(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-22
(45)【発行日】2025-05-30
(54)【発明の名称】半導体モジュールの製造方法及び電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20250523BHJP
【FI】
H01L23/02 G
H01L23/02 J
H01L23/02 Z
(21)【出願番号】P 2025514856
(86)(22)【出願日】2024-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2024033954
【審査請求日】2025-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】横山 彰
(72)【発明者】
【氏名】目片 敏男
(72)【発明者】
【氏名】政井 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 仁
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 由紀
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆行
(72)【発明者】
【氏名】木下 健
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/184003(WO,A1)
【文献】特開2001-053179(JP,A)
【文献】特開2010-136091(JP,A)
【文献】特開2008-311940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02-23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造のパッケージと、
前記パッケージの中空内部に搭載された半導体デバイス部品と、を備え、
切込によって通気部と前記通気部の弁として機能するスイング部とが形成された保護テープが、前記パッケージの中空内部を覆うように貼り付けられた半導体モジュールの製造方法であって、
前記保護テープが貼り付けられた剥離ライナーを、前記剥離ライナーから前記保護テープを剥がす剥離部材に沿って送り出す工程と、
前記剥離部材によって前記剥離ライナーから前記保護テープを剥がしながら前記スイング部を変形させて、前記通気部における粘着剤同士を切り離す工程と、
前記剥離ライナーから剥がした前記保護テープを前記パッケージに貼り付ける工程と、
を有することを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記通気部における前記粘着剤同士を切り離す工程において、前記剥離部材によって前記剥離ライナーから前記保護テープを剥がしながら、剥がれた前記保護テープの端部をチャックする、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記剥離ライナーを前記剥離部材に沿って送り出す工程において、前記保護テープが貼り付けられた剥離ライナーを、前記剥離ライナーから前記保護テープを剥がす前記剥離部材によって鋭角に曲げて送り出し、
前記通気部における前記粘着剤同士を切り離す工程において、前記剥離部材によって前記剥離ライナーが鋭角に曲げられる部分で前記保護テープを剥がしながら前記スイング部を変形させて、前記通気部における前記粘着剤同士を切り離す、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記通気部は、少なくとも2辺の線分又は少なくとも円弧を含む切込によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記通気部は、前記保護テープが前記パッケージに貼り付けられた状態において、前記パッケージに貼り付けた部分に寄せた位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載の半導体モジュールの製造方法で製造された半導体モジュールを回路基板に実装する工程と、
前記半導体モジュールを前記回路基板に実装した後、前記パッケージから前記保護テープを剥がす工程と、を有する、
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールの製造方法及び電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体モジュールは、中空構造のパッケージと、パッケージの中空内部に搭載された半導体デバイス部品と、を有する構成が知られている。パッケージには、半導体デバイス部品にキズが付いたり、浮遊異物が付着したりする汚損を防止するために、中空内部を覆う保護テープが貼り付けられる。保護テープは、パッケージの表面状態又は製品の信頼性に鑑みて、材料とテープの粘着力とが選択される。半導体モジュールは、保護テープで覆われたパッケージの中空内部の空気が加熱によって膨張したとき又は冷却によって収縮したときに、中空内部と外部との気圧差を緩和させる必要がある。例えば、特許文献1では、パッケージの中空内部と外部とを繋ぐ通気用の切込が形成された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように保護テープに切込を形成する構成であると、製造時に切込の粘着剤が自己融着して貼り付いたままとなるおそれがある。切込の粘着剤が自己融着したままであると、パッケージの中空内部と外部とを通気することができず、保護テープで覆われたパッケージの中空内部の空気が加熱によって膨張したとき又は冷却によって収縮したときに、中空内部と外部との気圧差を緩和させることができない。その結果、保護テープがパッケージから剥がれたり、保護テープが中空内部に垂れ落ちたりするおそれがある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、保護テープに切り込まれて形成された通気部の自己融着を抑制し、パッケージの中空内部と外部とを通気させることができる、半導体モジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる半導体モジュールの製造方法は、中空構造のパッケージと、パッケージの中空内部に搭載された半導体デバイス部品と、を備え、切込によって通気部と通気部の弁として機能するスイング部とが形成された保護テープが、パッケージの中空内部を覆うように貼り付けられた半導体モジュールの製造方法であって、保護テープが貼り付けられた剥離ライナーを、剥離ライナーから保護テープを剥がす剥離部材に沿って送り出す工程と、剥離部材によって剥離ライナーから保護テープを剥がしながらスイング部を変形させて、通気部における粘着剤同士を切り離す工程と、剥離ライナーから剥がした保護テープをパッケージに貼り付ける工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる半導体モジュールの製造方法によれば、保護テープに切り込まれて形成された通気部の自己融着を抑制し、パッケージの中空内部と外部とを通気させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態にかかる半導体モジュールに保護テープを貼り付ける様子を示す斜視図
【
図2】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状を示す説明図
【
図3】実施の形態における剥離ライナーに保護テープが貼り付けられたテープ材を示す斜視図
【
図4】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例1を示す説明図
【
図5】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例2を示す説明図
【
図6】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例3を示す説明図
【
図7】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例4を示す説明図
【
図8】実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例5を示す説明図
【
図9】実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置の組立手順を示すフローチャート
【
図10】実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置であって、パッケージに保護テープが貼り付いた状態を示す斜視図
【
図11】実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置であって、パッケージから保護テープを剥がした状態を示す斜視図
【
図12】実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす様子を示す説明図
【
図13】実施の形態における保護テープをパッケージに貼り付ける手順を示すフローチャート
【
図14】実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす手順を示す説明図
【
図15】実施の形態における剥離ライナーに保護テープが貼り付けられたテープ材の変形例を示す説明図
【
図16】実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす様子であって、
図12とは異なる形態を示す説明図
【
図17】実施の形態における剥離部材の変形例を示す説明図
【
図18】実施の形態における保護テープに形成された通気部の位置の変形例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態にかかる半導体モジュールの製造方法及び電子装置の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる半導体モジュールに保護テープを貼り付ける様子を示す斜視図である。
図1に示すように、実施の形態にかかる半導体モジュール100は、中空構造のパッケージ1と、パッケージ1の中空内部10に搭載された半導体デバイス部品2と、を有する。
【0011】
パッケージ1は、例えば、電気回路パターンが形成された積層構造のガラエポ基板若しくはBTレジン基板等に切削加工で開口を形成したり、基板上にディスペンスで樹脂枠を作成したり、基板上に別部品の枠体11を接着剤等で接着したり、又は、基板に対してトランスファーモールドで成型したりするなどして製造される。ディスペンスに使われる材料は、例えばシリコーン、アクリル、又はエポキシ等である。枠体11の材料は、ガラス、金属、ガラスエポキシ、BTレジン又はその他樹脂部品等である。接着剤には、シリコーン、アクリル、又はエポキシ等が使用される。なお、枠体11は、基板上に接着剤等で接着する方法に代えて、はんだ又はAg等の金属を用いて接合してもよい。パッケージ1の中空内部10は、図示した1つの空間でもよいし、複数の空間に仕切られた構成でもよい。パッケージ1には、中空内部10を覆う保護テープ3がパッケージ1の外周を形成する枠体11に貼り付けられる。保護テープ3は、中空内部10に搭載された半導体デバイス部品2に傷が付いたり、浮遊異物が付着したりする汚損を防止するために設けられる。保護テープ3は、半導体モジュール100を回路基板等に搭載した後、パッケージ1から剥がされる。
【0012】
半導体デバイス部品2は、例えば、LED(Light Emitting Diode)若しくはPD(Photo Diode)などの光素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、高周波デバイス、又は集積モジュールなどである。半導体デバイス部品2は、図示した1個に限定されず複数個設けてもよいし、複数の種類があってもよい。
【0013】
保護テープ3は、基材の表面に粘着剤が塗布された粘着テープである。保護テープ3は、パッケージ1に貼り付けることができ、且つパッケージ1から剥がすことができる程度の粘着性を有する。基材の材料は、ポリイミド、フッ素樹脂若しくはセロハン等のフィルム、アルミ等の金属箔、又は紙若しくは布などの繊維である。粘着剤の材料は、アクリル、シリコーン、ウレタン又はゴム等である。基材及び粘着剤の材料は、用途、パッケージ1等の被着体の表面状態、及び加工プロセスから決定される。例えば、耐熱が必要とされ、アウトガスの付着が問題になる場合には、基材がポリイミドとされ、アクリル系の粘着剤が使用される。
【0014】
また、保護テープ3は、
図1に示す四角形状の他に、例えば円形又はその他の多角形などの形状でもよい。また、保護テープ3は、パッケージ1の中空内部10を覆うことができれば、パッケージ1の枠体11からはみ出す大きさでもよい。また、保護テープ3は、ピンセット等を用いてパッケージ1から剥がすためのツマミを有する形状でもよい。また、パッケージ1の中空内部10が複数の空間に仕切られている場合には、仕切られた一部の中空内部10のみを保護テープ3で覆ってもよい。
【0015】
また、保護テープ3は、枠体11に貼り付けられてパッケージ1と密着した密着領域と、中空内部10を覆ってパッケージ1と密着していない非密着領域とに分けられる。保護テープ3の非密着領域には、切込によって通気部30と通気部30の弁として機能するスイング部32とが形成されている。通気部30は、保護テープ3で覆われたパッケージ1の中空内部10の空気が加熱によって膨張したとき又は冷却によって収縮したときに、外部との気圧差を緩和するために形成されている。通気部30は、一例として、保護テープ3の中央に一つ形成されている。なお、通気部30の個数は、図示した一つに限定されず、二つ以上形成してもよい。また、通気部30を形成する位置は、図示した中央に限定されず、例えば半導体デバイス部品2の直上を避けた位置等、その他の箇所に形成してもよい。
【0016】
図2は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状を示す説明図である。
図2に示すように、通気部30は、直線状の切込からなる第1線分30aと、第1線分30aの両端から略90度屈曲し、同一方向に延びる直線状の切込からなる一対の第2線分30bと、によって形成されている。なお、一対の第2線分30bは、第1線分30aの両端から略90度に屈曲させた構成に限定されず、例えば第1線分30aの両端から略45度に屈曲させるなど、その他の角度で屈曲させてもよい。スイング部32は、一対の第2線分30bの先端部を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、第1線分30a、第2線分30b及び仮想線分31で囲まれた部分によって形成されている。なお、通気部30を構成する線分の長さ及び個数は、図示した構成に限定されず、例えば中空内部10の内気と外気との気圧差が発生するまでの時間の速さで決めてもよい。また、通気部30の切込幅は、抑制したい異物サイズ及び加工プロセスの制約から決めてもよい。また、半導体モジュール100は、パッケージ1の中空内部10が複数の空間に仕切られている場合、仕切られた特定の中空内部10を前記構成の保護テープ3で覆い、その他の仕切られた中空内部10を異なる方法で通気する構造としてもよい。
【0017】
図3は、実施の形態における剥離ライナーに保護テープが貼り付けられたテープ材を示す斜視図である。
図3に示すように、パッケージ1に貼り付けられる前の保護テープ3は、剥離ライナー5に貼り付けられた状態で供給される。剥離ライナー5は、表面に離形コートされた紙又はフィルムなどである。保護テープ3の外形及び通気部30は、あらかじめ剥離ライナー5に貼り付けられて供給されるテープ材200に対して、ピナクル(登録商標)型若しくはトムソン型などを使った打ち抜き、又は各種波長のレーザ光線で形成される。その後、カス上げにて余剰部分を除去することで、剥離ライナー5に保護テープ3が一定のピッチで貼り付けられたテープ材200が製造される。保護テープ3は、通気部30に沿ったスイング部32の縁辺が、保護テープ3を送り出す方向Bに向くように、剥離ライナー5に貼り付けられている。
図3に示すテープ材200は、保護テープ3が一列に貼り付けられた剥離ライナー5をロール状に巻いた構成である。保護テープ3は、一例として、四角形状の角部の一つが、保護テープ3が送り出される方向Bに向くように剥離ライナー5に貼り付けられている。なお、テープ材200は、ロール状に巻いた構成に限定されず、例えばシート状の剥離ライナー5に保護テープ3を格子状に貼り付けた構成でもよいし、その他の構成でもよい。
【0018】
図4は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例1を示す説明図である。
図4に示す変形例1の通気部30Aは、直線状の切込からなる第1線分30aと、第1線分30aの両端から略90度屈曲し、同一方向に延びる直線状の切込からなる一対の第2線分30bと、各第2線分30bの先端から略90度屈曲し、互いに離れる方向に延びる直線状の切込からなる一対の第3線分30cと、各第3線分30cの先端から略90度屈曲し、第2線分30bと対向する直線状の切込からなる一対の第4線分30dと、を有している。なお、一対の第2線分30b、一対の第3線分30c、及び一対の第4線分30dが、隣接する線分から屈曲する角度は、略90度に限定されず、その他の角度でもよい。スイング部32は、一対の第2線分30bの先端部を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、第1線分30a、第2線分30b及び仮想線分31で囲まれた部分によって形成されている。変形例1の通気部30Aは、一対の第3線分30cと一対の第4線分30dとが返しとして機能するので、スイング部32の変形によって切込が裂ける事態を抑制することができる。
【0019】
図5は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例2を示す説明図である。
図5に示す変形例2の通気部30Bは、V字状の切込によって形成されている。スイング部32は、V字の両端を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、通気部30Bと仮想線分31とで囲まれた部分によって形成されている。
【0020】
図6は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例3を示す説明図である。
図6に示す変形例3の通気部30Cは、円弧状の切込によって形成されている。スイング部32は、円弧の両端を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、通気部30Cと仮想線分31とで囲まれた部分によって形成されている。
【0021】
図7は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例4を示す説明図である。
図7に示す変形例4の通気部30Dは、円弧を含むU字状の切込によって形成されている。スイング部32は、U字の両端を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、通気部30Dと仮想線分31とで囲まれた部分によって形成されている。
【0022】
図8は、実施の形態における保護テープに形成された通気部とスイング部との形状の変形例5を示す説明図である。
図8に示す変形例5の通気部30Eは、H字状の切込によって形成されている。スイング部32は、2本の対向する線分の各端部同士を繋ぐ線分を仮想線分31とした場合に、通気部30Eと仮想線分31とで囲まれた部分によって形成されている。
【0023】
次に、半導体モジュール100を備えた電子装置300の組立手順について説明する。
図9は、実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置の組立手順を示すフローチャートである。
図10は、実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置であって、パッケージに保護テープが貼り付いた状態を示す斜視図である。
図11は、実施の形態にかかる半導体モジュールを有する電子装置であって、パッケージから保護テープを剥がした状態を示す斜視図である。
【0024】
先ず、
図1に示すように、パッケージ1の中空内部10に、半導体デバイス部品2を搭載し(ステップS10)、パッケージ1の枠体11に保護テープ3を貼り付けて、該保護テープ3でパッケージ1の中空内部10を覆う(ステップS11)。次に、
図10に示すように、半導体モジュール100を回路基板4にリフローはんだ付けする(ステップS12)。例えばSn-Ag-Cuはんだなどを使う場合には、リフローの温度が260℃で設定される。最後に、
図11に示すように、半導体モジュール100のパッケージ1から保護テープ3を剥がし、電子装置300を作成する(ステップS13)。保護テープ3をパッケージ1から剥がすには、例えばパッケージ1の枠体11から保護テープ3の一部をはみ出させ、ピンセット等で把持してめくってもよいし、保護テープ3の粘着力より高い剥離用テープを保護テープ3の上から貼り付けて、剥離テープごと保護テープ3をめくってもよいし、自動で保護テープ3を剥がす装置などを使用してもよい。また、保護テープ3は、熱が加わると粘着力が低下する材料で形成されたものを使用してもよい。熱を加えると粘着力が低下する材料とは、例えばシリコーン又はアクリル等である。
【0025】
なお、ステップS12においては、リフローはんだ付けに代えて、ホットプレートを用いた加熱、乾燥炉を用いた加熱、又は誘導加熱装置を用いた加熱を行ってもよい。加熱温度は、固定に使う材料の硬化温度で決めてもよい。また、ステップS12では、上記工程の他に、パッケージ1の中空内部10と外部とで気圧差が生じる工程が行われればよい。例えば、ステップS12では、リフローはんだ付けに代えて、加熱若しくは真空引きによる脱湿、又は温度上昇が発生するエージングが行われてもよい。また、ステップS10の工程は省略してもよい。また、ステップS12において、加熱若しくは真空引きによる脱湿、又は温度上昇が発生するエージングを行う場合には、その後に、回路基板4において温度上昇を伴わない固定を実施してもよい。
【0026】
ところで、保護テープ3では、パッケージ1の表面状態又は製品の信頼性を考慮して、材料とテープ粘着力とが選択される。例えば、パッケージ1等の被着体の表面が凹凸である又は離形性のある表面である場合、粘着力が高い粘着テープを使用する必要がある。粘着力の高いテープを打ち抜き加工で製作した場合、10~20ミクロンの細い刃を用いて通気部30を形成するため、粘着剤同士の間隔が非常に狭く、粘着剤同士が自己融着するおそれがある。通気部30の粘着剤同士が自己融着してしまうと、パッケージ1の中空内部10と外部とで通気することができず、中空内部10の空気が加熱によって膨張したときに、中空内部10の内気圧に耐えられなくなって、保護テープ3がパッケージ1から剥がれるおそれがある。また、中空内部10の空気が冷却して収縮すると、保護テープ3が撓み、半導体デバイス部品2と接触するおそれがある。なお、レーザ加工でテープに通気部30を形成した場合でも、加工幅によっては同様の課題が発生するおそれがある。
【0027】
図12は、実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす様子を示す説明図である。そこで、
図12に示すように、実施の形態にかかる半導体モジュール100の製造方法では、金属等で形成された三角柱形状のブロックからなる剥離部材6によって剥離ライナー5から保護テープ3を剥がしながら通気部30で囲まれたスイング部32を変形させて、通気部30の粘着剤同士を切り離すことを特徴としている。以下に、保護テープ3をパッケージ1に貼り付ける手順について具体的に説明する。
【0028】
図13は、実施の形態における保護テープをパッケージに貼り付ける手順を示すフローチャートである。
図14は、実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす手順を示す説明図である。
【0029】
図14の(a)に示すように、先ず、保護テープ3が搭載されている剥離ライナー5を、剥離部材6の表面に沿って引き出し方向A
1から鋭角に曲がった引き出し方向A
2に向かって送り出す(ステップS20)。剥離ライナー5の送り出しは、引き出し方向A
2の先にある図示省略の巻き取り機で行う。剥離ライナー5は、剥離部材6の頂角であるエッジ部60によって引き出される方向が切り換えられて鋭角に曲がる。また、
図12に示すように、保護テープ3は、通気部30の第1線分30aが剥離部材6のエッジ部60の縁辺と平行になるように送り出される。剥離部材6の鋭角の角度は、通気部30のスイング部32を微小変形させることができるように選定する。例えば、剥離ライナー5と保護テープ3との間の粘着力が高い場合には、エッジ部60の角度を小さくするとよい。
【0030】
次に、
図14(b)に示すように、剥離部材6のエッジ部60で保護テープ3の一端を剥離ライナー5から剥がす(ステップS21)。剥離ライナー5は、剥離部材6に押し付けられながら鋭角に曲げられ、引き出し方向A
2に向かって送り出される。これにより、剥離部材6のエッジ部60で保護テープ3の弾性力が保護テープ3の粘着力よりも大きくなり、エッジ部60で保護テープ3の一端を剥がすことができる。その結果、保護テープ3は、剥離部材6の前方である引き出し方向Bに向かって送り出される。
【0031】
保護テープ3を引き出し方向Bに向かって送り出す際に、保護テープ3の一端部をチャックし、保護テープ3が自重で垂れ落ちないようにサポートしてもよい。なお、保護テープ3の一端部をチャックする場合には、保護テープ3が撓んだり、千切れたりしないように、剥離ライナー5が送り出される速度に合わせながらチャックするようにする。
【0032】
次に、
図14(c)に示すように、通気部30において自己融着していた保護テープ3の粘着剤同士を切り離す(ステップS22)。剥離ライナー5を引き出し方向A
2に向かって更に送り出し、保護テープ3の第1線分30aがエッジ部60に到達したところから、スイング部32が剥離ライナー5に追従し、引き出し方向A
2に向かって送り出される。一方、保護テープ3のうち、スイング部32以外の他の領域は、引き出し方向Bに向かって送り出される。このとき、通気部30において自己融着していた保護テープ3の粘着剤同士が、剥離部材6のエッジ部60によって切り離される。
【0033】
次に、
図14(d)に示すように、剥離ライナー5を引き出し方向A
2に向かって更に送り出し、スイング部32を剥離ライナー5から剥がす(ステップS23)。エッジ部60の場所で、スイング部32における保護テープ3の粘着力が保護テープ3の弾性力よりも小さくなり、エッジ部60からスイング部32の一端を剥がすことができる。このとき、スイング部32は、弾性力でスプリングバックが発生し、通気部30が閉じる方向に動く。しかし、スイング部32に塑性変形が発生していることにより、通気部30を構成する第1線分30a及び第2線分30bの全ての領域で粘着剤同士が付着する状態には戻らず、スイング部32の端縁が第1線分30aを挟んで対向する保護テープ3の粘着面に引っ掛かった状態となる。すなわち、通気部30は、ステップS22を開始する前の状態には戻らない。なお、通気部30の第1線分30aにおいて、粘着剤と基材とが部分的に貼り付いた状態となる場合がある。しかしながら、粘着剤と基材との粘着力は、粘着剤同士の粘着力と比べて非常に小さい。そのため、通気部30の第1線分30aにおいて、粘着剤と基材とが部分的に貼り付いても、通気部30における通気の妨げとなることはない。
【0034】
次に、
図14(e)に示すように、剥離ライナー5を引き出し方向A
2に向かって更に送り出して保護テープ3をピックアップする(ステップS24)。このとき、保護テープ3に癖がつかないようにピックアップする。保護テープ3をピックアップする手段は、吸着ノズルを用いて保護テープ3を吸着してもよいし、保護テープ3の端部を把持してもよい。保護テープ3を吸着する場合には、通気部30には触れず、スイング部32を吸い込まないように注意する。なお、保護テープ3は、必ずしもピックアップする必要はなく、引き出し方向Bに向かって送り出し、そのままパッケージ1の枠体11に貼り付けてもよい。
【0035】
次に、保護テープ3をパッケージ1の枠体11に貼り付ける(ステップS25)。保護テープ3は、パッケージ1の中空内部10を覆うように、パッケージ1の枠体11に貼り付けられる。保護テープ3を貼り付ける位置の精度が必要となる場合には、例えば、画像認識による相対的な位置合わせ等を行ってもよい。
【0036】
最後に、保護テープ3が枠体11に密着するように、ローラー又はスタンプ等を用いて保護テープ3を枠体11へ押し付ける(ステップS26)。これにより、保護テープ3とパッケージ1との表面の間に挟まった気泡を取り除くことができる。保護テープ3を押す部品は、ウレタン若しくはシリコーン等の弾性のある部材、プラスチック、又は金属等である。枠体11が柔らかい場合には、中空状態となるように刳り貫いた形状のスタンプで、枠体11の全面を一括して押さえ付けてもよい。また、保護テープ3を押す部品は、矩形のスタンプと、L字形状のスタンプとを使用して、枠体11の各部分に貼り付けた保護テープ3を順に押さえ付けてもよい。なお、ステップS25の工程において、ステップS26の工程を兼ねてもよい。
【0037】
図15は、実施の形態における剥離ライナーに保護テープが貼り付けられたテープ材の変形例を示す説明図である。保護テープ3は、
図12に示したように、四角形状の角部の一つが送り出される方向Bに向くように、剥離ライナー5に貼り付けられた構成に限定されない。
図15に示すように、保護テープ3は、四角形状の一辺が剥離部材6のエッジ部60の縁辺と平行となるように、剥離ライナー5に貼り付けられてもよい。なお、このとき、通気部30は、第1線分30aが剥離部材6のエッジ部60の縁辺と平行となるように形成される。
【0038】
図16は、実施の形態における保護テープを剥離ライナーから剥がす様子であって、
図12とは異なる形態を示す説明図である。
図16に示すように、剥離部材6は、保護テープ3が送り出される方向Bに対して傾斜させて設置してもよい。この場合においても、通気部30は、第1線分30aが剥離部材6のエッジ部60の縁辺と平行となるように形成される。
【0039】
図17は、実施の形態における剥離部材の変形例を示す説明図である。
図17に示すように、実施の形態にかかる半導体モジュール100の製造方法では、金属等で形成されたローラーからなる剥離部材6Aによって剥離ライナー5から保護テープ3を剥がしながら通気部30で囲まれたスイング部32を変形させて、通気部30の粘着剤同士を切り離す構成としてもよい。この場合においても、剥離ライナー5は、剥離部材6Aによって鋭角に曲げられて引き出し方向A
2に向かって送り出される。
【0040】
図18は、実施の形態における保護テープに形成された通気部の位置の変形例を示す説明図である。
図18に示す白抜き矢印は、保護テープ3が引っ張られる方向を示している。白抜き矢印の大きさは、保護テープ3が引っ張られる強さを表している。また、四角形の破線は、密着領域と非密着領域との境界を示している。破線の外側が密着領域となり、破線の内側が非密着領域となる。
図18に示した通気部30は、パッケージ1の枠体11に保護テープ3を貼り付けた密着領域に寄せた位置に形成されている。例えば、パッケージ1の中空内部10の空気が加熱によって膨張したとき、白抜き矢印で示すように、パッケージ1と密着していない非密着領域の保護テープ3が外周の方向に向かって引っ張られる。このとき、密着領域における保護テープ3は、ほとんど変形しない。また、保護テープ3の中央では、密着領域によって保護テープ3を引っ張る力が打ち消されるため、スイング部32を引っ張る力が弱くなる。すなわち、通気部30を密着領域に寄せた位置に形成することで、スイング部32を外周の方向に向かって引っ張る力が抑制されるので、通気部30が拡がることがなく、スイング部32が第1線分30aを挟んで対向する保護テープ3に引っ掛かった状態が維持される。仮に、パッケージ1の内部の空気が加熱によって膨張したときに、スイング部32の変形が大きいと、通気部30が拡がってスイング部32が保護テープ3に引っ掛かった状態が解除され、スイング部32が粘着剤同士を切り離す前の位置に戻るおそれがある。その後、冷却時に通気部30の粘着剤同士が自己融着して、通気部30が閉じるおそれがある。なお、当該構成は、パッケージ1の線膨張係数よりも保護テープ3の線膨張係数が大きい場合に特に有効である。
【0041】
以上のように、実施の形態にかかる半導体モジュール100の製造方法は、保護テープ3が貼り付けられた剥離ライナー5を、剥離ライナー5から保護テープ3を剥がす剥離部材6に沿って送り出す工程と、剥離部材6によって剥離ライナー5から保護テープ3を剥がしながらスイング部32を変形させて、通気部30の粘着剤同士を切り離す工程と、剥離ライナー5から剥がした保護テープ3をパッケージ1に貼り付ける工程と、を有する。よって、実施の形態にかかる半導体モジュール100の製造方法では、スイング部32を変形させて、通気部30における粘着剤同士を事前に切り離すので、通気部30の自己融着を抑制することができ、パッケージ1の中空内部10と外部とを通気させることができる。これにより、保護テープ3で覆われたパッケージ1の中空内部10の空気が加熱によって膨張したとき又は冷却によって収縮したときに、外部との気圧差を緩和させることができる。
【0042】
すなわち、保護テープ3で覆われたパッケージ1の中空内部10の空気が加熱によって膨張しても、保護テープ3が部分的に浮いたり、剥がれたりする事態を抑制することができる。また、パッケージ1の中空内部10の空気の収縮を抑制することができるので、保護テープ3が中空内部10に向かって撓む事態を抑制でき、半導体デバイス部品2への接触を抑制することができる。これにより、例えばパッケージ1の中空内部10の深さを浅くすることができるので、例えば半導体モジュール100を小型化できるし、材料費の削減に寄与することもできる。また、粘着力の弱い保護テープ3を使用することも可能なので、電子装置300の製造工程で保護テープ3を剥がす作業が容易となるし、粘着力が高い保護テープ3を使用することで生じる糊残りも軽減できる。また、レーザ加工よりも安価な打ち抜き加工で保護テープ3を製作することで、製造コストを削減することができる。
【0043】
以上の実施の形態に示す構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 パッケージ、2 半導体デバイス部品、3 保護テープ、4 回路基板、5 剥離ライナー、6,6A 剥離部材、10 中空内部、11 枠体、30,30A,30B,30C,30D,30E 通気部、30a 第1線分、30b 第2線分、30c 第3線分、30d 第4線分、31 仮想線分、32 スイング部、60 エッジ部、100 半導体モジュール、200 テープ材、300 電子装置。
【要約】
半導体モジュールの製造方法は、保護テープ(3)が貼り付けられた剥離ライナー(5)を、剥離ライナー(5)から保護テープ(3)を剥がす剥離部材(6)に沿って送り出す工程と、剥離部材(6)によって剥離ライナー(5)から保護テープ(3)を剥がしながらスイング部(32)を変形させて、通気部(30)における粘着剤同士を切り離す工程と、剥離ライナー(5)から剥がした保護テープ(3)をパッケージに貼り付ける工程と、を有する。