を分離する、急な折れ曲がり領域211を含み、左領域212における少なくともQ1個の順次配列されたポリマー層への線形フィット214(例えば、
図12を参照)は、約0.8より大きいr二乗値216で、層番号当たり約0.04nmより大きい大きさの正の線形勾配215を有し、右領域213における少なくともQ2個の順次配列されたポリマー層への線形フィット217(例えば、
図13を参照)は、十分に大きな大きさの負の線形勾配218を有し、そのため、第1の偏光状態の実質的な垂直入射光40に対して、反射偏光子の光透過率230(
図15を参照)対波長は、約800nmと約1100nmとの間にバンドエッジ231を有し、少なくともバンドエッジにおいて光透過率が約10%から少なくとも約80%まで増加する波長範囲にわたって光透過率を波長に相関させるバンドエッジ231への最良の線形フィット232(例えば、
図16を参照)は、バンドエッジ勾配について、約3%/nm超、又は約4%/nm超、又は本明細書に記載の範囲のうちの任意の範囲内の勾配233を有する。いくつかの実施形態では、最良の線形フィット232は、約0.8、又は約0.85より大きい、又は約0.9より大きい、又は約0.93より大きい、又は約0.95より大きいr二乗値238を有する。Q1は、約100超の整数である。いくつかの実施形態では、Q1は、少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも180である。Q2は、約10超の整数である。いくつかの実施形態では、Q2は、少なくとも10、又は少なくとも12、又は少なくとも14である。
【0061】
いくつかの実施形態では、右領域213における少なくともQ2個の順次配列されたされたポリマー層への線形フィット217は、約0.8より大きいr二乗値219で、層番号当たり約0.1nmより大きい大きさを有する負の線形勾配218を有する。いくつかの実施形態では、線形フィット217の負の線形勾配218は、層番号当たり約0.12nmより大きい、又は層番号当たり約0.14nmより大きい、又は層番号当たり約0.16nmより大きい大きさを有する。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、線形フィット217のr二乗値119は、約0.8より大きい、又は約0.85より大きい、又は約0.9より大きい。
【0062】
いくつかの実施形態では、線形フィット214の正の線形勾配215は、層番号当たり約0.05nmより大きい、又は層番号当たり0.06より大きい、又は層番号当たり約0.07より大きい大きさを有する。いくつかのこのような実施形態又は他の実施形態では、線形フィット214のr二乗値216は、約0.8より大きい、又は約0.85より大きい、又は約0.9より大きい、又は約0.95より大きい。
【0063】
いくつかの実施形態では、複数のポリマー層の層番号に対する平均層厚さtのプロット210は、より高い層番号を有する少なくとも10の順次配列されたポリマー層を含む右領域213から、より低い層番号を有する少なくとも100の順次配列されたポリマー層を含む左領域212を分離する、急な折れ曲がり領域211を含み、急な折れ曲がり領域211を含む少なくとも15の順次配列されたポリマー層への三次多項式フィット320(例えば、
図14を参照)は、約0.8より大きいr二乗値323で、正の三次係数321と負の二次係数322とを有する。いくつかの実施形態では、r二乗値323は、約0.85より大きい、又は約0.9超より大きい。いくつかの実施形態では、左領域212は、少なくとも150個又は少なくとも180個の順次配列されたポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、右領域213は、少なくとも12個又は少なくとも14個の順次配列されたポリマー層を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、反射偏光子100、100’、又は200は、1~Nから順次番号付けされた複数のポリマー層10、11を含み、Nは、約150より大きい整数であり、ポリマー層10、11の各々は、約350nm未満又は約300nm未満の平均厚さを有する。反射偏光子100、100’は、例えば、約500nmよりも厚いポリマー層10、11に加えて、他の層(例えば、146、147、143a、143b)を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11の層番号に対する平均層厚さtのプロット210は、反射偏光子100、100’、200、又は複数のポリマー層10、11が本明細書の他の箇所で説明される反射率及び透過率特性を有するように、複数のポリマー層10、11内の最も厚いポリマー層224を含む急な屈曲領域211を含む。
【0065】
図15は、反射偏光子100、100’の光透過率230対波長のプロットである。
図16~
図18は、
図15のプロットの一部である。光透過率230は、第1の偏光状態171を有する実質的な垂直入射光40についてのものとすることができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、第1の偏光状態171に直交する第2の偏光状態172を有する光を実質的に透過する。短波長を反射するパケットも含む、反射偏光子において長波長を反射するパケットについての
図11の層厚プロファイルは、光透過率230を生成することができる。交互のポリマー層に好適な材料としては、例えば、高屈折率材料としてポリエチレンナフタレート(PEN)及び、低屈折率材料として様々なコポリエステルとポリカーボネートとのポリマーブレンドが挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、複数のポリマー層10、11、又は反射偏光子100、100’は、約400nm~約800nmに延びる第1の波長範囲において第1の偏光状態171を有する入射光40の約80%超を反射し、第1の波長範囲において第1の偏光状態171に直交する第2の偏光状態172を有する入射光の約40%超、又は約50%超を透過し、第1及び第2の偏光状態171及び172の各々において約950nm~約1300nmに延びる第2の波長範囲内の入射光の約60%超を透過し、第1の偏光状態171における光学フィルムの光透過率230対波長は、約800nm~約1100nmのバンドエッジ231を含む。いくつかの実施形態では、バンドエッジ231は、約850nm~約950nmである。いくつかの実施形態では、バンドエッジにおいて光透過率が約10%から少なくとも約70%まで増加する少なくとも波長範囲にわたって光透過率を波長に相関させるバンドエッジ231への最良の線形フィット232(例えば、
図16を参照)は、約3%/nm超、又はバンドエッジ勾配について他の箇所に記載された任意の範囲内(例えば、約4%/nm超)の勾配233を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、最良の線形フィット232が20%である第1の波長λaから最良の線形フィット232が80%である第2の波長λbまでの波長範囲R2(例えば、
図16を参照)は、約30nm未満の幅、又は約20nm未満の幅、又は約15nm未満の幅である。いくつかの実施形態では、透過率が少なくとも約20%である約600nm超の最小波長から透過率が少なくとも約80%である約600nm超の最小波長までの波長範囲は、約30nmの幅、又は約20nm未満の幅、又は約15nm未満の幅である。
【0068】
いくつかの実施形態では、バンドエッジと約2000nm又は約1600nm又は約1300nmとの間の少なくとも200nm幅の波長範囲にわたる光透過率230に対する二次多項式フィット234(例えば、
図17を参照)は、約0.6より大きいr二乗値239及び約80%未満の最小光透過率Tminを有する。バンドエッジと約2000nm又は約1600nm又は約1300nmとの間の波長範囲は、例えば、約950nm~約1200nmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、r二乗値239は、約0.7超、又は約0.75超である。いくつかの実施形態では、二次多項式フィット234は、正の二次係数281及び負の一次係数282を有する。いくつかの実施形態では、二次多項式フィット234は、約75%未満の最小光透過率Tminを有する。いくつかの実施形態では、最小光透過率Tminは、約60%超である、又は約65%超である。
【0069】
本明細書に記載の線形フィットは、当該技術分野で知られているように、線形最小二乗フィットであり得る。多項式フィットは、同様に最小二乗フィットであり得る。そのようなフィットは、残差の二乗の合計を最小限に抑え、残差はデータとフィット曲線(線又は多項式)との差である。最小二乗分析により、決定係数と呼ばれることがあるr二乗値を決定することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光と、短い波長L1から長い波長L2に及ぶ第1の波長範囲R2(例えば、
図18を参照)(30nm≦L2-L1≦50nmであり、L1は、バンドエッジにおいて約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内である)において、光透過率230は、約75%超、又は約80%超、又は約85%超の平均を有する。いくつかの実施形態では、35nm≦L2-L1≦45nmである。いくつかの実施形態では、L1は、波長L3の約18nm以内又は約16nm以内である。
【0071】
関連する反射偏光子は、2020年5月8日に出願された「OPTICAL FILM」と題する米国仮同時係属出願第63/021743号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
図19~
図20は、光学拡散層を含む光学素子の実質的な垂直入射非偏光40の透過率対波長のプロットである。
図19は、(例えば、反射偏光子200に対応する)反射偏光子の全透過率、拡散透過率、及び正透過率を示し、
図20は、(例えば、光学拡散フィルム300に対応する)光学拡散フィルムの全透過率、拡散透過率、及び正透過率を示す。
【0073】
図19は、入射光40が非偏光であり、反射偏光子が光学拡散層(例えば、光学拡散層30に対応する)を含む例示的な反射偏光子の実質的な垂直入射光40の透過率対波長のプロットである。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光40に対して、反射偏光子は、約450~約485nm(波長範囲180)、約500~約565nm(波長範囲181)、及び約625~約680nm(波長範囲182)のそれぞれの波長範囲において平均拡散光透過率Tb、Tg、及びTrを有し、Tb>Tg>Trである。いくつかの実施形態では、Tb、Tg、及びTrは、約30%未満、又は約25%未満、又は約20%未満である。いくつかの実施形態では、Tb-Tg及びTg-Trはそれぞれ、約1%超、又は約2%超である。いくつかの実施形態では、Tr-Tgは、約3%超、又は約5%超である。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光40に対して、反射偏光子の全透過率は、約800~1100nmの間に離隔した第1及び第2のプラトー領域183及び184を有し、各プラトー領域は少なくとも20nm幅である。第1及び第2のプラトー領域183及び184は、それぞれ平均全透過率P1及びP2を有する。いくつかの実施形態では、P2はP1よりも、約20%超、又は25%超、又は30%超、又は35%超大きい。いくつかの実施形態では、第1のプラトー領域183は、800nmと第2のプラトー領域184との間に配置される。いくつかの実施形態では、第1のプラトー領域183は860nmを含み、第2のプラトー領域184は950nmを含む。
【0074】
図19の反射偏光子、実質的な垂直入射非偏光40a、及び約450nm~約650nmの可視波長範囲に対して、反射偏光子は、約25.27%の平均全透過率Vt、約10.75%の平均拡散透過率Vd、及び約14.52%の平均正透過率Vsを有する。
図19の反射偏光子、実質的な垂直入射非偏光40b、及び約930nm~約970nmの赤外波長範囲に対して、反射偏光子は、約86.66%の平均全透過率It、約13.89%の平均拡散透過率Id、及び約75.77%の平均正透過率Isを有する。
【0075】
図20は、いくつかの実施形態による、例示的な光学拡散フィルム(例えば、光学拡散フィルム300に対応する)の実質的な垂直入射光40の透過率対波長のプロットである。いくつかの実施形態では、非偏光であり得る実質的な垂直入射光40に対して、光学拡散フィルムは、約450~約485nm(波長範囲180)、約500~約565nm(波長範囲181)、及び約625~約680nm(波長範囲182)のそれぞれの波長範囲において平均拡散光透過率Tb、Tg、及びTrを有し、Tb>Tg>Trである。いくつかの実施形態では、Tbは、約80%未満、又は約70%未満である。いくつかの実施形態では、Tbは、約40%超、又は約50%超である。いくつかの実施形態では、Trは、約35%超、又は約40%超である。いくつかの実施形態では、Trは、約65%未満、又は約60%未満である。いくつかの実施形態では、Tb-Tg及びTg-Trの各々は、約1%超、又は約2%超である。いくつかの実施形態では、Tb-Trは、約5%超、又は約10%超である。いくつかの実施形態では、光学拡散フィルムは、約450nm~約970nmの波長範囲にわたって概ね減少する(例えば、単調に減少する又は増加しない)拡散光透過率と、約450nm~約970nmの波長範囲にわたって概ね増加する(例えば、単調に増加する又は減少しない)正光透過率と、を有する。いくつかのそのような実施形態では、全光透過率は、概して、約450nm~約970nmの波長範囲にわたって増加する。
【0076】
図20の光学拡散フィルム、実質的な垂直入射非偏光70a及び約450nm~約650nmの可視波長範囲に、光学拡散フィルムは、約76.06%の平均全透過率Vt、約57.43%の平均拡散透過率Vd、及び約18.63%の平均正透過率Vsを有する。
図20の光学拡散フィルム、実質的な垂直入射非偏光40b、及び約930nm~約970nmの赤外波長範囲に対して、光学拡散フィルムは、約86.94%の平均全透過率It、約25.69%の平均拡散透過率Id、及び約61.25%の平均正透過率Isを有する。
【0077】
図21は、いくつかの実施形態による、ディスプレイシステム1000に適用されたユーザ260の指261を感知するためのディスプレイシステム1000の概略分解断面図である。ディスプレイシステム1000は、ユーザ260が見るための画像371を生成するように構成されたディスプレイパネル370と、ディスプレイパネル370に照明188を提供するための光導波路190と、ディスプレイパネル370と光導波路190との間に配置された反射偏光子201と、反射偏光子201の反対側の光導波路190に近接配置されたユーザ260の指261を感知するためのセンサ125と、ユーザ260の指261に向けて(直接的又は間接的に)赤外光221を放射するように構成された感知光源220と、を含む。図示の実施形態では、光学拡散フィルム又は層301が、反射偏光子201と光導波路190との間に配置されている。反射偏光子201は、例えば、反射偏光子100、100’、又は200に対応することができる。光学拡散フィルム又は層301は、例えば、光学拡散フィルム300又は光学拡散層120に対応することができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子201は、反射偏光子201の構造化主面上に適合するように配置された第1の光学拡散層を含み、光学拡散フィルム又は層301は、第2の光学拡散層である、又はそれを含む。センサ125は、指261によって反射された赤外光222の少なくとも一部を受光するように構成されている。図示の実施形態では、ディスプレイシステム1000は、光導波路190とセンサ125との間に配置されたミラー701を更に含む。ミラー701は、例えば、他の箇所で説明した構造化ミラー700又は700’に対応することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、光導波路190は、導光板191と、導光板191に光193を射出するように構成された少なくとも1つの光源192と、を含む。いくつかの実施形態では、導光板191は、導光板191の平面(例えば、x-y平面)を画定する2つの直交方向に延び、導光板191を出る光(例えば、照明188)は、導光板191の平面に対して約70度又は約80度~約89度の範囲の角度をなす方向に概ね伝搬する。その角度は、例えば、約85度とすることができる。
【0079】
感知光源220は、例えば、約850nm又は約940nmのピーク発光波長を有する赤外光源であり得る。指261とセンサ125との間に配置された光学構成要素(例えば、反射偏光子201、光学拡散フィルム又は層301、導光板191、及びミラー701)は好ましくは、ピーク発光波長に対して少なくとも部分的に透過性である。
【0080】
感知光源220は、ディスプレイシステム内の任意の適切な位置に配置することができる。例えば、感知光源220は、ディスプレイシステムの任意の様々な層に隣接配置することができる。
図22~
図23は、感知光源の他の可能な位置を概略的に示す。
図21~
図23に示される感知光源の位置は、例示的なものに過ぎず、いかなる意味においても限定するものではない。
【0081】
図22は、いくつかの実施形態による、ディスプレイシステム1000’に適用されたユーザ260の指261を感知するためのディスプレイシステム1000’の概略分解断面図である。ディスプレイシステム1000は、ユーザ260が見るための画像371を生成するように構成されたディスプレイパネル370と、ディスプレイパネル370に照明188を提供するための光導波路190と、ディスプレイパネル370と光導波路190との間に配置された光学構造物400であって、光学拡散フィルム300上に配置された反射偏光子200を含む、光学構造物400と、反射偏光子200の反対側の光導波路190に近接配置されたユーザ260の指261を感知するためのセンサ125と、ユーザ260の指261に向けて赤外光221を放射するように構成された感知光源220’と、を含む。反射偏光子200の第1の構造化主面21は、ディスプレイパネル370と複数のポリマー層14との間に配置されている。例示の実施形態では、ディスプレイシステム1000’は、ディスプレイパネル370の上方に配置され、ユーザ260が見るために画像371を透過させるように構成されたカバーガラス372を含む。感知光源220’は、カバーガラス372の下方に配置されている。図示の実施形態では、ディスプレイシステム1000は、光導波路190とセンサ125との間に配置された構造化ミラー700’’を更に含む。構造化ミラー700’’は、光学ミラー710’’と、光学ミラー710’’上に形成され、光導波路190に面する個別の離隔した光学隆起720’’のアレイと、を含む。構造化ミラー700’’は、他の箇所で説明した構造化ミラー700又は700’に対応することができる。
【0082】
図23は、いくつかの実施形態による、ディスプレイシステム1000’’に適用されたユーザ260の指261を感知するためのディスプレイシステム1000’’の概略分解断面図である。ディスプレイシステム1000’は、概して、感知光源220’の配置を除いて、ディスプレイシステム1000’に対応する。感知光源220’’は、構造化ミラー700’’が感知光源220’’と光導波路190との間にくるように配置されている。
【0083】
本明細書の他の箇所で更に説明されるように、いくつかの実施形態では、反射偏光子200は、小さい入射角で入射する可視通過状態光(例えば、p偏光通過状態光)に対して大きい平均光透過率を有し、大きい入射角で入射する光に対して小さい平均光透過率を有するコリメート反射偏光子である。そのような偏光子は、光を再利用するように、大きな入射角を有する光をミラー700’’に向けて反射して戻すことによって、コリメート効果を提供することができる。液晶ディスプレイ(LCD)は、ディスプレイの軸上輝度を向上させるために輝度向上プリズムフィルム(典型的には交差プリズムフィルム)を含むことが多い。場合によっては、そのようなフィルムは、コリメート反射偏光子が含まれるときには省略することができる。ディスプレイシステム1000、1000’、1000’’のいくつかの実施形態では、ディスプレイパネル370とミラー701又は700’’との間に輝度向上プリズムフィルムが配置されていない。
【0084】
関連するディスプレイシステムは、2020年5月8日に出願された「DISPLAY CONSTRUCTION AND DISPLAY SYSTEM」と題する米国仮同時係属出願第63/021739号に記載されており、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
【0086】
数値モデリング研究は、2つの厚いスキン層の間に挟まれた650ミクロ層からなる3つの異なる層厚プロファイルを使用して完了した。650ミクロ層は、複屈折高屈折率光学層(HIO)と等方性低屈折率光学層(LIO)との間に一つおきに置いた。633nmでのこのモデルに使用される屈折率を以下の表に示す。これらの屈折率は、多層反射偏光子フィルムから推測された。そのフィルムは、HIO材料としてPENと、LIO材料として15.0重量パーセントのPETG、40.8重量パーセントのPCTG、17.0重量パーセントのPC1804、及び27.2重量パーセントのPC2405のポリマーブレンドと、を使用する多層共押出プロセスによって作製された。次いで、フィルムを、横方向に6:1の延伸比で標準テンターで連続的に伸長し、縦方向に拘束した(延伸又は弛緩なし)。延伸に使用したオーブン温度は270°Fであった。屈折率は、どの指数が測定されたスペクトルと650ミクロ層フィルムの計算されたスペクトルとの間に最良フィットをもたらしたかを見出す数値モデルを使用することによって推測された。原子間力顕微鏡(Bruker Instruments(Billerica,MA)製のDimension ICON)を使用して層厚を測定した。
【表2】
【0087】
3つのモデル層厚プロファイルを
図24に示し、以下のように定義する。
【0088】
層プロファイル1:遮断偏光状態について約400ナノメートル~約930ナノメートルの反射率を提供するように設計された提案層プロファイル
【0089】
層プロファイル2:層プロファイル1と比較して、指数関係t=tm-Ae-(N-n)/dを利用してアポダイズされた「上」構成を有し、式中、Aは振幅係数、dはアポダイズ特徴が侵入する層の数、tmはアポダイズ特徴の開始時の層厚、Nが層の総番号、nが層番号である。層プロファイル2については、A=-20nm及びd=5である。
【0090】
層プロファイル3:層プロファイル1と比較して、層プロファイル2と同じ機能形態を利用して、アポダイズされた「下」構成を有する。層プロファイル3については、A=20nm及びd=5である。
【0091】
これらの材料を用いてこれらの層プロファイルの光学性能をシミュレートするために、数値光学モデルを採用して、遮断状態におけるこれらの反射偏光子について得られた透過スペクトルを計算した。各層プロファイルについて計算を行い、各スキン層は、1.5、2.5、及び5.0マイクロメートル厚であるLIO材料からなるものとした。以下の表は、反射偏光子1~9のパラメータを定義し、各層プロファイルについて930~980ナノメートル帯域にわたる計算された平均透過率、及び各層プロファイルについての平均帯域幅(全てのスキン厚の平均)を示す。透過率が20%に達する第1の波長から、透過率が最終的に80%達成される波長までの帯域幅を計算した。
【表3】
【0092】
得られた遮断状態透過スペクトルは、厚さ1.5マイクロメートルのスキン層(反射偏光器1、2、及び3)については
図25に示し、厚さ2.5マイクロメートルのスキン層(反射偏光子4、5、及び6)については
図26に示し、厚さ5.0マイクロメートルのスキン層(反射偏光子7、8、及び9)については
図27に示す。
【0093】
図28及び
図29は、層厚プロファイルと透過スペクトル形状との間の関係を示す反射偏光器10及び11の実験の層厚プロファイル及び透過スペクトルをそれぞれ示す。これらのフィルムを作製するために使用された材料、層構成、及びプロセス条件を上記で説明し、層厚プロファイルを同じ原子間力顕微鏡システムで測定した。これらの層厚プロファイルを選択するために使用されるプロセスパラメータは、米国特許第6,783,349号(Neavinら)に記載されているように、多層フィードブロック内の軸方向ロッドヒータ電力レベルであった。スキン層は、反射偏光器10及び11について厚さ1.5マイクロメートルであった。
図28は、2つの反射偏光子フィルムについてフィードブロックシステムによって送達される最後の325層の測定された層厚プロファイルを示す。
図29は、反射偏光器10及び11について得られる遮断状態透過スペクトルを示す。反射偏光子11は、反射偏光子10と比較して高い正の勾配を有する数が少なかった。反射偏光子11は、反射偏光子10よりも右バンドエッジに隣接する波長範囲(910~950nm)においてより高い透過率を示した。
【0094】
ビーズコーティング溶液の調製:
最初に、前駆体溶液WB50を以下のように調製した。1ガロンのポリエステルケトルに、111.9g(5.5モル%)の5-ソジオスルホイソフタル酸、592.1g(47.0モル%)のテレフタル酸、598.4g(47.5モル%)のイソフタル酸、705.8gのエチレングリコール、599gのネオペンチルグリコール、0.7gの酸化アンチモン、及び2.5gの酢酸ナトリウムを入れた。混合物を撹拌しながら窒素下345kPa(50psi)で230℃まで2時間加熱し、その間に水の発生が観察された。温度を250℃に上昇させ、次いで圧力を低下させ、真空を加え(0.2トル)、温度を270℃に上昇させた。材料の粘度は45分間にわたって増加し、その後、高分子量の透明な粘性スルホポリエステルが排出された。このスルホポリエステルは、DSCによって70.3℃のTgを有することが分かった。理論上のスルホネート当量は、スルホネート1モル当たり3847gのポリマーであった。500gのポリマーを、2000gの水及び450gのイソプロパノールの混合物に80℃で溶解した。次いで、イソプロパノール(及び水の一部)を除去するために、温度を95℃に上げた。最終分散液は、固形分20重量%の水性分散液からなっていた。
【0095】
以下の表に詳述する投入物を混合し、均質になるまで撹拌することによって、コーティング溶液を調製した。
【表4】
【0096】
反射偏光子12
多層光学(MOF)フィルムを、ミクロ層の2つの連続的な(積層)パケットを用いて製造し、各パケット中の325個の個々のミクロ層は、パケット接合層によって取り囲まれる。各パケット内のミクロ層は、材料A及び材料Bの交互層として配置された。材料Aは、複屈折ポリエステルPENであり、材料Bは、85:15の比のPC:PCTG及びPETGのブレンドであった。ミクロ層パケットは、可視波長及び近IR波長の領域にわたる反射帯域を有するように設計した。次いで、フィルムを、横方向に6:1の延伸比で標準テンターで連続的に伸長し、縦方向に拘束した(延伸又は弛緩なし)。延伸に使用したオーブン温度は270°Fであった。このフィルムの製造のためのプロセス条件は、以下の表に示されるように、測定されたスペクトルが、波長依存屈折率値を用いて計算されたスペクトルと一致するように選択された。材料n
x、n
y、及びn
zのそれぞれの屈折率は、x方向(横方向)、y方向(縦方向)、及びz方向(厚さ方向)に沿っている。n
isoは、PC:PCTG、PETGブレンドの等方性屈折率である。
【表5】
【0097】
s偏光状態及びp偏光状態における横方向に対して90度の角度φ、0度(垂直入射)及び60度の入射角θをなす入射面について、反射偏光子12の代表的なスペクトルを測定し、
図30Aに示す。原子間力顕微鏡(Bruker Instruments(Billerica、MA)製のDimension ICON)を使用して層厚を測定し、
図30Bに示す。
【0098】
反射偏光子13
未延伸キャストウェブのパケット1の表面に、リバースキス構成のグラビアロールを用いて溶液Aを連続的にコーティングした。次いで、コーティングされたウェブを、オーブンの温度を65℃超に維持したコーティングオーブンに少なくとも5秒間通過させた。一緒にグループ化されていない未延伸キャストウェブ上でビーズを顕微鏡下で観察し、ビーズは、コーティング溶液中と同じ濃度でウェブの表面に送達されているように見えた。このビーズコーティングされたキャストフィルムを伸長及び延伸させて、反射偏光子12について記載したようなビーズコーティングされたMOFを得た。
【0099】
Keyence顕微鏡を使用して単位面積当たりのビーズ数を計数し、~約175ビーズ/mm
2であることが分かった。反射偏光子13の代表的なスペクトルを測定し、
図31に示す。
【0100】
反射偏光子14
未延伸キャストウェブのパケット1の表面に、リバースキス構成のグラビアロールを用いて溶液Aを連続的にコーティングした。次いで、コーティングされたウェブを、オーブンの温度を65℃超に維持したコーティングオーブンに少なくとも5秒間通過させた。次いで、溶液Aでコーティングされたキャストウェブの他方の側(パケット2の表面)を、溶液Bで連続的にコーティングし、溶液Aと同じように乾燥させた。一緒にグループ化されていない未延伸キャストウェブ上で、顕微鏡下でビーズを観察し、ビーズは、コーティング溶液中と同じ濃度でウェブの表面に送達されているように見えた。このビーズコーティングされたキャストフィルムを、反射偏光子12について説明したように伸長及び延伸させて、両側ビーズコーティングされたMOFを得た。Keyence顕微鏡を使用して単位面積当たりのビーズ数を計数し、~約175ビーズ/mm2であることが分かった。
【0101】
反射偏光子15
コーティング溶液Bをコーティング溶液Cに置き換えたことを除いて、反射偏光子14と非常に類似する反射偏光子15を調製した。Keyence顕微鏡を使用して単位面積当たりのビーズ数を計数し、~約182ビーズ/mm2であることが分かった。反射偏光子15の断面は、
図3Aに概略的に示された断面と同様であったが、光学拡散層30が存在しない。反射偏光子15の代表的なスペクトルを測定し、
図32に示す。
【0102】
反射偏光子16
反射偏光子15に記載したようなMOFフィルムの厚いパケットの表面を、以下に記載されるように、その溶媒に溶解されたアクリルモノマー中のシリカナノ粒子のスラリーを使用して、コンフォーマル拡散体でコーティングした。
【0103】
最初に、5.95gのA-174及び0.5gの4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(5重量%;4H-2,2,6,6-TMP1-0)を、ガラスジャー中の400gのNALCO2329及び450gの1-メトキシ-2-プロパノールの混合物に、室温で10分間撹拌しながら添加して混合することによって、コーティング前駆体溶液を調製した。ジャーを密封し、80℃で16時間、オーブン内に置いた。次に、60℃のロータリーエバポレータを用いて、溶液の固形分が45重量%に近くなるまで、得られた溶液から水を除去した。得られた溶液に200gの1-メトキシ-2-プロパノールを投入し、次いで、60℃で、ロータリーエバポレータを使用して、残存する水を除去した。この後者の工程を2回繰り返し、溶液から水を更に除去した。最後に、1-メトキシ-2-プロパノールを添加することによって、全シリカナノ粒子の濃度を42.5重量%に調整し、75nmの平均粒径を有する表面修飾シリカナノ粒子を含有するシリカ溶液を生じさせた。
【0104】
次に、コーティング溶液を調製した。コーティング溶液は、20.96重量%の上記の透明前駆体溶液、5.94重量%のSR444、71.55重量%のイソプロピルアルコール、1.48重量%のIRGACURE184、及び0.07重量%のIRGACURE819から構成されていた。コーティング溶液を、(圧力ポットを使用して)スロット型コーティングダイに、反射偏光子15上に7ミクロンの湿潤層厚を生成する速度で圧送した。
【0105】
次に、コーティングされた基材を、UV放射の通過を可能にする石英窓を含むUV-LED硬化チャンバに通過させてコーティングを重合した。UV-LED硬化チャンバは、160個のUV-LEDの矩形アレイ、40個のクロスウェブによる4個のダウンウェブ(およそ42.5cm×4.5cmの領域を被覆する)を含んでいた。LED(Nichia Inc.(Tokyo,Japan)から入手可能)は、385nmの公称波長で動作し、10アンペアで動作させたとき、0.035ジュール/平方cmのUV-A線量をもたらした。UV-LEDを3アンペアで動作させて、本実施例に記載されるフィルムを作製した。水冷式UV-LEDアレイは、Lambda電源(TDK-Lambda(Neptune,NJ)から入手可能)によって電力供給された。UV-LEDを、硬化チャンバの石英窓の上方に、基材から約2.5cmの距離で配置した。UV-LED硬化チャンバに、141.6リットル/mmの流量で窒素流を供給した。空気を窒素供給源に導入して、UV-LEDチャンバ内の全酸素レベルを制御した。UV-LED硬化チャンバ内の酸素濃度を、シリーズ3000酸素濃度計(Alpha Omega Instruments(Cumberland,RI)から入手可能)を使用して監視した。
【0106】
UV-LEDによって重合させた後、硬化したコーティング中の溶媒を除去し、66℃で30秒間乾燥させた。次に、Dバルブ(Fusion UV Systems(Gaithersburg,MD)から入手可能)を備えて構成されたFusion System Model 1600を使用して、乾燥したコーティングを後硬化させた。UV Fusionチャンバに窒素流を供給し、その結果、チャンバ内の酸素濃度を約50ppmとした。これにより、ビーズのコンフォーマルコーティングを有する拡散体コーティングフィルムが得られた。
【0107】
反射偏光子16の断面の概略が
図3Aに示されている。反射偏光子16の代表的なスペクトルを測定し、
図33に示す。
【0108】
【0109】
コーティング前駆体溶液を作製した。5.95グラムの3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン(A-174,Momentive(Waterford,NY))及び0.5グラムの4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(5重量%;4H-2,2,6,6-TMP1-0,Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))を、ガラスジャー中の400グラムの直径75nmのSiO2ゾル(NALCO2329,Nalco Company(Naperville,IL))及び450グラムの1-メトキシ-2-プロパノール(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))の混合物に、室温で10分間撹拌しながら添加した。ジャーを密封し、80℃で16時間、オーブン内に置いた。次に、60℃のロータリーエバポレータを用いて、溶液の固形分が45重量%に近くなるまで、得られた溶液から水を除去した。得られた溶液に1-メトキシ-2-プロパノール200グラムを投入し、次いで、60℃で、ロータリーエバポレータを使用して、残存する水を除去した。この後者の工程を2回繰り返し、溶液から水を更に除去した。最後に、1-メトキシ-2-プロパノールを添加することによって、総SiO2ナノ粒子濃度を42.5重量%に調整し、平均粒径75nmの表面修飾SiO2ナノ粒子を含有するSiO2ゾルを得た。
【0110】
コーティング溶液「A」を作製した。コーティング溶液「A」は、27.98重量%の上記の透明前駆体溶液、7.9重量%のペンタエリスリトールトリアクリレートモノマー(SR444、Sartomer)、63.3重量%のイソプロピルアルコール、0.8重量%のIRGACURE 184(BASF、Vandalia、IL)、及び0.02重量%のIRGACURE 819(BASF、Vandalia、IL)から構成されていた。コーティング溶液「A」を、Viking CMD(Viking Pump,(Cedar Falls,IA))ポンプを用いて、スロット型コーティングダイに、下塗りされたポリエステル基材上に15ミクロンの湿潤層厚を生成する速度で圧送した。
【0111】
次に、コーティングされた基材を、UV放射の通過を可能にする石英窓を含むUV-LED硬化チャンバに通過させてコーティングを重合した。UV-LED硬化チャンバは、UV-LEDの矩形アレイを含んでいた。LED(Nichia Inc.(Tokyo,Japan)から入手可能)は、385nmの公称波長で動作し、10アンペアで動作したとき、0.035ジュール/平方cmのUV-A線量をもたらした。UV-LEDは、8アンペアで動作した。水冷式UV-LEDアレイは、Genesys 150-22電源(TDK-Lambda(Neptune,N.J.)から入手可能)によって電力供給された。UV-LEDを、硬化チャンバの石英窓の上方に、基材から約2.5cmおいて配置した。酸素レベルを50ppm未満に維持するために、UV-LED硬化チャンバに22立方フィート/分の流量で窒素流を供給した。UV-LED硬化チャンバ内の酸素レベルを、シリーズ3000酸素濃度計(Alpha Omega Instruments(Cumberland,RI)から入手可能)を使用して監視した。
【0112】
UV-LEDによって重合させた後、コーティングされた基材を150°F(66℃)の乾燥オーブンに30分間搬送することによって、硬化したコーティング中の溶剤を除去した。次に、Hバルブ(Fusion UV Systems(Gaithersburg,MD)から入手可能)を備えて構成されたFusion System Model 1600Pを使用して、乾燥したコーティングを後硬化させた。UV Fusionチャンバに窒素流を供給し、その結果、チャンバ内の酸素濃度を約50ppmとした。これにより、多孔質のコーティングポリエステルフィルムが得られた。
【0113】
試験方法及び結果
分光計(ULTRASCAN PRO,Humterlab(Reston,VA))を使用して、各拡散体について全近赤外透過率及び拡散近赤外透過率を測定した。拡散近赤外透過率を全近赤外透過率で割ることにより、これらの測定値から近赤外散乱比を計算した。940nmでの全透過率は90.82%であり、拡散透過率は35.2%であり、近赤外散乱比は39%であった。
【0114】
各拡散体について、可視透過率(%T)、ヘイズ(%H)及び透明度(%C)を、ヘイズメータ(Haze-gard Plus,BYK-Gardner(Columbia,MD))を使用して測定した。結果を以下の表に提供する。可視透過率は87.5%であり、ヘイズは80.4%であり、透明度は97.8%であった。
【0115】
光学拡散フィルムは、光学拡散層の反対側の拡散体の基材上に構造化光学層を形成することによって作製された。構造化光学層は、概して、
図5A~5Bに概略的に示される構造化光学層130として現れた。
【0116】
構造化表面の幾何学的形状は、以下のパラメータによって特徴付けられた。
1. X1:構造化表面の特徴部の先端半径(例えば、細長構造体140に対応する)
2. X2:特徴部密度(平方mm当たりの特徴部の数)
3. 特徴部の高さは5ミクロンであった。
【0117】
以下の表中のパラメータによって記載される高精細構造のためのロールを作製した。
【表7】
【0118】
各ロールについて、構造化光学層を、約1.5067の硬化屈折率を有し、以下の表に示すように配合された100%固体UV硬化性樹脂を使用して、連続プロセスでロールから高精細化することによって、光学拡散層の反対側の拡散体の基材上に形成した。
【表8】
【0119】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約特定の値として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有することを意味し、その値が1であり得ることを意味する。
【0120】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先される。
【0121】
図中の要素についての説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例、又は変形例、又は組み合わせも包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。以下、例示的実施形態を示す。
[項目1]
ディスプレイシステムに適用されたユーザの指を感知するためのディスプレイシステムであって、
前記ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに近接配置された前記ユーザの前記指を感知するためのセンサと、
前記ユーザの前記指に向けて、第1の波長W1を有する第1の光を放射するように構成された感知光源であって、前記センサが、前記指によって反射された前記第1の光の少なくとも一部を受光し検出するように構成されている、感知光源と、
前記ディスプレイパネルと前記センサとの間に配置された反射偏光子であって、合計で少なくとも50である複数のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光に対して、第1の偏光状態における前記反射偏光子の光透過率対波長がバンドエッジを含む、反射偏光子と、を備え、
前記バンドエッジにおいて前記光透過率が約10%から約70%まで増加する波長範囲に少なくともわたり、前記光透過率を前記波長に相関させる、前記バンドエッジへの最良の線形フィットが、約2.5%/nmより大きい勾配を有し、
短い波長L1から長い波長L2に及び、W1を含む第1の波長範囲(30nm≦L2-L1≦50nm)において、L1が、前記バンドエッジに沿って約50%の光透過率に対応する波長L3よりも大きくかつL3から約20nm以内であり、前記光透過率が約75%超の平均を有する、
ディスプレイシステム。
[項目2]
前記第1の波長W1が、約850nm又は約940nmである、項目1に記載のディスプレイシステム。
[項目3]
前記波長L3が、約800nm~約1100nmである、項目1又は2に記載のディスプレイシステム。
[項目4]
実質的な垂直入射光及び所定の波長範囲に対して、前記反射偏光子が、第1の偏光状態において少なくとも40%の平均光透過率を有し、直交する第2の偏光状態において少なくとも70%の平均光反射率を有する、項目1~3のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
[項目5]
前記第1の偏光状態及び前記所定の波長範囲において、前記反射偏光子が、より小さい入射角で入射する光に対してより大きい平均光透過率を有し、より大きい入射角で入射する光に対してより小さい平均光透過率を有する、項目4に記載のディスプレイシステム。
[項目6]
前記所定の波長範囲が、少なくとも約450nm~約650nmにわたる、項目4又は5に記載のディスプレイシステム。
[項目7]
前記複数のポリマー層が、前記反射偏光子の厚さ(z軸)の少なくとも一部に沿って配置され、1~Nまで順次番号付けられ、Nが約150超の整数である複数の第1のポリマー層を含み、前記複数の第1のポリマー層が、その両端にポリマー末端層を含み、前記ポリマー末端層とそれらの間の各層が、約350nm未満の平均厚さを有し、前記複数の第1のポリマー層の層番号に対する平均層厚さのプロットが、より高い層番号を有する少なくともQ2個の順次配列されたポリマー層を含む右領域から、より低い層番号を有する少なくともQ1個の順次配列されたポリマー層を含む左領域を分離する、急な折れ曲がり領域を含み、Q1が約100より大きい整数であり、Q2が少なくとも10の整数であり、前記左領域における前記少なくともQ1個の順次配列された第1のポリマー層への線形フィットが、約0.8より大きいr二乗値で、層番号当たり約0.04nmより大きい大きさの正の線形勾配を有し、前記右領域における前記少なくともQ2個の順次配列された第1のポリマー層への線形フィットが、約0.8より大きいr二乗値で、層番号当たり約0.1nmより大きい大きさの負の線形勾配を有する、項目1~6のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
[項目8]
前記複数のポリマー層が、1つ以上の中間層によって前記複数の第1のポリマー層から前記反射偏光子の厚さ方向に沿って離隔された複数の第2のポリマー層を更に含み、前記複数の第1及び第2のポリマー層の各々が、合計で少なくとも200であり、前記複数の第1及び第2のポリマー層の各々が、約300nm未満の平均厚さを有し、前記1つ以上の中間層の各々が、約500nm超の平均厚さを有する、項目6に記載のディスプレイシステム。
[項目9]
前記バンドエッジと約1300nmとの間の少なくとも200nm幅の波長範囲にわたる前記光透過率への二次多項式フィットが、約0.6より大きいr二乗値及び約80%未満の最小光透過率を有する、項目1~8のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
[項目10]
前記二次多項式フィットが、正の二次係数及び負の一次係数を有する、項目9に記載のディスプレイシステム。
[項目11]
前記反射偏光子が、
前記複数のポリマー層と共押出しされた第1の外層と、
約7~約9ミクロンの平均粒径を有し、前記第1の外層の第1の主面から部分的に突出して第1の構造化主面を形成する複数の第1の粒子と、
前記第1の構造化主面に適合するように配置された第1の光学拡散層であって、前記第1の光学拡散層の対向する第1及び第2の主面が、前記第1の構造化主面に実質的に適合し、前記第1の光学拡散層が、内部に分散された複数のナノ粒子を含み、前記ナノ粒子がそれらの間に複数のボイドを画定する、第1の光学拡散層と、
を更に含む、項目1~10のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
[項目12]
前記反射偏光子が、
前記第1の外層の反対側の第2の外層であって、前記複数のポリマー層及び前記第1の外層と共押出しされた、第2の外層と、
前記第2の外層の第2の主面から部分的に突出して第2の構造化主面を形成する複数の第2の粒子と、
を更に含む、項目11に記載のディスプレイシステム。
[項目13]
前記反射偏光子と前記センサとの間に配置された光学拡散フィルムを更に備え、前記光学拡散フィルムが、
光学基材層と、
前記光学基材層上に配置され、前記反射偏光子に面し、内部に分散された複数のナノ粒子を含む第2の光学拡散層であって、実質的な垂直入射光、並びに約450nm~約650nmの可視波長範囲及び約930nm~約970nmの赤外波長範囲に対して、前記第2の光学拡散層が、前記可視波長範囲における平均正透過率Vs及び前記赤外波長範囲における平均正透過率Isを有し、Is/Vs≧2.5である、第2の光学拡散層と、
前記光学基材層上に配置され、前記反射偏光子と反対側に面し、前記光学基材層と反対側に面する構造化主面を含む構造化光学層であって、同じ第1の方向に沿って伸長し、前記構造化光学層の前記構造化主面にわたって実質的に均一な密度で配置された複数の離隔した細長構造体を含む、構造化光学層と、
を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のディスプレイシステム。
[項目14]
前記ディスプレイパネルに照明を提供するための光導波路を更に備え、前記光導波路が、前記反射偏光子と前記センサとの間に配置されている、項目13に記載のディスプレイシステム。
[項目15]
前記光導波路と前記センサとの間に配置された構造化ミラーを更に備え、前記構造化ミラーは、光学ミラーと、前記光学ミラー上に形成され、前記光導波路に面する個別の離隔した光学隆起のアレイと、を備え、実質的な垂直入射光に対して、前記光学ミラーが、少なくとも第1の偏光状態において可視波長範囲内で約30%超の平均光反射率を有し、前記第1の偏光状態及び直交する第2の偏光状態の各々において赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して約20%超の正透過率を有する、項目14に記載のディスプレイシステム。