(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】硬化性導電性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 283/00 20060101AFI20250523BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20250523BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20250523BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20250523BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20250523BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20250523BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20250523BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20250523BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20250523BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20250523BHJP
B05D 5/12 20060101ALI20250523BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20250523BHJP
【FI】
C08F283/00
C08G61/12
C08F2/44 C
C08F2/50
C09D4/00
C09D7/65
C09D7/63
C09D7/20
B05D3/06 101C
B05D3/06 C
B05D7/24 301T
B05D7/24 301R
B05D7/24 302R
B05D5/12 B
B32B27/18 J
(21)【出願番号】P 2023577799
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(86)【国際出願番号】 EP2022061759
(87)【国際公開番号】W WO2022268388
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-14
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523471312
【氏名又は名称】ヘレウス エプリオ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】サウアー スティーグリッツ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ローベニッヒ,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーマン,フィリップ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-031433(JP,A)
【文献】特開2015-185440(JP,A)
【文献】特開2008-248168(JP,A)
【文献】特開2012-077218(JP,A)
【文献】特開2006-249302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
C08F251/00 -283/00
C08F283/02 -289/00
C08F291/00 -297/08
C08G 2/00 - 2/38
C08G 61/00 - 61/12
C09D 1/00 - 10/00
C09D101/00 -201/10
B05D 1/00 - 7/26
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
i)構造(I)のモノマー単位
のみからなる少なくとも1種のポリチオフェン
【化1】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
ii)少なくとも1つの酸
基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は前記有機化合物の塩であって、前記有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
iii)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合
物、
iv)少なくとも1種の有機溶媒、
v)少なくとも1種のラジカル開始剤、を含む、組成物。
【請求項2】
組成物であって、
i)少なくとも1種のポリチオフェンであって、少なくとも0.8のRF値によって 示される、PGME(1-メトキシプロパン-2-オール)中でのその相溶性によって特徴付けられる、少なくとも1種のポリチオフェン、
前記少なくとも1種のポリチオフェンは、構造(I)のモノマー単位のみからなる少なくとも1種のポリチオフェンであり、
【化2】
[式中、
*
は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1
~R
4
は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1
~R
4
のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
iii)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合
物、
iv)少なくとも1種の有機溶媒、
v)少なくとも1種のラジカル開始剤、を含む、組成物。
【請求項3】
前記ポリチオフェンi)は、X及びZがOを表し、R
1、R
2、R
3、及びR
4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基が構造式(Ia)を有するエーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである
【化3】
[式中、
R
7は、H、C
1~C
10-アルキル基又はC
1~C
10-アルコキシ
基であり、
R
8は、H、C
1~C
10-アルキル基又はC
1~C
10-アルコキシ
基であり、
nは、0~10の整数であり、
R
9はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、エーテル基、又はエステル基で
ある]、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリチオフェンiは、X及びZがOを表し、R
1、R
2、R
3及びR
4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基が分岐アルキル基又は分岐エーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
残りの残基が、構造式(Ib)を有する分岐エーテル基を表す
【化4】
[式中、
R
10は、H、C
1~C
10-アルキル基又はC
1~C
10-アルコキシ基であり、
R
11は、H、C
1~C
10-アルキル基又はC
1~C
10-アルコキシ基であり、
nは、0~10の整数であり、
R
12は、分岐有機残
基である]、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
1つの酸基を有する前記少なくとも1種の有機化合物ii)は、一価スルホン酸又はその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)は、1つ以上の(アルカ)アクリル酸
基を有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の有機溶媒iv)は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸オクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、1-メトキシ-2-プロパノール、ブタノール、2-プロパノール、エタノール及びそれらの混合物、又はこれらの非プロトン性溶媒の1種若しくは2種と1種若しくは2種の更なる溶媒との混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のラジカル開始剤は、光照射時にラジカルを形成することができる光ラジカル開始剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて2重量%未満の含水量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
層構造(100)の調製方法であって、
A)基材(101)を準備する工程、
B)請求項1に記載の組成物で前記基材(101)をコーティングする工程、
C)任意選択的に、有機溶媒iv)を少なくとも部分的に除去する工程、
D)前記少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)をラジカル連鎖反応で重合させることによって前記組成物を硬化させるために、前記コーティングされた基材(101)を電磁放射線、電子ビーム、熱、又はこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせに曝露する工程、を含む、方法。
【請求項12】
層構造(100)であって、
a)基材(101)、
b)前記基材(101)上にコーティングされた導電層(102)、を備え、前記導電層(102)は
構造(I)のモノマー単位
のみからなる少なくとも1種のポリチオフェン
【化5】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
少なくとも1つの酸
基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は前記有機化合物の塩であって、前記有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
少なくとも1種のポリチオフェンが埋め込まれている重合エチレン性不飽和化合物iii)をベースとするポリマーマトリックス、を含み、
前記導電性ポリマー層は、少なくとも1Hの鉛筆硬度を有する、層構造。
【請求項13】
層構造(100)であって、
a)基材(101)、
b)前記基材(101)上にコーティングされた導電層(102)、を備え、前記導電層(102)は
少なくとも1種のポリチオフェンであって、少なくとも0.8のRF値によって示される、PGME(1-メトキシプロパン-2-オール)中でのその相溶性によって特徴付けられる、少なくとも1種のポリチオフェン、
前記少なくとも1種のポリチオフェンは、構造(I)のモノマー単位のみからなる少なくとも1種のポリチオフェンであり、
【化6】
[式中、
*
は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1
~R
4
は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1
~R
4
のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
前記少なくとも1種のポリチオフェンが埋め込まれている、重合エチレン性不飽和化合物iii)をベースとするポリマーマトリックス、を含み、
前記導電性ポリマー層は、少なくとも1Hの鉛筆硬度を有する、層構造。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の層構造(100)を備える電子部品。
【請求項15】
電子部品における導電性層を製造するための、又は帯電防止コーティングを製造するための、請求項1に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物であって、少なくとも1種のポリチオフェンと、ラジカル連鎖反応で重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物と、を含む、硬化性組成物に関する。本発明はまた、層構造体を調製する方法、この方法によって得ることができる層構造、層構造、電子部品、及び本発明による組成物の使用に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ポリチオフェンは、本質的に導電性のポリマーとして広く使用されている。特に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)は、固体電解コンデンサ、帯電防止コーティング、エレクトロルミネセントランプ、有機発光ダイオード、有機太陽電池などの多くの産業用途が見出されている。多数の又はこれらの用途のために、PEDOTは、水又は水と他の溶媒との混合物中に分散された対イオンとしてのポリスチレンスルホン酸を有するポリマー錯体として使用される(「PEDOT/PSS」とも呼ばれる)。
【0003】
応用範囲を拡大するために、非プロトン性溶媒中のPEDOTを供給する努力がなされてきた。国際公開第2012/059215号は、分散液を有機非プロトン性溶媒に可溶性にする対イオンとしてのブロックコポリマーの使用を開示している。ブロックコポリマーの溶解度パラメータは、得られるPEDOT錯体の溶解度特性を支配及び制限する。したがって、PGMEA又はエタノールなどの溶媒が添加されると、分散液は不安定になる。
【0004】
KR-A-100945056には、界面活性剤の存在下での水中での3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合が記載されている。続いて、溶媒を除去し、有機溶媒で置き換える。しかしながら、このような再分散プロセスは高額であり、望ましくない。
【0005】
McCullough et al.(「グリニャールメタセシスを使用して頭-尾結合レジオ規則性ポリ(3-アルキルチオフェン)を調製するための簡単な方法」、Adv.Mater.1999,11,250)は、多数の溶媒中に分散させることができるレジオ規則性コポリマーの合成を記載している。しかしながら、有機金属化合物によるカップリングは高価であり、得られるポリマーは限られた導電性しか示さない。したがって、それらの用途は正孔輸送層に限定され、そこでは層を通る導電性のみが必要とされる。
【0006】
国際公開第2021/063956号は、有機溶媒をベースとする、PEDOT誘導体と、対イオンとしてのモノマーアニオンと、を含む組成物を開示している。ポリアクリレートなどの不活性ポリマーとブレンドした場合、組成物は依然として低いシート抵抗を特徴とする。しかしながら、このようなブレンドの欠点は、このようなブレンドを使用して得られる導電層の硬度が、特にこれらのブレンドが帯電防止層の形成に使用される場合に、依然として改善可能であるという事実に見ることができる。
【0007】
本発明の目的は、有機溶媒中に溶解又は分散され、チオフェンモノマーをベースとする導電性ポリマーに関する従来技術の欠点を克服することであった。
【0008】
特に、本発明の目的は、組成物であって、チオフェンモノマーをベースとする、有機溶媒中に溶解又は分散される導電性ポリマーを含む、組成物を提供することであり、組成物は、先行技術から公知の同様の導電層と比較して、高導電性及び高透明性であるだけでなく、十分に高い硬度によっても特徴付けられる導電層の形成を可能にする。
【0009】
更に、本発明の目的は、安定な組成物、好ましくは、チオフェンモノマーをベースとする、有機溶媒中に溶解又は分散される導電性ポリマーを含む、貯蔵安定な組成物であって、これらの組成物によって、特に有利な硬度を特徴とする導電層を調製することができる、組成物を提供することでもあった。本明細書で使用される「貯蔵安定」という用語は、好ましくは、暗所で15日間、より好ましくは30日間貯蔵した後に沈殿物の形成を示さない組成物を特徴とする。
【0010】
上記の目的の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を少なくとも部分的に解決することへの貢献は、独立請求項によって行われる。従属請求項は、目的の少なくとも1つを少なくとも部分的に解決することに貢献する好ましい実施形態を提供する。
【0011】
本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献は、本発明の第1の実施形態、好ましくは硬化性組成物、更により好ましくは電磁放射線、電子ビーム、又は熱に曝露された場合に硬化性である組成物によって行われ、該組成物は、
i)構造(I)のモノマー単位を含む少なくとも1種のポリチオフェン
【0012】
【化1】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
ii)少なくとも1つの酸基、好ましくは1つ若しくは2つのスルホン酸基、1つ若しくは2つの硫酸基、1つ若しくは2つのホスホン酸基、又は1つ若しくは2つのリン酸基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は有機化合物の塩であって、有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
iii)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、好ましくはラジカル連鎖反応において重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、
iv)少なくとも1種の有機溶媒、
v)少なくとも1種のラジカル開始剤、を含む。
【0013】
本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献は、組成物の第2の実施形態、好ましくは硬化性組成物、更により好ましくは電磁放射線、電子ビーム、又は熱に曝露された場合に硬化性である組成物によって行われ、該組成物は、
i)少なくとも1種のポリチオフェンであって、少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.8、より好ましくは1.0のRF値によって示される、PGME(1-メトキシプロパン-2-オール)中でのその相溶性によって特徴付けられる、少なくとも1種のポリチオフェン、
ii)任意選択的に、少なくとも1つの酸基、好ましくは1つ若しくは2つのスルホン酸基、1つ若しくは2つの硫酸基、1つ若しくは2つのホスホン酸基、又は1つ若しくは2つのリン酸基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は有機化合物の塩であって、有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
iii)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、好ましくはラジカル連鎖反応において重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、
iv)少なくとも1種の有機溶媒、
v)少なくとも1種のラジカル開始剤、を含む。
【0014】
驚くべきことに、特定のポリチオフェン、例えば、残基R1~R4のうちの少なくとも1つが分岐アルキル基又は分岐エーテル基を表す上記の構造(I)のモノマー単位を含むポリチオフェンは、有機溶媒をベースとする、ラジカル連鎖反応で重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物を含む硬化性組成物中の導電性ポリマーとして使用するのに特に適していることが見出された。ポリチオフェンが埋め込まれたポリマーマトリックスを形成するために、ポリチオフェンの存在下で重合性化合物を重合させることによってこのような組成物を硬化させると、高導電性及び高透明性であるだけでなく、十分に高い硬度を特徴とする導電層を得ることができる。更に、これらの組成物は顕著な貯蔵安定性を特徴とすることも観察されている。
【0015】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、組成物は、分散液又は溶液の形態で存在しており(有機溶媒iv)は、分散剤又は溶媒としての役割を果たしている)、ポリチオフェンi)及び少なくとも1個の酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)(好ましくはアニオンの形態で存在している)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)と一緒に錯体を形成し、有機溶媒iv)中に分散又は溶解されており、好ましくは均一に分散又は溶解されている。最も好ましくは、本発明による組成物は、ポリチオフェンi)と少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)との錯体が有機溶媒iv)中に均一に分散されている分散液である。しかしながら、本発明による組成物では、「分散液」と「溶液」との間の遷移は、ポリチオフェンi)、少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)、及び有機溶媒iv)の実際の性質に応じて流体であり得る。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第3の実施形態であり、好ましくは第1及び第2の実施形態に従属する。
【0016】
本発明による組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1、R2、R3及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つは水素原子を表し、残りの残基は構造式(Ia)を有するエーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0017】
【化2】
[式中、
R
7は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
7はHであることが最も好ましく、
R
8は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
8はHであることが最も好ましく、
nは、0~10の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~3の範囲の整数であり、nが1であることが最も好ましく、
R
9は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、エーテル基又はエステル基、好ましくはC
1~C
30アルキル基、より好ましくはC
2~C
25-アルキル基、更により好ましくはC
5~C
20-アルキル基である]
【0018】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第4の実施形態であり、好ましくは第1又は第3の実施形態に従属する。
【0019】
本発明による組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZがOを表し、R1、R2、R3及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基が分岐アルキル基又は分岐エーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。これに関連して、残りの残基がスルホン酸基又はこの基の塩を有していないことも特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第5の実施形態であり、好ましくは第1、第3、及び第4の実施形態のいずれかに従属する。本明細書で使用される「分岐エーテル基」という用語は、好ましくは、酸素原子に結合している2つの有機残基の少なくとも1つが分岐有機残基、すなわち、単結合を介して少なくとも3つの炭素原子に、又は少なくとも2つの炭素原子及びエーテル基の一部である酸素原子に結合している少なくとも1つの炭素原子を含む有機残基であるエーテル基を定義する。
【0020】
本発明による組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1、R2、R3及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つは水素原子を表し、残りの残基は分岐アルキル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0021】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第6の実施形態であり、好ましくは第5の実施形態に従属する。分岐アルキル基又は2個以上のアルキル基を有する構造(Ia)のモノマー単位の好適な例は、化合物(A)、(B)、(C)、及び(D)からなる群から選択される化合物を含む。
【0022】
【0023】
本発明による組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZがOを表し、R1、R2、R3及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基が構造式(Ic)を有する分岐エーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0024】
【化4】
[式中、
R
10は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
10はHであることが最も好ましく、
R
11は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
11はHであることが最も好ましく、
nは、0~10の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~3の範囲の整数であり、nが1であることが最も好ましく、
R
12は、分岐有機残基、好ましくは分岐アルキル基又は分岐アリールアルキル基、より好ましくはアルキル鎖中に不飽和C=C-結合を有さない分岐アルキル基又は分岐アリールアルキル基、更により好ましくは式(Id)を有する有機残基であり、
【0025】
【化5】
式中、
mは、1、2又は3であり、
R
13は、H又はC
1~C
12アルキル基、好ましくはC
2~C
10アルキル基、より好ましくはC
3~C
8アルキル基、更により好ましくはブチル基であり、但し、m個の構造単位-CHR
13-のうちの1つのみにおいて、残基R
13は、C
1~C
12アルキル基であり、
R
14は、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
2~C
6-アルキル基、又はアリール基である]
【0026】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第7の実施形態であり、好ましくは第5の実施形態に従属する。このようなポリチオフェンの好適な例は、化合物(E)、(F)、及び(G)からなる群から選択されるモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0027】
【0028】
本発明による組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、構造(I)のモノマー単位と、3,4-エチレンジオキシチオフェン、2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-プロピル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン及び2-デシル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシンからなる群から選択される少なくとも1種の更なるチオフェンモノマーとのコポリマーであり、コポリマーは、各々の場合にチオフェンモノマー単位の総数に基づいて、構造(I)の5~95%のモノマー単位、好ましくは10~80%のモノマー単位、より好ましくは20~60%のモノマー単位を含む。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第8の実施形態であり、好ましくは第1又は第3~第7の実施形態のいずれか1つに従属する。本発明による組成物のこの好ましい実施形態の特に好ましい変形例によれば、少なくとも1種の更なるチオフェンモノマーは、2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-プロピル-2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-ブチル-2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン及び2-デシル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシンからなる群から選択されるチオフェンモノマーであり、2-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシンの使用が特に好ましい。
【0029】
本発明による組成物の第1の組成物の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.8、より好ましくは1.0のRF値によって実証される、PGME(1-メトキシプロパン-2-オール)中でのその相溶性によって特徴付けられる。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第9の実施形態であり、好ましくは第1又は第3~第8の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0030】
本発明による組成物の第2の実施形態の好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、40超、好ましくは50超、より好ましくは60超の接触角を特徴とする。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第10の実施形態であり、好ましくは第2の実施形態に従属する。
【0031】
本発明による組成物の第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、構造(I)のモノマー単位を含むポリチオフェンである。
【0032】
【化7】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]
【0033】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第11の実施形態であり、好ましくは第2及び第10の実施形態に従属する。
【0034】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)は、少なくとも1つの無機酸基、好ましくは1つ又は2つの無機酸基を有する有機化合物であり、無機酸基は、スルホン酸基(-SO2OH)、硫酸基(-O-SO2OH)、ホスホン酸基(-PO(OH)2)、リン酸基(-O-PO(OH)2又はその塩、好ましくはスルホン酸基(-SO2OH)又はその塩である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第12の実施形態であり、好ましくは第1~第11の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0035】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)は、アニオン性界面活性剤である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第13の実施形態であり、好ましくは第1~第12の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0036】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)は、一価スルホン酸又はその塩である。好適な一価スルホン酸は、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸若しくはトリフルオロメタンスルホン酸又はそれらの混合物若しくは塩であり、ドデシルベンゼンスルホン酸の使用が特に好ましい。本明細書で使用される「ドデシルベンゼンスルホン酸」という用語は、ドデシルベンゼンスルホン酸に加えて、ドデシル基よりも長い又は短いアルキル鎖を有するアルキルベンゼンスルホン酸を更に含むアルキルベンゼンスルホン酸の混合物も包含する。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第14の実施形態であり、好ましくは第1~第13の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0037】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)と、組成物中の少なくとも1個の酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)との重量比は、1:30~1:0.1の範囲、好ましくは1:20~1:0.2の範囲、より好ましくは1:5~1:0.5の範囲である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第12の実施形態であり、好ましくは第1~第11の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0038】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、ポリチオフェンi)と、少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)とを、各々の場合に組成物の全固形分に対して、0.01~10重量%の範囲の量で、より好ましくは0.2~6重量%の範囲の量で、最も好ましくは0.5~4重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第15の実施形態であり、好ましくは第1~第14の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0039】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)は、1つ以上の(アルカ)アクリル酸基、好ましくは1つ以上の(メタ)アクリル酸基を有する化合物、1つ以上のアリル基を有する化合物、1つ以上のビニル基を有する化合物、又はこれらのエチレン性不飽和基のうちの少なくとも2つの組み合わせを有する化合物である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第16の実施形態であり、好ましくは第1~第15の実施形態のいずれか1つに従属する。「(メタ)アクリル酸」という用語は、本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル酸基」を有する対応する化合物のアクリル酸誘導体並びにメタクリル酸誘導体の両方を指す。
【0040】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、ラジカル連鎖反応で重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)を、各々の場合に組成物の固形分に基づいて、30~99.99重量%の範囲の量、より好ましくは50~98重量%の範囲の量、最も好ましくは80~95重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第17の実施形態であり、好ましくは第1~第16の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0041】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)と少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)との総重量とエチレン性不飽和化合物iii)の重量との重量比は、0.1:99.99~1:10の範囲、好ましくは0.2:99.8~5:95の範囲、より好ましくは0.5:99.5~4:96の範囲である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第18の実施形態であり、好ましくは第1~第17の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0042】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1種の有機溶媒iv)は、プロトン性溶媒である。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第19の実施形態であり、好ましくは第1~第18の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0043】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、有機溶媒iv)は、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第20の実施形態であり、好ましくは第1~第19の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0044】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、有機溶媒iv)は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸オクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、1-メトキシ-2-プロパノール、ブタノール、2-プロパノール、エタノール及びそれらの混合物又はこれらの非プロトン性溶媒の1種若しくは2種と1種若しくは2種の更なる溶媒との混合物からなる群から選択される。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第21の実施形態であり、好ましくは第1~第20の実施形態のいずれか1つに従属する。特に好ましい溶媒は、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)である。
【0045】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1種のラジカル開始剤は、光の照射によりラジカルを形成することができる光ラジカル開始剤、より好ましくは、UV光の照射によりラジカルを形成することができるUV光ラジカル開始剤である。
【0046】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第22の実施形態であり、好ましくは、第1~第21の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0047】
ラジカル開始剤v)の好適な例としては、化学構造や分子結合エネルギーの違いにより分子が分解してラジカルを発生する1型開始剤や、第三級アミンと共存して水素引き抜きを起こす2型開始剤が挙げられる。1型開始剤は、アセトフェノン類、例えば4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン又は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン類、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル又はベンジルジメチルケタル、ホスフィンオキシド類及びチタノセン化合物からなる群から選択され得る。2型開始剤は、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルエーテル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド又は3’-メチル-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、及びチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン又はイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン化合物からなる群から選択され得る。これらの光開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、1型と2型の光開始剤を混合して用いてもよい。
【0048】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、ラジカル開始剤v)を、いずれの場合も組成物の固形分に基づいて、0.01~20重量%の範囲、好ましくは0.1~10重量%の範囲、より好ましくは0.5~5重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第23の実施形態であり、好ましくは第1~第22の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0049】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、
vi)成分i)~v)とは異なる少なくとも1種の添加剤、好ましくはUV安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、導電性改善剤、接着促進剤、ポリマー結合剤、又はこれらの添加剤の少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含む。
【0050】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第24の実施形態であり、好ましくは第1~第23の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0051】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、成分i)~v)とは異なる添加剤vi)を、各々の場合に組成物の固形分含有量に基づいて、0.01~25重量%の範囲、好ましくは0.1~20重量%の範囲、より好ましくは1~10重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第25の実施形態であり、好ましくは第1~第24の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0052】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、各々の場合に組成物の総重量に基づいて、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、更により好ましくは0.5重量%未満の含水量を有する。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第26の実施形態であり、好ましくは第1~第25の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0053】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物は、各々の場合に組成物の総重量に基づいて、10ppm未満、好ましくは1ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満の鉄含有量を有する。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第27の実施形態であり、好ましくは第1~第26の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0054】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物を用いて調製された導電層は、最大で1×1010Ω/sq、好ましくは最大5×109Ω/sq、より好ましくは最大1×108Ω/sqのシート抵抗を有する。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第28の実施形態であり、好ましくは第1~第27の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0055】
本発明による組成物の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、組成物を用いて調製された導電層は、少なくとも1H、好ましくは少なくとも2H、より好ましくは少なくとも3Hの鉛筆硬度を有する。この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第29の実施形態であり、好ましくは第1~第28の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0056】
本発明による目的の少なくとも1つを解決することへの貢献は、層構造の調製のためのプロセスの第1の実施形態によっても行われ得、このプロセスは、
A)基材を準備する工程、
B)本発明による組成物で基材をコーティングする工程、
C)任意選択的に、有機溶媒iv)を少なくとも部分的に除去する工程、
D)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)をラジカル連鎖反応で重合させることによって組成物を硬化させるために、コーティングされた基材(101)を電磁放射線、好ましくはUV放射線、電子ビーム、熱、又はこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせに曝露する工程、を含む。
【0057】
本発明による方法の好ましい実施形態において、方法工程A)において提供される基材は、紙、ポリマー、ガラス又はセラミックからなる群から選択される。光学用途では、基材は透明又は光透過性であることが好ましい。透明基材は、ガラス、非常に薄いガラス(フレキシブルガラス)、又はプラスチックから作製することができる。特に好適なプラスチックは、ポリカーボネート、ポリエステル、例えば、PET及びPEN(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン-ナフタレンジカルボキシレート)、コポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン又は環状ポリオレフィン又は環状オレフィンコポリマー(COC)、水素化スチレンポリマー又は水素化スチレンコポリマーである。剛性又は可撓性の基材を使用することができる。この好ましい実施形態は、本発明による方法の第2の実施形態であり、好ましくは第1の実施形態に従属する。
【0058】
本発明による方法の更なる好ましい実施形態では、方法工程B)における本発明による組成物による基材のコーティングは、浸漬、ディッピング、注入、滴下、噴霧、ミスチング、ナイフコーティング、ブラッシング、又は印刷、例えばインクジェット、スクリーン又はタンポン印刷によって達成される。この好ましい実施形態は、本発明による方法の第3の実施形態であり、好ましくは第1又は第2の実施形態に従属する。
【0059】
本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献はまた、本発明によるプロセスによって得られる層構造によっても行われる。層構造は、好ましくは、少なくとも1H、好ましくは少なくとも2H、より好ましくは少なくとも2Hの鉛筆硬度を有する。更に、層構造は、好ましくは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも87%、最も好ましくは少なくとも89%の透過率(基材を含む)を有する。
【0060】
本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献はまた、以下の層構造の第1の実施形態によっても行われる。
a)基材と、
b)基材上にコーティングされた導電層と、を備え、導電層は、
構造(I)のモノマー単位を含む少なくとも1種のポリチオフェン
【0061】
【化8】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]、
少なくとも1つの酸基、好ましくは1つ若しくは2つのスルホン酸基、1つ若しくは2つの硫酸基、1つ若しくは2つのホスホン酸基、又は1つ若しくは2つのリン酸基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は有機化合物の塩であって、有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
少なくとも1種のポリチオフェンが埋め込まれている重合エチレン性不飽和化合物iii)をベースとするポリマーマトリックス、を含み、
導電性ポリマー層は、少なくとも1H、好ましくは少なくとも2H、より好ましくは少なくとも3Hの鉛筆硬度を有する。
【0062】
本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献はまた、以下の層構造の第2の実施形態によっても行われる。
a)基材と、
b)基材上にコーティングされた導電層と、を備え、導電層は、
少なくとも1種のポリチオフェンであって、少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.8、より好ましくは1.0のRF値によって示される、PGME(1-メトキシプロパン-2-オール)中でのその相溶性によって特徴付けられる、少なくとも1種のポリチオフェン、
任意選択的に、少なくとも1つの酸基、好ましくは1つ若しくは2つのスルホン酸基、1つ若しくは2つの硫酸基、1つ若しくは2つのホスホン酸基、又は1つ若しくは2つのリン酸基を有する少なくとも1つの有機化合物、又は有機化合物の塩であって、有機化合物又はその塩の分子量が1,000g/mol未満である、有機化合物又はその塩、
少なくとも1種のポリチオフェンが埋め込まれている重合エチレン性不飽和化合物iii)をベースとするポリマーマトリックス、を含み、
導電性ポリマー層は、少なくとも1H、好ましくは少なくとも2H、より好ましくは少なくとも3Hの鉛筆硬度を有する。
【0063】
本発明による層構造の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1,R2,R3及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基は構造式(Ia)を有するエーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0064】
【化9】
[式中、
R
7は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
7はHであることが最も好ましく、
R
8は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
8はHであることが最も好ましく、
nは、0~10の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~3の範囲の整数であり、nが1であることが最も好ましく、
R
9は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、エーテル基又はエステル基、好ましくはC
1~C
30アルキル基、より好ましくはC
2~C
25-アルキル基、更により好ましくはC
5~C
20-アルキル基である]
【0065】
この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第3の実施形態であり、好ましくは第1の実施形態に従属する。
【0066】
本発明による層構造の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1、R2、R3、及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基は分岐アルキル基又は分岐エーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。これに関連して、残りの残基がスルホン酸基又はこの基の塩を有していないことも特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第4の実施形態であり、好ましくは第1又は第3の実施形態に従属する。
【0067】
本発明による層構造の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1、R2、R3、及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基は分岐アルキル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0068】
この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第5の実施形態であり、好ましくは第4の実施形態に従属する。分岐アルキル基又は2個以上のアルキル基を有する構造(Ia)のモノマー単位の好適な例は、化合物(A)、(B)、(C)、及び(D)からなる群から選択される化合物を含む。
【0069】
【0070】
本発明による層構造の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、X及びZはOを表し、R1、R2、R3、及びR4からなる群から選択される残基のうちの3つが水素原子を表し、残りの残基は構造式(Ic)を有する分岐エーテル基を表す、構造(I)のモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0071】
【化11】
[式中、
R
10は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
10はHであることが最も好ましく、
R
11は、H、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
1~C
5-アルキル基、より好ましくはメチル基、又はC
1~C
10-アルコキシ基、好ましくはC
1~C
5-アルコキシ基、より好ましくはメトキシ基であり、R
11はHであることが最も好ましく、
nは、0~10の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~3の範囲の整数であり、nが1であることが最も好ましく、
R
12は、分岐有機残基、好ましくは分岐アルキル基又は分岐アリールアルキル基、より好ましくはアルキル鎖中に不飽和C=C-結合を有さない分岐アルキル基又は分岐アリールアルキル基、更により好ましくは式(Id)を有する有機残基であり、
【0072】
【化12】
式中、
mは、1、2、又は3であり、
R
13は、H又はC
1~C
12アルキル基、好ましくはC
2~C
10アルキル基、より好ましくはC
3~C
8アルキル基、更により好ましくはブチル基であり、但し、m個の構造単位-CHR
13-のうちの1つのみにおいて、残基R
13は、C
1~C
12アルキル基であり、
R
14は、C
1~C
10-アルキル基、好ましくはC
2~C
6-アルキル基、又はアリール基である]
【0073】
この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第6の実施形態であり、好ましくは第4の実施形態に従属する。このようなポリチオフェンの好適な例は、化合物(E)、(F)、及び(G)からなる群から選択されるモノマー単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0074】
【0075】
本発明による層構造の第1の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、構造(I)のモノマー単位と、3,4-エチレンジオキシチオフェン、2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-プロピル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-ブチル-2,3-dihydrothie-no[3,4-b]-1,4-ジオキシン及び2-デシル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシンからなる群から選択される少なくとも1種のチオフェンモノマーとのコポリマーであって、各々の場合にチオフェンモノマー単位の総数に基づいて、構造(I)の5~95%のモノマー単位、好ましくは10~80%のモノマー単位、より好ましくは20~60%のモノマー単位を含むコポリマーである。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第7の実施形態であり、好ましくは第1及び第3~第5の実施形態のいずれか1つに従属する。本発明による層構造のこの好ましい実施形態の特に好ましい変形例によれば、少なくとも1種の更なるチオフェンモノマーは、2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-プロピル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン、2-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン及び2-デシル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシンからなる群から選択されるチオフェンモノマーであり、2-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシンの使用が特に好ましい。
【0076】
本発明による層構造の第2の実施形態の好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)は、40超、好ましくは50超、より好ましくは60超の接触角を特徴とする。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第8の実施形態であり、好ましくは第2の実施形態に従属する。
【0077】
本発明による層構造の第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、本発明による組成物ポリチオフェンi)は、構造(I)のモノマー単位を含むポリチオフェンである。
【0078】
【化14】
[式中、
*は、隣接するモノマー単位への結合を示し、
X、Zは、O又はSを表し、
R
1~R
4は、互いに独立して、水素原子又は有機残基Rを表し、但し、残基R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、有機残基Rを表す]
【0079】
この好ましい実施形態は、本発明による組成物の第9の実施形態であり、好ましくは第2及び第8の実施形態に従属する。
【0080】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)は、少なくとも1つの無機酸基、好ましくは1つ又は2つの無機酸基を有する有機化合物であり、無機酸基は、スルホン酸基(-SO2OH)、硫酸基(-O-SO2OH)、ホスホン酸基(-PO(OH)2)、リン酸基(-O-PO(OH)2又はその塩、好ましくはスルホン酸基(-SO2OH)又はその塩である。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第10の実施形態であり、好ましくは第1~第9の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0081】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)は、アニオン性界面活性剤である。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第11の実施形態であり、好ましくは第1~第10の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0082】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)は、一価スルホン酸又はその塩である。好適な一価スルホン酸は、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸若しくはトリフルオロメタンスルホン酸又はそれらの混合物若しくは塩であり、ドデシルベンゼンスルホン酸の使用が特に好ましい。本明細書で使用される「ドデシルベンゼンスルホン酸」という用語は、ドデシルベンゼンスルホン酸に加えて、ドデシル基よりも長い又は短いアルキル鎖を有するアルキルベンゼンスルホン酸を更に含むアルキルベンゼンスルホン酸の混合物も包含する。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第12の実施形態であり、好ましくは第1~第11の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0083】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)と層構造中の少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1種の有機化合物ii)との重量比は、1:30~1:0.1の範囲、好ましくは1:20~1:0.2の範囲、より好ましくは1:5~1:0.5の範囲である。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第13の実施形態であり、好ましくは第1~第12の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0084】
本発明による第1及び第2の実施形態の層構造体の更なる好ましい実施形態では、層構造体は、ポリチオフェンi)と、少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)とを、各々の範囲で導電層の総重量に基づいて、0.01~10重量%の範囲の総量で、より好ましくは0.2~6重量%の範囲の量で、最も好ましくは0.5~4重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第14の実施形態であり、好ましくは第1~第13の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0085】
本発明による層構造体の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスのベースとなる(すなわち、ポリマーマトリックスがラジカル重合によって得られた)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)は、1つ以上の(メタ)アクリル酸基を有する化合物、1つ以上のアリル基を有する化合物、1つ以上のビニル基を有する化合物、又はこれらのエチレン性不飽和基のうちの少なくとも2つの組み合わせを有する化合物である。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第15の実施形態であり、好ましくは第1~第14の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0086】
本発明による層構造体の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、層構造体は、ポリマーマトリックスを形成するポリマーを、各々の場合に導電層の総重量に基づいて、30~99.99重量%の範囲の量、より好ましくは50~98重量%の範囲の量、最も好ましくは80~95重量%の範囲の量で含む。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第16の実施形態であり、好ましくは第1~第15の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0087】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、ポリチオフェンi)と少なくとも1つの酸基を有する有機化合物ii)との総重量と、ポリマーマトリックスを形成するポリマーの重量との重量比は、0.1:99.99~1:10の範囲、好ましくは0.2:99.8~5:95の範囲、より好ましくは0.5:99.5~4:96の範囲である。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第17の実施形態であり、好ましくは第1~第16の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0088】
本発明による層構造の第1及び第2の実施形態の更なる好ましい実施形態では、層構造は、好ましくは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも87%、最も好ましくは少なくとも89%の透過率(基材を含む)を有する。この好ましい実施形態は、本発明による層構造の第18の実施形態であり、好ましくは第1~第17の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0089】
本発明による目的の少なくとも1つを解決することへの貢献はまた、本発明による層構造を含む電子部品、特に有機発光ダイオード、有機太陽電池、又はコンデンサによって行われる。
【0090】
本発明による目的の少なくとも1つを解決することへの貢献は、電子部品、特に有機発光ダイオード、有機太陽電池若しくはキャパシタにおける導電層を製造するため、又は帯電防止コーティングを製造するための、本発明による組成物の使用によっても行われる。
【0091】
少なくとも1つの酸基又はその塩を有する有機化合物ii)
本発明による組成物又は層構造中に存在する少なくとも1個の酸基を有する有機化合物ii)又はその塩は、好ましくはアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤が、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機スルホン酸、例えばスルホン酸、例えばアルキル-アリール-スルホン酸、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルサルフェート、及びそれらの塩又は混合物からなる群から選択されることが更に好ましい。以下のアニオン性界面活性剤の各々は、アルキル鎖の長さが異なる化合物の混合物を含有し得る。
好適なアルキルサルフェートとしては、C8~C18アルキルサルフェート、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、ドデシル硫酸アンモニウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム、及び2-エチルヘキシル硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なアルキルエーテルサルフェートとしては、C8~C18アルキルエーテルサルフェート、例えばラウレス硫酸ナトリウム及びミレス硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
好適なアルキルスルホネートとしては、C8~C18アルキルスルホネート、例えばテトラデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム及び対応するスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
任意選択的にアルキル又はアリール置換基で置換される好適なアリールスルホネート又はスルホン酸としては、C2~C18アルキルベンゼンスルホネート又はスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、及びドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン塩;C2~C18アルキルナフタレンスルホネート又はスルホン酸、例えばブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム及びヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル置換基で置換されていてもよい場合、アリールスルホネート又はスルホン酸は、アルキル鎖に沿った任意の点、例えば第一級、第二級又は第三級炭素上に位置していてもよい。好適なアルキルエステルスルホネート又はスルホン酸としては、C2~C18アルキルメチルエステルスルホネート又はスルホン酸、例えばメチルエステルスルホネート、ドデシルメチルエステルα-スルホン酸ナトリウム、テトラデシルメチルエステルα-スルホン酸ナトリウム、及びヘキサデシルメチルエステルα-スルホン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。サルフェート基、スルホネート基、又はスルホン酸基は、アルキル鎖又はアリール環に沿った任意の例えば第一級、第二級又は第三級炭素上に位置していてもよい。
2つのスルホン酸基を有する界面活性剤、例えばC2~C16アルキルジフェニルオキシドジスルホネート又はジスルホン酸、例えばドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムも好適である。
好適な有機ホスホン酸としては、一価ホスホン酸、例えばフェニルホスホン酸、11-ヒドロキシウンデシルホスホン酸、2,4-キシリルホスホン酸、4-エチルフェニルホスホン酸、オクチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、p-(ジフェニルメチル)ホスホン酸、11-ホスホノウンデカン酸、及びp-(1-ナフタレニルメチル)ホスホン酸、又はジホスホン酸、例えば(12-ホスホノドデシル)ホスホン酸及び1,8-オクタンジホスホン酸などが挙げられる。
【0092】
しかしながら、特に好ましくは、アニオン性界面活性剤は、一価スルホン酸、特に好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸又はその塩である。
【0093】
エチレン性不飽和化合物iii)
少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)は、1つ以上の(メタ)アクリル酸基を有する化合物、1つ以上のアリル基を有する化合物、1つ以上のビニル基を有する化合物、又はこれらのエチレン性不飽和基のうちの少なくとも2つの組み合わせを有する化合物である。
【0094】
(メタ)アクリル酸基を有する好ましい化合物は、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールヘキサトリ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群から選択される多官能性(メタ)アクリル酸モノマーである。
【0095】
(メタ)アクリル酸基を有する化合物として、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及びエステル(メタ)アクリレートなどの光硬化性(メタ)アクリレートオリゴマーも好適である。
【0096】
ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物とを触媒の存在下で反応させて調製することができる。分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,5-ジイソシアナト-2-メチル-ペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロ-ヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロルメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、及びトリメチレンプロパノール付加物トルエンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0097】
ビニル基又はアリル基を有する好適な化合物は、スチレン、並びにビニルエーテル基、アリルエーテル基、又はそれらの任意の組み合わせで末端キャップされたオリゴマーである。
【0098】
添加剤vi)
本発明による組成物中に存在することもできる好適な添加剤vi)としては、UV安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、導電性改善剤、接着促進剤、ポリマー結合剤、界面活性剤、又はこれらの添加剤のうちの少なくとも2種の組み合わせが挙げられる。
適切なUV安定剤は、その作用メカニズムに応じて分類されるように、吸収剤、消光剤、及びヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含み得る、又はその化学構造に応じて分類されるように、サリチル酸フェニル(吸収剤)、ベンゾフェノン(吸収剤)、ベンゾトリアゾール(吸収剤)、ニッケル誘導体(消光剤)、及びラジカル捕捉剤を含み得る。熱安定剤としては、ポリフェノール系一次熱安定剤、ホスファイト系二次熱安定剤、ラクトン系二次熱安定剤などが市販されており、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
適当な酸化防止剤は、ヒンダードアミン光安定剤、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート及びジ(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)、テトラキスアルキレン(ジアルキルヒドロキシアリール)アルキルエステルアルカン、例えばテトラキスメチレン(3,3’,5-ジブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、グリシジルメタクリレートとp-アミノジフェニルアミン又はn-ヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンとの反応生成物、ペンタエリトリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールエタントリス(チオグリコレート)、N-(4-アニリノフェニル)アクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)マレインアミド酸、N-(4-アニリノフェニル)マレイミド、イミドジカルボニル若しくはイミドジチオカルボニル基を含有する複素環式窒素化合物へのカルボアルコキシ結合を有するアルキルヒドロキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナモニトリル、エチル-ジ-tert-ヘキシル-4-ヒドロキシ-ケイ皮酸、β-置換ヒドロキシフェニルプロピオン酸の置換ベンジルエーテル、ビス-(ヒドロキシフェニルアルキレン)アルキルイソシアヌレート、単独又はジアルキルチオアルカノエートと組み合わせたテトラキスヒドロキシベンジルホスホニウムハライド、単独又はジアルキルチオアルカノエート、ホスフィット又はホスホネートと組み合わせたチオジメチリジンテトラキスフェノール、ジヒドロキシカルビルヒドロキシフェニルアリール又はアルキルホスホナイト、ホスホネート、ホスフェート、ホスフィット、ホスフィネート、ホスフィナイト、ホスホロチオネート、若しくはホスフィノチオネート、ジフェニルビス(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)シラン、ヒドロカルビルヒドロキシルジヒドロカルビルジチオカルバメート、例えば3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルジメチルジチオカルバメート、及びアミノベンジルチオエーテルからなる群から選択することができる。他の適切な抗酸化剤及び光安定剤は、当業者に明らかである。
好適なUV吸収剤は、ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、スルホン酸含有ヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-3’,5’-ジターシャリーブチルベンゾフェノン、ジカルボン酸の2,2’,4’-トリヒドロキシベンゾフェノンエステル、2-ヒドロキシ-4-アクリロキシエトキシベンゾフェノン、2,2’,4’-トリヒドロキシ-4’-アルコキシベンゾフェノンの脂肪族モノエステル、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、低級アルキルチオメチレン含有フェノール、1,3-ビス-(2’-ヒドロキシベンゾイル)ベンゼンなどの置換ベンゼン、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸の金属誘導体、非対称シュウ酸ジアリールアミド、アルキルヒドロキシフェニルチオアルカノン酸エステル、ジ-及びトリ-ペンタエリトリトールのジアルキルヒドロキシフェニルアルカン酸エステル、4,4’-ジオクチルオキシ、5,5’-ジ-tert-ブチル-オキサニリド、2,2’-ジ-ドデシルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブチル-オキサニリド、2-エトキシ-2’-エチル-オキサニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-オキサニリド、及び2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エチルオキサニリドなどのシュウ酸ジアミド、フェニル及びナフタレン置換シュウ酸ジアミド、メチルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニル)プロピオネート、α,α-ビス-(2-ヒドロキシフェノール)-ジ-イソ-プロピル-ベンゼン、3,5’-ジブロモ-2’-ヒドロキシアセトフェノン、芳香族ヒドロキシル基に対してオルト位に少なくとも1つの非置換位置を有する4,4’-ビス-(4’-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸のエステル誘導体、ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)モノスルフィド及びビス(ジフェニルホスフィノ-チオイル)ジスルフィドなどの有機リン硫化物、4-ベンゾイル-6-(ジアルキルヒドロキシベンジル)レソルシノール、ビス(3-ヒドロキシ-4-ベンゾイルフェノキシ)ジフェニルシラン、ビス(3-ヒドロキシ-4-ベンゾイルフェノキシ)ジアルキルシラン、1,8-ナフタルイミド、α-シアノ,β,β-ジフェニルアクリル酸誘導体、ビス-(2-ベンゾキサゾリル)アルカン、ビス-(2-ナフトオキサゾリル)アルカン、アリール及び複素環置換基を含有するメチレンマロニトリル、アルキレン-ビス-ジチオカルバネート、4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシエチルメタクリレート、アリール又はアルキル置換アクリロニトリル、及び3-メチル-5-イソプロピルフェニル-6-ヒドロキシクマロンなどの化合物を含み得る。
導電性を高める添加剤は、例えばテトラヒドロフランのような化合物、ブチロラクトン、バレロラクトンのようなラクトン基含有化合物、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルフォルムアミド(DMF)、N-メチルフォルムアミド、N-メチルフォルムアニリド、N-メチルピロリドン(NMP)のようなアミド基含有化合物又はラクタム基含有化合物、ピロリドン、スルホン及びスルホキシド、例えばスルホラン(テトラメチレンスルホン)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、糖又は糖誘導体、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、糖系界面活性剤、例えばTween又はSpan 60、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、フラン誘導体、例えば2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、及び/又はジ若しくはポリアルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール又はジ若しくはトリエチレングリコールを含む。テトラヒドロフラン、N-メチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、又はソルビトールが、導電性向上添加剤として特に好ましく使用される。
好適な接着促進剤は、例えば有機官能性シラン又はその加水分解物、例えば3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、又はオクチルトリエトキシシランなどの化合物である。
好適なポリマー結合剤は、特に有機溶媒に可溶なものであり、例えばポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリシリコーン、エポキシ樹脂、スチレン-アクリレート、酢酸ビニル/アクリレート及びエチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体を組成物に添加することもできる。上記ポリマーのコポリマーもポリマー結合剤として好適である。
適切な界面活性剤は、親水性頭部基及び疎水性部分を有する全ての両親媒性化合物である。親水性基は、本質的にイオン性及び非イオン性の両方であり得る。分子構造及び界面に付着する傾向に起因して、このクラスの物質は、界面張力を低下させ、改善された湿潤特性をもたらす。適切な界面活性剤は、特に、パラフィンスルホネート、アルコールスルホネート、エーテルスルホネート、スルホサクシネート、ホスフェートエステル、アルキルエーテルカルボン酸又はカルボキシレートなどの陰イオン性界面活性剤、第四級アルキルアンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、直鎖アルコールエトキシレート、オキソアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート又はアルキルポリグルコシドなどの非イオン性界面活性剤である。
【0099】
本発明による組成物の製造方法
本発明による組成物の形成のための第1の工程において、チオフェンモノマーは、有機化合物ii)及び有機溶媒iv)の存在下で酸化的に重合される。酸化剤として、ピロールの酸化重合に適した酸化剤を使用することができる。好ましい酸化剤は、tert-ブチルペルオキシド、ジイソブチリルペルオキシド、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジデカノイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエートなどの有機ペルオキシドであり、ジ-tert-アミルペルオキシドも酸化剤として使用することができる。有機アゾ化合物、例えば2,2’-アゾジイソブチロニトリルも使用することができる。特に好ましい酸化剤は、有機過酸化物などの有機金属非含有酸化剤であり、過酸化ジベンゾイルが最も好ましい。
【0100】
チオフェンモノマーは、有機化合物ii)の存在下で、酸化剤の還元生成物への還元及びチオフェンモノマーの酸化によって酸化的に重合されて、ポリチオフェンi)及び還元生成物を形成し、重合は、好ましくは0℃~100℃の範囲の温度で行われる。これに関連して、反応温度は、25℃から反応混合物中に含まれる溶媒の最低沸点未満の温度までの範囲であることが特に好ましい。
【0101】
反応混合物中に存在するアニオンii)は、ポリチオフェンi)の正電荷を補償するための対イオンとして働く。アニオンii)及びポリチオフェンi)は、好ましくはポリチオフェン/アニオン錯体の形態で存在する。これに関連して、ポリチオフェンi)ポリチオフェンi及びアニオンii)を含む組成物が得られることも好ましく、組成物は、この錯体が分散されている有機溶媒iv)を含む分散液の形態で存在することが特に好ましい。
【0102】
後続のプロセス工程において、更なる成分、特にラジカル連鎖反応において重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物iii)及び他の添加剤、例えばラジカル開始剤などを、このようにして得られた分散液に添加することができる。
【0103】
本発明、図面、試験方法及び非限定的な実施例を参照することによって、本発明をより詳細に説明する。
【0104】
試験方法
固形分
固形分含量は、精密スケール(Mettler AE240)を使用して重量測定によって判定した。まず、蓋を含む空の秤量ボトルを秤量する(重量A)。次いで、分析すべき分散液約3gをボトルに迅速に充填し、蓋で閉じ、再度秤量して、正確な総重量Bを判定する。次いで、ボトルを、室温で揮発性溶媒を蒸発させるために、約3時間、照明のない換気フード内に置く。第2の工程では、ボトルを換気付き乾燥オーブン(Memmert UNB200)内に160℃で16~17時間置く。試料ボトルをオーブンから取り出すとき、乾燥分散材料の吸湿性のため、ガラス蓋による即時の被覆が重要である。10~15分の冷却期間後、蓋を含めてボトルを再び秤量して、重量Cを判定する。
固形分の計算:固形分重量%=100×(C×A/(B-A)
【0105】
結果は2回の測定値の平均である。
【0106】
固形分/固形分[%]の判定
固形分/固形分[%]は、所与の固形分含量及び分散液の塗布量を使用することによって、導電性分散液の塗布固形分(基本単位としてグラム)を計算することによって判定される。次いで、この値を、再び基本単位としてグラムを用いて、コーティング混合物中に存在する固形分の総量で割る。
【0107】
PET基材上の膜の調製
分散液を、6μm又は12μmのいずれかのギャップ間隔を有する手動ワイヤーバー(RK PrintCoat Instruments Ltd.製の密着巻きKバー)を使用して室温でポリエチレンテレフタレート基材(Melinex 506、厚さ175μm)に塗布した。これに関連して、手動ドクターブレードのギャップ分離は、形成される湿潤膜の厚さを判定し、これは湿潤膜厚とも呼ばれる。次いで、このようにして形成されたコーティング又は膜を、乾燥オーブン中で所与の時間及び温度で乾燥させた。更なる処理の前に、コーティングされたPET基材を室温まで冷却した。
【0108】
実験において他のパラメータが記載されていない場合、湿潤膜厚は12μmとなるように選択し、乾燥プロセスは130℃で15分間行った。
【0109】
表面抵抗率の判定
表面抵抗率は、Staticide ACL 800 Digital Megohmmeterを用いて100V設定で測定した。シート上の異なる位置で2回測定し、最も低い値を結果とした。
【0110】
RF値によって判定される溶媒相溶性
1gの導電性分散液を30mLのねじ蓋付きボトルに入れる。穏やかに振盪しながら、9gの溶媒(例えばPGME)を、振盪を続けながら2分間かけてゆっくり添加する。溶媒の添加が完了した後、穏やかな振盪を更に3分間続けて、溶媒中の分散液の均一な分布を確実にする。その後、混合物の試料を直ちに2mLプラスチックピペット(VWR、REF 612-2849)に引き入れる。ここで、プラスチックピペット中の混合物の1滴を、5×5cm片の濾紙(Schleicher & Schuell,595 Rundfilter,REF.-No.:311621)に塗布する。得られた円を詳細に観察して、濾紙中の液滴の拡散の終点を判定する。拡散が完全に停止したら、形成される円の境界に鉛筆で印をつけて、溶媒の蒸発による変化を防ぐ。形成されたパターンは、2つの円、すなわち、混合物中の固形分からの1つの内側円及び溶媒からの1つの外側円をもたらす。両方の円の直径は、定規を使用して判定され、それによって、両方の円の共通中心点を通る直径を確実に判定する。
図1は、直径の判定を視覚化しており、Aは外側円の直径であり、Bは内側円の直径である。
【0111】
RF1値は以下の式に従って判定する。
【0112】
【0113】
第2のRF値RF2は、同じパターンを用いて同じ方法で判定されるが、第1の測定に直交し、直径の決定が両方の円の共通の中心点を通って行われることを再び確実にする。
【0114】
ここで、RF値は、RF1及びRF2を平均することによって計算する。
【0115】
【0116】
透過の判定
全透過率は、Haze-Guard Plus,Illum.C(Byk-Gardner GmbH)を用いて測定した。コーティングされたPET基材は、コーティングが球体に面した状態で、バネホルダによって光度計球体の入口ポートに押し付けられる。測定領域は直径18mmである。読み出しは、コーティングされたPET基材の透過率を表示する。コーティングされていないPET基材(Melinex 506、厚さ175μm)の透過率は90.5%である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1】
図1は、溶媒相溶性を判定するときの2つの円の直径の判定を示す(詳細については、溶媒相溶性の判定についてのテキスト方法を参照されたい)。
【
図2】
図2は、本発明による層構造100、例えば、帯電防止膜の構造を、より一般的な形態で示す。基材101の基材表面上には、帯電防止膜の場合、しばしばPE、PP、又はPET層であるが、本発明による組成物で調製された導電層102がある。
【実施例】
【0118】
実施例1
(3-(2-エチルヘキソキシメチル)-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシンの合成のための参考例)
【0119】
【0120】
合成は、乾燥した不活性条件下で行われる。
【0121】
THF(60mL)及び18-クラウン-6(0.200g、0.8mmol)を反応容器に加える。油中60%懸濁液としてのNaH(1.512g、37.8mmol)を撹拌下で添加し、混合物を室温で撹拌する。0℃で、20mLのTHF中のEDOT-MeOH(5.00g、29.0mmol)溶液をNaH溶液に添加する。溶液の添加後、反応混合物を室温で2.5時間、続いて55℃で0.5時間撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、20mLのTHF中の臭化2-エチルヘキシル(7.300g、37.8mmol)溶液を添加する。反応混合物を室温で1時間、50℃で40時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、イソプロパノール/水70:30(v/v)の混合物でクエンチする。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0122】
反応生成物(3-(2-エチルヘキソキシメチル)-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]-ジオキシン)が黄色の油状物として収率15%で得られる。
【0123】
実施例2
機械撹拌機を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、65gのアニソール(Aldrich)、2.699gのジベンゾイルペルオキシド(11.1mmol、Aldrich)、及び2.981gの4-ドデシルベンゼンスルホン酸(9.3mmol、Aldrich)を充填した。60℃に加熱した後、1.185gの3-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン(6mmo、ButylEDOT、CAS 552857-06-4、Synmax Biochemical、台湾)及び20gのアニソールに溶解した実施例1の反応から得られた1.134gの生成物(4mmol)を40分かけて添加した。分散液を60℃で更に3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。
【0124】
50gの分散液、30gのアニソール、及び20gのn-ブタノールを100mLフラスコに加え、得られた分散液を穏やかに撹拌することによって混合した。
【0125】
これを分散液2と呼ぶ。
【0126】
分散液2の分析:
固形分含量: 2.3%(重量)
シート抵抗(PET上で12μm): 170000Ω/sq
RF(PGME): 1
RF(MTBE): 0.4
【0127】
分散液2のイオン含有量を、誘導結合プラズマ発光分光法によって測定した。
【0128】
【0129】
実施例3
機械撹拌機を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、65gのアニソール(Aldrich)、2.699gのジベンゾイルペルオキシド(11.1mmol、Aldrich)、及び2.981gの4-ドデシルベンゼンスルホン酸(9.3mmol、Aldrich)を充填した。60℃に加熱した後、20gのアニソールに溶解した1.422gのEDOT(10mmol、CAS 126213-50-1、Heraeus)を40分かけて添加した。分散液を60℃で更に3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。
【0130】
50gの分散液、30gのアニソール、及び20gのn-ブタノールを100mLフラスコに添加し、得られた分散液を穏やかに撹拌することによって混合した。
【0131】
これを分散液3と呼ぶ。
【0132】
分散液3の分析
固形分含量: 1.8%(重量)
シート抵抗(PET上で12μm): 5800Ω/sq
RF(PGME): 0.4
【0133】
実施例4
機械撹拌機を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、65gのアニソール(Aldrich)、2.699gのジベンゾイルペルオキシド(11.1mmol、Aldrich)、及び1.732gのエチルベンゼンスルホン酸(9.3mmol、Aldrich)を充填した。60℃に加熱した後、1.185gの3-ブチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン(6mmol、ButylEDOT、CAS 552857-06-4、Synmax Biochemical、台湾)及び20gのアニソールに溶解した実施例1の反応から得られた1.134gの生成物(4mmol)を40分かけて添加した。分散液を60℃で更に3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。
【0134】
50gの分散液、30gのアニソール、及び20gのn-ブタノールを100mLフラスコに加え、得られた分散液を穏やかに撹拌することによって混合した。
【0135】
これを分散液4と呼ぶ。
【0136】
分散液4の分析
固形分含量: 1.2%(重量)
シート抵抗(PET上で12μm): 170000Ω/sq
RF(PGME): 1
【0137】
実施例5
(国際公開第2012/059215号の教示に従う)。
機械撹拌機を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに、294gのアニソール(Aldrich)、9.4gのジベンゾイルペルオキシド(39mmol、Aldrich)、8.25gのスルホン化ブロックコポリマー(Kraton Nexar(登録商標)MD)、及び7.2g及びパラ-トルエンスルホン酸7.2g(38mmol、Aldrich)を充填した。60℃に加熱した後、4.95gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(35mmol、Clevios M V2、Heraeus Deutschland GmbH & Co KG、ドイツ)を20gのアニソールに溶解したものを40分かけて添加した。分散液を60℃で更に3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。
【0138】
20gの濾過後に得られた分散液及び20gの酢酸ブチルを50mlのガラスボトル中で混合し、2分間の超音波処理(Hielscher UP 200 S、サイクル1、振幅100%)に供した。この試料を分散液5と呼ぶ。
【0139】
分散液5の分析:
固形分含量: 2.5%(重量)
シート抵抗(PET上で12μm): 17,000Ω/sq
RF(PGME): 0.4
【0140】
実施例6
分散液2、分散液3、分散液4、分散液5、及びClevios PH1000(水性PEDOT:PSS分散液、Heraeus)を、Sartomer製のSR 399(CAS 384855-91-7)及び溶媒としてのPGME中の光開始剤としてのSigma Aldrich製の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとのそれらの相溶性に関して試験した。使用した化合物の量を表1に示す。
【0141】
導電性分散液から開始し、続いてPGME、SR399、最後に光開始剤を撹拌することによって、成分を完全に混合した。混合物を暗所で15分間撹拌した。
【0142】
ワイヤーバーを使用して、6μmの湿潤膜をPET基材上に堆積させ、オーブン中75℃で3分間乾燥させた。乾燥後、コーティングされたシートをUVチャンバ内で600mJ/cm2で曝露させた。PETシートを含む表面抵抗率及び透過率を判定した。
【0143】
【0144】
実施例6A、6B及び6Cは、ポリアニオンを使用する分散液が許容可能なシート抵抗を達成しないことを実証する。
【0145】
実施例6D、6E、6F、及び6Gは、水性分散液が、低い部分で十分なシート抵抗を達成しないことを実証する。高い部分では、著しい沈殿が観察される(実施例6E、6F、及び6G)。
【0146】
実施例6H、6I、及び6Jは、EDOT及び一価スルホン酸を使用する分散液が、初期分散液の優れたシート抵抗を処理するが、硬化膜において許容可能なシート抵抗を生じないことを実証する。
【0147】
実施例6K、6L、6M、6N、及び6Oは、分岐EDOTを含有する分散液の優れた性能を実証する。
【0148】
実施例7
この実施例は、帯電防止溶剤ベースのハードコーティング配合物における水の悪影響を示す。
【0149】
コーティングプレミックスAを、分散体2(1,370g)、PGME(1.011g)、SR399(1g、Sartomer)、及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(0.05g、Sigma Aldrich)を組み合わせることによって調製した。これらの成分を撹拌によって十分に混合した。その後、プレミックスAを表2に示す量で脱イオン水と混合した。混合物を1時間撹拌した。その後、コーティングをMelinex 506 PET基材に6μmの湿潤膜として塗布し、75℃で3分間乾燥させ、600mJ/cm2でUV照射に曝露させた。表面抵抗率を判定した。
【0150】
【0151】
実施例7Dに示されるように、2%以上の含水量は、ハードコーティングの帯電防止機能の喪失を引き起こす。
【0152】
実施例8
コーティングは、表3に示す成分を混合することによって調製した。1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Sigma Aldrich)を光開始剤として使用した。DPHAはSigma Aldrichから購入した(ジペンタエリスリット-ペンタ-/ヘキサアクリレート、CAS 60506-81-2)。これらの成分を撹拌によって十分に混合した。混合物を15分間撹拌した。その後、コーティングをMelinex 506 PET基材に12μmの湿潤膜として塗布し、75℃で3分間乾燥させ、600mJ/cm2でUV照射に曝露させた。表面抵抗率及び透過率を判定した。
【0153】
【0154】
実施例9
実施例は、本発明による硬化組成物と非硬化組成物との間の鉛筆硬度の差を実証する。更なる実施例は、本発明による組成物からの硬化コーティングと、既に重合されたアクリレートを含有する組成物からのコーティングとの間の差異を実証する。
【0155】
コーティングは、表4に示す成分を混合することによって調製した。1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Sigma Aldrich)を光開始剤として使用した。SR399はSartomerから購入した。これらの成分を撹拌によって十分に混合した。混合物を15分間撹拌した。その後、コーティングを12μmの湿潤膜としてガラス基材に塗布し、75℃で3分間乾燥させた。
【0156】
実施例9Aを、600mJ/cm2でUV照射に更に曝露させた。
【0157】
得られたコーティングの鉛筆硬度を、Wolf-Wilburn鉛筆硬度試験に従って判定した。試験では、硬度Hの鉛筆を、BYK instruments製の5800耐引掻性キットに取り付けた。次いで、機器をコーティングされたガラス基材上に押し付けた。その後、コーティングを綿密に検査した。コーティングへの損傷が観察されなかった場合、硬度ポイントが1H高い鉛筆を5800耐引掻性キットに取り付け、別の位置で測定を繰り返した。表4に示した鉛筆硬度は、コーティングの目に見える損傷を引き起こす最初の鉛筆硬度である。
【0158】
【0159】
実施例10
実施例は、様々な有機溶媒をベースとする硬化組成物における分散液2及び分散液4の性能を実証する。更に、PGME中で判定されたRF値は、概して、使用される溶媒とは無関係に、本発明による組成物中の導電性分散液の性能を予測することを実証する。
PGME中の分散液2のRF値:1
PGME中の分散液3のRF値:0.4
【0160】
表5に示す成分を、0.05gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Sigma Aldrich、光開始剤)及び0.95gのDPHA(Sigma Aldrich、ジペンタエリスリトール-ペンタ-/ヘキサアクリレート、CAS 60506-81-2)と混合することによって、コーティングを調製した。これらの成分を撹拌によって十分に混合した。混合物を15分間撹拌した。その後、コーティングをMelinex 506 PET基材に12μmの湿潤膜として塗布し、75℃で3分間乾燥させ、600mJ/cm2でUV照射に曝露させた。表面抵抗率を判定した。
【0161】
【0162】
実施例11
分散体2及び分散体3からコーティングされたフィルム上の水の接触角を判定した。Melinex 506 PETシート上に分散液の12μm湿潤膜を塗布し、得られたコーティングされたシートを130℃で15分間乾燥させることによって、分散液のそれぞれから1つのコーティングされたPETシートを製造した。
【0163】
ここで、水滴の接触角を、Kruss FM40 Easy Drop装置を用いて判定した。接触角を判定するために、脱イオン水を満たしたシリンジを装置に取り付けた。ここで、2μLの液滴をコーティングされたPETシート上に置いた。接触角は、「タンジェント-2」フィッティング法を使用して液滴の塗布の2秒後に判定した。測定は、PETフィルムの3つの位置上で3つの水滴を用いて繰り返した。報告された値は、行われた測定を平均することによって得た。得られた結果を
図6に示す。
【0164】
【0165】